(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089787
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】調理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
F24C 15/00 20060101AFI20240627BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20240627BHJP
F24C 7/04 20210101ALI20240627BHJP
H05B 6/12 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
F24C15/00 M
F24C3/12 E
F24C7/04 301Z
F24C7/04 301A
H05B6/12 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205203
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】西村 宏美
【テーマコード(参考)】
3K151
3L087
【Fターム(参考)】
3K151CA61
3K151CA63
3L087AA03
3L087AA04
3L087BC02
3L087DA24
(57)【要約】
【課題】使用者が複数の調理を効率的に取り進めることが可能な調理システムおよびプログラムを提供する。
【解決手段】調理システム1は、複数の調理部(コンロ部11、グリル部12)を備えたコンロ10と、コンロ10と通信可能な携帯端末装置30と、を備える。コンロ10は、複数の調理部(コンロ部11、グリル部12)の各々の運転状態に基づく運転状態情報を携帯端末装置30に送信し、携帯端末装置30は、コンロ10から受信した運転状態情報に基づき、複数の調理部(コンロ部11、グリル部12)の各々の運転状態を一画面で表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の調理部を備えたコンロと、
前記コンロと通信可能な携帯端末装置と、を備え、
前記コンロは、前記複数の調理部の各々の運転状態に基づく運転状態情報を前記携帯端末装置に送信し、
前記携帯端末装置は、前記コンロから受信した前記運転状態情報に基づき、前記複数の調理部の各々の運転状態を一画面で表示する、
ことを特徴とする調理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の調理システムにおいて、
前記コンロは、前記調理部で調理されている調理物の温度を検知するセンサを備え、
前記運転状態情報は、前記調理物の温度に関する情報を含む、
ことを特徴とする調理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の調理システムにおいて、
前記携帯端末装置は、
前記調理物の温度に応じて変化するバーを温度スケールに並べた画像を前記調理部ごとに表示し、
前記バーが前記温度スケールの最大値を超えたことに基づいて、そのことを報知する処理を実行する、
ことを特徴とする調理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の調理システムにおいて、
前記携帯端末装置は、
料理の調理情報を記憶した記憶部を備え、
前記温度スケールの前記最大値および最小値を、当該調理部で実行する料理の前記調理情報に含まれる温度範囲に応じて設定する、
ことを特徴とする調理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の調理システムにおいて、
前記携帯端末装置は、前記バーが前記温度スケールの最小値を下回ったことに基づいて、そのことを報知する処理を実行する、
ことを特徴とする調理システム。
【請求項6】
複数の調理部を有するコンロと通信可能な携帯端末装置の制御部に、
前記複数の調理部の各々の運転状態に基づく運転状態情報を前記コンロから取得する機能と、
取得した前記運転状態情報に基づき、前記複数の調理部の各々の運転状態を一画面で表示する機能と、を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロおよび当該コンロと通信可能な携帯端末装置を備える調理システム、および当該携帯端末装置に所定の機能を実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンロおよび当該コンロと通信可能な携帯端末装置を備える調理システムが提案されている。この調理システムでは、携帯端末装置が、インターネット等の外部通信網を介してサーバにアクセスし、使用者から指定された料理に関する調理情報を取得する。携帯端末装置は、取得した調理情報から調理制御情報を抽出してコンロに送信する。コンロは、受信した調理制御情報により熱源を制御して、指定の料理に対する調理を行う。
【0003】
このような調理システムが、たとえば、以下の特許文献1に記載されている。この調理システムでは、使用者が指定した料理の調理を行う調理部の動作状態が、携帯端末装置に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、コンロには、天面に複数の調理部があり、さらには、内部にグリル等の調理部もある。使用者は、これら複数の調理部を並行して用いながら、複数種類の調理を行う。この場合、使用者は、各々の調理部における調理の進行状況を随時把握しながら、各調理の準備や実行を適切に進め、且つ、これら調理を効率的に行えるよう、調理全体を取り進める。
【0006】
これに対し、上記特許文献1に記載の構成では、コンロに配置された複数の調理部のうち、ユーザ指定の調理を行う1つの調理部の動作状態しか携帯端末装置に表示されない。このため、使用者は、複数の調理部全体の状態を把握できず、この表示だけでは、上記のように複数の調理を円滑に取り進めることが困難である。
【0007】
かかる課題に鑑み、本発明は、使用者が複数の調理を効率的に取り進めることが可能な調理システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、調理システムに関する。この態様に係る調理システムは、複数の調理部を備えたコンロと、前記コンロと通信可能な携帯端末装置と、を備える。前記コンロは、前記複数の調理部の各々の運転状態に基づく運転状態情報を前記携帯端末装置に送信し、前記携帯端末装置は、前記コンロから受信した前記運転状態情報に基づき、前記複数の調理部の各々の運転状態を一画面で表示する。
【0009】
本態様に係る調理システムによれば、携帯端末装置において、コンロの全ての調理部の運転状態が一画面で表示される。このため、使用者は、この画面から、各調理部の運転状態を明確に把握できる。これにより、使用者は、複数の調理を並行して進める場合に、調理の隙間時間を確認でき、これらの調理を効率的に取り進めることができる。
【0010】
第1の態様に係る調理システムにおいて、前記コンロは、前記調理部で調理されている調理物の温度を検知するセンサを備え、前記運転状態情報は、前記調理物の温度に関する情報を含む。
【0011】
この構成によれば、携帯端末装置において、各々の調理部で調理されている調理物の温度を表示できる。これにより、使用者は、各々の調理物の現在の温度を把握でき、さらには、各々の調理物の温度が調理のための目標の温度範囲に到達するまでの大まかな助走時間を把握できる。このため、使用者は、たとえば、この助走時間に他の調理の準備を行うことや、当該調理部の加熱レベルを調整して、この助走時間を長短させることができる。また、使用者は、現在の温度が高すぎるような場合に、当該調理部の加熱レベルを低下させる等の調整を行うことができる。
【0012】
この場合、前記携帯端末装置は、前記調理物の温度に応じて変化するバーを温度スケールに並べた画像を前記調理部ごとに表示し、前記バーが前記温度スケールの最大値を超えたことに基づいて、そのことを報知する処理を実行するよう構成され得る。
【0013】
この構成によれば、使用者は、バーと温度スケールとの関係から、各調理部における調理物の温度を、円滑かつ的確に把握できる。また、バーが温度スケールの最大値を超えた場合にその報知が行われるため、使用者は、各々の調理部における調理物の温度および加熱レベルが高すぎることを容易に把握でき、調理部の加熱レベルの調整を円滑に進めることができる。
【0014】
さらに、前記携帯端末装置は、料理の調理情報を記憶した記憶部を備え、前記温度スケールの前記最大値および最小値を、当該調理部で実行する料理の前記調理情報に含まれる温度範囲に応じて設定するよう構成され得る。
【0015】
この構成によれば、温度スケールの範囲が、調理に適する温度範囲そのものであるため、現在の温度と調理に適する温度範囲との関係を、大きく見やすく表示できる。よって、使用者は、現在の調理物の温度が適正であるか否かを、明瞭かつ円滑に把握できる。
【0016】
この場合、前記携帯端末装置は、さらに、前記バーが前記温度スケールの最小値を下回ったことに基づいて、そのことを報知する処理を実行するよう構成され得る。
【0017】
この構成によれば、使用者は、当該報知により、現在の調理物の温度が適正な温度範囲を下回ったことを明確に把握できる。よって、使用者は、当該調理部の加熱レベルを高める等の対応を円滑に行うことができる。
【0018】
本発明に第2の態様は、複数の調理部を有するコンロと通信可能な携帯端末装置の制御部に、所定の機能を実行させるプログラムに関する。この態様に係るプログラムは、前記制御部に、前記複数の調理部の各々の運転状態に基づく運転状態情報を前記コンロから取得する機能と、取得した前記運転状態情報に基づき、前記複数の調理部の各々の運転状態を一画面で表示する機能と、を実行させる。
【0019】
本態様に係るプログラムによれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明によれば、使用者が複数の調理を効率的に取り進めることが可能な調理システムおよびプログラムを提供することができる。
【0021】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施形態に係る、調理システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る、コンロの構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る、コンロの燃焼系の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る、調理システムを構成するコンロおよび携帯端末装置の回路ブロックを示す図である。
【
図5】
図5(a)は、実施形態に係る、調理制御のアプリケーションプログラムにより表示される画面において、運転状態の表示指示を使用者から受け付けた場合に、携帯端末装置の制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
図5(b)は、実施形態に係る、コンロの制御部が、運転状態情報の送信要求を受信した場合に実行する処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6(a)は、実施形態に係る、運転状態表示画面の構成を示す図である。
図6(b)は、実施形態に係る、温度表示領域に表示される画像を拡大して示す図である。
【
図7】
図7(a)~(c)は、変更例1に係る、温度表示領域における表示例を示す図である。
【
図8】
図8(a)~(c)は、変更例2に係る、温度表示領域における表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、実施形態に係る調理システム1の構成を示す図である。
図2は、実施形態に係るコンロ10の構成を示す斜視図である。
【0024】
調理システム1は、コンロ10と、携帯端末装置30とを備える。携帯端末装置30が宅内H10にある場合、コンロ10と携帯端末装置30は、ルータ20を介して通信可能である。また、携帯端末装置30が宅内H10にある場合、携帯端末装置30は、ルータ20および外部通信網40を介して、サーバ50と通信可能である。また、携帯端末装置30が宅外にある場合も、携帯端末装置30は、外部通信網40および宅外に配置された公共の通信システム(基地局や民間のルータ)を介して、サーバ50と通信可能である。
【0025】
コンロ10は、ガス燃料を燃焼させて調理物を加熱するガスコンロである。コンロ10は、天面にコンロ部11(調理部)を備える。ここでは、3つのコンロ部11が、コンロ10の天面に配置される。コンロ部11は、ガスを燃料として燃焼するガスバーナと、鍋等を設置するためのごとくとを備える。
【0026】
図2に示すように、3つのコンロ部11は、それぞれのごとくに鍋等の調理器が載せられると調理器の下面により押されて降下する可動子11aを備える。これらの可動子11aの降下により、ごとくに調理器が載せられたことが検出される。また、可動子11aには温度センサ11b(サーミスタ)が内蔵され、この温度センサ11bにより、調理器の下面の温度(調理器内の調理物の温度)が検知される。
【0027】
さらに、コンロ10は、本体中央にグリル部12を備える。グリル部12には、上下にグリルバーナが設けられ、グリルバーナの燃焼によりグリル調理が行われる。グリル部12は、コンロ10の前面の扉により開閉可能である。
【0028】
グリル部12にも、グリルプレートが載せられるとグリルプレートの下面で押されて降下する可動子が配置され、この可動子に温度センサ(サーミスタ)が内蔵されている。但し、グリルプレートに載せられた調理物の温度を検知する方法はこれに限られるものではなく、たとえば、グリル庫内に配置された温度センサの検知温度から調理物の温度を予測する方法であってもよい。
【0029】
グリル部12の右側および左側に、それぞれ、コンロ部11用の3つの操作ツマミ13aと、グリル部12用の操作ツマミ14aとが設けられている。右側の3つの操作ツマミ13aは、天面に配置された3つのコンロ部11に対応付けられている。操作ツマミ13a、14aは、コンロ10の前面に対して面一の状態から押し込まれることにより、コンロ10の前面から突出し、再度、この状態から押し込まれることにより、コンロ10の前面に対して面一な状態に係止される。
【0030】
操作ツマミ13aがコンロ10の前面に対して面一な状態から押し込まれて突出することにより、対応するコンロ部11が所定の火力で点火される。その後、操作ツマミ13aが回転されることにより、コンロ部11の火力が調整される。操作摘まみ13aが突出位置から押し込まれることにより、コンロ部11が消化される。操作ツマミ14aについても、同様の操作により、グリル部12の点火および消化と火力調整が行われる。
【0031】
3つの操作ツマミ13aの下方に、カンガルーポケット型の操作パネル13bが配置されている。操作パネル13bには、コンロ部11に関する所定の設定を入力するための複数の操作キーが配置されている。また、操作ツマミ14aの下方にも、カンガルーポケット型の操作パネル14bが配置されている。操作パネル14bには、グリル部12に関する所定の設定を入力するための複数の操作キーが配置されている。
【0032】
3つの操作ツマミ13aの上方に、電源スイッチ15が配置されている。電源スイッチ15は、コンロ10に電源を投入するためのスイッチである。使用者は、電源スイッチ15を操作することにより、コンロ10に対して電源のオン、オフを切り替えることができる。
【0033】
図1を参照して、ルータ20は、建物内(ここでは、宅内H10)に存在する各機器を、外部通信網40に接続するための通信中継器である。携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、無線通信によりルータ20に接続されて、サーバ50と通信可能である。携帯端末装置30は、たとえば、携帯電話機である。この他、携帯端末装置30が、携帯型のタブレット端末等の他の携帯可能な端末装置であってもよい。外部通信網40は、たとえば、インターネットである。
【0034】
外部通信網40には、調理情報を管理するサーバ50が接続されている。サーバ50には、各々の料理に対応付けて、その料理を作るための調理情報が記憶されている。調理情報は、その料理を作るのに必要な材料や分量等のレシピ情報を含む。また、調理情報は、その料理を作るときの調理物の適正な温度範囲や、その温度範囲での加熱時間等の情報(動作情報)を含んでいる。この他、自動調理が可能な料理の調理情報には、自動調理のためにコンロ10を制御するための調理制御情報が含まれている。この調理制御情報には、調理開始から調理終了までの期間における温度範囲や、加熱時間、加熱レベル等の情報が含まれている。
【0035】
【0036】
コンロ10は、燃焼系の構成として、ガスバーナ111~113と、グリルバーナ114、115を備える。
【0037】
ガスバーナ111~113は、上述の3つのコンロ部11にそれぞれ設置される。グリルバーナ114、115は、グリル部12に設置される。グリルバーナ114は下側のバーナであり、グリルバーナ115は上側のバーナである。
【0038】
ガスバーナ111~113に着火を行うための点火器111a~113aと、グリルバーナ114、115に着火を行うための点火器114a、115aが設けられている。また、ガスバーナ111~113が着火したことを検出するための熱電対121~123と、グリルバーナ114、115が着火したことを検出するための熱電対124、125が設けられている。
【0039】
ガスバーナ111~113およびグリルバーナ114、115には、配管130~134を介して、燃料ガス(以下、単に「ガス」という)が供給される。配管130から、4つの配管131~134が分岐し、さらに配管134から2つの配管134a、134bが分岐している。配管131~133が、それぞれ、ガスバーナ111~113に接続され、配管134a、134bが、それぞれ、グリルバーナ114、115に接続されている。
【0040】
配管130には、ガスの導通および遮断を制御するための元ガス電磁弁140が設けられている。また、配管131~134には、それぞれ、ガスの導通および遮断を制御するための安全弁141~144が設けられている。さらに、配管131~134には、それぞれ、ガスの流量を制御するための流量調節弁(以下、「流調弁」という)151~154が設けられている。流調弁151~154は、ステッピングモータ151a~154aによって駆動され、開放量が制御される。この他、配管134bには、ガスの流通を遮断するための閉止電磁弁161が設けられている。
【0041】
元ガス電磁弁140と、安全弁141~144および閉止電磁弁161が開放されることにより、ガスバーナ111~113とグリルバーナ114、115にガスが供給される。ステッピングモータ151a~154aにより流調弁151~154の開放量が調節されることにより、ガスバーナ111~113とグリルバーナ114、115に供給されるガスの量が調節される。グリル部12において、下側のグリルバーナ114のみが用いられる場合、閉止電磁弁161が閉じられる。こうして、コンロ部11およびグリル部12において、燃焼動作が行われる。
【0042】
図4は、調理システム1を構成するコンロ10および携帯端末装置30の回路ブロックを示す図である。便宜上、
図4には、外部通信網40およびサーバ50が図示されている。
【0043】
コンロ10は、制御部101と、記憶部102と、操作部103と、駆動部104と、検出部105と、通信部106とを備える。
【0044】
制御部101は、マイクロコンピュータを備え、記憶部102に記憶されたプログラムに従って、コンロ10内の各部の制御を行う。記憶部102は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0045】
操作部103は、
図1および
図2に示した操作ツマミ13a、14aや、操作パネル13b、14bに配置された操作キーを含む。駆動部104は、
図3に示した点火器111a~115aや、元ガス電磁弁140および流調弁151~154等、ガスコンロの駆動系を駆動するための駆動源(ステッピングモータ151a~154a等)および駆動回路を備える。検出部105は、
図2に示した温度センサ11bや、
図3に示した熱電対121~125等の各種センサを備える。
【0046】
通信部106は、ルータ20との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。通信部106は、ルータ20を介して、携帯端末装置30の通信部306と通信を行う。通信部106が、直接、携帯端末装置30の通信部306と無線通信を行ってもよい。
【0047】
携帯端末装置30は、制御部301と、記憶部302と、表示入力部303と、音声入力部304と、音声出力部305と、通信部306とを備える。
【0048】
制御部301は、CPU等の演算処理回路を備え、記憶部302に記憶されたプログラムに従って各部を制御する。記憶部302は、ROM、RAM等の記憶手段を備え、制御部301が実行するプログラムを記憶する。記憶部302には、調理制御のためのアプリケーションプログラムが記憶されている。
【0049】
表示入力部303は、表示および入力が可能な表示パネルを備える。表示入力部303に代えて、表示部と入力部とが個別に配置されていてもよい。音声入力部304は、マイクロフォンを備え、音声を集音して音声データを生成し、制御部301に出力する。音声出力部305は、スピーカを備え、制御部301からの制御により所定の音声を出力する。
【0050】
通信部306は、制御部301からの制御により、外部通信網40を介して、サーバ50と通信を行う。携帯端末装置30が宅内H10にある場合、通信部306は、ルータ20を介して外部通信網40に接続し、サーバ50と通信を行う。携帯端末装置30が宅外にある場合、通信部306は、基地局等のアクセスポイントを介して外部通信網40に接続し、サーバ50と通信を行う。
【0051】
サーバ50は、制御部501と、記憶部502と、通信部503を備える。制御部501は、CPUを備え、記憶部502に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部502は、メモリおよびハードディスクを備え、所定の制御プログラムおよびデータベースを記憶する。通信部503は、外部通信網40を介して、携帯端末装置30と通信を行う。
【0052】
本実施形態において、携帯端末装置30の制御部301は、上述の調理制御のアプリケーションプログラムの起動により、表示入力部303を介して、使用者から所定の料理の指定を受け付ける。使用者から料理の指定が入力されると、制御部301は、外部通信網40を介してサーバ50にアクセスし、使用者から指定された料理に関する調理情報を取得する。制御部301は、取得した調理情報を、記憶部302に記憶させる。
【0053】
指定された料理が、自動調理が可能な料理である場合、携帯端末装置30の制御部301は、何れの熱源(コンロ部11、グリル部12)で自動調理を行うかを設定する。このとき、調理可能な熱源が複数ある場合、制御部301は、このうち、何れの熱源で調理を行うかを、表示入力部303を介して使用者に問い合わせ、これに応じて使用者が指定した熱源を、自動調理を行う熱源に設定する。
【0054】
制御部301は、サーバ50から取得した調理情報から調理制御情報を抽出し、抽出した調理制御情報と、上記のように設定した熱源の識別情報とを、コンロ10に送信する。その後、制御部301は、調理情報に含まれるレシピ情報を、表示入力部303に表示させる。使用者は、レシピ情報に基づき調理器内に内容物を調製し、調理器を対応する熱源にセットする。
【0055】
コンロ10の制御部101は、当該熱源に調理物がセットされたことを、可動子11aにより検知すると、当該熱源を、受信した調理制御情報により制御して、使用者が指定した料理に対する調理を行う。
【0056】
使用者から指定された料理が、自動調理が可能な料理でない場合、制御部301は、この料理をどの熱源(コンロ部11、グリル部12)で行うかを入力するための受付画面を表示入力部303に表示させる。使用者は、この受付画面に対し、この料理を行う熱源を指定する。これにより、制御部301は、サーバ50から取得した調理情報に含まれるレシピ情報を、表示入力部303に表示させる。
【0057】
使用者は、レシピ情報に基づき調理器内に内容物を調製し、調理器を、自身が指定した熱源にセットする。その後、使用者は、レシピ情報に従って、熱源の加熱レベルの調整や、加熱時間の管理等を行って、自身が指定した料理を調理する。
【0058】
ところで、使用者は、夕飯等の準備を行う場合、複数の調理部(コンロ部11、グリル部12)を並行して用いながら、複数種類の調理を行う。この場合、使用者は、各々の調理部における調理の進行状況を随時把握しながら、各調理の準備や実行を適切に進め、且つ、これら調理を効率的に行えるよう、調理全体を取り進める。この場合、使用者は、それぞれの調理部の運転状態を、円滑かつ的確に把握できることが好ましい。
【0059】
そこで、本実施形態では、使用者が複数の調理部(コンロ部11、グリル部12)を用いて調理を効率的に取り進めることが可能な制御が行われる。以下、この制御について説明する。
【0060】
図5(a)は、調理制御のアプリケーションプログラムにより表示される画面において、運転状態の表示指示を使用者から受け付けた場合に、携帯端末装置30の制御部301が実行する処理を示すフローチャートである。
図5(b)は、コンロ10の制御部101が、
図5(a)の制御において送信された運転状態情報の送信要求を受信した場合に実行する処理を示すフローチャートである。
【0061】
図5(a)を参照して、携帯端末装置30の制御部301は、使用者から運転状態の表示指示を受け付けると(S101:YES)、運転状態情報の送信要求をコンロ10に送信する(S102)。その後、制御部301は、運転状態情報の受信を待つ(S103)。
【0062】
図5(b)を参照して、コンロ10の制御部101は、携帯端末装置30の制御部301から運転状態情報の送信要求を受信すると(S201:YES)、3つのコンロ部11および1つのグリル部12のそれぞれの運転状態に基づく運転状態情報を携帯端末装置30に送信する(S202)。運転状態情報は、各々の調理部における調理物の温度に関する情報や、調理の進行状態を示す情報等を含んでいる。運転状態情報は、調理部(3つのコンロ部11、グリル部12)を識別する識別情報に、その調理部の運転状態情報を対応付けて構成されている。
【0063】
制御部101は、運転状態の表示が終了したことを示す終了通知を携帯端末装置30から受信するまで(S203:NO)、所定の時間間隔で、都度、運転状態情報を携帯端末装置30に送信する(S202)。
【0064】
図5(a)を参照して、携帯端末装置30に制御部301は、コンロ10から運転状態情報を受信すると(S103:YES)、表示入力部303に表示されている運転状態表示画面を更新する(S104)。運転状態表示画面には、運転状態情報に含まれる調理部(3つのコンロ部11、グリル部12)の識別情報に基づいて、各々の調理部の運転状態情報に基づく情報が表示される。
【0065】
制御部301は、運転状態表示画面を介して、使用者から運転状態表示を終了させる指示が入力されるまで(S105:NO)、ステップS103の処理を繰り返す。これにより、
図5(b)のステップS202において運転状態情報が送信されるごとに、運転状態表示画面が更新される。
【0066】
その後、使用者が、運転状態表示画面を介して運転状態表示を終了させる指示を入力すると(S105:YES)、終了通知をコンロ10に送信し(S106)、
図5(a)の処理を終了する。これにより、運転状態表示画面が閉じられる。
【0067】
図5(b)を参照して、コンロ10の制御部101は、携帯端末装置30から終了通知を受信すると(S203:YES)、携帯端末装置30に対する運転状態情報の送信を終了する(S204)。これにより、制御部101は、
図5(b)の処理を終了する。
【0068】
図6(a)は、
図5(a)のステップS104において更新される運転状態表示画面600の構成を示す図である。
【0069】
運転状態表示画面600は、コンロ領域610と、グリル領域620とに上下に区分されている。コンロ領域610は、3つのコンロ部11の運転状態を表示する領域である。グリル領域620は、グリル部12の運転状態を表示する領域である。
【0070】
コンロ領域610は、上下方向に、位置表示領域611と、調理状態表示領域612と、調理物表示領域613と、温度表示領域614とに区分され、最下部にコンロ表示画像615が表示されている。また、コンロ領域610は、左右方向にも3つの領域に区分されている。このうち、左の領域は、
図2の手前左側のコンロ部11の動作状態を示す領域であり、中央の領域は、
図2の中央奥側のコンロ部11の動作状態を示す領域であり、右の領域は、
図2の手前右側のコンロ部11の動作状態を示す領域である。
【0071】
位置表示領域611には、左右方向に区分された3つの領域が、それぞれ、どのコンロ部11に対応する領域かが図形で示されている。3つの丸の図形は、3つのコンロ部11の位置を示しており、そのうち、黒で塗りつぶされている丸の位置が、対応するコンロ部11の位置である。
【0072】
調理状態表示領域612には、各々のコンロ部11における調理状態が示されている。コンロ部11に自動調理が設定されている場合、そのコンロ部11の調理状態表示領域612には、「自動調理」の表記がなされる。
【0073】
調理物表示領域613には、調理物を示す画像が表示される。サーバ50から取得した調理情報に基づく調理がなされているコンロ部11の調理物表示領域613には、調理情報に含まれる調理物のイメージ画像が表示される。
図6(a)の例では、最も右側の領域(
図2の右手前のコンロ部11に対応)の調理物表示領域613に、調理情報に含まれる調理物のイメージ画像が表示されている。
【0074】
また、使用者が、調理情報を取得することなく、自身で任意に調理を行っているコンロ部11の調理物表示領域613には、予め決められた調理器具のイメージ画像が表示される。
図5(b)のステップS202で送信される運転状態情報には、このように、使用者が自身で任意に調理を行っているコンロ部11の運転状態を示す情報も含まれている。
図6(a)の例では、最も左側の領域(
図2の左手前のコンロ部11に対応)の調理物表示領域613に、調理器具のイメージ画像が表示されている。
【0075】
また、調理が終了したコンロ部11の調理物表示領域613は、空白となっている。これにより、使用者は、調理状態表示領域612の表示とともに、調理物表示領域613が空白となっていることで、そのコンロ部11における調理が終了したことを把握できる。
図6(a)の例では、中央の領域(
図2の中央奥側のコンロ部11に対応)の調理物表示領域613が空白となっている。
【0076】
温度表示領域614には、対応するコンロ部11における調理物の温度が表示される。調理物の温度は、上記のように、
図1の温度センサ11bによって検知される。なお、調理が終了したコンロ部11の温度表示領域614には、調理物の温度が表示されない。
図6(a)の例では、中央のコンロ部11の調理が終了しているため、中央の領域の温度表示領域614は空白となっている。
【0077】
また、自動調理が行われているコンロ部11の温度表示領域614にも、温度表示がなされない。ただし、これに限らず、自動調理が行われているコンロ部11の温度表示領域614にも、温度表示がなされてもよい。
【0078】
コンロ表示画像615には、コンロ10の天面の3つのコンロ部11が模式的に示されている。これら3つのコンロ部11の画像のうち、加熱中のコンロ部11の画像には、炎を示す画像がさらに表示されている。
図6(a)の例では、左手前のコンロ部11と右手前のコンロ部11とが加熱中であるため、これらコンロ部11の画像に、炎の画像が付加されている。使用者は、コンロ表示画像615を参照することで、何れのコンロ部11が加熱中であるかを直観的に把握できる。
【0079】
グリル領域620には、グリル表示画像621と、調理状態表示画像622と、調理物表示画像623と、温度表示領域624と、が含まれている。
【0080】
グリル表示画像621は、グリル部12が動作中であるか否かを示す画像である。グリル表示画像621は、グリル部12を前側から見たときの模式図が示されている。グリル部12が動作中である場合、この模式図に炎の画像が付加される。
図6(a)の例では、グリル部12が動作中であるため、グリル部12の模式図に炎の画像が付加されている。
【0081】
調理状態表示画像622には、グリル部12における調理状態が示される。調理状態の表示方法は、調理状態表示領域612と同様である。
図6(a)の例では、グリル部12で自動調理が行われている。
【0082】
調理物表示画像623には、調理物を示す画像が表示される。調理物の画像の表示方法は、調理物表示領域613と同様である。
図6(a)の例では、グリル部12で自動調理が行われているため、調理物表示画像623は、調理情報に含まれる調理物のイメージ画像となっている。また、自動調理の場合は、調理の進行状況が、このイメージ画像に重ねて表示される。ここでは、自動調理が間もなく終了することが重ねて表示されている。なお、自動調理の残り時間等、進行状況を示す情報が、調理物表示画像623の左側の空き領域等にさらに表示されてもよい。
【0083】
温度表示領域624には、コンロ領域610の温度表示領域614と同様の表示が行われる。グリル部12の温度は、上記のように、グリル部12の可動子に内蔵された温度センサにより検知される。
【0084】
図6(a)の例では、グリル部12で自動調理が行われているため、温度表示領域624は空白となっている。すなわち、上記のように、自動調理が行われている調理部には温度表示がなされない。これは、自動調理では、コンロ10の制御部101が、調理物の温度が調理制御情報の温度範囲となるように、調理部の加熱レベルを自動調整するため、調理物の温度状態を特に表示しなくてもよいためである。
【0085】
運転状態表示画面600の右上には、運転状態表示画面600を閉じるための画像631が含まれている。使用者は、この画像631にタッチすることで、運転状態表示画面600を閉じて画面をホーム画面に戻すことができる。
【0086】
図6(b)は、温度表示領域614に表示される画像を拡大して示す図である。グリル領域620側の温度表示領域624に表示される画像も、
図6(b)と同様の構成である。
【0087】
温度表示領域614には、調理物の温度に応じて変化するバー614bを温度スケール614aに並べた画像が含まれる。さらに、温度表示領域614には、加熱中であることを示す表示614cと、温度が温度スケール614aの下限値に到達するまでの加熱期間に点灯する点灯表示部614dとが含まれている。
【0088】
ここで、温度スケール614aの最大値(ここでは、最大値に「高温」の表記が付されている)は、過度に調理物が高温になっていることを使用者に報知するために、予めアプリケーションプログラムに組み込まれている。また、温度スケール614aの最小値も、通常の調理において生じる調理物の温度範囲の最小値として、予めアプリケーションプログラムに組み込まれている。
【0089】
ここで、制御部301は、バー614bが、温度スケール614aの最大値を超えたこと、すなわち、調理物の温度が温度スケール614aの上限の温度を超えたことに基づいて、そのことを報知するための処理を実行する。たとえば、制御部301は、バー614bが温度スケール614aの最大値を超えると、
図6(b)のように、バー614bの色を赤色等の強調色に変更し、バー614bを点滅させる。このとき、制御部301は、さらに、アラーム音や、調理物の温度が最大温度を超えたことを報知するメッセージ音声を、音声出力部305に出力させてもよい。
【0090】
調理物の温度が温度スケール614aの最大値を超えたことの報知処理は、上記に限られるものではなく、そのことを使用者に報知できる処理であればよい。たとえば、温度表示領域614全体を点滅させてもよく、あるいは、温度表示領域614の背景を赤色等の強調色に設定してもよい。また、この背景色を点滅させてもよい。温度表示領域614に「高温超過」等の文字を重ねて表示し、この文字を点滅させてもよい。
【0091】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0092】
図5(a)、(b)および
図6(a)に示したように、携帯端末装置30は、複数の調理部(コンロ部11、グリル部12)の各々の運転状態に基づく運転状態情報をコンロ10から取得し(S102、S103)、取得した運転状態情報に基づき、複数の調理部(コンロ部11、グリル部12)の各々の運転状態を一画面(運転状態表示画面600)で表示する(S104)。
【0093】
これにより、携帯端末装置30において、コンロ10の全ての調理部(コンロ部11、グリル部12)の運転状態が一画面で表示されるため、使用者は、この画面(運転状態表示画面600)から、各調理部の運転状態を明確に把握できる。よって、使用者は、複数の調理を並行して進める場合に、調理の隙間時間を確認でき、効率的に調理を取り進めることができる。
【0094】
図2に示したように、コンロ10は、調理部(コンロ部11、グリル部12)で調理されている調理物の温度を検知する温度センサ11bを備え、運転状態情報は、調理物の温度に関する情報を含む。
【0095】
この構成によれば、
図6(a)に示したように、携帯端末装置30において、各々の調理部で調理されている調理物の温度を表示できる。これにより、使用者は、各々の調理物の現在の温度を把握でき、さらには、各々の調理物の温度が調理のための目標の温度範囲に到達するまでの大まかな助走時間を把握できる。このため、使用者は、たとえば、この助走時間に他の調理の準備を行うことや、当該調理部の加熱レベルを調整して、この助走時間を長短させることができる。また、使用者は、現在の温度が高すぎるような場合に、当該調理部の加熱レベルを低下させる等の調整を行うことができる。
【0096】
図6(a)、(b)に示したように、携帯端末装置30は、調理物の温度に応じて変化するバー614bを温度スケール614aに並べた画像(温度表示領域614、624)を調理部(コンロ部11、グリル部12)ごとに表示し、バー614bが温度スケール614aの最大値を超えたことに基づいて、そのことを報知する処理(バー614bの点滅、アラーム音、報知メッセージの出力、等)を実行する。
【0097】
この構成によれば、使用者は、バー614bと温度スケール614aとの関係から、各調理部(コンロ部11、グリル部12)における調理物の温度を、円滑かつ的確に把握できる。また、バー614bが温度スケール614aの最大値を超えた場合にその報知が行われるため、使用者は、各々の調理部(コンロ部11、グリル部12)における調理物の温度および加熱レベルが高すぎることを容易に把握でき、調理部の加熱レベルの調整を円滑に進めることができる。
【0098】
<変更例1>
上記実施形態では、
図6(b)に示したように、温度スケール614aの最大値および最小値が予め決められた温度に固定された。これに対し、変更例1では、温度スケール614aの最大値および最小値が、各々の調理部(コンロ部11、グリル部12)で実行する料理の調理情報に含まれる温度範囲に応じて設定される。
【0099】
図7(a)~(c)は、変更例1に係る、温度表示領域614における表示例を示す図である。
【0100】
図7(a)に示すように、温度スケール614aの最大値および最小値は、当該調理部(コンロ部11)で実行する料理の調理情報に含まれる温度範囲に応じて設定されている。すなわち、制御部301は、記憶部302に記憶されている当該料理の調理情報から温度範囲に関する情報を抽出し、抽出した情報に基づいて、温度スケール614aの最大値および最小値を設定する。温度スケール614aの上下方向の全幅は固定であり、最大値および最小値と、中間の目盛りおよび温度の割り振りが、温度範囲に関する情報に基づき変更される。
【0101】
図7(a)の状態では、温度情報に含まれる温度範囲が140℃~220℃となっている。ここでは、調理物の温度が190℃付近となっており、この温度は、温度スケール614aの範囲に含まれている。
【0102】
これに対し、
図7(b)の状態では、調理物の温度が、温度情報に含まれる温度範囲の最大値である220℃を超えている。この場合、制御部301は、そのことを報知するための報知処理を行う。ここでは、バー614bの色が
図7(a)の状態から変更され、さらに、バー614bが点滅している。このときのバー614bの色は、赤色等の強調色に設定される。
図6(b)の場合と同様、制御部301は、さらに、アラーム音や報知メッセージの音声等を音声出力部305に出力させてもよい。ただし、報知の方法は、上記方法に限られるものではない。
【0103】
また、
図7(c)の状態では、調理物の温度が、温度情報に含まれる温度範囲の最小値である140℃を下回っている。この場合、制御部301は、そのことを報知するための報知処理を行う。ここでは、バー614bの色が
図7(a)の状態のまま、バー614bが点滅している。バー614bの色は、
図7(a)の状態から変更されてもよい。また、
図7(b)の場合に比べて、バー614bの点滅周期が変更されてもよい。たとえば、
図7(b)の場合に比べて、バー614bの点滅周期が長く設定されてもよい。制御部301は、さらに、アラーム音や報知メッセージの音声等を音声出力部305に出力させてもよい。ただし、報知の方法は、上記方法に限られるものではない。
【0104】
変更例1では、
図7(a)に示したように、温度スケール614aの最大値および最小値が、当該調理部で実行する料理の調理情報に含まれる温度範囲に応じて設定される。このため、温度スケール614aの範囲が、調理に適する温度範囲そのものとなるため、現在の温度と調理に適する温度範囲との関係を、大きく見やすく表示できる。よって、使用者は、現在の調理物の温度が適正であるか否かを、明瞭かつ円滑に把握できる。
【0105】
また、
図7(b)に示したように、携帯端末装置30の制御部301は、バー614bが温度スケール614aの最大値を超えたことに基づいて、そのことを報知する処理を実行する。これにより、使用者は、当該調理部(コンロ部11、グリル部12)における調理物の温度状態が、調理情報に含まれる温度範囲、すなわち、当該料理の調理に適する温度範囲を超えたことを明確に把握でき、当該調理部の加熱レベルを低下させるといった対応を円滑に進めることができる。
【0106】
さらに、
図7(c)に示したように、制御部301は、バー614bが温度スケール614aの最小値を下回ったことに基づいて、そのことを報知する処理を実行する。これにより、使用者は、当該調理部(コンロ部11、グリル部12)における調理物の温度状態が、調理情報に含まれる温度範囲、すなわち、当該料理の調理に適する温度範囲を下回ったことを明確に把握でき、当該調理部の加熱レベルを高めるといった対応を円滑に進めることができる。
【0107】
なお、
図7(a)~(c)の表示形態は、当該調理部(コンロ部11、グリル部12)において、サーバ50から取得した調理情報(レシピ情報、温度範囲情報を含む)を用いた調理が行われる場合に適用される。使用者が調理情報を用いずに任意に調理を行う調理部については、
図6(b)と同様の表示形態で表示が行われる。また、自動調理が設定されている調理部(コンロ部11、グリル部12)については、上記のように、温度表示領域614は消失し、当該調理部に対する温度表示は行われない。
【0108】
<変更例2>
上記変更例1では、温度スケール614aの最大値および最小値が、調理情報に含まれる温度範囲に基づいて設定されることにより、調理に適する温度範囲が使用者に提示されたが、調理に適する温度範囲を使用者に提示する方法はこれに限られるものではない。
【0109】
図8(a)~(c)は、変更例2に係る、温度表示領域614における表示例を示す図である。
【0110】
図8(a)に示すように、温度表示領域614は、
図6(b)の表示形態に、さらに、マーカ614e、614fが追加されている。マーカ614eは、調理情報に含まれる温度範囲の最大値を示し、マーカ614fは、調理情報に含まれる温度範囲の最小値を示している。マーカ614e、614fの位置は、当該調理部(コンロ部11)で実行する料理の調理情報に含まれる温度範囲に応じて設定される。すなわち、制御部301は、記憶部302に記憶されている当該料理の調理情報から温度範囲に関する情報を抽出し、抽出した情報に基づいて、マーカ614e、614fの位置を設定する。
【0111】
図8(a)の状態では、温度情報に含まれる温度範囲が170℃~220℃となっている。ここでは、調理物の温度が200℃となっており、この温度は、マーカ614e、614fにより規定される温度範囲に含まれている。
【0112】
これに対し、
図8(b)の状態では、調理物の温度が、マーカ614eで規定される温度範囲の最大値である220℃を超えている。この場合、制御部301は、そのことを報知するための報知処理を行う。この報知処理は、
図7(b)の場合と同様であってよい。
【0113】
また、
図8(c)の状態では、調理物の温度が、マーカ614fで規定される温度範囲の最小値である170℃を下回っている。この場合、制御部301は、そのことを報知するための報知処理を行う。この報知処理は、
図7(c)の場合と同様であってよい。
【0114】
図8(a)~(c)の表示形態によっても、使用者は、
図7(b)の場合と同様、調理物の温度が、調理に適する温度範囲内に収まっているか否かを明確に把握でき、適宜、調理部の加熱レベルを調整できる。
【0115】
なお、
図8(b)の状態からさらに調理物の温度が上昇し、温度スケール614aの最大値(高温が付記される温度)を超えた場合、制御部301は、そのことを報知するための報知処理を行う。この報知処理は、
図8(b)の場合の報知処理と異なっていることが好ましい。たとえば、バー614bの点滅周期が、
図8(b)の場合より短く設定され得る。これにより、使用者は、調理物の温度が、調理に適する温度範囲の最大値を超えたこと(
図8(b)の場合)と、安全性等の観点から設定された温度の最大値を超えたこととを、区別して把握できる。
【0116】
また、
図8(a)~(c)の表示形態は、当該調理部(コンロ部11、グリル部12)において、サーバ50から取得した調理情報(レシピ情報、温度範囲情報を含む)を用いた調理が行われる場合に適用される。使用者が調理情報を用いずに任意に調理を行う調理部については、
図8(a)~(c)の表示形態からマーカ614e、614fが省略され、
図6(b)と同様の表示形態で表示が行われる。
【0117】
<その他の変更例>
運転状態表示画面600の構成は、
図6(a)に示した構成に限られるものではない。コンロ10から受信した運転状態情報に基づき複数の調理部(コンロ部11、グリル部12)の各々の運転状態を一画面で表示する限りにおいて、運転状態表示画面600の構成は、適宜変更され得る。
【0118】
また、温度表示領域614、624における表示形態は、上記実施形態および変更例1、2に示した表示形態に限られるものではない。
【0119】
また、調理情報を記憶部302に記憶させる方法は、上記のようにサーバ50から調理情報を取得して記憶させる方法に限られるものではない。たとえば、記憶部102に記憶される調理システムのアプリケーションプログラムに、予め、調理情報が含まれていてもよく、あるいは、携帯端末装置30に装着されたUSBメモリ等から制御部301が調理情報を読み出して記憶部302に記憶させてもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、コンロ10がガスコンロであったが、コンロ10は、ガス燃焼式以外の方式で調理物を加熱する構成であってもよい。たとえば、コンロ10が、コイルに流れる電流により金属製の調理用具(鍋、ヤカン等)に熱を生じさせる誘導加熱型コンロ(IHコンロ)であってもよい。
【0121】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0122】
1 調理システム
10 コンロ
30 携帯端末装置
11b 温度センサ
600 運転状態表示画面
614、624 温度表示領域
614a 温度スケール
614b バー