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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089724
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】調理機器
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/04 20210101AFI20240627BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20240627BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20240627BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
F24C7/04 301A
F24C7/04 301Z
H05B6/12 324
F24C7/02 301J
F24C3/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205092
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(71)【出願人】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 守
(72)【発明者】
【氏名】本下 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】大西 郁雄
【テーマコード(参考)】
3K151
3L086
3L087
【Fターム(参考)】
3K151CA61
3K151CA63
3L086AA01
3L086AA13
3L086CA09
3L086CC02
3L086DA24
3L087AA03
3L087AA04
3L087BA04
3L087BC02
3L087DA05
(57)【要約】
【課題】消費電力及びコストを抑制しつつ、調理機器から外部に対して効率的にデータを送信する。
【解決手段】BLE基板16は、コンロ10に関するアプリケーションソフトが実行される情報端末30、及び、レンジフード100のBLE基板160との間で近距離無線通信を実行する。制御基板15は、BLE基板16によるデータ通信を制御する。レンジフード100は、サーバ50と通信接続するための無線LAN通信基板150を有する。BLE基板16,160の通信可能距離は、無線LAN通信基板150の通信可能距離よりも短い。BLE基板16は、制御基板15からの指令に従ってコンロ10の動作状態データをレンジフード100へ送信する第1近距離無線通信と、アプリケーションソフトからの指令に従って情報端末30との間でデータを送受信する第2近距離無線通信とを実行する様に構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理機器であって、
前記調理機器に関するアプリケーションソフトが実行される情報端末、及び、前記調理機器の外部機器との間で近距離無線通信するための通信部と、
前記通信部によるデータ通信を制御するための制御部とを備え、
前記外部機器は、サーバと通信接続するための無線通信機能を有し、かつ、前記近距離無線通信による通信可能距離は、前記外部機器の前記無線通信機能による通信可能距離よりも短く、
前記通信部は、
前記制御部からの指令に従って前記調理機器の動作状態データを前記外部機器へ送信する第1近距離無線通信と、
前記アプリケーションソフトからの指令に従って前記情報端末との間でデータを送受信する第2近距離無線通信とを実行する様に構成される、調理機器。
【請求項2】
前記第1近距離無線通信は、前記調理機器の電源オン状態中に予め定められた周期で繰り返し実行される前記動作状態データの送信を含む、請求項1記載の調理機器。
【請求項3】
前記第1近距離無線通信は、前記通信部がマルチロール機能のセントラルとして振る舞うことで実現される一方で、前記第2近距離無線通信は、前記通信部が前記マルチロール機能のペリフェラルとして振る舞うことで実現される、請求項1記載の調理機器。
【請求項4】
前記調理機器は、電池駆動式のガスコンロであり、
前記外部機器は、前記ガスコンロに対応して配設されたレンジフードである、請求項1~3のいずれか1項に記載の調理機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は調理機器に関し、より特定的には、調理機器からデータ送受信を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスコンロ等の調理機器とサーバとの間でデータ送受信を行うことで、当該調理機器の機能性を高めることが行われている。例えば、特開2020-12586号公報(特許文献1)には、加熱調理器とサーバ又は携帯情報端末との間で、レシピ等の調理支援情報、及び、温度の時間変化等を含む調理状態情報を送受信するシステムを構成することが記載される。
【0003】
特許文献1のシステムでは、加熱調理機器には、無線LAN(Local Area Network)モジュールで構成された通信部が搭載されて、加熱調理器及び携帯情報端末が、ネットワーク(インターネット)を介してサーバに接続されるとともに、加熱調理器と携帯情報端末とは、ルータを介して、又は、無線LANで直接接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-12586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、無線LAN通信は、通信距離が比較的長いため、Bluetooth(登録商標)方式による近距離無線通信と比較して消費電力が大きくなる。一方で、調理機器(例えば、ガスコンロ)では、電池を電源とするケースも多く、消費電力の低減は重要である。
【0006】
更に、調理機器の動作状態データをサーバ等に送信して、動作状態の管理或いは監視、又は、ビッグデータの収集をサーバ側で実行するニーズがあるが、調理機器での消費電力を削減しつつ、データを効率的に収集することが求められる。
【0007】
本発明はこの様な問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、消費電力の抑制を図りつつ、外部に対して効率的にデータを送信することが可能な調理機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面によれば、設備機器が提供される。設備機器は、通信部及び制御部を備える。通信部は、調理機器に関するアプリケーションソフトが実行される情報端末、及び、調理機器の外部機器との間で近距離無線通信を実行する。制御部は、通信部によるデータ通信を制御する。外部機器は、サーバと通信接続するための無線通信機能を有し、かつ、近距離無線通信による通信可能距離は、外部機器の無線通信機能による通信可能距離よりも短い。通信部は、制御部からの指令に従って調理機器の動作状態データを外部機器へ送信する第1近距離無線通信と、アプリケーションソフトからの指令に従って情報端末との間でデータを送受信する第2近距離無線通信とを実行する様に構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、消費電力及びコストを抑制して、外部に対して効率的にデータを送信することが可能な調理機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る調理機器の代表例として示されるコンロの配置例を説明する斜視図である。
図2】本実施の形態に係る調理機器を含む通信システムの構成を説明するブロック図である。
図3図2の通信システムにおけるコンロ10の動作状態データの収集処理を説明するシーケンス図である。
図4】サーバに蓄積されるコンロの動作状態データを説明する概念図である。
図5】サーバに蓄積されたコンロの動作状態データを活用したアプリによる処理例を示すシーケンス図である。
図6図2に示された通信システムの変形例を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下では、図中の同一又は相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る調理機器の代表例として示されるコンロの配置例を説明する斜視図である。
【0013】
図1を参照して、コンロ10には、1個または複数個のバーナ12が配設され、各バーナ12に対応して操作ユニット11が設けられている。又、コンロ10には、図示しないグリルが配置されてもよい。各バーナ12及びグリル(図示せず)は、操作ユニット11のユーザ操作に応じて、作動又は停止される。又、操作ユニット11は、バーナ12の作動(燃焼)を伴わずに、後述する、通信機能のみをオンするためのスイッチ(図示せず)を含んでもよい。
【0014】
コンロ10は、各バーナ12の燃焼が停止されており、かつ、上記通信機能もオフされているときに「電源オフ状態」であるものとし、それ以外のときに「電源オン状態」であるものとする。即ち、電源オン状態には、バーナ12が燃焼されていない一方で、通信機能がオンされている状態が含まれる。
【0015】
レンジフード100は、コンロ10の上方近傍に配設される。レンジフード100は、枠部材101と、照明102と、整流板110と、操作部105と、筐体に内蔵されるファン120(例えば、シロッコファン)とを備える。
【0016】
整流板110は、枠部材101の下縁によって形成される開口部に着脱可能に取り付けられる。整流板110が上記開口部に取り付けられた状態でファン120を回転駆動すると、枠部材101及び整流板110の隙間115から空気が吸い込まれて、図示しないダクトを通じて屋外へ排出される。
【0017】
操作部105は、ユーザ操作用の各種スイッチ、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)による表示部等を含む。ユーザは、操作部105によって、レンジフード100の運転オンオフを指示することができる。照明102のオンオフ(点灯/消灯)についても、操作部105へのユーザ操作に応じて制御することができる。
【0018】
レンジフード100のファン120のオン及びオフの少なくとも一方は、コンロ10の動作に連動して制御されてもよい。具体的には、バーナ12及び/又はグリルの作動及び停止に連動して、レンジフード100が制御されてもよい。
【0019】
次に、本実施の形態に係る調理機器とのデータ送受信のための通信システムについて説明する。
【0020】
図2は、本実施の形態に係る調理機器を含む通信システム2の構成を説明するブロック図である。
【0021】
コンロ10は、操作ユニット11に含まれる操作部11X及び表示部11Yと、制御基板15と、近距離無線通信のための通信基板16とを備える。例えば、コンロ10は、電池17からの電力供給によって駆動される。
【0022】
通信基板16は、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標)に従う通信(以下、BLE通信))等の近距離無線通信機能を有する。通信基板16には、近距離無線通信用の通信モジュールが搭載される。以下では、通信基板16をBLE基板16とも称する。
【0023】
制御基板15は、操作部11Xへのユーザ入力に従ってコンロ10の動作を制御するコントローラの機能を有する。例えば、制御基板15は、操作部11Xのユーザ操作に直接対応して、図1に示されたバーナ12の点火又は消火、及び、点火時の火力を制御する。或いは、制御基板15によって、操作部11Xに対するメニュー選択操作に応じて、バーナ12又は図示しないグリルにおいて、点火及び消火タイミング、並びに、点火中の火力が、予め定められたパターンに従って自動運転制御される。
【0024】
上述の様に、操作部11Xは、バーナ12の作動(燃焼)を伴わずに、通信機能をオンするためのスイッチ11Zを有する。スイッチ11Zをオンすることにより、BLE基板16による通信機能がオンされる。制御基板15は、電源オン時において、BLE基板16によるコンロ10の外部との間の通信機能についても制御する。即ち、制御基板15は「制御部」の一実施例に対応し、BLE基板16は「通信部」の一実施例に対応する。
【0025】
レンジフード100は、電力変換器130と、制御基板140と、通信基板150及び160とを含む。
【0026】
通信基板150は、インターネット接続するためのルータ20と通信するための通信機能を有する。ルータ20は、代表的には、無線LAN(Local Area Network)ルータであり、通信基板150は、ルータ20との間で無線LAN通信(例えば、Wi-Fi(登録商標)通信)を実行するための、無線LANモジュールを搭載する。以下では、通信基板150を無線LAN通信基板150とも称する。
【0027】
通信基板160は、通信基板(BLE基板)16と同様の近距離無線通信機能を有することで、BLE基板16との間で通信する。従って、通信基板160についてもBLE通信を行うので、BLE基板160とも称する。
【0028】
尚、通信基板16及び160によるBLE通信(近距離無線通信)の通信可能距離は、通信基板150による無線LAN通信の通信可能距離よりも短く、この結果、通信基板16及び160の各々の消費電力も、通信基板150の消費電力より小さい。
【0029】
電力変換器130は、商用系統等の交流電源5からの交流電圧を、レンジフード100内で使用される電源電圧に変換する。電力変換器130が生成する電源電圧には、図2に示す様に、通信基板160によるBLE通信及び制御基板140のための電源電圧Vcc(例えば、3.3[V])と、通信基板150の無線LAN通信用の電源電圧Vdc(例えば、15[V])とが含まれる。又、ファン120(図1)の電源電圧は、電力変換器130によって、電源電圧Vcc,Vdcとは別に生成されてもよく、電力変換器130とは他の電源回路によって生成されてもよい。
【0030】
制御基板140は、操作部105へのユーザ入力に従ってレンジフード100が動作する様に、ファン120及び照明102等の動作を制御するコントローラの機能を有する。更に、制御基板140は、無線LAN通信基板150及びBLE基板160の各々と通信することが可能であり、無線LAN通信基板150及びBLE基板160を用いた、レンジフード100の外部との間の通信機能を制御する。尚、制御基板140と無線LAN通信基板150との通信と、制御基板140とBLE基板160との間の通信とは、時分割等により、同一の通信ライン上で行われる様に構成することが可能である。
【0031】
これにより、制御基板140は、無線LAN通信基板150及びルータ20を介して、通信網(代表的には、インターネット40)と通信接続された機器(例えば、サーバ50)との間で、データを送受信することができる。
【0032】
一方で、コンロ10の制御基板15は、BLE基板16による近距離無線通信(BLE通信)によって、予めペアリングされたレンジフード100(BLE基板160)との間でデータを送受信することができるとともに、ユーザがコンロ10を制御及び/又は監視するためのアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリ」と称する)が起動された情報端末30との間でも、BLE接続されることでデータを送受信することができる。情報端末30は、代表的には、スマートフォン、又は、タブレット端末等で構成される。
【0033】
この結果、図2に示された通信システム2では、コンロ10は、情報端末30との間でBLE通信によって、アプリを実行するためのデータを送受信することができる。更に、コンロ10は、コンロ10とレンジフード100との間のBLE通信と、レンジフード100とルータ20との間の無線LAN通信を介して、インターネット40と接続されたサーバ50との間でデータを送受信することができる。即ち、コンロ10の電源オン中には、レンジフード100のBLE基板160及び無線LAN通信基板150を中継装置として、コンロ10とサーバ50との間に通信経路を形成することが可能である。
【0034】
この様に、コンロ10は、情報端末30及びレンジフード100(BLE基板160)の両方とのBLE通信を実行することが可能である。本実施の形態では、両者とのBLE通信を単一のBLE基板16で実行するために、BLE通信のマルチロール機能を適用可能とするべく、以下の態様で、BLE基板16によるデータ通信を実行する仕様とする。
【0035】
具体的には、BLE基板16は、レンジフード100(BLE基板160)との間のBLE通信では「セントラル」として振る舞う一方で、アプリが起動された情報端末30との間のBLE通信では「ペリフェラル」として振る舞う。
【0036】
反対に、レンジフード100のBLE基板160は、BLE基板16とのBLE通信では、ペリフェラルとして振る舞い、情報端末30は、BLE基板16とのBLE通信では、セントラルとして振る舞う。
【0037】
BLE基板16は、レンジフード100(BLE基板160)に対しては、セントラルとして振る舞うことで、シリアル通信でのマスターと同等に動作して、制御基板15からの指令に従って、コンロ10の動作状態データをレンジフード100のBLE基板160に送信する。レンジフード100に送信されたコンロ10の動作状態データは、無線LAN通信基板150を用いて、ルータ20及びインターネット40を経由してサーバ50に送信されて、サーバ50に蓄積することができる。このコンロ10の動作状態データの送信は「第1の近距離無線通信」の一実施例に対応する。
【0038】
一方で、BLE基板16は、情報端末30に対しては、ペリフェラルとして振る舞うことでシリアル通信でのスレーブとして動作して、情報端末30で起動されているアプリからの要求に従ってデータの送受信を実行する。当該データ送受信は「第2の近距離無線通信」の一実施例に対応する。
【0039】
この様にすることで、コンロ10では、情報端末30及びレンジフード100との間のBLE通信を、マルチロール機能を活用して1枚のBLE基板160で実行することができる。
【0040】
図3は、図2の通信システム2におけるコンロ10の動作状態データの収集処理を説明するシーケンス図である。
【0041】
図3を参照して、コンロ10では、ステップ(以下、単に「S」と表記する)200によって電源オン状態とされると、S210により、BLE基板16によるBLE通信が起動される。BLE通信が起動されると、ペアリング済のレンジフード100との間で、BBLE基板16がBLE通信を実行する。S220では、BLE基板16がセントラルとして振る舞うBLE通信を行うことで、コンロ10側が規定したタイミング及び頻度で、コンロ10の動作状態データが、レンジフード100へ送信される。S220によるコンロ10の動作状態データの送信は「第1近距離無線通信」に相当する。当該第1近距離無線通信は、少なくとも、電源オン状態中に予め定められた一定周期毎に繰り返される動作状態データの送信を含む様に規定される。
【0042】
レンジフード100では、S310により、コンロ10とのBLE通信により、コンロ10から送信された動作状態データを受信する。更に、S320では、無線LAN通信によって、S310で受信したコンロ10の動作状態データを、ルータ20及びインターネット40を介してサーバ50へ送信する。サーバ50では、S320による送信された動作状態データが蓄積される。
【0043】
コンロ10は、S230では、BLE接続された情報端末30で起動されたアプリとのBLE通信を行う。S230でのデータ通信は、BLE基板16がペリフェラルとして動作するので、アプリからの要求が無い場合には実行されない。
【0044】
コンロ10は、S240では、電源オン状態から電源オフ状態への遷移が発生したか否かが判断され、電源オフ状態となると(S240のYES判定時)、S250によってBLE通信が停止される。一方で、電源オン状態が維持される間(S240のNO判定時)、上述のS220,S230によるデータ通信が継続的に実行される。又、S220のデータ通信に連動して、コンロ10の動作状態データは、サーバ50へ随時送信される。
【0045】
尚、電源オフ状態とされてから(S240のYES判定時)、所定時間の経過後にS250に処理が進められてもよい。即ち、電源オフから所定時間の期間では、テータ通信が継続される仕様とすることも可能である。又、電源オフ状態となったときには(S240のYES判定時)、コンロ10からサーバ50へオフ情報が送信されてもよい。
【0046】
図3内での情報端末30は、コンロ10とBLE接続可能な距離、例えば、情報端末30がコンロ10と同じ住宅内に位置しているものとする。情報端末30は、S100により、アプリを起動すると、S110により、予めペアリングされたコンロ10との間でのBLE接続が確立されているかを確認する。例えば、コンロ10が電源オン状態でない場合には、BLE接続は確立されていない。
【0047】
従って、情報端末30(アプリ)は、BLE接続が確立されていない場合(S110のNO判定時)には、S120により、コンロ10の電源オン操作等によってBLE接続の確立を促すメッセージを出力する。
【0048】
情報端末30(アプリ)は、BLE接続が確立されている場合(S110のYES判定時)には、S130により、コンロ10との間でBLE通信を行う。S130では、情報端末30がセントラルとして動作することで、アプリの実行に応じて必要となるデータの送受信が、情報端末30からコンロ10に要求される。これに応じて、コンロ10のBLE基板16は、S230でのペリフェラルとしての動作により、要求されたデータの送受信を情報端末30との間で実行する。S230によるデータの送信は「第2近距離無線通信」に相当する。
【0049】
或いは、情報端末30からの要求は、サーバ50へのデータ送信を含んでもよく、この際には、アプリによって要求されたデータが、コンロ10からレンジフード100に対してBLE通信で送信され、更に、レンジフード100から無線LAN通信によって、ルータ20及びインターネット40を経由して、サーバ50に対して送信される。
【0050】
情報端末30(アプリ)からの要求によって、コンロ10の動作状態データを情報端末30を経由してサーバ50へ送信する場合には、レンジフード100を経由した動作状態データの送信と並行して送信することができる。その場合、サーバ50は、レンジフード100経由で受信したデータと、情報端末30(アプリ)経由で受信したデータとを区別することなく、それぞれのデータの受信日時と対応付けて蓄積することができる。
【0051】
情報端末30(アプリ)は、アプリが停止されるまでの間(S140のNO判定時)は、S130によるBLE通信を繰り返し実行することができる。一方で、アプリが停止されると(S140のYES判定時)、S150により、情報端末30とコンロ10とのBLE通信は停止される。
【0052】
図3に示された処理により、サーバ50には、図4に示される様に、コンロ10の動作状態データが蓄積される。
【0053】
図4を参照して、コンロ10の電源オン期間において、コンロ10から逐次送信された動作状態データが、送信日時と対応付けられて格納される。動作状態データは、バーナ12の燃焼オンオフ、調理状況(加熱温度、加熱時間)、設定火力等のデータを含むことができる。又、逐次送信される動作状態の最新の日時と現在日時との比較によって、コンロ10が現在、電源オフ状態、又は、燃焼オフ状態であるか否かについても判断することができる。
【0054】
図5には、サーバ50に蓄積されたコンロ10の動作状態データを活用したアプリによる処理が示される。
【0055】
情報端末30は、S160によって、アプリを起動する際に、サーバ50と通信接続される。この際に、情報端末30は、コンロ10と同一住居の外部(宅外)から、図示しない基地局等を経由したインターネット接続によってサーバ50と接続されてもよい。或いは、宅内から、ルータ20を介したインターネット接続によってサーバ50と通信接続されてもよい。
【0056】
サーバ50は、S410により、接続された情報端末30(アプリ)のID認証を行い、当該アプリのユーザと対応付けられたコンロ10を特定する。これにより、特定されたコンロ10についての、図4に示された動作状態データが読出し可能な状態となる。
【0057】
情報端末30(アプリ)は、S170では、コンロ10の動作状態データの使用状況データ要求をサーバ50に送信する。当該要求は、指定期間のコンロ10の動作状態データをログとして閲覧する要求でもよく、コンロ10が現在オフ状態であるか否かを確認する要求であってもよい。
【0058】
サーバ50は、S420では、S170でのデータ要求を受信すると、S430により、要求された使用状況データを送信する。S430で送信される使用状況データは、例えば、サーバ50に蓄積されているコンロ10の動作状態データのうちの、閲覧要求された期間に合わせて抽出された一部のデータである。
【0059】
或いは、コンロ10が現在オフ状態であるか否かの確認が要求された場合には、サーバ50に蓄積されているコンロ10の動作状態データのうちの最新日時から、現在日時までの経過時間と予め定められた判定値との比較結果であってもよく、コンロ10が電源オフ時にサーバ50へ送信したオフ情報であってもよい。
【0060】
情報端末30(アプリ)は、S180では、S430でサーバ50から送信されたデータを受信し、S190では、S180で受信したデータをユーザに対して表示する。これにより、ユーザは要求したログデータを閲覧することができる。又、上述の経過時間が判定値よりも長いときに、或いは、上述のオフ情報があったときに、コンロ10が電源オフ状態である旨をユーザに通知することができる。又、コンロ10が電源オン状態であれば、現在の動作状態データを、アプリによってユーザに通知することができる。この様に、サーバ50に蓄積されたコンロ10の動作状態データを用いたアプリ処理によって、ユーザ利便性を向上することで、コンロ10の機能性及び商品価値を高めることができる。
【0061】
この様に、本実施の形態による調理機器では、消費電力及びコストを抑制しつつ、サーバ50等の外部に対して効率的にデータを送信することができる。更に、サーバ50に蓄積されたデータを活用したユーザの利便性の向上によって商品価値を高めることができる。
【0062】
尚、コンロ10及びレンジフード100の間の近距離無線通信は、本実施の形態で例示したBLE通信に限定されず、Blootooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)等、マルチロール機能を有するものであれば、他の通信方式が用いられてもよい。
【0063】
又、コンロ10とレンジフード100との近距離無線通信においては、レンジフード100からレンジフード100の動作状態データをコンロ10へ送信し、コンロ10側でレンジフード100の動作状態データを確認できる様に構成してもよい。
【0064】
サーバ50に接続するためのレンジフード100からの通信についても、無線LAN通信(Wi-Fi通信)とは異なる通信方式によって、通信基板150が構成されてもよい。
【0065】
更に、本実施の形態では、レンジフード100によって、コンロ10及びサーバ50の間の中継装置を構成したが、コンロ10と近距離無線通信(例えば、BLE通信)可能な機器であれば、レンジフード100以外の機器を中継装置として図2と同様の通信システムを構成することも可能である。
【0066】
図6には、変形例に係る通信システム2Xの構成を説明するブロック図である。
【0067】
図6に示される様に、給湯器200のリモコン220を用いて、コンロ10及びサーバ50の間の通信を中継することも可能である。
【0068】
給湯器200は、一般的には屋外に配置されるが、給湯器200のコントローラ210と通信線で接続されたリモコン220,230が、ユーザ操作のために宅内に設けられる。
【0069】
例えば、リモコン230は、浴室(図示せず)に配置されて、ユーザが各種設定を入力するための操作部231、表示部232、及び、運転スイッチ233を有する。同様に、リモコン220は、台所(図示せず)に配置されて、ユーザが各種設定を入力するための操作部221、表示部222、及び、運転スイッチ223を有する。コントローラ210は、リモコン220,230に入力されたユーザ操作指示(運転オンオフ、各種機能オンオフ、給湯設定温度等)に従って、給湯器200を動作させる。
【0070】
台所に配置されるリモコン220は、一般的には、コンロ10と比較的に近い位置に配設される。従って、リモコン220に、図2に示された通信基板(無線LAN基板)150及び通信基板(BLE基板)160とそれぞれ同等の通信基板225及び226を内蔵することができる。
【0071】
これにより、通信システム2Xにおいて、リモコン220は、レンジフード100と同様に、コンロ10との間の近距離無線通信(BLE通信)、及び、ルータ20を介したサーバ50との通信が可能になる。この結果、図2の通信システム2において、レンジフード100を給湯器200のリモコン220(台所)に置換した通信システム2Xによっても、コンロ10(調理機器)は、同様の効果を享受することができる。
【0072】
或いは、コンロ10の近傍に配置される任意の機器を中継装置として、本実施の形態に係る調理機器(コンロ)を含む通信システムを構成することが可能である。
【0073】
又、図2では、電池駆動式のコンロ10を例示したが、本実施の形態は、電池駆動式ではなく、商用系統から電力を供給されるコンロに対しても適用することが可能である。この場合にも、BLE基板を1枚とする消費電力低減及びコストダウンの効果を同様に享受することができる。
【0074】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
2,2X 通信システム、5 交流電源、10 コンロ、11 操作ユニット、11X 操作部(コンロ)、11Y 表示部、11Z スイッチ、12 バーナ、15,140 制御基板、16,160 通信基板(BLE基板)、150 通信基板(無線LAN通信基板)、17 電池、20 ルータ、30 情報端末、40 インターネット、50 サーバ、100 レンジフード、101 枠部材、102 照明、105 操作部(レンジフード)、110 整流板、115 隙間、120 ファン、130 電力変換器、200 給湯器、210 コントローラ、220,230 リモコン、221,231 操作部(給湯器リモコン)、222,232 表示部(給湯器リモコン)、223,233 運転スイッチ、225,226 通信基板(給湯器リモコン)、Vcc,Vdc 電源電圧。
図1
図2
図3
図4
図5
図6