(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089795
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/507 20210101AFI20240627BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20240627BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20240627BHJP
H01M 50/519 20210101ALI20240627BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240627BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240627BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/298
H01M50/284
H01M50/519
H01M50/569
H01M50/204 401D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205220
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉戸 大二
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 秀夫
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA20
5H040AS07
5H040AT02
5H040NN03
5H043AA02
5H043AA13
5H043AA17
5H043CA04
5H043FA04
(57)【要約】
【課題】電線と回路基板との接続部の損傷を抑制可能な配線モジュールを提供する。
【解決手段】配線モジュール20は、複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュール20であって、複数の回路基板と、複数の電線40と、複数の回路基板及び複数の電線40を保持するプロテクタ50と、を備え、電線40は回路基板と接続され、複数の電線40の少なくとも一部は、一体に束ねられて幹線43を構成しており、プロテクタ50は、回路基板が載置される載置面54と、複数の電線40が収容される電線収容部52と、載置面54に直交する第1方向に電線収容部52に重ねられ、幹線43の少なくとも一部を収容する幹線収容部57と、を備え、複数の電線40は、第1方向から見て幹線43と重畳して配される少なくとも1つの重畳電線を含み、幹線収容部57は、幹線43と少なくとも1つの重畳電線とを隔てている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、
複数の回路基板と、
複数の電線と、
前記複数の回路基板及び前記複数の電線を保持するプロテクタと、を備え、
前記電線は前記回路基板と接続され、
前記複数の電線の少なくとも一部は、一体に束ねられて幹線を構成しており、
前記プロテクタは、前記回路基板が載置される載置面と、前記複数の電線が収容される電線収容部と、前記載置面に直交する第1方向に前記電線収容部に重ねられ、前記幹線の少なくとも一部を収容する幹線収容部と、を備え、
前記複数の電線は、前記第1方向から見て前記幹線と重畳して配される少なくとも1つの重畳電線を含み、
前記幹線収容部は、前記幹線と前記少なくとも1つの重畳電線とを隔てている、配線モジュール。
【請求項2】
前記プロテクタは、プロテクタ本体と、前記プロテクタ本体に前記第1方向に重ねられるカバーと、を備え、
前記プロテクタ本体は前記載置面及び前記電線収容部を備え、
前記カバーは、前記第1方向に前記載置面と対向する天板部と、前記天板部から凹む前記幹線収容部と、を備える、請求項1に記載の配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車等に用いられる高圧のバッテリーパックは、通常、多数のバッテリーセルが積層され、配線モジュールによって直列あるいは並列に電気接続されている。このような配線モジュールとして、従来、特開2018-85201号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。この配線モジュールは、蓄電素子を相互接続するバスバー端子と、バスバー端子に接続される検知電線と、検知電線に接続される雌コネクタと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、複数の検知電線は、雌コネクタ側においてチューブ状部材によってまとめられている。上記の構成において、例えば、検知電線とは異なる電線が設けられる場合、チューブ状部材でまとめられた検知電線と、個別の電線と、が絶縁プロテクタにおいて同じ配索領域に配置されることがありうる。このような場合、配線モジュールが配設される車両における振動により、個別の電線とチューブ状部材との間に摩擦が生じることが考えられる。また、雌コネクタを機器側の雄コネクタに接続する際、検知電線が配索方向に変位することによっても、個別の電線とチューブ状部材との間に摩擦が生じることが考えられる。個別の電線とチューブ状部材との間に摩擦が生じると、個別の電線と、バスバー端子や回路基板等の他の部材と、が接続されている接続部に応力が働き、この接続部が損傷する場合がありうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の配線モジュールは、複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、複数の回路基板と、複数の電線と、前記複数の回路基板及び前記複数の電線を保持するプロテクタと、を備え、前記電線は前記回路基板と接続され、前記複数の電線の少なくとも一部は、一体に束ねられて幹線を構成しており、前記プロテクタは、前記回路基板が載置される載置面と、前記複数の電線が収容される電線収容部と、前記載置面に直交する第1方向に前記電線収容部に重ねられ、前記幹線の少なくとも一部を収容する幹線収容部と、を備え、前記複数の電線は、前記第1方向から見て前記幹線と重畳して配される少なくとも1つの重畳電線を含み、前記幹線収容部は、前記幹線と前記少なくとも1つの重畳電線とを隔てている、配線モジュールである。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、電線と回路基板との接続部の損傷を抑制可能な配線モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる蓄電モジュールが搭載された車両を示す模式図である。
【
図2】
図2は、幹線が収縮状態にある場合の蓄電モジュールの平面図である。
【
図3】
図3は、幹線が伸長状態にある場合の蓄電モジュールの平面図である。
【
図4】
図4は、幹線が収縮状態にある場合のカバーを取り外した蓄電モジュールの平面図である。
【
図5】
図5は、幹線が伸長状態にある場合のカバーを取り外した蓄電モジュールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0009】
(1)本開示の配線モジュールは、複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、複数の回路基板と、複数の電線と、前記複数の回路基板及び前記複数の電線を保持するプロテクタと、を備え、前記電線は前記回路基板と接続され、前記複数の電線の少なくとも一部は、一体に束ねられて幹線を構成しており、前記プロテクタは、前記回路基板が載置される載置面と、前記複数の電線が収容される電線収容部と、前記載置面に直交する第1方向に前記電線収容部に重ねられ、前記幹線の少なくとも一部を収容する幹線収容部と、を備え、前記複数の電線は、前記第1方向から見て前記幹線と重畳して配される少なくとも1つの重畳電線を含み、前記幹線収容部は、前記幹線と前記少なくとも1つの重畳電線とを隔てている。
【0010】
このような構成によると、幹線収容部が幹線と重畳電線とを隔てているから、幹線と重畳電線との間に摩擦が生じない。よって、重畳電線と回路基板との接続部の損傷を抑制することができる。
【0011】
また、重畳電線は第1方向から見て幹線と重畳して配されるから、載置面に平行な方向について重畳電線及び幹線の配索領域を小さくすることができる。よって、配線モジュールを小型化することができる。
【0012】
(2)前記プロテクタは、プロテクタ本体と、前記プロテクタ本体に前記第1方向に重ねられるカバーと、を備え、前記プロテクタ本体は前記載置面及び前記電線収容部を備え、前記カバーは、前記第1方向に前記載置面と対向する天板部と、前記天板部から凹む前記幹線収容部と、を備えることが好ましい。
【0013】
このような構成によると、幹線収容部を簡便に構成することができる。また、載置面を天板部によって覆うことができる。
【0014】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0015】
<実施形態>
本開示の実施形態について、
図1から
図7を参照しつつ説明する。本実施形態の配線モジュール20を備えた蓄電モジュール10は、例えば、
図1に示すように、車両1に搭載される蓄電パック2に適用される。蓄電パック2は、電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両1に搭載されて、車両1の駆動源として用いられる。以下の説明においては、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0016】
図1に示すように、車両1の中央付近には蓄電パック2が配設されている。車両1の前部にはPCU3(Power Control Unit)が配設されている。蓄電パック2とPCU3とは、ワイヤーハーネス4によって接続されている。蓄電パック2とワイヤーハーネス4とは図示しないコネクタによって接続されている。蓄電パック2は複数の蓄電素子11を備えた蓄電モジュール10を有する。以下では、
図1を除き、矢線Zの示す方向を上方、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方として説明する。
【0017】
蓄電モジュール10は、
図2に示すように、一列に並べられた複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11の上面に装着される配線モジュール20とを備える。蓄電素子11は、内部に蓄電要素が収容された扁平な直方体状をなしている。図示しないものの、蓄電素子11は、上面の右端部寄りの位置と左端部寄りの位置に一対の電極端子を有する。一対の電極端子のうち一方は正極であり、他方は負極である。
【0018】
[配線モジュール]
図4及び
図5に示すように、配線モジュール20は、蓄電素子11の電極端子に接続されるバスバー30と、複数の回路基板CBと、複数の電線40と、バスバー30、複数の回路基板CB、及び複数の電線40を保持するプロテクタ50と、を備える。複数の回路基板CBのそれぞれには、少なくとも1つの電線40が接続されている。
【0019】
バスバー30は金属板材から構成され、平面視方形状をなしている。
図2及び
図3に示すように、バスバー30は、複数の蓄電素子11の積層方向(前後方向)に隣接する電極端子間を接続する接続バスバー30Aと、積層方向の端部に配される蓄電素子11の電極端子に接続される出力バスバー30Bと、を備える。出力バスバー30Bは、複数の蓄電素子11の総正極または総負極と、外部機器と、を接続している。バスバー30と電極端子との接続は、溶接等により行われる。バスバー30は後述するプロテクタ50のバスバー収容部51に収容されている。
【0020】
[回路基板]
図4及び
図5に示すように、本実施形態にかかる複数の回路基板CBは、複数の第1回路基板21と少なくとも1つの第2回路基板24とを含んでいる。第1回路基板21は、本実施形態では、フレキシブル基板とされており、可撓性を有する絶縁性のシートの表面にプリント配線技術により導電路が形成されて構成されている。第1回路基板21は、基板本体22と、基板本体22から延出される延出部23と、を備える。基板本体22は、平面視略方形状をなしている。基板本体22は後述するプロテクタ50の載置面54に固定されている。詳細に図示しないものの、例えば、基板本体22には挿通孔が設けられており、この挿通孔に載置面54から突出する突起が挿通されるようになっている。基板本体22には、導電路の一端に配される電線ランド22Aが設けられている。電線ランド22Aは、半田付け等により後述する電圧検知線41に接続される。
【0021】
延出部23は平面視略U字状をなし、伸縮可能に構成されている。延出部23が設けられることにより、延出部23の基板本体22と反対側の端部(先端部)が基板本体22に対して所定寸法変位することが許容されるようになっている。延出部23の先端部には、導電路の他端(図示せず)が配されている。導電路の他端は、金属小片15を介してバスバー30と電気的に接続される。図示しないものの、第1回路基板21の導電路にはヒューズ等が設けられていてもよい。
【0022】
第2回路基板24は、例えば、フレキシブル基板とされており、可撓性を有する絶縁性のシートの表面にプリント配線技術により導電路が形成されて構成されている。第2回路基板24は、基板本体25と、基板本体25のランドに実装された測温素子26と、を備える。基板本体25は、平面視略T字状をなしている。基板本体25は、第1回路基板21の基板本体22と同様に、後述するプロテクタ50の載置面54に固定されている。基板本体25には、導電路の一端に配される電線ランド25Aが設けられている。電線ランド25Aは、半田付け等により後述する温度検知線42に接続される。測温素子26として、例えばサーミスタや白金測温抵抗体などを用いることができる。
【0023】
[電線]
本実施形態の複数の電線40は、複数の電圧検知線41と複数の温度検知線42とを含んでいる。電圧検知線41は第1回路基板21に接続されている。温度検知線42は第2回路基板24に接続されている。電圧検知線41及び温度検知線42は同様の構成であるため、重複する構成については、電圧検知線41を代表として説明する。電圧検知線41は、複数の素線を撚り合わせてなる芯線を絶縁被覆によって覆った周知の構成である。
【0024】
[幹線]
複数の電線40は、一体に束ねられることで幹線43を構成している。具体的には、複数の電線40は、テープ巻きしたりコルゲートチューブに収容したりすることで束ねることができる。幹線43は、後述するプロテクタ50の電線収容部52及び幹線収容部57(
図2参照)に収容される。幹線43の一方の端部(前端部)は、後述するコネクタ60に接続されている。幹線43の他方の端部(後端部)からは、複数の電線40が導出されている。幹線43の他方の端部は、固定部44によりプロテクタ50に固定されている。固定部44は、例えば結束バンドによって構成され、幹線43に巻き付けられることでプロテクタ50に固定されている。
【0025】
[重畳電線]
複数の電線40には、上下方向から見て、幹線43と重畳して配される重畳電線が少なくとも1つ含まれている。本実施形態にかかる重畳電線は、例えば、配線モジュール20の前端部に配される2つの温度検知線42である。また、本実施形態では、重畳電線は幹線43にも含まれている。
【0026】
複数の電線40は、回路基板CBと反対側の端部においてコネクタ60に接続されている。このコネクタ60は、外部のECU(Electronic Control Unit)等に設けられた相手側コネクタに嵌合するようになっている。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、各蓄電素子11の電圧、電流、温度等の検知や、各蓄電素子11の充放電制御コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0027】
図2及び
図3に示すように、プロテクタ50の前端部には、コネクタ60が収容されるコネクタ収容部55が設けられている。コネクタ収容部55は、プロテクタ50の一部を切り欠いて形成された空間である。コネクタ収容部55の前端はプロテクタ50の前端と揃っている。コネクタ収容部55にコネクタ60が収容された状態では、コネクタ60の前端がプロテクタ50の前端から前方にはみ出さないようになっている。
【0028】
[プロテクタ]
プロテクタ50は絶縁性の合成樹脂から構成されている。プロテクタ50は、プロテクタ本体50Aと、プロテクタ本体50Aを上方から覆うカバー50Bと、を備える。
【0029】
[プロテクタ本体]
プロテクタ本体50Aはトレイ状をなしている。
図4に示すように、プロテクタ本体50Aは、バスバー30が収容されるバスバー収容部51と、複数の電線40が収容される電線収容部52と、バスバー収容部51と電線収容部52との間に配される中間配索部53と、を備える。バスバー収容部51はプロテクタ本体50Aの左右方向の両端部に設けられている。バスバー収容部51は、枠状をなして、前後方向に並んで配置されている。中間配索部53は、回路基板CBが載置される載置面54を有する。載置面54は上下方向(第1方向の一例)に直交する面となっている。
【0030】
[電線収容部]
電線収容部52はプロテクタ本体50Aの左右中央部寄りの位置に2つ設けられている。電線収容部52は溝状をなし、前後方向に延びている。電線収容部52は底壁52Aと、底壁52Aの左右両端縁から上方に立ち上がる一対の側壁52Bと、を備える。電線収容部52の中間配索部53側の側壁52Bには、複数の切り欠き部52Cが形成されている。電線収容部52には、複数の電線40が収容されている。切り欠き部52Cを介して中間配索部53と電線収容部52との間で電線40が挿通可能となっている。
【0031】
中間配索部53側の側壁52Bの一部は、中間配索部53側に湾曲して形成される湾曲壁52Dとされている。湾曲壁52Dは、電線収容部52の幹線43が収容される領域に配されている。湾曲壁52Dが設けられることで、電線収容部52の幅(左右方向の間隔)が広がっている。幹線43を湾曲壁52D側に寄せて湾曲させた状態(以下、収縮状態とする)で電線収容部52に収容することにより、幹線43全体をプロテクタ50上に配置することができる(
図2参照)。収縮状態において、コネクタ60はコネクタ収容部55に収容されるようになっている。
【0032】
一方で、
図5に示すように、湾曲壁52Dが設けられる領域において幹線43が前後方向に延びている状態(以下、伸長状態とする)では、幹線43の前側部分がプロテクタ50から飛び出して配されるようになっている。伸長状態においては、コネクタ60及び幹線43の前側部分がプロテクタ50から前方に飛び出して自由に動けるようになるから、コネクタ60と相手側コネクタとの嵌合作業を行うことができる(
図3参照)。また、幹線43が固定部44によって固定されているから、幹線43が前方に引っ張られた際に、その引っ張り応力が固定部44より後方に配される各電線40に伝わることがないようになっている。
【0033】
図4及び
図5に示すように、電線収容部52の前端部寄りの位置には、重畳電線(2つの温度検知線42)における第2回路基板24寄りの部分が配されている。詳細には、重畳電線は、第2回路基板24に近接して配される切り欠き部52Cを介して中間配索部53から電線収容部52へと導入され、電線収容部52内において後方に延びて配索された後、湾曲壁52Dの直前に設けられる切り欠き部52Cを介して電線収容部52から中間配索部53へと導出されている。このような構成によれば、2つの温度検知線42と、第2回路基板24の直後に配される第1回路基板21との干渉を回避し、2つの温度検知線42をプロテクタ50上に省スペースで配索することができる。
【0034】
[カバー、天板部、幹線収容部]
図2及び
図3に示すように、カバー50Bは、プロテクタ本体50Aの電線収容部52及び中間配索部53(
図4及び
図5参照)を上方から閉塞可能に構成されている。
図7に示すように、カバー50Bは、第1カバー50Cと第2カバー50Dとを備える。第1カバー50Cは、天板部56と、天板部56から凹む幹線収容部57と、を備える。幹線収容部57は、第1カバー50Cの前後方向の全域にわたって設けられており、前後方向に開口している。
図6に示すように、天板部56は上下方向について載置面54に対向して配される。幹線収容部57は電線収容部52内に配されるようになっている。
【0035】
図7に示すように、第2カバー50Dは板状をなしている。第2カバー50Dは、第1カバー50Cの天板部56と略同一の厚さに形成されている。
図2及び
図3に示すように、カバー50Bがプロテクタ本体50Aに取り付けられた状態では、第2カバー50Dと第1カバー50Cの天板部56とは前後方向について略連続して配されている。プロテクタ本体50Aに対する第1カバー50Cの取り付け、及び第2カバー50Dの取り付けは、別々に行うことが可能とされている。
【0036】
図2から
図5に示すように、第1カバー50Cは、プロテクタ本体50Aの左側の前端部に配される電線収容部52及び中間配索部53を閉塞するようになっている。第2カバー50Dは、第1カバー50Cによって閉塞されない電線収容部52及び中間配索部53を閉塞するようになっている。幹線収容部57は、幹線43の前側部分を収容している。
図6に示すように、重畳電線(2つの温度検知線42)は、幹線収容部57の下方に配される電線収容部52に収容される。すなわち、幹線収容部57によって、幹線43と重畳電線とが隔てられている。
【0037】
[配線モジュールの組み立てについて]
本実施形態の配線モジュール20の構成は以上であって、以下、配線モジュール20の組み立て工程の一例について説明する。
【0038】
まず、各回路基板CBに対して電線40や金属小片15、測温素子26等の半田付けが行われる。プロテクタ本体50Aに対して、バスバー30、回路基板CB、及び電線40を配置する。バスバー30はバスバー収容部51に収容される。回路基板CBは中間配索部53に配置される。バスバー30と金属小片15とが溶接により接続される。電線40は中間配索部53及び電線収容部52に配索される。電線40の配索の過程においてテープ巻き等により幹線43が形成される。
【0039】
次に第1カバー50Cをプロテクタ本体50Aに取り付ける。重畳電線(2つの温度検知線42)を幹線収容部57と電線収容部52とによって挟むように配置する(
図6参照)。この際、幹線43の前側部分は電線収容部52の外側に配置される。プロテクタ本体50Aに第1カバー50Cが取り付けられた後、幹線43の前側部分が幹線収容部57に収容される。幹線収容部57より後側に配される幹線43は電線収容部52に収容される。
【0040】
最後に第2カバー50Dによって電線収容部52及び中間配索部53を閉塞するようにプロテクタ本体50Aに取り付ける。以上により、配線モジュール20の組み立て工程が完了する。
【0041】
[幹線収容部の効果について]
本実施形態では、重畳電線(2つの温度検知線42)と幹線43とは部分的に上下方向に重畳して配されている。仮に幹線収容部57が設けられない場合、重畳電線と幹線43とは電線収容部52に配されて、両者の間に摩擦が生じることが考えられる。配線モジュール20は車両1に適用されるため、複数の電線40には振動が加わりやすい。特に、複数の電線40が一体化された幹線43において振動が大きくなり、重畳電線に幹線43の振動が伝達されることがありうる。また、幹線43はコネクタ60に接続されており、このコネクタ60を相手側コネクタに接続する際に、幹線43と重畳電線との摩擦により、重畳電線に引っ張り応力が加わることが想定される。したがって、重畳電線と第2回路基板24との接続部に負荷がかかり、この接続部が損傷することがありうる。
【0042】
本実施形態では、幹線収容部57によって幹線43と重畳電線とが接触しないように区分けされている(
図6参照)。このため、幹線43と重畳電線との間に摩擦が生じない。したがって、車載環境下での幹線43の振動や、コネクタ60の嵌合作業等による幹線43の引っ張り応力によって、重畳電線と第2回路基板24との接続部が損傷することを抑制できる。
【0043】
[実施形態の作用効果]
実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態にかかる配線モジュール20は、複数の蓄電素子11に取り付けられる配線モジュール20であって、複数の回路基板CBと、複数の電線40と、複数の回路基板CB及び複数の電線40を保持するプロテクタ50と、を備え、電線40は回路基板CBと接続され、複数の電線40の少なくとも一部は、一体に束ねられて幹線43を構成しており、プロテクタ50は、回路基板CBが載置される載置面54と、複数の電線40が収容される電線収容部52と、載置面54に直交する第1方向(上下方向)に電線収容部52に重ねられ、幹線43の少なくとも一部を収容する幹線収容部57と、を備え、複数の電線40は、第1方向から見て幹線43と重畳して配される少なくとも1つの重畳電線(2つの温度検知線42)を含み、幹線収容部57は、幹線43と少なくとも1つの重畳電線とを隔てている。
【0044】
このような構成によると、幹線収容部57が幹線43と重畳電線とを隔てているから、幹線43と重畳電線との間に摩擦が生じない。よって、重畳電線と回路基板CB(第2回路基板24)との接続部の損傷を抑制することができる。
【0045】
また、重畳電線は第1方向から見て幹線43と重畳して配されるから、載置面54に平行な方向について重畳電線及び幹線43の配索領域を小さくすることができる。よって、配線モジュール20を小型化することができる。
【0046】
実施形態では、プロテクタ50は、プロテクタ本体50Aと、プロテクタ本体50Aに第1方向に重ねられるカバー50Bと、を備え、プロテクタ本体50Aは載置面54及び電線収容部52を備え、カバー50Bは、第1方向に載置面54と対向する天板部56と、天板部56から凹む幹線収容部57と、を備える。
【0047】
このような構成によると、幹線収容部57を簡便に構成することができる。また、載置面54を天板部56によって覆うことができる。
【0048】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、幹線43は複数の電線40によって構成されていたが、これに限られることはなく、幹線は複数の電線のうちの一部によって構成されていてもよい。
(2)上記実施形態では、重畳電線は温度検知線42であったが、これに限られることはなく、重畳電線は温度検知線と異なる電線、例えば、電圧検知線であってもよい。
(3)上記実施形態では、重畳電線は幹線43に含まれていたが、これに限られることはなく、重畳電線は幹線に含まれなくてもよい。
【0049】
(4)上記実施形態では、プロテクタ本体50Aとカバー50Bとは別体に設けられていたが、これに限られることはなく、プロテクタ本体とカバーとは例えばヒンジにより連結されて一体に設けられていてもよい。
(5)上記実施形態では、電線収容部52に幹線43を湾曲させた状態で収容可能とするために湾曲壁52Dが形成されていたが、これに限られることはなく、湾曲壁は形成しなくてもよい。
(6)上記実施形態では、第1回路基板21及び第2回路基板24はフレキシブル基板であったが、これに限られることはなく、第1回路基板及び第2回路基板のうち少なくとも一方は硬質基板でもよい。
【符号の説明】
【0050】
1: 車両
2: 蓄電パック
3: PCU
4: ワイヤーハーネス
10: 蓄電モジュール
11: 蓄電素子
15: 金属小片
20: 配線モジュール
21: 第1回路基板
22: 基板本体
22A: 電線ランド
23: 延出部
24: 第2回路基板
25: 基板本体
25A: 電線ランド
26: 測温素子
30: バスバー
30A: 接続バスバー
30B: 出力バスバー
40: 電線
41: 電圧検知線
42: 温度検知線(重畳電線)
43: 幹線
44: 固定部
50: プロテクタ
50A: プロテクタ本体
50B: カバー
50C: 第1カバー
50D: 第2カバー
51: バスバー収容部
52: 電線収容部
52A: 底壁
52B: 側壁
52C: 切り欠き部
52D: 湾曲壁
53: 中間配索部
54: 載置面
55: コネクタ収容部
56: 天板部
57: 幹線収容部
60: コネクタ
CB: 回路基板