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  • 特開-コンテナ専用車用荷役装置 図1
  • 特開-コンテナ専用車用荷役装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089723
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】コンテナ専用車用荷役装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/48 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B60P1/48 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205091
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】522497434
【氏名又は名称】株式会社興洋自工
(74)【代理人】
【識別番号】100076093
【弁理士】
【氏名又は名称】藤吉 繁
(72)【発明者】
【氏名】菅原 善隆
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小さなパワーの油圧アクチュエータでもコンテナの引き揚げ作業を円滑に行うことが出来ると共に車台フレームと荷役アームの強度は従来のものより低くても良いコンテナ専用車用荷役装置を提供する。
【解決手段】コンテナを積載する車台フレーム1と、略L字形に屈曲し、内角側を下方に向けて、車台フレームに対して起伏自在に一端が枢支せしめられた荷役アーム2と、荷役アームと車台フレームとの間に介装され、油圧によって伸縮して荷役アームを起伏させる油圧アクチュエータ3からなるコンテナ専用車用荷役装置において、前記荷役アームの開放端側には、端部にコンテナ7と結合するためのフック6を有する延長腕材18が伸縮自在状態で取付けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナを積載する車台フレームと、略L字形に屈曲し、内角側を下方に向け、車台フレームに対して起伏自在に一端が枢支せしめられた荷役アームと、荷役アームと車台フレームとの間に介装され、油圧によって伸縮して荷役アームを起伏させる油圧アクチュエータからなり、前記荷役アームの開放端側には、端部にコンテナと結合するためのフックを有する延長腕材が伸縮自在状態で取付けられていることを特徴とするコンテナ専用車用荷役装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコンテナ専用車用荷役装置、詳しくは、より少ないパワーで円滑にコンテナの積み下ろし作業を実施出来るコンテナ専用車用荷役装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンテナ(荷箱)を自力で車体上に積み下ろし出来る荷役装置を装着したトラックは、脱着装置付きコンテナ専用車とも呼ばれ、一台のコンテナ専用車で複数のコンテナに対応することが可能で、作業効率が良く、産業廃棄物の運搬処理作業をはじめ、多くの産業活動の場において広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】なし
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的なコンテナ専用車は、図1乃至3に示す様に、後端部にローラー10を有し、その上面にコンテナ7を積載する車台フレーム1と、略L字形に屈曲し、内角側Aを下方に向けて車台フレーム1に対して一端が枢支せしめられ、車体の前後方向に対して起伏自在になっている荷役アーム20と、荷役アーム20と車台フレーム1との間に介装され、油圧によって伸縮し、前記荷役アーム20を起伏させる油圧アクチュエータ3からなる荷役装置21を車体5に取付けたものであり、図1に示す様に、油圧アクチュエータ3を伸長させて、荷役アーム20の開放端22側を下降させ、その先端に取り付けられているフック6をコンテナ7の側壁8に設けられている係合金具9に係合させ、油圧アクチュエータ3の短縮動作により、図2に示す様に、荷役アーム20を引き起こし、ローラー10に接触させながら、コンテナ7を車台フレーム1上に引き上げ、図3に示す様に、所定の位置に載置する様にしていた。
【0006】
つまり、この従来のコンテナ専用車においては、油圧アクチュエータ3でL字形の荷役アーム20を起伏させることにより、コンテナ7を引き上げて車台フレーム1上の所定の位置まで移動させており、油圧アクチュエータ3のパワーに全面的に依存していた。
【0007】
図1に示すコンテナ7の車台フレーム1への引き上げ作業の初期段階においては、荷役アーム20は下降しており、それに伴い、車台フレーム1に対する荷役アーム20の仰角閧烽ゥなり小さいので、この状態において油圧アクチュエータ3を短縮させて荷役アーム2を引き起こすには、回転モーメント的にかなり大きなパワーを要し、それに見合った強力な油圧アクチュエータ3を用いる必要があった。
しかも、車台フレーム1と荷役アーム20は、この引き起こし動作の際の力に耐えられる様、十分に強度を高める必要があった。
【0008】
一方、図2に示す様に、荷役アーム20がある程度立ち上がった後は、回転モーメント的には引き起こしの初期段階の様に、強力なパワーを必要とせず、引き起こしの進行に伴い、必要なパワーは急激に減少する。
【0009】
つまり、従来のコンテナ専用車用の荷役装置においては、コンテナ7の引き上げ作業の初期段階に対応出来るだけの大きなパワーを有する油圧アクチュエータ3を用いる必要があり、それに伴い車体フレーム1と荷役アーム20は高負荷に耐えられる様、強度を十分高める必要があったが、これらはコスト及び作業効率の面からは、大きな問題であった。
【0010】
本発明者は、コンテナ専用車用の荷役装置に関する上記問題点を解決すべく鋭意研究を行った結果、荷役アームに工夫を加えることにより、従来のものよりはるかに小さなパワーの油圧アクチュエータでもコンテナの引き上げ作業を円滑に行うことが出来ると共に、車台フレームと荷役アームの強度は従来のものより低くても良いコンテナ専用車用荷役装置を開発することに成功し、本発明としてここに提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
コンテナを積載する車台フレームと、略L字形に屈曲し、内角側を下方に向け、車台フレームに対して起伏自在に一端が枢支せしめられた荷役アームと、荷役アームと車台フレームとの間に介装され、油圧によって伸縮して荷役アームを起伏させる油圧アクチュエータからなるコンテナ専用車用の荷役装置において、前記荷役アームの開放端側に、端部にコンテナと結合するためのフックを有する延長腕材を伸縮自在状態で取付けることにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0012】
コンテナを車台フレーム上に引き上げ様とするときは、図4に示す様に、荷役アームの開放端側に取付けられている延長腕材が短縮している状態から、図5 に示す様に、この延長腕材を伸長させ、その端部に取付けられているフックをコンテナの側壁に設けられている係合金具に引っ掛け、荷役アームと車台フレームとの間に介装されている油圧アクチュエータを短縮させ、図6に示す様に、荷役アームを引き起こし、車台フレームの後端に設けられたローラーに接触させながらコンテナを車台フレーム上に引き上げて、コンテナを車台フレームの所定の位置まで引き込み、載置固定する。
【0013】
コンテナの引き上げを開始するに当って、図5に示す様に、荷役アームの開放端側の延長腕材を伸長状態にするので、延長腕材の端部に取付けられているフックがコンテナの係合具に引っ掛けたスタート時において、延長腕材が設けられていない従来の荷役アームを用いた場合に比べ、荷役アームはかなり立ち上がるので、回転モーメントは従来のものに比べ格段に大きく、荷役アームの引き上げに要するパワーは少なくて済む。
【0014】
従って、コンテナの引き上げ作業の初期段階の為に強力なパワーの油圧アクチュエータを用いることなく、従来のものに比べ、小型、軽量、小パワーの油圧アクチュエータで足りるので、製造コスト、運用コスト共、従来のものより低く、それに伴い、各構成部分の強度も低くて良いので、耐久性も高く、従来のものに比べはるかに高機能である。
なお、延長腕材は、荷役作業時以外は、短縮するので、邪魔にならない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来のコンテナ専用車用荷役装置において、コンテナの車台フレームへの引き上げ作業の開始直前の状況の説明図。
図2】同じく、引き上げ途中の状況の説明図。
図3】同じく、引き上げ作業が完了した状況の説明図。
図4】この発明に係るコンテナ専用車用荷役装置を用いてコンテナの引き上げ作業を開始する前の状況の説明図。
図5】同じく、荷役アームのフックをコンテナの係合金具に係合させ、コンテナの引き上げを開始した状況の説明図。
図6】同じく、コンテナが引き上げられつつある状況の説明図。
図7】この発明の主要構成部分である延長腕材の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
コンテナを積載する車台フレームと、略L字形に屈曲し、内角側を下方に向け、車台フレームに対して起伏自在に一端が枢支せしめられた荷役アームと、荷役アームと車台フレームとの間に介装され、油圧によって伸縮して荷役アームを起伏させる油圧アクチュエータからなるコンテナ専用車用荷役装置において、前記荷役アームの開放端側に、端部にコンテナと結合するためのフックを有する延長腕材を伸縮自在状態で取付けることにより、上記課題を解決した。
【実施例0017】
図4乃至図7を参照しながら、この発明に係るコンテナ専用車用荷役装置の一実施例について説明する。
図中1は、コンテナ7を積載する車台フレームであり、車両11の運転席12の後方に位置しており、その後端にはコンテナ7の底面に接して転動するローラー10が枢支されている。
【0018】
又、図中2は、荷役アームであり、中空で柱状をなしたリフトアーム部14と、その端部から略L字形に屈曲して延設された中空で柱状のフックアーム部15とから構成されており、その内角側Aを下方に向け、車台フレーム1の前後方向中央付近にピン13によって枢支されており、車台フレーム1の前後方向に対して起伏出来る様になっている。
【0019】
そして、この荷役アーム2のリフトアーム部14の中央付近と車台フレーム1の前方よりの位置との間には、油圧アクチュエータ3がピン16,17によって介装されており、油圧によって伸縮し、荷役アーム2を起伏させられる様になっている。
【0020】
更に、図7に示す様に、荷役アーム2のフックアーム部15の外側には筒状の延長腕材18がテレスコピック状に装着されており、これらフックアーム部15及び延長腕材18の内側に取付けられている油圧アクチュエータ19により、この延長腕材18はフックアーム部15の軸芯に沿って伸縮自在になっている。
【0021】
又、このフックアーム部15の開放端側には、コンテナ7の側壁8に設けられている係合金具9に係合させるフック6が取付けられている。
【0022】
この実施例は上記の通りの構成を有するものであり、コンテナ7を車台フレーム1上に引き上げ様とするときは、図4に示す様に、荷役アーム2の開放端側に取付けられている延長腕材18が短縮している状態から、図5に示す様に、荷役アーム2のフックアーム部15にテレスコピック状に装着されているこの延長腕材18を油圧アクチュエータ19によって伸長させ、その端部に取付けられているフック6をコンテナ7の側壁8に設けられている係合金具9に引っ掛け、荷役アーム2のリフトアーム部14と車台フレーム1との間に介装されている油圧アクチュエータ3を短縮させ、図6に示す様に、荷役アーム2を引き起こし、車台フレーム1の後端に設けられたローラー10に接触させながらコンテナ7を車台フレーム1上に引き上げて、コンテナ7を車台フレーム1の所定の位置まで引き込み、載置固定する。なお、延長腕材18は、引き上げ作業終了後は、油圧アクチュエータ19を短縮させることにより、荷役アーム2に重ね合せて、その長さを減じる。
【0023】
コンテナ7の引き上げを開始するに当って、図5に示す様に、荷役アーム2のフックアーム部15に被せられている延長腕材18を伸長状態にするので、延長腕材18の端部に取付けられているフック6がコンテナ7の係合金具9に引っ掛けたスタート時において、車体フレーム1に対する荷役アーム2の迎角雍は延長腕材18が設けられていない従来の荷役アームに比べ、かなり大きいので、従来の荷役アーム2の場合に比べ、回転モーメントは格段に大きく、荷役アーム2の引き上げに要するパワーは従来のものに比べ少なくて済む。又、この際、車台フレーム1と荷役アーム2に過大な負荷がかかることはないので、車台フレーム1と荷役アーム2の強度も従来のものに比べ低くて良い。
【0024】
従って、コンテナ7の引き上げ作業の初期段階の為に過大なパワーの油圧アクチュエータを用いる必要はなく、従来のものに比べ、小型、軽量、小パワーの油圧アクチュエータで足りるので、製造コスト、運用コスト共、従来のものよりはるかに低く、又、各構成部分の強度も低くて良いので、耐久性も高く、従来のものに比べはるかに高機能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
建築業界、産業廃棄物業界、物流業界等において大いに利用価値がある。
【符号の説明】
【0026】
1 車台フレーム
2 荷役アーム
3 油圧アクチュエータ
4 荷役装置
5 車体
6 フック
7 コンテナ
8 側壁
9 係合金具
10 ローラー
11 車両
12 運転席
13 ピン
14 リフトアーム部
15 フックアーム部
16 ピン
17 ピン
18 延長腕材
19 油圧アクチュエータ
20 荷役アーム
21 荷役装置
22 開放端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7