IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大成建設株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-打込杭および打込杭の施工方法 図1
  • 特開-打込杭および打込杭の施工方法 図2
  • 特開-打込杭および打込杭の施工方法 図3
  • 特開-打込杭および打込杭の施工方法 図4
  • 特開-打込杭および打込杭の施工方法 図5
  • 特開-打込杭および打込杭の施工方法 図6
  • 特開-打込杭および打込杭の施工方法 図7
  • 特開-打込杭および打込杭の施工方法 図8
  • 特開-打込杭および打込杭の施工方法 図9
  • 特開-打込杭および打込杭の施工方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089832
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】打込杭および打込杭の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/12 20060101AFI20240627BHJP
   E02D 27/52 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
E02D27/12 Z
E02D27/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205286
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 普史
(72)【発明者】
【氏名】朝山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】福山 純平
(72)【発明者】
【氏名】堀池 航
(72)【発明者】
【氏名】山田 亮一
(72)【発明者】
【氏名】綿地 規文
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046CA08
2D046DA62
(57)【要約】
【課題】杭の浮力を利用することでクレーン能力の範囲内に調整できることを可能とし、かつ施工の手間および費用の低減化を可能とした打込杭およびこの打込杭の施工方法を提案する。
【解決手段】水底に打ち込む打込杭2であって、中空筒体からなる杭本体3と、杭本体3の内部に配設される袋体4と、杭本体3の上部に設けられた抜け防止蓋5と、袋体4の上部に接続された送気管6と、袋体4の上部に接続された排気管7とを備えている。袋体4は、送気管6から圧入された気体により膨張し、排気管7から排気することにより抜け防止蓋5側に向かって収縮する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底に打ち込む打込杭であって、
中空筒体からなる杭本体と、
前記杭本体の内部に配設される袋体と、
前記杭本体の上部に設けられた抜け防止蓋と、
前記袋体の上部に接続された送気管と、
前記袋体の上部に接続された排気管と、を備えており、
前記袋体は、前記送気管から圧入された気体により膨張し、前記排気管から排気することにより前記抜け防止蓋側に向かって収縮することを特徴とする、打込杭。
【請求項2】
前記袋体は、収縮時に蛇腹状に折り畳まれることを特徴とする、請求項1に記載の打込杭。
【請求項3】
前記杭本体の上部側面に一対のトラニオンが固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の打込杭。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の打込杭を水底に打ち込む打込杭の施工方法であって、
前記打込杭を水上に浮かせた状態で所定の位置に曳航する杭移送工程と、
前記打込杭の上端側を吊り上げることにより前記打込杭を水中で建て起こす建て起こし工程と、
前記打込杭を水底に打ち込む打込工程と、を備えており、
前記杭移送工程では、前記送気管を介して前記袋体に気体を圧入して前記杭本体内で前記袋体を膨張させておき、
前記建て起こし工程では、前記排気管を介して前記袋体内の気体を排気するとともに、前記杭本体の下端から水を杭本体の内部に取り込むことを特徴とする、打込杭の施工方法。
【請求項5】
前記杭移送工程では、前記杭本体の側面に回転防止用浮袋が取り付けられていることを特徴とする、請求項4に記載の打込杭の施工方法。
【請求項6】
前記打込杭を水上に浮かせた状態で保管する水上保管工程をさらに備えていることを特徴とする、請求項4に記載の打込杭の施工方法。
【請求項7】
前記水上保管工程では、前記杭本体の水中側側面に水生生物付着防止用のカバー材を取り付けることを特徴とする、請求項6に記載の打込杭の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水底に施工する打込杭および打込杭の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水上風力発電施設の基礎として、水底に設けられた1本の杭により風車塔を支持するモノパイル式基礎がある。
モノパイル式基礎では、既成杭を水底に打ち込むことにより設ける打設杭や、水底に形成された掘削孔に既成杭を埋設する埋込杭を使用する。
既成杭の施工方法として、クレーン船のクレーンを利用して既成杭を吊り下げるとともに、クレーン船に設けられたパイルグリッパーに既成杭をセットし、パイルグリッパーにより杭傾き等を制御した状態で施工を行う場合がある。このような既成杭の施工方法では、既成杭に対して十分な揚重能力を有しているクレーン船を使用する必要がある。一方、風力発電機の規格が大きくなるにつれて、モノパイル式基礎に使用する既成杭の重量も増加しており、既成杭を揚重可能なクレーン船を確保できないおそれがある。また、重量が増した杭の輸送にも手間がかかる。
そのため、既成杭を水上に浮かした状態で曳航し、所定の位置において建て起こすことで、杭の輸送および建て起こしに要する負担を軽減する施工方法が採用される場合がある。例えば、特許文献1に記載の施工方法は、鋼管杭の両端部をエアバッグによって密封した状態で、当該鋼管杭を水上に浮上させて輸送するものである。この特許文献1の施工方法では、鋼管杭を所定の位置に曳航した後、鋼管杭の両端をワイヤー等で吊持した状態で、エアバッグの空気を脱気して鋼管杭の内部に水を浸入させ、浮力を失った鋼管杭を沈めつつ建て起こしする。
特許文献1の施工方法では、杭の浮力を失わせた状態で、クレーンにより杭を建て起こすため、クレーンへの負担が大きい。また、複数のクレーンを使用して杭の両端部をそれぞれ支持するため、工事の煩雑化や費用の高騰化が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭50-156187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、杭の浮力を利用することでクレーン能力の範囲内に調整できることを可能とし、かつ施工の手間および費用の低減化を可能とした打込杭およびこの打込杭の施工方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明の打込杭は、中空筒体からなる杭本体と、前記杭本体の内部に配設される袋体と、前記杭本体の上部に設けられた抜け防止蓋と、前記袋体の上部に接続された送気管と、前記袋体の上部に接続された排気管とを備えている。前記袋体は、前記送気管から圧入された気体により膨張し、前記排気管から排気することにより前記抜け防止蓋側に向かって収縮する。
この打込杭を水底に打ち込む打込杭の施工方法は、前記打込杭を水上に浮かせた状態で所定の位置に曳航する杭移送工程と、前記打込杭の上端側を吊り上げることにより前記打込杭を水中で建て起こす建て起こし工程と、前記打込杭を水底に打ち込む打込工程とを備えている。そして、前記杭移送工程では前記送気管を介して前記袋体に気体を圧入して前記杭本体内で前記袋体を膨張させておき、前記建て起こし工程では、前記排気管を介して前記袋体内の気体を排気するとともに、前記杭本体の下端から水を杭本体の内部に取り込む。
かかる打込杭および打込杭の施工方法によれば、打込杭を建て起こす際に、杭本体の下端から内部に水を浸入させると、袋体が抜け防止蓋側に向かって収縮し、打込杭の下端側に作用する浮力が小さくなるため、打込杭の下端側が水中に沈んで打込杭が傾くようになる。そのため、打込杭が建て起こしやすくなり、クレーンへの負荷を最小限に抑えることができる。また、打込杭を建て起こす際は、打込杭の上端側を支持すればよく、1台のクレーンによる施工も可能となるため、施工の手間および費用を軽減できる。
【0006】
なお、前記袋体が収縮時に蛇腹状に折り畳まれるものであれば、袋体が無秩序に収縮することを防ぐことができるので、袋体の脱着が容易になり、他の打込杭に転用し易くなる。
また、前記杭本体の上部側面に一対のトラニオンが固定されていれば、打込杭の移送や建て起こす際のワイヤーなどを取り付け易く、また、打込杭を建て起こす際の回転軸となるため、バランスよく打込杭を建て起こすことができる。
また、前記杭移送工程において前記杭本体の側面に回転防止用浮袋が取り付けられていれば、横倒し状態の打込杭を移送する際に打込杭の回転(主として中心軸回りの回転)を抑制し、曳航用のワイヤー等にねじれが発生することを防止できる。
さらに、前記打込杭を水上に浮かせた状態で保管する水上保管工程を備えていてもよい。打込杭を水上に保管すれば、打込杭を保管するための用地や、船を別途設ける必要がない。また、保管スペースへの移送や、保管スペースからの移送に要する手間を要しない。このとき、前記杭本体の水中側側面に水生生物付着防止用のカバー材が取り付けられていれば、打込杭に生物が付着することを抑制できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の打込杭およびこの打込杭の施工方法によれば、杭の浮力を利用することでクレーン能力の範囲内に調整できることを可能とし、かつ施工の手間および費用の低減化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る水上風力発電施設を示す正面図である。
図2】打込杭を示す断面図である。
図3】打込杭の施工方法を示すフローチャートである。
図4】準備工程を示す側面図である。
図5】水上保管工程を示す側面図である。
図6】カバー材の例を示す斜視図である。
図7】杭移送工程を示す側面図である。
図8】建て起こし工程を示す図であって、(a)は建て起こし作業中の状況を示す正面図、(b)は建て起こし後の側面図である。
図9】パイルグリッパーへの打込杭の設置例を示す斜視図であって、(a)は打込杭挿入時、(b)は打込杭設置後である。
図10】打込工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態では、水上風力発電施設1の基礎構造を施工する場合について説明する。図1に本実施形態の水上風力発電施設1を示す。図1に示すように、本実施形態の水上風力発電施設1は、杭基礎13に風車11の支柱12が支持されたいわゆるモノパイル基礎からなる。
水上風力発電施設1の基礎構造(杭基礎13)は、杭(打込杭2)を水底GL(地盤G)に打ち込むことにより形成する。
【0010】
図2に打込杭2を示す。打込杭2は、図2に示すように、杭本体3と、袋体4と、抜け防止蓋5と、送気管6と、排気管7とを備えている。
杭本体3は、中空筒体(例えば鋼管)からなる。杭本体3の側面には一対のトラニオン31,31が固定されている。一対のトラニオン31,31は、高さ方向中央よりも上側において、杭本体3を挟んで対向する位置に配置されている。杭本体3の上部は、上端に行くに従って縮径している。一方、杭本体3のその他の部分では、同一の直径を有している。
【0011】
袋体4は、杭本体3の内部に配設されている。袋体4には、送気管6と排気管7が接続されている。袋体4は、送気管6から圧入された気体により膨張し、排気管7から排気することにより収縮する。袋体4は、例えば化繊製のいわゆる気密性が高いシートからなる円筒状部材である。袋体4は、膨張時の外径が、杭本体3の内径以上である。また、袋体4は、折り畳み可能で、収縮時に蛇腹状に折り畳まれる。袋体4の上端は、抜け防止蓋5に密着している。
抜け防止蓋5は、杭本体3の上部に設けられている。本実施形態では、杭本体3の内部に抜け防止蓋5を固定(止水機能を備えた水密ボルト取り付け等)する。抜け防止蓋5には、送気管6または排気管7を挿通可能な貫通孔が形成されている。
【0012】
送気管6は、袋体4の上部に入口バルブ61を介して接続されている。
排気管7は、袋体4の上部に出口バルブ71を介して接続されている。入口バルブ61は、開閉弁である。本実施形態の出口バルブ71には、袋体4内の圧力(気圧)が許容圧力を超えると開口して排気する、いわゆるリリーフバルブ(調圧弁)を使用する。
【0013】
以下、打込杭2の施工方法について説明する。図3に打込杭2の施工方法の手順を示す。本実施形態の打込杭2の施工方法は、図3に示すように、準備工程S1と、水上保管工程S2と、杭移送工程S3と、建て起こし工程S4と、打込工程S5とを備えている。
準備工程S1では、打込杭2は台船Bsを介して所定の保管場所に移送する。図4に準備工程S1を示す。打込杭2は、図4に示すように、クレーン船等を利用して台船Bsから水上に荷下ろしする。このとき、排気管の出口バルブ71を遮蔽した状態で、送気管6を介して袋体4に気体を圧入して、杭本体3内で袋体4を膨張させておく。袋体4を膨張させたら、入口バルブ61を遮蔽して、袋体4内の気体が流出しないようにする。
【0014】
水上保管工程S2は、打込杭2を水上に浮かせた状態で保管する工程である。図5に水上保管工程S2を示す。水上に荷下ろしされた打込杭2は、図5に示すように、水上に浮かべた状態で係留する。このとき、打込杭2は、水底に一端が固定された複数の係留索(ワイヤーやロープなど)Rなどを利用して係留する。本実施形態の係留索Rは、水底に設けられたシンカーブロックSBを介して一端が水底に固定されている。また、シンカーブロックSBには、灯浮標LBが取り付けられている。さらに、係留索Rには、係留索Rが沈むことを塞ぐためのブイBUが取り付けられている。
なお、打込杭2の水に浸かる側の側面には、予め水生生物付着防止用のカバー材21を取り付けておく。図6にカバー材21を示す。カバー材21は、図6に示すように、断面円弧状(半割円筒状)の板材からなる。カバー材21の円弧の半径は、杭本体3の外径と同等であり、杭本体3の側面に取り付けた際に密着する。カバー材21の固定方法は限定されるものではなく、例えば、接着すればよい。
【0015】
杭移送工程S3では、打込杭2を水上に浮かせた状態で、保管場所から施工箇所に曳航する。このとき、袋体4の膨張は維持されている。図7に杭移送工程S3を示す。打込杭2は、曳航船Btから延設されたワイヤーWを一対のトラニオン31,31に取り付けた状態で、施工箇所まで曳航する。このとき、杭本体3の側面に複数の回転防止用浮袋32,32,…を取り付けておき、曳航時の打込杭2の回転(主として中心軸回りの回転)を抑制し、曳航用のワイヤーWにねじれが発生することを防止する。複数の回転防止用浮袋32,32,…は、ロープにより杭本体3に連結されており、杭本体3の側面に沿って連続して設けられている。回転防止用浮袋33は、杭本体3に金属バンドまたはマグネットを介して固定されている。曳航船BtとワイヤーWの間には、サル管を設けてワイヤーWのねじれを防止する。
【0016】
建て起こし工程S4では、打込杭2を水中で建て起こす。図8に建て起こし工程S4を示す。打込杭2の建て起こしは、図8(a)に示すように、一対のトラニオン31,31に取り付けられたワイヤーW(杭本体3の上側)を吊り上げることにより行う。また、建て起こし工程S4では、排気管7を介して袋体4内の気体の一部を排気する。こうすることで、杭本体3の下端から水が杭本体3の内部に取り込まれるとともに、袋体4が水圧により杭本体3の上部(抜け防止蓋5側)に向かって縮む。そして、浮力が減った杭本体3の下側が上側に比べて重くなり、杭本体3が傾くので、杭本体3の建て起こしが容易になる。袋体4からの排気量(杭本体3内への水の流水量)は、出口バルブ71により調整する。建て起こした打込杭2は、図8(b)に示すように、クレーン船BcのパイルグリッパーPGにセットする。図9にパイルグリッパーPGを示す。本実施形態のパイルグリッパーPGは開閉式である。そのため、図9(a)に示すように、建て起こした打込杭2を水平移動させることによりパイルグリッパーPGに挿入し、図9(b)に示すようにパイルグリッパーPGを閉じることで、打込杭2をパイルグリッパーPGよりも高く持ち上げることなく、パイルグリッパーPGにセットできる。
【0017】
打込工程S5では、打込杭2を水底GLに打ち込む。図10に打込工程を示す。水底GLに打込杭2の下端を着底(当接)させた状態で排気管7を介して袋体4内の気体を排気させると、図10に示すように、打込杭2の自重によって杭本体3の下端部が地盤G(表層部分)に挿入される。その後、必要に応じて、打込杭2に上下方向の振動若しくは打撃を加えるまたは杭軸回りに回転させることで、打込杭2の下端が所定の深さに到達するまで打込む。打込杭2の打込が完了したら、杭本体3の上端から、抜け防止蓋5および袋体4を取り出す。
【0018】
本実施形態の打込杭2および打込杭2の施工方法によれば、打込杭2の内部の袋体4に気体を圧入することで、打込杭2の見かけ重量の軽量化が可能となるため、打込杭2の重量がクレーンの揚重能力を超える場合であっても、浮力を利用して建て起こすことが可能となる。
また、打込杭2を建て起こす際に、下端から内部に水が流入することで、袋体4が抜け防止蓋5側に向かって収縮し、打込杭2の下端側に作用する浮力が小さくなるため、打込杭2の下端側が水中に沈んで打込杭2が傾くようになる。そのため、打込杭2を建て起こしやすくなり、クレーン能力の範囲内に調整できる。
また、建て起こし工程S4において、袋体4からの排気量を調整して、打込杭2の見かけの重さを管理すれば、打込杭2を建て起こす際のバランスを保つことができるため、クレーン能力の範囲内に調整できる。
【0019】
また、杭本体3の上部側面に一対のトラニオン31,31が固定されているため、打込杭3の移送や建て起こしに使用するワイヤーなどを取り付け易い。また、打込杭2を建て起こす際の回転軸となるため、バランスよく打込杭2を建て起こすことができる。
また、打込杭2は、浮力により水に浮かべることができるため、打込杭2を水上に浮かせた状態で、所定の位置に曳航でき、クレーン能力の範囲内に調整できる。ひいては曳航船への負荷を軽減できる。また、所定の位置に移動させた後は、積み替え作業などを要しない。また、保管本数に制限なく保管できる。
また、1本ずつ輸送できるため、クレーン船に積み込んで輸送する必要がない。そのため、作業船であるクレーン船を杭の輸送のために移動させる必要がなく、工期(施工サイクル)短縮化が可能となる。
また、打込杭2を水上に浮かべた状態で保管するため、保管用の台船や用地を確保する必要がなく、費用の低減化が可能である。杭本体3の水中側側面に水生生物付着防止用のカバー材が取り付けられているため、打込杭2に生物が付着することを抑制できる。
また、杭移送工程では、杭本体3の側面に回転防止用浮袋32を取り付けておくことで、横倒し状態の打込杭2を移送する際に打込杭2の回転(主として中心軸回りの回転)を抑制し、曳航用のワイヤー等にねじれが発生することを防止できる。
また、袋体4が収縮時に蛇腹状に折り畳まれるため、袋体4が無秩序に収縮することを防ぐことができる。蛇腹状に折り畳まれた袋体4は、杭本体3に対する脱着が容易となるため、他の打込杭に転用し易くなる。
【0020】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、打込杭2を水上風力発電施設1の杭基礎13に使用する場合について説明したが、打込杭2により支持する構造物は限定されるものではない。
また、杭本体3の形状は限定されるものではない。また、杭本体3は必ずしも上端が縮径されている必要はない。
また、実施形態では、送気管6および排気管7にバルブが設けられている場合について説明したが、送気管6および排気管7には、バルブに代えて逆止弁や閉塞キャップが設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、排気管7にリリーフバルブを設置する場合について説明したが、排気管7に設置するバルブの種類は限定されない。
【符号の説明】
【0021】
1 水上風力発電施設
2 打込杭
21 カバー材
3 杭本体
31 トラニオン
4 袋体
5 抜け防止蓋
6 送気管
61 入口バルブ
7 排気管
71 出口バルブ
G 地盤
GL 水底
H 掘削孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10