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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089711
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】スロットル装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 9/10 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
F02D9/10 Z
F02D9/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205071
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】北岡 竜也
(72)【発明者】
【氏名】関口 眞一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 志生
【テーマコード(参考)】
3G065
【Fターム(参考)】
3G065HA21
3G065HA22
(57)【要約】
【課題】センサユニットの薄型化、小型化、装置全体としての小型化、薄型化を図り、又、製造の容易化、装置の低コスト化を図れるスロットル装置を提供する。
【解決手段】吸気を通す主通路12,外壁に形成された取付面16,及び取付面に開口して主通路に通じる連通路17を有するボディ10と、所定の軸線S回りに回動して主通路を開閉するスロットル弁30と、取付面に接合され連通路を介して吸気の状態量を検出するセンサ80を含むセンサユニットUと、センサユニットとボディの間に介在する環状のシール部材100を備え、センサユニットU及びボディ10は、協働してシール部材を嵌め込む環状溝Agを画定する。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気を通す主通路,外壁に形成された取付面,及び前記取付面に開口して前記主通路に通じる連通路を有するボディと、
所定の軸線回りに回動して前記主通路を開閉するスロットル弁と、
前記取付面に接合され,前記連通路を介して前記吸気の状態量を検出するセンサを含むセンサユニットと、
前記センサユニットと前記ボディの間に介在する環状のシール部材と、を備え、
前記センサユニット及び前記ボディは、協働して前記シール部材を嵌め込む環状溝を画定する、
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項2】
前記センサユニットは、前記取付面に接合される接合面と、前記接合面から環状に突出すると共に前記環状溝の内側壁を画定する突出壁部と、前記突出壁部の内側において前記センサに通じる通路を含み、
前記ボディは、前記取付面から窪んで形成され前記突出壁部を受け入れると共に前記環状溝の外側壁を画定する凹部と、前記凹部の底面に開口する前記連通路を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置。
【請求項3】
前記突出壁部は、前記接合面からの突出寸法が前記取付面から前記凹部の底面までの深さ寸法以下に設定されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のスロットル装置。
【請求項4】
前記連通路は、前記凹部を前記主通路の前記スロットル弁よりも下流側に連通させる、
ことを特徴とする請求項2に記載のスロットル装置。
【請求項5】
前記連通路は、前記凹部と前記主通路をそれぞれ連通させる第1連通路及び第2連通路を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のスロットル装置。
【請求項6】
前記シール部材は、ゴム材料により環状に成形された非圧縮の状態において、前記環状溝の外側壁に部分的に接触し得る複数の外側凸部及び/又は前記環状溝の内側壁に部分的に接触し得る複数の内側凸部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置。
【請求項7】
前記センサは、吸気の圧力を検出する圧力センサである、
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置。
【請求項8】
前記センサユニットは、前記主通路を流れる吸気の温度を検出する温度センサを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置。
【請求項9】
前記センサユニットは、前記スロットル弁の開度を検出する開度センサを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置。
【請求項10】
前記センサは、吸気の圧力を検出する圧力センサと、吸気の温度を検出する温度センサを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置。
【請求項11】
前記ボディは、前記センサユニットを位置決する位置決め部を含み、
前記センサユニットは、前記位置決め部に位置決めされる被位置決め部を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし10いずれか一つに記載のスロットル装置。
【請求項12】
前記位置決め部は、前記取付面から窪んで前記軸線を中心に形成された円環状凹部を含み、
前記被位置決め部は、前記接合面から突出すると共に前記軸線を中心に円筒状に形成されて前記円環状凹部に嵌合される嵌合部を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載のスロットル装置。
【請求項13】
前記嵌合部の突出寸法は、前記突出壁部の突出寸法よりも大きく設定されている、
ことを特徴とする請求項12に記載のスロットル装置。
【請求項14】
前記位置決め部は、前記取付面に形成されたネジ穴を含み、
前記被位置決め部は、前記ネジ穴に捩じ込まれるネジを通す円孔を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載のスロットル装置。
【請求項15】
前記主通路から分岐して吸気を導入し前記スロットル弁を迂回して前記主通路に吸気を導出するバイパス通路と、
前記バイパス通路の通路面積を調整する調整弁と、を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし10いずれか一つに記載のスロットル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車等に搭載される内燃エンジンの吸気系に適用されて吸気の状態量を検出するセンサを備えたスロットル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスロットル装置としては、通路を画定するボディ、通路を開閉するスロットル弁、圧力センサ等を収容する樹脂製のセンサケースを含むセンサユニット等を備え、センサユニットがシール部材を挟んでボディに固定されたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
このスロットル装置においては、センサケースの接合面において、圧力センサに通じる開口部の周りを取り囲む環状シール溝を設け、環状シール溝にOリング等の環状のシール部材が嵌め込まれて、センサケースの接合面がボディの取付面に接合され、センサケースがネジによりボディに締結されるようになっている。
このように、センサケースに環状シール溝を設ける場合、センサケースの接合面から圧力センサまでの距離が長くなり、結果としてセンサケースの厚さ寸法が大きくなる。したがって、センサユニットの小型化、薄型化が望まれる。また、センサユニットがボディに固定された組付け状態のスロットル装置として、小型化、薄型化が望まれる。
【0003】
また、他のスロットル装置としては、吸気道を有するスロットルボディ、吸気道を開閉するスロットル弁、負圧センサ等を収容するセンサハウジングを含むセンサユニット等を備え、センサユニットがシール部材を挟んでスロットルボディに固定された吸気装置が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
この吸気装置においては、スロットルボディの取付面において、負圧センサに通じる開口部の周りを取り囲む環状シール溝を設け、環状シール溝にOリング等の環状のシール部材が嵌め込まれて、センサケースの接合面がボディの取付面に接合され、センサケースがネジによりスロットルボディに締結されるようになっている。
このように、スロットルボディに環状シール溝を設ける場合、比較的に幅狭い溝を専用の工具を用いて機械加工する必要があり、加工作業の煩雑化、加工コストの増加等を招き、それ故に、吸気装置の高コスト化を招く。
【0004】
さらに他のスロットル装置としては、吸気通路を有するボディ、吸気通路を開閉するバルブ、複数のセンサ(吸気圧センサ、外気圧センサ)を収容するケーシングを含むセンサユニット等を備え、センサユニットがシール部材を挟んでボディに固定されたスロットルバルブ装置が知られている(例えば、特許文献3を参照)。
このスロットルバルブ装置においては、スロットルボディの取付面において、吸気圧センサ及び外気圧センサに通じる各々の開口部の周りを取り囲む複数の環状溝が接続された環状シール溝を設け、環状シール溝に複数のリングが一体成形されたシール部材が嵌め込まれて、ケーシングの接合面がボディの取付面に接合され、ケーシングがネジによりボディに締結されるようになっている。
このように、ボディに複数の環状溝からなる環状シール溝を設ける場合、前述の吸気装置と同様に、専用の工具を用いて機械加工する必要があり、加工作業の煩雑化、加工コストの増加等を招き、それ故に、スロットルバルブ装置の高コスト化を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-113517号公報
【特許文献2】特許第4191721号公報
【特許文献3】特開2019-184428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、センサユニットの薄型化、小型化、装置全体としての小型化、薄型化を図り、又、製造の容易化、装置の低コスト化を図れるスロットル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスロットル装置は、吸気を通す主通路,外壁に形成された取付面,及び取付面に開口して主通路に通じる連通路を有するボディと、所定の軸線回りに回動して主通路を開閉するスロットル弁と、取付面に接合され連通路を介して吸気の状態量を検出するセンサを含むセンサユニットと、センサユニットとボディの間に介在する環状のシール部材とを備え、センサユニット及びボディは、協働してシール部材を嵌め込む環状溝を画定する、構成となっている。
【0008】
上記スロットル装置において、センサユニットは、ボディの取付面に接合される接合面と、接合面から環状に突出すると共に環状溝の内側壁を画定する突出壁部と、突出壁部の内側においてセンサに通じる通路を含み、ボディは、取付面から窪んで形成され突出壁部を受け入れると共に環状溝の外側壁を画定する凹部と、凹部の底面に開口する上記連通路を含む、構成を採用してもよい。
【0009】
上記スロットル装置において、突出壁部は、接合面からの突出寸法が取付面から凹部の底面までの深さ寸法以下に設定されている、構成を採用してもよい。
【0010】
上記スロットル装置において、連通路は、凹部を主通路のスロットル弁よりも下流側に連通させる、構成を採用してもよい。
【0011】
上記スロットル装置において、連通路は、凹部と主通路をそれぞれ連通させる第1連通路及び第2連通路を含む、構成を採用してもよい。
【0012】
上記スロットル装置において、シール部材は、ゴム材料により環状に成形された非圧縮の状態において、環状溝の外側壁に部分的に接触し得る複数の外側凸部及び/又は環状溝の内側壁に部分的に接触し得る複数の内側凸部を含む、構成を採用してもよい。
【0013】
上記スロットル装置において、センサは、吸気の圧力を検出する圧力センサを含む、構成を採用してもよい。
【0014】
上記スロットル装置において、センサユニットは、主通路を流れる吸気の温度を検出する温度センサを含む、構成を採用してもよい。
【0015】
上記スロットル装置において、センサユニットは、スロットル弁の開度を検出する開度センサを含む、構成を採用してもよい。
【0016】
上記スロットル装置において、センサは、吸気の圧力を検出する圧力センサと、吸気の温度を検出する温度センサを含む、構成を採用してもよい。
【0017】
上記スロットル装置において、ボディは、センサユニットを位置決する位置決め部を含み、センサユニットは、位置決め部に位置決めされる被位置決め部を含む、構成を採用してもよい。
【0018】
上記スロットル装置において、位置決め部は、取付面から窪んで軸線を中心に形成された円環状凹部を含み、被位置決め部は、接合面から突出すると共に軸線を中心に円筒状に形成されて円環状凹部に嵌合される嵌合部を含む、構成を採用してもよい。
【0019】
上記スロットル装置において、嵌合部の突出寸法は、突出壁部の突出寸法よりも大きく設定されている、構成を採用してもよい。
【0020】
上記スロットル装置において、位置決め部は、取付面に形成されたネジ穴を含み、被位置決め部は、ネジ穴に捩じ込まれるネジを通す円孔を含む、構成を採用してもよい。
【0021】
上記スロットル装置において、主通路から分岐して吸気を導入しスロットル弁を迂回して主通路に吸気を導出するバイパス通路と、バイパス通路の通路面積を調整する調整弁を含む、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0022】
上記構成をなすスロットル装置によれば、センサユニットの薄型化、小型化、装置全体としての小型化、薄型化、製造の容易化、装置の低コスト化等を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係るスロットル装置を示すものであり、吸気を通す主通路の上流側斜め方向から視た外観斜視図である。
図2】第1実施形態に係るスロットル装置を示すものであり、吸気を通す主通路の下流側斜め方向から視た外観斜視図である。
図3】第1実施形態に係るスロットル装置を分解して主通路の上流側斜め方向から視た分解斜視図である。
図4】第1実施形態に係るスロットル装置を分解して主通路の上流側の他の斜め方向から視た分解斜視図である。
図5】第1実施形態に係るスロットル装置の弁軸及び主通路の中心を通る面で切断した断面図である。
図6】第1実施形態に係るスロットル装置において、上流側の主通路から吸気を導入するバイパス通路(上流側通路)を示す部分断面斜視図である。
図7】第1実施形態に係るスロットル装置において、下流側の主通路に吸気を導出するバイパス通路(下流側通路)を示す部分断面斜視図である。
図8】第1実施形態に係るスロットル装置において、センサユニットに含まれる圧力センサと主通路とを連通させる連通路(第1連通路及び第2連通路)の領域を部分的に示す部分断面図である。
図9】第1実施形態に係るスロットル装置において、環状溝の外側壁を画定するべくボディに形成された凹部、凹部に開口する連通路を通る面で切断した部分斜視断面図である。
図10】第1実施形態に係るスロットル装置に搭載されるセンサユニットを示す斜視図である。
図11】第1実施形態に係るスロットル装置に搭載されるセンサユニットにおいて、温度センサの中心を通る面で切断した断面図である。
図12】第1実施形態に係るスロットル装置に搭載されるセンサユニットにおいて、軸線を中心とする嵌合部の中心と圧力センサの中心を通る面で切断した断面図である。
図13】第1実施形態に係るスロットル装置において、ボディとセンサユニットの間に介在するシール部材を示す斜視図である。
図14】第1実施形態に係るスロットル装置において、シール部材と、センサユニットの突出壁部が画定する環状溝の内側壁とボディの凹部が画定する環状溝の外側壁との関係を示す部分平面図である。
図15】第1実施形態に係るスロットル装置において、ボディ及びセンサユニットにより画定される環状溝とシール部材との関係を模式的に示す部分断面図である。
図16】本発明の第2実施形態に係るスロットル装置を示すものであり、センサユニットに含まれるセンサとしての圧力センサ及び温度センサの領域を模式的に示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本発明のスロットル装置は、自動二輪車に搭載されるエンジンの吸気系において、エアクリーナより下流側で吸気管の途中に組み付けられるものである。
【0025】
第1実施形態に係るスロットル装置は、図1ないし図15に示すように、ボディ10、軸線Sをもつ弁軸20、スロットル弁30、スロットル弁30を開閉駆動する駆動ユニット40、調整弁50、センサユニットU、シール部材100を備えている。
ここで、センサユニットUは、ハウジング60、回路基板70、吸気の状態量(ここでは、圧力)を検出するセンサとしての圧力センサ80、吸気の温度を検出する温度センサ90、スロットル弁30の開度を検出する開度センサ120を備えている。
【0026】
ボディ10は、アルミニウム等の金属材料により形成され、上流側接続部11a、下流側接続部11b、係止部
1c、調整ネジ11d、主通路12、弁軸20を通す弁軸孔13、バイパス通路14、調整弁50を収容する収容部15、外壁に形成された取付面16、連通路17、凹部18、二つのボス部19を備えている。
【0027】
上流側接続部11aは、エンジンの吸気系をなす吸気ダクトと連結される。
下流側接続部11bは、エンジンの吸気系をなすエンジンのシリンダヘッドの接合面にシール部材Srを介して接続される。
係止部11cは、駆動ユニット40に含まれるコイルバネ42の一端部42aを係止するものである。
調整ネジ11dは、駆動ユニット40に含まれるドラム41の係止レバー41cの一部を当接させるものである。
【0028】
主通路12は、エンジンの燃焼室に向かう吸気を通すものであり、軸線Sに垂直な直線Lを中心として直線L方向に伸長する円筒状に形成されている。また、主通路12は、図5に示すように、スロットル弁30が配置される領域から上流側に向けて通路面積が拡大する円錐面状に、すなわち、上流側接続部11aからスロットル弁30が配置される領域に向けて通路面積が減少する円錐面状に形成されている。
弁軸孔13は、図5に示すように、弁軸20が回転自在に通されるように円形孔に形成され、軸線S方向の外側には、リップ型シールRsを嵌め込む環状凹部13aが形成されている。
【0029】
バイパス通路14は、図6及び図7に示すように、スロットル弁30よりも上流側の主通路12から分岐する上流側通路14a、スロットル弁30よりも下流側の主通路12に合流する下流側通路14b、上流側通路14aと下流側通路14bの間に介在すると共に調整弁50により通路面積が調整される連通路14cにより構成されている。
すなわち、バイパス通路14は、スロットル弁30よりも上流側に位置する開口部14aにおいて主通路12から分岐して吸気を導入し、スロットル弁30を迂回して、スロットル弁30よりも下流側に位置する開口部14bにおいて主通路12に吸気を導出するようになっている。
【0030】
収容部15は、図4図6図7に示すように、調整弁50の弁体51を往復動自在に収容する領域であり、その端面において調整弁50の電磁アクチュエータ53を固定する押え部材54を締結するネジb3を捩じ込むネジ穴15aを備えている。また、収容部15は、上流側通路14aと下流側通路14bを連通させる連通路としても機能する。
【0031】
取付面16は、図4及び図9に示すように、センサユニットUが取り付けられるべく、軸線Sに垂直な平面として形成されている。
また、取付面16には、センサユニットUをネジb1で締結するための二つのネジ穴16a、センサユニットUの嵌合部62を嵌合させる円環状凹部16b、温度センサ90を囲繞する有底筒状部65を通す挿通孔16cが形成され、又、凹部18を介して連通路17が開口している。
円環状凹部16bは、ボディ10に対してセンサユニットUを軸線S上に位置決めする位置決め部として機能する。
【0032】
連通路17は、図2及び図8に示すように、スロットル弁30よりも下流側において、主通路12とセンサユニットUを構成するハウジング60の凹部64とを連通させるべく、それぞれ凹部18の底面18aに開口して主通路12に通じる第1連通路17a及び第2連通路17bにより構成されている。
このように、連通路17が、二つの通路(第1連通路17a及び第2連通路17b)として形成されることにより、吸気の脈動を利用して、第1連通路17a及び第2連通路17bの一方を通して主通路12から凹部64に向かう吸気の流れと、第1連通路17a及び第2連通路17bの他方を通して凹部64から主通路12に向かう吸気の流れを、積極的に生じさせることができ、吸気の掃気作用を得ることができる。これにより、凹部64において吸気の淀みを防止することができる。
【0033】
凹部18は、図4図8図9に示すように、軸線Sに垂直な底面18aと側面18bを画定するべく、エンドミル加工等により、取付面16から軸線S方向に所定の深さ寸法Dだけ窪んで形成されている。
底面18aは、連通路17(第1連通路17a及び第2連通路17b)を包含する広さに形成されている。
側面18bは、図15に示すように、センサユニットUが接合された状態においてシール部材100を嵌め込む環状溝Agの外側壁Agを画定するものである。
そして、凹部18は、センサユニットUの突出壁部63の外周面63aにシール部材100を嵌め込んだ状態で、突出壁部63及びシール部材100を受け入れるように形成されている。
ボス部19は、エンジンのシリンダヘッドの接合面に対して、シール部材Srを挟んでボディ10を締結するネジ(不図示)を通す円孔を備えている。
【0034】
弁軸20は、図5に示すように、金属材料等により円形断面で軸線S方向に伸長するように形成され、中央領域においてスロットル弁30を嵌め込むスリット21及び二つのネジ孔22、一端側において駆動ユニット40を連結する連結部23、他端側において円板状部材24、円板状部材24よりも内側においてワッシャに隣接する止め輪Wを嵌め込む嵌合溝を備えている。
連結部23は、駆動ユニット40のドラム41を一体的に回転するように嵌め込むべく二面幅部を備えている。
円板状部材24は、センサユニットUの円筒状をなす嵌合部62の内側に配置され、センサユニットUの嵌合部62の底壁に埋設された開度センサ120により、弁軸20すなわちスロットル弁30の開度を検出する際の被検出部材として機能するものであり、永久磁石を備えている。
【0035】
そして、弁軸20は、ボディ10の弁軸孔13に通された状態で、スリット21に嵌め込まれたスロットル弁30がネジb2により締結されることにより、スロットル弁30を開閉自在に保持する。また、弁軸20は、弁軸孔13よりも軸線S方向の外側において、リップ型シールRsにより外周面がシールされ、又、ワッシャ及び止め輪Wが取り付けられ、連結部23に取り付けられたドラム41と協働して軸線S方向の移動が規制されている。
【0036】
スロットル弁30は、金属材料等により略円板状に形成され、図2及び図5に示すように、ネジb2を通す円孔31を備えている。
スロットル弁30は、弁軸20が弁軸孔13に通された後に、スリット21に通されてネジb2により弁軸20に固定され、主通路12を開閉するように配置される。
そして、スロットル弁30は、弁軸20を介して軸線S回りに回動し所望の開度に主通路12を開放する。
【0037】
駆動ユニット40は、図1図2図5図7に示すように、弁軸20を軸線S回りに回転駆動するものであり、弁軸20の連結部23に連結されたドラム41、弁軸20の周りにおいてドラム41とボディ10の間に配置されたコイルバネ42を備えている。
ドラム41は、スロットルグリップに接続されたワイヤーが係止される係止孔41a,41b、コイルバネ42を係止する係止レバー41cを備えている。
係止レバー41cは、コイルバネ42の回転付勢力により、ボディ10に設けられた調整ネジ11dに当接するようになっている。したがって、調整ネジ11dの繰出し量を適宜調整することにより、停止位置におけるスロットル弁30の弁開度が所望される位置に設定される。
コイルバネ42は、図1図2図7に示すように、一端部42aがボディ10の係止部11cに係止され、他端部42bがドラム41の係止レバー41cに係止されて、スロットル弁30が閉弁する方向に回転付勢力を及ぼす。
【0038】
調整弁50は、図3図4図6図7に示すように、弁体51、弁体51を開弁方向に付勢するコイルバネ52、弁体51を軸線Sと平行な方向に往復動自在に駆動する電磁アクチュエータ53、電磁アクチュエータ53をボディ10に固定する押え部材54を備えている。そして、調整弁50は、エンジンのアイドル運転領域において、バイパス通路14(連通路14c)の通路面積を増減させて、バイパス通路14を流れる吸気の流量を調整するようになっている。
【0039】
センサユニットUは、ボディ10の取付面16に取り付けられるものであり、図3図4図10ないし図12に示すように、ハウジング60、回路基板70、圧力センサ80、温度センサ90、開度センサ120を備えている。
【0040】
ハウジング60は、樹脂材料を用いて成型されたものであり、接合面61、嵌合部62、突出壁部63、突出壁部63の内側に画定される通路としての凹部64、温度センサ90を囲繞する有底筒状部65、外側収容凹部66、ネジb1を通す二つのボス部67、コネクタ68を備えている。
【0041】
接合面61は、ボディ10の取付面16に密接に接合されるものであり、軸線Sに垂直な平面として形成されている。
嵌合部62は、ボディ10の位置決め部としての円環状凹部16bに嵌合される被位置決め部として機能するべく、図12に示すように、接合面61から軸線S方向に所定の突出寸法H1だけ突出すると共に軸線Sを中心とする円筒状に形成されている。
そして、嵌合部62が円環状凹部16bに嵌合されることにより、ボディ10に対してセンサユニットUが軸線S上に位置決めされる。
【0042】
突出壁部63は、図12に示すように、接合面61から軸線S方向に所定の突出寸法H2だけ環状に突出するように形成され、センサユニットUがボディ10に接合された状態において、図15に示すように、シール部材100を嵌め込む環状溝Agの内側壁Agを画定する外周面63aを有する。
すなわち、突出壁部63は、例えば、外周面63aにシール部材100が嵌め込まれた状態で、ボディ10の凹部18に嵌め込まれることにより、ボディ10の凹部18と協働してシール部材110を嵌め込む環状溝Agを画定する。
【0043】
また、突出壁部63の突出寸法H2は、嵌合部62の突出寸法H1よりも小さく形成されている。逆に言えば、嵌合部62の突出寸法H1は、突出壁部63の突出寸法H2よりも大きく設定されている。
この寸法設定によれば、センサユニットUをボディ10に接合して組付ける際に、先ず嵌合部62を円環状凹部16bに嵌合させて軸線S上に位置決めし、続いて、有底円筒部65を挿通孔16cに完全に嵌め込むことでセンサユニットUを軸線S回りの所定の角度位置に位置決めしつつ、嵌合部62を円環状凹部16bに押し込むと共にシール部材100及び突出壁部63を凹部18に押し込むことで、センサユニットUをボディ10に確実に接合して組付けることができる。
さらに、突出壁部63の突出寸法H2は、ボディ10の凹部18の深さ寸法D以下に設定されている。
この寸法設定によれば、センサユニットUをボディ10に接合して組付ける際に、突出壁部63の周りの接合面61がボディ10の取付面16に確実に密接するため、環状溝Agの溝深さを所定値に設定することができ、それ故に、シール部材100を所定の圧縮代にて組付けることができる。
【0044】
凹部64は、吸気の通路として機能するものであり、図3図10ないし図12に示すように、突出壁部63の内側において略三角形の輪郭をなすように形成されている。そして、凹部64には、第1連通路17a又は第2連通路17bを通して、主通路12内の吸気が導かれるようになっている。また、凹部64の底壁には、圧力センサ80の端面(保護カバー83)が面一で配置される開口部64aが形成され、受圧部81に通じる貫通孔83aが臨むようになっている。
【0045】
有底筒状部65は、接合面61から軸線S方向に先細り状に突出するように形成され、その内側において、温度センサ90を収容する。
そして、有底筒状部65は、センサユニットUがボディ10に接合される際に、Oリング(不図示)を付け根周りの環状溝に嵌め込んだ状態で、ボディ10の挿通孔16cに挿入され、その付け根領域が挿通孔16cに密接して嵌め込まれることにより、センサユニットUが軸線S回りの所定の角度位置に位置決めされ、又、その先端領域がスロットル弁30よりも上流側の主通路12に臨むように配置される。
【0046】
外側収容凹部66は、図11及び図12に示すように、接合面61と反対側の外側端面から凹むように形成され、その内側には、回路基板70が配置され、その外側から回路基板70を埋設するべく樹脂封止剤Rが充填される。
ボス部67は、センサユニットUをボディ10に締結するネジb1を通す円孔67aを備えている。
コネクタ68は、回路基板70に電気的に接続された端子を囲繞すると共に、外部コネクタが接続されるように形成されている。
【0047】
回路基板70は、種々の電子部品及びプリント配線が表面実装されると共に複数の端子が電気的に接続されたものあり、又、図11及び図12に示すように、圧力センサ80のリード線82及び温度センサ90のリード線92が電気的に接続される。
【0048】
圧力センサ80は、図12に示すように、例えば半導体歪みゲージを備えたダイヤフラム等の受圧部81、受圧部81から延出するリード線82、保護カバー83により構成されている。
すなわち、圧力センサ80は、リード線82が回路基板70に電気的に接続されると共に、凹部64の開口部64aの位置において保護カバー83が凹部64の底壁と面一で露出するように配置されている。この状態において、圧力センサ80の貫通孔83aは、図8に示すように、第1連通路17a側寄りにおいて、凹部64に臨むように配置されている。
【0049】
そして、圧力センサ80は、接合面61から外側に突出しないように凹部64に臨む状態で、連通路17(第1連通路17a、第2連通路17b)を経て主通路12から凹部64に導かれた吸気の圧力を、保護カバー83の貫通孔83aを通して検出するようになっている。
このように、圧力センサ80は、受圧部81が小径の貫通孔83aを備えた保護カバー83により覆われているため、吸気の吹き返し等により持ち込まれたカーボン等が受圧部81に直接付着するのを防止することができる。これにより、吸気の圧力を高精度に検出することができる。
【0050】
温度センサ90は、図11に示すように、リード型センサであり、例えばサーミスタ等の感温素子91、感温素子91から延出するリード線92により構成されている。
すなわち、温度センサ90は、感温素子91が有底筒状部65の内側の先端領域に配置されると共に、リード線92が回路基板70に電気的に接続されている。
そして、温度センサ90は、センサユニットUがボディ10に接合された状態において、スロットル弁30よりも上流側において主通路12内の吸気の温度を検出するようになっている。
【0051】
開度センサ120は、非接触式の磁気センサであり、図5に示すように、円板状部材24に対向するようにハウジング60に埋設されており、ホール素子121、磁束を通すステータ122を備えている。
そして、開度センサ120は、弁軸20と一体的に回転する円板状部材24(永久磁石)の相対的な回転により、ホール素子121を通過する磁束密度の変化を電気信号として検出して、弁軸20と一体的に回転するスロットル弁30の開度を検出する。
【0052】
シール部材100は、耐熱性、耐膨潤性等に優れたゴム材料を用いて、図13及び図14に示すように、環状に形成されている。
そして、シール部材100は、内周壁101、外周壁102、内周壁101において内側に突出する複数(ここでは、四つ)の内側凸部101a、外周壁102において外側に突出する複数(ここでは、四つ)の外側凸部102aを備えている。
【0053】
また、シール部材100は、軸線S方向における厚さ寸法が凹部18の深さ寸法Dよりも大きく、又、外周壁101と内周壁102との幅寸法が環状溝Agの溝幅(突出壁部63の外周面63aと凹部18の側面18bとの隙間寸法)よりも僅かに小さく設定されている。
さらに、シール部材10が非圧縮の状態において、図14に示すように、複数の外側凸部102aは、環状溝Agの外側壁Ag(側面18b)に部分的に接触し得るように突出し、又、複数の内側凸部101aは、環状溝Agの内側壁Ag(外周面63a)に部分的に接触し得るように突出して形成されている。
これによれば、環状溝Agにシール部材100を嵌め込む組付け作業において、突出壁部63の外周面63aにシール部材100を予め嵌め込んだ状態でセンサユニットUをボディ10に接合する際に、又は、凹部18内の側面18bに接触するようにシール部材100を予め嵌め込んだ状態でセンサユニットUをボディ10に接合する際に、シール部材100の脱落や位置ずれを防止することができる。
【0054】
次に、上記構成をなすスロットル装置の組付け作業について説明する。
先ず、ボディ10、弁軸20、スロットル弁30、駆動ユニット40、調整弁50、センサユニットU、リップ型シールRs、シール部材100、ワッシャ及び止め輪W、ネジb1,b2,b3等が準備される。
センサユニットUは、ハウジング60に対して、圧力センサ80及び温度センサ90並びに開度センサ120(ホール素子121)が接続された回路基板70が埋設されたモジュール品として準備される。
【0055】
続いて、ボディ10の環状凹部13aにリップ型シールRsが嵌め込まれ、円板状部材24とワッシャ及び止め輪Wが取り付けられた弁軸20が、取付面16側から弁軸孔13に通される。そして、スロットル弁30が弁軸20のスリット21に挿入されてネジb2により弁軸20に固定される。
続いて、駆動ユニット40が弁軸20の連結部23に連結される。具体的には、コイルバネ42が弁軸20の周りに配置され、その外側からドラム41が弁軸20の連結部23に連結されてナットにより固定される。
【0056】
そして、コイルバネ42の一端部42aがボディ10の係止部11cに係止され、コイルバネ42の他端部42bがドラム41の係止レバー41cに係止される。
また、ドラム41の回転角度位置が、係止レバー41cに当接する調整ネジ11dの繰出し量を適宜調整して所定角度に設定される。尚、この調整は、全ての部品の組付けが完了した後に行われてもよい。
【0057】
続いて、調整弁50が、ボディ10の収容部15に取り付けられる。すなわち、コイルバネ52が収容部15に挿入され、続いて、弁体51が電磁アクチュエータ53に連結された状態で収容部15に挿入される。そして、押え部材54が、電磁アクチュエータ53を固定するように、収容部15の端面に接合されて、ネジb3によりボディ10に締結される。
【0058】
続いて、センサユニットUが、ボディ10の取付面16に接合されてネジb1により締結される。すなわち、シール部材100を突出壁部63の外周面63aに嵌め込んだ状態で、付け根領域にOリング(不図示)を嵌め込んだ有底筒状部65が挿通孔16cに挿入されつつ、ハウジング60の嵌合部62がボディ10の円環状凹部16bに僅かに嵌合され、ハウジング60がボディ10に対して軸線S上に位置決めされる。続いて、ハウジング60がボディ10に向けて押し込まれ、有底筒状部65の付け根領域がボディ10の挿通孔16cに密接するように押し込まれると共に接合面61が取付面16に接合されることで、センサユニットUがボディ10に対して軸線S回りの所定の角度位置に位置決めされつつ、突出壁部63及びシール部材100が凹部18に嵌め込まれ、シール部材100が環状溝Agに嵌め込まれた状態となる。
続いて、ネジb1がハウジング60の円孔67aに通されてボディ10のネジ穴16aに捩じ込まれることにより、ハウジング60がボディ10に締結される。これにより、センサユニットUがボディ10に固定される。
【0059】
この組付け状態において、シール部材100は、センサユニットUの突出壁部63とボディ10の凹部18により画定される環状溝Agに嵌め込まれた状態で、センサユニットUとボディ10の間に介在して連通路17の周りをシールする。
これにより、主通路12は、スロットル弁30よりも下流側において、取付面16に開口する連通路17(第1連通路17a及び第2連通路17b)を介して凹部64に連通する状態となる。
尚、スロットル装置の組付け作業は、上記の手法に限らず、他の手法で組み付けられてもよい。
【0060】
次に、上記スロットル装置がエンジンに搭載された状態での動作について説明する。
先ず、エンジンがアイドル運転領域にあるとき、スロットル弁30は主通路12を閉じた状態にあり、主通路12を流れる吸気は、スロットル弁30を迂回するようにバイパス通路14を流れて再び下流側の主通路12に流出する。
この状態において、調整弁50は、バイパス通路14(連通路14c)の通路面積を調整して、エンジンのアイドル運転を安定した状態に維持する。
【0061】
一方、エンジンがアイドル運転領域以外の運転領域にあるとき、スロットル弁30は所定の開度範囲にあり、主通路12を開放した状態となる。
したがって、主通路12を流れる吸気は、バイパス通路14を経ることなく、主通路12を流れてエンジンに吸い込まれる。このとき、調整弁50は、バイパス通路14を流れる吸気量を調整するために使用されない。
【0062】
また、主通路12を流れる吸気は、第1連通路17a又は第2連通路17bを通して凹部64内に導かれる。この状態において、圧力センサ80は、凹部64に導かれた吸気の圧力を検出する。また、温度センサ90は、スロットル弁30よりも上流側の主通路12において吸気の温度を検出する。さらに、開度センサ120は、スロットル弁30の開度を検出する。
このように、吸気の圧力が圧力センサ80により検出され、吸気の温度が温度センサ90により検出され、スロットル弁30の開度が開度センサ120により検出されて、それぞれ検出された情報は、制御ユニットの制御情報として取り込まれ、エンジンが適宜制御される。
【0063】
上記のように、第1実施形態に係るスロットル装置は、吸気を通す主通路12,外壁に形成された取付面16,及び取付面16に開口して主通路12に通じる連通路17を有するボディ10と、所定の軸線S回りに回動して主通路12を開閉するスロットル弁30と、取付面16に接合され連通路17を介して吸気の状態量を検出するセンサ(圧力センサ80)を含むセンサユニットUと、センサユニットUとボディ10の間に介在する環状のシール部材100を備え、センサユニットU及びボディ10は、協働してシール部材100を嵌め込む環状溝Agを画定する。
これによれば、シール部材100を嵌め込む環状溝AgがセンサユニットUとボディ10の協働により画定されるため、センサユニットに環状溝を設ける場合に比べてセンサユニットUを薄型化でき、又、ボディに環状溝を設ける場合に比べて低コスト化及び加工作業及び製造の容易化を達成することができる。
すなわち、環状溝をセンサユニットに設けた場合、接合面から窪むように環状溝を設けるため、その分だけ圧力センサを接合面から離れて配置する必要があり、結果的に軸線S方向においてセンサユニットの厚さ寸法が増加することになるが、本発明の構成とすることでセンサユニットUの薄型化及び小型化を達成することができる。また、環状溝をボディに設けた場合、取付面において環状の溝加工が必要になり、単純な凹部の削り加工に比べて加工コストが高くなり、又、加工の段取りも複雑になるが、本発明の構成とすることでスロットル装置全体としての低コスト化、小型化及び薄型化等を達成することができる。
【0064】
また、第1実施形態に係るスロットル装置においては、センサユニットUが、取付面16に接合される接合面61と、接合面61から環状に突出すると共に環状溝Agの内側壁Agを画定する突出壁部63と、突出壁部63の内側においてセンサ(圧力センサ80)に通じる通路(凹部64)を含み、ボディ10が、取付面16から窪んで形成され突出壁部63を受け入れると共に環状溝Agの外側壁Agを画定する凹部18と、凹部18の底面18aに開口する連通路17を含む。
これによれば、センサユニットUのハウジング60を樹脂材料にて形成する場合に突出壁部63を容易に一体成形することができ、又、ボディ10をアルミニウム材料等の金属材料で形成する場合に凹部18を容易に削り加工することができる。また、突出壁部63の外周に予めシール部材100を嵌め込んだ後に又は凹部18の内周に予めシール部材100を嵌め込んだ後に、センサユニットUをボディ10に接合することで、装置の組付け作業を容易に行うことができる。
【0065】
また、第1実施形態に係るスロットル装置においては、突出壁部63は、接合面61からの突出寸法H2が取付面16から凹部18の底面18aまでの深さ寸法D以下に設定されている。
これによれば、センサユニットUをボディ10に接合して組付ける際に、突出壁部63の周りの接合面61がボディ10の取付面16に確実に密接するため、環状溝Agの溝深さを所定値に設定することができ、それ故に、シール部材100を所定の圧縮代にて組付けることができる。
【0066】
また、第1実施形態に係るスロットル装置においては、連通路17が、凹部18を主通路12のスロットル弁30よりも下流側に連通させると共に、凹部18と主通路12をそれぞれ連通させる第1連通路17a及び第2連通路17bを含む。
これによれば、連通路17の周りがシール部材100により確実にシールされた状態で、連通路17が、スロットル弁30よりも下流側において、二つの通路(第1連通路17a及び第2連通路17b)の一方が往路及び他方が復路として機能するため、吸気の脈動を利用して吸気を積極的に凹部64に導くと共に吸気の掃気を行うことができ、吸気の圧力を高精度に検出することができる。
【0067】
また、第1実施形態に係るスロットル装置においては、シール部材100が、ゴム材料により環状に成形された非圧縮の状態において、環状溝Agの外側壁Agに部分的に接触し得る複数の外側凸部102a及び/又は環状溝Agの内側壁Agに部分的に接触し得る複数の内側凸部101aを含む。
これによれば、シール部材100を環状溝Agに嵌め込む組付け作業において、突出壁部63の外周にシール部材100を予め嵌め込んだ状態でセンサユニットUをボディ10に接合する際に、又は、凹部18にシール部材100を予め嵌め込んだ状態でセンサユニットUをボディ10に接合する際に、シール部材100の脱落や位置ずれを防止することができる。
第1実施形態においては、シール部材100の内周壁101に複数の内側凸部101a及び外周壁102に複数の外側凸部102aを設ける構成を示したが、内側凸部101aだけ又は外側凸部102aだけを設ける構成を採用してもよい。
【0068】
また、第1実施形態に係るスロットル装置においては、ボディ10がセンサユニットUを位置決する位置決め部(円環状凹部16b)を含み、センサユニットUが位置決め部に位置決めされる被位置決め部(嵌合部62)を含むため、被位置決め部を位置決め部に位置合わせすることにより、センサユニットUとボディ10の協働による環状溝Agを確実に形成することができる。
特に、位置決め部として、取付面16から窪んで軸線Sを中心に形成された円環状凹部16bを含み、被位置決め部として、接合面61から突出すると共に軸線Sを中心に円筒状に形成されて円環状凹部16bに嵌合される嵌合部62を含む構成とすることにより、軸線S上においてセンサユニットUとボディ10の位置決めを容易に行うことができる。
【0069】
また、第1実施形態に係るスロットル装置においては、嵌合部62の突出寸法H1が、突出壁部63の突出寸法H2よりも大きく設定されているため、先ず、嵌合部62を円環状凹部16bに係合させて軸線S上に位置決めした後に、軸線S回りの角度位置を位置決めし、その後に突出壁部63を凹部18に押し込むことができる。これにより、シール部材100の噛み込み等を防止して、シール部材100を環状溝Agに確実に嵌め込むことができる。
【0070】
図16は、本発明に係るスロットル装置の第2実施形態を示すものであり、第1実施形態におけるセンサユニットUの温度センサ90に替えて温度センサ190を採用したセンサユニットU2、第1実施形態におけるボディ10の挿通孔16cを廃止したボディ110を採用した以外は、第1実施形態に係るスロットル装置と同様である。したがって、第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
第2実施形態に係るスロットル装置は、ボディ110、弁軸20、スロットル弁30、駆動ユニット40、調整弁50、センサユニットU2を備えている。
ここで、センサユニットU2は、ハウジング160、回路基板70、吸気の状態量を検出するセンサとしての圧力センサ80及び温度センサ190を備えている。
【0072】
ボディ110は、アルミニウム等の金属材料により形成され、上流側接続部11a、下流側接続部11b、係止部11c、調整ネジ11d、主通路12、弁軸孔13、バイパス通路14、収容部15、取付面16、連通路17、凹部18、二つのボス部19を備えている。
取付面16には、二つのネジ穴16a及び円環状凹部16bが形成され、又、凹部18を介して連通路17が開口している。
ネジ穴16aは、ボディ110に対して、センサユニットU2を軸線S回りの所定の角度位置に位置決めする位置決め部として機能する。
【0073】
ハウジング160は、樹脂材料を用いて成型されたものであり、接合面61、嵌合部62、突出壁部63、凹部64、カバー壁165、外側収容凹部66、円孔67aを有する二つのボス部67、コネクタ68を備えている。
円孔67aは、ボディ110のネジ穴16aに捩じ込まれるネジb1を通すものであり、又、ボディ110の位置決め部(ネジ穴16a)に対して位置決めされることにより、ボディ110に対してセンサユニットU2が軸線S回りの所定の角度位置に位置決めされる被位置決め部として機能する。
カバー壁165は、凹部64内において突出すると共に温度センサ190を囲繞するように形成されている。
【0074】
温度センサ190は、圧力センサ80と同様に、連通路17を介して吸気の状態量(温度)を検出するセンサであり、例えばサーミスタ等の感温素子191、感温素子191から延出するリード線192により構成されている。
すなわち、温度センサ190は、感温素子191が凹部64内に突出するカバー壁165の内側に配置されると共にリード線192が回路基板70に電気的に接続されている。
そして、温度センサ190は、センサユニットU2がボディ110に接合された状態において、スロットル弁30よりも下流側において連通路17及び凹部64を介して主通路12内の吸気の温度を検出するようになっている。
【0075】
次に、センサユニットU2及びシール部材100をボディ110に組み付ける作業について説明する。
シール部材100を突出壁部63の外周面63aに嵌め込んだ状態で、ハウジング160の嵌合部62がボディ110の円環状凹部16bに僅かに嵌合され、ハウジング160がボディ110に対して軸線S上に位置決めされる。
続いて、ハウジング160の円孔67aがボディ110のネジ穴16aに位置合わせされる。これにより、センサユニットU2はボディ110に対して軸線S回りの所定の角度位置に位置決めされる。
【0076】
続いて、ハウジング160の接合面61がボディ110の取付面16に接合されることで、突出壁部63及びシール部材100が凹部18に嵌め込まれ、シール部材100が環状溝Agに嵌め込まれた状態となる。
続いて、ネジb1がハウジング160の円孔67aに通されてボディ110のネジ穴16aに捩じ込まれることにより、ハウジング160がボディ110に締結される。これにより、センサユニットU2がボディ110に固定される。
【0077】
この組付け状態において、シール部材100は、センサユニットU2の突出壁部63とボディ110の凹部18により画定される環状溝Agに嵌め込まれた状態で、センサユニットU2とボディ110の間に介在して連通路17の周りをシールする。
これにより、主通路12は、スロットル弁30よりも下流側において、取付面16に開口する連通路17(第1連通路17a及び第2連通路17b)を介して凹部64に連通する状態となる。
【0078】
上記のように、第2実施形態に係るスロットル装置においては、センサユニットU2が、連通路17を介して吸気の状態量を検出するセンサとして、吸気の圧力を検出する圧力センサ80と、吸気の温度を検出する温度センサ190を含む。
これによれば、センサユニットU2が、接合面61から突出しないように圧力センサ80及び温度センサ190を収容するため、特に、温度センサ190が外部の部品等と干渉するのを防止でき、又、小型化できる。
また、圧力センサ80及び温度センサ190が、突出壁部63の内側に画定される凹部64内に配置されるため、一つのシール部材100だけでシール性能を確保することができる。
【0079】
また、第2実施形態に係るスロットル装置においては、ボディ110が、センサユニットU2を位置決する位置決め部として取付面16に形成されたネジ穴16aを含み、センサユニットU2が、位置決め部に位置決めされる被位置決め部としてネジ穴16aに捩じ込まれるネジb1を通す円孔67aを含む。
これによれば、嵌合部61と円環状凹部16bとの係合により、センサユニットU2をボディ110に対して軸線S上に位置決めし、その後、ネジ穴16aに対して円孔67aを位置合わせすることにより、センサユニットU2をボディ110に対して軸線S回りの所定の角度位置に位置決めすることができる。これにより、センサユニットU2とボディ110との協働により画定される環状溝Agを確実に形成することができ、組付け時においてシール部材110の噛み込み等を防止することができる。
【0080】
上記実施形態においては、センサユニットU,U2が環状溝Agの内側壁Agを画定し、ボディ10,110が環状溝Agの外側壁Agを画定する構成を示したが、これに限定されるものではなく、逆に、センサユニットが環状溝の外側壁を画定し、ボディが環状溝の内側壁を画定する構成を採用してもよい。これによれば、センサユニット及びボディは、協働してシール部材を嵌め込む環状溝を画定することになる。
【0081】
上記実施形態においては、センサユニット及びボディの協働により画定される環状溝として、略三角形をなす環状溝Agを示したが、これに限定されるものではなく、シールを必要とする領域の形態に応じて、種々の形態をなす環状溝を採用することができる。
【0082】
上記実施形態においては、取付面16に開口して主通路12に通じる連通路として、第1連通路17a及び第2連通路17bを含む連通路17を示したが、これに限定されるものではなく、主通路12の吸気を凹部64に導くと共に凹部64内の吸気を主通路12に戻す掃気作用が容易に得られる形態であれば、一つの連通路を採用してもよい。
【0083】
以上述べたように、本発明のスロットル装置は、センサユニットの薄型化、小型化、装置全体としての小型化、薄型化、製造の容易化、装置の低コスト化等を達成することができるため、自動二輪車等に適用できるのは勿論のこと、その他の車両においても有用である。
【符号の説明】
【0084】
S 軸線
10 ボディ
12 主通路
14 バイパス通路
16 取付面
16b 円環状凹部(位置決め部)
16c 挿通孔
17 連通路
17a 第1連通路
17b 第2連通路
18 凹部
D 凹部の底面までの深さ寸法
18a 底面
18b 側面(環状溝の外側壁Ag
20 弁軸
30 スロットル弁
40 駆動ユニット
50 調整弁
U センサユニット
60 ハウジング
61 接合面
62 嵌合部(被位置決め部)
H1 嵌合部の突出寸法
63 突出壁部
H2 突出壁部の突出寸法
63a 外周面(環状溝の内側壁Ag
64 凹部(通路)
65 有底筒状部
67 ボス部
Ag 環状溝
Ag 外側壁
Ag 内側壁
80 圧力センサ(吸気の状態量を検出するセンサ)
83a 貫通孔(通路)
90 温度センサ
100 シール部材
101 内周壁
102 外周壁
101a 内側凸部
102a 外側凸部
110 ボディ
120 開度センサ
U2 センサユニット
160 ハウジング
16a ネジ穴(位置決め部)
b1 ネジ
67a 円孔(被位置決め部)
165 カバー壁
190 温度センサ(吸気の状態量を検出するセンサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図16