(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089803
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240627BHJP
H03B 5/32 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
H03B5/32 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205232
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】松澤 寿一郎
【テーマコード(参考)】
5F044
5J079
【Fターム(参考)】
5F044KK04
5F044KK23
5F044LL01
5F044LL17
5F044QQ01
5F044RR16
5J079AA04
5J079BA43
5J079FA01
5J079HA03
5J079HA07
5J079HA25
(57)【要約】
【課題】従来のデバイスの製造方法には、電気的な接続に関して改善の余地がある。
【解決手段】回路基板と、前記回路基板に実装される回路部品とを有するデバイスの製造方法であって、前記回路基板を平面視したときに前記回路部品に重なる領域内に、パッド電極と、配線と、前記配線の上に配置された絶縁層とを有する前記回路基板を準備する工程と、バンプを有する前記回路部品の前記バンプを前記パッド電極に接続するときに、前記回路部品を前記絶縁層に接触させる工程と、を含む、デバイスの製造方法。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、前記回路基板に実装される回路部品とを有するデバイスの製造方法であって、
前記回路基板を平面視したときに前記回路部品に重なる領域内に、パッド電極と、配線と、前記配線の上に配置された絶縁層とを有する前記回路基板を準備する工程と、
バンプを有する前記回路部品の前記バンプを前記パッド電極に接続するときに、前記回路部品を前記絶縁層に接触させる工程と、を含む、
デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記配線を第1配線とし、前記絶縁層を第1絶縁層として、前記回路基板は、前記回路基板を平面視したときに前記回路部品に重なる領域内に、第2配線と、前記第2配線の上に配置された第2絶縁層と、を有し、
前記第1絶縁層と、前記第2絶縁層とは、前記回路部品の中心線を挟んで互いに反対側に位置し、
前記回路部品を前記絶縁層に接触させる工程では、前記回路部品を前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とに接触させる、
請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項3】
前記パッド電極を第1パッド電極とし、前記回路基板は、前記回路基板を平面視したときに前記回路部品に重なる領域内に、前記第1パッド電極と異なる第2パッド電極及び第3パッド電極と、第3配線と、を有し、
前記第1配線は、前記第1パッド電極から延伸し、
前記第2配線は、前記第2パッド電極から延伸し、
前記第3配線は、前記第3パッド電極から延伸し、
前記第1絶縁層は、前記第1配線と前記第3配線とを跨ぎ、
前記回路部品は、前記バンプを第1バンプとして、前記第1バンプとは異なる第2バンプ及び第3バンプを有し、
前記回路部品を前記絶縁層に接触させる工程では、前記第1バンプを前記第1パッド電極に接続し、前記第2バンプを前記第2パッド電極に接続し、前記第3バンプを前記第3パッド電極に接続するときに、前記回路部品を前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とに接触させる、
請求項2に記載のデバイスの製造方法。
【請求項4】
前記回路部品を前記絶縁層に接触させる工程では、前記回路部品を前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とに複数の箇所で接触させ、且つ前記複数の箇所のそれぞれと前記回路基板との距離が相互に等しい、
請求項3に記載のデバイスの製造方法。
【請求項5】
前記回路基板は、セラミック基板に前記パッド電極、前記配線、及び前記絶縁層が形成され、
前記絶縁層は、前記配線をアルミナで被覆した構成を有する、
請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項6】
前記回路部品は、ICチップであり、
前記ICチップは、能動面に膜を備え、
前記回路部品を前記絶縁層に接触させる工程では、前記ICチップの前記膜を前記絶縁層に接触させる、
請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、回路部品の一種であるIC(Integrated Circuit)チップをフェイスダウンボンディングによって、回路基板の一種である実装基板の回路端子に電気的に接続する技術を開示する。実装基板の表面上に、ICチップと実装基板の間隙を一定にする複数の枕が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、ICチップなどの回路部品と回路基板とを平行に維持しやすい。しかしながら、特許文献1に記載された回路基板では、複数の枕は、それぞれ、回路基板の回路端子間に設けられる。このため、バンプのつぶれ量は、回路端子の厚みの影響と、枕の厚みの影響とを受ける。つまり、従来のデバイスの製造方法には、電気的な接続に関して改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
回路基板と、前記回路基板に実装される回路部品とを有するデバイスの製造方法であって、前記回路基板を平面視したときに前記回路部品に重なる領域内に、パッド電極と、配線と、前記配線の上に配置された絶縁層とを有する前記回路基板を準備する工程と、バンプを有する前記回路部品の前記バンプを前記パッド電極に接続するときに、前記回路部品を前記絶縁層に接触させる工程と、を含む、デバイスの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図4】第1部分とICチップとを
図3中のB-B線で切断したときの断面図。
【
図6】ケースにICチップを実装する工程を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
デバイスの一例である発振器を例に実施形態について説明する。
発振器1は、
図1に示すように、ケース2と、リッド3とを有する。リッド3は、ケース2に重ねられている。
図1には、X軸、Y軸及びZ軸が付されている。X軸、Y軸及びZ軸は、相互に直交する座標軸である。
図1以降に示す図についても必要に応じてX軸、Y軸及びZ軸が付される。この場合、各図におけるX軸、Y軸及びZ軸は、
図1におけるX軸、Y軸及びZ軸に対応する。
図1は、X軸とY軸とによって規定されるXY平面に発振器1を載置した状態を示す。さらに、
図1では、ケース2の辺2Aの延在方向がX軸に沿っている。なお、リッド3は、ケース2の+Z方向に位置する。
【0008】
以下において、発振器1の構成部品やユニットを示す図や説明にX軸、Y軸及びZ軸が表記されている場合には、その構成部品やユニットを発振器1に組み込んだ状態でのX軸、Y軸及びZ軸を意味する。X軸、Y軸及びZ軸には、それぞれ、矢印が付される。X軸、Y軸及びZ軸のそれぞれにおいて、矢印の向きが+(正)の方向を示し、矢印の向きとは反対の向きが-(負)の方向を示す。Z軸は、XY平面に直交する軸である。発振器1を+Y方向に見たときの図が正面図である。
【0009】
図1中のA-A線における断面図である
図2に示すように、ケース2に凹状のキャビティー4が形成されている。ケース2は、底面5と、マウント面7と、内壁8とを有する。マウント面7は、底面5の+Z方向に位置する。キャビティー4は、リッド3によって塞がれる。キャビティー4は、底面5と、内壁8と、リッド3とによって区画される。底面5とマウント面7とは、キャビティー4の内側に位置する。
【0010】
発振器1は、ICチップ9と、振動素子11とを有する。ICチップ9は、回路部品の一例である。ICチップ9は、底面5に実装される。振動素子11は、マウント面7に実装される。ICチップ9は、半導体基板に各種の回路素子や配線などが形成された回路部品である。ICチップ9に形成される回路は、発振回路や周波数調整回路などを含む。発振器1では、ICチップ9と振動素子11とは、キャビティー4内に収容される。振動素子11は、ICチップ9の+Z方向に位置する。
【0011】
振動素子11は、圧電基板13と、第1励振電極15と、第2励振電極16とを含む。圧電基板13は、水晶基板の他、ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムなどの基板も適用することができる。本実施形態では、圧電基板13は、ATカットされた水晶基板である。第1励振電極15は、圧電基板13の第1面17に形成されている。第2励振電極16は、圧電基板13の第2面18に形成されている。第1面17は、ICチップ9に対向する。第2面18は、第1面17の反対の面である。第2面18は、第1面17の裏面に相当し、リッド3に対向する。なお、
図1に付記されるX軸、Y軸及びZ軸は、水晶の結晶軸とは関連がない。
【0012】
ケース2は、第1部分21と、第2部分22と、第3部分23とを含む。内壁8は、第1内壁25と第2内壁26とを含む。第1部分21は、回路基板の一例である。第1部分21は、キャビティー4の底面5を構成する部分である。第2部分22は、第1部分21の+Z方向に位置する。第2部分22は、マウント面7と第1内壁25とを構成する部分である。ケース2を-Z方向に平面視したとき、第1内壁25は、底面5を環状に囲む。第1内壁25は、底面5から+Z方向に突出する。第3部分23は、第2部分22の+Z方向に位置する。
【0013】
第3部分23は、第2内壁26を構成する部分である。ケース2を-Z方向に平面視したとき、第2内壁26は、底面5とマウント面7とを環状に囲む。第2内壁26は、第2部分22から+Z方向に突出する。ケース2を-Z方向に平面視したとき、ICチップ9は、第1内壁25によって囲まれる領域内に実装される。ケース2を-Z方向に平面視したとき、振動素子11は、第2内壁26によって囲まれる領域内に実装される。
【0014】
ケース2には、ICチップ9を発振器1の回路に接続するための接続電極31と、振動素子11を発振器1の回路に接続するための振動素子接続電極32とが形成されている。接続電極31は、ケース2の底面5に形成される。振動素子接続電極32は、ケース2のマウント面7に形成される。また、ケース2の底面5には、接続電極31の他に配線33が形成される。底面5に形成される配線33と接続電極31とは、同一の工程でパターニングされる。従って、底面5に形成される配線33と接続電極31とは、同じ厚みである。底面5に形成される配線33には、接続電極31から延伸する配線や、発振器1の外部端子34につながる配線などが含まれていてよい。また、底面5に形成される配線が、回路を構成しないダミー配線を含んでいてもよい。
【0015】
ICチップ9と接続電極31とは、バンプ36によって電気的に導通する。接続電極31のうち融着されたバンプ36が重なる領域は、パッド電極37である。ICチップ9は、フリップチップボンディングによりバンプ36を介してケース2の第1部分21にフェイスダウン実装される。第1部分21は、ICチップ9が実装される実装基板に相当する。実装基板は、ICチップ9と他の電気素子との電気的な接続を仲介する回路基板である。
【0016】
図3に示すように、本実施形態では、6個の接続電極31と、6個の配線33とが底面5に形成されている。6個の配線33は、それぞれ、6個の接続電極31のそれぞれから延伸する。6個の接続電極31は、それぞれ、パッド電極37を含む。前述したように、パッド電極37は、ICチップ9のバンプ36が重なる領域である。本実施形態では、6個のパッド電極37が形成される。6個のパッド電極37は、底面5を平面視したときに、ICチップ9に重なる領域内に位置する。また、パッド電極37から延伸する配線33の一部がICチップ9に重なる領域内に位置する。
【0017】
本実施形態では、ICチップ9に重なる領域内の配線33に絶縁層38が積層されている。パッド電極37と絶縁層38とは、底面5を平面視したときに、ICチップ9に重なる。また、配線33のうち絶縁層38に重なる部分は、底面5を平面視したときに、ICチップ9に重なる。本実施形態では、2箇所に絶縁層38が設けられる。2箇所の絶縁層38は、それぞれ、1つの配線33に重なる。2箇所の絶縁層38のうち一方の絶縁層38を第1絶縁層38Aとし、他方の絶縁層38を第2絶縁層38Bとする。第1絶縁層38Aに重なる配線33を第1配線33Aとし、第2絶縁層38Bに重なる配線33を第2配線33Bとする。
【0018】
発振器1は、底面5を平面視したときにICチップ9に重なる領域に、パッド電極37と、配線33と、配線33の上に配置された絶縁層38とを有する。
図4は、ケース2の第1部分21とICチップ9とを
図3中のB-B線で切断したときの断面図である。
図4に示すように、絶縁層38は、ICチップ9と配線33との間に介在する。発振器1では、ICチップ9は、絶縁層38に接触する。本実施形態では、第1絶縁層38AとICチップ9との接触点から底面5までの距離L1と、第2絶縁層38BとICチップ9との接触点から底面5までの距離L2とが等しい。
【0019】
発振器1の製造方法について説明する。
発振器1の製造方法は、
図5に示すように、ケース2を準備する工程と、ケース2にICチップ9を実装する工程とを含む。上述したように、ケース2は、底面5を平面視したときにICチップ9に重なる領域に、接続電極31と、配線33と、配線33の上に配置された絶縁層38とを有する。
【0020】
なお、ケース2は、セラミックのグリーンシートを焼成することによって形成される。第1部分21、第2部分22及び第3部分23のそれぞれに対応するグリーンシートを積層した積層体を焼成することによってケース2を形成することができる。焼成の前に、第1部分21に対応するグリーンシートには、接続電極31、配線33及び絶縁層38が形成される。接続電極31及び配線33は、スクリーン印刷等による金属膜の成膜工程によって形成することができる。接続電極31及び配線33は、同一の工程で形成される。
【0021】
絶縁層38は、配線33上にアルミナを塗布することによって形成される。絶縁層38は、アルミナで配線33を被覆することによって形成される。絶縁層38は、スクリーン印刷によってアルミナをパターニングすることによって形成される。絶縁層38のパターニングでは、接続電極31のうちパッド電極37になる領域を避けてアルミナがパターニングされる。これにより、ICチップ9のバンプ36とパッド電極37とを電気的に接続することができる。また、第2部分22及び第3部分23も、それぞれ、グリーンシートの状態で必要な配線などが形成される。なお、アルミナのパターニング方法は、スクリーン印刷に限定されず、インクジェット法も適用することができる。
【0022】
ケース2にICチップ9を実装する工程は、バンプ36が形成されたICチップ9をケース2に実装する工程である。バンプ36は、接続電極31に対応して形成されている。バンプ36の個数と接続電極31の個数とが対応している。ケース2にICチップ9を実装する工程では、
図6に示すように、ICチップ9のバンプ36をパッド電極37に接続する。バンプ36とパッド電極37とは、超音波振動によりバンプ36をパッド電極37に融着させることによって接続される。ケース2にICチップ9を実装する工程は、バンプ36をパッド電極37に接続するときに、
図4に示すように、ICチップ9を絶縁層38に接触させる工程を含む。
【0023】
ケース2にICチップ9を実装する工程の後に、ケース2に振動素子11を実装する工程と、ケース2にリッド3を接合する工程とが実施される。これにより、
図1に示す発振器1を製造することができる。
【0024】
上記の発振器1の製造方法によれば、
図4に示すように、絶縁層38が配線33とICチップ9との間に位置するので、バンプ36のつぶれ量は配線33の厚みの影響を受けにくい。よって、バンプ36のつぶれ量を一定にしやすいので、ケース2とICチップ9との電気的な接続に関して信頼性を確保しやすい。
【0025】
本実施形態では、
図3に示すように、第1絶縁層38Aと第2絶縁層38Bとは、平面視でICチップ9の中心線41を挟んで互いに反対側に位置する。第1配線33Aと第2配線33Bとは、平面視でICチップ9の中心線41を挟んで互いに反対側に位置する。そして、ICチップ9を絶縁層38に接触させる工程で、ICチップ9を第1絶縁層38Aと第2絶縁層38Bとに接触させる。この製造方法によれば、第1絶縁層38Aと第2絶縁層38BとがICチップ9の中心線41を挟んで互いに反対側に位置する。このため、ICチップ9を第1絶縁層38Aと第2絶縁層38Bとにバランスよく接触させることができる。よって、ケース2の底面5とICチップ9との平行度を高めやすい。また、この製造方法によれば、ICチップ9を第1絶縁層38Aと第2絶縁層38Bとの複数の箇所で接触させるので、ケース2の底面5とICチップ9との平行度を高めやすい。
【0026】
また、本実施形態では、中心線41の+Y方向の位置に、3個の接続電極31がX軸に沿って並ぶ。中心線41の-Y方向の位置に、3個の接続電極31がX軸に沿って並ぶ。Y軸に沿って並ぶ2個の接続電極31が中心線41を挟んで互いに反対側に位置する。つまり、中心線41を挟んで互いに反対側に位置する3個の接続電極31と、3個の接続電極31とがバランスよく配置されている。そして、中心線41の+Y方向に位置する3個の接続電極31のうちの中央の接続電極31から延伸する第1配線33Aの上に第1絶縁層38Aが形成されている。中心線41の-Y方向に位置する3個の接続電極31のうちの中央の接続電極31から延伸する第2配線33Bの上に第2絶縁層38Bが形成されている。このため、ICチップ9を第1絶縁層38Aと第2絶縁層38Bとにバランスよく接触させることができる。よって、ケース2の底面5とICチップ9との平行度を一層高めやすい。
【0027】
図3に示すケース2を実施形態1として、実施形態2について説明する。
実施形態2のケース2は、
図7に示すように、第1絶縁層38Aが3個の配線33を跨いでいる。第2絶縁層38Bが3個の配線33を跨いでいる。これらのことを除いて実施形態2は、実施形態1と同様の構成を有する。従って、実施形態2の構成のうち実施形態1と同一の構成については、実施形態1と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0028】
第1絶縁層38A及び第2絶縁層38Bは、それぞれX軸に沿って延在する。第1絶縁層38Aは、中心線41の+Y方向に位置する3個の接続電極31のそれぞれから延伸する3個の配線33を跨ぐ。第2絶縁層38Bは、中心線41の-Y方向に位置する3個の接続電極31のそれぞれから延伸する3個の配線33を跨ぐ。中心線41の+Y方向に位置する3個の接続電極31のうち第1配線33Aにつながる接続電極31を第1接続電極31Aとする。中心線41の-Y方向に位置する3個の接続電極31のうち第2配線33Bにつながる接続電極31を第2接続電極31Bとする。
【0029】
第1接続電極31Aから+X方向に位置する接続電極31を第3接続電極31Cとする。第2接続電極31Bから+X方向に位置する接続電極31を第4接続電極31Dとする。第1接続電極31Aから-X方向に位置する接続電極31を第5接続電極31Eとする。第2接続電極31Bから-X方向に位置する接続電極31を第6接続電極31Fとする。
【0030】
第1接続電極31Aのパッド電極37を第1パッド電極37Aとする。第2接続電極31Bのパッド電極37を第2パッド電極37Bとする。第3接続電極31Cのパッド電極37を第3パッド電極37Cとする。第4接続電極31Dのパッド電極37を第4パッド電極37Dとする。第5接続電極31Eのパッド電極37を第5パッド電極37Eとする。第6接続電極31Fのパッド電極37を第6パッド電極37Fとする。
【0031】
第1パッド電極37Aに接続されるバンプ36は第1バンプと呼ばれる。第2パッド電極37Bに接続されるバンプ36は第2バンプと呼ばれる。第3パッド電極37Cに接続されるバンプ36は第3バンプと呼ばれる。第4パッド電極37Dに接続されるバンプ36は第4バンプと呼ばれる。第5パッド電極37Eに接続されるバンプ36は第5バンプと呼ばれる。第6パッド電極37Fに接続されるバンプ36は第6バンプと呼ばれる。
【0032】
第3接続電極31Cから延伸する配線33を第3配線33Cとする。第4接続電極31Dから延伸する配線33を第4配線33Dとする。第5接続電極31Eから延伸する配線33を第5配線33Eとする。第6接続電極31Fから延伸する配線33を第6配線33Fとする。
【0033】
第1接続電極31A及び第1配線33Aは、Y軸に沿って延在する。第1配線33Aは、第1パッド電極37Aから+Y方向に延伸し、第1内壁25に達する。第3接続電極31C及び第3配線33Cは、Y軸に沿って延在する。第3配線33Cは、第3パッド電極37Cから+Y方向に延伸し、第1内壁25に達する。第5接続電極31E及び第5配線33Eは、Y軸に沿って延在する。第5配線33Eは、第5パッド電極37Eから+Y方向に延伸し、第1内壁25に達する。
【0034】
第2接続電極31B及び第2配線33Bは、Y軸に沿って延在する。第2配線33Bは、第2パッド電極37Bから-Y方向に延伸し、第1内壁25に達する。第4接続電極31D及び第4配線33Dは、Y軸に沿って延在する。第4配線33Dは、第4パッド電極37Dから-Y方向に延伸し、第1内壁25に達する。第6接続電極31F及び第6配線33Fは、Y軸に沿って延在する。第6配線33Fは、第6パッド電極37Fから-Y方向に延伸し、第1内壁25に達する。第1絶縁層38Aは、第1配線33Aと、第3配線33Cと、第5配線33Eとを跨ぐ。第2絶縁層38Bは、第2配線33Bと、第4配線33Dと、第6配線33Fとを跨ぐ。
【0035】
実施形態2では、ICチップ9を絶縁層38に接触させる工程で、ICチップ9を第1絶縁層38Aと第2絶縁層38Bとに接触させる。この製造方法によれば、第1絶縁層38Aが第1配線33Aと第3配線33Cとを跨ぐので、第1絶縁層38Aの厚みを第1配線33A上と第3配線33C上とで均一にしやすい。つまり、実施形態2では、第1配線33A上の第1絶縁層38AとICチップ9との接触点から底面5までの距離と、第3配線33C上の第1絶縁層38AとICチップ9との接触点から底面5までの距離とが等しい。また、実施形態2では、実施形態1に比較して、ICチップ9と第1絶縁層38Aとの接触面積を増大させることができる。従って、ICチップ9を絶縁層38に安定して接触させやすい。この効果は、第1絶縁層38Aが少なくとも2個以上の配線33を跨ぎ、かつ第2絶縁層38Bが少なくとも1個以上の配線33を跨いでいれば得られる。
【0036】
実施形態2では、第1絶縁層38Aが2個の配線33を跨ぎ、かつ第2絶縁層38Bが1個以上の配線33を跨ぐ構造であるので、ICチップ9は、絶縁層38により所謂3点支持された状態になる。この状態は、例え、絶縁層38の表面の厚み方向の位置に差が生じたとしても、ICチップ9を絶縁層38に安定して接触させやすいので、ケース2とICチップ9との電気的な接続に関して信頼性を一層確保しやすい。
【0037】
さらに、実施形態2では、第1絶縁層38Aが3個の配線33を跨ぎ、且つ第2絶縁層38Bが3個の配線33を跨ぐ。そして、各配線33上の絶縁層38とICチップ9との接触点から底面5までの距離が、相互に等しい。このため、ケース2の底面5とICチップ9との平行度を一層高めやすい。よって、バンプ36のつぶれ量を一層一定にしやすいので、ケース2とICチップ9との電気的な接続に関して信頼性を一層確保しやすい。
【0038】
なお、第1接続電極31A~第6接続電極31Fの配列は、
図7に示す配列に限定されない。第1絶縁層38Aと第2絶縁層38Bとが、中心線41を挟んで互いに反対側に位置し、且つ、第1絶縁層38Aが少なくとも2個の配線33を跨いでいれば、順序数の第1~第6の配置は任意とすることができる。このとき、配線33の順序数及びパッド電極37の順序数は、それぞれ、第1接続電極31A~第6接続電極31Fの順序数に対応する。
【0039】
実施形態3について説明する。
実施形態3のケース2は、
図8に示すように、第1絶縁層38A及び第2絶縁層38Bが、それぞれ第1内壁25に達する。このことを除いて実施形態3は、実施形態2と同様の構成を有する。従って、実施形態3の構成のうち実施形態2と同一の構成については、実施形態2と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0040】
第1絶縁層38Aは、中心線41の+Y方向に位置する領域で第1内壁25に達する。第2絶縁層38Bは、中心線41の-Y方向に位置する領域で第1内壁25に達する。実施形態3では、ICチップ9を絶縁層38に接触させる工程で、ICチップ9を第1絶縁層38Aと第2絶縁層38Bとに接触させる。この製造方法によれば、ICチップ9をケース2に実装すると、平面視で、6個の接続電極31、6個のパッド電極37及び6個の配線33を絶縁層38とICチップ9とによって覆うことができる。これにより、例えば、接続電極31、パッド電極37及び配線33を、ごみなどの異物から保護しやすい。また、ごみなどの異物がICチップ9の能動面と底面5との隙間に進入することを避けやすい。
【0041】
例えば、発振器1の製造では、振動素子11をケース2に実装してからリッド3をケース2に接合するまでの間に、周波数調整工程を実施することがある。つまり、発振器1の製造方法が周波数調整工程を含む場合がある。周波数調整工程は、振動素子11の質量を変化させることによって共振周波数を調整する工程である。振動素子11の質量は、振動素子11にイオンビームやレーザー光を照射することによって変化させることができる。実施形態3では、周波数調整工程で発生する塵などの異物から接続電極31、パッド電極37及び配線33、並びにICチップ9の能動面を保護しやすい。
【0042】
実施形態4について説明する。
実施形態4のケース2は、配線33のパターンと絶縁層38のパターンとが実施形態3のケース2と異なる。このことを除いて実施形態4は、実施形態3と同様の構成を有する。従って、実施形態4の構成のうち実施形態3と同一の構成については、実施形態3と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0043】
実施形態4のケース2では、
図9に示すように、第5配線33E及び第6配線33Fが、それぞれ、X軸に沿って延在する。第5配線33E及び第6配線33Fは、平面視で、それぞれ、ICチップ9に重なる領域内のパッド電極37から-X方向に延伸する。第1絶縁層38A及び第2絶縁層38Bは、それぞれ、第1内壁25のうち-X方向に位置する第1内壁25Aに達する。第1内壁25Aは、平面視で、底面5とマウント面7との境界に位置する。第1内壁25Aは、平面視で、Y軸に沿って延在する。
【0044】
第1絶縁層38Aは、第1内壁25Aに達する位置から-Y方向に向かって延伸する。第2絶縁層38Bは、第1内壁25Aに達する位置から+Y方向に向かって延伸する。第1絶縁層38Aと第2絶縁層38Bとは、第1内壁25Aとパッド電極37との間で一連する。つまり、第1絶縁層38Aと第2絶縁層38Bとは、一連している。一連する絶縁層38のうち、中心線41の+Y方向に位置する部分が第1絶縁層38Aである。一連する絶縁層38のうち、中心線41の-Y方向に位置する部分が第2絶縁層38Bである。実施形態4では、絶縁層38がアルファベットのC字状にパターニングされているとも表現することができる。
【0045】
実施形態4では、ICチップ9を絶縁層38に接触させる工程で、ICチップ9を第1絶縁層38Aと第2絶縁層38Bとに接触させる。この製造方法によれば、ICチップ9をケース2に実装すると、平面視で、第1内壁25Aと第5パッド電極37E及び第6パッド電極37Fとの間を絶縁層38で覆うことができる。このため、実施形態3に比較して、接続電極31、パッド電極37及び配線33を、ごみなどの異物から一層保護しやすい。また、実施形態3に比較して、ごみなどの異物がICチップ9の能動面と底面5との隙間に進入することを一層避けやすい。
【0046】
さらに、実施形態4では、実施形態3に比較して、ICチップ9と絶縁層38との接触点を広く分散させることができる。このため、実施形態3に比較して、ICチップ9を絶縁層38に安定して接触させやすいので、ケース2の底面5とICチップ9との平行度を一層高めやすい。
【0047】
実施形態5について説明する。
実施形態5のケース2は、配線33のパターンと絶縁層38のパターンとが実施形態4のケース2と異なる。このことを除いて実施形態5は、実施形態4と同様の構成を有する。従って、実施形態5の構成のうち実施形態4と同一の構成については、実施形態4と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0048】
実施形態5のケース2では、
図10に示すように、第3配線33C及び第4配線33Dが、それぞれ、X軸に沿って延在する。第3配線33C及び第4配線33Dは、平面視で、それぞれ、ICチップ9に重なる領域内のパッド電極37から+X方向に延伸する。第1絶縁層38A及び第2絶縁層38Bは、それぞれ、第1内壁25のうち+X方向に位置する第1内壁25Bに達する。第1内壁25Bは、平面視で、底面5の+X方向の境界に位置する。第1内壁25Bは、平面視で、Y軸に沿って延在する。
【0049】
第1絶縁層38Aは、第1内壁25Bに達する位置から-Y方向に向かって延伸する。第2絶縁層38Bは、第1内壁25Bに達する位置から+Y方向に向かって延伸する。第1絶縁層38Aと第2絶縁層38Bとは、第1内壁25Bとパッド電極37との間で一連する。つまり、第1絶縁層38Aと第2絶縁層38Bとは、一連している。一連する絶縁層38のうち、中心線41の+Y方向に位置する部分が第1絶縁層38Aである。一連する絶縁層38のうち、中心線41の-Y方向に位置する部分が第2絶縁層38Bである。実施形態5では、絶縁層38が第1内壁25に沿って環状にパターニングされているとも表現することができる。
【0050】
実施形態5では、ICチップ9を絶縁層38に接触させる工程で、ICチップ9を第1絶縁層38Aと第2絶縁層38Bとに接触させる。この製造方法によれば、ICチップ9をケース2に実装すると、平面視で、第1内壁25Bと第3パッド電極37C及び第4パッド電極37Dとの間を絶縁層38で覆うことができる。このため、実施形態4に比較して、接続電極31、パッド電極37及び配線33を、ごみなどの異物から一層保護しやすい。また、実施形態4に比較して、ごみなどの異物がICチップ9の能動面と底面5との隙間に進入することを一層避けやすい。
【0051】
さらに、実施形態5では、実施形態4に比較して、ICチップ9と絶縁層38との接触点を広く分散させることができる。このため、実施形態4に比較して、ICチップ9を絶縁層38に安定して接触させやすいので、ケース2の底面5とICチップ9との平行度を一層高めやすい。
【0052】
実施形態6について説明する。
実施形態6のケース2は、絶縁層38のパターンが実施形態5のケース2と異なる。このことを除いて実施形態6は、実施形態5と同様の構成を有する。従って、実施形態6の構成のうち実施形態5と同一の構成については、実施形態5と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。実施形態6のケース2では、
図11に示すように、絶縁層38と第1内壁25との間に隙間がある。つまり、絶縁層38が第1内壁25に達していない。実施形態6では、絶縁層38と第1内壁25との間に隙間があるので、第1部分21と第2部分22との位置合わせを容易にすることができる。
【0053】
実施形態1~実施形態6のそれぞれにおいて、ICチップ9の能動面に膜を備えた構成も適用できる。ICチップ9の能動面に膜を備えた構成を実施形態7とする。実施形態7では、
図12に示すように、ICチップ9が膜43を備える。膜43としては、例えば、ICチップ9の能動面に形成されたパッシベーション膜を適用することができる。また、膜43として、例えば、ICチップ9の能動面に、酸化シリコンや窒化シリコン、ポリイミドなどで形成した保護膜とすることもできる。そして、ICチップ9を絶縁層38に接触させる工程で、ICチップ9の膜43を絶縁層38に接触させることができる。この発振器1の製造方法によれば、ICチップ9を絶縁層38に接触させるときに、ICチップ9の能動面を膜43で保護しやすい。
【0054】
発振器1の構造は、
図2に示す構造に限定されない。
図2に示す発振器1の構造では、ICチップ9と振動素子11とが、1つのキャビティー4に収容される。発振器1の構造は、
図13に示すように、ICチップ9と振動素子11とをそれぞれ、2つのキャビティー4のそれぞれに収容する構造も採用され得る。
図13に示す発振器1の構造は、H型構造と呼ばれる。H型構造の発振器1を実施形態8とする。実施形態8においても、実施形態1~実施形態7のそれぞれと同様の効果が得られる。
【0055】
実施形態1~実施形態8では、ICチップ9を絶縁層38に接触させるので、ICチップ9のうち絶縁層38に接触する部位に応力が発生することがある。ICチップ9の半導体基板に形成される回路素子のうち、抵抗素子や容量素子などの受動素子は、応力によって特性が変動することがある。このため、実施形態1~実施形態8において、ICチップ9に形成する受動素子を、ICチップ9のうち絶縁層38に接触する領域外に配置することが好ましい。これにより、発振器1の特性を安定させやすいので、信頼性を高めやすい。
【0056】
実施形態1~実施形態8では、デバイスとして発振器1を例示したが、デバイスは発振器1に限定されない。本開示は、回路基板にICチップ9が実装される種々のデバイスに適用することができる。
【0057】
また、実施形態1~実施形態8では、回路基板に実装する回路部品としてICチップ9を例示したが、回路部品は、ICチップ9に限定されない。回路部品としては、パッケージ化された回路部品も適用することができる。パッケージ化された回路部品には、半導体部品をパッケージに収容した半導体部品、振動素子をパッケージに収容した振動デバイスなど、種々の回路部品が含まれる。実施形態1~実施形態8に示す発振器1も、パッケージ化された回路部品の一例である。
【符号の説明】
【0058】
1…発振器、2…ケース、3…リッド、4…キャビティー、5…底面、8…内壁、9…ICチップ、11…振動素子、21…第1部分、22…第2部分、23…第3部分、25…第1内壁、31…接続電極、33…配線、36…バンプ、37…パッド電極、38…絶縁層、38A…第1絶縁層、38B…第2絶縁層、41…中心線、43…膜。