(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089759
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】サーマルプリンタ、通電方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/36 20060101AFI20240627BHJP
B41J 2/355 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B41J2/36 D
B41J2/36 E
B41J2/355 P
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205148
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 直輝
【テーマコード(参考)】
2C066
【Fターム(参考)】
2C066AB09
2C066AD03
2C066CC14
2C066CD03
2C066CD14
2C066CD27
2C066CE04
2C066CE06
2C066CE12
2C066DA02
2C066DA08
2C066DA17
(57)【要約】
【課題】高階調値からなるドットの粗密の違いに伴って発生する蓄熱量の違いによって階調ズレが発生してしまうことを防止する。
【解決手段】サーマルプリンタ1の制御部10は、前回の印刷フィールドにおいて階調値0(最小階調値)が割り当てられた発熱素子71があった場合に、今回の印刷フィールドに対応付けて、今回の印刷フィールドにおいて階調値7(最大階調値)が割り当てられる発熱素子71に対して、履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる一方で、前回の印刷フィールドにおいて階調値0(最小階調値)が割り当てられた発熱素子71がなかった場合には、今回の印刷フィールドに対応付けた履歴通電が省かれる、調熱処理を実行する。また、制御部10は、複数の発熱素子71を複数の履歴参照用グループ(4ドット)G1~G6に分けたうえで当該履歴参照用グループG1~G6毎に上記調熱処理を実行する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に配列された複数の発熱素子を有し、前記発熱素子毎に当該発熱素子への通電時間または通電回数を制御することにより当該発熱素子に対応したドットを多階調で印刷可能なサーマルプリンタであって、
前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子があった場合に、今回の印刷フィールドに対応付けて、前記今回の印刷フィールドにおいて最大階調値が割り当てられる発熱素子に対して、履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる一方で、
前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子がなかった場合には、前記今回の印刷フィールドに対応付けた前記履歴通電が省かれる、
調熱処理を、実行する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記複数の発熱素子を複数のグループに分けたうえで前記グループ毎に前記調熱処理を実行する、
ことを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記調熱処理では、前記今回の印刷フィールドにおいて最大階調値よりも小さい階調値が割り当てられる発熱素子に対しては、前記今回の印刷フィールドに対応付けた前記履歴通電が省かれる、
ことを特徴とする請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
所定の方向に配列された複数の発熱素子を有し、前記発熱素子毎に当該発熱素子への通電時間または通電回数を制御することにより当該発熱素子に対応したドットを多階調で印刷可能なサーマルプリンタであって、
前回の印刷フィールドにおいて第1階調値以下の階調値が割り当てられた発熱素子があった場合に、今回の印刷フィールドに対応付けて、前記今回の印刷フィールドにおいて前記第1階調値よりも大きい第2階調値以上の階調値が割り当てられる発熱素子に対して、履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる一方で、
前回の印刷フィールドにおいて前記第1階調値以下の階調値が割り当てられた発熱素子がなかった場合には、前記今回の印刷フィールドに対応付けた前記履歴通電が省かれる、
調熱処理を、実行する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記複数の発熱素子を複数のグループに分けたうえで前記グループ毎に前記調熱処理を実行する、
ことを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項4】
前記調熱処理では、前記今回の印刷フィールドにおいて前記第2階調値よりも小さい階調値が割り当てられる発熱素子に対しては、前記今回の印刷フィールドに対応付けた前記履歴通電が省かれる、
ことを特徴とする請求項3に記載のサーマルプリンタ。
【請求項5】
所定の方向に配列された複数の発熱素子を有し、前記発熱素子毎に当該発熱素子への通電時間または通電回数を制御することにより当該発熱素子に対応したドットを多階調で印刷可能なサーマルプリンタであって、
今回の印刷フィールドにおいて最大階調値が割り当てられる発熱素子があり且つ前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子があった場合に、前記今回の印刷フィールドに対応付けて、前記今回の印刷フィールドにおいて前記最大階調値が割り当てられる発熱素子に対して、履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる一方で、
今回の印刷フィールドにおいて最大階調値が割り当てられる発熱素子がない場合には、前記今回の印刷フィールドに対応付けた前記履歴通電が省かれる、
調熱処理を、実行する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記複数の発熱素子を複数のグループに分けたうえで前記グループ毎に前記調熱処理を実行する、
ことを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項6】
所定の方向に配列された複数の発熱素子を有し、前記発熱素子毎に当該発熱素子への通電時間または通電回数を制御することにより当該発熱素子に対応したドットを多階調で印刷可能なサーマルプリンタが実行する通電方法であって、
前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子があった場合に、今回の印刷フィールドに対応付けて、前記今回の印刷フィールドにおいて最大階調値が割り当てられる発熱素子に対して、履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる一方で、
前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子がなかった場合には、前記今回の印刷フィールドに対応付けた前記履歴通電が省かれる、
調熱処理を含み、
前記調熱処理は、前記複数の発熱素子が複数のグループに分けられたうえで前記グループ毎に実行される、
ことを特徴とする通電方法。
【請求項7】
所定の方向に配列された複数の発熱素子を有し、前記発熱素子毎に当該発熱素子への通電時間または通電回数を制御することにより当該発熱素子に対応したドットを多階調で印刷可能なサーマルプリンタのコンピュータを、
前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子があった場合に、今回の印刷フィールドに対応付けて、前記今回の印刷フィールドにおいて最大階調値が割り当てられる発熱素子に対して、履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる一方で、
前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子がなかった場合には、前記今回の印刷フィールドに対応付けた前記履歴通電が省かれる、
調熱処理を、実行する制御手段として機能させ、
前記制御手段は、前記複数の発熱素子を複数のグループに分けたうえで前記グループ毎に前記調熱処理を実行する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルプリンタ、通電方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文字等をドット出力により印字する発熱素子を有するサーマルプリンタが知られている。このサーマルプリンタに関して、印字濃度の均一化を図ることを目的として、各ドットの出力時に通電パルス数を、直前の通電履歴状態に応じて選択することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では、各ドットの通電履歴を個々にみているため、周囲のドットの通電履歴によっては蓄熱量が異なり印字濃度が変化してしまうという問題がある。特に、階調印刷が行われる場合には、印字濃度の変化によって階調ズレが発生してしまうので、階調表現に影響を及ぼしてしまう。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、高階調値からなるドットの粗密の違いに伴って発生する蓄熱量の違いによって階調ズレが発生してしまうことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るサーマルプリンタは、
所定の方向に配列された複数の発熱素子を有し、前記発熱素子毎に当該発熱素子への通電時間または通電回数を制御することにより当該発熱素子に対応したドットを多階調で印刷可能なサーマルプリンタであって、
前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子があった場合に、今回の印刷フィールドに対応付けて、前記今回の印刷フィールドにおいて最大階調値が割り当てられる発熱素子に対して、履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる一方で、
前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子がなかった場合には、前記今回の印刷フィールドに対応付けた前記履歴通電が省かれる、
調熱処理を、実行する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記複数の発熱素子を複数のグループに分けたうえで前記グループ毎に前記調熱処理を実行する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高階調値からなるドットの粗密の違いに伴って発生する蓄熱量の違いによって階調ズレが発生してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るサーマルプリンタの外観構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図1に示すサーマルプリンタの蓋を開放した状態を示す平面図である。
【
図3】実施形態に係るサーマルプリンタの制御構成を示したブロック図である。
【
図5】各階調値に応じた印刷イメージと通電波形とを示す図である。
【
図6】通電時間(加熱温度)と階調値(印刷濃度)との関係を表したグラフである。
【
図7】履歴データ生成処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図8】履歴データ生成処理において或るライン(前回ライン及び今回ライン)を対象としてスキャンされた各ドットと当該各ドットの階調値とを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本実施形態におけるサーマルプリンタの外観構成を模式的に示す平面図である。
図2は、
図1に示すサーマルプリンタの蓋を開放した状態を示す平面図である。また、
図3は、サーマルプリンタの機能的構成を示すブロック図である。
【0011】
本実施形態のサーマルプリンタ1は、長尺状の被印刷媒体であるテープ部材5を加熱して、文字、マーク、図、表などの画像を印刷しラベルを作成するラベルプリンタである。サーマルプリンタ1は、白(下地(背景、例えば白色)に印刷無し)及び黒(下地に黒)により、白黒の複数階調の印刷濃度の印刷を行う機能を有する。また、サーマルプリンタ1は、印刷したテープ部材5をカットする機能などを有する。
なお、以下では、感熱紙を使用する感熱方式のラベルプリンタを例にして説明するが、印刷方式は特に限定されず、例えば、インクリボンを使用する熱転写方式であってもよい。
【0012】
図1及び
図2に示すように、サーマルプリンタ1は、内部にカセット収容部21を有する装置筐体2を備えている。
カセット収容部21には、テープカセット51が収容される。テープカセット51には、テープ部材5及び図示しないインクリボンが収容されている。
装置筐体2上の一部であってカセット収容部21を覆う位置には蓋3が設けられている。蓋3は、ボタン3aを押下することで図示しないロック機構が解除され、
図2に示すように上方向に回動して開放される。蓋3が開放された状態において、ユーザはテープカセット51を着脱することが可能となる。
【0013】
本実施形態のテープカセット51の角部等には、テープ幅等、収容されるテープ部材5の種類に応じて、それぞれ異なる位置に図示しない切り欠きや凹部等の凹凸が設けられている。カセット収容部21内であってテープカセット51の角部等に対応する位置にはテープカセット5の凹凸の有無を検出する図示しないテープ種検出部が設けられており、テープ種検出部による検出情報を取得することで、制御部10は、テープカセット51が収容するテープ部材5のテープ幅等の種類やカセット収容部21内にテープカセット51がセットされているか否かを把握することができる。
【0014】
また、カセット収容部21内には、長尺状の被印刷媒体であるテープ部材5に印刷を行う印刷手段が設けられている。
本実施形態において、印刷手段は複数の発熱素子71を備えるサーマルヘッド7(
図2等参照)を含んでいる。サーマルヘッド7(発熱素子71)は、ヘッド駆動回路17(
図3参照)によって動作制御され、印刷データ及び履歴データ(後述)にしたがった印刷を行うようになっている。
サーマルヘッド7は、テープカセット51がカセット収容部21に収容された状態において、テープ部材5の幅方向(
図4参照)に一列に配列された複数の発熱素子71を一ライン有する。
また、サーマルヘッド7には、サーミスタ72(
図3参照)が埋め込まれている。サーミスタ72は、サーマルヘッド7(発熱素子71)の温度を測定して制御部10に出力する。
【0015】
また、テープ部材5を挟んでサーマルヘッド7と対向する位置には、被印刷媒体であるテープ部材5を長尺方向(
図4参照)に沿う搬送方向(
図1、
図2の矢印方向)に搬送する搬送手段としてプラテンローラ8が設けられている。
図2に示すように、プラテンローラ8は、発熱素子71が配置されている部分でサーマルヘッド7と対向している。プラテンローラ8とサーマルヘッド7との間をテープ部材5が通過する際には、プラテンローラ8がテープ部材5をサーマルヘッド7(発熱素子71)側に押し付ける。これにより印刷が行われるようになっている。
【0016】
プラテンローラ8は、後述の搬送用モータ80(
図3参照)によって回転し、テープ部材5を搬送方向(テープ部材5の長尺方向)に沿って適宜搬送する搬送機構である。本実施形態において、搬送機構であるプラテンローラ8は、印刷手段であるサーマルヘッド7からテープ部材5を装置外に排出する排出口22に向かう順方向(搬送方向の上流側から下流側に向かう方向、正方向)にテープ部材5を搬送する、正転搬送を行うように構成されている。
さらに、カセット収容部21内には、テープカセット51内のテープ部材5がロール状に巻回されたテープコアが係合されるテープコア係合軸と、印刷済みのインクリボンを巻き取る巻き取り軸(いずれも図示せず)が設けられている。巻き取り軸は、図示しない駆動モータによって回転し、インクリボンを適宜巻き取るようになっている。
【0017】
装置筐体2の側部(本実施形態では、
図1に示すように右側部)であってカセット収容部21に対応する位置には、印刷後、テープ部材5から切り離されたラベルが排出される排出部として排出口22が形成されている。サーマルプリンタ1内で印刷が行われたテープ部材5(ラベル)は、排出口22から装置外へ排出される。
【0018】
装置筐体2内であって、印刷手段であるサーマルヘッド7から排出口22までの間には、テープ部材5をカットするカット機構として、フルカット機構9a及びハーフカット機構9bが設けられている。
フルカット機構9a及びハーフカット機構9bは、いずれもテープ部材5の幅方向に亘って設けられ、被印刷媒体であるテープ部材5を、媒体幅方向に沿って切断する切断手段である。本実施形態では、
図2等に示すように、印刷手段であるサーマルヘッド7の搬送方向の下流側にフルカット機構9aが配置され、フルカット機構9aよりもさらに搬送方向の下流側にハーフカット機構9bが配置されている。
【0019】
図示は省略するが、本実施形態の被印刷媒体であるテープ部材5は、粘着層(図示せず)を有する基材と、粘着層を覆うように設けられ、ラベル使用時(貼着時)には基材から剥離される剥離層(剥離紙)と、を備えている。
フルカット機構9aは、被印刷媒体であるテープ部材5の基材を剥離層とともに幅方向に沿って切断する切断刃を有し、テープ部材5の厚み方向の全体を切断するいわゆるフルカット動作を行う。フルカット機構9aは、フルカット機構駆動モータ90a(
図3参照)の動力によって切断動作を行う。
【0020】
ハーフカット機構9bは、テープ部材5のうち基材のみを幅方向に沿って切断する切断刃を有し、テープ部材5の厚み方向の一部を切断するいわゆるハーフカット動作を行う。ハーフカット機構9bは、ハーフカット機構駆動モータ90b(
図3参照)の動力によって切断動作を行う。
【0021】
また、蓋3には、蓋3が閉じた状態でもサーマルプリンタ1にテープカセット51が収容されているか否かを目視で確認可能とするために、窓部31が形成されている。また、蓋3には、表示部4が設けられている。
表示部4は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
本実施形態では、表示部4に、ユーザによって入力された各種の設定値、テープ部材5に印刷される文字列やデザインを表示させて、ユーザが確認できるようにしてもよい。
【0022】
なお、表示部4の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合にはタッチパネルが入力部6としても機能する。
【0023】
また、装置筐体2上には、入力部6が設けられている。
入力部6は、例えば、文字入力キー、十字キー、変換キー、決定キー等の種々のキーを備えている。
なお、前述のように、表示部4の表面にタッチパネルが一体的に設けられている場合には、タッチパネルが入力部6として機能し、ユーザはタッチパネルへのタッチ操作によっても各種の入力・設定等の操作を行うことができる。
【0024】
サーマルプリンタ1は、上述のように表示部4、入力部6、サーマルヘッド7(発熱素子71)、サーミスタ72、プラテンローラ8、フルカット機構9a、ハーフカット機構9bに加えて、
図3に示すように、制御部10、記憶部11、電源回路12、表示部駆動回路14、ヘッド駆動回路17、搬送用モータ駆動回路18、カッターモータ駆動回路19等を備える。
【0025】
制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む制御手段である。
また、記憶部11は、図示しないROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)や、ROM、RAMとして機能する不揮発性の半導体メモリであるFLASH(登録商標)メモリ(Flash memory)等を含む。
制御部10及び記憶部11は、コンピュータを構成し、ROM等に格納された各種プログラムを制御部10がRAMの作業領域に展開して実行することによって、サーマルプリンタ1の各部の動作を統合的に制御する。
【0026】
具体的には、制御部10はプログラム(例えば、印刷処理アプリケーションプログラム等)との協働により、サーマルプリンタ1が印刷を行うための各種機能を実現する。
なお、制御部10の各機能は、制御部10がプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現されてもよいし、専用のモジュール(ハードウェア)によって実現されていてもよい。
【0027】
記憶部11(例えば、記憶部11としてのFLASHメモリ等)には、テープ部材5に印刷を行うプログラム(プログラムのソースコード等)、プログラムの実行に必要な各種データ(例えば、数種類のフォントで構成される文字データ(漢字、カタカナ、ひらがな、アルファベット等)、記号や図形等のデータ、図形・文字間の間隔、所定幅の余白等、印刷動作に必要な各種データ)が記憶されている。またユーザが作成したデータがある場合には、ユーザ作成データも記憶部11に保存される。
【0028】
電源回路12は、電源からの電圧から出力電圧を生成し、サーマルプリンタ1の各部に電力を供給する電源供給部である。
なお、電源は、内部のバッテリ等であってもよいし、ケーブル等を介して接続される外部電源であってもよい。
【0029】
表示部駆動回路14は、表示部4の動作を制御するコントローラであり、制御部10の制御のもと、表示部4のドライバを制御して表示データに基づく表示を行わせる。
すなわち、表示部駆動回路14は、制御部10から出力された表示データを受け取り、この表示データに基づいて各種の表示画面を表示部4に表示させる。
【0030】
ヘッド駆動回路17は、制御部10から供給された制御信号と印刷データと履歴データ(後述)に基づいてサーマルヘッド7(発熱素子71)を駆動させるヘッド駆動部である。
入力部6等からユーザがラベルの作成のために選択したり入力した文字や記号、図形等を指定するデータは、ユーザの印刷指示があると、制御部10を通じてヘッド駆動回路17に印刷データとして送られる。ヘッド駆動回路17は、当該印刷データに基づいて複数の発熱素子71に対する電圧の通電又は非通電をライン(
図4参照)ごとに制御する。また、ヘッド駆動回路17は、後述の履歴データ生成処理(
図7参照)により生成された履歴データに基づいて複数の発熱素子71に対する電圧の通電(履歴通電)又は非通電をライン(
図4参照)ごとに制御する。
そして、ヘッド駆動回路17が印刷データ及び履歴データに応じて発熱素子71へ電流を選択的に流すことで、発熱素子71が発熱してインクリボンを加熱する。これにより、サーマルヘッド7は、熱転写によりテープ部材5に対し当該テープ部材5の端部(
図4に示すテープ部材5の右端のライン)から長尺方向に沿って一ラインずつ印刷を行う。
【0031】
本実施形態のサーマルプリンタ1では、階調の値が0~7をとる8階調の白黒印刷(モノクローム印刷)が行われるようになっている。8階調での白黒印刷が行われる場合、次のような通電制御が行われる。具体的には、サーマルヘッド7の発熱素子71には、ヘッド駆動回路17により所定のパルスが入力され、入力されたパルスの数(パルス数)に応じた通電(本通電)がなされる。また、各ドット(
図4参照)の階調値は、入力されるパルス数に対応する。また、1つの発熱素子71へのパルスの入力数が多いほど当該発熱素子71への通電時間が長くなる。
【0032】
図5は、各階調値に応じた印刷イメージと通電波形とを示す図である。
図5に示すように、1つのドットDの印刷において、階調値が0の場合、パルスが全く発熱素子71に入力されなく、発熱素子71の通電回数(通電時間)も0となり、印刷物の印刷濃度が最低値(白)になる。ドットDの階調値が1の場合、1つのパルスが発熱素子71に入力され、入力された1つのパルスに対応する通電時間で発熱素子71が通電され、印刷物の印刷濃度は、階調値が0の印刷濃度よりも濃く(黒く)なる。同様にして、ドットDの階調値を高くしていくと、発熱素子71に入力するパルスの数(通電回数)に対応する通電時間も長くなり、印刷物の印刷濃度もより濃く(黒く)なる。そして、ドットDの階調値が7の場合、7個のパルスが発熱素子71に入力され、入力された7個のパルスに対応する通電時間で発熱素子71が通電され、印刷物の印刷濃度が最も濃く(黒く)なる。本実施形態では、1ドット(1つのドットD)が、サーマルヘッド7のうちの1つの発熱素子71に対応して印刷される。また、本実施形態では、階調値1~7のそれぞれに対応する発熱素子71への通電(本通電)は、予め定められた印字周期(3.12ms)内の当該本通電用に割り当てられた本通電期間内に行われるようになっている。また、本実施形態では、
図6の通電時間(加熱温度)と階調値(印刷濃度)との関係(熱転写特性)を表したグラフに示されるように、1番目に入力されるパルスに対応する通電(階調値を0から1とするための通電)と、7番目に入力されるパルスに対応する通電(階調値を6から7とするための通電)は、2~6番目に入力されるパルスに対応する通電よりも長い時間が設定されている。階調値を1とする発色及び階調値を7とする発色が確実に行われるようにするためである。
【0033】
また、1つのドットDの印刷において、階調値が7の場合、
図5に示すように、履歴通電が行われない印刷と、履歴通電が行われる印刷とがある。履歴通電は、上述のパルスの入力に応じて行われる通電(本通電)の前に所定の時間の間、行われるようになっている。また、履歴通電は、後述する履歴データ生成処理(
図7参照)により生成された履歴データに基づいて、当該履歴データがONに設定されたドットを対象として行われ、当該履歴データがOFFに設定されたドットに対しては行われないようになっている。本実施形態では、履歴通電は、予め定められた印字周期(3.12ms)内の当該履歴通電用に割り当てられた履歴通電期間内に行われるようになっている。なお、履歴通電は、印字周期(3.12ms)内に行われるようにすればよく、例えば、本通電の後に行われるように、すなわち履歴通電期間が本通電期間の後に設けられるようにしてもよい。
【0034】
図3のブロック図の説明に戻り、搬送用モータ駆動回路18は、搬送用モータ80を駆動させ、プラテンローラ8を回転させる。
搬送用モータ80は、例えば、ステッピングモータであり、搬送用モータ駆動回路18より投入されたパルス信号に応じたステップ数ずつ駆動し、正確な搬送を可能とする。前述のように本実施形態のプラテンローラ8は、搬送方向における順方向(正方向)に回転することができ、搬送用モータ駆動回路18は、適宜搬送用モータ80に信号を投入して、プラテンローラ8を順方向に回転させる。
【0035】
印刷動作時において、搬送用モータ駆動回路18は、プラテンローラ8の回転動作(すなわち、テープ部材5の搬送動作)が、サーマルヘッド7による印刷の進行速度と同期するように搬送用モータ80の駆動を制御する。
なお、印刷動作時において、インクリボンを巻き取る巻き取り軸を回転させる図示しない駆動モータもプラテンローラ8の回転動作と同期して動作するようになっており、テープ部材5の搬送、サーマルヘッド7による印刷、印刷済みのインクリボンの巻き取りがタイミングを合わせて高精度に行われる。
【0036】
カッターモータ駆動回路19は、フルカット機構9aを動作させるフルカット機構駆動モータ90a及びハーフカット機構9bを動作させるハーフカット機構駆動モータ90bの動作を制御する。これにより、適切な位置でテープ部材5のフルカット又はハーフカットが行われる。
【0037】
次に、
図7~
図9を参照して、本実施形態のサーマルプリンタ1の動作を説明する。
図7は、階調印刷時に行われる履歴データ生成処理の制御手順を示すフローチャートである。
図8は、履歴データ生成処理において或るライン(前回ライン及び今回ライン)を対象としてスキャンされた各ドットと当該各ドットの階調値とを示す表である。
図9は、履歴データの生成方法の例を示す図である。
【0038】
図7に示すように、履歴データ生成処理が開始されると、まず、サーマルプリンタ1の制御部10は、階調印刷を行う印刷データのうちから履歴データの生成対象となるライン(今回ライン)の一つ前のライン(前回ライン)の印刷データを当該ラインの端から順に4ドット単位でスキャンする(ステップS1)。具体的には、
図4に示すように、履歴参照用グループG1、G2、G3、G4、G5、G6の順で各履歴参照用グループG1~G6に属する4ドットをスキャンする。ここで、履歴データの生成対象となるライン(今回ライン)が印刷データの1ライン目(最初のライン)である場合、前回ラインは存在しないこととなる。このため、かかる場合には、いずれも階調値0(最小階調値)のドットが並んだ状態の前回ラインがあるものとみなして対応する。
【0039】
次いで、制御部10は、ステップS1でスキャンした領域(履歴参照用グループ;4ドット)に階調値0(最小階調値)のドットがあるか否かを判定する(ステップS2)。ここで、上述のように履歴データの生成対象となるライン(今回ライン)が印刷データの1ライン目である場合、ステップS2では、スキャンした領域に階調値0のドットがあるものとして対応する。
【0040】
ステップS2において、ステップS1でスキャンした領域に階調値0のドットがあると判定された場合(ステップS2;YES)、制御部10は、スキャンした領域に対応する今回ラインの領域のうち階調値7(最大階調値)のドットのみ履歴データをONに設定する(ステップS3)。つまり、ステップS3では、スキャンした領域に対応する今回ラインの領域の階調値7(最大階調値)よりも小さい階調値(階調値0~6)のドットについては履歴データがOFFに設定されるようになっている。
【0041】
例えば、
図8及び
図9に示すように、スキャンした第1の領域(印刷フィールド)R1(履歴参照用グループG1)のドットD1~D4のうちドットD4が階調値0(白)であると判定、すなわち第1の領域R1の蓄熱量が十分ではないと判定された場合、第1の領域R1(履歴参照用グループG1)に対応する今回ラインの領域のドットD11~D14のうち階調値7(最大階調値)の2つのドットD13,D14のみ履歴データがONに設定される。これにより、今回ラインの領域の履歴データがONに設定されたドットD13,D14では、履歴通電ありの階調値7の印刷(
図5参照)が行われることとなる。つまり、前回の第1の領域(印刷フィールド)R1において階調値0(最小階調値)が割り当てられた発熱素子71があった場合に、制御部10の制御下において、今回の第1の領域(印刷フィールド)R1に対応付けて、今回の第1の領域(印刷フィールド)R1において階調値7(最大階調値)が割り当てられる発熱素子71に対して、履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる調熱処理が実行されることとなる。換言すると、今回の第1の領域(印刷フィールド)R1において階調値7(最大階調値)が割り当てられる発熱素子71があり且つ前回の第1の領域(印刷フィールド)R1において階調値0(最小階調値)が割り当てられた発熱素子71があった場合に、制御部10の制御下において、今回の第1の領域(印刷フィールド)R1に対応付けて、今回の第1の領域(印刷フィールド)R1において階調値7(最大階調値)が割り当てられる発熱素子71に対して、履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる調熱処理が実行されることとなる。
【0042】
また、ステップS2において、ステップS1でスキャンした領域に階調値0のドットがないと判定された場合(ステップS2;NO)、制御部10は、スキャンした領域に対応する今回ラインの領域の履歴データをOFFに設定する(ステップS4)。
【0043】
例えば、
図8及び
図9に示すように、スキャンした第2の領域(印刷フィールド)R2(履歴参照用グループG2)のドットD5~D8に階調値0(白)のドットがないと判定、すなわち第2の領域R2の蓄熱量が十分であると判定された場合、第2の領域R2(履歴参照用グループG2)に対応する今回ラインの領域の履歴データがOFFに設定される。つまり、前回の第2の領域(印刷フィールド)R2において階調値0(最小階調値)が割り当てられた発熱素子71がなかった場合には、制御部10の制御下において、今回の第2の領域(印刷フィールド)R2に対応付けた履歴通電が省かれる調熱処理が実行されることとなる。換言すると、今回の第2の領域(印刷フィールド)R2において階調値7(最大階調値)が割り当てられる発熱素子71がない場合には、制御部10の制御下において、今回の第2の領域(印刷フィールド)R2に対応付けた履歴通電が省かれる調熱処理が実行されることとなる。
【0044】
次いで、制御部10は、前回ラインを対象とした1ライン分のスキャンが終了したか否かを判定する(ステップS5)。
【0045】
ステップS5において、前回ラインを対象とした1ライン分のスキャンが終了していないと判定された場合(ステップS5;NO)、制御部10は、スキャンの対象となる領域(4ドット)を更新する(ステップS6)。例えば、それまでスキャンの対象となる領域が履歴参照用グループG1(
図4参照)に属する領域であった場合、スキャンの対象となる領域を履歴参照用グループG2(
図4参照)に属する領域に更新する。そして、制御部10は、処理をステップS1に戻し、それ以降の処理を繰り返し行う。
【0046】
また、ステップS5において、前回ラインを対象とした1ライン分のスキャンが終了したと判定された場合(ステップS5;YES)、制御部10は、スキャンの対象となる前回ラインを次のラインに更新する(ステップS7)。
【0047】
次いで、制御部10は、更新された前回ラインが印刷データの最終ラインであるか否かを判定する(ステップS8)。
【0048】
ステップS8において、更新された前回ラインが印刷データの最終ラインではないと判定された場合(ステップS8;NO)、制御部10は、処理をステップS1に戻し、それ以降の処理を繰り返し行う。
【0049】
また、ステップS8において、更新された前回ラインが印刷データの最終ラインであると判定された場合(ステップS8;YES)、制御部10は、履歴データ生成処理を終了する。
【0050】
以上のように、サーマルプリンタ1の制御部10は、前回の印刷フィールドにおいて階調値0(最小階調値)が割り当てられた発熱素子71があった場合に、今回の印刷フィールドに対応付けて、今回の印刷フィールドにおいて階調値7(最大階調値)が割り当てられる発熱素子71に対して、履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる一方で、前回の印刷フィールドにおいて階調値0(最小階調値)が割り当てられた発熱素子71がなかった場合には、今回の印刷フィールドに対応付けた履歴通電が省かれる、調熱処理を実行する。
したがって、サーマルプリンタ1によれば、前回の印刷フィールドにおいて階調値0のドットがある場合、当該印刷フィールドに対応する発熱素子71の蓄熱量は低いと判断し、今回の印刷フィールドに対応付けて、今回の印刷フィールドにおいて階調値7が割り当てられる発熱素子71に対して履歴通電が行われる一方で、前回の印刷フィールドにおいて階調値0のドットがない場合、当該印刷フィールドに対応する発熱素子71の蓄熱量は高いと判断し、今回の印刷フィールドに対応付けた履歴通電が省かれるので、高階調値のドットの粗密の違いに伴って発生する蓄熱量の違いによって階調ズレが発生してしまうことを防止できる。
【0051】
また、制御部10は、複数の発熱素子71を複数の履歴参照用グループ(4ドット)G1~G6に分けたうえで当該履歴参照用グループG1~G6毎に上記調熱処理を実行する。
したがって、サーマルプリンタ1によれば、複数の履歴参照用グループG1~G6ごとに高階調値のドットの粗密を判断するので、当該判断を的確に行うことができる。この結果、複数の履歴参照用グループG1~G6ごとに上記調熱処理をより適切に行うことができるので、高階調値のドットの粗密の違いに伴って発生する蓄熱量の違いによって階調ズレが発生してしまうことを一段と防止できる。
【0052】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態では、履歴データ生成処理(
図7参照)のステップS1において、前回ラインの印刷データを4ドット単位でスキャンしているが、5ドット以上を一単位としてスキャンしてもよいし、2ドット単位や3ドット単位でスキャンしてもよい。つまり、履歴参照用グループを、5ドット以上を一単位とするグループとしてもよいし、2ドット単位や3ドット単位のグループとしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、最小階調値が0であり最大階調値が7である8階調の白黒印刷が行われるサーマルプリンタ1を例に挙げて説明したが、印刷の階調は8階調に限られず、例えば、16階調(最小階調値0、最大階調値15)や256階調(最小階調値0、最大階調値255)の白黒印刷が行われるサーマルプリンタであってもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、履歴データ生成処理(
図7参照)のステップS2において、スキャンした領域(4ドット)に階調値0(最小階調値)のドットがあるか否かを判定しているが、例えば、スキャンした領域(4ドット)に階調値1(第1階調値)以下のドットがあるか否かを判定するようにしてもよい。そして、このステップS2において、スキャンした領域に階調値1(第1階調値)以下のドットがあると判定された場合(ステップS2;YES)、ステップ3において、例えば、スキャンした領域に対応する今回ラインの領域のうち階調値6(第2階調値)及び階調値7(第2階調値以上の階調値)のドットのみ履歴データをONに設定し、階調値0~5(第2階調値よりも小さい階調値)のドットについては履歴データをOFFに設定するようにしてもよい。一方、上記のステップS2において、スキャンした領域に階調値1(第1階調値)以下のドットがないと判定された場合(ステップS2;YES)、ステップ4において、スキャンした領域に対応する今回ラインの領域の履歴データをOFFに設定するようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部11(例えば、FLASHメモリ等)を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0056】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0057】
1 サーマルプリンタ
2 装置筐体
3 蓋
4 表示部
5 テープ部材
6 入力部
7 サーマルヘッド
8 プラテンローラ
9a フルカット機構
9b ハーフカット機構
10 制御部
11 記憶部
12 電源回路
14 表示部駆動回路
17 ヘッド駆動回路
18 搬送用モータ駆動回路
19 カッターモータ駆動回路
21 カセット収容部
22 排出口
31 窓部
51 テープカセット
71 発熱素子
72 サーミスタ
80 搬送用モータ
90a フルカット機構駆動モータ
90b ハーフカット機構駆動モータ
【手続補正書】
【提出日】2023-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るサーマルプリンタは、
所定の方向に配列された複数の発熱素子を有し、前記発熱素子毎に当該発熱素子への通電時間または通電回数を制御することにより当該発熱素子に対応したドットを多階調で印刷可能なサーマルプリンタであって、
前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子があった場合に、今回の印刷フィールドにおいて最大階調値が割り当てられる発熱素子に対して、前記今回の印刷フィールドで履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる一方で、
前記前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子がなかった場合には、前記今回の印刷フィールドでの前記履歴通電が省かれる、
調熱処理を、実行する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記複数の発熱素子を複数のグループに分けたうえで前記グループ毎に前記調熱処理を実行する、
ことを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に配列された複数の発熱素子を有し、前記発熱素子毎に当該発熱素子への通電時間または通電回数を制御することにより当該発熱素子に対応したドットを多階調で印刷可能なサーマルプリンタであって、
前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子があった場合に、今回の印刷フィールドにおいて最大階調値が割り当てられる発熱素子に対して、前記今回の印刷フィールドで履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる一方で、
前記前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子がなかった場合には、前記今回の印刷フィールドでの前記履歴通電が省かれる、
調熱処理を、実行する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記複数の発熱素子を複数のグループに分けたうえで前記グループ毎に前記調熱処理を実行する、
ことを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記調熱処理では、前記今回の印刷フィールドにおいて最大階調値よりも小さい階調値が割り当てられる発熱素子に対しては、前記今回の印刷フィールドでの前記履歴通電が省かれる、
ことを特徴とする請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
所定の方向に配列された複数の発熱素子を有し、前記発熱素子毎に当該発熱素子への通電時間または通電回数を制御することにより当該発熱素子に対応したドットを多階調で印刷可能なサーマルプリンタであって、
前回の印刷フィールドにおいて第1階調値以下の階調値が割り当てられた発熱素子があった場合に、今回の印刷フィールドにおいて前記第1階調値よりも大きい第2階調値以上の階調値が割り当てられる発熱素子に対して、前記今回の印刷フィールドで履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる一方で、
前記前回の印刷フィールドにおいて前記第1階調値以下の階調値が割り当てられた発熱素子がなかった場合には、前記今回の印刷フィールドでの前記履歴通電が省かれる、
調熱処理を、実行する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記複数の発熱素子を複数のグループに分けたうえで前記グループ毎に前記調熱処理を実行する、
ことを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項4】
前記調熱処理では、前記今回の印刷フィールドにおいて前記第2階調値よりも小さい階調値が割り当てられる発熱素子に対しては、前記今回の印刷フィールドでの前記履歴通電が省かれる、
ことを特徴とする請求項3に記載のサーマルプリンタ。
【請求項5】
所定の方向に配列された複数の発熱素子を有し、前記発熱素子毎に当該発熱素子への通電時間または通電回数を制御することにより当該発熱素子に対応したドットを多階調で印刷可能なサーマルプリンタであって、
今回の印刷フィールドにおいて最大階調値が割り当てられる発熱素子があり且つ前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子があった場合に、前記今回の印刷フィールドにおいて前記最大階調値が割り当てられる発熱素子に対して、前記今回の印刷フィールドで履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる一方で、
前記今回の印刷フィールドにおいて最大階調値が割り当てられる発熱素子がない場合には、前記今回の印刷フィールドでの前記履歴通電が省かれる、
調熱処理を、実行する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記複数の発熱素子を複数のグループに分けたうえで前記グループ毎に前記調熱処理を実行する、
ことを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項6】
所定の方向に配列された複数の発熱素子を有し、前記発熱素子毎に当該発熱素子への通電時間または通電回数を制御することにより当該発熱素子に対応したドットを多階調で印刷可能なサーマルプリンタが実行する通電方法であって、
前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子があった場合に、今回の印刷フィールドにおいて最大階調値が割り当てられる発熱素子に対して、前記今回の印刷フィールドで履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる一方で、
前記前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子がなかった場合には、前記今回の印刷フィールドでの前記履歴通電が省かれる、
調熱処理を含み、
前記調熱処理は、前記複数の発熱素子が複数のグループに分けられたうえで前記グループ毎に実行される、
ことを特徴とする通電方法。
【請求項7】
所定の方向に配列された複数の発熱素子を有し、前記発熱素子毎に当該発熱素子への通電時間または通電回数を制御することにより当該発熱素子に対応したドットを多階調で印刷可能なサーマルプリンタのコンピュータを、
前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子があった場合に、今回の印刷フィールドにおいて最大階調値が割り当てられる発熱素子に対して、前記今回の印刷フィールドで履歴通電として所定の時間だけ通電が行われる一方で、
前記前回の印刷フィールドにおいて最小階調値が割り当てられた発熱素子がなかった場合には、前記今回の印刷フィールドでの前記履歴通電が省かれる、
調熱処理を、実行する制御手段として機能させ、
前記制御手段は、前記複数の発熱素子を複数のグループに分けたうえで前記グループ毎に前記調熱処理を実行する、
ことを特徴とするプログラム。