(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089737
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】媒体取扱装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/10 20190101AFI20240627BHJP
G07D 11/40 20190101ALI20240627BHJP
【FI】
G07D11/10
G07D11/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205110
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 守
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141CA07
3E141FC07
3E141FL01
(57)【要約】
【課題】ユニットを引き出す際の怪我防止のための保護部材を強固に貼り付けることができる構造を有する媒体取扱装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る媒体取扱装置は、筐体の内部に搭載されるユニットと、ユニットの取付面に取り付けられる第1レール部と、筐体の内面に取り付けられる第2レール部と、第1レール部と第2レール部との間にあり摺動可能な第3レール部とを有するスライドレールとを備え、ユニットはスライドレールにより相対移動が可能であり、ユニットの相対移動の際、スライドレールの第3レール部の端面に対する干渉を抑制する保護部材を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に搭載されるユニットと、
前記ユニットの取付面に取り付けられる第1レール部と、前記筐体の内面に取り付けられる第2レール部と、前記第1レール部と前記第2レール部との間にあり摺動可能な第3レール部とを有するスライドレールと
を備え、
前記ユニットは前記スライドレールにより相対移動が可能であり、
前記ユニットの相対移動の際、前記スライドレールの前記第3レール部の端面に対する干渉を抑制する保護部材を有する
ことを特徴とする媒体取扱装置。
【請求項2】
前記ユニットの前記取付面に前記保護部材を取り付ける取付部材を備え、
前記取付部材が、前記取付面に対する前記保護部材の取り付けを補強するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体取扱装置。
【請求項3】
前記取付部材が、前記取付面を支持する基面支持部と、前記保護部材を支持する部材支持部とを有するフィルム材であり、
前記取付部材は、前記部材支持部が前記保護部材に取り付けられ、前記基面支持部が前記取付面に取り付けられ、平面視でL字状となる
ことを特徴とする請求項2に記載の媒体取扱装置。
【請求項4】
前記保護部材が、前記スライドレールの前記第3レール部の端面を覆うものであることを特徴とする請求項1に記載の媒体取扱装置。
【請求項5】
前記筐体の内部において、相対移動可能な前記ユニットの付近に保守者により操作される操作部を備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体取扱装置に関するものであり、例えば媒体としての紙幣を収納する紙幣収納部を有する現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine)に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、金融機関等で使用されているATMは、筐体内部に、顧客に出金する紙幣や顧客から入金された紙幣などを金種ごとに収納する紙幣収納部を有している。紙幣収納部は、例えば、複数の収納カセットと、これら複数の収納カセットを着脱自在に収容するフレームとで構成され、ATMの筐体内部からフレームごと引き出すことができるようになっている。
【0003】
紙幣収納部の各収納カセットは、扉のロックを鍵で解除することで内部にアクセスできるようになっている。このようなカセット構造の紙幣収納部を有するATMでは、筐体から引き出したフレームから収納カセットを取り出して、新たな収納カセットに交換することで紙幣を補充、交換するといったカセット運用が可能となっている。
【0004】
ATMの筐体内において、収納カセットを収納しているユニットは、特許文献1のようなスライドレールで引き出し可能に置かれている。そして、収納カセットのユニットを引き出す際、
図8に示すように、ユニットをロックしている鍵23を回して解錠し、ユニットの取っ手を引っ張ってユニットを引き出している。
【0005】
その際、ユーザが鍵23を持った手26を離さないと、スライドレールの中間レール(第3レール部とも呼ぶ。)27cの端面に手26をぶつけてしまう恐れがある。
【0006】
従来、
図9に示すように、スライドレールの中間レール(第3レール部)27cの幅より大きい保護部材(クッション材)28を、中間レール(第3レール部)27cの手前のレールブラケット(取付面)7に貼り付け、ユーザの手の保護を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、
図8、
図9に例示するように、従来の方法で保護部材28を設けた場合、以下のような課題がある。
【0009】
図8(C)に示すように、中間レール(第3レール部)27cの端面は面積が少なく、保護部材28の後面を中間レール(第3レール部)27cに貼り付けることが難しい。そのため、従来は、
図9のように、保護部材28の側面をレールブラケット22に両面テープ等で貼り付けている。つまり、保護部材28は、面積が小さい側面で貼り付けられるので剥がれやすいという課題がある。
【0010】
また、鍵23を持った手26が操作するための空間が必要であり、保護部材28の手前のスペースSは、保護部材28の貼り付けられる奥行きLも限られている。さらに、保護部材28は中間レール(第3レール部)27cの端面を覆う必要があるので中間レール(第3レール部)27cよりも長い幅Wが必要になる。よって、保護部材28はレールブラケット22に貼り付けられる奥行きLに対して、貼り付けられていない幅W(前後面)が長く(大きく)なることから、この方法での貼り付けでは剥がれやすくなってしまうという欠点があった。
【0011】
そのため、ユニットを引き出す際のユーザの手を保護するためのクッションを強固に貼り付けることができる構造を有する媒体取扱装置が求めれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するために、本発明に係る媒体取扱装置は、(1)筐体の内部に搭載されるユニットと、(2)ユニットの取付面に取り付けられる第1レール部と、筐体の内面に取り付けられる第2レール部と、第1レール部と第2レール部との間にあり摺動可能な第3レール部とを有するスライドレールとを備え、(3)ユニットはスライドレールにより相対移動が可能であり、(4)ユニットの相対移動の際、スライドレールの第3レール部の端面に対する干渉を抑制する保護部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユニットを引き出す際のユーザの手を保護するためのクッションを強固に貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る媒体取扱装置の内部構成を示す内部構成図である。
【
図2】実施形態に係る媒体取扱装置のユニット構成を示す構成図である。
【
図3】実施形態に係る媒体取扱装置の背面開閉部を開いたときの構成を示す構成図である。
【
図4】実施形態において媒体取扱装置の筐体内部に搭載したユニットのスライドレールに対する保護部材の取付構造を示す図である(その1)。
【
図5】実施形態において媒体取扱装置の筐体内部に搭載したユニットのスライドレールに対する保護部材の取付構造を示す図である(その2)。
【
図6】実施形態において媒体取扱装置の筐体内部に搭載したユニットのスライドレールに対する保護部材の取付構造を示す図である(その3)。
【
図7】実施形態において媒体取扱装置の筐体内部に搭載したユニットのスライドレールに対する保護部材の取付構造を示す図である(その4)。
【
図8】従来のスライド可能なユニットに対する課題を説明する説明図である。
【
図9】従来のスライド可能なユニットに対する保護部材の取付構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(A)実施形態
以下、本発明に係る媒体取扱装置の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
この実施形態では、本発明の媒体取扱装置が、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行うATMに適用する場合を例示する。しかし、媒体取扱装置は、ATMに限定されず、スライドレールに沿ってスライド可能なユニットを内部に搭載している装置に適用できる。さらに、この実施形態では、背面に設けられた開閉部を開いてユニットの引き出しが行なわれる、いわゆる背面機と呼ばれるATMに適用する場合を例示する。しかし、背面機に限らず、前面に設けられた開閉部を開いてユニットの引き出しが行なわれる、いわゆる前面機と呼ばれるATMにも適用できる。
【0017】
(A-1)媒体取扱装置の全体構成
図1は、実施形態に係る媒体取扱装置の内部構成を示す内部構成図である。
図2は、実施形態に係る媒体取扱装置のユニット構成を示す構成図である。
【0018】
図1において、媒体取扱装置1は、箱状の筐体2を中心に構成されている。媒体取扱装置1のうち、顧客が対峙する側を前側とし、その反対側を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て上下左右をそれぞれ上側、下側、左側及び右側と定義する。
【0019】
筐体2の前面中央には、紙幣の入出口となる入出金口3が設けられている。また、この入出金口3の上方には、図示しない、カード入出口、操作表示部、レシート発行口などが設けられていて、顧客との間で現金、キャッシュカード、レシート等をやり取りすると共に、取引に関する情報の表示や操作の受付を行うようになっている。
【0020】
筐体2の内部には、紙幣入出金機4が設けられている。紙幣入出金機4は、入金取引や出金取引等の種々の処理を行うユニットである。この紙幣入出金機4内の上部には、筐体2の前面中央に位置する入出金口3を有する紙幣入出金部10と、紙幣の金種や真偽を鑑別する鑑別部11と、入金紙幣などを一時的に収納する一時保留部12が設けられている。紙幣入出金部10の入出金口3には、シャッタ13が設けられていて、このシャッタ13が開閉することで、入出金口3を開放及び閉塞するようになっている。
【0021】
また、紙幣入出金機4内の下部には、紙幣を金種別に収納する紙幣収納部14が設けられている。紙幣収納部14の内部には、上下方向に長い直方体形状でなる複数の収納カセット15(15A~15D)が前後方向に並設されている。さらに、紙幣入出金機4内の後部には、装填庫16、取込庫17及びリジェクト庫18が上下方向に並設されている。さらに装填庫16は、その一部が集積庫16Aとリジェクト庫16Bになっている。
【0022】
さらに、紙幣入出金機4の内部には、各部を繋ぐ搬送部19が設けられている。搬送部19は、図示しないローラやベルト等により、図中太線で示す搬送路に沿って紙幣を搬送するようになっている。また、搬送部19の分岐点には、図示しないセレクタが設けられていて、このセレクタにより、紙幣の搬送先を切り替えることができるようになっている。
【0023】
紙幣入出金機4は、
図2に示すように、紙幣収納部14が含まれる下部ユニット4Aと、装填庫16と取込庫17とリジェクト庫18が含まれる後部ユニット4Bとが、紙幣入出金機4の筐体4Cから後方へ引き出すようにして筐体4Cから図示せぬスライドレールにて後方へ引き出すことができ、また引き出した下部ユニット4Aと後部ユニット4Bとを、紙幣入出金機4の筐体4C内へ押し入れるようにして収納できるようになっている。
【0024】
紙幣入出金機4は、このような構成でなり、鑑別部11による紙幣の鑑別結果等をもとに、図示しない制御部が各部を制御して、紙幣の入金処理及び出金処理を行う。
【0025】
すなわち、媒体取扱装置1は、入金取引時、シャッタ13を開き、その後、顧客によって入出金口3に紙幣が投入されると、シャッタ13を閉じて、投入された紙幣を紙幣入出金部10から1枚ずつ繰り出して鑑別部11に搬送する。ここで媒体取扱装置1は、鑑別部11の鑑別結果に基づき入金可能紙幣と判定された紙幣については一時保留部12に搬送して一時的に収納する一方で、入金に適さない入金不可紙幣と判定された紙幣については紙幣入出金部10へ戻して、シャッタ13を開くことで顧客に返却する。
【0026】
その後、顧客との間で入金取引が確定すると、媒体取扱装置1は、一時保留部12に収納している紙幣を鑑別部11に搬送して鑑別結果を得る。ここで、媒体取扱装置1は、鑑別部11の鑑別結果に基づき収納可能紙幣と判定された紙幣については、その金種に対応する収納カセット15(15A~15D)へ搬送して収納する。一方で媒体取扱装置1は、収納に適さない収納不可紙幣と判定された紙幣については、リジェクト庫18に搬送して保管する。
【0027】
また、媒体取扱装置1は、出金取引時、顧客からの要求金額に応じて必要な金種毎の紙幣枚数を認識し、この金種毎の紙幣枚数に応じて各収納カセット15(15A~15D)から紙幣を繰り出して、鑑別部11に搬送して鑑別結果を得る。ここで、媒体取扱装置1は、鑑別部11の鑑別結果に基づき出金可能紙幣と判定された紙幣については紙幣入出金部10に搬送する一方で、出金に適さない出金不可紙幣と判定された紙幣についてはリジェクト庫18へと搬送して保管する。そして、要求金額分の紙幣が紙幣入出金部10に集積されると、媒体取扱装置1は、シャッタ13を開ける。
【0028】
このようにして、媒体取扱装置1は、紙幣の入金取引及び出金取引を行うようになっている。また、媒体取扱装置1は、入金取引時及び出金取引時に、入出金部に搬送した紙幣で顧客が取り忘れた紙幣については、取込庫17に搬送して保管するようになっている。
【0029】
さらに、媒体取扱装置1は、紙幣補充時、装填庫16に装填されている紙幣を1枚ずつ装填庫16から繰り出して、鑑別部11に送る。ここで媒体取扱装置1は、鑑別部11の鑑別結果に基づき補充可能紙幣と判定された紙幣については、その金種に対応する収納カセット15(15A~15D)へ搬送して収納する一方で、補充に適さない補充不可紙幣と判定された紙幣については装填庫16のリジェクト庫16Bへ搬送して保管する。
【0030】
このように、媒体取扱装置1は、紙幣の補充を行うようになっている。また、媒体取扱装置1は、装填庫16から1枚ずつ繰り出した紙幣を、鑑別部11を通して、装填庫16の集積庫16Aに集積することで、装填庫16に装填されている紙幣を計数できるようにもなっている。
【0031】
(A-2)保護部材の取付構造
図3は、実施形態に係る媒体取扱装置1の背面開閉部を開いたときの構成を示す構成図である。
【0032】
図3において、媒体取扱装置1の背面にはドア等の背面開閉部20がある。背面開閉部20は、図示しない鍵が設けられており、必要に応じて保守者が鍵を解錠することで、背面開閉部20を開くことができる。
【0033】
背面開閉部20が開放されると、媒体取扱装置1の筐体2の内部には、紙幣入出金機4のユニットの一部である後部ユニット4Bが配置されている。なお、ここでは、後部ユニット4Bが配置されている場合を例示するが、紙幣入出金機4のユニットであれば後部ユニット4Bに限定されず、別のユニットであってもよい。いずれにしても、この実施形態では、媒体取扱装置1の筐体2内部に搭載されているスライド可能なユニットである場合を想定して説明する。
【0034】
筐体2内部において、後部ユニット4Bの配置付近には、媒体取扱装置1の前側と後側にスライド可能な後部ユニット4Bの動きを制止したり可能にしたりするための鍵23が設けられている。つまり、鍵23が施錠されているときには、スライド可能な後部ユニット4Bの動きを制止できるようにし、鍵23が解錠されているときには、後部ユニット4Bのスライドを可能にすることができる。
【0035】
また、後部ユニット4Bの壁面には、当該後部ユニット4Bをスライドさせるための取っ手部24が設けられている。例えば、保守者が後部ユニット4Bを引き出す際、保守者は鍵23を解錠した状態で、保守者が取っ手部24で後部ユニット4Bを引っ張ることで、後部ユニット4Bを引き出すことができる。
【0036】
図4は、媒体取扱装置1の筐体内部に搭載したユニット(後部ユニット)のスライドレールに対する保護部材の取付構造を示す図である。
図4は、概ね
図3のA-A矢視断面図を示している。
【0037】
図4において、鍵23は、スライドレール27に対する解錠又は施錠をするものである。上述したように、鍵23を解錠するとスライドレール27が取り受けられた後部ユニット4Bのスライドを可能とし、鍵23を施錠するとスライドレール27が取り付けられた後部ユニット4Bの動きを制止する。
【0038】
スライドレール27は、第1レール部27a、第2レール部27b、第3レール部27cを有する。
【0039】
第1レール部27aは、スライド可能とする後部ユニット4Bの壁面に取り付けられるものであり、いわゆるインナーレールと呼ばれるものである。第2レール部27bは、例えば筐体2の内面などの固定面に取り付けられるものであり、いわゆるアウターレールと呼ばれるものである。例えば、鍵23付近の筐体2の内面を固定面としている。
【0040】
第3レール部27cは、第1レール部27aと第2レール部27bとの中間に位置する中間レールである。第3レール部27cの外壁が第2レール部27b内を摺動可能であり、第1レール部27aの外壁が第3レール部27c内を摺動可能である。そのため、スライドの際、固定面に取り付けられている第2レール部27bの位置に対して、第3レール部27cが相対的に移動可能となる。また、後部ユニット4Bが取り付けられている第1レール部27aが、第3レール部27cに対して相対的に移動可能となる。
【0041】
また、筐体2から後部ユニット4Bを引き出す際に、鍵23を解錠して、後部ユニット4Bを引き出すと、中間レールとしての第3レール部27cが、媒体取扱装置1の前側から後側に飛び出すことがある(
図6(C)、
図6(D)参照)。その際、摺動して飛び出した第3レール部27cの端面が保守者の手に当たり、怪我することがある。
【0042】
そのため、第3レール部27cの端面への干渉を防止し、保守者の手が当たらないように、第3レール部27cの端面に対して、接触又は非接触で、保護部材31を備える。保護部材31の材質は、特に限定されず、例えば、ウレタン樹脂、ウレタンゴム、合成ゴム、ネオプレンスポンジゴム等を広く適用できる。
【0043】
[実施例1]
図4(A)及び
図4(B)を用いて、保護部材31の取付構造の一例を説明する。
【0044】
図4(A)及び
図4(B)に示すように、例えばマイラーフィルム等の補強材30に保護部材31を接着材(接着剤や、両面テープ等の接着テープなどの部材)で貼り付け、保護部材31を貼り付けた補強材30を、スライドレール27の第1レール部27aを取り付けた取付面7付近に取り付ける。
【0045】
ここで、取付部材としての補強材30は、機械的変形に対する強度、加工性を有する合成樹脂材料のフィルムを用いることができる。補強材30の材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル等とすることができる。
【0046】
また、上述した例では、接着材を用いて補強材30に保護部材31を貼り付け場合を例示するが、フィルムの補強材30の一方の面が接着面を有しているものであってもよい。すなわち、一方の面が接着面となっている補強材30を用いるようにしてもよい。
【0047】
補強材30は、取付面7に対して貼り付ける基面支持部30aと、保護部材31に対して貼り付ける部材支持部30bとを備え、貼り付けた状態で、補強材30が、平面視(補強材30を上方から下方に向けて見た上面視)でL字状となっている。
【0048】
なお、補強材30はL字状の部材であることに限らない。例えば、貼り付け後であっても、形状を加工可能な補強材30を用いる場合、貼り付け前にはシート状(平板状)の補強材30とし、貼り付け後には、補強材30の形状を加工してL字状に形成してもよい。言い換えると、補強材30は、形状加工可能な部材であり、取付面7及び保護部材31への貼り付け前に形状加工前のシート状の状態で取り扱うことができ、貼り付け後に形状をL字状に加工して取り扱うことができる。
【0049】
補強材30の部材支持部30bは、直方体の保護部材31のうち面積が大きい面に対して貼り付ける。これにより、補強材30と保護部材31とを確実に接着させることができる。
【0050】
また、取付面7に対する剥がれを抑制するため、補強材30の基面支持部30aの面積を大きくする。
【0051】
さらに、
図4(A)及び
図4(B)の例では、部材支持部30bの外側の面に保護部材31を貼り付けている。このようにすることで、取付面7に対して貼り付ける際に、補強材30の基面支持部30aと、保護部材31の面積が小さい面とを同時に、取付面7に接着させることができ、より確実に接着できる。すなわち、保護部材31の剥がれを抑制することができる。
【0052】
このように、補強材30を用いて保護部材31を取付面7に貼り付けることで、取付面7に対する保護部材31の貼り付け強度が補強される。
【0053】
つまり、
図4(B)に示すように、直方体の保護部材31のうち、長さ(奥行き)Lの面で取付面7に対して貼り付けたとしても、保護部材31は補強材30に支持されて貼り付けられているので剥がれにくくなる。
【0054】
また、直方体の保護部材31のうち幅長Wの面積の大きな面を、中間レールである第3レール部27cの端面に対向させることで、保守者の怪我を防止することができる。
【0055】
さらに、
図5のように、何らかの操作を行う保守者が保護部材31に触れたとしても、保護部材31が剥がれにくくなる。また機械強度が強い補強材30を使用しているので、操作後には、補強材30が元の状態に戻り、保護部材31も元の位置に戻る。
【0056】
[実施例2]
上述した実施例1では、
図4(A)及び
図4(B)に示すように、補強材30の部材支持部30bの外側の面に、保護部材31を貼り付ける場合を例示した。
【0057】
しかし、
図6に例示するように、補強材30の部材支持部30bの内側の面に、保護部材31を貼り付けてもよい。
【0058】
この実施例によれば、取付面7に貼り付ける基面支持部30aの面積が大きくできるので確実に貼り付けることができる。
【0059】
また、中間レールである第3レール部27cの端面に対して保護部材31を接触させることができるので、飛び出してくる第3レール部27cを引き出し荷重を吸収することができ、保守者の怪我を防止できる。
【0060】
[実施例3]
実施例1と実施例2は、L字状フィルムの補強材30を用いる場合を例示したが、補強材30を使用しない例を説明する。
【0061】
図7に示すように、第3レール部27cの端面を覆うように保護部材31を設けるようにしてもよい。例えば、保護部材31は開口中空部を備えており、その開口中空部を第3レール部27cの端面に被せることができるようにしてもよい。
【0062】
[変形例]
保護部材31の形状が直方体である場合を例示したが、保護部材31の形状は直方体に限定されない。例えば、保護部材31は、保守者の指が当たる箇所を面取りしてもよく、例えば取付面7に対向する側の面が丸く面取りされているものでもよい。
【0063】
(A-3)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、飛び出してくる第3レール部27cの端面が保守者の手に当たらないように、第3レール部27cの端面に対して、接触又は非接触で、保護部材31を備えることで、怪我を防止でき、安全に補強できる。
【0064】
また、この実施形態によれば、補強材30を用いることで、取付面7に対して貼り付ける保護部材31の貼り付け強度を補強することができ、剥がれを抑制できる。
【符号の説明】
【0065】
1:媒体取扱装置、2:筐体、3:入出金口、4:紙幣入出金機、4A:下部ユニット、4B:後部ユニット、4C:筐体、7:取付面(レールブラケット)、10:紙幣入出金部、11:鑑別部、12:一時保留部、13:シャッタ、14:紙幣収納部、15:収納カセット、16:装填庫、16A:集積庫、16B:リジェクト庫、17:取込庫、18:リジェクト庫、19:搬送部、20:背面開閉部、23:鍵、24:取っ手部、27:スライドレール、27a:第1レール部、27b:第2レール部、27c:第3レール部(中間レール)、30:補強材、30a:基面支持部、30b:部材支持部、31:保護部材。