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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089753
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】熱音響システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
F25B9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205138
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯盛 遊
(72)【発明者】
【氏名】服部 健二
(72)【発明者】
【氏名】槇本 哲也
(57)【要約】
【課題】エネルギ効率を向上させることができる熱音響システムを提供すること。
【解決手段】複数の熱音響ユニット2、2a、2b、2cと、熱音響ユニットに熱を供給する熱供給部3と、複数の熱音響ユニットによる第3エネルギを取り出すエネルギ取出部4と、を有する熱音響システム1。熱音響ユニットのそれぞれは、作動流体が配された流体配管21と、流体配管に接続され、熱音響現象を利用して作動流体の熱エネルギを音エネルギに変換する熱音変換器22と、流体配管に接続され、音エネルギを、音エネルギとは異なる第3エネルギに変換するエネルギ変換器23と、を備える。熱供給部は、複数の熱音響ユニットの間において、熱音変換器の温度比に差が生じるように、複数の熱音響ユニットの少なくとも一つに熱を供給することができるよう構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の熱音響ユニット(2、2a、2b、2c、2d)と、
上記熱音響ユニットに熱を供給する熱供給部(3)と、
上記複数の熱音響ユニットによる第3エネルギを取り出すエネルギ取出部(4)と、を有する熱音響システム(1)であって、
上記熱音響ユニットのそれぞれは、作動流体が配された流体配管(21)と、
該流体配管に接続され、熱音響現象を利用して上記作動流体の熱エネルギを音エネルギに変換する熱音変換器(22)と、
上記流体配管に接続され、音エネルギを、音エネルギとは異なる上記第3エネルギに変換するエネルギ変換器(23、230)と、を備え、
上記熱供給部は、上記複数の熱音響ユニットの間において、上記熱音変換器の温度比に差が生じるように、上記複数の熱音響ユニットの少なくとも一つに熱を供給することができるよう構成されている、熱音響システム。
【請求項2】
上記熱供給部から上記複数の熱音響ユニットに入力される熱量が異なるよう構成されている、請求項1に記載の熱音響システム。
【請求項3】
上記熱供給部によって供給される総入力熱量を計測する熱量計(5)と、該熱量計によって計測された上記総入力熱量に応じて、上記複数の熱音響ユニットのそれぞれへの熱の供給を制御する制御部(6)と、を有する、請求項1又は2に記載の熱音響システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱音響システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、熱音響現象を利用して熱を音波に変換し、その音波を発電、加熱、冷却等に利用する、熱音響システムがある。熱音響システムの熱音変換器は、蓄熱器の一端に高温側熱交換器を配置するとともに、蓄熱器の他端に低温側熱交換器を配置して構成される。これにより、蓄熱器の一端と他端との間に温度差を設けることで、蓄熱器内における作動流体に熱自励振動を生じさせて、音波を生じさせる。このように、熱エネルギを音エネルギに変換する。高温側熱交換器には、例えば工場排熱等を供給することで、蓄熱器の一端と他端との間の温度差を生じさせる。高温側熱交換器に供給される熱量に変動が生じることがあり、特許文献1に記載のシステムは、供給熱量の低下を補填すべく、調整部(モータ等)を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-135005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムのように、調整部によるエネルギの補填を行うということは、補填分のエネルギを外部から新たに加えるということとなる。それゆえ、システム全体のエネルギ効率の向上を図りにくいという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、エネルギ効率を向上させることができる熱音響システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、複数の熱音響ユニット(2、2a、2b、2c、2d)と、
上記熱音響ユニットに熱を供給する熱供給部(3)と、
上記複数の熱音響ユニットによる第3エネルギを取り出すエネルギ取出部(4)と、を有する熱音響システム(1)であって、
上記熱音響ユニットのそれぞれは、作動流体が配された流体配管(21)と、
該流体配管に接続され、熱音響現象を利用して上記作動流体の熱エネルギを音エネルギに変換する熱音変換器(22)と、
上記流体配管に接続され、音エネルギを、音エネルギとは異なる上記第3エネルギに変換するエネルギ変換器(23、230)と、を備え、
上記熱供給部は、上記複数の熱音響ユニットの間において、上記熱音変換器の温度比に差が生じるように、上記複数の熱音響ユニットの少なくとも一つに熱を供給することができるよう構成されている、熱音響システムにある。
【発明の効果】
【0007】
上記熱音響システムは、複数の熱音響ユニットを有する。そして、上記熱供給部は、複数の熱音響ユニットの間において、熱音変換器の温度比に差が生じるように、複数の熱音響ユニットの少なくとも一つに熱を供給することができるよう構成されている。これにより、熱供給部から供給される熱量が時間変動した場合においても、複数の熱音響ユニットを効率的に作動させることができる。
【0008】
以上のごとく、上記態様によれば、エネルギ効率を向上させることができる熱音響システムを提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1における、熱音響システムの説明図。
図2】実施形態1における、熱音響ユニットの説明図。
図3】比較例1の熱音響システムの一部の説明図。
図4】比較例2の熱音響システムの一部の説明図。
図5】比較例2における、供給熱量が充分である場合の各熱音変換器の高温側温度を示す線図。
図6】比較例2における、供給熱量が低下した場合の各熱音変換器の高温側温度を示す線図。
図7】実施形態1の熱音響システムの一部の説明図。
図8】実施形態1における、供給熱量が高い場合の各熱音変換器の高温側温度を示す線図。
図9】実施形態1における、供給熱量が低下した場合の各熱音変換器の高温側温度を示す線図。
図10】実施形態1における、供給熱量が更に低下した場合の各熱音変換器の高温側温度を示す線図。
図11】実施形態2における、熱音響ユニットの説明図。
図12】実施形態3における、熱音響ユニットの説明図。
図13】実施形態4における、熱音響ユニットの説明図。
図14】実施形態5の熱音響システムの一部の説明図。
図15】実施形態5における、制御方法のフロー図。
図16】実施形態6における、熱音響ユニットの説明図。
図17】実施形態6における、熱音響システムの説明図。
図18】実施形態7における、熱音響システムの説明図。
図19】実施形態7の熱音響システムの一部の説明図。
図20】実施形態8における、熱音響システムの説明図。
図21】実施形態8の熱音響システムの一部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
熱音響システムに係る実施形態について、図1図10を参照して説明する。
本形態の熱音響システム1は、図1に示すごとく、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cと、熱供給部3と、エネルギ取出部4と、を有する。熱供給部3は、熱音響ユニット2a、2b、2cに熱を供給する。エネルギ取出部4は、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cによる第3エネルギを取り出す。
【0011】
熱音響ユニット2a、2b、2cのそれぞれは、図2に示すごとく、作動流体が配された流体配管21と、熱音変換器22と、エネルギ変換器23と、を備えている。熱音変換器22は、流体配管21に接続されている。そして、熱音変換器22は、熱音響現象を利用して作動流体の熱エネルギを音エネルギに変換する。エネルギ変換器23は、流体配管21に接続されている。そして、エネルギ変換器23は、音エネルギを、音エネルギとは異なる第3エネルギに変換する。本形態において、エネルギ変換器23は、発電機であり、音エネルギを第3エネルギとしての電気エネルギに変換する。以下において、適宜「発電機23」と表す。
【0012】
熱供給部3は、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cの間において、熱音変換器22の温度比に差が生じるように、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cの少なくとも一つに熱を供給することができるよう構成されている。なお、熱音変換器22の温度比とは、熱音変換器22の一端部の温度と他端部の温度との間の比率であり、
(温度比)=(高温側の絶対温度)÷(低温側の絶対温度)
にて、定義される。
【0013】
本形態において、熱音響ユニット2a、2b、2cは、略同一の構造を有する。それゆえ、以下において、各熱音響ユニット2a、2b、2c自体の説明にあたっては、熱音響ユニット2として説明する。
【0014】
本形態において、熱音響ユニット2は、図2に示すごとく、3個の熱音変換器22と3個の発電機23とを有する。そして、3個の熱音変換器22及び3個の発電機23をループ状に直列につなぐように、流体配管21が接続されている。この流体配管21と熱音変換器22と発電機23とによって構成されるループ管の中に、作動流体が封入されている。流体配管21、熱音変換器22、発電機23等の要素が、筐体29内に収容されている。
【0015】
熱音変換器22は、蓄熱器221と、蓄熱器221の一端に配された高温側熱交換器222と、蓄熱器221の他端に配された低温側熱交換器223と、を有する。蓄熱器221は、多数のセルを備えた構造を有する。蓄熱器221は、例えば、金属、セラミック等にて形成することができる。
【0016】
熱音変換器22は、高温側熱交換器222によって蓄熱器221の一端部を加熱し、低温側熱交換器223によって蓄熱器221の他端部を冷却することで、蓄熱器221の両端に温度差を設けるよう構成されている。この温度差に起因して、蓄熱器221における作動流体の膨張、収縮が繰り返し生じ、自励振動が発振し、音波が生じる。作動流体としては、例えば、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが用いられる。
【0017】
熱音変換器22において生じた音波は、流体配管21を通じて発電機23に伝わる。発電機23としては、電磁誘導を利用して振動を電気に変換するリニア発電機を用いることができる。すなわち、本形態において、発電機23は、音波の振動を、電磁誘導を利用して電気に変換する。
【0018】
上述のように、本形態の熱音響ユニット2は、流体配管21によってループ状に接続された3個の熱音変換器22と3個の発電機23とを有する。そして、各熱音変換器22において生じた音エネルギを、当該熱音変換器22に隣接する発電機23において第3エネルギとしての電気エネルギに変換する。
【0019】
各熱音変換器22の高温側熱交換器222は、熱供給部3から供給される熱によって、蓄熱器221の一端部を加熱する。図1に示すごとく、熱供給部3は、例えば工場排熱を熱媒によって高温側熱交換器222へ輸送する。すなわち、本形態において、熱供給部3は、排ガス熱交換器31と、熱媒配管321、322とを有する。排ガス熱交換器31は、工場Fから排出される高温の排ガスGと、熱媒との間で熱交換を行う。熱媒配管321、322は、排ガス熱交換器31において受熱した熱媒を、各熱音響ユニット2a、2b、2cにおける熱音変換器22の高温側熱交換器222へ供給する。熱媒には、種々の熱媒油を用いることができる。熱媒油としては、例えば、パラフィン系高分子油、ジフェニール系熱媒体油、合成系熱媒体油等を用いることができる。
なお、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cは、熱媒配管321、322によって並列に接続されている。
【0020】
熱媒配管321、322としては、熱供給部3から各熱音響ユニット2a、2b、2cへ熱媒を送る送り配管321と、各熱音響ユニット2a、2b、2cから熱媒を熱供給部3へ戻す戻り配管322とを有する。送り配管321が複数の熱音響ユニット2a、2b、2cの熱媒導入部241に接続され、戻り配管322が複数の熱音響ユニット2a、2b、2cの熱媒排出部242に接続されている。これにより、熱供給部3と各熱音響ユニット2a、2b、2cとの間において、熱媒が循環するよう構成されている。
【0021】
本形態において、送り配管321を通じた、熱供給部3から各熱音響ユニット2a、2b、2cまでの距離は、互いに異なる。具体的には、図1に示すごとく、送り配管321を通じた熱供給部3からの距離は、熱音響ユニット2a、熱音響ユニット2b、熱音響ユニット2cの順に短い。
【0022】
そして、送り配管321にて輸送される熱媒は、輸送中にある程度の熱を奪われて温度が幾分低下する。この温度低下は、輸送距離に応じて異なり、輸送距離が長いほど、温度低下しやすい。これにより、各熱音響ユニット2a、2b、2cに供給される熱量に差を設けることができる。つまり、供給される熱量は、熱音響ユニット2a、熱音響ユニット2b、熱音響ユニット2cの順に大きい。これに伴い、各熱音響ユニット2における熱音変換器22の温度比は、熱音響ユニット2a、熱音響ユニット2b、熱音響ユニット2cの順に大きい。なお、例えば、送り配管321の放熱性を高くすることで、各熱音響ユニット2a、2b、2cに供給される熱量の差を大きくすることができる。
【0023】
各熱音響ユニット2a、2b、2cに供給される熱量に差を設ける手段としては、上述の熱媒の輸送距離に差を設ける以外にも、種々の手段が考えられる。例えば、熱音響ユニット2a、2b、2cのそれぞれに、断熱性能(或いは放熱性能)が互いに異なる配管を、送り配管321として接続することが考えられる。或いは、送り配管321の途中に冷却器を配置して、冷却の度合いに差を設けるなどすることも考えられる。あるいは、各熱音響ユニット2a、2b、2cに供給される熱媒の流量に差を設けることも考えられる。
【0024】
図2に示すごとく、各熱音響ユニット2は、熱媒導入部241から、熱音変換器22の高温側熱交換器222を経由して、熱媒排出部242に至る、熱媒循環系統243を有する。3つの熱音変換器22の高温側熱交換器222は、熱媒循環系統243に並列的に接続されている。
【0025】
各熱音変換器22の低温側熱交換器223は、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cに接続された冷媒配管121、122を流れる、例えば工場循環水等の冷媒によって、蓄熱器221の他端部を冷却する。冷媒の温度は、例えば、20~30℃の室温程度とすることができる。各熱音響ユニット2は、冷媒を導入する冷媒導入部251と、冷媒を排出する冷媒排出部252とを有する。熱音響ユニット2は、冷媒導入部251から、熱音変換器22の低温側熱交換器223を経由して、冷媒排出部252に至る、冷媒循環系統253を有する。3つの熱音変換器22の低温側熱交換器223は、冷媒循環系統253に並列的に接続されている。
【0026】
また、熱音響ユニット2は、発電機23において発電した電力を取り出す電力取出配線263と、電力取出配線263に接続された出力端子261と、を有する。図1に示すごとく、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cの出力端子261は、エネルギ取出部4に接続される。エネルギ取出部4は、回生機41と、出力配線42とを有する。出力配線42は、出力端子261と回生機41とを接続する電力配線である。回生機41は、熱音響ユニット2から出力された電力を、整流、変圧して、例えば、工場電力網FEへ送電する。
なお、各熱音響ユニット2内における複数の熱音変換器22の間においては、高温側の温度の差も実質的に生じない。
【0027】
次に、本形態の作用効果につき説明する。
上記熱音響システム1は、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cを有する。そして、熱供給部3は、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cの間において、熱音変換器22の温度比に差が生じるように、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cの少なくとも一つに熱を供給することができるよう構成されている。これにより、熱供給部3から供給される熱量が時間変動した場合においても、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cを効率的に作動させることができる。その結果、熱音響システム1のエネルギ効率を向上させることができる。
【0028】
熱音変換器22は、温度比が所定の発振温度比以上であるときに、自励振動を発振する。そして、温度比が発振温度比を下回ると、熱音変換器22において自励振動が生じなくなり、発電機23による発電が生じなくなる。発振温度比は、例えば、予めの実験或いは計算によって求めることができる。
【0029】
上述のように、熱音変換器22の温度比は、
(温度比)=(高温側の絶対温度)÷(低温側の絶対温度)
にて定義される。熱音変換器22の低温側の温度は、通常変動しないのに対し、高温側の温度は、熱供給部3から供給される熱量の変動に伴い変動することがある。すなわち、工場排熱は、工場の稼働状況に応じて変動するため、これに伴い熱供給部3からの熱量が変動することとなる。
【0030】
このように、熱音変換器22の低温側の絶対温度は変動し難い一方で、熱音変換器22の高温側の絶対温度は変動することがあり、これによって温度比が変動することとなる。つまり、本形態においては、低温側温度が一定であることを前提とし、高温側温度が所定の閾値Tthを下回ると、熱音響ユニット2が作動しなくなるものと考えることができる。
【0031】
ここで、図3に示すごとく、熱音響ユニット2を一つのみ備える熱音響システム91を、比較例1として考える。この比較例1の場合、熱供給部3の排ガス熱交換器31から供給される熱量が低下して、熱音変換器22の高温側温度が閾値Tthを下回ると、唯一の熱音響ユニット2が作動しなくなり、熱音響システム91は電力を生み出さないこととなる。つまり、熱供給部3の熱を利用することなく、捨ててしまうこととなる。
【0032】
また、図4に示すごとく、熱供給部3から熱音響ユニット2に供給される熱量が均等に配分されるような熱音響システム92を、比較例2として考える。この比較例2の場合、図5に示すごとく、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cにおける熱音変換器22の高温側温度Ta、Tb、Tcは、実質的に同一となる。そして、熱供給部3から供給される総入力熱量が低下したとき、図6に示すごとく、熱音変換器22の高温側温度Ta、Tb、Tcも低下することとなるが、この高温側温度Ta、Tb、Tcが閾値Tthを下回ると、3個すべての熱音響ユニット2における熱音変換器22の高温側温度Ta、Tb、Tcが閾値Tthを下回ることとなる。そうすると、すべての熱音響ユニット2が作動しなくなり、熱音響システム92は電力を生み出さないこととなる。つまり、この場合も、熱供給部3の熱を利用することなく、捨ててしまうこととなる。
【0033】
これに対して、本形態の熱音響システム1は、図7に示すごとく、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cを有し、しかも、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cの間において、熱音変換器22の温度比に差が生じるように、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cの少なくとも一つに熱を供給することができるよう構成されている。
【0034】
熱音響システム1は、熱音響ユニット2a、2b、2cのそれぞれへ供給される熱量が異なるように構成されている。本形態においては、熱媒配管の送り配管321の長さを、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cの間で異ならせることにより、熱音響ユニット2a、2b、2cのそれぞれへ供給される熱量が異なるようにしている。その結果、熱音響ユニット2aにおける熱音変換器22の高温側熱交換器222に供給される熱量Qaと、熱音響ユニット2bにおける熱音変換器22の高温側熱交換器222に供給される熱量Qbと、熱音響ユニット2cにおける熱音変換器22の高温側熱交換器222に供給される熱量Qcとの関係は、Qa>Qb>Qc、となる。これに伴い、熱音響ユニット2aにおける熱音変換器22の高温側温度Taと、熱音響ユニット2bにおける熱音変換器22の高温側温度Tbと、熱音響ユニット2cにおける熱音変換器22の高温側温度Tcとの関係は、Ta>Tb>Tc、となる。
【0035】
図8に示すごとく、高温側温度Tcが、上述の閾値Tth以上であれば、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cのすべてが作動する。そして、熱供給部3から供給される総入力熱量が低下して、例えば、図9に示すごとく、Tc<Tthとなると、熱音響ユニット2cは作動しなくなる。しかし、Tb≧Tth>Tcであれば、熱音響ユニット2a、2bは、作動する。それゆえ、この2つの熱音響ユニット2a、2bによって、熱供給部3から供給される熱を有効に利用して、発電することができる。
【0036】
また、熱供給部3から供給される総入力熱量が更に低下して、例えば、図10に示すごとく、Tb<Tthとなると、熱音響ユニット2cに加え、熱音響ユニット2bも作動しなくなる。しかし、Ta≧Tth>Tbであれば、熱音響ユニット2aは、作動する。それゆえ、熱音響ユニット2aによって、熱供給部3から供給される熱を有効に利用して、発電することができる。
【0037】
このように、供給される総入力熱量に応じて、作動する熱音響ユニット2の数が変動しつつも、総入力熱量がある程度低下したとしても、すべての熱音響ユニット2が停止することを抑制することができる。それゆえ、供給される熱量が変動しても、発電を継続させやすく、利用せずに廃棄する熱エネルギを抑制することができる。その結果、熱音響システム1のエネルギ効率を向上させることができる。
【0038】
熱音響システム1は、熱音響ユニット2a、2b、2cのそれぞれへ供給される熱量が異なるように構成されている。これにより、容易に、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cの間において、熱音変換器22の温度比に差が生じるようにすることができる。
【0039】
また、上記のように、本形態の熱音響システム1においては、特に各熱音響ユニット2を制御しなくても、総入力熱量に応じて適宜自動的に、各熱音響ユニット2が作動、停止する。それゆえ、簡素な構造にて、熱音響システム1を構築することができる。
【0040】
以上のごとく、本形態によれば、エネルギ効率を向上させることができる熱音響システムを提供することができる。
【0041】
(実施形態2)
本形態は、図11に示すごとく、熱音響ユニット2の構造を、ループ管部分2Lと共鳴管部分2Rとを併せ持つ構造とした形態である。
本形態において、熱音響ユニット2は、ループ管部分2Lに複数の熱音変換器22を有する。そして、共鳴管部分2Rにおけるループ管部分2Lと反対側の端部に、発電機23が設けられている。
【0042】
本形態においては、ループ管部分2Lの複数の熱音変換器22において、熱を音波に変換すると共に増幅させ、増幅した音波の一部を、共鳴管部分2Rを通じて発電機23へ送る。これにより、熱音響ユニット2は、熱エネルギを、音エネルギを介して電気エネルギに変換し、出力端子261から電気エネルギを出力する。
【0043】
本形態の熱音響システム1における、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cと他の構成要素(例えば、熱供給部3、エネルギ取出部4)との関係は、実施形態1と同様である。
【0044】
その他は、実施形態1と同様である。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
本形態においても、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0045】
(実施形態3)
本形態は、図12に示すごとく、熱音響ユニット2の構造を、いわゆる外力印加型あるいはフィードバック型の熱音響ユニットとした形態である。
【0046】
熱音響ユニット2は、流体配管21の一端に発電機23を設けると共に他端に音波発生器27を設けている。そして、発電機23と音波発生器27との間の流体配管21の途中に、熱音変換器22を設けている。本形態において、発電機23と音波発生器27との間の流体配管21には、複数の熱音変換器22を設けている。
【0047】
音波発生器27は、モータによって構成することができる。
熱音響ユニット2は、音波発生器27に電力を入力する入力端子281と、入力端子281と音波発生器27とを接続する入力配線282とを有する。入力端子281から入力配線282を介して音波発生器27に電力が印加されることで、音波発生器27が音波を発生する。
【0048】
各熱音変換器22には、実施形態1と同様に、熱エネルギが供給され、両端部に温度差が形成されている。この状態において、音波発生器27にて発生させた音波が、各熱音変換器22を通過するごとに、音波が増幅される。そして、増幅された音波が発電機23において電力に変換される。この電力は、音波発生器27に入力された電力よりも大きい。
【0049】
発電機23において発電した電力は、出力配線283を介して、出力端子284から取り出すことができる。なお、発電機23において発電した電力の一部を、音波発生器27にフィードバックするよう構成することもできる。
【0050】
その他は、実施形態1と同様である。
本形態においても、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0051】
(実施形態4)
本形態は、図13に示すごとく、熱音響ユニット2が、実施形態3に示した、発電機23と音波発生器27と熱音変換器22と流体配管21とによって構成されるユニットに相当するサブユニット20を、複数個有する形態である。なお、図13においては、熱媒循環系統243及び冷媒循環系統253を省略している。
その他は、実施形態3と同様である。
【0052】
本形態においては、各熱音響ユニット2が複数のサブユニット20を備え、複数の発電機23から電力を取り出すことができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0053】
(実施形態5)
本形態は、図14に示すごとく、熱量計5と制御部6とを更に備えた熱音響システム1の形態である。
熱量計5は、熱供給部3によって供給される総入力熱量を計測する。制御部6は、熱量計5によって計測された総入力熱量に応じて、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cのそれぞれへの熱の供給を制御する。
【0054】
本形態においては、各熱音響ユニット2へ熱媒を供給する熱媒配管の送り配管321に、開閉弁61a、61b、61cを設けている。開閉弁61a、61b、61cは、例えば電磁弁にて構成することができる。開閉弁61a、61b、61cは、送り配管321における各熱音響ユニット2a、2b、2cの上流側にそれぞれ設けてある。
【0055】
なお、本形態においては、熱媒配管321、322は、例えば理想的な断熱構造を有しており、開閉弁61a、61b、61cが全開である場合には、3つの熱音響ユニット2a、2b、2cにそれぞれ入力される熱量は同等となるものとして、説明する。
【0056】
熱量計5は、送り配管321における排ガス熱交換器31と分岐部323との間に設けられている。熱量計5は、排ガス熱交換器31から供給される熱媒の総入力熱量Qtを測定できるよう構成されている。熱量計5は、例えば、温度センサと流量センサとによって構成することもできる。この場合、温度センサによって、送り配管321を流れる熱媒の温度を計測し、流量センサによって、送り配管321を流れる熱媒の総流量を計測する。この測定された温度と総流量とに基づいて、総入力熱量Qtを得ることができる。なお、熱量計5の一部として用いる温度センサは、例えば、排ガス熱交換器31や、工場排ガスが流れる排ガス管における所定箇所に配設することもできる。これらの箇所の温度を間接的に用いて、熱媒の総入力熱量Qtを算出することもできる。
【0057】
制御部6は、例えば、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータとその周辺回路にて構成されている。制御部6は、図15に示すごとく、熱量計5によって得られた総入力熱量Qtに基づいて、開閉弁61a、61b、61cの開閉を制御する。例えば、総入力熱量Qtが、所定の熱量Q1を下回るときは、1つの開閉弁61a、61bを開放し、他の2つの開閉弁61cを閉止する(図15におけるステップS1、S2、S3、S4参照)。また、総入力熱量Qtが、熱量Q1以上であって、かつ、熱量Q1よりも大きい所定の熱量Q2を下回るときは、2つの開閉弁61a、61bを開放し、他の1つの開閉弁62bを閉止する(図15におけるステップS1、S2、S3、S6参照)。また、総入力熱量Qtが、熱量Q2以上であるときは、3つの開閉弁61a、61b、61cをすべて開放する(図15におけるステップS1、S2、S5参照)。
【0058】
熱量Q1は、2つの熱音響ユニット2を稼働するために必要な熱量として設定することができる。熱量Q2は、3つの熱音響ユニット2を稼働するために必要な熱量として設定することができる。つまり、例えば、総入力熱量Qtを均等に、3つの熱音響ユニット2a、2b、2cに供給した場合に、熱音響ユニット2における熱音変換器22の高温側温度Ta、Tb、Tcを、上述の閾値Tth以上とするために必要な総入力熱量Qtが、熱量Q2に相当すると考えることができる。また、例えば、総入力熱量Qtを均等に、2つの熱音響ユニット2a、2bに供給した場合に、熱音響ユニット2における熱音変換器22の高温側温度Ta、Tbを、上述の閾値Tth以上とするために必要な総入力熱量Qtが、熱量Q1に相当すると考えることができる。
その他は、実施形態1と同様である。
【0059】
本形態の場合には、総入力熱量に応じて、制御によって、熱エネルギを供給する熱音響ユニット2の数を変更することができる。これにより、熱音響システム1のエネルギ効率を向上させることができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0060】
なお、本形態において、制御部6は、上述した制御の他に、さらに種々の制御を行うことも考えられる。例えば、総入力熱量Qtが充分に大きい場合において、すべての熱音響ユニット2a、2b、2cに対して均等に熱量を供給するように、開閉弁61a、61b、61cを制御することもできる。また、総入力熱量Qtが低下して、2つの熱音響ユニット2a、2bのみに熱媒を供給する際、両者に供給する熱量を均等になるように制御することもできる。これらの場合、開閉弁61a、61b、61cは、流量調整も可能な調整弁とすることとなる。
【0061】
また、場合によっては、制御部6が、各熱音響ユニット2内における複数の熱音変換器22の高温側熱交換器222の温度を均等にする制御を行うことも考えられる。この場合、熱音響ユニット2内の熱媒循環系統243における所定の箇所に、流量調整弁を設け、各弁の開度を調整できるようにしておくことが考えられる。特に、実施形態1に示したループ型の熱音響ユニット2とした場合、複数の熱音変換器22の間で、温度比が均等になるように制御することが重要となる。
【0062】
また、制御部6によって、低温側熱交換器223への冷却水の供給量や温度を制御することも考えられる。この場合、例えば、冷媒配管121、122に調整弁を設けたり、冷媒循環系統253に調整弁を設けたりすることが考えられる。
【0063】
また、制御部6は、エネルギ変換器(本形態においては、発電機23)の稼働に関する稼働データを取得する稼働データ取得部を備えるものとすることもできる。そして、制御部6は、稼働データ取得部にて取得された稼働データに基づいて、エネルギ変換器のメンテナンス時期を予測すると共に予測結果を出力するよう構成されているものとすることもできる。熱音響ユニット2において、熱音変換器22は稼働部を備えないので、耐久性が問題になり難い。その一方で、発電機23等のエネルギ変換器は、稼働部を有するため、経時変化が比較的生じやすい。それゆえ、制御部6によって上記のような予測を行い、適切な時期にメンテナンスを行うことで、効率的にシステムの安定稼働を実現することができる。
【0064】
(実施形態6)
本形態は、図16図17に示すごとく、エネルギ変換器として冷凍機230を用いた形態である。
本形態においては、図16に示すごとく、各熱音響ユニット2が、流体配管21と熱音変換器22と冷凍機230とを有する。冷凍機230は、蓄熱器231と、第1熱交換器232と、第2熱交換器233とを有する。
【0065】
蓄熱器231は、多数のセルを備えた構造を有する。蓄熱器231は、例えば、金属、セラミック等にて形成することができる。蓄熱器231の一端と他端とに、それぞれ第1熱交換器232と第2熱交換器233とが設けてある。第1熱交換器232は、蓄熱器231の一端部と、冷熱取出し用の冷媒との間の熱交換を行い、冷媒を冷却する。第2熱交換器233は、蓄熱器231の他端部と循環水との間の熱交換を行い、蓄熱器231の他端部の温度を所定の温度に保つ。例えば、循環水の温度は、20~30℃程度の常温である。
【0066】
本形態において、第2熱交換器233に供給される循環水は、熱音変換器22の低温側熱交換器223に供給される冷媒と同様のもの、例えば工場循環水を用いる。ここで、低温側熱交換器223に供給される冷媒と、第2熱交換器233に供給される循環水とは、同等の温度とすることができる。また、低温側熱交換器223に供給される、冷熱取出し用の冷媒、及び、第2熱交換器233に供給される循環水は、第1熱交換器232にて冷却される冷媒よりも高温である。
【0067】
第1熱交換器232にて冷却される、冷熱取出し用の冷媒としては、例えば、工場冷却水等を用いることができる。
熱音響ユニット2は、冷熱取出し用の冷媒を導入する冷媒入口264と、冷媒を排出する冷媒出口265とを有する。冷媒入口264と第1熱交換器232と冷媒出口265とは、冷熱取出循環路266によって接続されている。
【0068】
本形態においては、熱音変換器22において発生させた音波が、流体配管21を通じて冷凍機230に伝わる。冷凍機230の蓄熱器231に音波が伝わると、ヒートポンプ効果によって一端部から他端部へ熱が輸送される。これにより、蓄熱器231の一端部の温度が低下する。すなわち、蓄熱器231の一端部が冷却され、そこに設けられた第1熱交換器232によって、冷媒が冷却される。この冷却された冷媒は、冷熱取出循環路266を通じて冷媒出口265から外部へ導出される。
【0069】
このように、熱音響ユニット2においては、熱が音波に変換され、更に音波が冷熱に変換される。この冷熱が、冷媒を介してエネルギ取出部4に取り出される。
図17に示すごとく、熱音響システム1は、複数の熱音響ユニット2を備えており、各熱音響ユニット2が、実施形態1と同様に、熱供給部3と、熱媒配管321、322によって接続されている。そして、複数の熱音響ユニット2は、冷媒入口264及び冷媒出口265において、エネルギ取出部4に接続されている。本形態において、エネルギ取出部4は、冷却設備410と外部冷媒配管420とによって構成される。
【0070】
外部冷媒配管420は、各熱音響ユニット2の冷媒入口264及び冷媒出口265に接続されている。そして、外部冷媒配管420は、冷却設備410にも接続されており、冷却設備410は、冷媒によって冷却対象を冷却するよう構成されている。冷媒設備410は、例えば、空調設備、冷蔵・冷凍設備等とすることができる。
【0071】
本形態においても、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cの間において、熱音変換器22の温度比に差が生じるように、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cの少なくとも一つに熱を供給することができるよう構成されている。
その他は、実施形態1と同様である。
【0072】
本形態においても、熱供給部3から供給される熱量が時間変動した場合においても、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cを効率的に作動させることができる。その結果、熱音響システム1のエネルギ効率を向上させることができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0073】
なお、本形態の熱音響システム1を基本形態として、実施形態5と同様に、熱量計5と制御部6とを備えたものとすることもできる。そして、実施形態5と同様に、複数の熱音響ユニット2a、2b、2cのそれぞれへの熱の供給を制御するよう構成することもできる。この場合は、実施形態5と同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
(実施形態7)
本形態は、図18図19に示すごとく、複数の熱音響ユニット2a、2b、2c、2dを、熱媒配管321、324、322によって直列接続した形態である。
【0075】
例えば、図18に示すごとく、熱媒配管のうちの送り配管321が、一つの熱音響ユニット2aの熱媒導入部241に接続されている。そして、熱音響ユニット2aの熱媒排出部242と、熱音響ユニット2bの熱媒導入部241とが、熱媒配管のうちの中継配管324によって接続されている。また、熱音響ユニット2bの熱媒排出部242と、熱音響ユニット2cの熱媒導入部241との間、熱音響ユニット2cの熱媒排出部242と、熱音響ユニット2dの熱媒導入部241との間も、同様に、中継配管324によって接続されている。そして、熱音響ユニット2dの熱媒排出部242に、熱媒配管のうちの戻り配管322が接続されている。送り配管321及び戻り配管322は、実施形態1(図1参照)と同様に、排ガス熱交換器31に接続されている。
【0076】
なお、図18及び後述する図20において、冷媒導入部251、冷媒排出部252、出力端子261、冷媒配管121、122、出力配線42等(図1参照)は省略している。複数の熱音響ユニット2の間の、冷媒配管121、122、出力配線42の接続の仕方は、上述の熱媒配管321、324、322の接続の仕方にかかわらず、種々の接続の仕方が可能である。
【0077】
本形態においては、熱媒が、複数の熱音響ユニット2a、2b、2c、2dの内部をそれぞれ循環しつつ、順次供給されることとなる。すなわち、熱媒は、熱音響ユニット2aの内部の熱媒循環系統243を循環した後、熱音響ユニット2bに導入される。そして、熱媒は、熱音響ユニット2bの内部の熱媒循環系統243を循環した後、熱音響ユニット2cに導入され、熱音響ユニット2cの内部の熱媒循環系統243を循環した後、熱音響ユニット2dに導入されることとなる。これにより、複数の熱音響ユニット2a、2b、2c、2dにおける熱音変換器22の高温側温度Ta、Tb、Tc、Tdは、Ta>Tb>Tc>Tdとすることができる。また、Ta、Tb、Tc、Tdの間の温度差を形成しやすい。
【0078】
その他、実施形態1と同様の構成、及び作用効果を有する。なお、直列接続される熱音響ユニット2の数は、4個に限らず、3個以下とすることも、5個以上とすることもできる。また、本形態を、実施形態5と同様に、熱量計5と制御部6とを備えた熱音響システムに適用することもできる。
【0079】
(実施形態8)
本形態は、図20図21に示すごとく、複数の熱音響ユニット2a、2b、2c、2dにつき、一部を熱媒配管の中継配管324によって直列接続しつつ、一部を熱媒配管の送り配管321及び戻り配管322にて並列接続した形態である。
【0080】
例えば、熱音響ユニット2aの熱媒排出部242と熱音響ユニット2bの熱媒導入部241とを、中継配管324にて直列接続すると共に、熱音響ユニット2cの熱媒排出部242と熱音響ユニット2dの熱媒導入部241とを、中継配管324にて直列接続する。そして、送り配管321の一部により、熱音響ユニット2a、2cの熱媒導入部241同士を並列接続すると共に、熱音響ユニット2b、2dの熱媒排出部242同士を並列接続する。
【0081】
これにより、図21に示すごとく、熱媒の経路として、熱音響ユニット2a、2bを順次通る経路と、熱音響ユニット2c、2dを順次通る経路とが、分岐して形成される。このとき、2つの経路が実質的に同等の放熱性、流路抵抗を有している場合に、複数の熱音響ユニット2a、2b、2c、2dにおける熱音変換器22の高温側温度Ta、Tb、Tc、Tdは、Ta≒Tc>Tb≒Tdとなることが考えられる。
【0082】
また、2つの経路の放熱性、流路抵抗を適宜調整することで、例えば、Ta>Tb>Tc>Tdとなるようにしたり、Ta>Tc>Tb>Tdとなるようにするなど、高温側温度Ta、Tb、Tc、Tdの関係を変更することができる。
【0083】
その他、実施形態1と同様の構成、及び作用効果を有する。なお、直列接続される熱音響ユニット2の数は、2個に限らず、3個以上とすることもできる。また、並列接続される熱音響ユニット2の列は、2列に限らず、3列以上とすることもできる。また、本形態を、実施形態5と同様に、熱量計5と制御部6とを備えた熱音響システムに適用することもできる。
【0084】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 熱音響システム
2、2a、2b、2c、2d 熱音響ユニット
21 流体配管
22 熱音変換器
23、230 エネルギ変換器
3 熱供給部
4 エネルギ取出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
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