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特開2024-89706染毛用組成物、酸化染毛剤、及び染毛方法
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  • 特開-染毛用組成物、酸化染毛剤、及び染毛方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089706
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】染毛用組成物、酸化染毛剤、及び染毛方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20240627BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240627BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/86
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205057
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(72)【発明者】
【氏名】内田 朱音
(72)【発明者】
【氏名】藤田 諭
(72)【発明者】
【氏名】芝田 知可
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB051
4C083AB082
4C083AB352
4C083AB412
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC532
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC692
4C083AC731
4C083AC732
4C083AC902
4C083AD642
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】
パラアミノフェノール若しくはその塩、又は、パラニトロオルトフェニレンジアミン若しくはその塩の析出を抑制可能な染毛用組成物の提供、該染毛用組成物を用いた酸化染毛剤の提供、及び該染毛用組成物を用いた染毛方法の提供を目的とする。
【解決手段】
パラアミノフェノール又はその塩、及びパラニトロオルトフェニレンジアミン又はその塩から選ばれる1種又は2種以上、及び、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルが配合された染毛用組成物、並びに、該染毛用組成物を用いた酸化染毛剤、及び該染毛用組成物を用いた染毛方法。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラアミノフェノール又はその塩、及びパラニトロオルトフェニレンジアミン又はその塩から選ばれる1種又は2種以上、
酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテル、並びに
水が配合された染毛用組成物。
【請求項2】
前記酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルとして、少なくとも、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルが配合された、請求項1に記載の染毛用組成物。
【請求項3】
前記酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルとして、少なくとも、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルが配合された、請求項1又は請求項2に記載の染毛用組成物。
【請求項4】
前記酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルとして、少なくとも、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンセチルエーテル、及び酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンステアリルエーテルから選ばれる1種又は2種以上が配合された、請求項3に記載の染毛用組成物。
【請求項5】
パラアミノフェノール又はその塩、及びパラニトロオルトフェニレンジアミン又はその塩の合計配合量に対する酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルの配合量の質量比が0.01以上である、請求項1又は請求項2に記載の染毛用組成物。
【請求項6】
前記染毛用組成物が酸化染毛剤第1剤である、請求項1又は2に記載の染毛用組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の染毛用組成物と、酸化剤が配合された酸化染毛剤第2剤と、を備える酸化染毛剤。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の染毛用組成物を用いた染毛方法。
【請求項9】
請求項7に記載の酸化染毛剤を用いた染毛方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛用組成物、酸化染毛剤、及び染毛方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪の染毛を行う目的で、種々の染毛用組成物が提供されている。
【0003】
上記染毛用組成物の例として、特許文献1には、セラミド類および/またはステロールエステル類、レシチンあるいはレシチン誘導体、およびシリコーン類を配合したことを特徴とする酸化染毛剤により、仕上がりの毛髪が硬く手触りが悪い等の問題を解決できる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2009/113562号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
染毛用組成物には、所望の色味に毛髪を染毛するために、酸化染料、直接染料などの染料が配合されている。また、染料が配合された染毛用組成物には、染料の溶媒や分散媒として、水が配合されていることが多い。
【0006】
しかしながら、水が配合された染毛用組成物に対して、水への溶解度が比較的低い染料であるパラアミノフェノール若しくはその塩、又は、パラニトロオルトフェニレンジアミン若しくはその塩が配合された場合、該染毛用組成物の低温での保管や常温での長期保管に伴って、組成物中にパラアミノフェノール若しくはその塩、又は、パラニトロオルトフェニレンジアミン若しくはその塩の析出を生じることがあった。また、上記析出が生じた染毛用組成物を用いて染毛すると、所望する色味への染色が十分にできないことがあった。
【0007】
そのため、パラアミノフェノール若しくはその塩、又は、パラニトロオルトフェニレンジアミン若しくはその塩と、水が配合された染毛用組成物において、パラアミノフェノール若しくはその塩、又は、パラニトロオルトフェニレンジアミン若しくはその塩の析出を抑制することが求められている。
【0008】
本発明は、パラアミノフェノール若しくはその塩、又は、パラニトロオルトフェニレンジアミン若しくはその塩の析出が抑制可能な染毛用組成物の提供、該染毛用組成物を用いた酸化染毛剤の提供、及び該染毛用組成物を用いた染毛方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的に基づいて鋭意検討したところ、パラアミノフェノール又はその塩、及びパラニトロオルトフェニレンジアミン又はその塩から選ばれる1種又は2種以上と、水とが配合された染毛用組成物に対して、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルをさらに配合することにより、パラアミノフェノール若しくはその塩、又は、パラニトロオルトフェニレンジアミン若しくはその塩の析出を抑制可能な染毛用組成物が提供できることを見出した。
また、上記で見出した染毛用組成物を用いた酸化染毛剤、及び該染毛用組成物を用いた染毛方法がそれぞれ提供できることを見出した。
【0010】
本発明は、以下の発明を含む。
【0011】
[1]の染毛用組成物は、パラアミノフェノール又はその塩、及びパラニトロオルトフェニレンジアミン又はその塩から選ばれる1種又は2種以上、
酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテル、並びに、
水が配合されたものである。
【0012】
[2]の染毛用組成物は、[1]の染毛用組成物であって、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルとして、少なくとも、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルが配合されたものである。
【0013】
[3]の染毛用組成物は、[1]又は[2]の染毛用組成物であって、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルとして、少なくとも、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルが配合されたものである。
【0014】
[4]の染毛用組成物は、[3]の染毛用組成物であって、前記酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルとして、少なくとも、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンセチルエーテル、及び酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンステアリルエーテルから選ばれる1種又は2種以上が配合されたものである。
【0015】
[5]の染毛用組成物は、[1]~[4]の染毛用組成物から選ばれるいずれか1つの染毛用組成物であって、パラアミノフェノール又はその塩、及びパラニトロオルトフェニレンジアミン又はその塩の合計配合量に対する酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルの配合量の質量比が0.01以上である。
【0016】
[6]の染毛用組成物は、[1]~[5]の染毛用組成物から選ばれるいずれか1つの染毛用組成物であって、該染毛用組成物が酸化染毛剤第1剤である。
【0017】
[7]の酸化染毛剤は、[6]の染毛用組成物と、酸化染毛剤第2剤と、を備えるものである。
【0018】
[8]の染毛方法は、[1]~[6]の染毛用組成物から選ばれるいずれか1つの染毛用組成物を用いた染毛方法である。
【0019】
[9]の染毛方法は、[7]の酸化染毛剤を用いた染毛方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の染毛用組成物によれば、パラアミノフェノール若しくはその塩、又は、パラニトロオルトフェニレンジアミン若しくはその塩の析出が抑制可能な染毛用組成物が提供できる。
また、本発明の酸化染毛剤によれば、本発明の染毛用組成物を用いた酸化染毛剤が提供できる。
また、本発明の染毛方法によれば、本発明の染毛用組成物を用いた染毛方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】-2℃で24時間保管後の実施例1~5、比較例1、2の染毛用組成物を収容したガラス管の底部分の拡大写真像。
図2】-2℃で24時間保管後の実施例6~10、比較例1、3の染毛用組成物を収容したガラス管の底部分の拡大写真像。
図3】-2℃で24時間保管後の実施例17~19、比較例4の染毛用組成物を収容したガラス管の底部分の拡大写真像。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態(以下、本実施形態という)に基づき、本発明を以下に説明する。
【0023】
<染毛用組成物>
本実施形態の染毛用組成物は、パラアミノフェノール又はその塩、及びパラニトロオルトフェニレンジアミン又はその塩から選ばれる1種又は2種以上と、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルと、水とが配合されたものである。
【0024】
以下の記載において、パラアミノフェノールを「PAP」と、パラアミノフェノールの塩を「PAP塩」と、パラニトロオルトフェニレンジアミンを「PNOPDA」と、パラニトロオルトフェニレンジアミンの塩を「PNOPDA塩」とそれぞれいうことがある。
また、パラアミノフェノール又はその塩、パラニトロオルトフェニレンジアミン又はその塩を総称して「PAP等」と、パラアミノフェノール又はその塩、及びパラニトロオルトフェニレンジアミン又はその塩から選ばれる1種又は2種以上を、「PAP等から選ばれる1種又は2種以上」とそれぞれいうことがある。
【0025】
また、以下の記載において、パラアミノフェノール若しくはその塩、又は、パラニトロオルトフェニレンジアミン若しくはその塩の析出を「PAP等の析出」ということがある。なお、「PAP等の析出」とは、染毛用組成物の低温での保管又は常温での長期保管に伴って、組成物中に生じるPAP等の析出をいう。なお、前記低温での保管とは、例えば、-2℃以下の温度で、1日乃至3か月の期間内での保管であり、前記常温での長期保管とは、例えば、常温で1カ月乃至3年の期間内での保管である。
また、「PAP等の析出抑制」とは、染毛用組成物において、低温での保管又は常温での長期保管に伴うPAP等の析出が低減していることを指す。なお、PAP等の析出が最も抑制されている場合は、染毛用組成物において、低温での保管又は常温での長期保管に伴うPAP等の析出が生じない状態である。
【0026】
本実施形態の染毛用組成物は、PAP等から選ばれる1種又は2種以上と水とが配合された場合であっても、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルの配合により、PAP等の析出を抑制できる。
【0027】
(PAP等)
本実施形態の染毛用組成物は、PAP等から選ばれる1種又は2種以上が配合されたものである。本実施形態の染毛用組成物にPAP等から選ばれる1種又は2種以上が配合されことにより、毛髪を染毛できる。
【0028】
本実施形態の染毛用組成物に配合されるPAP等の合計配合量は、適宜設定すればよいが、例えば、0.01質量%以上3質量%以下である。
なお、前記PAP等の合計配合量とは、本実施形態の染毛用組成物において、PAPの配合量と、PNOPDAの配合量と、PAP塩及びPNOPDA塩が配合された場合はそれらから塩を除いたPAP、PNOPDAの各配合量との合計量を意味する。例えば、本実施形態の染毛用組成物において、PAP等から選ばれる1種又は2種以上として、1質量%の硫酸パラアミノフェノール((CNO)・HSO)と、0.1質量%のパラニトロオルトフェニレンジアミンとが配合された場合、PAP等から選ばれる1種又は2種以上の合計配合量としては、1×(109.13×2(2分子分のパラアミノフェノールの分子量)/316.33(硫酸パラアミノフェノールの分子量))+0.1の計算式によって、0.79質量%と算出できる。
【0029】
(PAP又はPAP塩)
本実施形態の染毛用組成物は、パラアミノフェノール又はその塩、及びパラニトロオルトフェニレンジアミン又はその塩から選ばれる1種又は2種以上として、PAP又はPAP塩が配合されたものである。PAP又はPAP塩は、酸化染料である。
本実施形態の染毛用組成物は、染毛用組成物に配合される染料がPAP又はPAP塩のみである場合には、褐色の色味に毛髪を染毛でき、PAP又はPAP塩と、PAP又はPAP塩以外の染料とが組み合わされて配合される場合には、その染料の組み合わせに応じて様々な色味に毛髪を染毛できる。
【0030】
本実施形態の染毛用組成物に配合されるPAP又はPAP塩としては、例えば、パラアミノフェノール、硫酸パラアミノフェノール、塩酸パラアミノフェノールなどが挙げられる。
【0031】
本実施形態の染毛用組成物において、PAP又はPAP塩の合計配合量(PAPが配合された場合はその配合量と、PAP塩が配合された場合は、塩を除いたPAPの配合量との合計配合量を意味する。以下同じ。)は、適宜設定することができる。
本実施形態の染毛用組成物におけるPAP又はPAP塩の合計配合量の下限としては、例えば、0.01質量%以上であるが、濃染性を向上する観点から、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の染毛用組成物におけるPAP又はPAP塩の合計配合量の上限としては、例えば、3質量%以下である。
【0032】
なお、「濃染性」とは、染毛用組成物を用いて染毛した際において、染毛後の毛髪に対する染色の濃さをいう(以下の記載において同様の意味で用いる)。
【0033】
(PNOPDA又はPNOPDA塩)
本実施形態の染毛用組成物は、パラアミノフェノール又はその塩、及びパラニトロオルトフェニレンジアミン又はその塩から選ばれる1種又は2種以上として、PNOPDA又はPNOPDA塩が配合されたものである。PNOPDA又はPNOPDA塩は直接染料である。本実施形態の染毛用組成物は、PNOPDA又はPNOPDA塩の配合により、橙色を含む色味に毛髪を染毛できる。
【0034】
本実施形態の染毛用組成物に配合されるPNOPDA又はPNOPDA塩としては、例えば、パラニトロオルトフェニレンジアミン、硫酸パラニトロオルトフェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0035】
本実施形態の染毛用組成物において、PNOPDA又はPNOPDA塩の合計配合量(PNOPDAが配合された場合はその配合量と、PNOPDA塩が配合された場合は、塩を除いたPNOPDAの配合量との合計配合量を意味する。以下同じ。)は、適宜設定することができる。
本実施形態の染毛用組成物におけるPNOPDA又はPNOPDA塩の合計配合量の下限としては、例えば、0.01質量%以上であるが、濃染性を向上する観点から、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の染毛用組成物におけるPNOPDA又はPNOPDA塩の合計配合量の上限としては、例えば、3質量%以下である。
【0036】
(酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテル)
本実施形態の染毛用組成物は、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルが1種又は2種以上配合されたものである。本実施形態の染毛用組成物は、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルとして、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルのみが配合されたものでもよく、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキレンエーテルのみが配合されたものでもよく、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルと酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキレンエーテルの両方が配合されたものでもよい。
本実施形態の染毛用組成物において、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルの配合により、PAP等の析出を抑制できる。
【0037】
本実施形態の染毛用組成物は、濃染性を向上する観点から、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルとして、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルが配合されたものが好ましい。
【0038】
本実施形態の染毛用組成物に配合される酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、下記式(1)で表されるものを用いることができる。
-(OCHCH-OH (1)
(上記式(1)中、Rは、炭素数が12以上24以下であり、直鎖状又は分岐鎖状の飽和の炭化水素基である。また、nは、酸化エチレンの平均付加モル数を意味し、40以上である。)
【0039】
本実施形態の染毛用組成物に配合される酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンラウリルエーテル、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンミリスチルエーテル、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンセチルエーテル、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンステアリルエーテル、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンセトステアリルエーテル、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンベヘニルエーテル、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテルなどが挙げられる。
【0040】
上記酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(40E.O.)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(50E.O.)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(100E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(45E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(40E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(50E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(80E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(100E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(200E.O.)、ポリオキシエチレンセトステリルエーテル(40E.O.)、ポリオキシエチレンセトステリルエーテル(50E.O.)、ポリオキシエチレンセトステアリルエーテル(100E.O.)などが挙げられる。
なお、上記に例示した成分名のうち、カッコ内のE.O.は酸化エチレンの略であり、E.O.の前の数字は、酸化エチレンの平均付加モル数を意味する(以下、E.O.とE.O.の前の数字の表記は、同様の意味で用いる)。
【0041】
本実施形態の染毛用組成物に配合される酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキレンエーテルとしては、例えば、下記式(2)で表されるものを用いることができる。
-(OCHCH-OH (2)
(上記式(2)中、Rは、炭素数12以上24以下であり、直鎖状の不飽和の炭化水素基である。また、mは、平均付加モル数を意味し、40以上である。)
【0042】
本実施形態の染毛用組成物に配合される酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキレンエーテルとしては、例えば、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンオレイルエーテルなどが挙げられる。
【0043】
上記酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキレンエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(40E.O.)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(44E.O.)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(45E.O.)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(50E.O.)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(82E.O.)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(100E.O.)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(106E.O.)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(110E.O.)などが挙げられる。
【0044】
本実施形態の染毛用組成物に配合される酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルにおける酸化エチレンの平均付加モル数の下限としては、PAP等の析出がより抑制可能となる観点から、100以上が好ましく、130以上がより好ましく、150以上がさらに好ましい。また、本実施形態の染毛用組成物に配合される酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルとして、濃染性をより向上する観点から、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルが配合されたものが好ましく、酸化エチレンの平均付加モル数が150以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルが配合されたものがより好ましい。
【0045】
本実施形態の染毛用組成物は、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、例えば、少なくとも、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンセチルエーテル、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンステアリルエーテル、又は酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンオレイルエーテルから選ばれる1種又は2種以上が配合されたものである。なお、本実施形態の染毛用組成物は、濃染性をより向上する観点から、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、少なくとも、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンセチルエーテル、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンステアリルエーテルから選ばれる1種又は2種以上が配合されたものであると好ましい。
【0046】
本実施形態の染毛用組成物に配合される酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルにおける酸化エチレンの平均付加モル数の上限としては、例えば、300以下としてもよく、200以下としてもよい。
【0047】
本実施形態の染毛用組成物における酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルの配合量は、適宜設定することができる。
本実施形態の染毛用組成物における酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルの配合量の下限としては、例えば、0.01質量%以上であるが、PAP等の析出がより抑制可能となる観点から、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、0.5質量%以上がさらにより好ましく、0.8質量%以上が特により好ましい。
また、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルの配合量の上限としては、例えば、10質量%以下であるが、濃染性をより向上する観点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
【0048】
([酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルの配合量/PAP等の合計配合量]比)
本実施形態の染毛用組成物におけるPAP等の合計配合量に対する酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルの配合量の質量比([酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルの配合量/PAP等の合計配合量]比)は、特に限定されないが、例えば、下限が0.01以上であり、上限が100以下である。
【0049】
本実施形態の染毛用組成物における[酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルの配合量/PAP等の合計配合量]比の上限としては、濃染性をより向上する観点から、15以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましい、5以下がよりさらに好ましい。
また、本実施形態の染毛用組成物における[酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルの配合量/PAP等の合計配合量]比の下限としては、濃染性をより向上する観点から、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましく、1以上がよりさらに好ましい。
【0050】
(水)
本実施形態の染毛用組成物は、水が配合されたものである。水は、本実施形態の染毛用組成物において、PAP等、及び、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルの溶媒である。
【0051】
本実施形態の染毛用組成物における水の配合量は、特に限定されず、適宜設定することができる。
【0052】
本実施形態の染毛用組成物における水の配合量の下限としては、例えば、50質量%以上であるが、染毛用組成物が毛髪に塗布しやすくなる観点から、60質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の染毛用組成物における水の配合量の上限としては、例えば、95質量%以下である。
【0053】
(染毛用組成物の任意成分)
本実施形態の染毛用組成物は、上述したPAP等、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテル、及び水以外の成分(「染毛用組成物の任意成分」という)が適宜配合されたものとしてよい。
【0054】
本実施形態の染毛用組成物に配合できる染毛用組成物の任意成分としては、例えば、アルカリ剤、キレート剤、酸化防止剤、PAP等以外の染料、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤(但し、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルを除く)、両性界面活性剤、高級アルコール、1価の低級アルコール、多価アルコール、液状油、シリコーン、固形の高級脂肪酸、合成高分子化合物、半合成高分子化合物、天然高分子化合物、蛋白、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、酸などである。
【0055】
(アルカリ剤)
本実施形態の染毛用組成物は、例えば、1種又は2種以上のアルカリ剤が配合されたものであってもよい。前記アルカリ剤は、本実施形態の染毛用組成物を染毛に用いた際に、毛髪を膨潤させてPAP等やPAP等以外の染料の毛髪内への浸透性を高めることにより、染色性を向上させる。
【0056】
本実施形態の染毛用組成物に配合されるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミンなど)、金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、金属リン酸塩(例えば、リン酸ナトリウムなど)、アンモニウム塩(例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウムなど)などが挙げられる。
【0057】
本実施形態の染毛用組成物に配合されるアルカリ剤の配合量の下限は、特に限定されないが、濃染性をより向上する観点から、0.5質量%以上が好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の染毛用組成物に配合されるアルカリ剤の配合量の上限は、特に限定されないが、毛髪損傷が生じるおそれを低減する観点から、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。
【0058】
(キレート剤)
本実施形態の染毛用組成物は、例えば、1種又は2種以上のキレート剤が配合されたものであってもよい。前記キレート剤としては、例えば、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸又はその塩(例えば、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウムなど)、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩などが挙げられる。本実施形態の染毛用組成物におけるキレート剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.01質量%以上3質量%以下である。
【0059】
(酸化防止剤)
本実施形態の染毛用組成物は、例えば、1種又は2種以上の酸化防止剤が配合されたものであってもよい。前記酸化防止剤としては、例えば、アスコルビン酸又はその塩、亜硫酸又はその塩などが挙げられる。本実施形態の染毛用組成物における酸化防止剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.01質量%以上1質量%以下である。
【0060】
(PAP等以外の染料)
本実施形態の染毛用組成物は、PAP等以外の染料が配合されたものであってもよい。
本実施形態の染毛用組成物におけるPAP等以外の染料の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.01質量%以上3質量%以下である。
【0061】
(その他の酸化染料)
本実施形態の染毛用組成物は、PAP等以外の染料として、1種又は2種以上のPAP又はPAP塩以外の酸化染料(以下、「その他の酸化染料」ということがある)が配合されたものであってもよい。その他の酸化染料としては、PAP又はPAP塩以外の染料中間体、カプラーが挙げられる。
【0062】
上記PAP又はPAP塩以外の染料中間体としては、例えば、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール又はその塩(例えば、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール、硫酸2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノールなど)、トルエン-2,5-ジアミン又はその塩(例えば、トルエン-2,5-ジアミン、塩酸トルエン-2,5-ジアミン、硫酸トルエン-2,5-ジアミンなど)、パラフェニレンジアミン又はその塩(例えば、パラフェニレンジアミン、塩酸パラフェニレンジアミン、硫酸パラフェニレンジアミンなど)、パラメチルアミノフェノール又はその塩(例えば、パラメチルアミノフェノール、硫酸パラメチルアミノフェノールなど)、硫酸オルトクロルパラフェニレンジアミン、オルトアミノフェノール、1-ヒドロキシエチル-4,5-ジアミノピラゾール又はその塩(例えば、1-ヒドロキシエチル-4,5-ジアミノピラゾール硫酸塩など)などが挙げられる。
【0063】
上記カプラーとしては、例えば、レゾルシン、2-メチルレゾルシン、4-クロロレゾルシン、2-クロロレゾルシン、5-アミノオルトクレゾール又はその塩(5-アミノオルトクレゾール、硫酸5-アミノオルトクレゾールなど)、メタアミノフェノール又はその塩(例えば、メタアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノールなど)、2,4-ジアミノフェノキシエタノール又はその塩(例えば、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノールなど)、2,6-ジアミノピリジン、オルトアミノフェノール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、α―ナフトールなどが挙げられる。
【0064】
本実施形態の染毛用組成物におけるその他の酸化染料の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.01質量%以上3質量%以下である。
【0065】
本実施形態の染毛用組成物は、その他の酸化染料として、PAP又はPAP塩以外の染料中間体が配合される場合、その配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.01質量%以上10質量%以下である。
【0066】
本実施形態の染毛用組成物は、酸化染料として、カプラーが配合される場合、その配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.01質量%以上3質量%以下である。
【0067】
(直接染料)
本実施形態の染毛用組成物は、PAP等以外の染料として、PNOPDA又はPNOPDA塩以外の直接染料が配合されたものであってもよい。前記PNOPDA又はPNOPDA塩以外の直接染料としては、酸性染料、塩基性染料、ニトロ染料、分散染料、天然染料などが挙げられる。本実施形態の染毛用組成物におけるPNOPDA又はPNOPDA塩以外の直接染料の配合量は、特に限定されないが、例えば、0.01質量%以上5質量%以下である。
【0068】
前記酸性染料としては、例えば、赤色106号、赤色227号、橙色205号、酸性橙3、紫色401号、黒色401号、黄色5号、黄色203号、黄色403号の(1)、青色1号、酸性青3、緑色201号、緑色401号などが挙げられる。
【0069】
前記塩基性染料としては、例えば、塩基性黄40、塩基性黄87、塩基性紫1、塩基性紫2、塩基性紫3、塩基性紫4、塩基性紫14、塩基性紫16、塩基性青3、塩基性青7、塩基性青9、塩基性青26、塩基性青75、塩基性青99、塩基性青124、塩基性赤2、塩基性赤22、塩基性赤46、塩基性赤51、塩基性赤76、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性緑1、塩基性緑4、塩基性橙31などが挙げられる。
【0070】
前記ニトロ染料は、分子内にニトロ基を有する直接染料(前記酸性染料及び前記塩基性染料に該当するものを除く)であり、例えば、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC黄9、HC黄11、HC黄13、HC紫1、HC紫2、HC青2、HC青12、HC赤1、HC赤3、HC赤7、HC赤10、HC赤11、HC赤13、HC橙1、HC橙2、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、2-ニトロ-5-グリセリルメチルアニリン、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、3-メチルアミノ-4-ニトロフェノキシエタノールなどが挙げられる。
【0071】
前記分散染料としては、例えば、分散青1、分散青3、分散黒9、分散紫1などが挙げられる。
【0072】
前記天然染料としては、例えば、スオウ色素、アカミノキ色素、キハダ色素、クチナシ黄色素、ベニコウジ色素、コチニール色素、ウコン色素などが挙げられる。
【0073】
(カチオン界面活性剤)
本実施形態の染毛用組成物は、例えば、1種又は2種以上のカチオン界面活性剤が配合されたものであってもよい。前記カチオン界面活性剤は、例えば、炭素数8以上24以下の炭化水素基を有するカチオン界面活性剤を用いることができる。前記カチオン界面活性剤としては、例えば、長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムなど)、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、トリ長鎖アルキルモノメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩などが挙げられる。本実施形態の染毛用組成物におけるカチオン界面活性剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0074】
(アニオン界面活性剤)
本実施形態の染毛用組成物は、例えば、1種又は2種以上のアニオン界面活性剤が配合されたものであってもよい。前記カチオン界面活性剤は、例えば、炭素数8以上24以下の炭化水素基を有するアニオン界面活性剤を用いることができる。前記アニオン界面活性剤としては、例えば、リン酸エステル(例えば、リン酸ジセチルなど)、ポリオキシエチレンエーテルリン酸(例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸(10E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸(20E.O.)など)などが挙げられる。本実施形態の染毛用組成物におけるアニオン界面活性剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0075】
(ノニオン界面活性剤)
本実施形態の染毛用組成物は、例えば、1種又は2種以上のノニオン界面活性剤(但し、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルを除く)が配合されたものであってもよい。前記ノニオン界面活性剤は、例えば、炭素数8以上24以下の炭化水素基を有するノニオン界面活性剤を用いることができる。前記ノニオン界面活性剤としては、例えば、酸化エチレンの平均付加モル数が40未満のポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル(15E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.)など)、酸化エチレンの平均付加モル数が40未満のポリオキシエチレンアルキレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.O.)など)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキレンエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキレンエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、植物油から得られたモノグリセリド及びジグリセリドのポリエチレングリコール誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。
本実施形態の染毛用組成物におけるノニオン界面活性剤(但し、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルを除く)の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0076】
(高級アルコール)
本実施形態の染毛用組成物は、例えば、1種又は2種以上の高級アルコールが配合されたものであってもよい。前記高級アルコールとしては、例えば、炭素数12以上24以下の1価アルコールを用いることができる。前記高級アルコールとしては、例えば、飽和又は不飽和の直鎖状の高級アルコール(例えば、ミリスチルアルコール、セタノール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなど)、分岐鎖状の高級アルコール(例えばイソセチルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコールなど)が挙げられる。
【0077】
本実施形態の染毛用組成物における高級アルコールの配合量の下限としては、例えば、0.01質量%以上であるが、染毛用組成物の粘度を高める観点から、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の染毛用組成物における高級アルコールの配合量の上限としては、例えば、15質量%以下であるが、染毛用組成物が毛髪に塗布しやすくなる観点から、10質量%以下が好ましい。
【0078】
(多価アルコール)
本実施形態の染毛用組成物は、例えば、1種又は2種以上の多価アルコールが配合されたものであってもよい。前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンチレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン-3、イソペンチルジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、トリプロピレングリコール、酸化エチレンの平均重合度が3以上のポリエチレングリコール、ソルビトールなどが挙げられる。本実施形態の染毛用組成物における多価アルコールの配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0079】
(液状油)
本実施形態の染毛用組成物は、例えば、1種又は2種以上の液状油(但し、高級アルコールに該当するものを除く)が配合されたものであってもよい。本実施形態の染毛用組成物に液状油が配合されることにより、染毛の際に毛髪への塗り広げやすさをより向上させることができる。
ここで、液状油とは、25℃で静置後、傾けた際に流動性を示す油である。前記液状油としては、例えば、融点20℃以下の液状油を用いることができる。
【0080】
本実施形態の染毛用組成物に配合される液状油としては、例えば、液状の炭化水素、エステル油、液状油脂、液状のロウ、液状の脂肪酸、シリコーン油などが挙げられる。
【0081】
前記液状の炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、イソドデカン、水添ポリイソブテン、イソヘキサデカン、ドデカン、ウンデカン、トリデカン、テトラデカン、(C9-12)アルカン、(C9-12)アルカン、(C10-13)アルカン、(C13,14)アルカン、(C13-15)アルカン、スクワラン、水添ファルネセン、ポリブテン(但し、液状油に該当するものに限る)などが挙げられる。
【0082】
前記エステル油としては、化学構造中に含まれる炭素原子の合計数が、12以上60以下のものを用いることでき、例えば、直鎖又は分岐脂肪酸と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステル(例えば、エチルヘキサン酸セチルなど)、直鎖又は分岐脂肪酸と多価のアルコールとのエステル(例えば、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリルなど)、1価の直鎖又は分岐アルコールと1価又は多価のカルボン酸とのエステル(例えば、クエン酸トリエチルなど)、ヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐脂肪酸と直鎖又は分岐脂肪酸とのエステル化合物と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステル(例えば、12-ステアロイルステアリン酸オクチルドデシルなど)が挙げられる。
【0083】
前記液状油脂としては、例えば、コメヌカ油、オリーブ油などが挙げられる。
【0084】
前記液状のロウとしては、例えば、ホホバ油、オレンジラフィー油などが挙げられる。
【0085】
前記液状のシリコーン油としては、例えば、ジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン、アミノエチルアミノプロピルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコンなどが挙げられる。
【0086】
前記液状の高級脂肪酸としては、炭素数8以上22以下のものを用いることができ、例えば、オレイン酸、イソステアリン酸などが挙げられる。
【0087】
本実施形態の染毛用組成物における液状油の配合量は、特に限定されず、適宜設定することができる。
本実施形態の染毛用組成物における液状油の配合量の下限としては、例えば、1質量%以上であるが、毛髪に塗布する際の塗り広げやすさを向上させる観点から、3質量%以上が好ましく、3.5質量%以上がより好ましい。
また、本実施形態の染毛用組成物における液状油の配合量の上限としては、例えば、10質量%以下である。
【0088】
(固形の高級脂肪酸)
本実施形態の染毛用組成物は、固形の高級脂肪酸が配合されたものであってよく、配合されないものであってもよい。なお、本実施形態の染毛用組成物は、毛髪に塗布する際の塗り広げやすさを向上させる観点から、固形の高級脂肪酸が配合されないものであるか、又は、固形の高級脂肪酸の配合量が0.3質量%以下であることが好ましい。
前記固形の高級脂肪酸は、融点40℃以上の固形の高級脂肪酸を意味する。固形の高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
【0089】
本実施形態の染毛用組成物は、固形の高級脂肪酸を配合する場合、その配合量の上限が、毛髪に組成物を塗布した際の伸びにくさを低減する観点から、0.3質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
また、本実施形態の染毛用組成物は、固形の高級脂肪酸を配合する場合、その配合量の下限が、例えば、0.01質量%以上である。
【0090】
(粘度)
本実施形態の染毛用組成物における粘度は、適宜設定されるものであるが、例えば、10mPa・s以上100000mPa・s以下である。ここで、本実施形態の染毛用組成物の粘度は、B型粘度計において粘度に応じて選定したローターを使用して25℃で計測した60秒後の値を採用する。測定する際のローター回転速度は、例えば、6rpm、12rpm、30rpm、又は60rpmとしてもよい。
なお、本実施形態の染毛用組成物の剤型をクリーム状とする場合、その粘度としては、例えば、10000mPa・s以上50000mPa・s以下としてもよく、15000mPa・s以上50000mPa・s以下としてもよい。
【0091】
(pH)
本実施形態の染毛用組成物におけるpHは、適宜設定すればよく、例えば、pH2以上13以下である。なお、pHは25℃における測定値が採用される。
【0092】
本実施形態の染毛用組成物を酸化染毛剤第1剤として用いる場合のpHとしては、例えば、8以上13以下である。
また、本実施形態の染毛用組成物を1剤式の染毛料として用いる場合のpHとしては、例えば、2以上6以下である。
【0093】
(アルカリ度)
本実施形態の染毛用組成物は、該染毛用組成物を酸化染毛剤第1剤として用いる場合、アルカリ度としては、適宜設定すればよいが、例えば、0.1以上20.0以下である。ここで「アルカリ度」とは、1gの染毛用組成物を中和するために必要な0.1mol/L塩酸の容量である(アルカリ度の単位:ml)。なお、アルカリ度は、アルカリ剤又は酸の配合により調整できる。
【0094】
(剤型)
本実施形態の染毛用組成物の剤型は、適宜設定すればよく、例えば、クリーム状、液状などが挙げられる。
【0095】
なお、本実施形態の染毛用組成物は、剤型がクリーム状であれば、毛髪への塗布が容易となる。本実施形態の染毛用組成物は、例えば、上述したカチオン界面活性剤及び高級アルコールが配合されたものとすることにより、クリーム状の剤型としてもよい。
【0096】
本実施形態の染毛用組成物の形態は、例えば、乳化物(例えば、水中油型乳化物、油中水型乳化物)、可溶化物である。
【0097】
(用途)
本実施形態の染毛用組成物は、染毛に用いられるものである。この染毛としては、例えば、PAP若しくはPAP塩を含む酸化染料による酸化染毛、PNOPDA又はPNOPDA塩を含む直接染料による染毛、又は、その両方による染毛が挙げられる。
【0098】
本実施形態の染毛用組成物は、例えば、複数剤式(例えば、2剤式、3剤式など)の酸化染毛剤における酸化染毛剤第1剤、1剤式の染毛料(例えば、ヘアカラートリートメント、ヘアマニュキュア、ヘアシャンプーなど)、複数剤式の染毛料の一構成剤などに用いることができる。ここで、前記酸化染毛剤第1剤とは、後述する酸化剤が配合された酸化染毛剤第2剤と混合して染毛に用いられるための、酸化染料が配合された剤である。
【0099】
本実施形態の染毛用組成物は、例えば、褐色を含む色味に毛髪を染毛するための染毛用組成物であってもよい。
【0100】
(使用方法)
本実施形態の染毛用組成物は、染毛用組成物における公知の使用方法を用いることができる。
【0101】
本実施形態の染毛用組成物の使用方法の例としては、本実施形態の染毛用組成物が、2剤式の酸化染毛剤における酸化染毛剤第1剤であった場合、本実施形態の染毛用組成物と後述する酸化染毛剤第2剤とを混合して得られた酸化染毛剤を毛髪に塗布して、一定時間(例えば、15分以上30分以下)を経過させた後に酸化染毛剤を洗い流して、染毛する使用方法である。酸化染毛剤第1剤と酸化染毛剤第2剤の混合比率としては、重量比(酸化染毛剤第1剤:酸化染毛剤第2剤)として、1:1乃至3である。
また、3剤式以上の複数剤の酸化染毛剤における酸化染毛剤第1剤であった場合、本実施形態の染毛用組成物と後述する酸化染毛剤第2剤とその他の1又は2以上の剤とを混合して得られた酸化染毛剤を毛髪に塗布して、一定時間(例えば、15分以上30分以下)を経過させた後に酸化染毛剤を洗い流して、染毛する方法である。酸化染毛剤第1剤と酸化染毛剤第2剤とその他の剤との混合比率としては、重量比(酸化染毛剤第1剤:酸化染毛剤第2剤:その他の剤)として、1:1乃至3:0.1乃至2である。
なお、本実施形態の染毛用組成物を酸化染毛剤第1剤として用いる場合には、PAP等から選ばれる1種又は2種以上として、PAP又はPAP塩が配合されたものであれば、毛髪を酸化染毛できる。
【0102】
本実施形態の染毛用組成物における使用方法のうち、別の例としては、本実施形態の染毛用組成物が、1剤式の染毛料であった場合、本実施形態の染毛用組成物を毛髪に塗布して、一定時間(例えば、15分以上30分以下)を経過した後に染毛用組成物を洗い流して、毛髪を染毛する方法である。
なお、本実施形態の染毛用組成物を1剤式の染毛料として用いる場合には、例えば、PAP等から選ばれる1種又は2種以上として、PNOPDA又はPNOPDA塩が配合されたものとすることで、毛髪を直接染料により染毛できる。
【0103】
本実施形態の染毛用組成物による染毛の対象毛髪は、特に限定されない。例えば、明度の高い毛髪(例えば、ブリーチ毛、白髪など)、や既に酸化染毛剤で染毛処理されたヘアカラー毛髪に用いることができる。
【0104】
(製造方法)
本実施形態の染毛用組成物は、剤型に応じた公知の染毛用組成物の製法を採用して製造できる。製造方法の一例としては、PAP等から選ばれる1種又は2種以上と、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルを、常法により水と混合して製造する方法が挙げられる。
【0105】
<酸化染毛剤>
本実施形態の酸化染毛剤は、酸化染毛剤第1剤である本実施形態の染毛用組成物と、酸化剤が配合された酸化染毛剤第2剤と、を備えたものである。本実施形態の酸化染毛剤は、PAP等の析出を抑制可能な染毛用組成物を酸化染毛剤第1剤として用いたものであるから、PAP等の析出を抑制可能な染毛用組成物を用いた酸化染毛剤が実現できる。
【0106】
本実施形態の酸化染毛剤は、酸化染毛剤第1剤として用いられる本実施形態の染毛用組成物と、後述する酸化染毛剤第2剤とを混合することによって得られた混合物(酸化染毛剤)を毛髪に塗布して、一定時間(例えば、15分以上30分以下)を経過した後に該混合物を洗い流して、毛髪を染毛するものである。
【0107】
本実施形態の酸化染毛剤は、酸化染毛剤第1剤として用いられる本実施形態の染毛用組成物が、PAP等から選ばれる1種又は2種以上として、少なくとも、PAP又はPAP塩が配合されたものである。酸化染毛剤第1剤として用いられる本実施形態の染毛用組成物は、上述したその他の酸化染料がさらに配合されたものであってもよい。
【0108】
(酸化染毛剤第2剤)
本実施形態の酸化染毛剤に係る酸化染毛剤第2剤(以下、本実施形態の第2剤という)は、酸化剤が1種又は2種以上配合されたものである。
本実施形態の第2剤は、酸化染毛剤第1剤として用いられる本実施形態の染毛用組成物と混合し、酸化染毛剤を得るために用いられる。前記酸化剤は、酸化染毛剤第1剤として用いられる本実施形態の染毛用組成物に配合された酸化染料の酸化重合を促進し、染色性を向上させる。
【0109】
本実施形態の第2剤に配合される酸化剤としては、例えば、過酸化水素、臭素酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩などが挙げられる。
【0110】
本実施形態の第2剤に配合される酸化剤の配合量は、特に限定されず、適宜設定できる。本実施形態の第2剤に配合される酸化剤の配合量としては、例えば、0.1質量%以上15質量%以下である。
【0111】
本実施形態の第2剤に配合される酸化剤の配合量の下限は、酸化染毛剤の濃染性をより向上する観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の第2剤に配合される酸化剤の配合量の上限は、毛髪損傷が生じるおそれを低減する観点から、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましい。
【0112】
(第2剤の任意成分)
本実施形態の第2剤は、上述した酸化剤以外の成分(「第2剤の任意成分」という)が、適宜配合されたものとしてよい。
【0113】
前記第2剤の任意成分としては、例えば、水、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、高級アルコール、1価の低級アルコール、多価アルコール、炭化水素、ロウ、エステル油、シリコーン、合成高分子化合物、半合成高分子化合物、天然高分子化合物、蛋白、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、酸、アルカリ剤、キレート剤、酸化防止剤などである。
【0114】
(水)
本実施形態の第2剤は、例えば、水が配合されたものであってもよい。本実施形態の第2剤に配合される水の配合量は適宜設定することができる。
本実施形態の第2剤における水の配合量の下限としては、例えば、50質量%以上であるが、酸化染毛剤が毛髪に塗布しやすくなる観点から、60質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。また、本実施形態の第2剤における水の配合量の上限としては、例えば、95質量%以下である。
【0115】
(ノニオン界面活性剤)
本実施形態の第2剤は、例えば、1種又は2種以上のノニオン界面活性剤が配合されたものであってもよい。前記ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテルなど)、ポリオキシエチレンアルキレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなど)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキレンエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキレンエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、植物油から得られたモノグリセリド及びジグリセリドのポリエチレングリコール誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。なお、上述したポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンエーテルは、例えば、酸化エチレンの平均付加モル数が2以上300以下であり、アルキル基又はアルキレン基の炭素数が8以上24以下である。本実施形態の第2剤におけるノニオン界面活性剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.01質量%以上15質量%以下である。
【0116】
(高級アルコール)
本実施形態の第2剤は、例えば、1種又は2種以上の高級アルコールが配合されたものであってもよい。前記高級アルコールとしては、例えば、炭素数12以上24以下の1価アルコールを用いることができる。前記高級アルコールとしては、上述した本実施形態の染毛用組成物における任意成分の高級アルコールと同様のものを用いることができる。本実施形態の第2剤における高級アルコールの配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.01質量%以上15質量%以下である。
【0117】
(キレート剤)
本実施形態の第2剤は、例えば、1種又は2種以上のキレート剤が配合されたものであってもよい。前記キレート剤としては、上述した本実施形態の染毛用組成物における任意成分のキレート剤と同様のものを用いることができる。本実施形態の第2剤におけるキレート剤の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、0.01質量%以上3質量%以下である。
【0118】
(粘度)
本実施形態の第2剤における粘度は、適宜設定されるものであるが、例えば、10mPa・s以上50000mPa・s以下である。ここで、本実施形態の第2剤の粘度は、B型粘度計において粘度に応じて選定したローターを使用して25℃で計測した60秒後の値を採用する。測定する際のローター回転速度は、例えば、6rpm、12rpm、又は30rpmとしても良い。
なお、本実施形態の染毛用組成物の剤型をクリーム状とする場合、その粘度としては、例えば、1000mPa・s以上30000mPa・s以下である。
【0119】
(pH)
本実施形態の第2剤における粘度は、適宜設定することができる。例えば、本実施形態の第2剤に酸化剤として過酸化水素が配合された場合、1以上5以下としてもよい。pHは25℃における測定値が採用される。
【0120】
(剤型)
本実施形態の第2剤の剤型は、適宜設定すればよく、例えば、クリーム状、液状などが挙げられる。
【0121】
(製造方法)
本実施形態の第2剤は、剤型に応じた公知の酸化染毛剤第2剤の製法を採用して製造できる。製造方法の一例としては、酸化剤と、例えば水などの第2剤の任意成分とを、常法により混合して製造する方法が挙げられる。
【0122】
<染毛方法>
本実施形態の染毛方法は、上述した本実施形態の染毛用組成物を用いた染毛方法である。本実施形態の染毛方法は、本実施形態の染毛用組成物を用いたものであるから、PAP等の析出を抑制可能な染毛用組成物による染毛方法が実現できる。
【0123】
本実施形態の染毛方法は、例えば、次の〔1〕、〔2〕に示す方法である。
【0124】
〔1〕酸化染毛剤第1剤として用いられる本実施形態の染毛用組成物と、上述した酸化染毛剤第2剤とを備える酸化染毛剤を用いた染毛方法。
【0125】
上記〔1〕の染毛方法は、上述した本実施形態の染毛用組成物が酸化染毛剤における酸化染毛剤第1剤であった場合の使用方法に準じて、本実施形態の染毛用組成物を用いて毛髪を染毛する方法である。
【0126】
〔2〕1剤式の染毛料である本実施形態の染毛用組成物を用いた染毛方法。
【0127】
上記〔2〕の染毛方法は、上述した本実施形態の染毛用組成物が1剤式の染毛料であった場合の使用方法に準じて、本実施形態の染毛用組成物を用いて毛髪を染毛する方法である。
【実施例0128】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0129】
(実施例1~16、比較例1~3)
実施例1~16、比較例1~3の染毛用組成物における析出抑制の評価結果を以下に示す。
【0130】
(実施例1~16、比較例1~3の染毛用組成物の製造)
パラアミノフェノール、ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(100E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(200E.O.)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(100E.O.)、ポリエチレングリコール1000、アスコルビン酸、エチレンジアミノヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩、無水亜硫酸Na、アンモニア水、精製水から選ばれる成分を用いて、表1~7の組成となるように、各種成分を常法により混合し、実施例1~16、比較例1~3の染毛用組成物を製造した。
なお、表1~7の成分名の欄の数値の単位は質量%であり、「-」は未配合であることを示す。
【0131】
(析出抑制の評価)
製造した実施例1~16、比較例1~3の染毛用組成物を用いて、析出抑制の評価を行った。
【0132】
(析出抑制の評価方法)
製造した実施例1~16、比較例1~3の染毛用組成物を、密閉ガラス管(容量約50mL)にそれぞれ50gずつ収容した。続いて、各ガラス管を-2℃の恒温機に入れて、24時間静置して保管した。24時間経過後、各ガラス管を恒温機から取り出して室温に戻した。そして、下記評価基準に従って、各ガラス管の底部分を目視観察することにより、析出抑制を評価した。この評価は、日常的に染毛組成物の評価を行っている評価者3名の合議で行った。なお、実施例1~10、17~19、比較例1~4の染毛用組成物を目視観察した際に、ガラス管の底部分を写真撮影した。
【0133】
(析出抑制の評価基準)
○ :基準に比べて、ガラス管の底部分に見られる組成中の析出物が少ない。
同等:ガラス管の底部分に見られる組成中の析出物の程度が基準と同等。
× :基準に比べて、ガラス管の底部分に見られる組成中の析出物が多い。
【0134】
(評価結果:実施例1~10、比較例1~3)
表1に実施例1~5、比較例1、2の染毛用組成物の組成と析出抑制の評価結果を示す。また、表2に実施例6~10、比較例1、3の染毛用組成物の組成と析出抑制の評価結果を示す。なお、析出抑制の評価において、表1における評価の基準は実施例1又は比較例1であり、表2における評価の基準は実施例6又は比較例1である。表1、2において、析出抑制の評価欄が斜線になっている箇所については、評価結果の記載を省略している。
【0135】
【表1】
【表2】
【0136】
表1に示す結果から、実施例1~5の染毛用組成物は、比較例1、2の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出が抑制されていた。また、表2に示す結果から、実施例6~10の染毛用組成物は、比較例1、3の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出が抑制されていた。これらの結果より、パラアミノフェノールが配合された染毛用組成物において、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルが配合されることでパラアミノフェノールの析出抑制に優れることが分かる。
【0137】
また、表1に示す結果から、実施例2~5の染毛用組成物は、実施例1の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出がより抑制されていた。また、表2に示す結果から、実施例7~10の染毛用組成物は、実施例6の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出がより抑制されていた。これらの結果より、パラアミノフェノールが配合された染毛用組成物において、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルが配合されることでパラアミノフェノールの析出抑制により優れることが分かる。
【0138】
図1図2に、析出抑制を評価した際の実施例1~10、比較例1~3の各染毛用組成物を収容した密閉ガラス管の底部分の拡大写真を示す(ガラス管の目盛りは1mm単位)。密閉ガラス管の底部分に見られる堆積物又は針状結晶様の固体物は、パラアミノフェノールの析出物である。
【0139】
図1から、実施例1~5の染毛用組成物は、比較例1、2の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出物の量が少なく、パラアミノフェノールの析出が抑制されており、実施例2~5の染毛用組成物は、実施例1の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出がより抑制されていることが分かる。また、図2から、実施例6~10の染毛用組成物は、比較例1、3の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出物の量が少なく、パラアミノフェノールの析出が抑制されており、実施例7~10の染毛用組成物は、実施例6の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出がより抑制されていることが分かる。
【0140】
(評価結果:実施例1、6、11、比較例1)
表3に実施例1、6、11、比較例1の染毛用組成物の組成と析出抑制の評価結果を示す。なお、析出抑制の評価における、基準は比較例1である。
【0141】
【表3】
【0142】
表3に示す結果から、実施例1、6、11の染毛用組成物は、比較例1の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出が抑制されていた。また、実施例1、6の染毛用組成物は、実施例11の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出がより抑制されていた。これらの結果より、パラアミノフェノールが配合された染毛用組成物において、ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.)の配合量が増加することでパラアミノフェノールの析出抑制により優れることが分かる。
【0143】
(評価結果:実施例2、7、12、13、比較例1)
表4に実施例2、7、12、13、比較例1の染毛用組成物の組成と析出抑制の評価結果を示す。なお、析出抑制における、評価の基準は、比較例1、実施例12、又は実施例2である。また、析出抑制の評価欄が斜線になっている箇所については、評価結果の記載を省略している。
【0144】
【表4】
【0145】
表4に示す結果から、実施例2、7、12、13の染毛用組成物は、比較例1の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出が抑制されていた。また、実施例2、7、13の染毛用組成物は、実施例12の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出がより抑制されていた。また、実施例13の染毛用組成物は、実施例2、7の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出がより抑制されていた。これらの結果より、パラアミノフェノールが配合された染毛用組成物において、ポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.)の配合量が増加することでパラアミノフェノールの析出抑制により優れる傾向にあることが分かる。
【0146】
(評価結果:実施例3、8、14、比較例1)
表5に実施例3、8、14、比較例1の染毛用組成物の組成と析出抑制の評価結果を示す。なお、析出抑制における、評価の基準は、比較例1、実施例14、又は実施例3である。
【0147】
【表5】
【0148】
表5に示す結果から、実施例3、8、14の染毛用組成物は、比較例1の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出が抑制されていた。また、実施例3、8の染毛用組成物は、実施例14の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出がより抑制されていた。また、実施例8の染毛用組成物は、実施例3の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出がより抑制されていた。これらの結果より、パラアミノフェノールが配合された染毛用組成物において、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(100E.O.)の配合量が増加することでパラアミノフェノールの析出抑制により優れることが分かる。
【0149】
(評価結果:実施例4、9、15、比較例1)
表6に実施例4、9、15、比較例1の染毛用組成物の組成と析出抑制の評価結果を示す。なお、析出抑制における、評価の基準は、比較例1、実施例15、又は実施例4である。また、析出抑制の評価欄が斜線になっている箇所については、評価結果の記載を省略している。
【0150】
【表6】
【0151】
表6に示す結果から、実施例4、9、15の染毛用組成物は、比較例1の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出が抑制されていた。また、実施例4、9の染毛用組成物は、実施例15の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出がより抑制されていた。また、実施例9の染毛用組成物は、実施例4の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出がより抑制されていた。これらの結果より、パラアミノフェノールが配合された染毛用組成物において、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(200E.O.)の配合量が増加することでパラアミノフェノールの析出抑制により優れることが分かる。
【0152】
(評価結果:実施例5、10、16、比較例1)
表7に実施例5、10、16、比較例1の染毛用組成物の組成と析出抑制の評価結果を示す。なお、析出抑制における、評価の基準は、比較例1、実施例16、又は実施例5である。また、析出抑制の評価欄が斜線になっている箇所については、評価結果の記載を省略している。
【0153】
【表7】
【0154】
表7に示す結果から、実施例5、10、16の染毛用組成物は、比較例1の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出が抑制されていた。また、実施例5、10の染毛用組成物は、実施例16の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出がより抑制されていた。また、実施例10の染毛用組成物は、実施例5の染毛用組成物に比べて、パラアミノフェノールの析出がより抑制されていた。これらの結果より、パラアミノフェノールが配合された染毛用組成物において、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(100E.O.)の配合量が増加することでパラアミノフェノールの析出抑制により優れることが分かる。
【0155】
(実施例17~19、比較例4)
実施例17~19、比較例4の染毛用組成物における析出抑制の評価結果を以下に示す。
【0156】
(実施例17~19、比較例4の染毛用組成物の製造)
パラニトロオルトフェニレンジアミン、ポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(100E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(200E.O.)、アスコルビン酸、エチレンジアミノヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩、無水亜硫酸Na、アンモニア水、精製水から選ばれる成分を用いて、表8の組成となるように、各種成分を常法により混合し、実施例17~19、比較例4の染毛用組成物を製造した。
なお、表8の成分名の欄の数値の単位は質量%であり、「-」は未配合であることを示す。
【0157】
(評価結果:実施例17~19、比較例4)
表8に実施例17~19、比較例4の染毛用組成物の組成と析出抑制の評価結果を示す。なお、析出抑制における、評価の基準は比較例4である。また、析出抑制の評価欄が斜線になっている箇所については、評価結果の記載を省略している。
【0158】
【表8】
【0159】
表8に示す結果から、実施例17~19の染毛用組成物は、比較例4の染毛用組成物に比べて、パラニトロオルトフェニレンジアミンの析出が抑制されていた。この結果より、パラニトロオルトフェニレンジアミンが配合された染毛用組成物において、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルが配合されることでパラニトロオルトフェニレンジアミンの析出抑制に優れることが分かる。
【0160】
図3に、析出抑制を評価した際の実施例17~19、比較例4の各染毛用組成物を収容した密閉ガラス管の底部分の拡大写真を示す。密閉ガラス管の底部分に見られる堆積物又は結晶様の固体物は、パラニトロオルトフェニレンジアミンの析出物である。なお、写真中の数字1、2は、密閉ガラス管の底部分から上方に向かってそれぞれ1cm、2cmの高さを示す目盛りである。
【0161】
図3に示す結果から、実施例17~19の染毛用組成物は、比較例4の染毛用組成物に比べて、パラニトロオルトフェニレンジアミンの析出物の量が少なく、パラニトロオルトフェニレンジアミンの析出が抑制されていることが分かる。
【0162】
(参考例1~9)
参考例1~9の染毛用組成物における濃染性の評価結果を以下に示す。
【0163】
(参考例1~9の染毛用組成物の製造)
パラアミノフェノール、5-アミノオルトクレゾール、塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール、ポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(100E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(200E.O.)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(100E.O.)、アスコルビン酸、エチレンジアミノヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩、無水亜硫酸Na、アンモニア水、精製水から選ばれる成分を用いて、表9、表10の組成となるように、各種成分を常法により混合し、参考例1~9の染毛用組成物を製造した。
なお、表9~表11の成分名の欄の数値の単位は質量%であり、「-」は未配合であることを示す。
【0164】
(濃染性の評価)
製造した参考例1~9の染毛用組成物を用いて、濃染性の評価を行った。
【0165】
(濃染性の評価方法)
製造した参考例1~5の染毛用組成物を50gと、下記に示す酸化染毛剤第2剤(A)を50gとを、ガラス管(容量約100mL)にそれぞれ入れ、混合することにより、参考例1~5を用いた各酸化染毛剤を得た。また、製造した参考例6~9の染毛用組成物を50gと、下記に示す酸化染毛剤第2剤(B)を50gとを、ガラス管(容量約100mL)にそれぞれ入れ、混合することにより、参考例6~9を用いた各酸化染毛剤を得た。続いて、参考例1~9を用いた酸化染毛剤がそれぞれ収容されたガラス管に、1gのヤク毛の毛束(ビューラックス社製BM-YK-A)をそれぞれ1つずつ浸漬させて、室温で20分間染毛した。20分間経過後、染毛後の毛束を流水ですすぎ、各毛束を乾燥させた。乾燥後の毛束について、下記評価基準に従い、基準の毛束の染色と比較することで染色の濃さを目視観察して、濃染性を評価した。この評価は、日常的に染毛組成物の評価を行っている評価者3名の合議で行った。
【0166】
・酸化染毛剤第2剤(A)の組成
過酸化水素 2.5質量%
エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩 0.2質量%
精製水 97.3質量%
【0167】
・酸化染毛剤第2剤(B)の組成
過酸化水素 6質量%
エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩 0.2質量%
精製水 93.8質量%
【0168】
(濃染性の評価基準)
◎ :基準の毛束に比べて、毛束がとても濃い色に染毛されている。
○ :基準の毛束に比べて、毛束がやや濃い色に染毛されている。
同等:基準の毛束と同程度の色の濃さに毛束が染毛されている。
△ :基準の毛束に比べて、毛束がやや薄い色に染毛されている。
× :基準の毛束に比べて、毛束がとても薄い色に染毛されている。
【0169】
(評価結果:参考例1~5)
表9に参考例1~5の染毛用組成物の組成と、参考例1~5を用いた酸化染毛剤の評価結果を示す。なお、表9における濃染性の評価の基準は参考例1を用いた酸化染毛剤で染毛した毛束である。
【0170】
【表9】
【0171】
表9に示す結果から、参考例2~5の染毛用組成物を用いた酸化染毛剤は、参考例1の染毛用組成物を用いた酸化染毛剤に比べて、濃染性に優れており、参考例3、4の染毛用組成物を用いた酸化染毛剤は、参考例2、5の染毛用組成物を用いた酸化染毛剤に比べて、濃染性により優れていた。この結果より、パラアミノフェノール、及びポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.)が配合された染毛用組成物を用いた酸化染毛剤は、濃染性が向上していることが分かる。また、該染毛用組成物を用いた酸化染毛剤において、ポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.)の配合量が0.1質量%以上1質量%以下であると、濃染性がより向上していることが分かる。
【0172】
(評価結果:参考例6~9)
表10に参考例6~9の染毛用組成物の組成と、参考例6~9を用いた酸化染毛剤における濃染性の評価結果をそれぞれ示す。なお、表10における濃染性の評価の基準は参考例9を用いた酸化染毛剤で染毛した毛束である。
【0173】
【表10】
【0174】
表10に示す結果から、ポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(100E.O.)、又はポリオキシエチレンステアリルエーテル(200E.O.)が配合された参考例6~8の染毛用組成物を用いた酸化染毛剤は、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(100E.O.)が配合された参考例9の染毛用組成物を用いた酸化染毛剤に比べて、濃染性に優れていた。また、ポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.)又はポリオキシエチレンステアリルエーテル(200E.O.)が配合された参考例6、8の染毛用組成物を用いた酸化染毛剤は、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(100E.O.)が配合された参考例7の染毛用組成物を用いた酸化染毛剤に比べて、濃染性により優れていた。
【0175】
この結果より、酸化エチレンの平均付加モル数が40以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキレンエーテルとして、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル(参考例6~8:ポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.)など)は、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンアルキレンエーテル(参考例9:ポリオキシエチレンオレイルエーテル(100E.O.))に比べて、濃染性が向上できていることが分かる。また、酸化エチレンの平均付加モル数が100以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルの中でも、酸化エチレンの平均付加モル数が150以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル(参考例6、8:ポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.)など)は、酸化エチレンの平均付加モル数が150未満のポリオキシエチレンアルキルエーテル(参考例7:ポリオキシエチレンステアリルエーテル(100E.O.))に比べて、濃染性がより向上できていることが分かる。
【0176】
(処方例)
染毛用組成物、酸化染毛剤の処方例として、処方例1~3を以下に示す。
【0177】
処方例1:染毛用組成物(クリーム状)
パラアミノフェノール 0.5質量%
パラニトロオルトフェニレンジアミン 0.1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(15E.O.) 1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.) 1質量%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2質量%
セタノール 3質量%
ステアリルアルコール 3質量%
流動パラフィン 3質量%
コメヌカ油 2質量%
プロピレングリコール 1質量%
アスコルビン酸 0.2質量%
エチレンジアミノヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩 0.2質量%
無水亜硫酸Na 0.2質量%
アンモニア水 1.3質量%
精製水 80.5質量%
【0178】
処方例2:酸化染毛剤
(染毛用組成物(クリーム状の酸化染毛用第1剤))
パラアミノフェノール 0.5質量%
パラニトロオルトフェニレンジアミン 0.1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(15E.O.) 1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.) 1質量%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2質量%
セタノール 3質量%
ステアリルアルコール 3質量%
流動パラフィン 3質量%
コメヌカ油 2質量%
プロピレングリコール 1質量%
アスコルビン酸 0.2質量%
エチレンジアミノヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩 0.2質量%
無水亜硫酸Na 0.2質量%
アンモニア水 1.3質量%
精製水 80.5質量%
(酸化染毛剤第2剤)
過酸化水素 6質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(2E.O.) 1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 1質量%
セタノール 2質量%
ステアリルアルコール 2質量%
エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩 0.2質量%
精製水 86.8質量%
【0179】
処方例3:酸化染毛剤
(染毛用組成物(クリーム状の酸化染毛用第1剤))
パラアミノフェノール 0.5質量%
パラニトロオルトフェニレンジアミン 0.1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(15E.O.) 1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(150E.O.) 1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸(10E.O.) 1質量%
リン酸ジセチル 0.5質量%
セテアリルアルコール 5質量%
流動パラフィン 3質量%
コメヌカ油 2質量%
プロピレングリコール 1質量%
アスコルビン酸 0.2質量%
エチレンジアミノヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩 0.2質量%
無水亜硫酸Na 0.2質量%
アンモニア水 1.3質量%
精製水 82質量%
(酸化染毛剤第2剤)
過酸化水素 6質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(2E.O.) 1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 1質量%
セタノール 2質量%
ステアリルアルコール 2質量%
エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩 0.2質量%
精製水 86.8質量%

図1
図2
図3