(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089718
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】光源装置及び車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 45/48 20180101AFI20240627BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240627BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20240627BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20240627BHJP
F21W 102/30 20180101ALN20240627BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20240627BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20240627BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20240627BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20240627BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240627BHJP
【FI】
F21S45/48
F21V23/00 160
F21W102:00
F21W103:10
F21W102:30
F21W103:55
F21W103:00
F21W103:35
F21W103:45
F21W103:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205085
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋沢 壮一
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発光素子の駆動時に生じる熱が他の電子部品に影響することを抑制することが可能な光源装置及び車両用灯具を提供する。
【解決手段】第1の基板部分と一体化された高い熱伝導率を有する第2の基板部分からなる基板、基板の1の主面において第2の基板部分の表面上に配された複数の発光素子、並びに第2の基板部分に形成されて複数の発光素子を封止する樹脂からなる封止部を有する発光モジュールを有し、基板には、基板の1の主面の貫通孔の1の辺を挟む2つ角部の各々において第1の基板部分と第2の基板部分とを跨ぐようにそれぞれ設けられた2つの配線を含みかつ複数の発光素子の少なくとも1つに電力を供給する第1の配線パターン及び1の辺の前記2つの角部の間の部分において第1の基板部分と第2の基板部分とを跨ぐように設けられた配線を含みかつ複数の発光素子に少なくとも1つに電力を供給する第2の配線パターンが形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面形状が矩形の貫通孔が設けられた第1の基板部分及び前記貫通孔内に前記貫通孔を塞ぐように設けられて前記第1の基板部分と一体化された前記第1の基板部分よりも高い熱伝導率を有する第2の基板部分からなる基板、前記基板の1の主面において前記第2の基板部分の表面上に配された複数の発光素子、並びに前記基板の1の主面において前記第2の基板部分に形成されて前記複数の発光素子を封止する樹脂からなる封止部を有する発光モジュールと、
前記発光モジュールの前記基板の他の主面において前記第2の基板部分に接合された放熱器と、を有し、
前記基板には、前記基板の1の主面の前記貫通孔の1の辺を挟む2つ角部の各々において前記第1の基板部分と前記第2の基板部分とを跨ぐようにそれぞれ設けられた2つの配線を含みかつ前記複数の発光素子の少なくとも1つに電力を供給する第1の配線パターン及び前記1の辺の前記2つの角部の間の部分において前記第1の基板部分と前記第2の基板部分とを跨ぐように設けられた配線を含みかつ前記複数の発光素子に少なくとも1つに電力を供給する第2の配線パターンが形成されている光源装置。
【請求項2】
前記複数の発光素子は、第1の発光素子と前記第1の発光素子よりも駆動電力が小なる第2の発光素子を含み、前記第2の配線パターンは前記第2の発光素子に電力を供給することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第2の配線パターンは、前記第1の基板部分と前記第2の基板部分とを跨ぐ部分において前記1の辺の垂直二等分線に沿って伸張していることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第1の配線パターンは、前記貫通孔の前記1の辺と対向する他の辺を挟む2つの角部の各々において前記第1の基板部分と前記第2の基板部分とを跨ぐようにそれぞれ設けられた2つの配線をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項5】
前記基板の他の主面において前記第2の基板部分の表面全体を覆いつつ前記第1の基板部分の表面にまで至って形成されかつ外縁が前記貫通孔の外縁に沿った金属膜を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第1の基板部分の表面上には、前記複数の発光素子を駆動するために用いられる駆動用素子が搭載されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項7】
前記第1の基板部分と前記第2の基板部分とは樹脂材で隔てられていることを特徴とする請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記第2の基板部分は、窒化アルミニウムからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の光源装置と、
前記発光モジュールを覆うように前記光源装置に接続され、前記光源装置から出射される光を透過させるレンズを備えるランプハウジングと、
を有することを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及び車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具に用いられる光源装置が開示されている。例えば、特許文献1には、基板の表面に発光素子及び当該発光素子を駆動させる電子部品が配された発光モジュールと、当該基板の下面に接して設けられ、発光モジュールに生じる熱を外部に放出するフィンを備えるソケットとを有する車両用照明装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、一部が伝熱部材によって構成され、伝熱部材と伝熱部材以外とに跨って配線が形成された回路基板と、伝熱部材の表面に配された発光素子と、当該発光素子を封止する樹脂からなる封止部材を備える車両灯具用光源ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-91994号公報
【特許文献2】特開2022-82076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている車両用照明装置においては、発光素子の駆動時に生じる熱が基板を介して電子部品にまで伝わり、当該電子部品をオーバーヒートさせてしまうことが問題の1つとしてあげられる。
【0006】
また、特許文献2に開示されている車両灯具用光源ユニットにおいては、製造時に封止部材となる樹脂を熱硬化させる際に、当該樹脂の収縮による応力を受けて伝熱部材が変形し、伝熱部材と伝熱部材以外とに跨って形成された配線が断線してしまうことが問題の1つとしてあげられる。
【0007】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、製造時に配線の断線が生じることを防ぎつつ、発光素子の駆動時に生じる熱が他の電子部品に影響することを抑制することが可能な光源装置及び車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による光源装置は、平面形状が矩形の貫通孔が設けられた第1の基板部分及び前記貫通孔内に前記貫通孔を塞ぐように設けられて前記第1の基板部分と一体化された前記第1の基板部分よりも高い熱伝導率を有する第2の基板部分からなる基板、前記基板の1の主面において前記第2の基板部分の表面上に配された複数の発光素子、並びに前記基板の1の主面において前記第2の基板部分に形成されて前記複数の発光素子を封止する樹脂からなる封止部を有する発光モジュールと、前記発光モジュールの前記基板の他の主面において前記第2の基板部分に接合された放熱器と、を有し、前記基板には、前記基板の1の主面の前記貫通孔の1の辺を挟む2つ角部の各々において前記第1の基板部分と前記第2の基板部分とを跨ぐようにそれぞれ設けられた2つの配線を含みかつ前記複数の発光素子の少なくとも1つに電力を供給する第1の配線パターン及び前記1の辺の前記2つの角部の間の部分において前記第1の基板部分と前記第2の基板部分とを跨ぐように設けられた配線を含みかつ前記複数の発光素子に少なくとも1つに電力を供給する第2の配線パターンが形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1に係る光源装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】実施例1に係る光源装置の構成を示す分解斜視図である。
【
図3】実施例1に係る光源装置の一部を拡大した平面図である。
【
図5】実施例1に係る光源装置の使用例としての車両用灯具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図面において同一の構成要素については同一の符号を付け、重複する構成要素の説明は省略する。
【実施例0011】
図1及び
図2を参照しつつ、実施例1に係る光源装置100の構成について説明する。
図1は、実施例1に係る光源装置100の構成を示す斜視図である。
図2は、光源装置100の構成を示す分解斜視図である。
【0012】
図1及び
図2においては、説明の簡便化のために、光源装置100の長さ方向(前後方向)の軸をX軸、光源装置100の幅方向(左右方向)の軸をY軸、光源装置100の高さ方向(上下方向)の軸をZ軸としてXYZ軸を定義する。
【0013】
[光源装置100の概要]
光源装置100は、発光装置を含む発光モジュール110と、発光モジュール110を収容する収容ホルダ120と、発光モジュール110に生じる熱を外部に放出する放熱器130と、外部電源から発光モジュール110への給電のための電気的接続をもたらす給電コネクタ140(
図2参照)と、を含んで構成される。
【0014】
[発光モジュール110]
まずは、発光モジュール110の構成について説明する。発光モジュール110は、基板11と基板11の一方の主面(前面)に設けられた発光装置12及び駆動用素子13から構成される。
【0015】
基板11は、第1の基板部分14及び第2の基板部分15からなる板状体である。
【0016】
基板11の第1の基板部分14は、平面形状が略円形を有しかつ絶縁性を有する部分である。第1の基板部分14は、中央に第1の基板部分14を長さ方向に貫通する平面形状が矩形の貫通孔14Hを有する。第1の基板部分14は、例えば多層からなるガラスエポキシ基板(FR-4)である。
【0017】
基板11の第2の基板部分15は、平面形状が矩形を有し、第1の基板部分14と同じ厚みで貫通孔14H内に配されて第1の基板部分14と一体化している絶縁性を有する部分である。言い換えれば、第2の基板部分15は、第1の基板部分14の貫通孔14Hを塞ぐように設けられている。
【0018】
第2の基板部分15は、第1の基板部分14よりも熱伝導率の高い材料からなる。例えば、第2の基板部分15は、熱伝導率が0.25~0.45W/m・Kであるガラスエポキシ基板(第1の基板部分14)よりも熱伝導率が高い、熱伝導率が180~200W/m・Kである窒化アルミニウム(AlN)基板である。
【0019】
発光装置12は、第2の基板部分15の前面に設けられており、複数の発光素子を含んで構成される。なお、具体的な発光装置12の構成については後述する。
【0020】
駆動用素子13は、第1の基板部分14の前面に設けられており、IC(Integrated Circuit)や保護素子、コンデンサ、抵抗器等の、外部装置からの信号によって発光装置12における複数の発光素子の各々を駆動するために用いられる素子である。
【0021】
なお、
図1及び
図2においては、駆動用素子13が第1の基板部分14の前面に設けられていることを表すために模式的に駆動用素子13を示しているに過ぎず、駆動用素子13の配置態様は適宜設計できる。
【0022】
また、第1の基板部分14及び第2の基板部分15の前面には、複数の発光素子の各々に電力供給をするために接続される配線や、複数の発光素子の各々と駆動用素子13とを電気的に接続するための配線が設けられているが、
図1及び
図2においてはこれらを省略している。なお、第2の基板部分15の上面及びその周囲の第1の基板部分14の上面に設けられている配線については後述する。
【0023】
[収容ホルダ120]
次に、収容ホルダ120の構成について説明する。収容ホルダ120は、ベース部17と筒壁部18とモジュール収容部19とソケット部21とが一体となって構成されている。
【0024】
ベース部17は平面形状が略円形の板状の部分である。
【0025】
筒壁部18は、ベース部17の前面の略中央から前方に向かって突出している筒状の部分である。筒壁部18は、筒壁部18の外周面に沿って間隔をあけて設けられかつ当該外周面から高さ方向及び幅方向にそれぞれ突出した4つの爪部18Cを有している。
【0026】
モジュール収容部19は、平面視において筒壁部18の内部を塞ぐように設けられた円板状の部分である。モジュール収容部19は、モジュール収容部19の前面19Sと当該前面19Sよりも前方の筒壁部18の内周面とによって発光モジュール110を収容する収容空間を形成している。
【0027】
モジュール収容部19は、モジュール収容部19をベース部17ごと長さ方向に貫通する平面形状が矩形の貫通孔19H1と、当該貫通孔19H1よりも下方に設けられかつモジュール収容部19をベース部17ごと長さ方向に貫通する平面形状が矩形の貫通孔19H2とを有している。平面視において、貫通孔19H2は、貫通孔19H1よりも大きさが小さく設けられている。
【0028】
ソケット部21は、ベース部17の後面において貫通孔19H2を囲いつつベース部17の後面から後方に向かって突出している筒状の部分である。
【0029】
収容ホルダ120は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)などの絶縁樹脂材料からなる。なお、収容ホルダ120は、例えばセラミック、金属、カーボンブラックなどの熱伝導率の高いフィラーを樹脂に添加したものを用いてもよい。
【0030】
なお、収容ホルダ120には、平面形状が環状のOリング22が筒壁部18の外周面に沿って配されかつベース部17の前面に接触した状態で取り付けられている。Oリング22は、例えば、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料からなるパッキンである。
【0031】
[放熱器130]
次に、放熱器130の構成について説明する。放熱器130は、ベース部24と受熱部25と放熱フィン26とが一体となって構成されている。
【0032】
ベース部24は平面形状が略円形の板状の部分である。
【0033】
受熱部25は、ベース部24の前面の略中央から前方に向かって突出している略直方体状の部分である。受熱部25の前面25Sは、発光モジュール110に生じる熱を受ける受熱面である。
【0034】
放熱フィン26は、ベース部24の後面から後方に向かって突出しており、各々が幅方向に列をなして複数設けられている板状の部分である。
【0035】
放熱器130は、例えば、アルミニウム(Al)や鉄(Fe)、銅(Cu)などの熱伝導性の高い金属からなる。また、放熱器130は、収容ホルダ120と同様に、例えばPET、PBT、PAなどの絶縁樹脂材料にセラミック、金属、カーボンブラックなどの熱伝導率の高いフィラーを添加して熱伝導性を向上した樹脂材料を用いることもできる。
【0036】
[給電コネクタ140]
次に、給電コネクタ140の構成について説明する。給電コネクタ140は、絶縁性を有する本体部31と本体部31を長さ方向に貫通しつつ本体部31に固定され、各々が幅方向に列をなして複数設けられている金属からなるリード端子32とから構成される。
【0037】
ここで、発光モジュール110、収容ホルダ120、放熱器130及び給電コネクタ140の互いの組み合わせについて説明する。上述した収容ホルダ120及び放熱器130は、収容ホルダ120及び放熱器130をインサート成形することにより一体化可能な構造となっている。具体的には、収容ホルダ120と放熱器130とは、収容ホルダ120の貫通孔19H1に放熱器130の受熱部25が嵌合されることにより、収容ホルダ120のベース部17の後面と放熱器130のベース部24の前面とが対向した状態で固定される。
【0038】
また、収容ホルダ120と放熱器130とが一体化されることにより、モジュール収容部19の前面19Sと受熱部25の前面25Sとが同一平面上に配される。モジュール収容部19の前面19Sと受熱部25の前面25Sとの界面には、当該界面の気密性を確保するための樹脂からなるシール材28が設けられている。
【0039】
収容ホルダ120と放熱器130とが一体化された際に、放熱器130の受熱部25の前面25Sには、熱伝導性接着剤29を介して発光モジュール110の基板11が取り付けられる。言い換えれば、放熱器130は、発光モジュール110と熱的に接続されている。熱伝導性接着剤29は、例えばアルミナ(Al2O3)粒子、フレーク状グラファイトフィラーが含有されたシリコーン樹脂からなる。
【0040】
収容ホルダ120の貫通孔19H2には、給電コネクタ140の本体部31が挿入されて固定されている。給電コネクタ140の本体部31が貫通孔19H2内に固定されることにより、モジュール収容部19の前面19S及びベース部17の後面からは給電コネクタ140のリード端子32がそれぞれ突き出している。
【0041】
モジュール収容部19の前面19Sから突き出たリード端子32の各々は、発光モジュール110の基板11の第1の基板部分14に設けられた端子孔(図示せず)を貫通するようにそれぞれ挿入され、第1の基板部分14の前面においてはんだ接合によって固定されている。当該接合により、リード端子32の各々と第1の基板部分14の前面に形成された配線(図示せず)とが電気的に接続される。
【0042】
また、ベース部17の後面から突き出たリード端子32の各々は、収容ホルダ120のソケット部21内に配される形となる。このリード端子32を内包するソケット部21は、例えば外部電源に備えられた電気プラグと接続可能になっている。従って、外部電源からリード端子32を介して発光モジュール110の基板11に電力が供給されることにより、光源装置100は駆動される。
【0043】
[発光装置及び発光装置近傍の詳細な構成]
ここで、
図3及び
図4を用いて、発光装置12及び発光装置12の近傍の詳細な構成について説明する。
図3は、
図1における発光モジュール110の第2の基板部分15を含むA部を示す平面図である。
図4は、
図3における4-4線に沿った断面図である。
【0044】
なお、以下においては、説明の煩雑化を避けるために基板11に垂直な方向を上下方向として説明する。例えば、
図1及び
図2における基板11の「前面」を、
図3及び
図4における基板11の「上面」として説明する。
【0045】
また、
図3においては、図示の煩雑化を避けるために
図4に示す封止部52を省略している。また、
図3においては、第2の基板部分15の対向する一組の辺と平行な第2の基板部分15の上面の中心線を中心線CL1として示し、当該中心線CL1に垂直に交わる第2の基板部分15の上面の中心線を中心線CL2として示す。
【0046】
まずは、発光装置12が配されている基板11の詳細な構成について説明する。上述したように、基板11は、第1の基板部分14と第2の基板部分15とが一体化されて構成されている。具体的には、第1の基板部分14と第2の基板部分15とは、第1の基板部分14の貫通孔14Hと第2の基板部分15との間に設けられた接着層35によって互いに接合されている。
【0047】
接着層35は、例えば、第1の基板部分14(ガラスエポキシ基板)を製造する際にコア層の積層に用いられる絶縁性を有するプリプレグ(ガラス繊維を含むエポキシ樹脂)からなる。従って、第1の基板部分14と第2の基板部分15とは、接着層35を介して一体化されると共に互いに絶縁されている。
【0048】
このように第1の基板部分14と第2の基板部分15との間に接着層35が設けられていることにより、発光装置12における発光素子の駆動時に生じた熱が第2の基板部分15に伝わった際に当該熱が第1の基板部分14に伝わり難くなる。すなわち、発光素子の駆動時に生じた熱が第1の基板部分14の上面に設けられた駆動用素子13に伝わることを抑制できる。
【0049】
基板11の下面には、Cu等の熱伝導率の高い金属からなる熱拡散膜37が形成されている。熱拡散膜37は、第2の基板部分15の下面全体を覆いつつ第1の基板部分14の下面に至っており、外縁が貫通孔14Hの外縁に沿って形成されている。言い換えれば、熱拡散膜37は、基板11の下面に垂直な方向から見た平面視において貫通孔14Hを塞ぎつつ貫通孔14Hよりも僅かに大きく形成されている。
【0050】
つまり、熱拡散膜37は、第1の基板部分14の下面において貫通孔14Hの外縁近傍にのみ形成されており、第1の基板部分14の下面の大部分には形成されていない。よって、熱拡散膜37は、第1の基板部分14とほとんど接しておらず、熱拡散膜37から第1の基板部分14への直接の熱の移動はほとんどない。
【0051】
熱拡散膜37がこのように形成されていることにより、発光装置12における発光素子の駆動時に生じた熱が第2の基板部分15を介して熱拡散膜37に伝わった際に、当該熱が第1の基板部分14に熱拡散膜37から直接的に伝わってしまうことを抑制しつつ当該熱を放熱器130側へと拡散させることができる。すなわち、熱拡散膜37はヒートスプレッダとして機能する。
【0052】
また、熱拡散膜37は、発光モジュール110の製造時において第1の基板部分14と第2の基板部分15との固定強度を高める接合補強材としても機能する。
【0053】
上述したように、発光モジュール110の基板11は、熱伝導性接着剤29を介して放熱器130の受熱部25の上面25Sに接合されている。従って、発光装置12における発光素子の駆動時に生じた熱は、第2の基板部分15、熱拡散膜37及び熱伝導性接着剤29を介して放熱器130によって放熱される。
【0054】
次に、発光装置12の詳細な構成について説明する。発光装置12は、第2の基板部分15の上面に配された第1発光素子41~第6発光素子46と、第1発光素子41~第6発光素子46の各々を囲う枠体51と、第1発光素子41~第6発光素子46の各々を封止する封止部52とから構成される。
【0055】
第1発光素子41~第6発光素子46は、各々が矩形の平面形状を有し、第1発光素子41と第4発光素子44、第2発光素子42と第3発光素子43、及び第5発光素子45と第6発光素子46がそれぞれ中心線CL1を挟んで互いに中心線CL1から等間隔で対向するように配されている。
【0056】
すなわち、第1発光素子41と第4発光素子44、第2発光素子42と第3発光素子43、及び第5発光素子45と第6発光素子46は、それぞれ中心線CL1に対して線対称となるように配されている。
【0057】
第5発光素子45及び第6発光素子46は、平面視において第1発光素子41~第4発光素子44の各々よりも内側にかつ第2の基板部分15の中央寄りに配されている。また、第5発光素子45及び第6発光素子46は、第1発光素子41~第4発光素子44よりも平面視における大きさが小さいものが用いられる。
【0058】
第1発光素子41~第6発光素子46は、各々が赤色の波長を有する光を放出する発光層を含む半導体層からなる発光ダイオード(LED:Light Emission Diode)である。第1発光素子41~第6発光素子46の各々は、当該発光層から放出された赤色光を上面から出射させる。
【0059】
枠体51は、平面視において環状を有し、第2の基板部分15の上面において第1発光素子41~第6発光素子46の各々を囲う円筒状の部材である。枠体51は、第1発光素子41~第6発光素子46の各々から発せられる赤色光を反射させる光反射性を有する。枠体51は、例えば酸化チタン(TiO2)を含むシリコーン樹脂からなる。
【0060】
封止部52は、第2の基板部分15の上面において枠体51の内側から上方に向かって突出しているドーム状の透明な封止部材である。封止部52は、枠体51の内側において第1発光素子41~第6発光素子46及びそれらを電気的に接続すべく第2の基板部分15上に配された配線及びワイヤを、第2の基板部分15上の空間において封止している。
【0061】
封止部52は、例えば、シリコーン樹脂等の第1発光素子41~第6発光素子46の各々から発せられる赤色光に対して透光性を有する材料からなる。なお、封止部52の形状は、ドーム状を有していなくてもよく、例えば第2の基板部分15の上面と平行な平坦面を有していてもよい。
【0062】
次に、第1発光素子41~第6発光素子46の各々に接続される配線の構成について説明する。以後、
図3に示すように、第2の基板部分15の上面における図中左右の辺をそれぞれ辺15YA、辺15YBとし、図中上下の辺をそれぞれ辺15ZA、辺15ZBとして説明を進める。また、
図3に示す領域Aを中心線CL1と中心線CL2とによって4つの領域に分割し、当該4つの領域を、それぞれ第1発光素子41が載置される第1区画、第2発光素子42が載置される第2区画、第3発光素子43が載置される第3区画、第4発光素子44が載置される第4区画として説明を進める。
【0063】
第2の基板部分15の上面及びその周囲の第1の基板部分14の上面には、相互に短絡しない距離で互いに離隔しており、各々電気伝導性の高い銅(Cu)材の表面に金(Au)めっきが施された第1配線61~第8配線68が形成されている。
【0064】
第1配線61は、辺15YAと辺15ZBとによってなされる第2の基板部分15の角部C1及びその周辺部を覆いつつ、第1の基板部分14と第2の基板部分15とに跨って延在している。すなわち、第1配線61は角部C1を含む第1区画の多くの部分を覆っている。第1配線61は、第2発光素子42の下面に設けられた下面電極(図示せず)に接合されている。
【0065】
第1配線61には、一端が第1発光素子41の上面に設けられた上面電極(図示せず)に接合されたボンディングワイヤWの他端が接合されている。すなわち、第1配線61は、ボンディングワイヤWを介して第1発光素子41と電気的に接続されている。例えば、ボンディングワイヤWはAuワイヤである。
【0066】
第2配線62は、辺15YBと辺15ZBとによってなされる第2の基板部分15の角部C2及びその周辺部を覆いつつ、第1の基板部分14と第2の基板部分15とに跨って延在している。すなわち、第2配線62は角部C2を含む第2区画の多くの部分を覆ている。
【0067】
第2配線62には、一端が第2発光素子42の上面に配された上面電極(図示せず)に接合されたボンディングワイヤWの他端が接合されている。すなわち、第2配線62は、ボンディングワイヤWを介して第2発光素子42と電気的に接続されている。
【0068】
第3配線63は、辺15YBと辺15ZAとによってなされる第2の基板部分15の角部C3及びその周辺部を覆いつつ、第1の基板部分14と第2の基板部分15とに跨って延在している。第3配線63は、第4発光素子44の下面に配された下面電極(図示せず)に接合されている。すなわち、第3配線63は角部C3を含む第3区画の多くの部分を覆っている。
【0069】
第3配線63には、一端が第3発光素子43の上面に配された上面電極(図示せず)に接合されたボンディングワイヤWの他端が接合されている。すなわち、第3配線63は、ボンディングワイヤWを介して第3発光素子43と電気的に接続されている。
【0070】
第4配線64は、辺15YAと辺15ZAとによってなされる第2の基板部分15の角部C4及びその周辺部を覆いつつ、第1の基板部分14と第2の基板部分15とに跨って延在している。すなわち、第4配線64は角部C4を含む第4区画の多くの部分を覆っている。
【0071】
第1配線61、第2配線62、第3配線63、第4配線64の各々は、各々の区画の角部C1、C2、C3、C4を構成する辺(辺15YAの下半分と辺15ZB左半分、辺15ZBの右半部と辺15YBの下半分、辺15YBの上半分と辺15ZAの右半分、辺15ZAの左半分と辺15YAの上半分)の各角部から1/3以上を覆うことが好ましい。好適には、1/2以上を覆っていることがよい。
【0072】
第4配線64には、一端が第4発光素子44の上面に配された上面電極(図示せず)に接合されたボンディングワイヤWの他端が接合されている。すなわち、第4配線64は、ボンディングワイヤWを介して第4発光素子44と電気的に接続されている。
【0073】
第5配線65は、第1配線61と第4配線64との間において中心線CL1に沿って伸張しつつ、第1の基板部分14と第2の基板部分15とに跨って延在している。言い換えれば、第5配線65は、辺15YAの垂直二等分線に沿って辺15YAを跨いで配されている。第5配線65は、第1発光素子41の下面に配された下面電極(図示せず)に接合されている。すなわち、第5配線65は中心線CL1に沿って第1区画の1/4程度の部分を覆っている。
【0074】
第6配線66は、第2配線62と第3配線63との間において中心線CL1に沿って伸張しつつ、第1の基板部分14と第2の基板部分15とに跨って延在している。言い換えれば、第6配線66は、辺15YBの垂直二等分線に沿って辺15YBを跨いで配されている。第6配線66は、第3発光素子43の下面に配された下面電極(図示せず)に接合されている。また、第6配線66は、第1の基板部分14の内部に設けられた内部配線(図示せず)を介して第2配線62と電気的に接続されている。すなわち、第6配線66は中心線CL1に沿って第3区画の1/4程度の部分を覆っている。
【0075】
第5配線65及び第6配線66は、第1配線61~第4配線64の各々よりも幅が狭く設けられている。言い換えれば、第2の基板部分15の角部C1~C4及びその各々の周辺部には、第5配線65及び第6配線66よりも平面視における大きさが大きい第1配線61~第4配線64がそれぞれ配されている。
【0076】
上述のように、第5配線65は第1発光素子41に電気的に接続され、第1配線61は第1発光素子41及び第2発光素子42に電気的に接続され、第2配線62は第2発光素子42及び第6配線66に電気的に接続され、第6配線66は第3発光素子43に電気的に接続され、第3配線63は第3発光素子43及び第4発光素子44に電気的に接続され、第4配線64は第4発光素子44に電気的に接続されている。
【0077】
従って、第1の配線パターンとしての第1配線61~第6配線66は、第1発光素子41~第4発光素子44の各々を電気的に直列に接続している。すなわち、第5配線65が第1発光素子41~第4発光素子44の直列接続の一端側を担っており、第4配線64が当該直列接続の他端側を担っている。
【0078】
第7配線67は、第2配線62と第6配線66との間において、中心線CL1に沿って伸張しつつ、第1の基板部分14と第2の基板部分15とに跨って延在している。言い換えれば、第7配線67は、辺15YBの垂直二等分線に沿って辺15YBを跨いで配されている。すなわち、第7配線67は中心線CL1に沿って第2区画の僅か部分を覆っている。
【0079】
第7配線67は、第1配線61~第6配線66の各々よりも幅が狭く形成されている。また、第7配線67は、第5発光素子45の下面に配された下面電極(図示せず)に接合されている。
【0080】
第8配線68は、第2配線62と第6配線66との間において、第7配線67と隣り合うように中心線CL1に沿って伸張しつつ、第1の基板部分14と第2の基板部分15とに跨って延在している。言い換えれば、第8配線68は、辺15YBの垂直二等分線に沿って辺15YBを跨いで配されている。すなわち、第8配線68は中心線CL1に沿って第3区画の僅か部分を覆っている。
【0081】
第8配線68は、第1配線61~第6配線66の各々よりも幅が狭く形成されている。また、第8配線68は、第6発光素子46の下面に配された下面電極(図示せず)に接合されている。
【0082】
なお、上述した第4配線64には、一端が第5発光素子45の上面に配された上面電極(図示せず)に接合されたボンディングワイヤWの他端及び一端が第6発光素子46の上面に配された上面電極(図示せず)に接合されたボンディングワイヤWの他端が接合されている。すなわち、第4配線64は、ボンディングワイヤWを介して第5発光素子45及び第6発光素子46と電気的に接続されている。
【0083】
上述のように、第7配線67は第5発光素子45と電気的に接続され、第4配線64は第5発光素子45と電気的に接続されている。また、第8配線68は第6発光素子46と電気的に接続され、第4配線64は第6発光素子46と電気的に接続されている。第7配線67及び第8配線68には共通の電圧が印加される。従って、第2の配線パターンとしての第7配線67及び第8配線68は、第5発光素子45及び第6発光素子46をそれぞれ電気的に並列に接続している。
【0084】
本実施例における光源装置100は、例えば、車両に搭載される制動灯(ブレーキランプ)と尾灯(テールランプ)とを組み合わせたリアコンビネーションランプの光源として用いられる。このように用いられる際には、例えば、直列接続された第1発光素子41~第4発光素子44が比較的大きい駆動電力で駆動される制動灯として使用され、並列接続された第5発光素子45及び第6発光素子46が比較的小さい駆動電力で駆動される尾灯として使用される。
【0085】
尾灯としての第5発光素子45及び第6発光素子46は並列駆動されるため、一方の発光素子の配線が断線された場合でも他方の発光素子の点灯が担保される。さらに、当該断線した側に供給されるべき電力が他方の発光素子に供給されるので点灯光束も担保される。そのため、尾灯としての第5発光素子45及び第6発光素子46は、どちらか一方の配線が断線したとしても明るさが損なわれない発光素子となっている。
【0086】
第1発光素子41~第6発光素子46は、その駆動時において駆動用素子13よりも発熱量が大きい。そのため、第1発光素子41~第6発光素子46を第1の基板部分14(ガラスエポキシ基板)よりも熱伝導率の高い第2の基板部分15(窒化アルミ基板)の上面に配置することによって、第1発光素子41~第6発光素子46の駆動時に生じた熱を第2の基板部分15及び放熱器130を介して効率よく逃がすことができる。
【0087】
また、駆動用素子13を、配線の取り回しの自由度が高く接着層35によって第2の基板部分15と隔てられている第1の基板部分14(ガラスエポキシ基板)の上面に配置することによって、第1発光素子41~第6発光素子46の駆動時に生じた熱が駆動用素子13に直接的に影響しにくくなる。よって、当該熱により駆動用素子13がオーバーヒートしてしまうことを抑制することができる。
【0088】
ここで、第1の基板部分14(ガラスエポキシ基板)と第2の基板部分15(窒化アルミ基板)とからなる基板11を用いる場合には、互いの熱膨張係数が異なるために、具体的にはガラスエポキシ基板の熱膨張係数が14~15ppm/℃、窒化アルミ基板の熱膨張係数が4.6ppm/℃であるために、光源装置の製造時や使用環境下における温度変化によって基板11の上面に形成された配線に断線が生じることがある。
【0089】
例えば、上述した封止部52を形成するために枠体51内に充填した樹脂を熱硬化させる際には、当該樹脂が収縮することにより、第2の基板部分15のすなわち窒化アルミ基板の上面を内方に収縮させる収縮応力が生じる。この収縮応力によって第1の基板部分14と第2の基板部分15との間にズレが生じたり、第2の基板部分15が第1の基板部分14から離隔する変形が生じ得る。これにより、第1の基板部分14と第2の基板部分15とを跨いで配された配線に断線が生じることがある。
【0090】
本実施例によれば、上述したように、平面視において第1配線61~第4配線64の各々が、第2の基板部分15の角部C1~C4及びその各々の周辺部をそれぞれ覆いつつ、第1の基板部分14と第2の基板部分15とに跨って配されている。言い換えれば、第1配線61~第4配線64の各々は、変形が大きくなり得る第2の基板部分15の角部C1~C4及びその周辺部を抑え込んでいる。
【0091】
また、第1配線61~第4配線64の各々が角部C1~C4の各々を抑え込むことで辺15YA、15YB、15ZA、15ZBの中点付近の変形を極めて僅かに抑え込むことができるので、当該各辺の中点近傍に細線を跨いで配置することが可能となる。よって、第2の基板部分15の平面形状は円形より矩形が好ましく、好適には枠体51に外接する矩形形状がよい。
【0092】
従って、本実施例によれば、上述したような第2の基板部分15が樹脂硬化時の収縮応力を受けた場合であっても、第2の基板部分15が変形して第1の基板部分14と第2の基板部分15との間にズレが生じることや、第2の基板部分15が第1の基板部分14から離隔することを抑制することができる。
【0093】
これにより、第2の基板部分15の中心線CL1に沿った部分の変形も抑制することができるため、例えば第7配線67や第8配線68のように幅の小さい配線を第1の基板部分14と第2の基板部分15とを跨いで配した場合であっても、当該配線に断線が生じることを抑制することができる。
【0094】
従って、本実施例によれば、光源装置100の製造時に配線の断線が生じることを防ぎつつ、発光モジュール110における発光素子の駆動時に生じる熱が駆動用素子に影響することを抑制することができる。
【0095】
[光源装置100の作製方法]
ここで、
図1~
図4を参照しつつ、本実施例における光源装置100の作製方法について説明する。なお、ここでも基板11に垂直な方向を上下方向として説明する。
【0096】
光源装置100の説明に先立ち、実施例に用いた基板11の製造方法について説明する。まず、内部にジャンパ配線された第1の基板部分14(多層基板)の貫通孔14Hに接着層35を介して第2の基板部分15を埋設及び接着した複合基板を用意する。次に、当該複合基板の両表面に無電解メッキ及び電界メッキでCu層を形成する。Cu層は当該基板に銅箔を加熱圧着して形成することもできる。その後、上面に第1配線61~第8配線68を含む配線と、下面(裏面)に熱拡散膜37をパターニングして基板11を得る。
【0097】
まず、第1の基板部分14及び第2の基板部分15からなる基板11を準備し、第2の基板部分15の上面に発光装置12を実装する(ステップ1、発光装置実装工程)。
【0098】
具体的には、種々の配線が形成された基板11の第2の基板部分15の上面にAuSn粒子からなるソルダーペーストはんだを塗布し、第1発光素子41~第6発光素子46の各々を載置して加熱する。これによりソルダーペーストはんだに含まれるAuSn粒子が溶融されかつ固化されることによって、第1発光素子41~第6発光素子46の各々が第2の基板部分15の上面に接合される。
【0099】
その後、
図3に示すように、第1発光素子41~第6発光素子46の各々とこれらに接続される配線とに対してボンディングワイヤWを接合し、枠体51となる樹脂を第1発光素子41~第6発光素子46の各々を囲むように塗布する。そして、枠体51内において第1発光素子41~第6発光素子46とこれらに接続された配線、及びボンディングワイヤWを封止するように封止部52となる透明な樹脂を注入し、当該樹脂を熱硬化させる。これにより、第2の基板部分15の上面に設けられた発光装置12が得られる。
【0100】
次に、第1の基板部分14の上面に駆動用素子13を実装する(ステップ2、駆動用素子実装工程)。
【0101】
具体的には、第1の基板部分14の上面に形成された配線パターンに合わせてメタルマスクを行い、はんだ印刷を行った後に駆動用素子13の各々を載置し、リフローを実施する。これにより駆動用素子13を第1の基板部分14の上面に実装することができる。上述したステップ1及びステップ2により、本実施例の光源装置100における発光モジュール110が作製される。
【0102】
最後に、上述したステップ1及びステップ2にて作製した発光モジュール110と、収容ホルダ120と、放熱器130と、給電コネクタ140とを組み合わせて、光源装置100を作製する(ステップ3、光源装置組み立て工程)。
【0103】
まずは、放熱器130の受熱部25を収容ホルダ120の貫通孔19H1内に挿入し、収容ホルダ120と放熱器130とを一体化する。また、給電コネクタ140を収容ホルダ120の貫通孔19H2内に挿入して固定する。
【0104】
そして、モジュール収容部19の上面19Sと受熱部25の上面25Sとの界面にシール材28を塗布すると共に、受熱部25の上面25S上に熱伝導性接着剤29を塗布し、発光モジュール110を組み付けて熱硬化(120℃・1h)させる。
【0105】
その後、給電コネクタ140のリード端子32を基板11の第1の基板部分14の端子孔(図示せず)に挿入すると共に当該部分にはんだ付けを行うことで、基板11とリード端子32とを電気的に接続させる。これにより、発光装置12及び駆動用素子13に対して給電可能となる。そして、最後にOリング22を収容ホルダ120の筒壁部18の外周面に沿った状態で取り付ける。以上のステップ1~3により、本実施例における光源装置100を作製することができる。
【0106】
なお、本実施例における光源装置100の発光装置12には、上述したLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。また、発光装置12の第1発光素子41~第6発光素子46の各々から出射される光は赤色光に限られず、使用する車両用灯具の種類に応じて橙色光または白色とすることができる。例えば、方向指示器(ターニングランプ)に用いる場合は橙色光であり、前照灯(ロービーム、ハイビーム)または車幅灯(ポジションランプ)に用いる場合は白色光となる。
【0107】
また、本実施例においては、基板11が、第1の基板部分14の貫通孔14H内に第2の基板部分15が配されて一体化されているものとして説明したが、その構成はこれに限られない。例えば、基板11は、第1の基板部分14の一部を凹ませた凹部の内側に第2の基板部分15が配置された構成であってもよい。また、基板11は、上述した接着層35を介して第1の基板部分14と第2の基板部分15とが一体化された構成に限らず、貫通孔14Hや凹部の内側に直接嵌め込まれた構成であってもよい。
【0108】
[光源装置100の使用例]
以下に、
図5を用いて光源装置100の使用例について説明する。
図5は、光源装置100を用いた車両用灯具200の側面図である。なお、
図5においては、説明の簡便化を図るためにランプハウジング210のみ断面を示している。
【0109】
車両用灯具200は、上述した光源装置100と、光源装置100の発光モジュール110を覆うように収容ホルダ120に取り付けられたランプハウジング210とから構成される。
【0110】
ランプハウジング210は、収容ホルダ120の筒壁部18を覆う筒状の光源ソケット71と、光源ソケット71から図中左方に向かって拡がるように設けられ、内面が光源装置100から出射される赤色光に対して反射性を有する中空の円錐台状のリフレクタ72と、リフレクタ72の開口を塞ぐように設けられた透明なアウターレンズ73と、を有している。
【0111】
ランプハウジング210は、光源ソケット71が収容ホルダ120の筒壁部18に設けられた4つの爪部18Cと噛み合って固定されることにより、Oリング22を介して着脱自在に取り付けられている。
【0112】
このように構成された車両用灯具200は、例えば、上述したような制動灯(第1発光素子41~第4発光素子44)と尾灯(第5発光素子45~第6発光素子46)とを組み合わせたリアコンビネーションランプとして、車両の後端の両コーナーにそれぞれ設けられる。
【0113】
なお、本実施例においては、光源装置100をリアコンビネーションランプの光源として用いる場合について説明したが、その使用方法はこれに限られない。例えば、光源装置100を、車両用前照灯(ヘッドランプ)、車幅灯(ポジションランプ)、補助前照灯(サブヘッドランプ)、前部(後部)霧灯(フォグランプ)、昼間点灯用(DRL)ランプ、リッドランプ、テールランプ、ブレーキランプ(ストップランプ)、バックランプ、方向指示器(ウィンカーランプ)などの車両用灯具に幅広く適用することが可能である。