(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089736
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】距離情報取得装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/497 20060101AFI20240627BHJP
G01S 7/481 20060101ALI20240627BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20240627BHJP
G02B 7/40 20210101ALI20240627BHJP
G03B 17/14 20210101ALI20240627BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240627BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S7/481 A
G01C3/06 120Q
G02B7/40
G03B17/14
H04N23/60 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205108
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏秀
(72)【発明者】
【氏名】増田 祥吾
【テーマコード(参考)】
2F112
2H101
2H151
5C122
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA12
2F112CA02
2F112CA12
2F112DA25
2F112DA28
2F112DA32
2F112EA05
2F112FA03
2F112FA21
2F112FA23
2F112FA45
2F112GA01
2H101EE08
2H101EE21
2H101EE24
2H151AA00
2H151BB27
2H151CA04
2H151CB14
2H151CB22
2H151CC07
2H151CD13
2H151CD18
2H151CD21
5C122DA13
5C122EA59
5C122FB04
5C122FB11
5C122FB15
5C122FE02
5C122GA23
5C122HA88
5C122HB06
5C122HB09
5C122HB10
5J084AA05
5J084AC08
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA36
5J084BA40
5J084BB02
5J084BB14
5J084CA03
5J084CA31
5J084CA65
5J084CA67
5J084CA70
5J084EA08
5J084EA11
(57)【要約】
【課題】精度よく対象物までの距離を測定する。
【解決手段】距離情報取得装置は、対象物に対して光を照射する照射部と、前記照射部により照射され前記対象物に反射した光を光学系レンズを介して受光するToF(Time of Flight)センサとを備え、前記対象物までの距離情報を取得する距離情報取得装置であって、前記照射部により照射が行われるタイミングと、前記ToFセンサが光を受光するタイミングと、光の速さとに基づき得られる距離値を取得する距離値取得部と、前記光学系レンズの画角に関する情報をパラメータとして少なくとも含む所定の数式を記憶する記憶部と、取得した前記距離値を前記記憶部に記憶された所定の数式に適用することにより前記対象物までの距離情報を演算する補正演算部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対して光を照射する照射部と、前記照射部により照射され前記対象物に反射した光を光学系レンズを介して受光するToF(Time of Flight)センサとを備え、前記対象物までの距離情報を取得する距離情報取得装置であって、
前記照射部により照射が行われるタイミングと、前記ToFセンサが光を受光するタイミングと、光の速さとに基づき得られる距離値を取得する距離値取得部と、
前記光学系レンズの画角に関する情報をパラメータとして少なくとも含む所定の数式を記憶する記憶部と、
取得した前記距離値を前記記憶部に記憶された所定の数式に適用することにより前記対象物までの距離情報を演算する補正演算部と
を備える距離情報取得装置。
【請求項2】
前記対象物までの距離を実際に測定した結果と、前記補正演算部により算出された前記対象物までの距離情報との差分に関する情報を補正値として記憶する補正値記憶部を更に備え、
前記補正演算部は、前記補正値記憶部に記憶された前記補正値に基づき前記対象物までの距離情報を演算する
請求項1に記載の距離情報取得装置。
【請求項3】
前記光学系レンズは、焦点距離を変更可能なズームレンズであって、
前記光学系レンズの焦点距離と、当該焦点距離に応じた画角とを対応付けて記憶する画角情報記憶部を更に備え、
前記補正演算部は、前記光学系レンズの焦点距離に応じた画角に基づいて、前記対象物までの距離情報を演算する
請求項1に記載の距離情報取得装置。
【請求項4】
前記光学系レンズは、複数のレンズのうちいずれかが装着される交換式レンズであって、
装着されている前記光学系レンズを識別するレンズ識別情報を取得するレンズ識別情報取得部と、
前記光学系レンズの焦点距離と、当該焦点距離に応じた画角とを対応付けて記憶する画角情報記憶部とを更に備え、
前記画角情報記憶部は、前記複数のレンズそれぞれについて、焦点距離と、当該焦点距離に応じた画角とを対応付けて記憶し、
前記補正演算部は、前記レンズ識別情報取得部により取得された前記レンズ識別情報に基づき識別されるレンズの焦点距離に応じた画角を前記画角情報記憶部から取得し、取得した画角に基づいて、前記対象物までの距離情報を演算する
請求項1に記載の距離情報取得装置。
【請求項5】
前記照射部は、前記光学系レンズの光軸方向に移動することにより、前記照射部と前記ToFセンサとの間の距離が変化し、
前記補正演算部は、前記照射部と前記ToFセンサとの間の距離に基づいて、前記対象物までの距離情報を演算する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の距離情報取得装置。
【請求項6】
前記光学系レンズと前記ToFセンサとの間に備えられ、前記照射部により前記対象物に対して照射され反射した光が入射するプリズムと、
前記プリズムに入射した光のうち可視光を反射する可視光反射ダイクロイック膜と、
前記可視光反射ダイクロイック膜により反射した可視光を受光するRGBセンサとを更に備える
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の距離情報取得装置。
【請求項7】
前記補正演算部は、前記プリズムのガラスの厚みと、反射率とに更に基づき、前記対象物までの距離情報を演算する
請求項6に記載の距離情報取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置のレンズを取り囲む位置にVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser、垂直共振器型面発光レーザー)等の発光素子と、ToFセンサ等の受光素子とを備え、発光素子により照射された光が対象物に反射してToFセンサにより受光されるまでの時間を測定することにより、対象物までの距離を測定する装置があった(例えば、特許文献1を参照)。このような測距方法は、TOF(Time of Flight)方式として広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような技術を用いる場合、レンズの光軸と照射部の光軸とがずれて配置されるため、空間的な測定距離に誤差が生じてしまうといった問題があった。レンズの光軸と照射部の光軸との間隔が大きくなるほど誤差は大きくなるため、このような従来技術によれば、大きいレンズ(具体的には、鏡筒の直径が大きく、鏡筒長が長いレンズ)を用いることは好適でない。すなわち、レンズが大きくなりやすいズームレンズを従来技術に適用しようとした場合、測定する距離に誤差が生じてしまうといった課題があった。
【0005】
また、レンズの光軸と照射部の光軸とを一致させて配置することができたとしても、測距対象となる対象物が必ずしも光軸中央に存在するとは限らない。対象物が光軸中央に存在しない場合、照射部から照射され対象物に反射するまでの距離(以下、第1の光路長と記載する。)と、対象物に反射してから受光部に入射するまでの距離(以下、第2の光路長と記載する。)とは、異なる。従来技術によれば、第1の光路長と第2の光路長とを同一距離とみなして、光の飛行時間を2で割ることにより対象物までの光の飛行時間として、測距のための演算を行っていたため、誤差が生じてしまうといった課題があった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、精度よく対象物までの距離を測定することが可能な距離情報取得装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明の一態様は、対象物に対して光を照射する照射部と、前記照射部により照射され前記対象物に反射した光を光学系レンズを介して受光するToF(Time of Flight)センサとを備え、前記対象物までの距離情報を取得する距離情報取得装置であって、前記照射部により照射が行われるタイミングと、前記ToFセンサが光を受光するタイミングと、光の速さとに基づき得られる距離値を取得する距離値取得部と、前記光学系レンズの画角に関する情報をパラメータとして少なくとも含む所定の数式を記憶する記憶部と、取得した前記距離値を前記記憶部に記憶された所定の数式に適用することにより前記対象物までの距離情報を演算する補正演算部とを備える距離情報取得装置である。
【0008】
[2]また、本発明の一態様は、上記[1]に記載の距離情報取得装置において、前記対象物までの距離を実際に測定した結果と、前記補正演算部により算出された前記対象物までの距離情報との差分に関する情報を補正値として記憶する補正値記憶部を更に備え、前記補正演算部は、前記補正値記憶部に記憶された前記補正値に基づき前記対象物までの距離情報を演算するものである。
【0009】
[3]また、本発明の一態様は、上記[1]又は[2]に記載の距離情報取得装置において、前記光学系レンズは、焦点距離を変更可能なズームレンズであって、前記光学系レンズの焦点距離と、当該焦点距離に応じた画角とを対応付けて記憶する画角情報記憶部を更に備え、前記補正演算部は、前記光学系レンズの焦点距離に応じた画角に基づいて、前記対象物までの距離情報を演算するものである。
【0010】
[4]また、本発明の一態様は、上記[1]から[3]のいずれかに記載の距離情報取得装置において、前記光学系レンズは、複数のレンズのうちいずれかが装着される交換式レンズであって、装着されている前記光学系レンズを識別するレンズ識別情報を取得するレンズ識別情報取得部を更に備え、前記画角情報記憶部は、前記複数のレンズそれぞれについて、焦点距離と、当該焦点距離に応じた画角とを対応付けて記憶し、前記補正演算部は、前記レンズ識別情報取得部により取得された前記レンズ識別情報に基づき識別されるレンズの焦点距離に応じた画角を前記画角情報記憶部から取得し、取得した画角に基づいて、前記対象物までの距離情報を演算する。
【0011】
[5]また、本発明の一態様は、上記[1]から[4]のいずれかに記載の距離情報取得装置において、前記照射部は、前記光学系レンズの光軸方向に移動することにより、前記照射部と前記ToFセンサとの間の距離が変化し、前記補正演算部は、前記照射部と前記ToFセンサとの間の距離に基づいて、前記対象物までの距離情報を演算するものである。
【0012】
[6]また、本発明の一態様は、上記[1]から[4]のいずれかに記載の距離情報取得装置において、前記光学系レンズと前記ToFセンサとの間に備えられ、前記照射部により前記対象物に対して照射され反射した光が入射するプリズムと、前記プリズムに入射した光のうち可視光を反射する可視光反射ダイクロイック膜と、前記可視光反射ダイクロイック膜により反射した可視光を受光するRGBセンサとを更に備えるものである。
【0013】
[7]また、本発明の一態様は、上記[6]に記載の距離情報取得装置において、前記補正演算部は、前記プリズムのガラスの厚みと、反射率とに更に基づき、前記対象物までの距離情報を演算するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、精度よく対象物までの距離を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1に係る距離情報取得システムの概略について説明するための図である。
【
図2】実施形態1に係る演算部の機能構成を示す機能構成図である。
【
図3】実施形態1に係る演算部が行う演算について説明するための第1の図である。
【
図4】実施形態1に係る演算部が行う演算について説明するための第2の図である。
【
図5】実施形態1に係る距離情報取得装置により補正演算が行われた後の三次元情報の一例を示す図である。
【
図6】実施形態1に係る距離情報取得システムの変形例について説明するための図である。
【
図7】実施形態2に係るキャリブレーションの概要について説明するための図である。
【
図8】実施形態3に係る距離情報取得システムの機能構成について説明するための図である。
【
図9】実施形態4に係る距離情報取得システムの機能構成について説明するための図である。
【
図10】実施形態5に係る距離情報取得装置が解決しようとする問題について説明するための図である。
【
図11】実施形態5に係る距離情報取得装置の構成について説明するための図である。
【
図12】実施形態5に係る距離情報取得装置の機能構成について説明するための図である。
【
図13】実施形態5に係るレンズとLDの対応表の一例を示す図である。
【
図14】実施形態5に係る距離情報取得装置の変形例の構成について説明するための図である。
【
図15】実施形態6に係る距離情報取得装置の機能構成について説明するための図である。
【
図16】実施形態6に係る可視光反射ダイクロイック膜の反射分光特性の一例を示す図である。
【
図17】実施形態7に係る距離情報取得装置10が備えるレンズと照射部の配置の一例を示す図である。
【
図18】従来技術に係るToFカメラシステムについて説明するための図である。
【
図19】従来技術に係るToFカメラシステムが備えるレンズとToFセンサの配置の一例を示す図である。
【
図20】従来技術に係るToFカメラシステムにより得られた距離値に基づき点群データを生成した場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の態様に係る距離情報取得装置について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
【0017】
[従来技術]
まず、
図18から
図20を参照しながら、従来技術について説明する。
【0018】
図18は、従来技術に係るToFカメラシステムについて説明するための図である。同図を参照しながら、従来技術に係るToFカメラシステム9について説明する。以下、ToFカメラシステム9に含まれる構成物の位置関係等を、x軸、y軸及びz軸の三次元直交座標系によって示す場合がある。
【0019】
ToFカメラシステム9は、ToFカメラ装置90と、情報処理装置95とを備える。ToFカメラ装置90は、照射部91と、レンズ92と、ToFセンサ93と、測距部94とを備える。ToFカメラ装置90は、対象物OBまでの距離を測距する。図示する一例では、従来技術による問題を説明するため、対象物OBの表面にホワイトチャートWCが置かれている。なお、ホワイトチャートWCは、ToFセンサ93と並行に配置されているものとする。
【0020】
照射部91は、レーザー光を照射可能な発光素子を含み、レーザー光を対象物OBに照射する。照射部91により照射されるレーザー光は、可視光であってもよいし、赤外光であってもよい。照射部91は、例えばVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser、垂直共振器型面発光レーザー)等のレーザーダイオードアレイであってもよい。照射部91は、測距部94からの指示に基づき、ToFセンサ93と垂直な方向(図中z軸方向)にレーザー光を照射する。照射部91により照射された光は、対象物OBに反射し、レンズ92を介してToFセンサ93に入射する。測距部94は、照射部91が光を照射してから、ToFセンサ93が受光するまでに要した時間に基づいて、対象物OBまでの距離を測定する。
【0021】
ToFセンサ93は、垂直方向(図中y軸方向)と横方向(図中x軸方向)に配置された二次元座標上に複数の画素(ピクセル)を有する。ToFセンサ93に含まれる各ピクセルは、それぞれ光を受光したタイミングを検出する。ToFセンサ93は、二次元座標におけるピクセルごとの検出情報を、スキャンしながら測距部94に出力する。測距部94は、ピクセルごとに距離値を算出し、二次元配列データである距離画像を生成する。ToFセンサ93の測距方式としては、dToF(direct Time of Flight)方式又はiToF(indirect Time of Flight)方式等が用いられてもよい。図示する一例では、iToF方式を用いることとする。測距部94により生成された距離画像は、情報処理装置95により三次元の点群データに変換される。情報処理装置95は、パーソナルコンピュータや、タブレット端末等の情報処理装置であってもよい。
【0022】
ここで、ToFカメラ装置90の照射部91から対象物OBまでの距離である距離L91と、対象物OBからToFカメラ装置90のToFセンサ93までの距離である距離L92とは、同一であることが好適である。しかしながら、実際は照射部91の照射角度や、レンズ92内における光路等により、距離L91と距離L92とは、同一でない場合がある。従来技術によれば、距離L91と距離L92とを同一とみなして、対象物OBまでの距離を算出していた。すなわち従来技術によれば、距離L91と距離L92との差を無視して対象物OBまでの距離を算出していたため、測定結果に誤差が生じてしまうといった問題があった。
【0023】
図19は、従来技術に係るToFカメラシステムが備えるレンズとToFセンサの配置の一例を示す図である。同図を参照しながら、レンズ92とToFセンサ93の配置の一例について説明する。
図19(A)は、
図18において対象物OBからz軸方向上にToFカメラ装置90を見た図である。図示するようにレンズ92と照射部91は、y軸上に垂直な位置に配置される。レンズ92の光軸OAから照射部91の中心位置までの距離を、距離dvと記載する。照射部91は、発光する光軸に傾きが与えられることにより、距離の誤差が抑えられることが知られている。しかしながら、VCSEL等の照射部91を基板上に傾斜を与えながら配置することは、設計の工数や、基板形状の複雑化を招く。また、照射部91を傾けて配置することにより、ある範囲の距離については距離の誤差を抑えることができるかもしれないが、当該範囲を超えた距離については、逆に誤差が大きくなってしまうことが予想される。
【0024】
図19(B)は、このような問題を回避するために考案された方法の一例である。図示する一例では、照射部91がレンズ92の近傍に複数配置されている。また、図示する一例では、照射部91として照射部91-1乃至照射部91-4が、レンズ92を中心として、上下左右対称な位置に配置されている。具体的には、レンズ92の上下方向に、レンズ92Aの光軸OAから距離dv離れた位置に照射部91-1及び照射部91-3が配置されている。また、レンズ92の左右方向に、レンズ92Aの光軸OAから距離dh離れた位置に照射部91-2及び照射部91-4が配置されている。この場合、照射部91を複数個用いる必要があり、部品費用の高額化、装置の大型化、工数の上昇等の問題が生じることとなる。更に、照射部91を複数使用する場合、複数の照射部91を同時に点灯することは、配線の複雑化や、複数の照射部91により発生する熱処理等の問題をも同時に引き起こすこととなる。
【0025】
図20は、従来技術に係るToFカメラシステムにより得られた距離値に基づき点群データを生成した場合の一例を示す図である。同図を参照しながら、
図19に示した配置の場合、得られる三次元情報の一例について説明する。図示する一例は、
図18と同様の角度から見た図であり、カメラ視点方向としては、右方向から左方向である。
図20(A)は、
図19(A)の配置に対応し、
図20(B)は、
図19(B)の配置に対応する。ホワイトチャートWCは、ToFセンサ93と並行に配置されているため、ホワイトチャートWCは、軸線AXと並行となるはずである。しかしながら、
図20(A)に示す一例では、上下方向に傾きが生じてしまっている。具体的には、
図20(A)に示す一例によれば上方向(すなわち照射部91に近い位置)において、ToFカメラ装置90までの距離が短く測定される。また、下方向(すなわち照射部91から遠い位置)において、ToFカメラ装置90までの距離が長く測定されてしまっている。これは、照射部91から発行した光がホワイトチャートWCの上側に届く距離及び時間と、下側に届く距離及び時間とが異なることによる誤差である。特に、ToFカメラ装置90を複数台用いて様々な角度から点群データを生成するようなシステムでは、このようなずれによりカメラ間の距離データの位置が合わないために合成をすることが困難となる。また、ToFカメラ装置90を複数台用いて様々な角度から点群データを生成するようなシステムでは、複数のカメラの距離データを合成したことにより得られる三次元の形状が歪んでしまうといった問題が起こる場合がある。なお、
図20(B)に示す一例では、このような誤差が生じていないが、上述したような複数個の照射部91を用いることによる問題が生ずる。
【0026】
[実施形態1]
本実施形態は、上述したような問題を解決するためのものである。以下、
図1から
図6を参照しながら、実施形態1について説明する。
【0027】
図1は、実施形態1に係る距離情報取得システムの概略について説明するための図である。同図を参照しながら、距離情報取得システム1の概略について説明する。以下、距離情報取得システム1に含まれる構成物の位置関係等を、x軸、y軸及びz軸の三次元直交座標系によって示す場合がある。
【0028】
距離情報取得システム1は、距離情報取得装置10と、情報処理装置20とを備える。距離情報取得装置10は、照射部11と、レンズ12と、ToFセンサ13と、測距部14と、演算部15とを備える。距離情報取得装置10は、対象物OBまでの距離を取得する。図示する一例では、本実施形態に係る補正演算の効果を説明するため、対象物OBの表面にホワイトチャートWCが置かれている。なお、ホワイトチャートWCは、ToFセンサ13の受光面と並行に配置されているものとする。
【0029】
照射部11は、レーザー光等の光を照射可能な発光素子を含み、対象物OBに対して光を照射する。照射部11により照射されるレーザー光は、可視光であってもよいし、赤外光であってもよい。照射部11に含まれる発光素子の数は複数であってもよい。照射部11は、具体的にはVCSEL等のレーザーダイオードアレイであってもよい。照射部11は、測距部14からの指示に基づき、ToFセンサ13と垂直な方向(図中z軸方向)にレーザー光を照射する。照射部11により照射された光は、対象物OBに反射し、レンズ12を介してToFセンサ13に入射する。レンズ12は、具体的には光学系レンズであってもよい。測距部14は、照射部11が光を照射してから、ToFセンサ13が受光するまでに要した時間に基づいて、対象物OBまでの距離を測定する。
【0030】
ToFセンサ13は、垂直方向(図中y軸方向)と横方向(図中x軸方向)に配置された二次元座標上に複数の画素(ピクセル)を有する。ToFセンサ13に含まれる各ピクセルは、それぞれ光を受光したタイミングを検出する。ToFセンサ13は、二次元座標におけるピクセルごとの検出情報を、スキャンしながら測距部14に出力する。測距部14は、ピクセルごとに距離値を算出し、二次元配列データである距離画像を生成する。ToFセンサ13の測距方式としては、dToF方式又はiToF方式等が用いられてもよい。図示する一例では、iToFを用いることとする。測距部14により生成された距離画像は、演算部15により補正演算が行われる。演算部15が行う補正演算とは、レンズ12の光軸と、照射部11の位置のずれに基づいて生じる距離値を補正するための演算である。測距部14により生成された距離画像は、演算部15により補正演算が行われた後、情報処理装置20により三次元の点群データに変換される。情報処理装置20は、パーソナルコンピュータや、タブレット端末等の情報処理装置であってもよい。
【0031】
なお、本実施形態において演算部15の機能が距離情報取得装置10に含まれるものとして説明しているが、演算部15に相当する機能は、情報処理装置20に含まれていてもよい。また、演算部15に相当する機能は、距離情報取得装置10及び情報処理装置20とは異なる装置に含まれていてもよい。すなわち、距離情報取得装置10に含まれる構成と、情報処理装置20に含まれる演算部15に相当する機能とを含む構成を、距離情報取得装置10としてもよい。
【0032】
図2は、実施形態1に係る演算部の機能構成を示す機能構成図である。同図を参照しながら、演算部15の機能構成の一例について説明する。演算部15は、距離値取得部151と、記憶部152と、補正演算部153とを含んで構成される。これらの各機能部は、例えば、電子回路を用いて実現される。また、各機能部は、必要に応じて、半導体メモリや磁気ハードディスク装置などといった記憶手段を内部に備えてよい。また、各機能を、コンピュータおよびソフトウェアによって実現するようにしてもよい。
【0033】
距離値取得部151は、測距部14から距離画像DIを取得する。距離画像DIには、二次元座標上における各点の距離値(Depth値)が含まれている。当該距離値は、補正前の距離値であるということもできる。当該距離値は、照射部11により光の照射が行われるタイミングと、ToFセンサ13が光を受光するタイミングと、光の速さとに基づき得られるものである。距離値取得部151は、取得した距離画像DIを補正演算部153に出力する。
【0034】
記憶部152は、静的パラメータPMと、演算式Fとを記憶する。静的パラメータPMとは、距離情報取得装置10に関する静的なパラメータである。静的パラメータPMは、レンズ12の構造や配置に基づくパラメータであってもよい。静的パラメータPMには、少なくともレンズ12の画角に関する情報が含まれる。レンズ12の画角に関する情報とは、AFOV(Angular Field of View)に関する情報であってもよい。演算式Fとは、補正演算に用いられる数式である。補正演算の詳細については、
図3及び
図4を参照しながら、後述する。なお、静的パラメータPMと演算式Fとは、別個独立した形で記憶されている必要はなく、例えば静的パラメータPMが演算式Fに含まれていてもよい。すなわち、演算式Fとは、AFOV等の静的パラメータPMをパラメータとして含む数式であってもよい。なお、記憶部152は必ずしも演算部15に含まれている必要はなく、演算部15は、外部の装置から静的パラメータPM及び演算式Fを含む情報を取得するような構成としてもよい。
【0035】
補正演算部153は、距離値取得部151から距離画像DIを取得し、記憶部152から静的パラメータPM及び演算式Fを取得する。補正演算部153は、取得した距離画像DIに含まれる補正前の距離値を、記憶部152に記憶された演算式Fに適用することにより、対象物までの距離情報を演算する。補正演算部153により行われる演算は、具体的には、距離値取得部151から取得した補正前の距離値を、レンズ12の構造や配置等に基づいて補正する演算である。したがって、補正演算部153により行われる演算を、補正演算と記載する場合がある。補正演算部153は、補正演算を行った結果を、補正距離画像CDIとして情報処理装置20に出力する。
【0036】
次に、
図3及び
図4を参照しながら、補正演算部153が行う補正演算の詳細について説明する。なお、以下に説明する補正演算の全てを補正演算部153が行う必要はなく、以下に説明する補正演算は予め演算がなされ演算式Fとして記憶部152に記憶されていてもよい。すなわち、
図3及び
図4を参照しながら行う説明は、演算式Fを適用することにより行われる補正の原理についての説明であるということもできる。なお、
図3及び
図4においては、説明の簡略化のため縮尺および数等を実際の構造における縮尺および数等と異ならせている場合がある。
【0037】
図3は、実施形態1に係る演算部が行う演算について説明するための第1の図である。同図には、照射部11と、第1基板SB1と、レンズ12と、ToFセンサ13と、第2基板SB2と、測距部14と、フレキシブルケーブルFLと、対象物OBとが示されている。同図の説明において、
図1又は
図2を参照しながら既に説明した構成については同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
【0038】
図示する一例において、照射部11は第1基板SB1に固定され、ToFセンサ13及び測距部14は第2基板SB2に固定されている。すなわち照射部11と、ToFセンサ13及び測距部14とは、異なる基板に固定されている。照射部11と測距部14とは、フレキシブルケーブルFLにより電気的に接続されている。フレキシブルケーブルFLは、測距部14からの電気的信号を照射部11に伝達する。具体的には、測距部14は、照射部11に対して発光パルスLPを出力する。発光パルスLPには、照射部11を照射するタイミングについての情報が含まれる。発光パルスLPは、照射部11を直接的に照射させるための制御信号であってもよい。照射部11は、発光パルスLPを受信すると光の照射を行う。また、測距部14は、ToFセンサ13に対してシャッターパルスSUBを出力する。シャッターパルスSUBとは、ToFセンサ13で光を受光するタイミングにおいて出力されるものである。ToFセンサ13は、シャッターパルスSUBを受信すると、照射部11により照射され対象物OBに反射した光の検出を行う。また、測距部14は、ToFセンサ13に二次元配列された複数の素子から検出結果をスキャンするための駆動パルス等を出力する。測距部14は、照射部11の発光からToFセンサ13の受光までのタイミングを管理する。
【0039】
測距部14とToFセンサ13とは、いずれも第2基板SB2に配置されているため、シャッターパルスSUB及び駆動パルスの、測距部14からToFセンサ13までの伝搬時間は数百[psec(ピコ秒)]から数[nsec(ナノ秒)]程度である。ToFセンサ13の測距精度を考慮すると、当該伝搬時間は無視できるものとして扱う。一方、照射部11は、測距部14が固定されている第2基板SB2とは異なる第1基板SB1に固定されているため、フレキシブルケーブルF等を介して信号が伝送される。したがって、測距部14から照射部11への信号の伝送には、ToFセンサ13の測距精度を考慮しても無視できない遅延が生じる。なお、照射部11を第2基板SB2とは異なる第1基板SB1に固定しなければならない理由としては、カメラの構造上の理由を挙げることができる。フレキシブルケーブルFLに代えて細線同軸ケーブル等を用いてもよいが、いずれにしても、測距部14から照射部11への信号の伝送には、無視できない遅延が生じることとなる。
【0040】
図示する一例において、ToFセンサ13の有効画像範囲の中心と、レンズ12の光軸とは一致する。レンズ12の光軸と、照射部11の光の射出面の中心位置との間隔を距離dVとして記載する。
図1に示したように、照射部11がToFセンサ13の上側に位置する構造の場合、
図3の左側ががカメラの上側に、
図3の右側がカメラの下側となる。ToFセンサ13は、通常、レンズ12のフランジバックのためにカメラボディの内部に位置する。照射部11の光の射出面と、ToFセンサ13の受光面との間の距離を距離LDとして記載する。レンズ12には入射瞳位置が定義される。図示するモデルでは、ToFセンサ13の受光面からレンズ12の入射瞳位置の距離を距離LIとして記載する。また、入射瞳位置からレンズの最大画角が定義される。レンズの最大画角をAFOVと記載する。
【0041】
レンズ12の入射瞳位置から、対象物OBまでの光軸方向の距離を距離ADと記載する。光軸から対象物OBまでのカメラの下側(図における右側)方向の距離を距離YDと記載する。この場合、照射部11から照射された光は、距離Daで対象物OBに到達する。また、対象物OBに反射した光は、距離Dbでレンズ12の入射瞳位置に到達する。ここで、レンズ12の入射瞳位置からレンズのRear Principal Planeまでの位置を距離Dc、Rear Principal PlaneからToFセンサ13の受光面までの距離を距離Ddと記載する。
【0042】
距離Ddは、図示するように、入射する主光線の角度により、ToFセンサ13に対して角度のついた距離になる。ToFセンサ13の大きさが、例えば1/4インチのような小型センサである場合、ToFセンサ13の有効画像範囲はH3.6[mm]×V2.7[mm]と小さい。また、Cマウントレンズの場合、フランジバックが17.526[mm]と短い。図示する一例では、説明を簡単にするために、距離Dcと距離Ddの角度を無視し、Dc+Dd≒LIとして扱うこととする。
【0043】
なお、Rear Principal PlaneからToFセンサ13の受光面までの距離と、対象物OBの位置に応じたToFセンサ13のピクセル位置から、距離Dcと距離Ddの角度を求め、距離Ddを割り出して、距離Dcと距離Ddとを正確に算出してもよい。距離Dcと距離Ddの算出に関する詳細な説明については省略する。
【0044】
従来技術におけるToFカメラ装置90では、通常、照射部91により照射されてからToFセンサ93により受光されるまでの時間に対して、光速度C=3×10^8[m/s]を掛けて、2で割ることにより距離を演算する。ここで、2で割るのは、照射部91から照射されてからToFセンサ93に戻ってくるまでの往復の時間を片道にするためである。すなわち、従来技術によれば、上述したような距離Daと、距離Dbと距離Dcと距離Ddとを、同一の距離とみなして演算を行う。本モデルにおける時間の基準は、測距部14により照射部11に対して発光パルスLPを出力するタイミングが基準となる。発光パルスLPの発生タイミングから、ToFセンサ13ーが受光するまでの実際の時間に対して、光速度Cを乗じたものが、測距データとなる。本モデルでは、従来技術のように単純に2で割ることにより距離を求めることなく、後述するような詳細な演算により距離を求める。具体的には、フレキシブルケーブルFLの伝搬時間と、照射部11から対象物OBまでの伝搬時間と、対象物OBの位置からレンズ12の入射瞳位置までの伝搬時間と、レンズ12の入射瞳位置からToFセンサ13の受光面の伝搬時間とを足し合わせることにより距離を求める。具体的な演算について、以下に詳細に説明する。
【0045】
まず、フレキシブルケーブルFLの伝搬時間をFltとすると、FltはフレキシブルケーブルFLの誘電率から、次の式(1)で近似することができる。なお、VeはフレキシブルケーブルFLの伝搬速度であり、Flとは、フレキシブルケーブルFLの長さである。
【0046】
Flt=Fl/Ve・・・(1)
【0047】
ここで、光速度をC、フレキシブルケーブルFLの誘電率をεとすると、フレキシブルケーブルFLの伝搬速度VeはC/SQRT(ε)と記載することができる。また、レンズ12の入射瞳位置から、ToFセンサ13の受光面までの伝搬時間をLtとすると、Ltは次の式(2)で近似することができる。
【0048】
Lt=(LI-Lk)/C+Lk/C×Lr・・・(2)
【0049】
ここで、Lkはレンズの内部にあるガラスの総合的な厚さであり、Lrはそのガラスの反射率である。
【0050】
照射部11により照射が行われてから、対象物OBまでの伝搬時間をDat、対象物OBからレンズ12の入射瞳位置までの伝搬時間をDbtとし、実際にToFセンサ13が得る測距時間をTALLとすると、TALLは、次の式(3)により得ることができる。
【0051】
TALL=Flt+Lt+Dat+Dbt・・・(3)
【0052】
さらに、測距部14による演算で求められる測定距離(すなわち、従来技術により測定された距離であって、誤差を含む距離値)をDepthとすると、Depthは、次の式(4)により得ることができる。
【0053】
Depth=TALL×C/2・・・(4)
【0054】
式(4)に示したDepth値は、FlやDaとDbの距離差が含まれるが、実際の対象物OBの物理距離は、図のLI+Dbになるので、式(4)に示した距離は、実際の物理距離とは異なり、誤差が含まれることになる。ここでFl値はフレキシブルケーブルFLの長さから既知であるので、DaとDbの距離が正確に求まれば、LI+Dbを正確に求めることができる。したがって、DaとDbを足し合わせた距離をDabとすると、距離Dabは、以下のような方程式により求めることができる。
【0055】
Dab=Da+Db・・・(5)
【0056】
Dab=(TALL-Flt-Lt)×C・・・(6)
【0057】
図4は、実施形態1に係る演算部が行う演算について説明するための第2の図である。同図は、実際の距離をToFセンサ13のLINE数に換算(以下、単にLINE換算とも記載する)するために用いる図である。同図では、実際の対象物OBの位置を示す距離であるYD、AD及びθ1を、対象物OBの位置をToFセンサ13のLINE番号の単位で表したAVLとALの関係を用いて記載している。YD、AD及びθ1からなる三角形は、AVL、AL及びθ1からなる三角形と、相似の三角形を有すると概念的に捉えることができる。
【0058】
図4を参照しながら、θ1を求める方法について説明する。対象物OBの位置に対するがToFセンサ13が捉えるHVのピクセルのVのLINE番号をAVとする。有効画素のセンターラインをセンターVCとして、そのセンター位置からのAVのライン数をAVLとした場合、AVLは次の式(7)により表すことができる。
【0059】
AVL=AV-VC・・・(7)
【0060】
ここで、AFOVからくる最大画角の測距ポイントとなりえる最大のLINE数は、センターVCから数えると距離VCが最大となる。AVLとVCとが等しくなるための対象物OBの位置は、このカメラに対してのレンズ12との最大画角であるのでAFOVの画角の時である。このAFOVはレンズにより決まるものである。通常、ToFセンサ13の有効画素のアスペクト比が例えば4:3のように垂直方向と水平方向とで異なる場合、垂直方向と水平方向の画角は変わる。したがって、垂直方向のAFOVと、水平方向のAFOVとが定義されている。ここで扱うAFOVは、照射部11がレンズ光軸に対して垂直方向にずれている場合はAFOVには垂直方向のAFOVを適用し、水平方向にずれている場合はAFOVには水平方向のAFOVを適用すればよい。図示する一例では、垂直方向にずれているため、垂直方向のAFOVが入力されることになる。
【0061】
最大画角時の対象物OBの位置をライン換算で考え、距離ADをライン換算の比で求めたALとすると、ALはVCと角度AFOV/2からなる直角三角形の関係から式(8)で記載することができる。
【0062】
AL=VC/TAN(AFOV/2)・・・(8)
【0063】
したがって、角度θ1は、次の式(9)で記載することができる。
【0064】
θ1=ATAN(AVL/AL)・・・(9)
【0065】
式(9)で記載したθ1を用いて、実距離のADを求める。ALの比になるADは、次の式(10)で記載することができる。
【0066】
AD=Db×COS(θ1)・・・(10)
【0067】
同様に、AVLの比になるYDは、次の式(11)で記載することができる。
【0068】
YD=Db×SIN(θ1)・・・(11)
【0069】
図3に戻り、照射部11の照射面とToFセンサ13の受光面とのz方向の距離をLDとすると、Daは、次の式(12)で記載することができる。なお、Lz=LD-LIである。
【0070】
Da=SQRT((AD―Lz)^2+(YD+dv)^2)・・・(12)
【0071】
式(12)と式(5)の連立方程式からDaを解くと、次の式(13)を導くことができる。
【0072】
Da=(Dab^2+Lz^2+dv^2-2×Lz×Dab×COS(θ1)+2×dv×Dab×SIN(θ1))/(2×Dab-2×Lz×COS(θ1)+2×dv×SIN(θ1))・・・(13)
【0073】
よって、Dbは、式(5)から式(14)として導くことができる。
【0074】
Db=Dab-Da・・・(14)
【0075】
また、Dabは、式(4)及び式(6)から、式(15)として導くことができる。
【0076】
Dab=Depth×2-(Flt-Lt)×C・・・(15)
【0077】
これらの計算から、補正後の距離をDcrとして求めると、Dcrは、次の式(16)として導くことができる。
【0078】
Dcr=Db+LI
=Dab-(Dab^2+Lz^2+dv^2-2×Lz×Dab×COS(θ1)+2×dv×Dab×SIN(θ1))/(2×Dab-2×Lz×COS(θ1)+2×dv×SIN(θ1))+LI・・・(16)
【0079】
ここで、Dab、θ1、Lzは、それぞれ、
Dab=Depth×2-(Flt-Lt)×C
θ1=ATAN(AVL/AL)=ATAN(AVL/(VC/TAN(AFOV/2)))
Lz=LD-LI
となる。
【0080】
式(16)において、Flt、Lt、LD、LI、dv、VC、AFOVは、カメラとレンズの構造で決まる静的なパラメータである。すなわち、これらのパラメータが静的パラメータPMとして記憶部152に記憶される。また、式(16)が演算式Fの一例である。静的パラメータPMは、予め固定値で設定することができる。記憶部152は、静的パラメータPMが固定値として設定された数式を、静的パラメータPM及び演算式Fに代えて記憶していてもよい。対象物OBの位置に対してToFセンサ13から得られた測定時間を測距部14で変換したDepth値と、ToFセンサ13のピクセルのライン番号AVLの動的パラメータを当該数式(固定値が代入された式(16))に入れることにより、自動的にスキャンしているピクセルごとにレンズ光軸と照射部11の位置ずれの補正をした正しい距離が得られる。補正演算部153は、距離画像DIからDepth値とライン番号AVLを得て、当該数式に代入することにより、補正後の距離算出し、補正距離画像CDIとして情報処理装置20に出力する。
【0081】
なお、式(16)を見ると補正値は、測距距離に対してレンズのAFOVの画角とToFセンサ13のスキャンの対象ピクセルに対する角度により値が変化する。また、式(16)を見ると固定値での補正ではなく、空間的に補正量が変わることが分かる。式(16)のFltはフレキシブルケーブルFLのディレーによる伝搬時間であるが、測距部14から出力される発光パルスLPを予めFlt進ませることにより、Fltのディレー時間をないものとして設定してもよい。その場合、式(16)のFltを0に設定すればよい。
【0082】
図5は、実施形態1に係る距離情報取得装置により補正演算が行われた後の三次元情報の一例を示す図である。同図を参照しながら、距離情報取得装置10により補正演算が行われた結果に基づいて点群データを生成した場合の一例について説明する。同図に示す一例は、ホワイトチャートWCの代わりに格子の線がのった平面のチャートを用いている。同図は、チャートに向かって左方向から真横に見た図になり、図の点群はカメラの視線が図上で左から右に見た角度で表示している。図示する一例は、照射部11とレンズ光軸の中心の距離は0.07[m(メートル)]、対象物OBの中心までの距離が0.6[m]の時の結果である。
図5(A)は補正前における一例であり、
図5(B)はピクセルごとに式(16)で補正演算を行った後に点群データにした場合の一例である。
図5(A)に示すように、補正前は画面上が近くに、画面下が遠くになり傾いていることが分かる。しかしながら
図5(B)に示すように、補正後は真っすぐになり傾きがとれていることが分かる。
【0083】
図6は、実施形態1に係る距離情報取得システムの変形例について説明するための図である。同図を参照しながら、距離情報取得システム1の変形例について説明する。上述した一例では、照射部11の位置がレンズ12の光軸に対して垂直方向に位置している場合について説明してきた。距離情報取得システム1の変形例では、照射部11の位置がレンズ12の光軸に対して更に水平方向に位置している場合の一例である。垂直方向のずれをdvとして、水平方向のずれをdhとして記載する。
【0084】
水平方向のずれは、式(16)のAVLを水平方向にスキャンしているピクセル番号AHPに置き換え、dvをdhにして求めればよい。図示する一例では、演算部15は、垂直補正演算部15Aと、水平補正演算部15Bとを備える。垂直補正演算部15Aは、垂直位置ずれに対し式(16)を用いた演算を行い、補正距離をDcrvとして出力する。水平補正演算部15Bは、垂直補正演算部15Aから出力されたDcrvに対して、更に水平位置ずれに対し式(16)のAVLをピクセル番号AHPにdvをdhに置き換えて演算する。最終的に、演算部15は、垂直方向と水平方向の両方向に補正されたDcrを得ることができる。この時、式(16)のAFOVは、垂直補正演算部15Aに対しては垂直のAFOVを、水平補正演算部15Bに対しては水平のAFOVが用いられる。
【0085】
[実施形態1のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、距離情報取得装置10は、照射部11を備えることにより対象物OBに対して光を照射し、ToFセンサ13を備えることにより、照射部11により照射され対象物OBに反射した光を、光学系レンズを介して受光する。距離情報取得装置10は、照射部11とToFセンサ13とを備えることにより対象物OBまでの距離情報を取得する。距離情報取得装置10は、更に距離値取得部151を備えることにより、照射部11により照射が行われるタイミングと、ToFセンサ13が光を受光するタイミングと、光の速さとに基づき得られる距離値(すなわち補正前のDepth値)を取得する。また、距離情報取得装置10は、記憶部152を備えることにより光学系レンズの画角に関する情報(すなわちAFOV)をパラメータとして少なくとも含む所定の数式(すなわち静的なパラメータが代入された上記の式(16))を記憶する。また、距離情報取得装置10は、補正演算部153を備えることにより、取得した距離値を記憶部152に記憶された所定の数式に適用することにより、対象物OBまでの距離情報を演算する。所定の数式には、照射部11から対象物OBまでの距離と、対象物OBからToFセンサ13までの距離とに基づく補正演算に関する情報が含まれている。本実施形態によれば、測距部14から取得された結果に対して補正演算を行うことにより、精度よく対象物までの距離を測定することができる。また、本実施形態によれば、従来のToFセンサ13及び測距部14から得られる結果に対して補正演算を行うため、従来技術に対して補正演算を行う構成を付加することにより、容易に測定距離を補正することが可能となる。
【0086】
[実施形態2]
次に、
図7を参照しながら、実施形態2について説明する。実施形態2においては、上述した実施形態1の構成に加えて、更に距離キャリブレーションを考慮して補正演算を行う点において、実施形態1とは異なる。上述したような補正演算を行うことにより、論理的には、精度よく誤差の補正を行うことができる、しかしながら実際に得られる値は、更に誤差を含んでいる場合がある。更なる誤差の主な原因としては、VCSEL等の照射部11から照射されるパルス光の波形のなまりを挙げることができる。理想のパルス光としては、矩形であることが好適であるが、実際には、照射部11のドライバーの性能によりパルス光の波形がなまってしまい矩形でなかったり、リンギングが発生したりする場合がある。これらの波形のなまりにより、測定結果に誤差が生じる場合がある。実施形態2においては、実際の距離とToFセンサ13から得られる距離の差をあらかじめキャリブレーションモードで測定し、その誤差をEEPROM (Electrically Erasable Programmable Read―Only Memory)等の記憶領域に記憶して、演算部15により行われた補正演算の結果を更に補正する。
【0087】
すなわち、実施形態2に係る距離情報取得装置10によれば、補正値記憶部(例えばEEPROM)を更に備えることにより、キャリブレーションの結果として得られた補正値を記憶する。当該補正値とは、具体的には、対象物OBまでの距離を実際に測定した結果と、演算部15により算出された対象物までの距離情報との差分に関する情報であってもよい。演算部15は、補正値記憶部に記憶された補正値に基づき、対象物OBまでの距離情報を演算する。
【0088】
図7は、実施形態2に係るキャリブレーションの概要について説明するための図である。同図を参照しながら、キャリブレーションの具体的な手順について説明する。キャリブレーションではまず、距離情報取得装置10と対象物OBとの距離を可変させながら、実際の距離(理論値)と、補正演算を含めて距離情報取得装置10により測定した距離(測定値)との対応関係を得る。具体的には、距離情報取得装置10による測距範囲が1~2[m]の場合、1~2[m]の測距範囲を10等分し、当該範囲を10[cm]間隔で距離情報取得装置10と対象物OBとの距離を動かしながら撮影し、理論値と測定値との対応関係を得る。当該対応関係を補正値とし、EEPROM等の補正値記憶部に記憶する。以下、理論値と測定値とに基づき補正値を得る行為を、キャリブレーションと記載する場合がある。
【0089】
キャリブレーションの具体的な手順について説明する。図示するように、レンズ12の光軸上(すなわちYD=0)に対象物OBを配置し、AD+LIの値が1~2[m]の間で10[cm]間隔となる10地点において、ToFセンサ13からDepth値(すなわち補正前のDepth値)を取得する。取得したDepth値を式(16)に代入し、補正後の距離Dcrを算出する。補正後の距離Dcrと、実際の物理的なAD+LIの距離との差分をΔeとする。距離とΔeとの対応関係を、補正値記憶部に記憶させる。ΔeはΔe=物理距離AD+LI-Dcrで求める。
【0090】
次に、キャリブレーションモードから抜けて、測距モードで実際に測距する際の演算について説明する。まず、距離情報取得装置10は、測距した距離に近い10[cm]間隔の補正値を補正値記憶部から読み取り、足し算することで距離が補正される。距離情報取得装置10の位置が10[cm]間隔の間の位置の場合、補正値記憶部からその距離に近い2点の補正値を選び、補正値を線形補間等により補間することで、10[cm]間隔の間の距離の補正値を得ることとしてもよい。このようなキャリブレーションの場合、有効画面の中心点で行われてもよい。
【0091】
測距モード時の具体的な手順について説明する。まず、測距した補正前のDepth値に基づき、補正値記憶部に記憶された10[cm]間隔のΔeから測距した補正前のDepth値に対応するΔeを読み出し、適用すべき補正値ΔEを得る。10[cm]間隔の間の距離は、Δeから近い2点を読み出し、間隔に比例して線形補間し、適用すべき補正値ΔEを得る。第2実施形態においては、上述した式(16)に、補正値ΔEを追加し、次の式(17)を導くことができる。
【0092】
Dcr´=Db+LI+ΔE
=Dab-(Dab^2+Lz^2+dv^2-2×Lz×Dab×COS(θ1)+2×dv×Dab×SIN(θ1))/(2×Dab-2×Lz×COS(θ1)+2×dv×SIN(θ1))+LI+ΔE・・・(17)
【0093】
ここで、Dab、θ1、Lzは、それぞれ、
Dab=Depth×2-(Flt-Lt)×C
θ1=ATAN(AVL/AL)=ATAN(AVL/(VC/TAN(AFOV/2)))
Lz=LD-LI
となる。
【0094】
実施形態2において、補正演算部153は、式(16)に代えて、式(17)を用いることにより補正演算を行う。
【0095】
[実施形態2のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、距離情報取得装置10は、補正値記憶部を更に備えることにより、キャリブレーションの結果として得られた補正値を記憶する。当該補正値とは、具体的には、対象物OBまでの距離を実際に測定した結果と、演算部15により算出された対象物までの距離情報との差分に関する情報であってもよい。演算部15は、補正値記憶部に記憶された補正値に基づき対象物OBまでの距離情報を演算する。したがって、本実施形態によれば、VCSEL等の照射部11から照射されるパルス光の波形のなまりによる誤差を考慮して、精度よく対象物までの距離を測定することができる。
【0096】
なお実施形態2においては、式(16)に補正値を足し算しているため、予め定められた形状の対象物OBでなくても、また画面中心以外に対象物OBが存在している場合であっても、正確な距離を求めることができる点において、特に従来技術とは異なる。
【0097】
なお、上述した説明では、距離情報取得装置10が波形のなまりに基づく誤差を補正するためにキャリブレーションを行うものとして説明した。しかしながらキャリブレーションにより補正される誤差は、波形のなまりに基づくものでなくてもよい。例えば、波形のなまりに基づく誤差以外のものとして、照射部11やToFセンサ13の取り付け位置や角度等の個体ごとの組み立てばらつきや、距離情報取得装置10が用いられる温度等の環境等による誤差を例示することができる。実施形態2では、距離情報取得装置10ごとにキャリブレーションを行うことにより、これら個体特有の様々な誤差についても補正することができる。
【0098】
[実施形態3]
次に、
図8を参照しながら、実施形態3について説明する。実施形態3は、ズームレンズを考慮した実施形態である。上述した実施形態では、距離情報取得装置10は、画角AFOVや入射瞳位置LI等の静的なパラメータPMを含む演算式Fに基づいて補正演算を行っていた。レンズ12は画角AFOVや入射瞳位置LI等が固定となる単焦点レンズを前提としていたが、実施形態3では、ズームレンズを考慮し、演算を行う点において上述した実施形態とは異なる。
【0099】
図8は、実施形態3に係る距離情報取得システムの機能構成について説明するための図である。同図を参照しながら、距離情報取得システム1Cについて説明する。距離情報取得システム1Cは、距離情報取得装置10に代えて距離情報取得装置10Cを備える点において距離情報取得システム1とは異なる。距離情報取得システム1Cの説明において、距離情報取得システム1と同様の構成については同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
【0100】
距離情報取得装置10Cにおいては、単焦点レンズであるレンズ12に代えて、焦点距離を変更可能なズームレンズであるレンズ12Cが用いられる。また、距離情報取得装置10Cは、レンズ制御部31とレンズ情報記憶部33とを更に備える。レンズ制御部31は、情報処理装置20からZOOM位置の指示に従い、レンズ12Cの拡大倍率を制御する。レンズ制御部31は、自動制御又は手動制御により、レンズ12Cの焦点距離(拡大倍率)を制御する。レンズ制御部31は、レンズ12Cの焦点距離に関する情報を、レンズ情報記憶部33に出力する。レンズ情報記憶部33には、レンズ12Cの焦点距離と、当該焦点距離に応じた画角とが対応付けて記憶される。具体的には、レンズ情報記憶部33は、画角AFOVと入射瞳位置LIのそれぞれに応じた配列データを記憶する。当該配列データは、レンズ12Cの仕様、ZOOM位置信号、ToFセンサ13の有効エリアの大きさ等に応じたものである。レンズ情報記憶部33に記憶される画角AFOVは、照射部11がレンズ光軸に対して垂直にずれている場合は垂直のAFOV、水平にずれている場合はAFOVには水平のAFOVとなる。当該配列データは、所定の間隔ごとに、画角AFOV及び入射瞳位置LIの値を有する。所定の間隔とは、レンズ12Cが設定可能なズーム倍率のうちワイド端とテレ端との間を任意の間隔で分割した間隔であってもよい。例えば焦点距離が8~16[mm]の2倍のズームレンズにおいて、ZOOM位置を示すZOOM信号の値が8[BIT]とし、8[mm]を0.16[mm]を255とする256の分解能の場合、レンズ情報記憶部33は、256個の画角AFOVと入射瞳位置LIとを記憶する。レンズ情報記憶部33は、レンズ制御部31により拡大倍率が可変されるたびに、そのZOOM位置に応じた画角AFOVと入射瞳位置LIとを演算部15に出力する。
【0101】
以下の説明において、レンズ情報記憶部33を、画角情報記憶部とも記載する。レンズ情報記憶部33は、レンズ制御部31からのレンズ12Cの焦点距離に関する情報に基づき、当該焦点距離におけるレンズに関する情報(具体的には画角AFOVと入射瞳位置LI)を演算部15に出力する。補正演算部153は、レンズ12Cの焦点距離に応じた画角等(具体的にはAFOVとLI)に基づいて対象物OBまでの距離情報を演算する。より具体的には、補正演算部153は、レンズ情報記憶部33から出力された、ZOOM位置に応じた画角AFOVと入射瞳位置LIとを動的変数として式(16)又は式(17)に代入し、補正後の距離をDcrとして求める。
【0102】
なお、レンズ12Cが電気的にズーム位置を可変できるズームレンズである場合(すなわち自動制御の場合)、レンズ制御部31はズーム位置を示すZOOM信号をレンズ12Cに出力する。レンズ制御部31からレンズ12CにZOOM信号が出力されると、レンズ12Cは、そのZOOM位置に対応した焦点距離に設定される。また、レンズ12Cが手動でズーム位置を可変するズームレンズの場合(すなわち手動制御の場合)、情報処理装置20によりズーム位置が手動で入力され、レンズ制御部31は情報処理装置20からZOOM位置を取得する。
【0103】
[実施形態3のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、レンズ12Cは、焦点距離を変更可能なズームレンズであってもよい。また、距離情報取得装置10Cは、レンズ情報記憶部33を更に備えることにより、レンズ12Cの焦点距離と、当該焦点距離に応じた画角とを対応付けて記憶する。また、距離情報取得装置10Cの演算部15は、レンズ12Cの焦点距離に応じた画角に基づいて、対象物OBまでの距離情報を演算する。したがって、本実施形態によれば、レンズ12Cがズームレンズであり、ズーム位置が変更可能な場合であっても、精度よく対象物までの距離を測定することができる。
【0104】
[実施形態4]
次に、
図9を参照しながら、実施形態4について説明する。実施形態4は、交換式レンズを考慮した実施形態である。上述した実施形態では、単焦点レンズ又はズームレンズが、固定である場合の実施形態について説明した。しかしながら実際の使用では、交換式レンズが用いられることがある。交換式レンズが用いられることにより、焦点距離可動領域が違うレンズを装着できることとなり、より汎用性が高くなる。そこで実施形態4では、交換式レンズ(単焦点レンズ及びズームレンズの両方を含む)を用いることが可能な点において、他の実施形態とは異なる。
【0105】
図9は、実施形態4に係る距離情報取得システムの機能構成について説明するための図である。同図を参照しながら、距離情報取得システム1Dについて説明する。距離情報取得システム1Dは、距離情報取得装置10Cに代えて距離情報取得装置10Dを備える点において距離情報取得システム1Cとは異なる。距離情報取得システム1Dの説明において、距離情報取得システム1Cと同様の構成については同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
【0106】
距離情報取得装置10Dにおいては、複数のレンズのうちいずれかが装着される交換式レンズが用いられる。図示する一例では、交換式レンズをレンズ12Dと記載する。レンズ12Dは、レンズ取り付け部121を介して距離情報取得装置10Dに装着される。レンズ取り付け部121は、例えばレンズとマウントに電子接点がありレンズ識別情報をレンズから取得できるようになっている。レンズ制御部31は、レンズ識別情報取得部(不図示)を更に備えることにより、レンズ取り付け部121を介して、レンズ12Dからレンズ識別情報を取得する。レンズ識別情報は、装着されている光学系レンズの種類を識別する。レンズ識別情報は、例えばレンズの型番等に応じてレンズを識別する。レンズ制御部31は、取得したレンズ識別情報を情報処理装置20に出力する。
距離情報取得装置10Dは、レンズ情報記憶部33に代えてレンズ情報記憶部33Dを備える。レンズ情報記憶部33Dは、複数のレンズの型番等に応じて、それぞれ焦点距離(zoom信号)と、当該焦点距離に応じた画角AFOV及び入射瞳位置LIとを対応付けて記憶する。なお、レンズ情報記憶部33Dは、レンズ毎に異なるレンズの厚さや、レンズのガラスの反射率等の情報を記憶していてもよい。演算部15は、レンズ識別情報取得部により取得されたレンズ識別情報に基づき識別されるレンズ12Dの焦点距離に応じた画角AFOV及び入射瞳位置LIに関する情報をレンズ情報記憶部33Dから取得し、取得された画角に基づいて、対象物OBまでの距離情報を演算する。
【0107】
なお、レンズ取り付け部121がサポートする取り付け形状によっては、電子接点がない場合がある。例えばCマウントレンズの多くは電子接点が存在しない場合がある。電子接点が存在しない場合、レンズ12Dからレンズの型番を取得することができない。したがって、このような型番を取得することができないレンズについては、情報処理装置20で、装着されたレンズの型番をINDEX番号に関連付けて入力できるようにし、レンズ制御部31が備えるレンズ識別情報取得部に送信するようにしてもよい。
【0108】
レンズ情報記憶部33Dは、レンズ毎に異なる画角AFOVと入射瞳位置LIについての情報を、情報処理装置20から取得してもよい。レンズ情報記憶部33Dは、交換可能性のある複数のレンズ(例えばN種類のレンズ)についての情報を記憶していてもよい。図示する一例では、第1レンズ情報、第2レンズ情報及び第3レンズ情報として、3つの異なるレンズに関する情報を記憶している。例えば、これらの3つのメモリ領域にINDEXを1から3と振り、情報処理装置20からレンズデータを書き込む際に、INDEX番号を指定して書き込んでもよい。書き込みが終了したら、レンズ取り付け部121に装着されたレンズに対応するINDEX番号を情報処理装置20から指定してもよい。レンズ12Dが、現在装着されているものとは異なるものに交換された際に、交換されたレンズ(当該レンズがズームレンズであれば当該レンズのズーム位置)に対応した画角AFOVと入射瞳位置LIに変更し、演算部15は、式(16)又は式(17)に基づく演算を行い、補正した距離Dcrを得る。
【0109】
また、さらに厳密に補正する場合、式(16)又は式(17)のDabは、式(6)のようにレンズ入射瞳位置LIからToFセンサ13の受光面までの伝搬時間をLtから計算してもよい。Ltは、式(2)に示したように、レンズ12Dの厚さと、Lkと、反射率Lrから計算される。したがって、Lk及びLrも交換レンズの動的パラメータとして用いられることができる。
【0110】
[実施形態4のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、レンズ12Dは、複数のレンズのうちいずれかが装着される交換式レンズであってもよい。レンズ制御部31は、レンズ識別情報取得部(不図示)を更に備えることにより、装着されているレンズ12Dを識別する。レンズ識別情報取得部は、電子接点を介してレンズ12Dからレンズの識別情報を取得してもよいし、ユーザの操作によりレンズの識別情報を取得してもよい。レンズ情報記憶部(画角情報記憶部)33Dは、交換レンズである複数のレンズ12Dそれぞれについて、焦点距離と、当該焦点距離に応じた画角AFOV及び入射瞳位置LIとを対応付けて記憶する。演算部15は、レンズ識別情報取得部により取得されたレンズ識別情報に基づき識別されるレンズの焦点距離に応じた画角AFOV及び入射瞳位置LIをレンズ情報記憶部33Dから取得し、取得した画角に基づいて、対象物OBまでの距離情報を演算する。したがって、本実施形態によれば、レンズ12Dが交換レンズであり、異なるレンズに交換された場合であっても、精度よく対象物までの距離を測定することができる。
【0111】
[実施形態5]
次に、
図10から
図14を参照しながら、実施形態5について説明する。まず、実施形態5において解決しようとする課題について説明する。実施形態4において説明したように、本実施形態によれば種類が異なる複数のズームレンズを用いることが可能となる。ここで、ズームレンズは、レンズによりその本体の長さが互いに異なる。通常、ズームレンズは、構成するレンズの枚数が多いため、形状が長くなりがちであり、照射部11をレンズ取り付け部121に固定した場合、照射部11により照射された光が、レンズの鏡筒にぶつかってしまうといった問題があった。
【0112】
図10は、実施形態5に係る距離情報取得装置が解決しようとする問題について説明するための図である。同図を参照しながら、実施形態5に係る距離情報取得装置10Eが解決しようとする問題について詳細に説明する。図示するように、照射部から角度αの光を照射する場合、ズームレンズの種類によっては、照射角の中にレンズの鏡筒が入り込み、光を遮ってしまう場合がある。図示する一例では、位置Pにおいて照射角の中にレンズの鏡筒が入り込み、光を遮っている。このような場合、対象物OBが照射角内に存在するにもかかわらず、光が当たらず、正しく測距できないといった問題があった。したがって、実施形態5においてはこのような問題を解決することを目的とする。
【0113】
図11は、実施形態5に係る距離情報取得装置の構成について説明するための図である。同図を参照しながら、距離情報取得装置10Eの構成の一例について説明する。距離情報取得装置10Eの説明において、距離情報取得装置10と同様の構成については、同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。距離情報取得装置10Eは、照射部11に代えて照射部11Eを備え、レンズ12に代えてレンズ12Eを備える。レンズ12E」は、鏡筒が光軸方向に長いレンズの一例である。照射部11Eは、光軸方向(両向き矢印ARとして示す方向)にスライド可能なよう構成される。照射部11Eは、レンズ12Eの光軸方向に移動することにより、照射部11EとToFセンサ13との間の距離が変化する。照射部11Eを光軸方向にスライドさせる機構としては、例えば、ロッド111、止めネジ112及びレバー113を例示することができる。照射部11Eは、図示するように、2本のロッド111により支えられる。照射部11Eは、ロッド111に沿って光軸方向に移動させられる。照射部11Eの位置は、止めネジ112及びレバー113により固定される。
【0114】
2本のロッド111には、寸法の目盛りが定規のように付されていてもよい。ユーザは、当該目盛りを参照することにより、照射部11Eをどの程度移動させたかを把握することができる。当該目盛りは、例えばToFセンサ13の受光面から照射部11Eの照射面までの距離であってもよい。
【0115】
ここで、照射部11Eを光軸方向に移動させる場合、フレキシブルケーブルFLが照射部11Eの可動範囲を制限してしまうことが考えられる。したがってフレキシブルケーブルFLの長さは、照射部11Eをロッド111により最前の位置(すなわちToFセンサ13の受光面から最も離れた位置)に移動させたときに、引っ張られずに少し余裕のある程度の固定長とされることが好適である。
【0116】
図12は、実施形態5に係る距離情報取得装置の機能構成について説明するための図である。同図を参照しながら、距離情報取得装置10Eの機能構成について、さらに詳細に説明する。ユーザは、レンズ12Eの光軸方向への長さに応じ、レンズ12Eに照射部11Eの光が遮られないような位置まで、照射部11Eを矢印AR方向に移動させる。ユーザは、照射部11Eを好適な位置に移動させた後、止めネジ112及びレバー113の操作により照射部11Eの位置を固定する。ユーザは、照射部11Eの位置を固定した後、ロッド111に付されている目盛りを読み取り、読み取った目盛りの値と、その時のレンズ12Eの型番とを情報処理装置20に入力する。
【0117】
情報処理装置20は、レンズ12EごとのLD値を保存し、レンズ12Eの型番とLD値とを対応付けて保存する。情報処理装置20は、入力された目盛りの値と、その時のレンズ12Eの型番とに基づき、LDの長さを把握する。レンズ12Eの型番と、レンズ12Eに対応するLD値は、例えば
図13に示すように情報処理装置20の表示部(不図示)に表示される。ユーザは、例えばラジオボタン(図中左列)で選択できるようにしてもよい。
図12に戻り、情報処理装置20は、選択されたレンズのLD値を、演算部15に出力する。演算部15は、情報処理装置20から取得したLD値を動的パラメータとして、式(16)又は式(17)に代入することにより補正した距離Dcrを得る。換言すれば、演算部15は、情報処理装置20から取得した照射部11EとToFセンサ13との間の距離に基づいて、対象物OBまでの距離情報を演算する。
【0118】
なお、上述した一例は、情報処理装置20上に、レンズ12EごとのLD値を保存したが、当該LD値は、距離情報取得装置10Eが備えるEEPROM(不図示)等のメモリに記憶されていてもよい。この場合、情報処理装置20や距離情報取得装置10Eのメニュー画面から
図13に示したような選択がされるように構成してもよい。
【0119】
図14は、実施形態5に係る距離情報取得装置の変形例の構成について説明するための図である。同図を参照しながら、距離情報取得装置10Eの変形例の構成について説明する。距離情報取得装置10Eの変形例においては、照射ユニット114を備える点において距離情報取得装置10Eとは異なる。距離情報取得装置10Eの変形例は、複数の照射部11Eを備える場合の一例である。この場合、複数の照射部11Eは、照射ユニット114に備えられる。図示する一例では、複数の照射部11Eの一例として、照射部11E-1乃至照射部11E-4が備えられる。照射部11E-1乃至照射部11E-4は、例えばレンズ12Eの光軸を中心として上下左右に配置される。照射ユニット114としてレンズを囲む部材がスライドすることにより、照射部11Eが単体でスライドすることにより生じる撓みのような問題も解決することができる。上下左右配置で傾きが抑えられる場合でも、測距対象となる対象物が必ずしも光軸中央に存在するとは限らない。対象物が光軸中央に存在しない場合、照射部から照射され対象物に反射するまでの距離と、対象物に反射してから受光部に入射するまでの距離とは、異なり、これを式(16)又は式(17)により補正することができる。
【0120】
[実施形態5のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、照射部11Eは、レンズ12Eの光軸方向に移動することにより、照射部11Eの照射面とToFセンサ13の受光面との間の距離が変化する。演算部15は、変化する照射部11Eの照射面とToFセンサ13の受光面との間の距離に基づいて、対象物OBまでの距離情報を演算する。したがって、本実施形態によれば、交換レンズとして鏡筒の長いレンズ12Eが装着された場合であっても、照射部11Eをスライドさせることにより、照射部11Eの照射角をレンズ12Eが遮るといった問題を解決することができ、精度よく対象物OBまでの距離を測定することができる。
【0121】
[実施形態6]
次に、
図15及び
図16を参照しながら、実施形態6について説明する。実施形態6は、更にRGB画像を取得可能とした場合の実施形態である。本実施形態によれば、ToFセンサ13と、RGBセンサ18とが、略同一の光軸上に配置される。
【0122】
図15は、実施形態6に係る距離情報取得装置の機能構成について説明するための図である。同図を参照しながら、距離情報取得装置10Fの機能構成について説明する。同図に示す距離情報取得システム1Fは、距離情報取得システム1Dの変形例である。距離情報取得システム1Fは、距離情報取得装置10Dに代えて距離情報取得装置10Fを備える点において距離情報取得システム1Dとは異なる。距離情報取得装置10Fは、プリズム16と、可視光反射ダイクロイック膜17と、RGBセンサ18と、RGB処理部19とを更に備える点において距離情報取得装置10Dとは異なる。距離情報取得システム1Fの説明において、距離情報取得システム1Dと同様の構成については同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
【0123】
プリズム16は、レンズ取り付け部121とToFセンサ13との間に備えられる。プリズム16には、レンズ12Dからの光が入射する。プリズム16に入射した光は、ToFセンサ13又はRGBセンサ18のいずれかに射出する。
【0124】
可視光反射ダイクロイック膜17は、可視光を反射し、近赤外域以上の波長光(すなわち、赤外光)を透過する。プリズム16に入射した光のうち可視光は、可視光反射ダイクロイック膜17により、RGBセンサ18が備えられた方向に反射し、RGBセンサ18に入射する。プリズム16に入射した光のうち赤外光は、可視光反射ダイクロイック膜17を透過しToFセンサ13に入射する。ここで、可視光と、赤外光とは、レンズ12Dと可視光反射ダイクロイック膜17との間で、略同一の光軸上を通る。
【0125】
図16は、実施形態6に係る可視光反射ダイクロイック膜の反射分光特性の一例を示す図である。ここで、可視光反射ダイクロイック膜17の反射分光特性の一例について説明する。同図の横軸は、波長[nm(ナノメートル)]を示し、縦軸は当該波長に対応する反射率[%]を示す。図示するように、可視光反射ダイクロイック膜17は、波長が約700[nm]以下の場合、略100[%]の反射率を有し、波長が約700[nm]以上の場合、略0[%]の反射率を有する。すなわち可視光反射ダイクロイック膜17に入射した光のうち波長が約700[nm]以下の光(例えば可視光)は反射し、波長が約700[nm]以上の光(例えば赤外光)は透過する。
【0126】
図15に戻り、RGB画像の生成を行うRGBセンサ18及びRGB処理部19の構成について説明する。
【0127】
RGBセンサ18は、二次元配列された複数の画素を含み、各画素は可視光を受光する。RGBセンサ18は、具体的には、RGB各色画素がベイヤー配列により配置されたイメージセンサであってもよい。RGBセンサ18が備える各画素は、それぞれ受光した光の強度に関する情報をRGB処理部19に出力する。
【0128】
RGB処理部19は、RGBセンサ18から、二次元配列された各画素における光の強度に関する情報を取得する。RGB処理部19は、取得した情報に基づき、RGB画像を生成する。RGB処理部19は、生成したRGB画像を情報処理装置20に出力する。
【0129】
ここで、レンズの入射瞳位置とToFセンサ13の受光面までの距離をLIとする。また、プリズム16の入射端からToFセンサ13への射出端までの距離をPIとする。この場合、式(16)におけるLtの算出部分は、式(2)に代えて下の式(18)に置き換えられる。
【0130】
Lt=(LI-Lk-PI)/C+Lk/C×Lr+PI/C×Lp・・・(18)
【0131】
ここで、Lkはレンズ12Dの内部にあるガラスの総合的な厚さ、Lrはレンズ12Dの内部にあるガラスの反射率、PIはプリズム16の光路長、Lpはプリズム16の材質による反射率を示す。
【0132】
距離情報取得装置10Fにおける補正演算部153は、式(18)により求められるLtを、式(16)又は式(17)に入力するDabの算出に用いることにより、補正された距離Dcrを得ることができる。
【0133】
[実施形態6のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、更にプリズム16、可視光反射ダイクロイック膜17、RGBセンサ18及びRGB処理部19を備えることによりRGB画像を取得可能とする。レンズ12Dに入射した光のうち、RGB画像を生成するための可視光と、距離画像を生成するための赤外光とは、同一光軸上を通る。本実施形態によれば、式(18)を適用して補正演算を行うことにより、プリズム16を用いた場合であっても、精度よく対象物OBまでの距離を測定することができる。したがって、本実施形態によれば、距離空間とRGB空間における光軸ずれが極めて少なく、後処理における距離データとRGBデータとの画像の合成、例えばRGB情報を持った点群データ生成の時に、複雑な位置合わせ処理をしなくて済む。よって、本実施形態によれば、後処理における距離データとRGBデータとの画像の複雑な位置合わせ処理に要する時間を大幅に減らすことができる。
【0134】
[実施形態7]
次に、
図17を参照しながら、実施形態7について説明する。ToF方式による距離測定では、測定距離に応じて、必要とされる光の強度が異なる。測定対象となる距離が短ければ1つの照射部11で足りるが、測定対象となる距離が長い場合は測定対象となる距離の長さに応じて複数の照射部11が必要となる場合がある。そこで、実施形態7においては、複数の照射部11を備える場合における補正演算について説明する。
【0135】
図17は、実施形態7に係る距離情報取得装置10が備えるレンズと照射部の配置の一例を示す図である。図示する一例では、照射部11として照射部11-1乃至照射部11-4が用いられている。照射部11-1乃至照射部11-4は、2列で光軸OAの上側に並べられて配置される。各列2つの照射部11の水平方向の間隔をSH、垂直方向の間隔をSVとして記載する。
【0136】
この場合、補正演算部153は、複数の照射部11の位置の中点座標を用いて、式(16)のdv及びdhを設定する。図示する一例では、水平、垂直の間隔の中心のSH/2とSV/2の位置の交点Cを、4つの照射部11の中点座標として、式(16)のdv及びdhが設定される。
【0137】
[実施形態7のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、複数の照射部11が用いられる。補正演算部153は、複数の照射部の中心点を、照射部11の位置とみなし、その中心点と光軸OAとの間隔をdv及びdhとして用いる。したがって、本実施形態によれば、複数の照射部11を用いる場合であっても、容易な演算により、補正演算を行うことができる。
【0138】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。また、上述した各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0139】
1…距離情報取得システム、10…距離情報取得装置、11…照射部、111…ロッド、112…止めネジ、113…レバー、114…照射ユニット、12…レンズ、121レンズ取り付け部、13…ToFセンサ、14…測距部、15…演算部、151…距離値取得部、152…記憶部、153…補正演算部、16…プリズム、17…可視光反射ダイクロイック膜、18…RGBセンサ、19…RGB処理部、20…情報処理装置、31…レンズ制御部、33…レンズ情報記憶部、PM…静的パラメータ、F…演算式、LP…発光パルス、OB…対象物、WC…ホワイトチャート、OA…光軸、SB1…第1基板、SB2…第2基板、FL…フレキシブルケーブル、DI…距離画像、9…ToFカメラシステム、90…ToFカメラ装置、91…照射部、92…レンズ、93…ToFセンサ、94…測距部、95…情報処理装置