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特開2024-89725通信システム、及び、通信システムにおけるペアリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089725
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】通信システム、及び、通信システムにおけるペアリング方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20240627BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20240627BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240627BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20240627BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20240627BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20240627BHJP
   H04W 12/06 20210101ALI20240627BHJP
   H04W 12/75 20210101ALI20240627BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20240627BHJP
【FI】
H04W76/10
F24F7/06 101A
F24F7/007 B
F24C7/04 301A
F24C3/12 E
H05B6/12 302
H04W12/06
H04W12/75
H04W84/10 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205093
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(71)【出願人】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 守
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】大西 郁雄
(72)【発明者】
【氏名】本下 裕亮
【テーマコード(参考)】
3K151
3L056
3L058
3L087
5K067
【Fターム(参考)】
3K151CA61
3L056BF02
3L058BK09
3L087AA03
3L087BA04
3L087BC20
3L087DA24
5K067AA34
5K067BB27
5K067BB28
5K067DD17
5K067DD27
5K067EE02
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】通信ステムを構成する調理機器及びレンジフード間のペアリング処理のユーザ利便性を向上する。
【解決手段】コンロ10のBLE基板16及びレンジフード100のBLE基板160の間のペアリング処理が、情報端末30の操作によって起動されると、情報端末30からBLE基板16へBLE基板160の識別アドレスが送信され、BLE基板16から当該識別アドレスを有するBLE基板160に対してペアリング要求が送信される。レンジフード100は、ペアリング要求がBLE基板160で受信されると、パスコードを発行して情報端末30へ送信する。当該パスコードは、情報端末30からBLE基板16へ送信され、更に、BLE基板160へ転送される。レンジフードは、発行したパスコードと、BLE基板16から送信されたコードとを用いた認証処理を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信を行う第1通信部を含む調理機器と、
前記第1通信部との間で前記近距離無線通信を行うための第2通信部と、外部通信網に対して通信接続するための第3通信部とを含むレンジフードと、
前記調理機器との間で予めペアリングされるとともに、前記レンジフードとの間で予めペアリングされ、かつ、前記第1通信部及び前記第2通信部との通信機能を有する情報端末とを備え、
前記調理機器及び前記レンジフードのペアリング処理が起動されると、前記情報端末から前記第1通信部に対して前記第2通信部の識別アドレスが送信されることに応じて、前記第1通信部が前記識別アドレスを有する前記第2通信部に対してペアリング要求を送信した後に、当該ペアリング要求に応じて前記レンジフードが発行したパスコードが、前記レンジフードから少なくとも前記情報端末を経由して前記調理機器に送信され、更に、前記調理機器で受信された前記パスコードが前記第1通信部から前記第2通信部に送信され、
前記レンジフードは、発行した前記パスコードと前記第1通信部から送信された前記パスコードとを用いた認証処理によって、前記第1通信部及び前記第2通信部をペアリングする、通信システム。
【請求項2】
前記識別アドレスは、前記情報端末と前記レンジフードとのペアリング後における前記情報端末からの要求に応じて、前記第3通信部から前記外部通信網に接続されたサーバを経由して前記情報端末に送信される、請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記ペアリング要求に応答して発生された前記パスコードは、前記第3通信部から、前記外部通信網に接続されたサーバを経由して、前記情報端末に送信される、請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
前記調理機器は、コンロである、請求項1~3のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
近距離無線通信を行う第1通信部を含む調理機器と、前記第1通信部と前記近距離無線通信を行う第2通信部及び外部通信網に対して通信接続するための第3通信部とを含むレンジフードと、前記調理機器との間で予めペアリングされるとともに、前記レンジフードとの間で予めペアリングされて、前記第1通信部及び前記第2通信部との通信機能を有する情報端末とを備えた通信システムにおけるペアリング方法であって、
前記調理機器及び前記レンジフードのペアリング処理の起動に応答して、前記情報端末から前記第1通信部に対して前記第2通信部の識別アドレスを送信するステップと、
前記情報端末から送信された前記識別アドレスを有する前記第2通信部に対して、前記第1通信部からペアリング要求を送信するステップと、
前記ペアリング要求の受信に応答して、前記レンジフードから前記情報端末に対してペアリングのためのパスコードを送信するステップと、
前記情報端末が、前記レンジフードから送信された前記パスコードを前記第1通信部に対して送信するステップと、
前記第1通信部が、前記情報端末から送信された前記パスコードを前記第2通信部に送信するステップと、
前記レンジフードが、発行した前記パスコードと前記第1通信部から送信された前記パスコードとを用いた認証処理によって、前記第1通信部及び前記第2通信部をペアリングするステップとを備える、通信システムにおけるペアリング方法。
【請求項6】
前記情報端末と前記レンジフードとのペアリング後に、前記情報端末からの要求に応じて前記第3通信部が前記外部通信網に接続されたサーバに対して前記識別アドレスを送信するステップと、
前記サーバが受信した前記識別アドレスを前記サーバから前記情報端末に送信するステップとを更に備える、請求項5記載の通信システムにおけるペアリング方法。
【請求項7】
前記レンジフードから前記情報端末に対して前記パスコードを送信するステップは、
前記第3通信部から、前記外部通信網に接続されたサーバに前記パスコードを送信するステップと、
前記サーバが受信した前記パスコードを前記サーバから前記情報端末に送信するステップとを含む、請求項5記載の通信システムにおけるペアリング方法。
【請求項8】
前記調理機器は、コンロである、請求項5~7のいずれか1項に記載の通信システムにおけるペアリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
通信システム、及び、通信システムにおけるペアリング方法に関し、より特定的には、調理機器との間でデータ通信するための通信システムでの機器間のペアリング設定に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱調理器と、携帯端末と、給湯リモコンと、サーバとを備えた通信システムにおいて、加熱調理器と、携帯端末及び給湯リモコンとの間でBluetooth(登録商標)方式による通信(BT通信)を行うとともに、給湯リモコンがWiFi(登録商標)方式による通信(Wi-Fi通信)を実行してインターネット経由でサーバに通信接続する構成が、特開2020-112319号公報(特許文献1)に記載されている。
【0003】
特許文献1には、上記通信システムにおいて、給湯リモコン及び加熱調理器の間でBT通信が確立されている場合に、サーバに格納されたレシピデータが、中継装置として動作する給湯リモコンを経由して、加熱調理器に送信されることが記載される。又、給湯リモコンの代わりに、加熱調理器の近傍に配置される機器、例えばレンジフードを、中継装置として使用してもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-112319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された通信システムを構築する際には、加熱調理器と中継装置(給湯リモコン又はレンジフード)との間で相互認証するための初期設定として、所謂、ペアリングが必要となる。ペアリング時には、加熱調理器及び中継装置の間を通信接続するために、中継装置から認証用のパスコードを出力表示して、表示されたパスコードを加熱調理器に入力し、更に、加熱調理器から中継装置に対して当該パスコードを送信して認証を受ける、一連の処理が実行される。一般的には、パスコードは、複数桁の数字、又は、英字及び数字の組み合わせとされる。
【0006】
しかしながら、加熱調理器及び中継装置に設けられているユーザインターフェイスでは、ユーザに視認させるための当該パスコードの表示、及び、ユーザによるパスコード入力が容易に実行できないことにより、ユーザ利便性が低下することが懸念される。
【0007】
本発明はこの様な問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、通信ステムを構成する調理機器及びレンジフードの間のペアリングにおけるユーザ利便性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面では、通信システムが提供される。通信システムは、近距離無線通信を行う第1通信部を含む調理機器と、レンジフードと、情報端末とを備える。レンジフードは、第1通信部との間で近距離無線通信を行うための第2通信部と、外部通信網に対して通信接続するための第3通信部とを含む。情報端末は、調理機器との間で予めペアリングされるとともに、レンジフードとの間で予めペアリングされ、かつ、第1通信部及び第2通信部との通信機能を有する。調理機器及びレンジフードのペアリング処理が起動されると、情報端末から第1通信部に対して第2通信部の識別アドレスが送信されることに応じて、第1通信部が識別アドレスを有する第2通信部に対してペアリング要求を送信した後に、当該ペアリング要求に応じてレンジフードが発行したパスコードが、レンジフードから少なくとも情報端末を経由して調理機器に送信され、更に、調理機器で受信されたパスコードが第1通信部から第2通信部に送信される。レンジフードは、発行したパスコードと第1通信部から送信されたパスコードとを用いた認証処理によって、第1通信部及び第2通信部をペアリングする。
【0009】
本発明の他のある局面では、通信システムにおけるペアリング方法が提供される。通信システムは、近距離無線通信を行う第1通信部を含む調理機器と、レンジフードと、情報端末とを備える。レンジフードは、第1通信部との間で近距離無線通信を行うための第2通信部と、外部通信網に対して通信接続するための第3通信部とを含む。情報端末は、調理機器との間で予めペアリングされるとともに、レンジフードとの間で予めペアリングされ、かつ、第1通信部及び第2通信部との通信機能を有する。ペアリング方法は、情報端末の操作に応じた調理機器及びレンジフードのペアリング処理の起動に応答して、情報端末から第1通信部に対して第2通信部の識別アドレスを送信するステップと、情報端末から送信された識別アドレスを有する第2通信部に対して、第1通信部からペアリング要求を送信するステップと、ペアリング要求の受信に応答して、レンジフードから情報端末に対してペアリングのためのパスコードを送信するステップと、情報端末が、レンジフードから送信されたパスコードを第1通信部に対して送信するステップと、第1通信部が、情報端末から送信されたパスコードを第2通信部に送信するステップと、レンジフードが、発行したパスコードと第1通信部から送信されたパスコードとを用いた認証処理によって、第1通信部及び第2通信部をペアリングするステップとを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、情報端末の操作によってペアリング処理が起動されると、パスコードの発行及び送受信が自動的に行われて認証処理に至るので、ペアリングにおけるユーザ利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に係る通信システムに用いられる機器の配置例を説明する斜視図である。
図2】本実施の形態に係る通信システムの構成を説明するブロック図である。
図3図2に示された通信システムにおけるコンロ及びレンジフードのペアリング処理の問題点を説明する概念図である。
図4】本実施の形態に係る通信システムにおけるコンロ及びレンジフードのペアリング処理を説明するフローチャートである。
図5】本実施の形態に係る通信システムにおけるコンロ及びレンジフードのペアリング処理の変形例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下では、図中の同一又は相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る通信システムに用いられる機器の配置例を説明する斜視図である。
【0014】
図1に示される様に、本実施の形態に係る通信システムは、コンロ10及びレンジフード100を用いて構成される。コンロ10には、1個または複数個のバーナ12が配設され、各バーナ12に対応して操作ユニット11が設けられている。又、コンロ10には、図示しないグリルが配置されてもよい。各バーナ12及びグリル(図示せず)は、操作ユニット11のユーザ操作に応じて、作動又は停止される。又、操作ユニット11は、バーナ12の作動(燃焼)を伴わずに、後述する、通信機能のみをオンするためのスイッチ(図示せず)を含んでもよい。
【0015】
コンロ10は、各バーナ12の燃焼が停止されており、かつ、上記通信機能もオフされているときに「電源オフ状態」であるものとし、それ以外のときに「電源オン状態」であるものとする。即ち、電源オン状態には、バーナ12が燃焼されていない一方で、通信機能がオンされている状態が含まれる。
【0016】
レンジフード100は、コンロ10の上方近傍に配設される。レンジフード100は、枠部材101と、照明102と、整流板110と、操作部105と、筐体に内蔵されるファン120(例えば、シロッコファン)とを備える。
【0017】
整流板110は、枠部材101の下縁によって形成される開口部に着脱可能に取り付けられる。整流板110が上記開口部に取り付けられた状態でファン120を回転駆動すると、枠部材101及び整流板110の隙間115から空気が吸い込まれて、図示しないダクトを通じて屋外へ排出される。
【0018】
操作部105は、ユーザ操作用の各種スイッチ、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)による表示部等を含む。ユーザは、操作部105によって、レンジフード100の運転オンオフを指示することができる。照明102のオンオフ(点灯/消灯)についても、操作部105へのユーザ操作に応じて制御することができる。
【0019】
レンジフード100のファン120のオン及びオフの少なくとも一方は、コンロ10の動作に連動して制御されてもよい。具体的には、バーナ12及び/又はグリルの作動及び停止に連動して、レンジフード100が制御されてもよい。
【0020】
図2は、本実施の形態に係る通信システム2の構成を説明するブロック図である。
【0021】
図2を参照して、通信システム2は、図1に示したコンロ10及びレンジフード100に搭載された複数の通信基板によって、外部通信網(例えば、インターネット40)と接続されたサーバ50と通信可能に構成される。
【0022】
コンロ10は、操作ユニット11に含まれる操作部11X及び表示部11Yと、制御基板15と、近距離無線通信のための通信基板16とを備える。例えば、コンロ10は、電池17からの電力供給によって駆動される。
【0023】
通信基板16は、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標)に従う通信(以下、BLE通信))等の近距離無線通信機能を有する。通信基板16には、近距離無線通信用の通信モジュールが搭載される。以下では、通信基板16をBLE基板16とも称する。
【0024】
制御基板15は、操作部11Xへのユーザ入力に従ってコンロ10の動作を制御するコントローラの機能を有する。例えば、制御基板15は、操作部11Xのユーザ操作に直接対応して、図1に示されたバーナ12の点火又は消火、及び、点火時の火力を制御する。或いは、制御基板15によって、操作部11Xに対するメニュー選択操作に応じて、バーナ12又は図示しないグリルにおいて、点火及び消火タイミング、並びに、点火中の火力が、予め定められたパターンに従って自動運転制御される。
【0025】
上述の様に、操作部11Xは、バーナ12の作動(燃焼)を伴わずに、通信機能をオンするためのスイッチ11Zを有する。スイッチ11Zをオンすることにより、BLE基板16による通信機能がオンされる。制御基板15は、電源オン時において、BLE基板16によるコンロ10の外部との間の通信機能についても制御する。BLE基板16は「第1通信部」の一実施例に対応する。
【0026】
レンジフード100は、電力変換器130と、制御基板140と、通信基板150及び160とを含む。
【0027】
通信基板150は、インターネット接続するためのルータ20と通信するための通信機能を有する。ルータ20は、代表的には、無線LAN(Local Area Network)ルータであり、通信基板150は、ルータ20との間で無線LAN通信(例えば、Wi-Fi(登録商標)通信)を実行するための、無線LANモジュールを搭載する。以下では、通信基板150を無線LAN通信基板150とも称する。
【0028】
通信基板160は、通信基板(BLE基板)16と同様の近距離無線通信機能を有することで、BLE基板16との間で通信する。従って、通信基板160についてもBLE通信を行うので、BLE基板160とも称する。BLE基板160は「第2通信部」の一実施例に対応し、無線LAN通信基板150は「第3通信部」の一実施例に対応する。
【0029】
尚、通信基板16及び160によるBLE通信(近距離無線通信)の通信可能距離は、通信基板150による無線LAN通信の通信可能距離よりも短く、この結果、通信基板16及び160の各々の消費電力も、通信基板150の消費電力より小さい。
【0030】
電力変換器130は、商用系統等の交流電源5からの交流電圧を、レンジフード100内で使用される電源電圧に変換する。電力変換器130が生成する電源電圧には、図2に示す様に、通信基板160によるBLE通信及び制御基板140のための電源電圧Vcc(例えば、3.3[V])と、通信基板150の無線LAN通信用の電源電圧Vdc(例えば、15[V])とが含まれる。又、ファン120(図1)の電源電圧は、電力変換器130によって、電源電圧Vcc,Vdcとは別に生成されてもよく、電力変換器130とは他の電源回路によって生成されてもよい。
【0031】
制御基板140は、操作部105へのユーザ入力に従ってレンジフード100が動作する様に、ファン120及び照明102等の動作を制御するコントローラの機能を有する。更に、制御基板140は、無線LAN通信基板150及びBLE基板160の各々と通信することが可能であり、無線LAN通信基板150及びBLE基板160を用いた、レンジフード100の外部との間の通信機能を制御する。尚、制御基板140と無線LAN通信基板150との通信と、制御基板140とBLE基板160との間の通信とは、時分割等により、同一の通信ライン上で行われる様に構成することが可能である。
【0032】
これにより、制御基板140は、無線LAN通信基板150及びルータ20を介して、通信網(代表的には、インターネット40)と通信接続された機器(例えば、サーバ50)との間で、データを送受信することができる。
【0033】
一方で、コンロ10の制御基板15は、BLE基板16による近距離無線通信(BLE通信)によって、予めペアリングされたレンジフード100(BLE基板160)との間でデータを送受信することができるとともに、ユーザがコンロ10を制御及び/又は監視するためのアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリ」と称する)が起動された情報端末30との間でも、BLE接続されることでデータを送受信することができる。情報端末30は、代表的には、スマートフォン、又は、タブレット端末等で構成される。
【0034】
この結果、図2に示された通信システム2では、コンロ10は、情報端末30との間でBLE通信によって、アプリを実行するためのデータを送受信することができる。更に、コンロ10は、コンロ10とレンジフード100との間のBLE通信と、レンジフード100とルータ20との間の無線LAN通信を介して、インターネット40と接続されたサーバ50との間でデータを送受信することができる。即ち、コンロ10の電源オン中には、レンジフード100のBLE基板160及び無線LAN通信基板150を中継装置として、コンロ10とサーバ50との間に通信経路を形成することが可能である。
【0035】
上述の様な通信システム2を構成するためには、初期設定として、コンロ10を、中継装置として機能するレンジフード100とペアリングする必要がある。
【0036】
図3には、図2に示された通信システムにおけるコンロ10及びレンジフード100のペアリングの際の問題点を説明する概念図が示される。
【0037】
図3を参照して、ペアリングは、レンジフード100が発行したパスコードが、コンロ10からレンジフード100へ送信され、レンジフード100にて当該パスコードが認証されることで完了する。上述の様に、パスコードは、通常、複数桁の数字、又は、英字及び数字の組み合わせとされる。
【0038】
ペアリングの際に、ユーザが当該パスコードを入力する場合には、図3に示される様に、ユーザによるペアリング起動指示に応じて、レンジフード100がパスコードを表示し(P10)、ユーザが表示されたパスコードをコンロ10に入力して(P11)、コンロ10が、ユーザから入力されたパスコードを、BLE通信によってレンジフード100へ送信する(P12)。これに応じて、レンジフード100が、コンロ10から入力されたパスコードを認証することで(P13)、コンロ10とレンジフード100との間のペアリングが完了して、以降では、BLE基板16(コンロ10)及びBLE基板160(レンジフード100)間の通信経路が形成される。
【0039】
しかしながら、通常、レンジフード100では、詳細な文字情報をユーザに対して表示するニーズが無く、多数桁の数字、又は、英字及び数字の組み合わせによるパスコードをユーザが視認するためのユーザインターフェイスの確保が困難である。
【0040】
一方で、コンロ10では、テンキー等の数字入力手段、或いは、英字入力手段が設けられることは殆ど無く、パスコードをユーザが入力するためのユーザインターフェイスの確保が困難である。
【0041】
従って、本実施の形態に係る通信システムでは、ユーザが情報端末30を操作することによる容易なペアリング方法について説明する。
【0042】
図4には、本実施の形態に係る通信システムにおけるコンロ及びレンジフードのペアリング処理を説明するフローチャートが示される。
【0043】
図4に示される様に、情報端末30で起動されるアプリの一部機能により、ステップ(以下、単に「S」とも表記する)250によって、レンジフード100及びコンロ10のペアリングが起動される。
【0044】
当該ペアリングの際には、事前に、コンロ10と情報端末30の間のペアリング(S100,S200)、及び、情報端末30及びレンジフード100の間のペアリング(S210,S300)が完了していることが必要である。
【0045】
更に、情報端末30は、レンジフード100とのペアリングの際に、S220により、レンジフード100に対してBLE基板160のBD(Bluetooth Device)アドレスの出力を要求することができる。レンジフード100は、情報端末30からのBDアドレス出力要求(S220)に応じて、S310により、BLE基板160のBDアドレスを、サーバ50に対して送信する。当該BDアドレスは、BLE基板160(第2通信部)の「識別アドレス」の一実施例に対応する。
【0046】
サーバ50は、S410により、レンジフード100から送信されたBDアドレスを受信すると、S420により、当該BDアドレスを情報端末30へ送信する。これに応じて、情報端末30は、S230により、サーバ50から送信された、BLE基板160(レンジフード100)のBDアドレスを受信する。これにより、情報端末30は、ペアリング済のレンジフード100のBLE基板160に固有のBDアドレスを取得した状態となる。
【0047】
情報端末30は、S250により、コンロ10及びレンジフード100のペアリング処理を起動すると、S260により、ペアリングの開始指示とともに、予め取得したBLE基板160(レンジフード100)のBDアドレスをコンロ10(BLE基板16)へ送信する。
【0048】
尚、S250の処理は、例えば、情報端末30の操作に応じて実行される。但し、調理機器(コンロ10)又はレンジフード100の操作に応じて、S250によってペアリング処理が起動されてもよく、ペアリング処理の起動トリガは、情報端末30の操作に限らない。
【0049】
コンロ10は、S110により、情報端末30から送信されたBLE基板160のBDアドレスを受信すると、S120により、当該BDアドレスに対してペアリングを要求する。これにより、コンロ10のBLE基板16からレンジフード100のBLE基板160に対して、ペアリング要求が送信される。
【0050】
レンジフード100(BLE基板160)は、S320により、コンロ10から送信されたペアリング要求(S120)を受信すると、S330により、情報端末30に対して、レンジフード100が発行するパスコードを送信する。
【0051】
情報端末30はS270により、レンジフード100から送信されたパスコード(S330)を受信すると、S280により、当該パスコードをコンロ10(BLE基板16)へ送信する。
【0052】
コンロ10(BLE基板16)は、S130により、情報端末30から送信されたパスコード(S280)を受信すると、S140により、当該パスコードをレンジフード100(BLE基板160)に送信する。
【0053】
レンジフード100(BLE基板160)は、S340により、コンロ10から送信されたパスコード(S140)を受信し、受信したパスコードの認証処理を実行する。具体的には、レンジフード100が発行したパスコードと、S340で受信したパスコードとを比較して、両者が一致すると認証結果は「OK」とされ、不一致であると認証結果は「NG」とされる。認証結果が[OK」であると、BLE基板16(コンロ10)及びBLE基板160(レンジフード100)がペアリングされる。
【0054】
レンジフード100は、S350により、S340での認証結果を情報端末30に対して出力する。情報端末30は、レンジフード100から受信した認証結果に基づき、S290により、ペアリング処理の終了を表示する。図4に示された処理を実現するためのソフトウェア(プログラム)が、コンロ10(制御基板15)、レンジフード100(制御基板140)、及び、サーバ50に搭載されることで、本実施の形態に係るペアリング処理が実現可能となる。
【0055】
この様に、本実施の形態に係る通信システムでは、情報端末30で起動されたアプリ上のユーザ操作によってペアリングが起動されると、レンジフード100からのパスコードの出力、及び、当該パスコードのコンロ10への入力、即ち、図3でのP10及びP11のプロセスが、ユーザによる作業を要することなく自動的に行われる。従って、図3で説明したコンロ10及びレンジフード100のユーザインターフェイスを用いることなく、情報端末30での起動処理のみで、コンロ10及びレンジフード100のペアリングをユーザが簡易に実行することができる。この結果、ユーザ利便性を向上することができる。
【0056】
図5には、図4に示されたペアリング処理の変形例が示される。
【0057】
図5の変形例では、コンロ10からレンジフード100へのペアリング要求(S120)に応答して、レンジフード100で発行されたパスコードが、レンジフード100からサーバ50を経由して情報端末30に送信される点が、図4と異なる。
【0058】
具体的には、レンジフード100は、S330では、コンロ10からのペアリング要求に応答して、パスコードをサーバ50へ送信する。サーバ50は、S430により、レンジフード100が発行したパスコードを受信すると、S440により、当該パスコードを情報端末30に送信する。
【0059】
情報端末30は、S270では、レンジフード100からではなく、サーバ50から、レンジフード100から出力されたパスコードを受信する。図5のこれ以外の処理は、図4と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0060】
通常、パスコードは一時的なデータであるため、図4で説明した様にサーバ50を経由して送信しなくてもよいが、図5に示される様に、サーバ50を経由して情報端末30に入力することも可能である。
【0061】
図5に示した制御処理によっても、図4と同様に、ユーザ利便性を向上した、コンロ10及びレンジフード100のペアリングが実現される。
【0062】
尚、図4及び図5に示したフローチャートにおいて、情報端末30がS220,S230により、BLE基板160(レンジフード100)のBDアドレスを取得する処理は、必ずしも、ペアリングの起動(S250)よりも前に完了していなくてもよい。即ち、情報端末30は、ペアリングの起動(S250)後に、S260を実行する前に、S220,S230の処理を実行してもよい。
【0063】
又、情報端末30がS220,S230により、BLE基板160(レンジフード100)のBDアドレスを取得する処理は、必ずしもサーバ50を介する必要は無い。例えば、レンジフード100(BLE基板160)から情報端末30に対して、BDアドレスが直接送信されてもよい。
【0064】
尚、本実施の形態において、コンロ10及びレンジフード100の間の近距離無線通信は、本実施の形態で例示したBLE通信に限定されず、Blootooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)等、マルチロール機能を有するものであれば、他の通信方式が用いられてもよい。
【0065】
同様に、サーバ50に接続するためのレンジフード100からの通信についても、無線LAN通信(Wi-Fi通信)とは異なる通信方式によって、通信基板150が構成されてもよい。
【0066】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
2 通信システム、5 交流電源、10 コンロ、11 操作ユニット、11X,105 操作部、11Y 表示部、11Z スイッチ、12 バーナ、15,140 制御基板、16,160 通信基板(BLE基板)、17 電池、20 ルータ、30 情報端末、40 インターネット、50 サーバ、100 レンジフード、101 枠部材、102 照明、110 整流板、115 隙間、120 ファン、130 電力変換器、150 通信基板(無線LAN通信基板)、Vcc,Vdc 電源電圧。
図1
図2
図3
図4
図5