(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089810
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】グリッパー
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B25J19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205252
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】391008515
【氏名又は名称】株式会社アイエイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】浅井 智史
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CY27
3C707CY29
3C707CY37
3C707ES03
3C707ET08
3C707EU01
3C707HS27
(57)【要約】
【課題】 フィンガーの基部を覆うカバー部材の長寿命化できるとともに上記カバー部材の着脱を行いやすくできるグリッパーを提供すること。
【解決手段】 ハウジングと、上記ハウジングに開閉可能に設けられた一対のフィンガーと、上記ハウジングに固定され上記フィンガーの基部を被覆するカバー部材と、上記カバー部材の上記フィンガーによって貫通される部分と上記フィンガーとの間に介挿されたシール部材と、を具備し、フィンガーの基部を覆うカバー部材の長寿命化できるとともに上記カバー部材の着脱を行いやすくしたもの。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
上記ハウジングに開閉可能に設けられた一対のフィンガーと、
上記ハウジングに固定され上記フィンガーの基部を被覆するカバー部材と、
上記カバー部材の上記フィンガーによって貫通される部分と上記フィンガーとの間に介挿されたシール部材と、
を具備したことを特徴とするグリッパー。
【請求項2】
請求項1記載のグリッパーにおいて、
上記カバー部材には上記フィンガーによって貫通される筒状部が設けられており、
上記筒状部には上記フィンガーが外部に突出されるフィンガー用貫通孔が設けられていて、
上記フィンガー用貫通孔の横断面積は上記筒状部の内部空間の横断面積よりも小さいことを特徴とするグリッパー。
【請求項3】
請求項2記載のグリッパーにおいて、
上記フィンガーの上記筒状部内に配置される部分には上記フィンガー用貫通孔の内側縁部が当接される係合部が設けられていることを特徴とするグリッパー。
【請求項4】
請求項2記載のグリッパーにおいて、
上記筒状部の内部空間は基部側に向けて拡大されたテーパー形状になっていることを特徴とするグリッパー。
【請求項5】
請求項2記載のグリッパーにおいて、
上記筒状部には上記カバーを取り外す際に工具が係合されるカバー取り外し用係合部が設けられていることを特徴とするグリッパー。
【請求項6】
請求項2記載のグリッパーにおいて、
上記筒状部には上記カバーを取り外す際に把持されるカバー取り外し用把持部が設けられていることを特徴とするグリッパー。
【請求項7】
請求項1記載のグリッパーにおいて、
上記カバーの上記シール部材と当接される部分は肉厚になっていることを特徴とするグリッパー。
【請求項8】
請求項1記載のグリッパーにおいて、
上記フィンガーの外周面には上記シール部材が収容されるシール部材取付用凹部が形成されていることを特徴とするグリッパー。
【請求項9】
請求項1記載のグリッパーにおいて、
上記シール部材はOリングであることを特徴とするグリッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、一対のフィンガーにより把持対象物を把持するグリッパーに係り、特に、フィンガーの基部を覆うカバー部材の長寿命化できるとともに上記カバー部材の着脱を行いやすくできるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のグリッパーを開示するものとして、例えば、特許文献1がある。
特許文献1に記載されたワーク把持用チャックは、ボディーに設置されたスライド機構によって開閉可能に支持された一対のフィンガーがピストンの往復動によって作動するリンク機構によって開閉されるようになっている。
【0003】
上記ボディーには、例えば、合成ゴム製のダストカバーが取り付けられていて、上記ダストカバーには上記フィンガーによって貫通される挿通孔が設けられている。上記ダストカバーの挿通孔の縁部は肉厚のシール部となっていて、上記シール部は上記フィンガーに形成された取付溝に密に嵌入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の構成によると、次のような問題があった。
ダストカバーの挿通孔の縁部のシール部がフィンガーに形成された取付溝に密に嵌入されているが、これにより上記ダストカバーの取り外し及び取り付けの作業が行いにくいことが懸念される。
また、上記フィンガーと上記ダストカバーは上記シール部の上記取付溝への嵌入によって固定された状態になっているので、上記フィンガーが移動する際に上記ダストカバーのシール部周辺部分で過度な変形が繰り返し生じ、上記ダストカバーが破損してしまうことも懸念される。
【0006】
本発明は、このような点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、フィンガーの基部を覆うカバー部材の長寿命化できるとともに上記カバー部材の着脱を行いやすくできるグリッパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1によるグリッパーは、ハウジングと、上記ハウジングに開閉可能に設けられた一対のフィンガーと、上記ハウジングに固定され上記フィンガーの基部を被覆するカバー部材と、上記カバー部材の上記フィンガーによって貫通される部分と上記フィンガーとの間に介挿されたシール部材と、を具備したことを特徴とするものである。
また、請求項2によるグリッパーは、請求項1記載のグリッパーにおいて、上記カバー部材には上記フィンガーによって貫通される筒状部が設けられており、上記筒状部には上記フィンガーが外部に突出されるフィンガー用貫通孔が設けられていて、上記フィンガー用貫通孔の横断面積は上記筒状部の内部空間の横断面積よりも小さいことを特徴とするものである。
また、請求項3によるグリッパーは、請求項2記載のグリッパーにおいて、上記フィンガーの上記筒状部内に配置される部分には上記フィンガー用貫通孔の内側縁部が当接される係合部が設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項4によるグリッパーは、請求項2記載のグリッパーにおいて、上記筒状部の内部空間は基部側に向けて拡大されたテーパー形状になっていることを特徴とするものである。
また、請求項5によるグリッパーは、請求項2記載のグリッパーにおいて、上記筒状部には上記カバーを取り外す際に工具が係合されるカバー取り外し用係合部が設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項6によるグリッパーは、請求項2記載のグリッパーにおいて、上記筒状部には上記カバーを取り外す際に把持されるカバー取り外し用把持部が設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項7によるグリッパーは、請求項1記載のグリッパーにおいて、上記カバーの上記シール部材と当接される部分は肉厚になっていることを特徴とするものである。
また、請求項8によるグリッパーは、請求項1記載のグリッパーにおいて、上記フィンガーの外周面には上記シール部材が収容されるシール部材取付用凹部が形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項9によるグリッパーは、請求項1記載のグリッパーにおいて、上記シール部材はOリングであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように、本願発明の請求項1によるグリッパーによると、ハウジングと、上記ハウジングに開閉可能に設けられた一対のフィンガーと、上記ハウジングに固定され上記フィンガーの基部を被覆するカバー部材と、上記カバー部材の上記フィンガーによって貫通される部分と上記フィンガーとの間に介挿されたシール部材と、を具備したので、上記フィンガーと上記カバー部材が固定されていないため、上記カバー部材の着脱を行いやすくできる。また、上記フィンガーが動作した際に上記カバー部材に過度な歪みが生じにくく上記カバー部材の長寿命化できる。
また、請求項2によるグリッパーによると、請求項1記載のグリッパーにおいて、上記カバー部材には上記フィンガーによって貫通される筒状部が設けられており、上記筒状部には上記フィンガーが外部に突出されるフィンガー用貫通孔が設けられていて、上記フィンガー用貫通孔の横断面積は上記筒状部の内部空間の横断面積よりも小さいので、シール機能を高めることができる。
また、請求項3によるグリッパーによると、請求項2記載のグリッパーにおいて、上記フィンガーの上記筒状部内に配置される部分には上記フィンガー用貫通孔の内側縁部が当接される係合部が設けられているので、シール機能を高めることができる。
また、請求項4によるグリッパーによると、請求項2記載のグリッパーにおいて、上記筒状部の内部空間は基部側に向けて拡大されたテーパー形状になっているので、上記カバー部材の着脱を行いやすくできる。
また、請求項5によるグリッパーによると、請求項2記載のグリッパーにおいて、上記筒状部には上記カバーを取り外す際に工具が係合されるカバー取り外し用係合部が設けられているので、上記カバー部材の着脱を行いやすくできる。
また、請求項6によるグリッパーによると、請求項2記載のグリッパーにおいて、上記筒状部には上記カバーを取り外す際に把持されるカバー取り外し用把持部が設けられているので、上記カバー部材の着脱を行いやすくできる。
また、請求項7によるグリッパーによると、請求項1記載のグリッパーにおいて、上記カバーの上記シール部材と当接される部分は肉厚になっているので、確実に上記シール部材を保持してシール機能を高めることができる。
また、請求項8によるグリッパーによると、請求項1記載のグリッパーにおいて、上記フィンガーの外周面には上記シール部材が収容されるシール部材取付用凹部が形成されているので、確実に上記シール部材を保持してシール機能を高めることができる。
また、請求項9によるグリッパーによると、請求項1記載のグリッパーにおいて、上記シール部材はOリングであるので、簡易な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の形態を示す図で、グリッパーの斜視図である。
【
図2】本発明の第1の形態を示す図で、
図1のII-II断面図である。
【
図3】本発明の第1の形態を示す図で、グリッパーのカバーを分離した分解斜視図である。
【
図4】本発明の第2の形態を示す図で、グリッパーのカバーを示す斜視図である。
【
図5】本発明の第3の形態を示す図で、グリッパーのカバーを示す斜視図である。
【
図6】本発明の第4の形態を示す図で、グリッパーのカバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1乃至
図3を参照しながら、本発明の第1の形態について説明する。
図1から
図3に示すように、この第1の実施の形態によるグリッパー1にはハウジング3がある。
図2に示すように、上記ハウジング3内の
図2中下側にはモーター5が設置されている。
【0011】
上記ハウジング3内の
図2中上側にはフィンガー駆動用ネジ軸7が回転可能に設置されている。上記モーター5の出力軸9にはタイミングプーリー11が固着されていて、上記フィンガー駆動用ネジ軸7の
図2中右端にはタイミングプーリー13が固着されている。上記タイミングプーリー11と上記タイミングプーリー13にはタイミングベルト15が巻回されている。
また、上記フィンガー駆動用ネジ軸7の
図2中左側には第1雄ネジ部17が形成されているとともに、上記フィンガー駆動用ネジ軸7の
図2中右側には上記第1雄ネジ部17とは逆の向きの第2雄ネジ部19が形成されている。
【0012】
上記ハウジング3内であって、上記フィンガー駆動用ネジ軸7よりも
図2中上側にはフィンガー用ガイド軸21が設置されている。
上記フィンガー用ガイド軸21には、一対のフィンガー23、25が、互いに接近又は離間する方向に移動可能に設置されている。上記フィンガー23の
図2中下側には雌ネジ部26が形成されていて、この雌ネジ部26は上記フィンガー駆動用ネジ軸7の第1雄ネジ部17に螺合されている。また、上記フィンガー25にも同様に雌ネジ部28が形成されていて、この雌ネジ部28は上記フィンガー駆動用ネジ軸7の第2雄ネジ部19に螺合されている。
このような構成により、上記モーター5によって上記フィンガー駆動用ネジ軸7が回転されると、上記フィンガー23、25が、互いに接近又は離間する方向に移動されるようになっている。
【0013】
また、上記フィンガー23の先端側(
図2中上側)には
図2中上側に突出されて把持部27が設けられている。
図3に示すように、上記把持部27の横断面形状は略正方形である。また、上記フィンガー25にも同様に、
図2中上側に突出された把持部29が設けられている。
【0014】
上記フィンガー23の上記把持部27に隣接した基部側(
図2中下側)の部分には上記把持部27よりも横断面積が拡大されたシール部材取付部31が設けられている。上記シール部材取付部31の
図2中上端側には環状のシール部材取付用凹部33が設けられている。
図3に示すように、上記シール部材取付部31の横断面形状は略円形である。
また、上記フィンガー25の上記把持部29に隣接した基部側(
図2中下側)の部分も上記把持部29よりも横断面積が拡大されたシール部材取付部35が設けられている。上記シール部材取付部35の
図2中上端側にも環状のシール部材取付用凹部37が設けられている。
【0015】
また、
図1から
図3に示すように上記ハウジング3の
図1中上側にはカバー部材41が設置されている。上記カバー部材41は、例えば、ゴム製で、
図1や
図2に示すように、上記ハウジング3の上端側(
図2中上側)及び上記フィンガー23、25の基部側を覆うように設置されている。
【0016】
図1と
図3に示すように、上記カバー部材41の基端側(
図1中下端側)はカバー固定部材43、43とカバー固定部材45、45によって上記ハウジング3に固定されている。上記カバー固定部材43は、略U字型に湾曲された形状を成し、上記ハウジング3の
図3中左下側又は右上側から上記ハウジング3に係合され、上記カバー部材41の下端側を上記ハウジング3に押圧するカバー押さえ部47と、上記カバー押さえ部47の
図3中下側に突出して形成された固定ネジ貫通部49、49から構成される。上記カバー固定部材43は、固定ネジ51、51を上記固定ネジ貫通部49、49に貫通させ、上記ハウジング3に設けられた雌ネジ部53、53に螺合させることで、上記ハウジング3に固定される。また、このとき、上記カバー部材41の基端側(
図3中下端側)は上記ハウジング3と上記カバー押さえ部47の間に介挿されて固定される。
【0017】
上記カバー固定部材45は板状の部材で、固定ネジ貫通孔55、55が形成されている。上記カバー部材41の基端側(
図3中下端側)であって、上記フィンガー23、25の移動方向に直交する方向(
図3中左上から右下に向かう方向)の両側にも、それぞれ2つずつの固定ネジ貫通孔57が形成されている。(
図3中左上側の固定ネジ貫通孔57は図示しない。)上記カバー固定部材45は、固定ネジ59を上記カバー固定部材45の上記固定ネジ貫通孔55と上記カバー部材41の固定ネジ貫通孔57に貫通させ、上記ハウジング3に設けられた雌ネジ部61に螺合させることで固定される。これにより、上記カバー部材41の基端側(
図3中下端側)は上記ハウジング3と上記カバー固定部材45の間に介挿されて固定される。なお、上記カバー固定部材45の固定ネジ貫通孔55内にはパッキン63が挿入されていて、上記固定ネジ59は上記パッキン63を貫通して配置される。
【0018】
上記カバー部材41の上面(
図3中上側の面)には筒状部65、67が設けられている。上記筒状部65にはフィンガー用貫通孔69が設けられていて、上記フィンガー23の把持部27は上記フィンガー用貫通孔69から上記カバー部材41の外部に突出されている。
図2に示すように、上記フィンガー用貫通孔69の横断面積は、上記筒状部65の内部空間の横断面積より小さく設定されている。
また、上記フィンガー23のシール部材取付部31の上端面(
図3中上側の面)はカバー係合部71となっていて、上記筒状部65のフィンガー用貫通孔69の内側縁部が上記カバー係合部71に係合されて、着座されている。
【0019】
また、上記筒状部65内において、上記カバー部材41と上記フィンガー23の間にはシール部材としてのOリング73が介挿されている。上記Oリング73は上記フィンガー23のシール部材取付部31のシール部材取付用凹部33に係合されている。また、上記カバー部材41の上記Oリング73が当接される部分は肉厚部75となっている。上記肉厚部75は上記筒状部65の他の箇所に比べて内側へ向けて厚みが多く設定されている。
【0020】
上記筒状部67も上記筒状部65と同様の構成で、フィンガー用貫通孔69から上記フィンガー25の把持部29が外部に突出されている。上記フィンガー25のシール部材取付部35の上端面(
図3中上側の面)はカバー係合部77となっていて、上記筒状部67のフィンガー用貫通孔69の内側縁部が上記カバー係合部77に係合されて、着座されている。また、Oリング73は、上記フィンガー25のシール部材取付部35のシール部材取付用凹部37に係合されている。なお、上記筒状部65と上記筒状部67の構成要素には同じ符号を付し、説明を省略している。
【0021】
次に、この第1の形態による作用を説明する。
モーター5の出力軸9が回転されると、タイミングプーリー11、タイミングプーリー13、及び、タイミングベルト15によってフィンガー駆動用ネジ軸7が回転される。上記フィンガー駆動用ネジ軸7が一方向に回転されると、フィンガー23、25が互いに接近する方向に移動して、図示しない対象物を把持部27、29の間に挟み込んで把持する。また、上記フィンガー駆動用ネジ軸7が他方向に回転されると、上記フィンガー23、25が互いに離間する方向に移動して、上記把持部27、29による図示しない対象物の把持を解除する。
【0022】
上記フィンガー23、25が移動されると、カバー部材41が変形される。筒状部65のフィンガー用貫通孔69の内側縁部とシール部材取付部31のカバー係合部71が係合されているため、上記フィンガー23の移動に追従して上記カバー部材41が変形される。また、同様に、筒状部67のフィンガー用貫通孔69の内側縁部とシール部材取付部35のカバー係合部77が係合されているため、上記フィンガー25の移動に追従して上記カバー部材41が変形される。上記フィンガー23、25と上記カバー部材41は完全に固定されていないため、上記カバー部材41の筒状部65、67のフィンガー用貫通孔69付近に過度な変形が発生しにくい。
【0023】
上記筒状部65、67内において、上記カバー部材41と上記フィンガー23、25の間にはシール部材としてのOリング73が介挿され、シール機能が確保されている。上記Oリング73は上記フィンガー23のシール部材取付部31のシール部材取付用凹部33、及び、上記フィンガー25のシール部材取付部35のシール部材取付用凹部37に係合されて保持されている。
また、上記カバー部材41の上記Oリング73が当接される部分は内側に向けて厚みが多く設定された肉厚部75となっていて、上記Oリング73をより確実に保持する。
【0024】
次に、この第1の形態による効果について説明する。
カバー部材41の上面(
図3中上側の面)には筒状部65、67が設けられていて、フィンガー23の把持部27はカバー部材41の筒状部65のフィンガー用貫通孔69から外部に突出されるとともに、上記筒状部65のフィンガー用貫通孔69の内側縁部が上記フィンガー23のカバー係合部71に係合されていて、フィンガー25の把持部29も上記カバー部材41の筒状部67のフィンガー用貫通孔69から外部に突出されるとともに、上記筒状部67のフィンガー用貫通孔69の内側縁部が上記カバー係合部77に係合されているので、上記フィンガー23、25と上記カバー部材41は完全に固定されておらず、上記カバー部材41の筒状部65、67のフィンガー用貫通孔69付近に過度な変形を防止することができる。これにより、上記カバー部材41を長寿命化させ、メンテナンスを容易にできる。
【0025】
また、上記フィンガー23、25と上記カバー部材41は完全に固定されていないため、上記カバー部材41の着脱を容易にできる。
また、上記フィンガー用貫通孔69の横断面積は、上記筒状部65、67の内部空間の横断面積より小さく設定されているので、シール機能を高めることができる。
上記筒状部65のフィンガー用貫通孔69の内側縁部が上記フィンガー23のカバー係合部71に着座されるとともに、上記筒状部67のフィンガー用貫通孔69の内側縁部が上記フィンガー25の上記カバー係合部77に着座されているので、上記カバー部材41を上記フィンガー23、25に対して位置決めすることができるとともに、シール機能を高めることができる。
【0026】
また、上記筒状部65内において上記カバー部材41と上記フィンガー23の間にはシール部材としてのOリング73が介挿され、上記筒状部67内において上記カバー部材41と上記フィンガー25の間にはシール部材としてのOリング73が介挿されているので、簡易な構成によりシール機能を高めることができる。
また、上記カバー部材41の上記Oリング73が当接される部分は肉厚部75となっているので、シール機能を高めることができる。
【0027】
次に、
図4を参照しながら、本発明の第2の実施の形態について説明する。
この第2の実施の形態によるグリッパーにはカバー部材101が用いられている。上記カバー部材101は、前記した第1の実施の形態におけるカバー部材41と略同様の構成であるが、上記カバー部材101の基端側(
図4中下端側)であって、上記フィンガー23、25の移動方向に直交する方向(
図4中左上から右下に向かう方向)の両側に、それぞれ2つずつの固定ネジ用切り欠き部103が形成されている。(
図4中左上側の固定ネジ用切り欠き部103は図示しない。)
上記固定ネジ用切り欠き部103は、
図4中下側に開口されている。上記カバー部材101をハウジング3に取り付ける際、固定ネジ59を上記固定ネジ用切り欠き部103に貫通させる。
尚、その他の構成は前記第1の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0028】
この第2の実施の形態の場合も、前記した第1の実施の形態の場合と同様の作用と効果を奏する。また、上記固定ネジ用切り欠き部103は
図4中下側に開口されているため上記カバー部材101の着脱を行いやすい。
【0029】
次に、
図5を参照しながら、本発明の第3の実施の形態について説明する。
この第3の実施の形態によるグリッパーにはカバー部材201が用いられている。上記カバー部材201は、前記した第1の実施の形態におけるカバー部材41と略同様の構成であるが、フィンガー23によって貫通される筒状部203とフィンガー25によって貫通される筒状部205が設けられている。
上記筒状部203は第1の実施の形態における筒状部65、67と略同様の構成であるが、先端側(
図5中上側)に、上記カバー部材201を取り外す際に把持されるカバー取り外し用把持部207が設けられている。
また、上記筒状部203は基部側(
図5中下側)に向けて拡大されたテーパー形状になっており、その内部空間も上記テーパー形状に倣った形状となっている。
上記筒状部205も上記筒状部203と同様の構成である。
尚、その他の構成は前記第1の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0030】
この第3の実施の形態の場合も、前記した第1の実施の形態の場合と同様の作用と効果を奏する。また、上記筒状部203、205の内部空間は基部側(
図5中下側)に向けて拡大されたテーパー形状になっているため、上記カバー部材201の着脱を行いやすくすることができる。また、上記筒状部203、205にはカバー取り外し用把持部207が設けられているので、これによっても、上記カバー部材201の着脱を行いやすくすることができる。
【0031】
次に、
図6を参照しながら、本発明の第4の実施の形態について説明する。
この第4の実施の形態によるグリッパーにはカバー部材301が用いられている。上記カバー部材301は、前記した第3の実施の形態におけるカバー部材201と略同様の構成であるが、フィンガー23によって貫通される筒状部303とフィンガー25によって貫通される筒状部305が設けられている。
上記筒状部303は第3の実施の形態における筒状部203、205と略同様の構成であるが、先端側(
図6中上側)に、上記カバー部材301を取り外す際に、図示しない治具が係合されるカバー取り外し用係合部307が設けられている。
上記筒状部305も上記筒状部303と同様の構成である。
尚、その他の構成は前記第3の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
尚、その他の構成は前記第1の実施の形態や第3の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0032】
この第4の実施の形態の場合も、前記した第3の実施の形態の場合と同様の作用と効果を奏する。
【0033】
なお、本発明は前記第1の形態から第4の実施の形態に限定されない。
フィンガーの把持部の横断面形状には色々なものが考えられる。
カバー部材の材質には様々なものが考えられる。
また、カバー部材とフィンガーとの間に介挿されるシール部材の種類は、Oリング以外にも様々なものが考えられる。
カバー取り外し用把持部やカバー取り外し用係合部の形状、大きさ、及び、個数も、様々なものが考えられる。
その他、図示した構成は一例であり、様々な場合が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、例えば、一対のフィンガーにより把持対象物を把持するグリッパーに係り、特に、フィンガーの基部を覆うカバー部材の長寿命化できるとともに上記カバー部材の着脱を行いやすくできるように工夫したものに関し、例えば、産業用ロボットに用いられるグリッパーに好適である。
【符号の説明】
【0035】
1 グリッパー
3 ハウジング
23 フィンガー
25 フィンガー
31 シール部材取付部(フィンガーの筒状部内に配置される部分)
33 シール部材取付用凹部
35 シール部材取付部(フィンガーの筒状部内に配置される部分)
37 シール部材取付用凹部
41 カバー部材
65 筒状部
67 筒状部
69 フィンガー用貫通孔
71 カバー係合部
73 Oリング(シール部材)
75 肉厚部
77 カバー係合部
101 カバー部材
201 カバー部材
203 筒状部
205 筒状部
207 カバー取り外し用把持部
301 カバー部材
303 筒状部
305 筒状部
307 カバー取り外し用係合部