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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089764
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】日よけルーバの補強装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/266 20060101AFI20240627BHJP
   E06B 9/388 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
E06B9/266
E06B9/388
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205157
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克行
(72)【発明者】
【氏名】阿部 祐太
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043BA01
2E043BB13
2E043BD04
2E043DA07
(57)【要約】
【課題】日よけルーバによる保護機能を高める補強装置を提供する。
【解決手段】上下に並んだ複数の羽根部材30を有する日よけルーバ100の補強装置4において、上下に並んだ羽根部材30同士によって形成される複数の隙間に挿入される挿入部42が並列に設けられ、日よけルーバ100に対して着脱可能とする補強部材40を有する。補強部材40に対して挿入部42の逆側から連結され、補強部材40を補強する支持部材50を備えることもできる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に並んだ複数の羽根部材を有する日よけルーバの補強装置において、
前記羽根部材同士の隙間に挿入される挿入部が設けられ、前記日よけルーバに対して着脱可能とする補強部材を有することを特徴とする日よけルーバの補強装置。
【請求項2】
前記補強部材は、前記挿入部が前記隙間から抜ける方向の移動を規制する規制部を有することを特徴とする請求項1に記載の日よけルーバの補強装置。
【請求項3】
前記補強部材を複数備えることを特徴とする請求項1に記載の日よけルーバの補強装置。
【請求項4】
前記補強部材は、複数の前記補強部材を直列に並べたときに対向する互いの端部に嵌合構造を有することを特徴とする請求項3に記載の日よけルーバの補強装置。
【請求項5】
前記補強部材に対して前記挿入部の逆側から連結される支持部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の日よけルーバの補強装置。
【請求項6】
前記複数の補強部材を直列に並べた状態でそれぞれの前記挿入部の逆側から連結される支持部材を備えることを特徴とする請求項3に記載の日よけルーバの補強装置。
【請求項7】
前記支持部材を前記日よけルーバに対して着脱可能とする連結具を有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の日よけルーバの補強装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日よけルーバの補強装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の躯体の開口部に設けられた開口部装置には、日よけルーバを備えるものがある。
日よけルーバは、上下に並んだ複数の羽根部材を有し、各羽根部材が開口部への日射を調整しつつも、各羽根部材の隙間により通風を確保することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-38838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
日よけルーバは、建造物の窓の外側に設けられることから、本来の日射や通風の調整機能に加えて、台風等の強風時に窓を保護する機能を付加することが検討されている。
しかしながら、従来の日よけルーバは、強風による飛来物の衝突により、各羽根部材の隙間が広げられ、飛来物が開口部装置である窓に達してガラスパネルが破損される等、十分な保護を図れないおそれがあった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するために、日よけルーバによる開口部装置の保護機能を高める補強装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、
上下に並んだ複数の羽根部材を有する日よけルーバの補強装置において、
前記羽根部材同士の隙間に挿入される挿入部が設けられ、前記日よけルーバに対して着脱可能とする補強部材を有する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願発明は、日よけルーバによる開口部装置の保護機能を高める補強装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一の実施形態としての補強装置を装備していない状態の面格子及び開口部装置の前後方向及び上下方向に沿った断面を示す縦断面図である。
図2】面格子を屋内側から見た正面図である。
図3図2のU-U線に沿った面格子の断面図である。
図4図4(A)と図4(B)は補強部材をそれぞれ異なる方向から見た斜視図である。
図5図5(A)は補強部材の側面図、図5(B)は底面図である。
図6図6(A)~図6(D)は面格子に対する補強部材の取り付け作業の工程を順番に示した縦断面図である。
図7】補強部材の他の例を示す縦断面図である。
図8】第二の実施形態としての補強装置の斜視図である。
図9】補強装置を装備した状態の面格子及び開口部装置の前後方向及び上下方向に沿った断面を示す縦断面図である。
図10】補強装置を装備した面格子を屋内側から見た正面図である。
図11図10のV-V線に沿った面格子及び補強装置の断面図である。
図12図10のW-Wに沿った面格子及び補強装置の断面図である。
図13図13(A)は座金の背面図、図13(B)は底面図、図13(C)は右側面図である。
図14図14(A)~図14(G)は面格子の前面側から装着する他の例としての補強部材の取り付け作業の工程を順番に示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第一の実施形態]
本発明に係る補強装置を備えた日よけルーバの第一の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態はあくまで本発明の一例であり、本発明が下記に説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。
以下に述べる日よけルーバは、建物の躯体の開口部に設けられた開口部装置(例えば、窓)の室外側に取付けられた面格子に適用されるものを例示するが、面格子に限定されるものではない。
【0010】
図1は補強装置4を装備していない状態の面格子100及び開口部装置1000の前後方向及び上下方向に沿った断面を示す縦断面図、図2は面格子100を屋内側から見た正面図である。
【0011】
以下、各構成の説明については、面格子100の枠体20の幅方向を左右方向(見付け方向、面内方向という場合もある)、高さ方向を上下方向(見付け方向、面内方向という場合もある)、図2における紙面奥行き方向(図1における紙面左右方向)を前後方向(見込み方向、面外方向という場合もある)と定義して説明する。
また、面格子100については、屋内側から見た場合の上下左右を面格子100の上下左右と定義する。さらに、面格子100については、屋外側を前、屋内側を後と定義する。
なお、本実施の形態では、特に断りがない場合には、面格子100の上下が鉛直上下方向に平行となり、面格子100の前後左右が水平方向に平行となるように建物に設置されている前提で各部の方向について説明する。
【0012】
[開口部装置]
図1に示すように、面格子100は、開口部装置1000の前側、即ち、建造物の外部に設置される。
開口部装置1000は、枠体1100と、枠体1100の内側に配置される室外側障子1200及び室内側障子1300を有する。
枠体1100は、左右の縦枠1110(右側のみ図示)、と上下の横枠1130,1140からなる矩形を呈している。上下の横枠1130,1140の内側には、室外側障子1200、室内側障子1300を引戸式に案内するレール部材が設けられている。
枠体1100の外側は、建造物の躯体の開口部にはめ込まれて固定されている。
【0013】
室外側障子1200は、戸先框、召し合せ框、上横框、下横框からなる框体1210を有する。框体1210の内側にはガラスパネル1220がはめ込まれて保持されている。
室内側障子1300も同様に、戸先框、召し合せ框、上横框、下横框からなる框体1310を有する。そして、框体1310の内側にはガラスパネル1320がはめ込まれて保持されている。
室外側障子1200の下框と室内側障子1300の下框の内部には戸車が設けられ、室外側障子1200及び室内側障子1300の開閉移動を円滑に行うことができる。
なお、本実施形態では、面格子100が外側に設置される開口部装置として引違い窓を例示したが、これに限定されず、外開きの構造を除いたあらゆる種類の窓に対して面格子100を設けることが可能である。
【0014】
[面格子の支持構造]
面格子100は、ブラケットを介して開口部装置1000に支持される。
開口部装置1000の枠体1100の左右それぞれの縦枠1110の上端部と下端部には、例えば、ネジ止めにより、支持ブラケット1410,1420が設けられている。各支持ブラケット1410,1420は、いずれも、前後方向及び上下方向に沿った略矩形の平板状を呈し、前方に向かって立設されている。これらの支持ブラケット1410,1420には、各所にネジ孔が形成されている。
【0015】
面格子100の後述する枠体20の左右それぞれの縦枠23の上端部と下端部には、例えば、ネジ止めにより、連結ブラケット1430,1440が設けられている。各連結ブラケット1430,1440は、いずれも、前後方向及び上下方向に沿った平板状を呈し、後方に向かって立設されている。これらの連結ブラケット1430,1440には、各所にネジの挿通孔が形成されている。
【0016】
開口部装置1000側の上側の左右一対の支持ブラケット1410と面格子100側の上側の左右一対の連結ブラケット1430とを個々に重ね合わせ、各挿通孔を介して各ネジ孔に止めネジを螺入させて連結する。
同様に、開口部装置1000側の下側の左右一対の支持ブラケット1420と面格子100側の下側の左右一対の連結ブラケット1440とを個々に重ね合わせ、各挿通孔を介して各ネジ孔に止めネジを螺入させて連結する。
各支持ブラケット1410,1420と各連結ブラケット1430,1440とを連結することにより、開口部装置1000は、その前側で面格子100を支持することができる。
【0017】
なお、面格子100の支持構造は、一例であって、ブラケットに限定されず、面格子100の機能を損なうことなく、一定の強度を持って支持することが可能ないかなる構成を利用してもよい。例えば、開口部装置1000の枠体が前方に延出された部位を有し、当該延出部位が面格子100を支持する構成としてもよい。
【0018】
[面格子の基本構成]
図3図2のU-U線に沿った面格子100の断面図である。面格子100の構成について図1図3に基づいて説明する。
面格子100は、枠体20と羽根部材30と補強装置4とを有する。
【0019】
枠体20は、上枠21、下枠22及び左右の縦枠23,23を有する。枠体20は、上枠21と下枠22の左右の端部間にそれぞれ縦枠23が掛け渡され、ネジで組付けられて矩形に構成されている。
上枠21、下枠22、左右の縦枠23,23は、いずれも、アルミニウム合金の押出形材からなり、一定方向に長い構造材である。
【0020】
枠体20の内側には、複数の羽根部材30が上下に並んで配置されている。
各羽根部材30は、図1に示すように、前半部分31が左右方向に長い帯状の薄板であり、後半部分32が中空の枠状となっている。後半部分32は、前半部分31に比べて厚くなっている。羽根部材30は、アルミニウム合金の押出形材からなる。
各羽根部材30は、左右両端部に軸部材34(図3参照)を有し、枠体20の左右の縦枠23,23によって左右方向に沿った軸回りに回動可能に支持されている。
【0021】
各羽根部材30は、360°に満たない範囲で回動可能であって、各羽根部材30の回動角度が等しくなるように連結されている。
そして、羽根部材30の板面が略水平となる向きを羽根部材30の基準姿勢とした場合に、当該基準姿勢において最も各羽根部材30同士の上下方向の隙間が大きくなり、正面光源に対する採光や風通しが最大となる。
なお、以下の記載において、羽根部材30の「前」とは基準姿勢における前側、羽根部材30の「後」とは基準姿勢における後側を示すものとする。
【0022】
また、羽根部材30の前半部分31を下方に向けた状態のときに、最も各羽根部材30同士の隙間が小さくなり、正面光源に対する採光や風通しが最小となる(この状態を「前下向き姿勢」とする)。
同様に、羽根部材30の前半部分31を上方に向けた状態のときにも、最も各羽根部材30同士の隙間が小さくなり、正面光源に対する採光や風通しが最小となる(この状態を「前上向き姿勢」とする)。
【0023】
図3は羽根部材30の支持構造を示している。
枠体20の左右の縦枠23,23には、各々の内側面に各羽根部材30の軸部材34を支持する支持カバー24,24が設けられている。
各支持カバー24は、アルミニウム合金の押出形材からなり、開断面形状の上下に長い構造材である。
縦枠23の内側面は、上下方向に沿って開口部231が形成されており、当該開口部231に支持カバー24が取り付けられている。支持カバー24は、開断面における開口側に、係止爪241が形成されている。そして、縦枠23の開口部の内縁部に係止爪241が係止されて支持カバー24が固定される。
【0024】
羽根部材30は、左右方向の端部に前述した軸部材34を有する。支持カバー24は、縦枠23とは逆側の面に羽根部材30の軸部材34が挿入され、当該軸部材34を回転可能に支持する支持孔242が上下に均一間隔で形成されている。なお、符号25は、支持孔242に挿入された軸部材34の抜け止めである。
【0025】
軸部材34は、支持カバー24の内側となる先端部に当該軸部材34と直交する方向に延出されたレバー35を有する。さらに、レバー35の回動端部側には、軸部材34に平行な方向(左右方向)に突出した丸軸状の係合突起36を有する。
レバー35に設けられた係合突起36は、上下に長い連動板37の軸孔に挿入され、連動板37に対して回転可能に連結されている。
連動板37は、上下に並んだ全ての羽根部材30の係合突起36と連結されている。
そして、支持カバー24の内側で連動板37を上下動させると、レバー35を通じて全ての羽根部材30を回動させることができる。
連動板37は、手動操作により上下動を付与する図示しない操作機構に連結されている。
【0026】
なお、図3は羽根部材30の左端部側のみを図示しているが右端部側も左端部と同様の軸部材34、レバー35を備え、連動板37で連結されている。
また、操作機構は、左右の連動板37を同時に上下動させる構成とすることが好ましい。
但し、各羽根部材30は、左右いずれかの一方の軸部材34にのみレバー35を設け、他方の軸部材34はレバー35を有さない構造としてもよい。
【0027】
[補強装置]
本実施形態において、補強装置4は、一又は複数の補強部材40によって構成される。
【0028】
図4(A)と図4(B)は補強部材40をそれぞれ異なる方向から見た斜視図、図5(A)は補強部材40の側面図、図5(B)は底面図である。
なお、補強部材40は、面格子100に対して着脱可能だが、以下の説明では補強部材40が面格子100に装着された状態での前後上下左右を示すものとする。
【0029】
補強部材40は、本体部41と複数の挿入部42と規制部としての締結部材43とを有する。
本体部41は、上下方向に長く、左右方向の幅と前後方向の厚さを概ね一定とする矩形の略平板状を呈している。
本体部41の前面側には、三つの挿入部42が上下方向に均一間隔で並んで突設されている。本体部41と三つの挿入部42は、側面視の形状で左右方向の全幅に渡って均一となっている(後述する凸部413及び凹部414を除く)。
本体部41と各挿入部42とは、同一材料によって一体的に形成されている。形成材料は、アルミニウム合金、その他の金属材料でもよいが、必要強度が得られるならば、6ナイロン、ABS樹脂等の強化プラスチック、その他の強化樹脂材料を選択してもよい。
【0030】
補強部材40は、単一で面格子100に装着して使用することもできるが、複数の個体を上下に連結状態で並べて装着することも可能である。
このため、本体部41の上端面411は、前斜め上に傾斜した上向きの傾斜面であり、下端面412は、上端面411と平行であって下向きの傾斜面となっている。
本体部41の後面を同一面に揃えた状態で二つの補強部材40を上下に並べて面格子100に装着すると、下側の補強部材40の上端面411と上側の補強部材40の下端面412とを当接又は近接状態で正対させることができる。
上端面411と下端面412は、前斜め下に傾斜させてもよいが、前斜め上に傾斜させると、挿入部42の延出方向と不一致となるので、面格子100に対する補強部材40の外れを抑制することができる。
【0031】
さらに、補強部材40の本体部41には、他の補強部材40を直列に上下に並べたときに対向する下端面412と上端面411とに嵌合構造を有する。
即ち、本体部41の上端面411には、当該上端面411に対して略垂直な方向に突出した断面略三角形状の凸部413が形成されている。
また、本体部41の下端面412には、当該下端面412に対して略垂直な方向に窪んだ断面略三角形状の凹部414が形成されている。
二つの補強部材40を上下に並べた状態で面格子100に装着した場合、下側の補強部材40の凸部413は、上側の補強部材40の凹部414に嵌合し、二つの補強部材40が直列状態に並ぶようにガイドすると共に直列状態を安定的に維持することができる。なお、上端面411に凹部414が形成され、下端面412に凸部413が形成された嵌合構造としてもよい。
【0032】
三つの挿入部42は、面格子100の複数の羽根部材30の上下の並び間隔と同一の間隔で本体部41の前面側に設けられている。挿入部42の個体数は、二つ以上であることが好ましく、三つに限定されない。
【0033】
各挿入部42は、本体部41の前面から前方に延出された基部421と、基部421の先端部から前斜め下方向に延出された斜方延出部422とを有する。
基部421と本体部41との隅角である隅角部423は、傾斜面を有しており、剛性を高めて強度の向上を図っている。
斜方延出部422は、先鋭形状であって、その先端部において屈曲して下方を向いた爪部424を有し、羽根部材30に対する保持性を高めている。
【0034】
後述する図6(D)を参照すると、補強部材40は、各羽根部材30が前下向き姿勢よりも幾分隙間を生じた状態で装着することが可能である。
そして、補強部材40の装着状態において、斜方延出部422の前面は、羽根部材30の前半部分31における後面側に当接又は近接する。また、上下に並んだ挿入部42と挿入部42との間となる凹状空間425内には、羽根部材30の後半部分32が格納状態となる。この時、基部421の下面は羽根部材30の後半部分32に上から当接又は近接し、斜方延出部422の先端に位置する爪部424は、羽根部材30の後半部分32に前方から当接又は近接する。
これらにより、補強部材40は、各羽根部材30に対して、当該各羽根部材30の相互の隙間がより広くなる方向にもより狭くなる方向にも回動を規制することができる。
【0035】
規制部としての締結部材43は、挿入部42が羽根部材30同士の間から抜けないように規制して、補強部材40が面格子100から外れることを防止するための構成である。本実施形態では、規制部としてネジやボルト等の締結部材43を利用する場合を例示するがこれに限定されず、同様に機能する他の部材でもよい。
補強部材40の本体部41には、挿入部42の上側近傍で前後に貫通するネジ孔415が形成されている。規制部としての締結部材43は、後方からネジ孔415に螺入され、その先端部が本体部41の前面から挿入部42の基部421の途中まで突出した状態で取り付けられる。
【0036】
図6(D)に示すように、締結部材43の前端部は、凹状空間425内に格納状態となった羽根部材30の後半部分32の前端部に下から当接する。このため、装着後の補強部材40の上方への移動が規制される。
その結果、挿入部42の先端の爪部424が羽根部材30の後半部分32の後端部に引っ掛かりを生じて挿入部42が容易に抜けなくなり、補強部材40が面格子100から外れることを防止することができる。
【0037】
なお、規制部としての締結部材43は、一つの補強部材40につき一つ以上設ければよいが、二つ以上、さらには、挿入部42と同数設けてもよい。
また、前述したように、本体部41の上端面411は、上向きで前斜めに傾斜した傾斜面であり、下端面412は、傾斜角度を等しくして下向きで前斜め上に傾斜した傾斜面となっている。
このため、上下に複数の補強部材40を並べて連結状態で配置する場合には、規制部としての締結部材43を一番上の補強部材40にのみ設けてもよい。本体部41の上端面411と下端面412とが前斜めに傾斜した傾斜面であるため、上から二番目以下の補強部材40は、上斜め方向への移動が規制され、全ての補強部材40の外れを防止することができる。
【0038】
[補強部材の取り付け作業]
図6(A)~図6(D)は面格子100に対する補強部材40の取り付け作業の工程を順番に示した縦断面図である。図6(A)~図6(D)により面格子100に対する補強部材40の取り付け作業の工程を順番に説明する。
図6(A)に示すように、例えば、面格子100の各羽根部材30の向きが補強部材40の装着に適した状態にない場合(例えば、各羽根部材30が前下向き姿勢にある場合等)には、図6(B)に示すように、各羽根部材30を回動させて多少の隙間ができる程度に前斜め下を向いた状態に調整する。
【0039】
次に、図6(C)に示すように、補強部材40を上下に並べて装着する場合には、下の補強部材40から先に装着を行う。
装着の際には、面格子100の後側から、羽根部材30同士の隙間に各挿入部42を挿入する。その場合、まず、挿入部42を前方に移動する。そして、斜方延出部422の前面が羽根部材30の前半部分31の後面側に当接したら、斜方延出部422の前面の傾斜に従って挿入部42を前斜め下側に移動する。
これにより、挿入部42と挿入部42との間となる凹状空間425内に羽根部材30の後半部分32が格納された状態となる。これに伴い、挿入部42の先端の爪部424が羽根部材30の後半部分32の後端部に前側から引っ掛かりを生じた状態となる。
【0040】
さらに、必要に応じて、締結部材43を本体部41の後方からネジ孔415に螺入する。これにより、締結部材43が凹状空間425内の羽根部材30の後半部分32の前端部に下から当接して、補強部材40の上方への移動が規制される。この規制により、補強部材40の面格子100からの抜脱が防止される。
【0041】
さらに、図6(D)に示すように、必要に応じて、補強部材40を上に重ねて並ぶように順次装着する。新たな補強部材40を上に追加する場合には、下側の補強部材40の凸部413に上側の補強部材40の凹部414が嵌合するように位置合わせをしながら装着を行う。
【0042】
なお、補強部材40は、天候の回復等により、面格子100の補強が不要となった場合には、締結部材43を前面から突出しない位置まで後退させることで、面格子100からの取り外しが可能となる。これにより、面格子100の各羽根部材30を回動させて日射や通風を調整可能な状態に復帰させることができる。
【0043】
[第一の実施形態の技術的効果]
以上のように、補強装置4を構成する補強部材40は、本体部41の前面に複数の羽根部材30の隙間に挿入される複数の挿入部42が上下に並列に設けられ、面格子100に対して着脱可能となっている。
このように羽根部材30同士の隙間に挿入部42が挿入されることで、隙間の幅の変動が抑制され、各羽根部材30の回動が行われないように固定される。
これに対して、面格子100に対して強風による飛来物が衝突すると、飛来物は、各羽根部材30の隙間を拡大するように各羽部材を変形させながら後方へ進入して開口部装置1000を破損するおそれがある。しかしながら、補強部材40が羽根部材30の回動及び変形を抑制し、隙間の拡大を抑止する。このため、飛来物が各羽根部材30の隙間に進入することを抑制して開口部装置1000を保護することが可能となる。
このように、面格子100は、日射や通風を調整しつつも、補強装置4により開口部装置1000に対する保護機能の向上を図ることができる。
【0044】
さらに、補強部材40は、複数の羽根部材30を押さえる複数の挿入部42を有している。
このため、面格子100の複数の羽根部材30が連動する構成の場合、飛来物がいずれかの羽根部材30に衝撃を加えた場合でも、複数の羽根部材30を通じて複数の挿入部42に分散して衝撃を受けることができる。従って、面格子100に補強部材40を装備することにより、飛来物によるより強力な衝撃に対して、より効果的に開口部装置1000を保護することが可能となる。
【0045】
また、補強部材40は、面格子100に対して着脱可能であるため、面格子100の補強が不要となった場合に取り外して、面格子100の日射や通風の調整機能を容易に復帰させることができる。
このため、補強部材40は、面格子100の機能を損なうことなく必要時のみに補強することが可能である。
また、既存の面格子に対して、各羽根部材の間隔や隙間の大きさに対応する挿入部を有する補強部材40を後付けで取り付けて補強を行うことも可能である。
【0046】
また、補強部材40は、挿入部42が面格子100の後面側から羽根部材30同士の隙間に挿入する構造のため、開口部装置1000の室外側障子1200又は室内側障子1300を開くことで、建造物の室内側から補強部材40の取り付け作業を行うことができ、作業負担の低減を図ることが可能となる。
さらに、面格子100が建造物の高所に取り付けられている場合でも、足場の建造作業を不要とし、作業負担の低減を図ることが可能となる。
また、規制部としての締結部材43を本体部41の後面側から装着可能であることも、同様に、作業負担の低減に貢献する。
【0047】
さらに、補強部材40は、各挿入部42が羽根部材30の隙間から抜ける方向の移動を規制する規制部としての締結部材43を有している。
このため、装着後の補強部材40が強風や飛来物の衝突時の衝撃等により面格子100から脱落することが抑制され、より安定的に面格子100による開口部装置1000の保護を行うことが可能となる。
【0048】
さらに、補強装置4を複数の補強部材40で構成した場合、飛来物による衝撃をより多くの挿入部42に分散することができ、飛来物によるさらなる強力な衝撃に対して、より効果的に開口部装置1000を保護することが可能となる。
また、補強部材40を複数使用することで、一つの補強部材40が保有する挿入部42の個数を低減することができる。その結果、補強部材40の上下方向の長さを短くすることができ、補強部材40の一つ当たりの剛性を高めて強度を向上することができる。従って、このような観点からも、飛来物によるさらなる強力な衝撃に対して、より効果的に開口部装置1000を保護することが可能となる。
【0049】
また、補強部材40は、二つ以上の補強部材40を上下に直列に並べたときに本体部41の対向する互いの端部に嵌合構造となる凹部414と凸部413とを有している。
このため、上下に並んだ複数の補強部材40の各々が左右にズレを生じることを抑制して各補強部材40の配置を適正に維持することができ、飛来物による衝撃に対して、安定して開口部装置1000を保護することが可能となる。
また、面格子100に対して、上下に複数の補強部材40を並べて装着する際に、各補強部材40の左右方向の位置合わせを容易とし、装着作業を容易且つ円滑に行うことが可能となる。
【0050】
なお、面格子100に対して複数の補強部材40を上下に直列に並べた配置を例示したが、これに限定されない。例えば、複数の補強部材40を千鳥配置としたり、面格子100の後面全体に均一に分布するように配置したり、面格子100の中央部の密度が高くなるように配置してもよい。
【0051】
なお、図7に示す他の例のように、補強部材40は、規制部としての締結部材43を省略することが可能である。
この場合、図7の例のように、挿入部42の下側において、羽根部材30の後半部分32が入り込む上下方向の深さYよりも、凹状空間425内に格納状態となった羽根部材30の後半部分32と挿入部42(基部421)の上面との間に生じる隙間の上下幅Xが小さくなるように、挿入部42を構成する。これにより、飛来物が羽根部材30に衝撃を加えた場合でも、凹状空間425内に格納状態となった羽根部材30の後半部分32に下側に位置する挿入部42が当接して、補強部材40の上方への移動が制限され、抜脱を規制することができる。
【0052】
なお、この構成を採用する場合には、前述した図6(B)の状態よりも羽根部材30同士の隙間が拡大する方向に回動させた状態で各補強部材40の取り付けを行い、全ての補強部材40の取り付けが行われてから、各羽根部材30を前下向き姿勢側に回動させることが好ましい。
【0053】
また、全ての挿入部42について、深さY>上下幅Xとなるように構成することが好ましいが、図7に示したように、一部の挿入部42のみが深さY>上下幅Xとなるように構成されていてもよい。
【0054】
[第二の実施形態]
本発明に係る補強装置を備えた日よけルーバとしての面格子の第二の実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態では、前述した補強装置4と異なる補強装置4Aを使用しており、面格子100のその他の構成については第一の実施形態と同じである。各部の変更のない構成については第一の実施形態と同じ符号を付して、重複する説明は省略する。
【0055】
図8は補強装置4Aの斜視図、図9は補強装置4Aを装備した状態の面格子100及び開口部装置1000の前後方向及び上下方向に沿った断面を示す縦断面図、図10は補強装置4Aを装備した面格子100を屋内側から見た正面図である。
図10では、面格子100に対して二つの補強装置4Aを取り付けた例を示しているが、補強装置4Aの数は増減可能である。
【0056】
補強装置4Aは、複数の補強部材40と、各補強部材40を補強する支持部材50と、支持部材50を面格子100に取り付ける連結具60とを備える。
【0057】
支持部材50は、各補強部材40に対して挿入部42とは逆側から本体部41に連結される。支持部材50は、アルミニウム合金の押出形材やスチール材からなり、開断面形状の上下に長い構造材である。支持部材50の上下方向の長さは、図9及び図10に示すように、面格子100の枠体20の全高に略等しい。
支持部材50は、いずれも上下方向に長尺な平板からなる前面部51と左側面部52と後面部53とが一体化しており、右側が全長に渡って開放されている。
前面部51と後面部53の左右幅は、いずれも補強部材40の左右幅と略等しいが、補強部材40よりも広くしてもよい。前面部51には、複数の補強部材40が連結状態で直列に並んで取り付けられている。
【0058】
なお、支持部材50は、左側が開放されてもよい。また、前後左右の四面が全て閉塞された断面四角形で内部中空の構造材で支持部材50を構成してもよい。但し、その場合でも、後述する連結具60の組付け性を確保するために、支持部材50の上端部及び下端部については、左右いずれかの側面を切り欠いて開放することが好ましい。
【0059】
補強部材40は、第一の実施形態の補強部材40と同一の構成である。但し、締結部材43は、面格子100に対する抜脱防止を行う規制部としてではなく、補強部材40を支持部材50に固定するために使用される。
支持部材50の前面部51には、補強部材40の本体部41の後面から突出した締結部材43の先端部が螺入されるネジ孔が上下に並んで複数箇所に形成されている。
第一の実施形態とは異なる構成として、補強部材40の本体部41に形成されるネジ孔415に替えて、締結部材43の挿通孔(ネジ溝無し)が形成される。
【0060】
また、補強部材40は、面格子100の全ての羽根部材30によって生じる全ての隙間に挿入部42を挿入できる個数で隙間なく直列に配置して支持部材50に取り付けることが好ましい。但し、このような補強部材40の個数や配置は必須ではなく、補強部材40の個数を減らすと共に間隔をあけて支持部材50に設けてもよい。
【0061】
図11図10のV-V線に沿った面格子100及び補強装置4Aの断面図、図12図10のW-Wに沿った面格子100及び補強装置4Aの断面図である。
連結具60は、支持部材50の上端部と下端部とに設けられており、支持部材50の上端部と下端部とをそれぞれ面格子100の枠体20の上枠21及び下枠22に着脱可能に固定することができる。
【0062】
連結具60は、図11及び図12に示すように、枠体20の上枠21及び下枠22のそれぞれの後面部211,221において左右方向の全長に渡って形成されたスロット状の開口部212,222を利用して支持部材50の取り付けを行う。
【0063】
連結具60は、取り付けネジ61と、座金62とを有する。
取り付けネジ61は、雄ネジが形成された軸部611と円形の頭部612とを有する。
軸部611は、最大外径が開口部212,222の上下方向の開口幅よりわずかに小さい。頭部612は、円柱状であって、外周には滑り止めの凹凸が形成されており、取り付けネジ61を手回しで締結することができる。
取り付けネジ61は、支持部材50を枠体20に取り付ける際に、支持部材50の前面部51の上端部と下端部とに形成されたネジ挿通孔511に対して後から挿入される。取り付けネジ61は、座金62と協働して、支持部材50の前面部51と上枠21又は下枠22の後面部211,221とを挟持することで、支持部材50を上枠21及び下枠22に固定する。
なお、取り付けネジ61は、ボルト等の工具で締結する締結部材を使用してもよい。また、図11における符号512は、工具を通すための作業孔である。
【0064】
図13(A)は座金62の背面図、図13(B)は底面図、図13(C)は右側面図である。
座金62は、座板621と、座板621の左右両側から後方に向かって立ち上げられた側板部622と、座板621からそれぞれの側板部622に延びる左右の腕部623とを有する。座板621と左右の側板部622と左右の腕部623とは、一枚の金属板から折曲によって形成されている。
【0065】
座板621は、上下左右方向に平行な背面視矩形の平板である。座板621の左右方向の幅は、支持部材50の前面部51及び後面部53の左右方向の幅より広い。
また、座板621の上下方向の幅は、開口部212,222の上下方向の開口幅より大きく、上枠21及び下枠22の上下方向の幅より小さい。
座板621の中央部には、前後に貫通したネジ孔624が形成されている。このネジ孔624には、支持部材50の取り付けの際に取り付けネジ61の軸部611が螺入される。
また、座板621の四隅の角部には、後方に向かってわずかに突出した爪625が形成されている。
座板621は、上枠21、下枠22の内側に配置され、支持部材50の取り付けの際に上枠21、下枠22の後面部211,221の前面に各爪625が噛むように圧接する。
【0066】
左右の側板部622は、いずれも前後上下方向に平行な側面視略矩形の平板である。各側板部622の上下方向の幅は、座板621と等しく、開口部212,222の上下方向の開口幅より大きい。
左の腕部623は、座板621の左端部から後方に向かって立ち上げられ、左の側板部622の前端部に連接されている。
右の腕部623は、座板621の右端部から後方に向かって立ち上げられ、右の側板部622の前端部に連接されている。
左右の腕部623は、いずれも上下方向の幅が、開口部212,222の上下方向の開口幅よりわずかに小さい。
つまり、腕部623は、座板621と側板部622との間でくびれを形成している。
【0067】
連結具60による支持部材50の上端部の上枠21に対する取り付け作業と、連結具60による支持部材50の下端部の下枠22に対する取り付ける作業とについて説明する。
まず、図12に示すように、座金62の座板621が上枠21の内側、左右の側板部622が上枠21の外側となるように、くびれとなる左右の腕部623を開口部212に通して、座金62を上枠21に取り付ける。
下枠22に対しても、同様に、座金62を取り付ける。
このとき、上下の座金62は、いずれも、開口部212,222に沿って移動可能なので、これらを補強装置4Aの取り付けの目的位置に移動させる。
【0068】
一方、支持部材50の前面部51の上端部と下端部とに形成されたそれぞれのネジ挿通孔511に対して後から取り付けネジ61の軸部611を挿入する。
なお、この時、支持部材50に装着された各補強部材40の挿入部42を前述した図6(C)と同じ要領で、面格子100の各羽根部材30の隙間に挿入する。
【0069】
そして、上下の座金62の左右の側板部622の間に支持部材50の前面部51が入るように、支持部材50を配置する。さらに、開口部212,222を通じて、上下の取り付けネジ61の軸部611を座板621のネジ孔624に螺入し、頭部612を回して取り付けネジ61を締結する。
【0070】
これにより、座金62の座板621と取り付けネジ61の頭部612との間に上枠21の後面部211と支持部材50の前面部51とが挟持され、支持部材50の上端部が固定される。
同様に、座金62の座板621と取り付けネジ61の頭部612との間に下枠22の後面部221と支持部材50の前面部51とが挟持され、支持部材50の下端部が固定される。
【0071】
なお、図10に示すように、枠体20の上枠21及び下枠22の開口部212,222の両端は、左右の縦枠23,23に塞がれている。従って、座金62は、枠体20の上枠21、下枠22、縦枠23,23の組付けの際に、予め、開口部212,222に嵌め込んでおいてもよい。
また、上枠21、下枠22、縦枠23,23が既に組付けられた状態の枠体20の開口部212,222に対して座金62の嵌め込み作業が容易となるように、左右いずれか一方の縦枠23の後面部の上端部及び下端部(図10の符号Cの箇所)の一部を切り欠いておいてもよい。
【0072】
以上のように、補強装置4Aは、補強部材40の本体部41に対して挿入部42の逆側(後側)から連結され、補強部材40を補強する支持部材50を備えている。このため、複数の挿入部42の各々から本体部41に荷重が加わる場合でも、本体部41を支持部材50が補強して変形や破損を抑制することができる。従って、面格子100が補強装置4Aを備えることで、各羽根部材30の隙間に対する飛来物の進入をより効果的に抑制し、開口部装置1000を保護することが可能となる。
【0073】
さらに、補強装置4Aは、複数の補強部材40を直列に並べた状態での本体部41に対して挿入部42の逆側から支持部材50が支持する構成であるため、複数の補強部材40が強固に直列状態を維持して支持部材50に支承される。従って、面格子100が補強装置4Aを備えることで、各羽根部材30の隙間に対する飛来物の進入をさらに効果的に抑制し、開口部装置1000を効果的に保護することが可能となる。
また、複数の補強部材40のそれぞれの挿入部42がより多くの羽根部材30を支えるので、これらを通じてより多くの挿入部42に分散して衝撃を受けることができるため、飛来物によるより強力な衝撃に対して、より効果的に開口部装置1000を保護することが可能となる。
【0074】
また、補強装置4Aは、支持部材50を面格子100に対して着脱可能とする連結具60を有する。
このため、補強装置4Aを面格子100に固定することができ、飛来物が各羽根部材30の隙間に進入することをより効果的に抑制し、開口部装置1000をより強力に保護することが可能となる。
【0075】
また、連結具60により補強装置4Aを面格子100に対して着脱可能とするので、面格子100の補強が不要となった場合に取り外して、面格子100の日射や通風の調整機能を容易に復帰させることができる。
また、既存の面格子に対して、補強装置4Aを後付けで取り付けて補強を行うことも可能である。
【0076】
また、補強装置4Aも、連結具60が支持部材50を面格子100に対して後面側から取り付ける構造のため、取り付けの作業負担の低減を図ることが可能となる。面格子100が高所にある場合に特に有効である。
【0077】
[補強部材の他の例]
前述した補強部材40は、面格子100の後面側から装着するのに適した構造だったが、これに限定されない。
図14(A)~図14(G)は面格子100の前面側から装着する補強部材40Bの取り付け作業の工程を順番に示した縦断面図である。
【0078】
図示のように、補強部材40Bは、上下に並んだ二つの羽根部材30の隙間に前側から挿入される挿入部42Bと羽根部材30の前半部分31(図1参照)を挿入可能とする被挿入部44Bとを一体的に備える拘束部材45Bと、複数の拘束部材45Bを上下に直列に並べて保持する本体部41Bと、拘束部材45Bを本体部41Bに固定する締結部材43Bとを備える。
【0079】
拘束部材45Bは、一枚の帯状の金属板からプレス加工等の折曲によって形成されている。また、拘束部材45Bは、例えば、前述した補強部材40と同程度の左右方向の幅を有する。
さらに、拘束部材45Bは、左右方向の全幅に渡って、図14(B)~図14(G)に示す側面視形状となっている。
【0080】
この拘束部材45Bは、前側に被挿入部44B、後側に挿入部42Bを有し、これらを一体化させた一部材で構成されている。
挿入部42Bは、側面視略コ字状であって、開口部を下方に向けている。
被挿入部44Bは、側面視略コ字状であって、開口部を上方に向けている。さらに、被挿入部44Bは、上方を向いた前面部の上端から後方に延出された鉤状部441Bを有する。
【0081】
本体部41Bは、上下左右方向に平行な平板であって、左右の両側縁部に後方に向かって立ち上げられた側壁状のフランジを全長に渡って有する。本体部41Bは、アルミニウム合金の押出形材からなる。本体部41Bの左右方向の幅は、拘束部材45Bよりも若干広く設定されており、左右のフランジの間に拘束部材45Bを配置することができる。
【0082】
本体部41Bは、上下方向の長さが、支持する拘束部材45Bの個体数に羽根部材30の上下の間隔を乗じた長さに略等しいかそれよりも幾分長い。
本体部41Bには、羽根部材30の上下の間隔と等しい間隔で上下に並んで締結部材43Bの複数の挿通孔が前後に貫通形成されている。挿通孔は、支持する拘束部材45Bの個体数と等しい数が形成されている。
【0083】
本体部41Bの各挿通孔は、締結部材43Bの軸部の最大外径よりも若干大きな径で形成されている。
締結部材43Bは、本体部41Bの挿通孔に前方から挿入され、拘束部材45Bの被挿入部44Bの前面部に貫通形成されたネジ孔に螺入して締結することで、本体部41Bに対して拘束部材45Bを固定する。締結部材43Bの締結状態では、本体部41Bに対して、拘束部材45Bは、後方に延出された姿勢で固定される。
一方、本体部41Bの挿通孔が締結部材43Bの軸部の最大外径よりも若干大きいことにより、締結部材43Bの締結状態を緩めると、図14(C)に示した状態となる。即ち、本体部41Bに対して拘束部材45Bが自重によって後端部が下方に垂れ下がった傾斜状態とすることができる。
【0084】
次に、図14(A)~図14(G)により、面格子100の前面側から補強部材40Bを装着する取り付け作業の工程を順番に説明する。
図14(A)に示すように、例えば、面格子100の各羽根部材30の向きが補強部材40Bの装着に適した状態にない状態から、図14(B)に示すように、各羽根部材30を前斜め下向きに回動させて隙間ができる状態に調整する。
その状態で、図14(C)に示すように、補強部材40Bの各拘束部材45Bの被挿入部44Bに各羽根部材30の前半部分31を挿入する。
【0085】
次に、図14(D)に示すように、各羽根部材30の前半部分31が前下向き姿勢(閉じた状態)に近くなるように回動させると共に、図14(E)に示すように、補強部材40Bの各拘束部材45Bの挿入部42Bをより後方に押し込む。
【0086】
次に、図14(F)に示すように、補強部材40B全体を下方にスライドさせることにより、各挿入部42Bの内側に羽根部材30の後半部分32(図1参照)を挿入させる。
そして、図14(G)に示すように、各締結部材43Bを締結して、各拘束部材45Bを本体部41Bの後面に固定する。
拘束部材45Bは、固定された状態で、羽根部材30の後半部分32が挿入部42B内に下から挿入された状態となるので、補強部材40B全体の下方への移動が規制される。
さらに、締結部材43Bを締結すると、被挿入部44B内で締結部材43Bの先端部が突出し、羽根部材30の前半部分31に下から当接し、補強部材40B全体の上方への移動も規制される。これにより、締結部材43Bは規制部として機能する。
これらにより、補強部材40Bは、上下いずれにも移動しない状態に規制され、面格子100の前面側に固定された状態となる。
【0087】
以上のように、補強部材40Bは、本体部41Bの後面に複数の羽根部材30の隙間に挿入される複数の挿入部42Bが上下に並列に設けられ、面格子100に対して着脱可能となっている。
このため、補強部材40Bは、面格子100に取り付けることにより、羽根部材30の回動を抑制し、飛来物から開口部装置1000を保護することが可能となる。
また、補強部材40Bは、複数の挿入部42Bを有するので、複数の羽根部材30を通じて複数の挿入部42Bに分散して衝撃を受けることができ飛来物によるより強力な衝撃に対して、より効果的に開口部装置1000を保護することが可能となる。
また、補強部材40Bも、面格子100に対して着脱可能であるため、面格子100の機能を損なうことなく必要時のみに補強することが可能である。
また、補強部材40Bは、各挿入部42Bが面格子100の前面側から各羽根部材30の隙間に挿入する構造のため、建造物の内側から取り付け作業が行えない場合や窓を開けることができない場合に、開口部装置1000と面格子100の狭い隙間で作業を行う必要がなく、作業負担の低減を図ることが可能となる。
【0088】
[その他]
以上、本発明の各実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られるものではない。例えば、実施形態において、単一の部材により一体的に形成された構成要素は、複数の部材に分割されて互いに連結又は固着された構成要素に置換してもよい。また、複数の部材が連結されて構成された構成要素は、単一の部材により一体的に形成された構成要素に置換してもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0089】
また、日よけルーバが面格子に適用されたものを例示したが、これに限定されない。例えば、日よけルーバは、雨戸にも適用可能であり、その場合には、雨戸に補強装置4,4Aや補強部材40,40Bを取り付けてもよい。
また、補強装置4,4Aを取り付ける日よけルーバは、羽根部材が回動しない固定式のものであってもよい。羽根部材が固定式の日よけルーバの場合でも、飛来物の衝突による衝撃を効果的に緩和し、隙間からの飛来物の進入を効果的に抑制することができる。
【0090】
また、前述した補強部材40,40Bの左右方向の幅は、図示例に限定されるものではなく、より幅を広くしてもよい。但し、補強部材40,40Bは、左右方向の幅が広い方が強度が高く、開口部装置1000を保護する能力も高くなる。その一方で、補強部材40,40Bは、左右の幅が狭い方が各挿入部42,42Bを各羽根部材30の隙間に挿入し易く、取付けが容易となる。従って、これらのバランスを考慮した幅とすることが好ましい。
【0091】
また、補強装置4,4Aは、いずれも複数の補強部材40を備える構成を例示したが、補強部材40を一つのみで構成することも可能である。
また、補強部材40,40Bの複数の挿入部42,42Bは、いずれも、羽根部材30の間隔と等しい間隔で設ける例を示したが、これに限定されない。例えば、挿入部42,42Bは、本体部41,41Bに対して、羽根部材30の間隔の整数倍の間隔で設けてもよい。
【0092】
また、規制部として締結部材43,43Bを例示したが、規制部は、これに限定されず、例えば、挿通孔内を進退移動するピンでもよい。その場合、ピンは、突出して補強部材40,40Bが脱落しないようにする位置で回転操作を行うことで、進退移動が阻害される構造を有するロックピンを使用してもよい。
【0093】
また、補強装置として、複数の補強部材40Bと、各補強部材40Bを複数直列に並べて前面側から支持する支持部材とを備える構成としてもよい。さらに、支持部材を面格子に着脱可能とする連結具を備える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0094】
4,4A 補強装置
30 羽根部材
31 前半部分
32 後半部分
40,40B 補強部材
41,41B 本体部
411 上端面
412 下端面
413 凸部
414 凹部
42,42B 挿入部
43,43B 締結部材(規制部)
50 支持部材
60 連結具
61 ネジ
62 座金
100 面格子(日よけルーバ)
1000 開口部装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14