(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089793
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20240627BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20240627BHJP
F24H 15/104 20220101ALI20240627BHJP
F24H 15/281 20220101ALI20240627BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20240627BHJP
F24H 15/108 20220101ALI20240627BHJP
G06F 8/65 20180101ALI20240627BHJP
【FI】
F24H15/196 302H
F24H1/14 B
F24H15/104
F24H15/281
F24H15/395
F24H15/108
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205217
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】輿水 連太郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 晴喜
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 瑶
(72)【発明者】
【氏名】福田 智也
【テーマコード(参考)】
3L024
3L034
5B376
【Fターム(参考)】
3L024CC01
3L024CC17
3L024DD02
3L024DD22
3L024EE03
3L024EE09
3L024FF04
3L024GG39
3L024HH60
3L034EA07
5B376CA27
5B376CA36
(57)【要約】
【課題】給湯器の動作を適切に実行させつつ、給湯器に対するファームウェアの更新を円滑に行うことが可能な給湯装置を提供する。
【解決手段】給湯装置10は、給湯器11と、台所リモコン13(操作器)とを備える。台所リモコン13は、表示入力部131と、音声出力部135と、制御部133と、を備える。制御部133は、表示入力部131を介して給湯器11に対するファームウェアの更新操作を受け付けた場合、給湯器11の動作状態がファームウェアの更新を禁止する禁止条件に合致するか否かに基づいて、ファームウェアの更新可否を判定し、ファームウェアの更新が可能であると判定した場合は、給湯器11にファームウェアの更新を行わせるための更新指示を給湯器11に送信し、ファームウェアの更新が可能でないと判定した場合は、更新指示の送信を行うことなく、禁止条件に基づく報知を表示入力部131および音声出力部135に報知させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器と、
前記給湯器に通信可能に接続された操作器と、を備え、
前記操作器は、
使用者からの操作入力を受け付ける入力部と、
使用者に対して報知出力を行う報知部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記入力部を介して前記給湯器に対するファームウェアの更新操作を受け付けた場合、前記給湯器の動作状態が前記ファームウェアの更新を禁止する禁止条件に合致するか否かに基づいて、前記ファームウェアの更新可否を判定し、
前記ファームウェアの更新が可能であると判定した場合は、前記給湯器に前記ファームウェアの更新を行わせるための更新指示を前記給湯器に送信し、
前記ファームウェアの更新が可能でないと判定した場合は、前記更新指示の送信を行うことなく、前記禁止条件に基づく報知を前記報知部に報知させる、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯装置において、
前記制御部は、前記ファームウェアの更新可否を前記給湯器に問い合わせ、
前記給湯器は、自身の前記動作状態が前記禁止条件に合致するか否かに基づいて、前記ファームウェアの更新可否の応答を、前記制御部に送信し、
前記制御部は、前記給湯器からの前記応答に基づいて、前記ファームウェアの更新可否を判定する、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項3】
請求項1に記載の給湯装置において、
前記制御部は、前記給湯器との通信により予め取得している前記動作状態の情報から、前記給湯器の動作状態が前記禁止条件に合致するか否かを判定し、判定結果から前記ファームウェアの更新可否を決定する、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項4】
請求項1に記載の給湯装置において、
前記給湯器は、所定の動作を実行中に、前記ファームウェアの前記更新指示を受信した場合、前記所定の動作を完了した後、前記ファームウェアの更新を行う、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項5】
請求項1に記載の給湯装置において、
前記給湯器は、所定の動作を実行中に、前記ファームウェアの前記更新指示を受信した場合、前記所定の動作を中断して、前記ファームウェアの更新を行う、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項6】
請求項5に記載の給湯装置において、
前記給湯器は、中断した前記所定の動作を、前記ファームウェアの更新後に、中断時点から再開する、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項7】
請求項5に記載の給湯装置において、
前記給湯器は、中断した前記所定の動作を、前記ファームウェアの更新後に、最初から実行する、
ことを特徴とする給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置に関し、給湯器に対するファームウェアの更新に用いてこう好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器の制御ソフトウエアであるファームウェアが、随時、最新のものに更新され、給湯器に適用されている。以下の特許文献1には、給湯タンクに貯留された湯水を燃料電池ユニットの排熱により温める方式の燃料電池システムにおいて、各々の構成装置に対するファームウェアの更新を効率的かつ安全に行うことが可能な構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給湯装置のリモートコントローラが、外部通信網を介して、給湯器のファームウェアを管理するサーバと通信可能な給湯システムでは、リモートコントローラに対する使用者からの操作によって、給湯器に対するファームウェアの更新が、随時行われ得る。
【0005】
その一方で、給湯器の制御部(マイクロコンピュータ)に対するファームウェアの更新が行われる際には、制御部に対するリセット動作が必要となり、このリセット動作によって、制御部の内蔵メモリに記憶されていた情報は消失してしまう。このため、上記のような構成において、たとえば、給湯器の動作中に、使用者が給湯器のファームウェアを更新する操作を行うと、動作中の給湯器の動作が途中で中止されることとなってしまう。
【0006】
また、給湯器の動作の中には、凍結予防運転等、使用者からの操作なく自動で行われる動作もある。このような動作は、通常、使用者により把握され得ない動作である。このため、使用者が、給湯器は動作していないと判断して給湯器のファームウェアの更新操作を行った場合、たとえば、このときに凍結予防運転が行われていると、ファームウェアの更新動作による制御部のリセットによって凍結予防運転が強制停止され、給湯器またはその配管に凍結による破損が生じる惧れがある。
【0007】
かかる課題に鑑み、本発明は、給湯器の動作を適切に実行させつつ、給湯器に対するファームウェアの更新を円滑に行うことが可能な給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる態様に係る給湯装置は、給湯器と、前記給湯器に通信可能に接続された操作器と、を備える。前記操作器は、使用者からの操作入力を受け付ける入力部と、使用者に対して報知出力を行う報知部と、制御部と、を備える。前記制御部は、前記入力部を介して前記給湯器に対するファームウェアの更新操作を受け付けた場合、前記給湯器の動作状態が前記ファームウェアの更新を禁止する禁止条件に合致するか否かに基づいて、前記ファームウェアの更新可否を判定し、前記ファームウェアの更新が可能であると判定した場合は、前記給湯器に前記ファームウェアの更新を行わせるための更新指示を前記給湯器に送信し、前記ファームウェアの更新が可能でないと判定した場合は、前記更新指示の送信を行うことなく、前記禁止条件に基づく報知を前記報知部に報知させる。
【0009】
本態様に係る給湯装置によれば、給湯器の動作状態が、ファームウェアの更新を禁止する禁止条件に合致する場合は、ファームウェアの更新が行われることなく、禁止条件に基づく報知が行われる。これにより、たとえば、凍結予防運転を実行中にファームウェアの更新操作が行われた場合は、ファームウェアの更新が行われることなく、凍結予防運転が継続される。よって、給湯器の動作を適切に実行させることができる。また、このとき、禁止条件に基づく報知が行われるため、使用者は、所定の禁止条件(たとえば、凍結予防運転中であること)によりファームウェアの更新が中止されたことを把握できる。これにより、使用者は、禁止条件に対応する給湯器の動作が終了したと想定されるタイミングで再度、ファームウェアの更新操作を行う等の対応をとることができる。よって、給湯器に対するファームウェアの更新を円滑に行うことができる。このように、本態様に係る給湯装置によれば、給湯器の動作を適切に実行させつつ、給湯器に対するファームウェアの更新を円滑に行うことができる。
【0010】
本態様に係る給湯装置において、前記制御部は、前記ファームウェアの更新可否を前記給湯器に問い合わせ、前記給湯器は、自身の前記動作状態が前記禁止条件に合致するか否かに基づいて、前記ファームウェアの更新可否の応答を、前記制御部に送信し、前記制御部は、前記給湯器からの前記応答に基づいて、前記ファームウェアの更新可否を判定するよう構成され得る。
【0011】
この構成によれば、給湯器の実際の動作状態に基づいて、ファームウェアの更新可否を判定できる。よって、給湯器の動作を適切に実行させつつ、ファームウェアの更新を行うことができる。
【0012】
本態様に係る給湯装置において、前記制御部は、前記給湯器との通信により予め取得している前記動作状態の情報から、前記給湯器の動作状態が前記禁止条件に合致するか否かを判定し、判定結果から前記ファームウェアの更新可否を決定するよう構成され得る。
【0013】
この構成によれば、操作器側から給湯器にファームウェアの更新可否を問い合わせることなく、操作器側で給湯器の動作状態が禁止条件に合致するか否かを判定して、ファームウェアの更新可否を決定できる。よって、より簡易に、ファームウェアの更新可否を決定できる。
【0014】
本態様に係る給湯装置において、前記給湯器は、所定の動作を実行中に、前記ファームウェアの前記更新指示を受信した場合、前記所定の動作を完了した後、前記ファームウェアの更新を行うよう構成され得る。
【0015】
この構成によれば、たとえば、給湯器を安全に動作停止させるための所定の動作が実行中である場合、この動作が完了した後に、ファームウェアの更新が行われる。これにより、給湯器の動作を適切に完了させつつ、ファームウェアの更新を速やかに実行させることができる。
【0016】
本態様に係る給湯装置において、前記給湯器は、所定の動作を実行中に、前記ファームウェアの前記更新指示を受信した場合、前記所定の動作を中断して、前記ファームウェアの更新を行う。
【0017】
この構成によれば、ファームウェアの更新を円滑に進めることができる。
【0018】
この場合、前記給湯器は、中断した前記所定の動作を、前記ファームウェアの更新後に、中断時点から再開するよう構成され得る。
【0019】
この構成によれば、中断した前記所定の動作を、ファームウェアの更新後に、速やかに完了できる。
【0020】
あるいは、前記給湯器は、中断した前記所定の動作を、前記ファームウェアの更新後に、最初から実行するよう構成され得る。
【0021】
この構成によれば、ファームウェアの更新後に所定の動作が最初から実行されるため、簡素な制御により確実に、所定動作を実行できる。
【発明の効果】
【0022】
以上のとおり、本発明によれば、給湯器の動作を適切に実行させつつ、給湯器に対するファームウェアの更新を円滑に行うことが可能な給湯装置を提供することができる。
【0023】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施形態に係る、給湯システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る、給湯器、台所リモコンおよびサーバの回路ブロックを示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る、給湯器の燃焼系および配管の構成を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る、ファームウェア更新時に台所リモコンの制御部によって行われる処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る、ファームウェアの更新可否の判定処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る、ファームウェアの更新可否の判定処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る、給湯器の制御部が、台所リモコンからファームウェアの更新可否の問い合わせを受けた場合の処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8(a)、(b)は、実施形態に係る、判定対象機能の一例を示す図である。
図8(a)、(b)には、さらに、各々の判定対象機能が動作中であることによりファームウェアの更新処理が中止された場合に報知される報知情報の一例が示されている。
【
図9】
図9は、実施形態に係る、給湯器の制御部が、更新指示およびファームウェアを給湯器の制御部が受信した場合に行う処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、変更例に係る、給湯器の制御部が、更新指示およびファームウェアを給湯器の制御部が受信した場合に行う処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、実施形態に係る、給湯システム1の構成を示す図である。
【0027】
図1に示すように、給湯システム1は、給湯装置10と、サーバ40とを備える。給湯装置10は、外部通信網30を介して、サーバ40と通信可能である。また、給湯装置10は、サーバ40を介して、図示しない携帯端末装置(たとえば、携帯電話機)により遠隔制御可能である。携帯端末装置の使用者は、宅内H10または宅外において、自身の携帯端末装置を用いて、湯張りや追い焚き、給湯温度の設定等の各種設定を行い得る。
【0028】
給湯装置10は、給湯器11と、リモートコントローラ12、13とを備えている。給湯器11は、ガスを燃料として湯を供給するガス給湯器である。すなわち、給湯装置10は、ガス燃料を燃焼させて生じる燃焼ガスで水を温めるガス燃焼式給湯装置である。
【0029】
給湯器11により生成された湯は、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給される。また、床暖房機能や、室内暖房機能、浴室暖房機能を実現するそれぞれの機器(暖房端末)に対して、給湯器11から湯が供給される。
【0030】
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、給湯装置10の各機能について種々の設定や実行指示を行うために用いられる。リモートコントローラ12は、液晶パネルからなる表示部121と、入力部122とを備え、リモートコントローラ13は、タッチパネルからなる表示入力部131と、運転ボタン132とを備える。使用者は、表示部121に表示された画面に従って入力部122を操作することにより、湯張りや給湯温度調節等について、任意の設定を行うことができる。また、使用者は、表示入力部131を操作することによっても、湯張り等の設定を行える。
【0031】
リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、キッチン等に設置される。リモートコントローラ12、13には、音声を入出力するための音声窓12a、13aが設けられている。
【0032】
以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
【0033】
ルータ20は、建物内(ここでは、宅内H10)に存在する各機器を、外部通信網30に接続するための通信中継器である。外部通信網30は、たとえば、インターネットである。外部通信網30には、給湯装置10を管理するためのサーバ40が接続されている。台所リモコン13は、ルータ20および外部通信網30を介して、サーバ40と通信を行う。
【0034】
台所リモコン13には、給湯システム1のアプリケーションプログラムが、サーバ40からダウンロードされ、インストールされている。このアプリケーションプログラムに、サーバ40にアクセスするためのアドレス情報(たとえば、IPアドレス)が含まれている。台所リモコン13は、このアドレス情報に基づいて、サーバ40にアクセスし、通信を行う。
【0035】
台所リモコン13のアドレス情報は、初期設定の際に、サーバ40に送信されて、サーバ40に登録される。さらに、台所リモコン13のID情報(識別情報)が、台所リモコン13からサーバ40に送信されて、サーバ40に登録される。
【0036】
図2は、給湯器11、台所リモコン13およびサーバ40の回路ブロックを示す図である。
【0037】
給湯器11は、制御部111と、記憶部112と、駆動部113と、検出部114と、通信部115と、を備える。
【0038】
制御部111は、マイクロコンピュータを備え、内蔵メモリに記憶されたプログラム(ファームウェア)に従って、給湯器11内の各部の制御を行う。記憶部112は、メモリを備え、ファームウェア実行時の外部メモリ(ワーク領域)として用いられる。
【0039】
駆動部113は、後述の元ガス電磁弁や比例弁、流量調節弁、ヒータ等の給湯動作に必要な駆動手段を備える。検出部114は、給湯器11に配置された各種センサを含んでいる。たとえば、検出部114は、湯水の温度や燃焼器付近の温度を検出するための温度センサや、湯水の供給を検出するための流量センサ等を含んでいる。
【0040】
通信部115は、制御部111からの制御に従って、浴室リモコン12(
図1参照)および台所リモコン13と通信を行う。この通信は、給湯器11から浴室リモコン12および台所リモコン13に電力を供給するための2芯通信線を介して行われる。
【0041】
台所リモコン13は、
図1に示した表示入力部131および運転ボタン132の他、制御部133と、記憶部134と、音声出力部135と、通信部136と、を備える。
【0042】
制御部133は、マイクロコンピュータを備え、記憶部134に記憶されたプログラムに従って各部を制御する。記憶部134は、ROM、RAM等のメモリを備え、制御部133が実行するプログラムを記憶する。音声出力部135は、マイクロフォンを備え、制御部133からの制御により、所定の音声を出力する。出力された音声は、
図1の音声窓13aを介して、外部に放出される。通信部136は、上記のように、2芯通信線を介して給湯器11の通信部115と通信を行う。また、通信部136は、ルータ20および外部通信網30を介してサーバ40と通信を行うための通信モジュールを備える。
【0043】
サーバ40は、制御部411と、記憶部412と、通信部413とを備える。
【0044】
制御部411は、CPU等の演算処理回路を備え、記憶部412に記憶されたプログラムに従って各部を制御する。記憶部412は、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段を備え、制御部411が実行するプログラムを記憶する。記憶部412には、給湯器11に適用されるファームウェア情報が、給湯器11の種別ごとに記憶されている。通信部413は、制御部411からの制御により、外部通信網30を介して、台所リモコン13と通信を行う。
【0045】
図3は、給湯器11の燃焼系および配管の構成を模式的に示す図である。
【0046】
給湯器11は、その外郭を形成する筐体200内に、第1供給部210と第2供給部220とを備える。第1供給部210は、給湯機能のために、給湯用の湯を生成して、カラン、浴槽等の給湯端末に供給する。第2供給部220は、床暖房、室内暖房および浴室暖房を含む暖房機能のために、暖房用の湯を生成して床暖房機等の暖房端末に供給する。さらに、第2供給部220は、追い焚き機能のために、追い焚き用の湯を生成して浴槽に供給する。
【0047】
さらに、筐体200には、燃焼室を構成する缶体250と、缶体250の内部に燃焼用の空気を供給するためのファン260とが収容されている。缶体250の排気口251は、筐体200の上面から外部に導かれている。
【0048】
第1供給部210は、1次熱交換器211と、2次熱交換器212と、燃焼器213とを備える。燃焼器213は、燃料ガスを燃焼させるガスバーナである。1次熱交換器211および2次熱交換器212は、燃焼器213で生じた燃焼ガスから熱を回収して、入水管214を流れる水を加熱昇温させる。入水管214には、水源からの水が供給される。1次熱交換器211および2次熱交換器212における熱交換により生成された湯が、出湯管215から出湯される。出湯された湯は、台所および浴室のカランに供給される。
【0049】
入水管214と出湯管215の間には、バイパス管216が設けられている。このバイパス管216に、制御部111によって制御される流量調節弁217が設置されている。流量調節弁217が開放されると、バイパス管216を介して、入水管214から出湯管215に水が流入する。こうして、出湯管215を流れる湯に水が混ざることで、湯の温度が調整される。また、出湯管215に設けられた流量調節弁218によって入水管214および出湯管215を流れる湯水の流量を調整することによっても、湯の温度を調整できる。流量調節弁218は、入水管214に設けられてもよい。
【0050】
燃焼器213には、ガス管271を介して、燃料ガスが供給される。ガス管271には、燃料ガスの供給および遮断を切り替えるための元ガス電磁弁272が設置されている。元ガス電磁弁272は、制御部111によって制御される。ガス管271は、元ガス電磁弁272の下流側において2つの流路271a、271bに分岐している。流路271a、271bには、それぞれ、燃料ガスの流通量を制御するための比例弁273、274が設置されている。比例弁273、274は、制御部111によって制御される。元ガス電磁弁272および比例弁273、274は、
図2の駆動部113に含まれる。
【0051】
流路271a、271bは、それぞれ、燃焼器213、223に接続されている。元ガス電磁弁272が開放されると、比例弁273、274により規定される流通量の燃料ガスが、燃焼器213、223に供給される。これにより、所定の燃焼量で燃焼器213、223が燃焼を行う。
【0052】
第2供給部220は、1次熱交換器221と、2次熱交換器222と、燃焼器223とを備える。燃焼器223は、燃料ガスを燃焼させるガスバーナである。1次熱交換器221および2次熱交換器222は、それぞれ、燃焼器223で生じた燃焼ガスから熱を回収して、流通管234、233を流れる水を加熱昇温させる。
【0053】
暖房機能について、流通管231から出湯された湯は、比較的高温(たとえば、80℃程度)の湯を必要とする暖房端末、すなわち室内暖房機と浴室換気乾燥暖房機に供給される。流通管232から出湯された湯は、比較的低温(たとえば、60℃程度)の温水を必要とする暖房端末、すなわち床暖房機に供給される。これらの暖房端末を循環した湯は、流通管233に戻される。すなわち、流通管231、232、233と、これらの流通管と暖房端末とを接続する配管、および、流通管234、235とによって、暖房端末との間の循環経路が構成される。
【0054】
暖房用の流路と暖房端末との間で湯を循環させるために、膨張タンク236とポンプ237が設置されている。制御部111によりポンプ237が駆動されると、膨張タンク236内の湯が、流通管231、232を通って各暖房端末に導入され、さらに、各暖房端末を通った湯が、流通管233に戻される。流通管233に戻された湯は、2次熱交換器222で加熱昇温され、膨張タンク236に貯留される。
【0055】
膨張タンク236に貯留された低温の湯は、流通管232を通って、低温の暖房端末に供給される。また、膨張タンク236に貯留された低温の湯は、流通管234を通って1次熱交換器221に流通され、高温の湯に加熱昇温される。その後、高温の湯は、流通管231を通って、高温の暖房端末に供給される。このとき、流通管235に設置された流量調節弁238が、適宜、制御部111により開かれる。これにより、膨張タンク236内の低温の湯が、流通管231を流れる高温の湯に混ぜられて、流通管231から出湯される温水の温度が調整される。こうして、各暖房端末と、1次熱交換器221および2次熱交換器222との間で、低温または高温の湯が循環される。なお、流通管231、232には、図示しない開閉弁が設けられ、高温の暖房端末のみに湯を供給するときには、低温用の流通管232の開閉弁が閉鎖され、低温の暖房端末のみに湯を供給するときには、高温用の流通管231の開閉弁が閉鎖される。
【0056】
追い焚き機能について、流通管241から出湯された湯は、浴槽に供給された後、浴槽から流通管243に戻される。すなわち、流通管241、242と、これらの流通管と浴槽とを接続する配管とによって、浴槽との間の循環経路が構成される。流通管242には、浴槽との間で湯を循環させるためのポンプ244が設置されている。さらに、流通管242には、流通管243を流れる温水との間で熱交換を行うための液液熱交換器245が設置されている。
【0057】
追い焚き時には、制御部111によりポンプ237が駆動された状態で、制御部111により開閉弁246が開放される。これにより、1次熱交換器221で加熱昇温された湯が流通管243を流れ、液液熱交換器245により、流通管242を流れる湯が加熱昇温される。加熱昇温された湯は、ポンプ244の駆動により、浴槽に供給される。こうして、浴槽と流通管241、242との間で循環する湯が液液熱交換器245で加熱昇温されることにより、浴槽内の湯に対する追い焚きが行われる。
【0058】
湯張り機能について、出湯管215を流れる湯は、出湯管215から分岐した流通管247へと分流され、流通管247に配置された注湯ユニット248によって、流通管242へと導かれる。注湯ユニット248は、制御部111により制御され、湯張り機能実行時に、出湯管215から流通管247へと分流される湯を流通管242へと導く。流通管242へと導かれた湯は、ポンプ244の駆動により、浴槽に供給される。こうして、第1供給部210で生成された湯が浴槽へと供給され、浴槽に湯張りが行われる。
【0059】
また、筐体200内には、湯の供給動作を実行するための各種センサが設置されている。すなわち、8つのサーミスタS1~S8(温度センサ)が、筐体200内に設置されている。
【0060】
サーミスタS1は、出湯管215から出湯される直前の湯水の温度を検知し、サーミスタS2は、缶体250の出口付近において出湯管215を流れる湯水の温度を、給湯温度として検知する。サーミスタS3、S4は、それぞれ、流通管231、232から各暖房端末に出湯される直前の湯水の温度を検知し、サーミスタS5は、各暖房端末から流通管233に戻された湯水の温度を検知する。サーミスタS6は、流通管241から浴槽に出湯される直前の湯水の温度を検知し、サーミスタS7は、浴槽から流通管242に戻された湯水の温度を検知する。サーミスタS8は、排気口251付近の温度を検知する。
【0061】
この他、出湯管215を流れる湯水の流量を検知するための流量センサS9が筐体200内に設置される。運転オン状態にある場合、制御部111は、流量センサS9により所定量以上の流量が検知されると、第1供給部210を動作させる。これにより、給湯機能の給湯運転が開始される。サーミスタS1~S7および流量センサS9は、
図3の検出部114に含まれる。
【0062】
また、入水管214および出湯管215の缶体250付近には、入水管214および出湯管215を温めるためのヒータH1、H2が配置されている。また、流通管233、234の缶体250付近には、流通管233、234を温めるためのヒータH3、H4が配置されている。
【0063】
これらのヒータは、凍結予防運転時に駆動される。すなわち、サーミスタS8により検出される温度が所定の閾値を下回ったことを条件に、制御部111は、ヒータH1~H4を駆動して、1次熱交換器211、221および2次熱交換器212、222の凍結を防止する。この他、図示しない外気温検知用の温度センサの検知温度が所定の閾値を下回ったことを条件に、制御部111は、浴槽内の湯を給湯器11と浴槽とを接続する配管に流通させて、この配管の凍結を防ぐ。
【0064】
ところで、上記構成の給湯システム1では、台所リモコン13に対する使用者からの操作によって、給湯器11に対するファームウェアの更新が、随時行われ得る。
【0065】
ここで、給湯器11の制御部111(マイクロコンピュータ)に対するファームウェアの更新が行われる際には、制御部111に対するリセット動作が必要となり、このリセット動作によって、制御部111の内蔵メモリに記憶されていた情報は消失してしまう。このため、上記のような構成において、たとえば、給湯器11の動作中に、使用者が給湯器11のファームウェアを更新する操作を行うと、動作中の給湯器11の動作が途中で中断されることとなってしまう。
【0066】
また、給湯器11の動作の中には、凍結予防運転等、使用者からの操作なく自動で行われる動作もある。このような動作は、通常、使用者により把握され得ない動作である。このため、使用者が、給湯器11は動作していないと判断して給湯器11のファームウェアの更新操作を行った場合、たとえば、このときに凍結予防運転が行われていると、ファームウェアの更新動作による制御部111のリセットによって凍結予防運転が強制停止され、給湯器11またはその配管に凍結による破損が生じる惧れがある。
【0067】
このような問題に鑑み、本実施形態では、給湯器11の動作を適切に実行させつつ、給湯器11に対するファームウェアの更新を円滑に行うことが可能な制御が行われる。以下、この制御について説明する。
【0068】
図4は、ファームウェア更新時に台所リモコン13の制御部133によって行われる処理を示すフローチャートである。
【0069】
図4を参照して、制御部133は、表示入力部131に対する使用者からのファームウェア更新の操作入力に応じて、サーバ40から、更新対象のファームウェア情報を取得する(S101)。制御部133は、サーバ40からファームウェアを取得すると、ファームウェアの更新指示を受け付けるための受付画面を表示入力部131に表示させる。この受付画面を介して使用者から更新指示を受けると(S102:YES)、制御部133は、ファームウェアの更新可否の判定処理を行う(S103)。ステップS103において、制御部133は、給湯器11の動作状態がファームウェアの更新を禁止する禁止条件に合致するか否かに基づいて、ファームウェアの更新可否を判定する。
【0070】
ファームウェアの更新が可能である場合(S104:YES)、制御部133は、ステップS101で取得したファームウェアを、更新指示とともに給湯器11に送信して(S105)、
図4の処理を終了する。給湯器11の制御部111は、ステップS105の処理により受信したファームウェアを、一旦、記憶部112に記憶させる。その後、制御部111は、記憶部112に記憶させたファームウェアを制御部111内の内部メモリに上書きし、制御部111をリセットさせる。これにより、ファームウェアの更新が終了する。給湯器11におけるファームウェアの更新処理については、追って、
図9を参照して説明する。
【0071】
他方、ファームウェアの更新が可能でない場合(S104:NO)、制御部133は、ファームウェアおよび更新指示の送信を行うことなく、ファームウェアの更新ができないことを使用者に報知する処理を行う(S106)。ここでは、ファームウェアの更新ができないことの理由である禁止条件に基づく報知が行われる。この報知は、たとえば、台所リモコン13の表示入力部131に報知画面を表示させることにより行われる。このとき同時に、音声出力部135から、チャイム音や、報知画面と同様の内容のメッセージ音声が出力されてもよい。あるいは、報知画面の表示に代えて、音声出力部135から、チャイム音と、禁止条件に基づくメッセージ音声が出力されてもよい。
【0072】
図5および
図6は、
図4のステップS103における更新可否の判定処理を示すフローチャートである。
図5および
図6の処理は、並行して行われる。
図5のステップS111、S112が上述の禁止条件の1つに対応する。
【0073】
まず、
図5を参照して、制御部133は、給湯器11との通信により予め取得している現在の給湯器11の動作状態を示す情報(動作情報)から、給湯器11の動作状態が禁止条件に合致するか否かを判定する(S111、S112)。具体的には、制御部133は、予め設定された機能(判定対象機能)の動作情報を参照し(S111)、判定対象機能が動作中であるか否かを判定する(S112)。
【0074】
ここで、判定対象機能は、ファームウェアの更新によりその機能の動作が中止されると、使用者に支障を与え、あるいは、給湯器11に故障等の不具合が生じる可能性がある機能である。また、判定対象機能には、たとえば、長時間に亘る膨大な演算処理を伴うため、ファームウェアの更新によりその機能の動作が途中で中止されることが好ましくない機能が含まれてよい。
図5の判定処理では、このうち、給湯器11との通信により予め制御部133が取得している現在の動作情報から制御部133が動作の可否を判定し得る一部の機能が、ステップS111、S112における判定対象機能に設定される。
【0075】
判定対象機能が動作中でない場合(S112:NO)、制御部133は、ファームウェアの更新は可能であると判定する(S113)。他方、判定対象機能が動作中である場合(S112:YES)、制御部133は、ファームウェアの更新は可能でないと判定する(S114)。
【0076】
次に、
図6を参照して、制御部133は、ファームウェアの更新が可能であるか否かを、給湯器11に問い合わせる(S121)。これに対し、更新が可能であるとの応答を給湯器11から受信すると(S121:YES)、制御部133は、ファームウェアの更新は可能であると判定する(S123)。他方、更新が可能でないとの応答を給湯器11から受信すると(S122:NO)、制御部133は、ファームウェアの更新は可能でないと判定する(S124)。
【0077】
図7は、給湯器11の制御部111が、
図6のステップS121により問い合わせを受けた場合の処理を示すフローチャートである。
【0078】
制御部111は、給湯器11の動作状態が禁止条件に合致するか否かを判定する(S201、S202)。具体的には、制御部111は、上述の判定対象機能のうち自身が判定すべき判定対象機能の動作状態を参照し(S201)、判定対象機能が動作中であるか否かを判定する(S202)。
【0079】
判定対象機能が動作中でない場合(S202:NO)、制御部111は、ファームウェアの更新は可能であることを示す応答を台所リモコン13に送信する(S203)。他方、判定対象機能が動作中である場合(S202:YES)、制御部111は、ファームウェアの更新は可能でないことを示す応答を台所リモコン13に送信する(S204)。
【0080】
図4に戻り、台所リモコン13の制御部133は、
図5および
図6の何れの処理によってもファームウェアの更新は可能であると判定した場合、ステップS104の判定をYESとして、ステップS105の処理を実行する。他方、制御部133は、
図5および
図6の少なくとも一方の処理によってファームウェアの更新は可能でないと判定した場合、ステップS104の判定をNOとして、ステップS106の処理を実行する。
【0081】
図8(a)は、
図5のステップS111、S112において判定対象とされる判定対象機能の一例を示す図である。
図8(a)には、さらに、この判定対象機能が動作中であることによりファームウェアの更新処理が中止された場合に、
図4のステップS106において報知される報知情報の一例が示されている。
【0082】
ここでは、エネルギーデータ更新機能が、判定対象機能に設定されている。エネルギーデータ更新機能とは、ガス使用量や水の使用量等を時間ごと、日ごと、週ごと、月ごと、および年ごとに集計および更新する機能である。エネルギーデータ更新機能は、長時間に亘る膨大な演算処理を伴うため、ファームウェアの更新によりその機能の動作が途中で中止されることは好ましくない。この観点から、エネルギーデータ更新機能が、判定対象機能の1つに挙げられている。エネルギーデータ更新機能により更新されたエネルギーデータは、表示入力部131に対する使用者からの操作により、表示入力部131に表示される。
【0083】
図8(b)は、
図7のステップS201、S202において判定対象とされる判定対象機能の一例を示す図である。
図8(b)には、さらにこれらの判定対象機能が動作中であることによりファームウェアの更新処理が中止された場合に、
図4のステップS106において報知される報知情報の一例が示されている。
【0084】
ここでは、運転機能と、室内暖房機能と、浴室暖房機能と、床暖房機能と、応急運転機能と、凍結予防運転機能とが、判定対象機能に設定されている。運転機能は、運転ボタン132が操作されることにより給湯器11を運転状態に設定する機能である。室内暖房機能、浴室暖房機能および床暖房機能は、上述のとおりである。応急運転機能は、停電時等において外部バッテリーを用いて給湯器11を運転する機能である。凍結予防運転機能は、上記のとおり、1次熱交換器211、221および2次熱交換器212、222の凍結や、給湯器11と浴槽とを接続する配管の凍結を防止する機能である。
【0085】
運転機能、室内暖房機能、浴室暖房機能、床暖房機能、および応急運転機能は、ファームウェアの更新によりその機能の動作が中止されると、使用者に支障を与えるため、ファームウェアの更新により動作が中止されるのは好ましくない。また、凍結予防運転機能は、ファームウェアの更新によりその機能の動作が中止されると、給湯器11に故障等の不具合が生じる可能性があるため、ファームウェアの更新により動作が中止されるのは好ましくない。このような観点から、これらの機能が、判定対象機能の1つに挙げられている。
【0086】
図8(a)、(b)の判定対象機能の何れかが動作中であるためにファームウェアの更新が中止された場合、
図4のステップS106において、当該判定対象機能に対応付けられた報知情報に基づく報知が行われる。たとえば、報知画面には、報知情報のメッセージ画像が含まれ、報知音声には、報知情報のメッセージ音声が含まれる。これにより、使用者は、ファームウェアの更新が中止された理由を把握できる。
【0087】
図9は、
図4のステップS105において送信された更新指示およびファームウェアを給湯器11の制御部111が受信した場合に、給湯器11の制御部111が行う処理を示すフローチャートである。
【0088】
制御部111は、台所リモコン13から更新指示およびファームウェアを受信すると(S211:YES)、上記のように、ファームウェアを一旦、記憶部112に記憶させ、完了待機機能が動作中であるか否かを判定する(S212)。完了待機機能は、安全性等の観点から、その機能の動作完了を待ってファームウェアの更新処理を行うことが好ましい機能である。
【0089】
完了待機機能として、たとえば、燃焼器213、223の燃焼が終了した後に、燃焼器213、223の余熱によって1次熱交換器211、221および2次熱交換器212、222の流路およびこれら流路に残った湯の温度が上昇することを抑制するための機能が含まれる。この機能では、燃焼器213、223の燃焼が終了した後に、所定時間、ファン260を駆動させる動作や、ポンプ237により1次熱交換器221および2次熱交換器222に湯を循環させる動作が行われる。
【0090】
この他、完了待機機能として、ウォータハンマーを抑制するための機能や、燃焼時間や燃焼回数等の情報を記憶部112に記憶させる機能等、速やかに動作が完了する機能が含まれてもよい。
【0091】
完了待機機能が動作中である場合(S212:YES)、制御部111は、完了待機機能の動作が完了するのを待つ(S213)。その後、完了待機機能の動作が完了すると(S213:YES)、制御部111は、ステップS214へと処理を進める。また、完了待機機能が動作中でない場合も(S212:NO)、制御部111は、ステップS214へと処理を進める。
【0092】
ステップS214において、制御部111は、中断対象機能が動作中であるか否かを判定する(S214)。中断対象機能が動作中でない場合(S214:NO)、制御部111は、ファームウェアの更新処理を実行する(S215)。ファームウェアの更新処理では、上記のように、記憶部112に一旦記憶されているファームウェアが制御部111の内部メモリに上書きされ、制御部111がリセットされる。
【0093】
中断対象機能は、ファームウェアの更新を開始する前に進行中の動作を中断し、ファームウェアの更新後に、中断時点から動作を再開することが可能な機能である。中断対象機能として、1次熱交換器211、221および2次熱交換器212、222による燃焼ガスの熱回収の際に生じるドレンを排水するドレン排水機能や、浴槽から湯を排水する際に、浴槽と給湯器11との間の湯の循環経路を清掃する配管クリーン機能が含まれる。
【0094】
ドレン排水機能では、缶体250内で回収されたドレンを、たとえば、浴槽からの湯の排水時に、三方切換弁により流通管242(
図3参照)へと流し、ポンプ244により浴槽へと導く動作が行われる。便宜上、
図2には、ドレン排水機能を実現するための構成の図示が省略されている。配管クリーン機能では、浴槽からの湯の排水がほぼ終了するタイミングで、注湯ユニット248から新たに湯または水を流通管242へと供給し、ポンプ244により浴槽へと導く動作が行われる。
【0095】
中断対象機能が動作中である場合(S214:YES)、制御部111は、中断対象機能の動作を中断し、当該機能の動作状態(動作シーケンスにおける中断タイミング)を、当該機能の識別情報に対応付けて、外部メモリである記憶部112に記憶させ(S216)、ファームウェアの更新処理を実行する(S217)。ステップS217において、制御部111は、記憶部112に一旦記憶されているファームウェアを自身の内部メモリに上書きし、制御部111(マイクロコンピュータ)をリセットする。
【0096】
ファームウェアの更新処理が完了すると(S217)、制御部111は、記憶部112に記憶されている情報を参照し、ファームウェアの更新処理により中断された中断対象機能があるかを確認する。そして、制御部111は、中断された中断対象機能の動作状態(中断タイミング)を記憶部112から読み出し(S218)、読み出した動作状態(中断タイミング)から中断対象機能の動作を再開する(S219)。この際、制御部111は、記憶部112から、中断対象機能の動作状態(中断タイミング)を消去する。これにより、制御部111は、
図9の処理を終了する。
【0097】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0098】
図4に示したように、台所リモコン13(操作器)の制御部133は、表示入力部131(入力部)を介して給湯器11に対するファームウェアの更新操作を受け付けた場合(S102:YES)、給湯器11の動作状態がファームウェアの更新を禁止する禁止条件に合致するか否か(
図5のステップS111、S112、
図7のステップS201、S202)に基づいて、ファームウェアの更新可否を判定し(S103)、ファームウェアの更新が可能であると判定した場合は(S104:YES)、給湯器11にファームウェアの更新を行わせるための更新指示を給湯器11に送信し(S105)、ファームウェアの更新が可能でないと判定した場合は(S104:NO)、更新指示の送信を行うことなく、禁止条件に基づく報知を表示入力部131(報知部)および音声出力部135(報知部)に報知させる(S106)。
【0099】
この制御により、給湯器11の動作状態が、ファームウェアの更新を禁止する禁止条件に合致する場合は、ファームウェアの更新が行われることなく、禁止条件に基づく報知が行われる。これにより、たとえば、凍結予防運転を実行中にファームウェアの更新操作が行われた場合は、ファームウェアの更新が行われることなく、凍結予防運転が継続される。よって、給湯器の動作を適切に実行させることができる。また、このとき、禁止条件に基づく報知が行われるため、使用者は、所定の禁止条件(たとえば、凍結予防運転中であること)によりファームウェアの更新が中止されたことを把握できる。これにより、使用者は、禁止条件に対応する給湯器11の動作が終了したと想定されるタイミングで再度、ファームウェアの更新操作を行う等の対応をとることができる。よって、給湯器11に対するファームウェアの更新を円滑に行うことができる。このように、本実施形態に係る給湯装置10によれば、給湯器11の動作を適切に実行させつつ、給湯器11に対するファームウェアの更新を円滑に行うことができる。
【0100】
図6および
図7に示したように、台所リモコン13(操作器)の制御部133は、ファームウェアの更新可否を給湯器11に問い合わせ(
図6のS121)、給湯器11の制御部111は、自身の動作状態が禁止条件に合致するか否かに基づいて(
図7のS201、S202)、ファームウェアの更新可否の応答を、台所リモコン13の制御部133に送信し(
図7のS203、S204)、台所リモコン13の制御部133は、給湯器11からの応答に基づいて、ファームウェアの更新可否を判定する(
図6のS122~S124)。この処理によれば、給湯器11の実際の動作状態に基づいて、ファームウェアの更新可否を判定できる。よって、給湯器11の動作を適切に実行させつつ、ファームウェアの更新を行うことができる。
【0101】
図5に示したように、台所リモコン13(操作器)の制御部133は、給湯器11との通信により予め取得している動作状態の情報から(S111)、給湯器11の動作状態が禁止条件に合致するか否かを判定し(S112)、判定結果からファームウェアの更新可否を決定する(S113、S114)。これにより、台所リモコン13側から給湯器11にファームウェアの更新可否を問い合わせることなく、台所リモコン13側で給湯器11の動作状態が禁止条件に合致するか否かを判定して、ファームウェアの更新可否を決定できる。よって、より簡易に、ファームウェアの更新可否を決定できる。
【0102】
図9に示したように、給湯器11の制御部111は、所定の動作(完了待機機能の動作)を実行中に、ファームウェアの更新指示を受信した場合(S211:YES、S212:YES)、所定の動作(完了待機機能の動作)を完了した後、ファームウェアの更新を行う(S215、S217)。これにより、たとえば、給湯器11を安全に動作停止させるための所定の動作(たとえば、燃焼終了直後の放熱動作)が実行中である場合に、この動作が完了した後に、ファームウェアの更新が行われる。よって、給湯器11の動作を適切に完了させつつ、ファームウェアの更新を速やかに実行させることができる。
【0103】
図9に示したように、給湯器11の制御部111は、所定の動作(中断対象機能の動作)を実行中に、ファームウェアの更新指示を受信した場合(S214:YES)、当該所定の動作(中断対象機能の動作)を中断して(S216)、ファームウェアの更新を行う(S217)。これにより、ファームウェアの更新を円滑に進めることができる。
【0104】
ここで、給湯器11の制御部111は、中断した所定の動作(中断対象機能の動作)を、ファームウェアの更新後に、中断時点から再開する(S218、S219)。これにより、中断した所定の動作(中断対象機能の動作)を、ファームウェアの更新後に、速やかに完了できる。
【0105】
<変更例>
図9の制御では、ファームウェアの更新により中断された中断対象機能の動作が、ファームウェアの更新後に、中断時点から再開された。これに対し、本変更例では、ファームウェアの更新により中断された中断対象機能の動作が、ファームウェアの更新後に、最初から実行される。
【0106】
図10は、変更例に係る、
図4のステップS105において送信された更新指示およびファームウェアを給湯器11の制御部111が受信した場合に、給湯器11の制御部111が行う処理を示すフローチャートである。
【0107】
図10のフローチャートでは、
図9のフローチャートのステップS216、S218、S219が、それぞれ、ステップS221、S222、S223に置き換えられている。
図10のその他のステップにおける処理は、
図9の対応するステップと同様である。
【0108】
給湯器11の制御部111は、ステップS214の判定がYESであると、中断対象機能の動作を中断し、中断フラグを、当該機能の識別情報に対応付けて、外部メモリである記憶部112に記憶させる(S221)。その後、ファームウェアの更新処理が完了すると(S217)、制御部111は、記憶部112に記憶されている情報を参照し、ファームウェアの更新処理により中断された中断対象機能があるかを中断フラグにより確認する(S222)。そして、制御部111は、中断フラグに対応付けられている中断対象機能の動作を、最初から実行し(S223)、記憶部112から中断フラグを消去する。。
【0109】
この制御によれば、ファームウェアの更新後に所定の動作(中断対象機能の動作)が最初から実行されるため、簡素な制御により確実に、所定動作(中断対象機能の動作)を実行できる。
【0110】
<その他の変更例>
上記実施形態では、
図6および
図7に示したように、所定の判定対象機能については、給湯器11に対してファームウェアの更新可否かを問い合わせて、給湯器11にこれら判定対象機能が動作中であるか否かを確認させた。これに対し、全ての判定対象機能の動作状態を示す情報が、随時、給湯器11から台所リモコン13に送信されている場合は、
図6および
図7の制御を省略し、
図5の処理により、台所リモコン13の制御部133が、全ての判定対象機能について動作中であるか否かを判定して、ファームウェアの更新の可否を決定してもよい。
【0111】
あるいは、
図5の制御を省略して、
図6および
図7の処理により、全ての判定対象機能について動作中であるか否かを給湯器11側で確認して、ファームウェアの更新の可否を判定し、判定結果を給湯器11から台所リモコン13に送信してもよい。
【0112】
また、判定対象機能は、
図8(a)、(b)に示したものに限られるものではなく、たとえば、さらに他の機能が判定対象機能に含まれてもよい。
【0113】
また、
図9の処理において判定対象とされる完了待機機能および中断対象機能は、上記に示した機能に限られるものではない。たとえば、さらに他の機能が完了待機機能または中断対象機能に含まれてもよく、あるいは、上記に示した機能の一部が完了待機機能または中断対象機能から除かれてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、台所リモコン13がファームウェアの更新に用いられたが、浴室リモコン12がファームウェアの更新に用いられてもよく、その他のリモートコントローラが給湯器11に接続されている場合は、このリモートコントローラがファームウェアの更新に用いられてもよい。また、給湯装置10がリモートコントローラを備えず、給湯器11の前面に操作パネルが設置される構成では、この操作パネル(操作器)を用いて、ファームウェアの更新が行われてもよい。
【0115】
また、給湯装置10の構成は、上記実施形態に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。たとえば、給湯装置10が、暖房機能を有さない構成であってもよく、追い焚き機能を有さない構成であってもよい。また、給湯装置10が、暖房機能に含まれる床暖房機能、室内暖房機能および浴室暖房機能のうち、1つまたは2つの機能を有さない構成であってもよい。さらに、給湯装置10は、給湯機能のみを有する構成であってもよい。
【0116】
さらに、上記実施形態では、給湯装置10が、ガス燃料を燃焼させて生じる燃焼ガスで水を温めるガス燃焼式給湯装置であったが、給湯装置10の構成はこれに限られるものではない。たとえば、給湯装置10がオイル燃料を燃焼させて水を温めるオイル燃焼式の給湯装置10であってもよい。また、給湯装置10が、給湯器11とともに、電力を生成する発電機からの排熱を利用して温水を生成する構成を備えた、コジェネレーション型給湯装置であってもよい。
【0117】
また、給湯器11の燃焼系および配管の構成は、
図3に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。
【0118】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0119】
10 給湯装置
11 給湯器
13 台所リモコン(操作器)
131 表示入力部(入力部、報知部)
133 制御部
134 記憶部
135 音声出力部(報知部)