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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089778
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20240627BHJP
A23L 2/68 20060101ALI20240627BHJP
C12G 3/06 20060101ALI20240627BHJP
A23L 2/56 20060101ALI20240627BHJP
【ＦＩ】
A23L2/00 B
A23L2/68
C12G3/06
A23L2/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2022205186
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100158698
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 基樹
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 悠
(72)【発明者】
【氏名】神谷 隆史
(72)【発明者】
【氏名】高山 真季
【テーマコード（参考）】
4B115
4B117
【Ｆターム（参考）】
4B115MA03
4B117LC03
4B117LC14
4B117LG01
4B117LG02
4B117LK04
4B117LK06
4B117LK08
4B117LK12
4B117LK13
4B117LL01
4B117LL09
(57)【要約】
【課題】清涼感が付与または増強された飲料を提供する。
【解決手段】フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有する飲料とすることにより、前記課題を解決する。
【選択図】なし
【解決手段】フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有する飲料とすることにより、前記課題を解決する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有する、飲料。
【請求項2】
前記フェンコンの含有量が７０μｇ／Ｌ以上１２００μｇ／Ｌ以下である、請求項１に記載の飲料。
【請求項3】
さらに、ヘキシルアセテートを５μｇ／Ｌ以上および／またはゲラニルブチレートを５μｇ／Ｌ以上含有する、請求項１または２に記載の飲料。
【請求項4】
果実様飲料である、請求項１または２に記載の飲料。
【請求項5】
柑橘果実様飲料である、請求項４に記載の飲料。
【請求項6】
酸度が０．１ｇ／１００ｍｌ以上である、請求項１または２に記載の飲料。
【請求項7】
アルコール飲料である、請求項１または２に記載の飲料。
【請求項8】
フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有させる工程を備える、飲料の製造方法。
【請求項9】
飲料のフェンコン含有量を１０μｇ／Ｌ以上とすることを特徴とする、飲料における清涼感の付与または増強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料、その製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコール飲料やノンアルコール飲料においては、飲用した際に爽やかな香味が感じられて好ましいことなどから、清涼感を有するものが求められる場合がある。特に、発泡性アルコール飲料などにおいてこのようなものが求められることが多い。
【0003】
例えば特許文献１には、ホップを含む穀類発酵液（Ａ）、糖類、果汁、酸味料および香料を少なくとも含有する香味成分（Ｂ）、起泡剤または起泡剤と泡保持剤（Ｃ）、および炭酸ガス（Ｄ）を含有し、かつ穀類含有率が０．１～１０重量％である、酸味や甘味のバランスを崩さず清涼感を有する、発泡性および泡保持性を有する炭酸ガス含有アルコール飲料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開２００１－１０３９５４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、消費者の嗜好などに対応するため、この飲料の清涼感についてはさらなる改善の余地がある。このような状況において、当業界では、飲料に清涼感を付与または増強できる新たな技術の開発が引き続き求められている。
【0006】
そこで本発明は、清涼感が付与または増強された飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討し、香気成分であるフェンコンが飲料の清涼感に影響を与えることを明らかにした。この知見から、フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有する飲料とすることにより、清涼感が付与または増強されたものとなることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は次の＜１＞～＜９＞である。
＜１＞フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有する、飲料。
＜２＞前記フェンコンの含有量が７０μｇ／Ｌ以上１２００μｇ／Ｌ以下である、＜１＞に記載の飲料。
＜３＞さらに、ヘキシルアセテートを５μｇ／Ｌ以上および／またはゲラニルブチレートを５μｇ／Ｌ以上含有する、＜１＞または＜２＞に記載の飲料。
＜４＞果実様飲料である、＜１＞～＜３＞のいずれか１つに記載の飲料。
＜５＞柑橘果実様飲料である、＜４＞に記載の飲料。
＜６＞酸度が０．１ｇ／１００ｍｌ以上である、＜１＞～＜５＞のいずれか１つに記載の飲料。
＜７＞アルコール飲料である、＜１＞～＜６＞のいずれか１つに記載の飲料。
＜８＞フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有させる工程を備える、飲料の製造方法。
＜９＞飲料のフェンコン含有量を１０μｇ／Ｌ以上とすることを特徴とする、飲料における清涼感の付与または増強方法。
＜１＞フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有する、飲料。
＜２＞前記フェンコンの含有量が７０μｇ／Ｌ以上１２００μｇ／Ｌ以下である、＜１＞に記載の飲料。
＜３＞さらに、ヘキシルアセテートを５μｇ／Ｌ以上および／またはゲラニルブチレートを５μｇ／Ｌ以上含有する、＜１＞または＜２＞に記載の飲料。
＜４＞果実様飲料である、＜１＞～＜３＞のいずれか１つに記載の飲料。
＜５＞柑橘果実様飲料である、＜４＞に記載の飲料。
＜６＞酸度が０．１ｇ／１００ｍｌ以上である、＜１＞～＜５＞のいずれか１つに記載の飲料。
＜７＞アルコール飲料である、＜１＞～＜６＞のいずれか１つに記載の飲料。
＜８＞フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有させる工程を備える、飲料の製造方法。
＜９＞飲料のフェンコン含有量を１０μｇ／Ｌ以上とすることを特徴とする、飲料における清涼感の付与または増強方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、清涼感が付与または増強された飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明について詳細に説明する。
本発明は、フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有する飲料（以下においては「本発明に係る飲料」という場合もある）、ならびに、フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有させる工程を備える飲料の製造方法（以下においては「本発明に係る飲料の製造方法」という場合もある）である。
本発明は、フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有する飲料（以下においては「本発明に係る飲料」という場合もある）、ならびに、フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有させる工程を備える飲料の製造方法（以下においては「本発明に係る飲料の製造方法」という場合もある）である。
【0011】
以下、本発明に係る飲料を構成する成分等について詳細に説明する。
【0012】
本発明に係る飲料は、フェンコン（Ｆｅｎｃｈｏｎｅ：Ｃ１０Ｈ１６Ｏ、ＣＡＳ Ｎｏ．１１９５－７９－５）を１０μｇ／Ｌ以上含有する。これにより、清涼感が付与または増強された飲料とすることができる。あわせて、青い香り（グリーン感）が付与または増強された飲料とすることもできる。なお、フェンコンには立体異性体が存在するが、本発明に係る飲料のフェンコン含有量は、全ての立体異性体を合計した合計含有量である。
【0013】
本発明に係る飲料のフェンコン含有量は上記したように１０μｇ／Ｌ以上であるが、本発明の効果がより発揮され易くなることから、この下限は３０μｇ／Ｌ以上であるのが好ましく、５０μｇ／Ｌ以上であるのがより好ましく、７０μｇ／Ｌ以上であるのがさらに好ましく、８０μｇ／Ｌ以上であるのがさらに好ましく、９０μｇ／Ｌ以上であるのがさらに好ましく、１００μｇ／Ｌ以上であるのがさらに好ましい。上限は、生薬臭（湿布臭）を感じ難くして香味のバランスを高度に保ち易いことなどから、１５００μｇ／Ｌ以下であるのが好ましく、１２００μｇ／Ｌ以下であるのがより好ましく、１０００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、７００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、５００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、４００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、３００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、２５０μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、２００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましい。例えば、このフェンコンの含有量は、７０μｇ／Ｌ以上１２００μｇ／Ｌ以下であると上記効果がより発揮され易いため好適である。なお、このフェンコンの含有量は、市販されているフェンコン（例えば純品や精製品など）やフェンコン含有原料（香料など）の使用により調整することができ、これらを複数併用してもよい。
【0014】
そして、本発明に係る飲料は、さらにヘキシルアセテート（Ｈｅｘｙｌ ａｃｅｔａｔｅ：Ｃ８Ｈ１６Ｏ２、ＣＡＳ Ｎｏ．１４２－９２－７）を５μｇ／Ｌ以上含有するとより好ましい。前述した清涼感を高度に維持しつつ飴のような甘い香りを付与することができるからである。また、本発明に係る飲料は、さらにゲラニルブチレート（Ｇｅｒａｎｙｌ ｂｕｔｙｒａｔｅ：Ｃ１４Ｈ２４Ｏ２、ＣＡＳ Ｎｏ．１０６－２９－６）を５μｇ／Ｌ以上含有してもより好ましい。前述した清涼感を高度に維持しつつバニラビーンズ様の芳醇な香りおよび柑橘果実（特にグレープフルーツ類果実）の本物感を付与することができるからである。さらには、本発明に係る飲料が後述する果実様飲料（特に柑橘果実様飲料）である場合、これらのうち少なくとも１つの構成を備えると上記効果がより発揮され易くなるため好適である。
また、本発明に係る飲料では、フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有し、且つヘキシルアセテートおよびゲラニルブチレートをいずれも所定量以上含有するとさらに好適である。特に本発明に係る飲料が果実様アルコール飲料（例えば柑橘果実様アルコール飲料）である場合において、前述した清涼感を高度に維持し、さらに上記効果に加えて、ヘキシルアセテートとゲラニルブチレートとの相乗効果によりジュース感を低減させてチューハイ感をより高めることなどができるからである。
また、本発明に係る飲料では、フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有し、且つヘキシルアセテートおよびゲラニルブチレートをいずれも所定量以上含有するとさらに好適である。特に本発明に係る飲料が果実様アルコール飲料（例えば柑橘果実様アルコール飲料）である場合において、前述した清涼感を高度に維持し、さらに上記効果に加えて、ヘキシルアセテートとゲラニルブチレートとの相乗効果によりジュース感を低減させてチューハイ感をより高めることなどができるからである。
【0015】
本発明に係る飲料においては、ヘキシルアセテートの含有量は上記したように５μｇ／Ｌ以上とするのが好ましいが、フェンコンとの相乗効果により清涼感をより増強あるいは高度に維持し易いことなどから、この下限は１０μｇ／Ｌ以上とするのがより好ましく、２０μｇ／Ｌ以上とするのがさらに好ましく、３０μｇ／Ｌ以上とするのがさらに好ましく、４０μｇ／Ｌ以上とするのがさらに好ましく、５０μｇ／Ｌ以上とするのがさらに好ましい。この上限は、香味全体のバランスを高度に保ち易いことなどから、５００μｇ／Ｌ以下であるのが好ましく、４００μｇ／Ｌ以下であるのがより好ましく、３００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、２５０μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、２００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、１５０μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、１００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、８０μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましい。例えば、このヘキシルアセテート含有量は、３０μｇ／Ｌ以上２００μｇ／Ｌ以下であるとより好適である。なお、このヘキシルアセテートの含有量は、市販されているヘキシルアセテート（例えば純品や精製品など）やヘキシルアセテート含有原料（香料など）の使用により調整することができ、これらを複数併用してもよい。
【0016】
また、本発明に係る飲料においては、ゲラニルブチレートの含有量も上記したように５μｇ／Ｌ以上とするのが好ましいが、フェンコンとの相乗効果により清涼感をより増強し易いことなどから、この下限は１０μｇ／Ｌ以上とするのがより好ましく、２０μｇ／Ｌ以上とするのがさらに好ましく、３０μｇ／Ｌ以上とするのがさらに好ましく、４０μｇ／Ｌ以上とするのがさらに好ましく、５０μｇ／Ｌ以上とするのがさらに好ましく、６０μｇ／Ｌ以上とするのがさらに好ましく、７０μｇ／Ｌ以上とするのがさらに好ましく、８０μｇ／Ｌ以上とするのがさらに好ましい。この上限は、香味全体のバランスを高度に保ち易く且つ苦味を感じ難くし易いことなどから、６００μｇ／Ｌ以下であるのが好ましく、５００μｇ／Ｌ以下であるのがより好ましく、４５０μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、４００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、３５０μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、３００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましい。例えば、このゲラニルブチレート含有量は、４０μｇ／Ｌ以上４００μｇ／Ｌ以下であるとより好適である。なお、このゲラニルブチレートの含有量も、市販されているゲラニルブチレート（例えば純品や精製品など）やゲラニルブチレート含有原料（香料など）の使用により調整することができ、これらを複数併用してもよい。
【0017】
ここで、本発明に係る飲料では、フェンコンとヘキシルアセテートとの相乗効果またはフェンコンとゲラニルブチレートとの相乗効果をより高め易いことから、上記したヘキシルアセテート含有量またはゲラニルブチレート含有量と、フェンコン含有量と、の比率を所定の範囲に調整するとより好適である。つまり、本発明に係る飲料においては、ヘキシルアセテートまたはゲラニルブチレートに対するフェンコンの質量比を所定の範囲に調整すると、その効果がより発揮され易い。
具体的には、ヘキシルアセテートに対するフェンコンの質量比（フェンコン（μｇ）／ヘキシルアセテート（μｇ））を０．５以上、さらには１．０以上とするのが好ましく、また上限は、５．０以下、さらには３．０以下とするのが好ましい。そして、ゲラニルブチレートに対するフェンコンの質量比（フェンコン（μｇ）／ゲラニルブチレート（μｇ））を０．３以上、さらには０．５以上、さらには１．０以上とするのが好ましく、また上限は、５．０以下、さらには３．０以下とするのが好ましい。さらに、これらをいずれも満たすのがより好ましい。
具体的には、ヘキシルアセテートに対するフェンコンの質量比（フェンコン（μｇ）／ヘキシルアセテート（μｇ））を０．５以上、さらには１．０以上とするのが好ましく、また上限は、５．０以下、さらには３．０以下とするのが好ましい。そして、ゲラニルブチレートに対するフェンコンの質量比（フェンコン（μｇ）／ゲラニルブチレート（μｇ））を０．３以上、さらには０．５以上、さらには１．０以上とするのが好ましく、また上限は、５．０以下、さらには３．０以下とするのが好ましい。さらに、これらをいずれも満たすのがより好ましい。
【0018】
なお、本発明に係る飲料におけるフェンコン含有量、ヘキシルアセテート含有量、およびゲラニルブチレート含有量はいずれも、例えば、ＳＰＭＥ（固相マイクロ抽出）法によるＧＣ－ＭＳ分析（ガスクロマトグラフィー質量分析）により測定することができる。
【0019】
本発明に係る飲料は、果実様飲料であるのが好ましい。つまり、果実様の香味を有する飲料であると好適である。清涼感とともに果実様の香味（例えば果実感、果実の本物感など）も好ましく感じ易くなるからである。特に、本発明に係る飲料は、柑橘果実様の香味を有する柑橘果実様飲料であるとより好適である。
例えば、果実由来成分（果汁、果皮（ピール）、これらのエキス等）や果実香料（果実様フレーバー）を含有する飲料が例示され、これらを併用したものであってもよい。特に、柑橘果汁を含む実施形態であると好ましい。
例えば、果実由来成分（果汁、果皮（ピール）、これらのエキス等）や果実香料（果実様フレーバー）を含有する飲料が例示され、これらを併用したものであってもよい。特に、柑橘果汁を含む実施形態であると好ましい。
【0020】
ここで、この「柑橘果実」とは、香酸柑橘類（レモン、ライム、ユズ、スダチ、カボス、ダイダイ、シークヮーサーなど）、グレープフルーツ類、ミカン類（温州みかん、マンダリンオレンジ、ポンカンなど）、オレンジ類（バレンシアオレンジ、ネーブルオレンジなど）、タンゴール類（イヨカン、タンカンなど）、タンゼロ類、ブンタン類、雑柑類（夏ミカン、ハッサク、デコポンなど）、またはキンカン類の果実である。本発明は、特にグレープフルーツ類の果実様飲料において好適な効果を発揮する。
【0021】
また、本発明に係る飲料に果汁を使用する場合には、透明果汁または混濁果汁のいずれを使用してもよく、これらを併用してもよい。
ここで、混濁果汁とは、果実の搾汁に清澄処理（固形成分を除去する処理：詳細には、酵素処理を施してペクチンなどの食物繊維を低分子化した後に濾過や遠心分離によって除去する処理）を施して得られる透明果汁と異なり、皮などの固形成分を含有している果汁、あるいはその濃縮液、濃縮還元液、または希釈液であって、ペクチンなどの食物繊維がコロイド状をなして混濁しているものである。
ここで、混濁果汁とは、果実の搾汁に清澄処理（固形成分を除去する処理：詳細には、酵素処理を施してペクチンなどの食物繊維を低分子化した後に濾過や遠心分離によって除去する処理）を施して得られる透明果汁と異なり、皮などの固形成分を含有している果汁、あるいはその濃縮液、濃縮還元液、または希釈液であって、ペクチンなどの食物繊維がコロイド状をなして混濁しているものである。
【0022】
本発明に係る飲料に果汁を使用する場合、果汁の使用率は、ストレート果汁に換算した果汁使用率として１０ｗ／ｗ％以下、さらには８ｗ／ｗ％以下、さらには７ｗ／ｗ％以下、さらには６ｗ／ｗ％以下、さらには５ｗ／ｗ％以下、さらには４ｗ／ｗ％以下、さらには３ｗ／ｗ％以下であってもよい。下限は、例えば０．５ｗ／ｗ％以上、さらには１ｗ／ｗ％以上が示される。ここで、ストレート果汁に換算した果汁使用率とは、飲料の総質量に対する、この飲料中に含まれる果汁をＪＡＳ（日本農林規格）に準じてストレート果汁に換算した質量の割合である。
しかしながら、本発明に係る飲料では、ストレート果汁に換算した果汁使用率が０．５ｗ／ｗ％未満、あるいは果汁を実質的に含まない無果汁飲料としても、上記した効果が得られることが特徴である。
しかしながら、本発明に係る飲料では、ストレート果汁に換算した果汁使用率が０．５ｗ／ｗ％未満、あるいは果汁を実質的に含まない無果汁飲料としても、上記した効果が得られることが特徴である。
【0023】
さらに、本発明に係る飲料は、酸度が０．１ｇ／１００ｍｌ以上の飲料であるとより好ましい。清涼感を高度に維持しつつ飲み応えなどをより高めることができるからである。また、酸度が一定以上でありながら適度に酸味が軽減されたものとし易い。この「酸度」とは、クエン酸換算の酸度（クエン酸相当量として換算した酸度の値）であり、果実飲料の日本農林規格（平成２８年２月２４日農林水産省告示第４８９号）に定められた方法で求められる値である。具体的には、飲料を水酸化ナトリウム溶液（０．１ｍｏｌ／Ｌ）で中和滴定し、中和滴定において必要となった水酸化ナトリウム溶液の「滴定量（ｍｌ）」、滴定に使用した飲料の「体積（ｍｌ）」、「０．００６４」（０．１ｍｏｌ／Ｌ水酸化ナトリウム水溶液１ｍＬに相当するクエン酸の重量（ｇ））という定数などを用いて算出すればよい。
【0024】
本発明に係る飲料の酸度の下限は、飲み応えなどがより好ましくなり易いことから、０．２ｇ／１００ｍｌ以上であるのがより好ましく、０．３ｇ／１００ｍｌ以上であるのがさらに好ましく、０．４ｇ／１００ｍｌ以上であるのがさらに好ましく、０．５ｇ／１００ｍｌ以上であるのがさらに好ましい。また、上限は、本発明の効果がより発揮され易くなることなどから、１．５ｇ／１００ｍｌ以下であるのがより好ましく、１．０ｇ／１００ｍｌ以下であるのがさらに好ましく、０．９ｇ／１００ｍｌ以下であるのがさらに好ましく、０．８ｇ／１００ｍｌ以下であるのがさらに好ましく、０．７ｇ／１００ｍｌ以下であるのがさらに好ましく、０．６ｇ／１００ｍｌ以下であるのがさらに好ましい。なお、本発明に係る飲料の酸度は、果汁や、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、グルコン酸、酒石酸、酢酸、リン酸、またはこれらの塩を含む酸味料、食品原料などを含有させて調整することができる。
【0025】
そして、本発明に係る飲料は、本発明の効果がより発揮され易くなることなどから、アルコール飲料であるのがより好ましく、発泡性アルコール飲料であるのがさらに好ましい。なお、アルコール飲料の場合は、酵母によるアルコール発酵工程（酵母が糖類などの有機物から代謝産物であるアルコールを生成する工程）を経て製造された発酵アルコール飲料、あるいはアルコール発酵工程を行うことなく製造された非発酵アルコール飲料（例えば蒸留酒等の酒類を原料として用いて調合により製造されたアルコール飲料など）のいずれであってもよい。
ここで、本発明において「アルコール飲料」とは、酒税法（令和元年法律第六十三号）において定義される酒類（例えば、酒税法により定義されるリキュール、スピリッツ、果実酒、甘味果実酒、その他の発泡性酒類等）などの、アルコール度数が１ｖ／ｖ％以上である飲料を意味する。なお、この「アルコール度数（ｖ／ｖ％）」は、国税庁所定分析法（訓令）３清酒３－４アルコール分（振動式密度計法またはガスクロマトグラフ分析法）に基づいて測定される値である（以下においても同様である）。また、本発明において「アルコール」とは、エタノールを意味する。
ここで、本発明において「アルコール飲料」とは、酒税法（令和元年法律第六十三号）において定義される酒類（例えば、酒税法により定義されるリキュール、スピリッツ、果実酒、甘味果実酒、その他の発泡性酒類等）などの、アルコール度数が１ｖ／ｖ％以上である飲料を意味する。なお、この「アルコール度数（ｖ／ｖ％）」は、国税庁所定分析法（訓令）３清酒３－４アルコール分（振動式密度計法またはガスクロマトグラフ分析法）に基づいて測定される値である（以下においても同様である）。また、本発明において「アルコール」とは、エタノールを意味する。
【0026】
本発明に係る飲料がアルコール飲料である場合、そのアルコール度数は１ｖ／ｖ％以上であるが、２ｖ／ｖ％以上であるのがより好ましく、３ｖ／ｖ％以上であるのがさらに好ましく、４ｖ／ｖ％以上であるのがさらに好ましい。上限としては、２５ｖ／ｖ％以下、さらには２０ｖ／ｖ％以下、さらには１５ｖ／ｖ％以下、さらには１０ｖ／ｖ％以下、さらには９ｖ／ｖ％以下、さらには８ｖ／ｖ％未満、さらには７ｖ／ｖ％以下の範囲が示される。例えば、本発明に係る飲料は、栓を開けてそのまま飲める（希釈されずにそのまま飲用される）アルコール飲料であるＲＴＤ飲料（Ｒｅａｄｙ ｔｏ ｄｒｉｎｋ飲料）であってもよい。そして、このアルコール度数は、その製造工程において使用する酒類（蒸留酒、醸造酒、原料用アルコールなど）のアルコール度数や、その配合割合などによって調整することができ、発酵アルコール飲料の場合においては、アルコール発酵工程の発酵条件を制御することによりアルコール度数を調整することもできる。
しかしながら、本発明に係る飲料は、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満、さらには０．０５ｖ／ｖ％未満のノンアルコール飲料であっても上記した効果が得られる。
しかしながら、本発明に係る飲料は、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満、さらには０．０５ｖ／ｖ％未満のノンアルコール飲料であっても上記した効果が得られる。
【0027】
また、本発明に係る飲料が発泡性飲料（特に発泡性アルコール飲料）である場合、その２０℃における炭酸ガス圧（スニフト有り）は０．１ＭＰａ以上であるのが好ましく、０．１５ＭＰａ以上であるのがより好ましく、０．２ＭＰａ以上であるのがさらに好ましい。そして、この炭酸ガス圧の上限は、０．５ＭＰａ以下、さらには０．４５ＭＰａ以下、さらには０．４ＭＰａ以下、さらには０．３５ＭＰａ以下、さらには０．３ＭＰａ以下、さらには０．２５ＭＰａ以下であってもよい。ここで、「発泡性」とは、２０℃における炭酸ガス圧（スニフト有り）が０．０５ＭＰａ以上であることを意味する。また、この炭酸ガスは、原料として使用する炭酸水由来のものであってもよいし、カーボネーション（炭酸ガス圧入）工程によりアルコール飲料に付与されたものであってもよい。そして、このカーボネーション工程は、バッチ式で行ってもよいし、配管路に炭酸ガス圧入システム（カーボネーター）が組み込まれたインライン方式で連続的に行ってもよい。また、このカーボネーション工程は、フォーミング（泡噴き）の発生等を避けるために、液の液温を１０℃以下（好ましくは４℃以下）として行うのが好適である。
しかしながら、本発明に係る飲料は、２０℃における炭酸ガス圧（スニフト有り）が０．０５ＭＰａ未満である非発泡性飲料であっても上記した効果が得られる。
しかしながら、本発明に係る飲料は、２０℃における炭酸ガス圧（スニフト有り）が０．０５ＭＰａ未満である非発泡性飲料であっても上記した効果が得られる。
【0028】
なお、本発明に係る飲料が前述したアルコール飲料である場合において、飲み応えなどがより好ましくなり易いことから、エキス分が１．０ｗ／ｖ％以上であるのが好ましく、２．０ｗ／ｖ％以上であるのがより好ましく、３．０ｗ／ｖ％以上であるのがさらに好ましく、４．０ｗ／ｖ％以上であるのがさらに好ましい。上限は、限定されるものではないが、１５ｗ／ｖ％以下であってよく、さらには１２ｗ／ｖ％以下であってよく、さらには１０ｗ／ｖ％以下であってよく、さらには８ｗ／ｖ％以下であってよく、さらには７ｗ／ｖ％以下であってよく、さらには６ｗ／ｖ％以下であってよい。なお、本発明に係る飲料（アルコール飲料）のエキス分は、果汁や後述する糖類などを含有させて調整することができる。
【0029】
ここで、「エキス分」とは、以下の式（１）により算出される値である。
（１）エキス分（ｗ／ｖ％）＝（Ｓ－Ａ）×２６０＋０．２１
この式（１）中、「Ｓ」は本発明に係る飲料（アルコール飲料）の比重（１５／４℃）であり、「Ａ」は本発明に係る飲料（アルコール飲料）のアルコール度数を比重（１５／１５℃）に換算して算出される値である。アルコール度数の比重（１５／１５℃）への換算は、日本国の国税庁所定分析法（訓令）の第２表「アルコール分と密度（１５℃）及び比重（１５／１５℃）換算表」に基づき行う。また、この式による計算の途中においては小数点以下５けた目を四捨五入し、最終的に得られるエキス分の値については小数点以下２けた目を切り捨てる。また、本発明に係る飲料（アルコール飲料）の比重（１５／４℃）は、振動式密度計を用いて１５℃における密度を測定し、得られた密度の値を０．９９９９７で除することにより算出される。
（１）エキス分（ｗ／ｖ％）＝（Ｓ－Ａ）×２６０＋０．２１
この式（１）中、「Ｓ」は本発明に係る飲料（アルコール飲料）の比重（１５／４℃）であり、「Ａ」は本発明に係る飲料（アルコール飲料）のアルコール度数を比重（１５／１５℃）に換算して算出される値である。アルコール度数の比重（１５／１５℃）への換算は、日本国の国税庁所定分析法（訓令）の第２表「アルコール分と密度（１５℃）及び比重（１５／１５℃）換算表」に基づき行う。また、この式による計算の途中においては小数点以下５けた目を四捨五入し、最終的に得られるエキス分の値については小数点以下２けた目を切り捨てる。また、本発明に係る飲料（アルコール飲料）の比重（１５／４℃）は、振動式密度計を用いて１５℃における密度を測定し、得られた密度の値を０．９９９９７で除することにより算出される。
【0030】
本発明に係る飲料は、甘味料を含有する飲料であってもよい。この甘味料には、糖類（グルコース、フルクトース、ガラクトース、ショ糖、マルトース、ラクトース、オリゴ糖、果糖ぶどう糖液糖、トレハロースなど）、糖アルコール（キシリトール、エリスリトールなど）、高甘味度甘味料（アセスルファムＫ、スクラロース、アスパルテーム、ステビアなど）等が包含される。特に、本発明に係る飲料がアルコール飲料である場合において、糖類を含有すると、前述したエキス分の調整等がよりし易く好適である。
【0031】
また、本発明に係る飲料は、酸味料として、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、グルコン酸、酒石酸、酢酸、リン酸、またはこれらの塩などを含有する飲料であると、前述した酸度を所定の範囲内に調整し易く、飲み応えのある飲料とし易いことなどから好適である。特に、クエン酸またはクエン酸塩を含有する構成とするとより好ましい。
【0032】
さらに、本発明に係る飲料は、香料を含有する飲料であってもよい。香料は、食品の製造または加工の工程で、所定の香気を付与または増強するために添加される添加物であり、果実様フレーバー（例えば柑橘果実様フレーバー）などが例示されるが、これに限定されるものではない。なお、この香料は、前述したフェンコン、ヘキシルアセテート、およびゲラニルブチレートのうちいずれか１以上が含まれるものであってもよい。
【0033】
また、本発明に係る飲料には、本発明の効果に大きな影響を与えない範囲において、上記以外に、その他の塩類（塩化ナトリウム、塩化カリウムなど）、リン酸またはその塩、酒類、炭酸水、水（純水など）、着色料（カラメル色素、クチナシ色素、果汁色素など）、苦味料、調味料（アミノ酸など）、酸化防止剤（ビタミンＣ、ビタミンＥなど）、ｐＨ調整剤、乳化剤等を原料として任意に使用することができる。
【0034】
本発明に係る飲料の製造方法は、フェンコンを１０μｇ／Ｌ以上含有させる工程を備えていれば、他は飲料製造における常法にしたがえばよく、特段限定はされないが、さらにヘキシルアセテートを５μｇ／Ｌ以上および／またはゲラニルブチレートを５μｇ／Ｌ以上含有させる工程などを備えていてもよい。そして、これらを前述したような範囲とする工程としてもよく、例えば、フェンコン含有量を７０μｇ／Ｌ以上１２００μｇ／Ｌ以下とする工程などとしてもよい。なお、上記した各工程は１工程において併せて行ってもよく、あるいは各工程の少なくとも１つを２工程以上に分けて行ってもよい。例えば、ウォッカをベース酒として糖類、酸味料、フェンコン、炭酸水などを混合し、フェンコン含有量が最終的に（最終製品として）所定の範囲内となるように調整して、必要であればろ過、殺菌などを行ってアルコール飲料製品とする方法などが例示される。
【0035】
さらに、この製造方法は、必要であれば、酸度を前述した範囲内に調整する工程、果汁使用率を前述した範囲内に調整する工程、アルコール度数を前述した範囲内に調整する工程、エキス分を前述した範囲内に調整する工程、ヘキシルアセテートまたはゲラニルブチレートに対するフェンコンの質量比を所定の範囲に調整する工程などを含んでいてもよい。そしてこれらも、１工程において併せて行ってもよく、あるいは各工程の少なくとも１つを２工程以上に分けて行ってもよい。
【0036】
本発明に係る飲料は、上記のようにして得られた製品が金属製容器（アルミ製容器、スチール製容器など）、ペットボトル容器、ガラス製容器、紙容器、樽容器などに充填された容器詰飲料とするのが好ましい。このような容器詰飲料とすることにより、香味などの経時劣化を抑制しやすいだけでなく、流通や販売などにおける利便性がより高まる。
【0037】
以上のような構成である本発明に係る飲料は、清涼感が付与または増強されたものとなる。さらに、飴のような甘い香りや、バニラビーンズ様の芳醇な香りおよび柑橘果実の本物感などが付与されたものとすることも可能である。
【0038】
なお、本発明は、飲料のフェンコン含有量を１０μｇ／Ｌ以上とすることを特徴とする、飲料における清涼感の付与または増強方法を提供するものであるとも言える。言い換えれば、飲料の香味改善方法を提供するものであるとも言える。さらに、飲料のフェンコン含有量を１０μｇ／Ｌ以上とし且つヘキシルアセテート含有量を５μｇ／Ｌ以上および／またはゲラニルブチレート含有量を５μｇ／Ｌ以上とすることを特徴とする、飲料における清涼感の付与または増強、ならびに、飴のような甘い香りの付与あるいはバニラビーンズ様の芳醇な香りおよび柑橘果実の本物感付与方法などを提供することもできる。
【0039】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
【実施例0040】
＜アルコール飲料の調製および官能評価Ｉ＞
ウォッカをベースとして液糖（果糖ぶどう糖液糖）、酸味料（クエン酸、クエン酸三ナトリウム）、およびフェンコンを添加混合し、さらに炭酸水および純水を添加混合して、アルコール度数が５ｖ／ｖ％、酸度が０．５ｇ／１００ｍｌ、エキス分が５ｗ／ｖ％、２０℃における炭酸ガス圧（スニフト有り）が０．２ＭＰａであり、フェンコン含有量が下記表１上段に記載の値であるアルコール飲料サンプル（サンプル１～４）を調製した。
ウォッカをベースとして液糖（果糖ぶどう糖液糖）、酸味料（クエン酸、クエン酸三ナトリウム）、およびフェンコンを添加混合し、さらに炭酸水および純水を添加混合して、アルコール度数が５ｖ／ｖ％、酸度が０．５ｇ／１００ｍｌ、エキス分が５ｗ／ｖ％、２０℃における炭酸ガス圧（スニフト有り）が０．２ＭＰａであり、フェンコン含有量が下記表１上段に記載の値であるアルコール飲料サンプル（サンプル１～４）を調製した。
【0041】
そして、得られた各サンプルにおける清涼感、青い香り（グリーン感）、生薬臭（湿布臭）、およびアルコール飲料としての総合評価（アルコール飲料としての香味全体のバランス）について、訓練され官能的識別能力を備えた３名のパネリストにより、以下に示す評価基準を用いて各サンプルを官能評価した。
【0042】
［清涼感および青い香りの評価基準］
サンプル１における清涼感および青い香りをいずれも１（非常に弱い）とし、このサンプル１との対比として、それぞれ、１（非常に弱い：サンプル１と同等）から５（非常に強い）の５段階により比較官能評価を行った。
サンプル１における清涼感および青い香りをいずれも１（非常に弱い）とし、このサンプル１との対比として、それぞれ、１（非常に弱い：サンプル１と同等）から５（非常に強い）の５段階により比較官能評価を行った。
【0043】
［生薬臭の評価基準］
サンプル１における生薬臭を１（非常に弱い）とし、このサンプル１との対比として、それぞれ、１（非常に弱い：サンプル１と同等）から５（非常に強い）の５段階により比較官能評価を行った。なお、この項目は点数が低いほど評価が高いものとなる。
サンプル１における生薬臭を１（非常に弱い）とし、このサンプル１との対比として、それぞれ、１（非常に弱い：サンプル１と同等）から５（非常に強い）の５段階により比較官能評価を行った。なお、この項目は点数が低いほど評価が高いものとなる。
【0044】
［アルコール飲料としての総合評価の評価基準］
アルコール飲料としての総合評価（香味全体のバランス）を、１（悪い）から５（良い）の５段階によって絶対評価を行った。
アルコール飲料としての総合評価（香味全体のバランス）を、１（悪い）から５（良い）の５段階によって絶対評価を行った。
【0045】
この官能評価結果（３名のパネリストの評価平均値）を下記表１下段に示した。また、パネリストの各サンプルに対するコメントも下記表１下段に示した。この結果から、フェンコンを１００μｇ／Ｌ以上含有するサンプル２～４は、清涼感が付与されたものとなることが明らかとなった。さらに、青い香り（グリーン感）も付与できることが明らかとなった。
【0046】
【表1】
【0047】
＜アルコール飲料の調製および官能評価ＩＩ＞
ウォッカをベースとして液糖（果糖ぶどう糖液糖）、酸味料（クエン酸、クエン酸三ナトリウム）、フェンコン、およびヘキシルアセテートを添加混合し、さらに炭酸水および純水を添加混合して、アルコール度数が５ｖ／ｖ％、酸度が０．５ｇ／１００ｍｌ、エキス分が５ｗ／ｖ％、２０℃における炭酸ガス圧（スニフト有り）が０．２ＭＰａであり、フェンコン含有量およびヘキシルアセテート含有量が下記表２上段に記載の値であるアルコール飲料サンプル（サンプル５～７）を調製した。
ウォッカをベースとして液糖（果糖ぶどう糖液糖）、酸味料（クエン酸、クエン酸三ナトリウム）、フェンコン、およびヘキシルアセテートを添加混合し、さらに炭酸水および純水を添加混合して、アルコール度数が５ｖ／ｖ％、酸度が０．５ｇ／１００ｍｌ、エキス分が５ｗ／ｖ％、２０℃における炭酸ガス圧（スニフト有り）が０．２ＭＰａであり、フェンコン含有量およびヘキシルアセテート含有量が下記表２上段に記載の値であるアルコール飲料サンプル（サンプル５～７）を調製した。
【0048】
そして、得られた各サンプルにおける清涼感、青い香り（グリーン感）、生薬臭（湿布臭）、およびアルコール飲料としての総合評価（アルコール飲料としての香味全体のバランス）について、上記Ｉと同じ方法および評価基準により官能評価を行った。
また、飴のような甘い香りについて、上記Ｉのサンプル２を用いて、以下に示す評価基準により各サンプルを官能評価した。
また、飴のような甘い香りについて、上記Ｉのサンプル２を用いて、以下に示す評価基準により各サンプルを官能評価した。
【0049】
［飴のような甘い香りの評価基準］
サンプル２における飴のような甘い香りを１（非常に弱い）とし、このサンプル２との対比として、それぞれ、１（非常に弱い：サンプル２と同等）から５（非常に強い）の５段階により比較官能評価を行った。
サンプル２における飴のような甘い香りを１（非常に弱い）とし、このサンプル２との対比として、それぞれ、１（非常に弱い：サンプル２と同等）から５（非常に強い）の５段階により比較官能評価を行った。
【0050】
この官能評価結果（３名のパネリストの評価平均値）を下記表２下段に示した。また、パネリストの各サンプルに対するコメントも下記表２下段に示した。この結果から、フェンコンを１００μｇ／Ｌ含有し且つヘキシルアセテートを５０μｇ／Ｌ以上含有するサンプル５～７は、清涼感および青い香り（グリーン感）が維持またはより向上され且つ飴のような甘い香りも付与されることが明らかとなった。加えて、これらは果汁を使用していないにも関わらず果実感やグレープフルーツ感も感じられるものとなっていた。
【0051】
【表2】
【0052】
＜アルコール飲料の調製および官能評価ＩＩＩ＞
ウォッカをベースとして液糖（果糖ぶどう糖液糖）、酸味料（クエン酸、クエン酸三ナトリウム）、フェンコン、およびゲラニルブチレートを添加混合し、さらに炭酸水および純水を添加混合して、アルコール度数が５ｖ／ｖ％、酸度が０．５ｇ／１００ｍｌ、エキス分が５ｗ／ｖ％、２０℃における炭酸ガス圧（スニフト有り）が０．２ＭＰａであり、フェンコン含有量およびゲラニルブチレート含有量が下記表３上段に記載の値であるアルコール飲料サンプル（サンプル８～１０）を調製した。
ウォッカをベースとして液糖（果糖ぶどう糖液糖）、酸味料（クエン酸、クエン酸三ナトリウム）、フェンコン、およびゲラニルブチレートを添加混合し、さらに炭酸水および純水を添加混合して、アルコール度数が５ｖ／ｖ％、酸度が０．５ｇ／１００ｍｌ、エキス分が５ｗ／ｖ％、２０℃における炭酸ガス圧（スニフト有り）が０．２ＭＰａであり、フェンコン含有量およびゲラニルブチレート含有量が下記表３上段に記載の値であるアルコール飲料サンプル（サンプル８～１０）を調製した。
【0053】
そして、得られた各サンプルにおける清涼感、青い香り（グリーン感）、生薬臭（湿布臭）、およびアルコール飲料としての総合評価（アルコール飲料としての香味全体のバランス）について、上記Ｉと同じ方法および評価基準により官能評価を行った。
また、バニラビーンズ様の芳醇な香りおよびグレープフルーツ果実の本物感（苦味や果皮感なども含めたグレープフルーツ果実の本物感）について、上記Ｉのサンプル２を用いて、以下に示す評価基準により各サンプルを官能評価した。
また、バニラビーンズ様の芳醇な香りおよびグレープフルーツ果実の本物感（苦味や果皮感なども含めたグレープフルーツ果実の本物感）について、上記Ｉのサンプル２を用いて、以下に示す評価基準により各サンプルを官能評価した。
【0054】
［バニラビーンズ様の芳醇な香りおよびグレープフルーツ果実の本物感の評価基準］
サンプル２におけるバニラビーンズ様の芳醇な香りおよびグレープフルーツ果実の本物感をいずれも１（非常に弱い）とし、このサンプル２との対比として、それぞれ、１（非常に弱い：サンプル１と同等）から５（非常に強い）の５段階により比較官能評価を行った。
サンプル２におけるバニラビーンズ様の芳醇な香りおよびグレープフルーツ果実の本物感をいずれも１（非常に弱い）とし、このサンプル２との対比として、それぞれ、１（非常に弱い：サンプル１と同等）から５（非常に強い）の５段階により比較官能評価を行った。
【0055】
この官能評価結果（３名のパネリストの評価平均値）を下記表３下段に示した。また、パネリストの各サンプルに対するコメントも下記表３下段に示した。この結果から、フェンコンを１００μｇ／Ｌ含有し且つゲラニルブチレートを５０μｇ／Ｌ以上含有するサンプル８～１０は、清涼感および青い香り（グリーン感）がより向上され且つバニラビーンズ様の芳醇な香りを感じられ、さらに果汁を使用していないにも関わらずグレープフルーツ果実の本物感も感じられるものとなることが明らかとなった。あわせて、サンプル９および１０は柑橘果実感も高まっていた。
【0056】
【表3】
【0057】
＜アルコール飲料の調製および官能評価ＩＶ＞
柑橘果汁を含む市販の柑橘果実様アルコール飲料（サンプル１１）にフェンコンを添加混合して、アルコール度数が５ｖ／ｖ％、酸度が０．５ｇ／１００ｍｌ、エキス分が７ｗ／ｖ％、２０℃における炭酸ガス圧（スニフト有り）が０．２ＭＰａであり、果汁使用率（柑橘果汁使用率）、フェンコン含有量、ヘキシルアセテート含有量、およびゲラニルブチレート含有量が下記表４上段に記載の値であるアルコール飲料サンプル（サンプル１２）を調製した。
柑橘果汁を含む市販の柑橘果実様アルコール飲料（サンプル１１）にフェンコンを添加混合して、アルコール度数が５ｖ／ｖ％、酸度が０．５ｇ／１００ｍｌ、エキス分が７ｗ／ｖ％、２０℃における炭酸ガス圧（スニフト有り）が０．２ＭＰａであり、果汁使用率（柑橘果汁使用率）、フェンコン含有量、ヘキシルアセテート含有量、およびゲラニルブチレート含有量が下記表４上段に記載の値であるアルコール飲料サンプル（サンプル１２）を調製した。
【0058】
そして、得られた各サンプルにおける清涼感、青い香り（グリーン感）、生薬臭（湿布臭）、およびアルコール飲料としての総合評価（アルコール飲料としての香味全体のバランス）について、サンプル１１における清涼感、青い香り、および生薬臭をいずれも１とし、このサンプル１１との対比として評価した点以外は上記Ｉと同じ方法、基準により比較官能評価を行った。
【0059】
この官能評価結果（３名のパネリストの評価平均値）を下記表４下段に示した。また、パネリストの各サンプルに対するコメントも下記表４下段に示した。この結果から、フェンコンを１００μｇ／Ｌ含有し且つヘキシルアセテート含有量を６８μｇ／Ｌおよびゲラニルブチレートを９４μｇ／Ｌ含有するサンプル１２は、清涼感および青い香り（グリーン感）が付与されたものとなっていることが明らかとなった。また、フレッシュ感なども付与されていた。これに加えて、フェンコンとヘキシルアセテートおよびゲラニルブチレートとの相乗効果などにより、グレープフルーツ感が高まるだけでなく、ジュース感がより軽減されてチューハイ感がより高まったものとなっていた。さらに、酸味（酸っぱさ）も軽減されたものとなっていた。一方で、フェンコンの含有量が０．１μｇ／Ｌであるサンプル１１は、清涼感および青い香り（グリーン感）がほとんど感じられないものであった。
【0060】
【表4】