(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089726
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】乗物用デッキボード
(51)【国際特許分類】
B60R 5/04 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B60R5/04 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205094
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 鍾翔
(72)【発明者】
【氏名】森岡 睦門
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022BA10
3D022BA12
3D022BB03
3D022BB04
3D022BC09
3D022BC11
(57)【要約】
【課題】コストの削減ができる乗物用デッキボードを提供する。
【解決手段】第1ボード部10及び第2ボード部20と、第1ボード部10に取り付けられた第1土台部31,35と、第2ボード部20に取り付けられた第2土台部41,45と、を備え、第1ボード部10と第2ボード部20が、第1土台部31,35と第2土台部41,45に裏面側から支持されて、第1ボード部10の表面10Aと第2ボード部20の表面20Aが上方に指向するように展開された展開状態と、第1ボード部10と第2ボード部20が、第1ボード部10の表面10Aと第2ボード部20の表面20Aが対向するように起立された起立状態と、に状態を変更可能とされ、第1土台部31,35と第2土台部41,45は、起立状態において、起立した第1ボード部10と第2ボード部20を側方から支持可能な構成とされていること。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物の荷室の床面に配される乗物用デッキボードであって、
表裏面を有する板状の第1ボード部及び第2ボード部と、
前記第1ボード部の裏面に取り付けられた第1土台部と、
前記第2ボード部の裏面に取り付けられた第2土台部と、を備え、
当該乗物用デッキボードは、
前記第1ボード部と前記第2ボード部が、前記第1土台部と前記第2土台部に裏面側から支持されて、前記第1ボード部の表面と前記第2ボード部の表面が上方に指向するように展開された展開状態と、
前記第1ボード部と前記第2ボード部が、前記第1ボード部の表面と前記第2ボード部の表面が対向するように起立された起立状態と、に状態を変更可能とされ、
前記第1土台部と前記第2土台部は、前記起立状態において、起立した前記第1ボード部と前記第2ボード部を側方から支持可能な構成とされている、乗物用デッキボード。
【請求項2】
前記第1ボード部の端部と前記第2ボード部の端部とを接続するヒンジ部を備える、請求項1に記載の乗物用デッキボード。
【請求項3】
前記展開状態では、前記第1ボード部の前記表面と前記第2ボード部の前記表面が、乗物室内に配され折り畳み状態となった後部座席と共に、上方に指向するように展開される、請求項1または請求項2に記載の乗物用デッキボード。
【請求項4】
前記第2土台部は、当該乗物用デッキボードが前記展開状態である場合に、前記第1土台部に対し、乗物幅方向における位置がずれて配されている、請求項1または請求項2に記載の乗物用デッキボード。
【請求項5】
前記第2土台部は、2つの土台部であって、第2右土台部と、前記第2右土台部の左方に配された第2左土台部と、を含み、
当該乗物用デッキボードは、前記第2ボード部の前記裏面において、前記第2右土台部と第2左土台部との間に取り付けられた第3土台部を備え、
前記展開状態では、前記第2ボード部が、前記第2右土台部と前記第2左土台部と前記第3土台部に裏面側から支持されている請求項1または請求項2に記載の乗物用デッキボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物用デッキボードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗物用デッキボードとして、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、車両荷室の上部開口を塞ぐデッキボードの後端部に、ヒモが固定されており、このヒモの先端に、鈎状のフックが取り付けられていることが開示されている。このデッキボードは、その後側を上方に持ち上げた状態で、ヘッドレストを支持するロッドにフックを引っ掛けると、デッキボードが斜めになった状態で保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、ヒモやフック等、デッキボードを持ち上げた状態に保持するための部品を個別に設けなければならず、コストがかかる。また、このような部品が増加すると、デッキボードの意匠性が低下する虞がある。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成された技術であって、コストの削減ができる乗物用デッキボードを提供することを目的の一つとする。また、意匠性を向上できる乗物用デッキボードを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、乗物の荷室の床面に配される乗物用デッキボードであって、表裏面を有する板状の第1ボード部及び第2ボード部と、前記第1ボード部の裏面に取り付けられた第1土台部と、前記第2ボード部の裏面に取り付けられた第2土台部と、を備え、当該乗物用デッキボードは、前記第1ボード部と前記第2ボード部が、前記第1土台部と前記第2土台部に裏面側から支持されて、前記第1ボード部の表面と前記第2ボード部の表面が上方に指向するように展開された展開状態と、前記第1ボード部と前記第2ボード部が、前記第1ボード部の表面と前記第2ボード部の表面が対向するように起立された起立状態と、に状態を変更可能とされ、前記第1土台部と前記第2土台部は、前記起立状態において、起立した前記第1ボード部と前記第2ボード部を側方から支持可能な構成とされている、乗物用デッキボードである。
【0007】
このような乗物用デッキボードによると、展開状態では、各ボード部が、各土台部に裏面側から支持されて、第1ボード部の表面と前記第2ボード部の表面が上方に指向するように展開されることで、これら表面に荷物を載置することができる。起立状態では、第1ボード部の表面と第2ボード部の表面が対向するように起立されることで、床面に荷物を載置したり、例えば床面の下方に床下収納が設けられている場合は、床面を跳ね上げて床下収納に荷物を出し入れしたりすることができる。また、各ボード部が互いに支え合うことが可能となり、倒れ難いものとすることができる。そして、各土台部は、荷物が載置される各ボード部を支持するための土台としての機能に加えて、起立した各ボード部を側方から支持するための機能を兼ね備えることができるため、各機能を発揮させる構造を個別に設ける必要が無い。従って、部品点数を低減してコストを削減し、意匠性を向上させることが可能な乗物用デッキボードとすることができる。
【0008】
また、上記構成において、乗物用デッキボードは、前記第1ボード部の端部と前記第2ボード部の端部とを接続するヒンジ部を備えていてもよい。
【0009】
このような乗物用デッキボードによると、第1ボード部と第2ボード部とがヒンジ部を基点として開閉可能となる。これにより、展開状態から起立状態への状態の変更や、起立状態から展開状態への状態の変更をスムーズに行うことができる。
【0010】
また、上記構成において、乗物用デッキボードは、前記展開状態では、前記第1ボード部の前記表面と前記第2ボード部の前記表面が、乗物室内に配され折り畳み状態となった後部座席と共に、上方に指向するように展開されてもよい。
【0011】
このような乗物用デッキボードによると、第1ボード部の表面と第2ボード部の表面が、乗物室内に配され折り畳み状態となった後部座席と共に、上方に指向するように展開されることで、これら上方に指向する面に、比較的大型の荷物を載置することや、乗員が寝そべることが可能となる。
【0012】
また、上記構成において、前記第2土台部は、当該乗物用デッキボードが前記展開状態である場合に、前記第1土台部に対し、乗物幅方向における位置がずれて配されていてもよい。
【0013】
このような乗物用デッキボードによると、展開状態において第1土台部と第2土台部とが干渉し難くなるので、第1土台部及び第2土台部の少なくとも一方を、他方側に延在させることができる。このような構成によれば、展開状態において、各土台部のうち床面に当接する部分を増加させて乗物用デッキボードの耐荷重を向上させることができる。
【0014】
また、上記構成において、前記第2土台部は、2つの土台部であって、第2右土台部と、前記第2右土台部の左方に配された第2左土台部と、を含み、当該乗物用デッキボードは、前記第2ボード部の前記裏面において、前記第2右土台部と第2左土台部との間に取り付けられた第3土台部を備え、前記展開状態では、前記第2ボード部が、前記第2右土台部と前記第2左土台部と前記第3土台部に裏面側から支持されていてもよい。
【0015】
このような乗物用デッキボードによると、展開状態において、第2ボード部を、第2右土台部、第2左土台部、及び第3土台部によって好適に支持することができる。これにより、第2ボード部の表面に、比較的重い荷物を載置することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、コストの削減ができる乗物用デッキボードの提供が可能となる。また、意匠性を向上できる乗物用デッキボードの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態1に係る車両の荷室と後部座席を示す斜視図
【
図7】実施形態2に係る展開状態のデッキボードを裏面側から視た図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
本開示の実施形態1を
図1から
図6によって説明する。本実施形態では、乗物としての自動車(車両)の荷室1の床面2に配されるデッキボード(乗物用デッキボード)100を説明する。尚、矢印方向Fを前方、矢印方向Bを後方、矢印方向Uを上方、矢印方向Dを下方、矢印方向Lを左方、矢印方向Rを右方として各図を説明する。左右方向は、車幅方向と呼ぶことがある。
【0019】
図1及び
図2に示すように、荷室1は、板面が前後方向及び車幅方向に広がる板状の床面(フロアボード)2と、床面2の車幅方向外側に配され、左右両側の壁を構成するサイドトリム4(左側のサイドトリムの図示は省略する)と、床面2の後方に配され、荷室1の後側の壁の一部を構成する後壁部3と、を備える。床面2の表面(上面)には、デッキボード100と、工具等を入れるツールボックス5と、が配されている。床面2の裏面(下面)側には、工具等や予備のホイールを内部に収納可能な凹状の床下収納部6が配されている。
【0020】
後部座席70は、車室内において荷室1の前方に配されている。後部座席70は、主に乗員の臀部を支持するシートクッション71と、主に乗員の腰部や背部を支持し、シートクッション71の後端部に取り付けられたシートバック72と、を備える。シートバック72は、シートクッション71に対しその後端部を軸として上下に回動可能とされる。後部座席70は、
図4に示すように、シートクッション71に対しシートバック72を上方に回動させることで、乗員がシートクッション71に着座可能な状態と、
図1に示すように、シートクッション71に対しシートバック72を下方に回動させることで折り畳まれた折り畳み状態と、に状態を変更可能とされる。折り畳み状態では、シートバック72の背面72Aが、上方に指向している。
【0021】
サイドトリム4は、トリム本体部4Aと、トリム本体部4Aから車幅方向外側に窪んだ窪み部4Bと、を備える。床面2上であって、窪み部4Bの一部には、ツールボックス5が荷室内側から嵌まっている。
【0022】
後壁部3は、床面2から立ち上がった立上壁部3Aと、立上壁部3Aの上端部から後方に延びた開口縁部3Bと、を備える。開口縁部3Bは、荷室1において前後方向に開口した開口部の縁を構成しており、図示しないラゲッジドアによって開閉される部分とされる。乗員(車両の使用者)は、ラゲッジドアを開いて、開口縁部3B等により構成される荷室1の開口部から、荷物を出し入れすることができる。
【0023】
図1から
図3に示すように、デッキボード100は、表裏面を有する板状の第1ボード部10と、表裏面を有する板状をなし、第1ボード部10の前方に配された第2ボード部20と、第1ボード部10の前端部10Cと第2ボード部20の後端部20Cとを接続するヒンジ部60と、を備える。ヒンジ部60は、第1ボード部10や第2ボード部20よりも板厚(表裏方向における長さ)が薄い部分とされる。デッキボード100は、ヒンジ部60を軸として、第1ボード部10の表面10Aと第2ボード部20の表面20Aとが近接するように折れ曲がることができる。第1ボード部10の表面10A側には、使用者が把持可能な把持部11が設けられている。
【0024】
また、デッキボード100は、第1ボード部10の裏面10Bに取り付けられた第1土台部31,35と、第2ボード部20の裏面20Bに取り付けられた第2土台部41,45及び第3土台部50と、を備える。各土台部31,35,41,45,50は、それぞれ、成形時の型抜き、及び機能時(使用時)の他部品との干渉を抑制するなどを配慮して、各ボード部10,20から離間するほど(
図3において紙面手前側に向かうほど)、その左右方向及び前後方向における長さが短くなる、テーパ状をなしている。尚、各土台部31,35,41,45,50の構造に関する以下の説明(前後方向や上下方向(
図3において紙面奥手前方向)に関する構造の説明)では、
図3等に示すように、デッキボード100が展開状態である場合について説明する。
【0025】
第1土台部31,35は、2つの土台部であって、第1右土台部31と、第1右土台部31の左方に配された第1左土台部35と、を含む。第2土台部41,45は、2つの土台部であって、第2右土台部41と、第2右土台部41の左方に配された第2左土台部45と、を含む。第3土台部50は、第2右土台部41と第2左土台部45との間であって、第2右土台部41と第2左土台部45よりも第2ボード部20の前端部20D側に取り付けられている。第3土台部50は、左右方向に延びた角柱状をなしている。第2ボード部20を裏面20B側から視た場合に、第2右土台部41、第2左土台部45、及び第3土台部50は、全体として門型をなしている。
【0026】
第1右土台部31は、当該第1右土台部31において、第1ボード部10とは反対側を向く面(デッキボード100が展開状態の場合に、下方を向く面)であって、下方視U字状をなした第1反対面31Bを備える。また、第1右土台部31は、第1本体部32と、第1本体部32から第1ボード部10の前端部10C側に延在した2つの延在部33,34と、当該第1右土台部31の後右部分が切り欠かれてなる切欠部31Cと、を備える。2つの延在部33,34は、それぞれ、前端部10Cから立ち下がる形をなし、第1右土台部31の前側の側面を構成する第1側面33C,34Cを備える。
【0027】
一方、第1左土台部35は、第1右土台部31と左右対称の構造をなしており、具体的に、第1反対面35B、第1本体部36、2つの延在部37,38、及び、切欠部35Cを備える。2つの延在部37,38は、それぞれ、前端部10Cから立ち下がる形をなし、第1左土台部35の前側の側面を構成する第1側面37C,38Cを備える。
【0028】
第2右土台部41は、ヒンジ部60を基準として第1右土台部31と前後対称の構造をなしている。第2右土台部41は、当該第2右土台部41において、第2ボード部20とは反対側を向く面(デッキボード100が展開状態の場合に、下方を向く面)であって、下方視U字状をなした第2反対面41Bを備える。また、第2右土台部41は、第2本体部42と、第2本体部42から第2ボード部20の後端部20C側に延在した2つの延在部43,44と、当該第2右土台部41の前右部分が切り欠かれてなる切欠部41Cと、を備える。2つの延在部43,44は、それぞれ、後端部20Cから立ち下がる形をなし、第2右土台部41の後側の側面を構成する第2側面43C,44Cを備える。
【0029】
一方、第2左土台部45は、ヒンジ部60を基準として第1左土台部36と前後対称の構造をなしている。また、第2左土台部45は、第2右土台部41と左右対称の構造をなしており、具体的に、第2反対面45B、第2本体部46、2つの延在部47,48、及び、切欠部45Cを備える。2つの延在部47,48は、それぞれ、後端部20Cから立ち下がる形をなし、第2左土台部45の後側の側面を構成する第2側面47C,48Cを備える。
【0030】
図2に示すように、床面2は、板状の床第1ボード部2Aと、床第1ボード部2Aの前方に配された板状の床第2ボード部2Bと、床第1ボード部2Aと床第2ボード部2Bとをつなぐ床ヒンジ部2Cと、を備える。床第1ボード部2Aは、床第2ボード部2Bに対して床ヒンジ部2Cを基準として上方に折り曲げ可能とされる。
図6に示すように、床第1ボード部2Aを上方に折り曲げると、床下収納部6の内部空間を上方に露出させることができる。
【0031】
続いて、デッキボード100が展開状態と起立状態とに状態を変更する態様について説明する。デッキボード100は、
図1から
図3に示すように、第1ボード部10の表面10Aと第2ボード部20の表面20Aが上方に指向するように展開された展開状態と、
図4から
図6に示すように、第1ボード部10と第2ボード部20が、第1ボード部10の表面10Aと第2ボード部20の表面20Aが対向するように起立された起立状態と、に状態を変更可能とされる。
【0032】
図1から
図3に示すように、展開状態のデッキボード100では、第1ボード部10が、第1土台部31,35に裏面10B側から支持されている。第1土台部31,35のそれぞれの第1反対面31B,35Bは、下方に指向した状態となり、床面2に当接する。また、展開状態のデッキボード100では、第2ボード部20が、第2土台部41,45、及び第3土台部50に裏面20B側から支持されている。第2土台部41,45のそれぞれの第2反対面41B,45Bは、下方に指向した状態となり、床面2に当接する。第2右土台部41の第2側面43C,44Cは、第1右土台部31の第1側面33C,34Cに対向する。第2左土台部45の第2側面47C,48Cは、第1左土台部35の第1側面37C,38Cに対向する。
【0033】
展開状態では、デッキボード100は、第1ボード部10の表面10Aと第2ボード部20の表面20Aが、折り畳み状態となった後部座席70と共に、上方に指向するように展開される。第1ボード部10と第2ボード部の延長線上には、シートバック72の背面72Aや、ツールボックス5の上面が配されている。第2ボード部20は、第1ボード部10に対し面一となっている。
【0034】
把持部11が使用者によって把持され、各ボード部10,20の各表面10A,20Aが近接するように、デッキボード100がヒンジ部60を中心として折り畳まれると、デッキボード100は、展開状態から起立状態となる。
図4及び
図5に示すように、起立状態のデッキボード100において、第1土台部31,35と第2土台部41,45は、起立した第1ボード部10と第2ボード部20を側方から支持可能な構成とされている。第1土台部31,35は、各第1側面33C,34C,37C,38Cが下方に指向して床面2に当接することで、第1ボード部10を、その板面(表面10A)の側方となる下方から支持している。第1土台部31,35の各第1反対面31B,35Bは、後方に指向している。同様に、第2土台部41,45は、各第2側面43C,44C,47C,48Cが下方に指向して床面2に当接することで、第2ボード部20を、その板面(表面20A)の側方となる下方から支持している。第2土台部41,45の各第2反対面41B,45Bは、前方に指向している。
【0035】
起立した第1ボード部10を、第1土台部31,35が側方から支持可能な構成としては、第1土台部31,35が第1ボード部10の前端部10C側に寄っていること、又は、その各第1側面33C,34C,37C,38Cが前端部10Cから立ち下がる形をなしていること等の構成を挙げることができるが、これに限られない。例えば、他の実施形態として、第1側面と第1反対面とによりなる角部が床面2に当接することにより、第1側面の一部が床面2から若干浮いた状態で、第1土台部が起立した第1ボード部を支持する構成であってもよい。同様に、起立した第2ボード部20を、第2土台部41,45が側方から支持可能な構成としては、第2土台部41,45が第2ボード部20の後端部20C側に寄っていること、又は、その各第2側面43C,44C,47C,48Cが後端部20Cから立ち下がる形をなしていること等の構成を挙げることができるが、これに限られない。例えば、他の実施形態として、第2側面と第2反対面とによりなる角部が床面2に当接することにより、第2側面の一部が床面2から若干浮いた状態で、第2土台部が起立した第2ボード部を支持する構成であってもよい。
【0036】
尚、起立状態のデッキボード100は、
図5に示すように、第1ボード部10の表面10Aと第2ボード部20の表面20Aとが上方に向かうほど徐々に離間し、各ボード部10,20がV字状をなすように、起立していてもよく、第1ボード部10の表面10Aと第2ボード部20の表面20Aとが略平行になるように(各表面10A,20Aが床面2に対して垂直方向に延びるように)、起立していてもよい。
【0037】
起立状態におけるデッキボード100の前後方向の長さ(即ち、各ボード部10,20の厚みと、前後方向に並ぶ2つの土台部(第1右土台部31及び第2右土台部41、又は第1左土台部35及び第2左土台部45)の厚みの合計)は、床第2ボード部2Bの前後方向の長さよりも短い。
図6に示すように、起立状態のデッキボード100において、第1土台部31,35の各第1反対面31B,35Bが床ヒンジ部2Cよりも前方に配されるまで、当該デッキボード100を前方に移動させると、床ヒンジ部2Cを基点として床第1ボード部2Aを上方へ折り曲げることが可能となる。これにより、床下収納部6の内部空間を上方に露出させることができる。
【0038】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、乗物の荷室1の床面2に配されるデッキボード100であって、表裏面を有する板状の第1ボード部10及び第2ボード部20と、第1ボード部10の裏面10Bに取り付けられた第1土台部31,35と、第2ボード部20の裏面20Bに取り付けられた第2土台部41,45と、を備え、当該デッキボード100は、第1ボード部10と第2ボード部20が、第1土台部31,35と第2土台部41,45に裏面側から支持されて、第1ボード部10の表面10Aと第2ボード部20の表面20Aが上方に指向するように展開された展開状態と、第1ボード部10と第2ボード部20が、第1ボード部10の表面10Aと第2ボード部20の表面20Aが対向するように起立された起立状態と、に状態を変更可能とされ、第1土台部31,35と第2土台部41,45は、起立状態において、起立した第1ボード部10と第2ボード部20を側方から支持可能な構成とされている、デッキボード100を示した。
【0039】
このようなデッキボード100によると、展開状態では、各ボード部10,20が、各土台部31,35,41,45に裏面10B,20B側から支持されて、第1ボード部10の表面10Aと第2ボード部20の表面20Aが上方に指向するように展開されることで、これら表面に荷物を載置することができる。起立状態では、第1ボード部10の表面10Aと第2ボード部20の表面20Aが対向するように起立されることで、床面2に荷物を載置したり、床面2を跳ね上げて床下収納部6に荷物を出し入れしたりすることができる。また、各ボード部10,20が互いに支え合うことが可能となり、倒れ難いものとすることができる。そして、各土台部31,35,41,45は、荷物が載置される各ボード部10,20を支持するための土台としての機能に加えて、起立した各ボード部10,20を側方から支持するための機能を兼ね備えることができるため、各機能を発揮させる構造を個別に設ける必要が無い。従って、部品点数を低減してコストを削減し、意匠性を向上させることが可能なデッキボード100とすることができる。
【0040】
デッキボード100は、第1ボード部10の前端部10Cと第2ボード部20の後端部20Cとを接続するヒンジ部60を備える。
【0041】
このようなデッキボード100によると、第1ボード部10と第2ボード部20とがヒンジ部60を基点として開閉可能となる。これにより、展開状態から起立状態への状態の変更や、起立状態から展開状態への状態の変更をスムーズに行うことができる。
【0042】
デッキボード100は、展開状態では、第1ボード部10の表面10Aと第2ボード部20の表面20Aが、車室内に配され折り畳み状態となった後部座席70と共に、上方に指向するように展開されている。
【0043】
このようなデッキボード100によると、第1ボード部10の表面10Aと第2ボード部20の表面20Aが、車室内に配され折り畳み状態となった後部座席70と共に、上方に指向するように展開されることで、これら上方に指向する面に、比較的大型の荷物を載置することや、乗員が寝そべることが可能となる。
【0044】
第2土台部41,45は、2つの土台部であって、第2右土台部41と、第2右土台部41の左方に配された第2左土台部45と、を含み、当該デッキボード100は、第2ボード部20の裏面20Bにおいて、第2右土台部41と第2左土台部45との間に取り付けられた第3土台部50を備え、展開状態では、第2ボード部20が、第2右土台部41と第2左土台部45と第3土台部50に裏面20B側から支持されている。
【0045】
このようなデッキボード100によると、展開状態において、第2ボード部20を、第2右土台部41、第2左土台部45、及び第3土台部50によって好適に支持することができる。これにより、第2ボード部20の表面20Aに、比較的重い荷物を載置することができる。
【0046】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2を
図7によって説明する。尚、本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0047】
デッキボード200において、第1右土台部231は、上記実施形態に比して車幅方向における内側(左側)に配されている。第1右土台部231は、当該第1右土台部231において、第1ボード部10とは反対側を向く面(デッキボード100が展開状態の場合に、下方を向く面)であって、下方視U字状をなした第1反対面231Bを備える。また、第1右土台部231は、第1本体部232と、第1本体部232から第1ボード部10の前端部10C側であって、ヒンジ部60を前方に超えるまで(もしくはヒンジ部60に至るまで)延在した2つの延在部233,234と、を備える。2つの延在部233,234は、それぞれ、第2ボード部20の後端部20Cから立ち下がる形をなし、当該第1右土台部231の前側の側面を構成する第1側面233C,234Cを備える。尚、第1側面233C,234Cは、後端部20Cに取り付けられておらず、デッキボード200が起立状態になった場合に、ヒンジ部60から床面2側に僅かに突き出た形となる。
【0048】
一方、第1左土台部235は、第1右土台部231と左右対称の構造をなしており、具体的に、デッキボード200において、第1左土台部235は、上記実施形態に比して車幅方向における内側(右側)に配されている。また、第1左土台部235は、第1反対面235B、第1本体部236、及び2つの延在部237,238を備える。2つの延在部237,238は、それぞれ、第2ボード部20の後端部20Cからから立ち下がる形をなし、当該第1左土台部235の側面を構成する第1側面237C,238Cを備える。尚、第1側面237C,238Cは、後端部20Cに取り付けられておらず、デッキボード200が起立状態になった場合に、ヒンジ部60から床面2側に僅かに突き出た形となる。これにより、起立状態のデッキボード200において、各ボード部10,20の各表面10A,20Aが一層近接し、その起立姿勢が安定する。
【0049】
第2土台部41,45は、デッキボード100が展開状態である場合に、第1土台部231,235に対し、車幅方向における位置がずれて配されている。具体的には、第2土台部41,45は、第1土台部231,235よりも車幅方向における外側に配されている。第2右土台部41は、第1右土台部231よりも右方に配されている。第2右土台部41の2つの延在部43,44は、第1右土台部231の2つの延在部233,234に対し車幅方向における位置が互い違いになるように配されている。第1側面233C,234Cは、第2側面43C,44Cに対向していない。
【0050】
一方、第2左土台部45は、第1左土台部235よりも左方に配されている。第2左土台部45の2つの延在部47,48は、第1左土台部235の2つの延在部237,238に対し車幅方向における位置が互い違いになるように配されている。第1側面237C,238Cは、第2側面47C,48Cに対向していない。また、第1土台部231,235の延在部233,234,237,238の第1側面233C,234C,237C,238Cは、ヒンジ部60を跨いで第2ボード20に位置するようにしており、第1ボード部10と第2ボード部20の境界部分を支持している。
【0051】
このようなデッキボード100によると、展開状態において、第1土台部231,235と第2土台部41,45とが干渉し難くなるので、第1土台部231,235及び第2土台部41,45の少なくとも一方を、他方側に延在させることができる。このような構成によれば、展開状態において、各土台部231,235,41,45のうち床面2に当接する部分を増加させてデッキボード100の耐荷重を向上させることができる。
【0052】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0053】
(1)上記実施形態では、乗物用デッキボードは、第1ボード部と第2ボード部とがヒンジ部によって接続された構成としたが、これに限定されない。例えば、乗物用デッキボードは、ヒンジ部を備えず、第1ボード部と第2ボード部とが分離した構成であってもよい。
【0054】
(2)上記実施形態以外にも、第1ボード部及び第1土台部と第2ボード部及び第2土台部の相対的な配置は適宜変更可能である。例えば、第1ボード部及び第1土台部が、第2ボード部及び第2土台部の前方に配されていてもよい。
【0055】
(3)上記実施形態以外にも、ボード部に対する土台部の位置は適宜変更可能である。例えば、第1土台部は、第1ボード部の後端部側に寄っていてもよく、第2土台部は、第2ボード部の前端部側に寄っていてもよい。
【0056】
(4)上記実施形態で例示した乗物用デッキボードは、車両用に限定されず、種々の乗物において提供されてもよい。例えば、地上の乗物としての列車や遊戯用車両、飛行用乗物としての飛行機やヘリコプター、海上や海中用乗物としての船舶や潜水艇などの乗物についても上記乗物用デッキボードを適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1…荷室、2…床面、6…床下収納部、10…第1ボード部、20…第2ボード部、31,35,231,235…第1土台部、41…第2右土台部(第2土台部)、45…第2左土台部(第2土台部)、50…第3土台部、60…ヒンジ部、70…後部座席、100,200…デッキボード(乗物用デッキボード)