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特開2024-89870画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089870
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/71 20230101AFI20240627BHJP
   H04N 23/695 20230101ALI20240627BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240627BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20240627BHJP
【FI】
H04N23/71
H04N23/695
G03B15/00 Q
G03B15/00 P
G03B7/091
G03B15/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205372
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】林 啓太
(72)【発明者】
【氏名】石渡 忠司
(72)【発明者】
【氏名】土屋 圭二
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩史
(72)【発明者】
【氏名】中明 靖文
【テーマコード(参考)】
2H002
5C122
【Fターム(参考)】
2H002BB01
2H002BB05
2H002BB07
2H002DB30
2H002HA16
5C122DA11
5C122DA16
5C122EA06
5C122EA65
5C122EA66
5C122FA18
5C122FF01
5C122FF26
5C122FH11
5C122FH14
5C122GD06
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB01
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】太陽などのダイナミックレンジを超えた高温物体が映ることによる遠赤外線カメラのセンサーの異常を回避することができる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】本開示の画像処理装置10において、第1取得部13は、可視光画像取得部12が取得する可視光画像から所定物体を検知し、可視光画像内の所定物体の位置である第1位置を取得する。可視光画像内で所定物体を検知しなくなった場合、遠赤外線カメラ制御部14は、遠赤外線カメラを第1位置の方向に向け、所定時間以下で撮像するように遠赤外線カメラを制御する。第2取得部16は、遠赤外線画像取得部15で取得された遠赤外線画像から所定物体を検知し、遠赤外線画像内の所定物体の位置である第2位置を取得する。露出調整部17は、第2位置に基づいて可視光カメラの露出を調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光カメラから可視光画像を取得する可視光画像取得部と、
遠赤外線カメラから遠赤外線画像を取得する遠赤外線画像取得部と、
前記可視光画像から所定物体を検知し、前記可視光画像内の前記所定物体の位置である第1位置を取得する第1取得部と、
前記可視光画像内で前記所定物体を検知しなくなった場合に、前記遠赤外線カメラを前記第1位置の方向に向け、所定時間以下で撮像するように前記遠赤外線カメラを制御する遠赤外線カメラ制御部と、
前記遠赤外線画像から前記所定物体を検知し、前記遠赤外線画像内の前記所定物体の位置である第2位置を取得する第2取得部と、
前記第2位置に基づいて前記可視光カメラの露出を調整する露出調整部と、を備える
画像処理装置。
【請求項2】
前記所定物体までの距離を計測する距離計測部をさらに備え、
前記遠赤外線カメラ制御部は、
前記距離が所定以下である場合、前記遠赤外線カメラの撮像を行う
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記可視光画像から高温物体を検知し、前記可視光画像内の前記高温物体の位置である第3位置を取得する第3取得部をさらに備え、
前記遠赤外線カメラ制御部は、
前記第1位置と、前記第3位置との間の距離が所定以上の場合、前記第1位置を含め、かつ前記第3位置を前記遠赤外線画像に含めないように前記遠赤外線カメラを制御する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
可視光カメラから可視光画像を取得する可視光画像取得ステップと、
前記可視光画像から所定物体を検知し、前記可視光画像内の前記所定物体の位置である第1位置を取得する第1取得ステップと、
前記可視光画像内で前記所定物体を検知しなくなった場合に、遠赤外線カメラを前記第1位置の方向に向け、所定時間以下で撮像するように前記遠赤外線カメラを制御する遠赤外線カメラ制御ステップと、
前記遠赤外線カメラから遠赤外線画像を取得する遠赤外線画像取得ステップと、
前記遠赤外線画像から前記所定物体を検知し、前記遠赤外線画像内の前記所定物体の位置である第2位置を取得する第2取得ステップと、
前記第2位置に基づいて前記可視光カメラの露出を調整する露出調整ステップと、を含む
画像処理方法。
【請求項5】
可視光カメラから可視光画像を取得する可視光画像取得ステップと、
前記可視光画像から所定物体を検知し、前記可視光画像内の前記所定物体の位置である第1位置を取得する第1取得ステップと、
前記可視光画像内で前記所定物体を検知しなくなった場合に、遠赤外線カメラを前記第1位置の方向に向け、所定時間以下で撮像するように前記遠赤外線カメラを制御する遠赤外線カメラ制御撮像ステップと、
前記遠赤外線カメラから遠赤外線画像を取得する遠赤外線画像取得ステップと、
前記遠赤外線画像から前記所定物体を検知し、前記遠赤外線画像内の前記所定物体の位置である第2位置を取得する第2取得ステップと、
前記第2位置に基づいて前記可視光カメラの露出を調整する露出調整ステップと、をコンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、可視光カメラにより得られる可視光画像と、ゲーティングカメラにより得られる複数の赤外線画像を組み合わせることにより、被写体を認識する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/184447号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可視光カメラでは、実際には物体が存在するが、太陽光などの光の影響によって可視光画像上に物体が映らない場合がある。このような場面では物体検知が行えない。そこで光の影響を受けない遠赤外線カメラを使って物体検知を行う場面が考えられるが、遠赤外線カメラは、ダイナミックレンジを超えた高温物体の撮像をしてしまうとセンサーが異常を起こしてしまうため、例えば太陽などの高温物体を撮像しないことが望ましい。やむを得ず高温物体の撮像が必要である場合は短時間に留め、センサーに異常が起きないようにする必要がある。しかしながら、特許文献1に係る技術では、赤外線画像を生成するゲーティングカメラを使用しているものの、センサーの異常については考慮されていない。
【0005】
本開示は、太陽光などによる遠赤外線カメラのセンサーの異常を回避することができる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の画像処理装置は、
可視光カメラから可視光画像を取得する可視光画像取得部と、
遠赤外線カメラから遠赤外線画像を取得する遠赤外線画像取得部と、
前記可視光画像から所定物体を検知し、前記可視光画像内の前記所定物体の位置である第1位置を取得する第1取得部と、
前記可視光画像内で前記所定物体を検知しなくなった場合に、前記遠赤外線カメラを前記第1位置の方向に向け、所定時間以下で撮像するように前記遠赤外線カメラを制御する遠赤外線カメラ制御部と、
前記遠赤外線画像から前記所定物体を検知し、前記遠赤外線画像内の前記所定物体の位置である第2位置を取得する第2取得部と、
前記第2位置に基づいて前記可視光カメラの露出を調整する露出調整部と、を備える。
【0007】
本開示の画像処理方法は、
可視光カメラから可視光画像を取得する可視光画像取得ステップと、
前記可視光画像から所定物体を検知し、前記可視光画像内の前記所定物体の位置である第1位置を取得する第1取得ステップと、
前記可視光画像内で前記所定物体を検知しなくなった場合に、遠赤外線カメラを前記第1位置の方向に向け、所定時間以下で撮像するように前記遠赤外線カメラを制御する遠赤外線カメラ制御ステップと、
前記遠赤外線カメラから遠赤外線画像を取得する遠赤外線画像取得ステップと、
前記遠赤外線画像から前記所定物体を検知し、前記遠赤外線画像内の前記所定物体の位置である第2位置を取得する第2取得ステップと、
前記第2位置に基づいて前記可視光カメラの露出を調整する露出調整ステップと、を含む。
【0008】
本開示のプログラムは、
可視光カメラから可視光画像を取得する可視光画像取得ステップと、
前記可視光画像から所定物体を検知し、前記可視光画像内の前記所定物体の位置である第1位置を取得する第1取得ステップと、
前記可視光画像内で前記所定物体を検知しなくなった場合に、遠赤外線カメラを前記第1位置の方向に向け、所定時間以下で撮像するように前記遠赤外線カメラを制御する遠赤外線カメラ制御撮像ステップと、
前記遠赤外線カメラから遠赤外線画像を取得する遠赤外線画像取得ステップと、
前記遠赤外線画像から前記所定物体を検知し、前記遠赤外線画像内の前記所定物体の位置である第2位置を取得する第2取得ステップと、
前記第2位置に基づいて前記可視光カメラの露出を調整する露出調整ステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、可視光カメラの適切な露出による撮像を行いつつ、太陽光などによる遠赤外線カメラのセンサーの異常を回避することができる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る画像処置装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る画像処理装置の第1取得部による可視光画像による所定物体の検知の一例と、第2取得部による遠赤外線画像による所定物体の検知の一例とを示す図である。
図3】第1の実施形態に係る画像処置装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態に係る画像処置装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態に係る画像処置装置の構成の一例を示すブロック図である。
図6】第3の実施形態に係る画像処置装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、図1を用いて、第1の実施形態に係る画像処理装置10の構成を説明する。図1は、第1の実施形態に係る画像処理装置10の構成の一例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、画像処理装置10は、例えばサーバであり、クラウド上に構築される。画像処理装置10は、可視光カメラ20及び遠赤外線カメラ30とネットワークを介して通信してデータを送受信する。可視光カメラ20は、可視光の画像(以下、可視光画像)を撮像するカメラである。遠赤外線カメラ30は、遠赤外線の画像(以下、遠赤外線画像)を撮像するカメラである。
【0014】
可視光カメラ20及び遠赤外線カメラ30は、例えば空港などの監視が必要な場所に設置される。画像処理装置10は、可視光カメラ20から取得した可視光画像及び遠赤外線カメラ30から取得した遠赤外線画像を用いて、例えば空港でのバードストライクの要因となる鳥やドローンなどの所定物体を検知する。
【0015】
図1の説明に戻る。画像処理装置10は、可視光カメラ制御部11、可視光画像取得部12、第1取得部13、遠赤外線カメラ制御部14、遠赤外線画像取得部15、第2取得部16及び露出調整部17を備える。
【0016】
可視光カメラ制御部11は、可視光カメラ20による撮像をする。具体的には、可視光カメラ制御部11は、可視光カメラ20に撮像を開始又は停止させる。
可視光画像取得部12は、可視光カメラ20から可視光画像を取得する。
【0017】
第1取得部13は、可視光画像から所定物体を検知する。具体的には、第1取得部13は、機械学習やディープラーニングなどの学習済みのモデルを用いて所定物体を検知する。第1取得部13は、可視光画像内の所定物体の位置である第1位置を取得する。
【0018】
図2は夕方に撮像された映像の例であり、物体1の後方に太陽がある状況である。図2Aは、第1の実施形態に係る画像処理装置10の可視光画像取得部12が取得する可視光画像の一例である。第1取得部13は、可視光画像内の物体1を検知する。第1取得部13は、ダイナミックレンジの広いシーンを撮像すると、物体1が検知されない場合がある。例えば、第1取得部13は、位置Aでは、物体1を検知している。その後、物体1が山の影に移動した位置Bでは、山も位置Bにある物体1も逆光で暗く映っているため、第1取得部13は物体1を検知しない。
【0019】
遠赤外線カメラ30は太陽などの高温物体が映ることによってセンサーが異常を起こしてしまうと撮像ができなくなってしまうため、遠赤外線カメラ30は高温物体を避けた撮像をする。または高温物体を含んだ撮像の場合はセンサーが異常を起こさない所定時間以内での撮像に留める必要がある。遠赤外線カメラ制御部14は、第1取得部13が可視光画像内で所定物体を検知しなくなった場合に、遠赤外線カメラを第1位置の方向に向け、所定時間以下で撮像するように遠赤外線カメラを制御する。所定時間とは、例えば太陽光などによって遠赤外線カメラ30のセンサーが異常を起こさないと考えられる数分間の時間である。ここで、遠赤外線カメラ制御部14は、遠赤外線カメラ30の撮像開始時、遠赤外線カメラ30のレンズバリアを開ける。そして、遠赤外線カメラ制御部14は、遠赤外線カメラ30の撮像終了時、遠赤外線カメラ30のレンズバリアを閉める。このとき、遠赤外線カメラ制御部14は、遠赤外線カメラ30をスタンバイ状態にしてもよいし、遠赤外線カメラ30の電源をオフにしてもよい。また、遠赤外線カメラ制御部14は、遠赤外線カメラ30のレンズバリアを閉める代わりに、遠赤外線カメラ30のセンサーに高温物体の光が入らない方向に遠赤外線カメラ30を向けてもよい。
【0020】
遠赤外線画像取得部15は、遠赤外線カメラ30から遠赤外線画像を取得する。
第2取得部16は、遠赤外線画像から所定物体を検知する。第2取得部16は、機械学習やディープラーニングなどの学習済みのモデルを用いて所定物体を検知する。第2取得部16は、遠赤外線画像内の所定物体の位置である第2位置を取得する。
【0021】
図2Bは、第1の実施形態に係る画像処理装置10の遠赤外線画像取得部15が取得した遠赤外線画像の一例である。遠赤外線画像では、可視光画像とは異なり、光が物体の検知に影響を与えない。よって第2取得部16は、位置A、位置Bのどちらでも物体1を検知する。
【0022】
露出調整部17は、第2取得部16によって取得された遠赤外線画像内の所定物体の第2位置に基づいて可視光カメラ20の露出を調整する。具体的には、露出調整部17は、遠赤外線画像内の所定物体の第2位置を可視光画像内での位置に変換する。例えば、露出調整部17は、可視光画像の各画素の位置と遠赤外線画像の各画素の位置との対応を持つ変換テーブルを用いて位置を変換する。露出調整部17は、変換テーブルを用いて変換した可視光画像内の位置に合わせて可視光カメラ20の露出が最適になるように調整する。そのため、第1取得部13が可視光画像で所定物体を再度検知する。例えば、図2の位置Bの場合、逆光により背景も物体1も黒潰れし、物体1が背景に埋もれてしまう。その場合、露出調整部17は、位置Bに合わせて可視光カメラ20の露出を高くなるように調整する。
【0023】
ここで、露出調整部17が可視光カメラ20の露出を調整した後、第1取得部13が可視光画像内の所定物体を検知した場合、遠赤外線カメラ制御部14は、遠赤外線カメラ30の撮像を終了する。
【0024】
続いて、図3及び図4を用いて、第1の実施形態に係る画像処理装置10の動作を説明する。図3及び図4は、第1の実施形態に係る画像処理装置10の動作の一例を示す図である。
【0025】
画像処理装置10は可視光カメラ20の動作中であれば常に繰り返し動作しているものであり、図3及び図4に示す処理は、可視光カメラ20の動作中に常に繰り返される。
【0026】
可視光画像取得部12は、可視光カメラ20が動作中の場合、可視光画像を常に取得している。次に、図3に示すように第1取得部13は、可視光画像内に所定物体があることを検知する(ステップS101)。第1取得部13は、可視光画像内に所定物体を検知した場合(ステップS101のYES)、可視光画像内の所定物体の第1位置を取得して(ステップS102)、画像処理装置10は処理を終了する。一方、第1取得部13が可視光画像内に所定物体を検知しなかった場合(ステップS101のNO)、第1取得部13は、最後に取得した第1位置が可視光画像内であるか否かを判定する(ステップS103)。具体的には、第1取得部13は、最後に取得された第1位置が可視光画像内の端の位置であれば、時間が経過した現在の処理では所定物体が可視光画像外に移動したと想定できるため、所定物体が可視光画像内にいないと判定する(ステップS103のNO)。最後に取得された第1位置が可視光画像内の端であるとは、例えば第1位置に可視光画像の最も端の位置(例えば座標(0,0)など)が含まれている場合のことを示す。次に、最後に取得した第1位置が可視光画像内であると判定された場合(ステップS103のYES)、遠赤外線カメラ制御部14は、遠赤外線カメラ30の撮像を開始し、第1位置の方向に遠赤外線カメラ30を向ける(ステップS104)。遠赤外線カメラ30の撮像の開始時、遠赤外線カメラ制御部14は、遠赤外線カメラ30のレンズバリアを開ける。そして、遠赤外線画像取得部15は、遠赤外線カメラ30によって撮像された遠赤外線画像を取得する。次に、処理は図4に示すステップS105に進む。一方、最後に取得した第1位置が可視光画像内の端の位置であると判定された場合(ステップS103のNO)、画像処理装置10は処理を終了する。
【0027】
図4に示すように、ステップS104の後、遠赤外線カメラ制御部14は、遠赤外線カメラ30の撮像を開始してから所定時間経過したか否かを判定する(ステップS105)。所定時間とは、例えば太陽光などによって遠赤外線カメラ30のセンサーが異常を起こさないと考えられる数分間の時間である。そして、遠赤外線カメラ30の撮像を開始してから所定時間経過していないと判定された場合(ステップS105のNO)、第2取得部16は、遠赤外線画像内に所定物体があることを検知する(ステップS106)。一方、遠赤外線カメラ30の撮像を開始してから所定時間経過したと判定された場合(ステップS105のYES)、処理は後述するステップS109に進む。
【0028】
ステップS105の後、第2取得部16は、遠赤外線画像内に所定物体を検知した場合(ステップS106のYES)、遠赤外線画像内の所定物体の第2位置を取得する(ステップS107)。一方、第2取得部16は、遠赤外線画像内に所定物体を検知しなかった場合(ステップS106のNO)、処理はステップS105に戻る。
【0029】
ステップS107の処理の後、露出調整部17は、第2取得部16によって取得された第2位置に基づいて可視光カメラ20の露出を調整する(ステップS108)。具体的には、露出調整部17は、遠赤外線画像内の所定物体の第2位置を可視光画像内の位置に変換する。露出調整部17は、可視光カメラ20の画角内の所定物体の位置に合わせて可視光カメラ20の露出が最適になるように調整する。
【0030】
次に、遠赤外線カメラ制御部14は、遠赤外線カメラ30の撮像を終了する(ステップS109)。遠赤外線カメラ30の撮像の終了時、遠赤外線カメラ制御部14は、遠赤外線カメラ30のレンズバリアを閉める。その後、遠赤外線カメラ制御部14は、遠赤外線カメラ制御部14は、遠赤外線カメラ30の撮像を一時中断するなどスタンバイ状態にする。遠赤外線カメラ制御部14は、スタンバイ状態にする代わりに、遠赤外線カメラ30の電源をオフにしてもよい。また、遠赤外線カメラ制御部14は、遠赤外線カメラ30のレンズバリアを閉める代わりに、遠赤外線カメラ30のセンサーに高温物体の光が入らない方向に遠赤外線カメラ30を向けてもよい。
【0031】
上述の説明より、第1の実施形態に係る画像処理装置10は、可視光画像内で所定物体を検知しなくなった場合、遠赤外線画像内の所定物体の第2位置に基づいて可視光カメラ20の露出を調整する。したがって、画像処理装置10は、露出の影響によって可視光カメラ20の画像内で検知しなくなった所定物体を再検知できる。
【0032】
また、画像処理装置10は、所定時間経過後に遠赤外線カメラ30の撮像を終了する。したがって、画像処理装置10は、太陽光などの高温物体によって遠赤外線カメラ30のセンサーの異常を回避し、遠赤外線カメラ30での撮像ができなくなることを防ぐ。
【0033】
(第2の実施形態)
続いて、図5を用いて、第2の実施形態に係る画像処理装置40の構成を説明する。図5は、第2の実施形態に係る画像処理装置40の構成の一例を示す図である。
図5に示すように、画像処理装置40は、第1の実施形態に係る画像処理装置10の構成に加え、距離計測部41を備える。
【0034】
距離計測部41は、第1取得部13が可視光画像に映る所定物体を検知した後、検知された所定物体までの距離を計測する。距離とは例えば、検知された所定物体と可視光カメラ20との間の距離である。距離計測部41は、例えばLiDARや超音波センサーで構成される。
【0035】
遠赤外線カメラ制御部14は、距離計測部41によって計測された距離が所定距離以下か否かを判定する。遠赤外線カメラ制御部14は、当該距離が所定距離以下であると判定された場合、遠赤外線カメラ30の撮像を行う。一方、遠赤外線カメラ制御部14は、当該距離が所定距離以下でないと判定された場合、遠赤外線カメラ30の撮像を行わない。
【0036】
上述の説明のように、第2の実施形態に係る画像処理装置40は、可視光画像で検知された所定物体との間の距離が所定以上場合には遠赤外線カメラ30での撮像を行わない。例えば空港において鳥やドローンが所定以上の距離にある場合は、航空機の運航を妨げることがない。従って所定以上の距離とは、例えば滑走路の長さ以上であり、具体例としては3km以上距離である。遠赤外線カメラ30の不必要な撮像をなくすことで、太陽などの高温物体による遠赤外線カメラ30のセンサーの異常を防ぐことができる。
【0037】
(第3の実施形態)
続いて、図6を用いて、第3の実施形態に係る画像処理装置50の構成を説明する。図6は、第3の実施形態に係る画像処理装置50の構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、画像処理装置50は、第1の実施形態に係る画像処理装置10の構成に加え、第3取得部51の構成をさらに備える。
【0038】
第3取得部51は、可視光画像から遠赤外線カメラ30のセンサーに異常を発生させる可能性のある高温物体を検知し、可視光画像内の高温物体の位置である第3位置を取得する。高温物体は、太陽や溶岩など所定以上(例えば摂氏1000度以上)の温度をもつ物体である。第3取得部51は、機械学習やディープラーニングなどで学習済みのモデルを含んでおり、このモデルは太陽や溶岩を含む様々な高温物体の画像を学習済みである。第3取得部51は、この学習済みのモデルを用いて高温物体を検知する。
【0039】
遠赤外線カメラ制御部14は、第1取得部13によって取得された可視光画像内の所定物体の位置である第1位置と、第3取得部51によって取得された可視光画像内の高温物体の位置である第3位置と、の間の距離が所定以上であるか否かを判定する。遠赤外線カメラ制御部14は、当該距離が所定以上である場合、第1位置を含め、かつ第3位置を遠赤外線画像に含めないように遠赤外線カメラ30を制御する。一方、遠赤外線カメラ制御部14は、当該距離が所定未満の場合、第1位置を含め、かつ第3位置を遠赤外線画像に含めないようにする遠赤外線カメラ30の制御はせず、第1または第2の実施形態と同様の制御を行う。
【0040】
第3の実施形態に係る画像処理装置50は、高温物体が遠赤外線画像に映らないように遠赤外線カメラ30の画角を制御する。したがって、画像処理装置50は、太陽光などによる遠赤外線カメラ30のセンサーの異常を避けることができる。第1位置と第3位置との間の距離が所定以上とは、例えば画像上で10ピクセル以上の距離のことである。
【0041】
<ハードウェア構成>
上述の実施形態における各構成は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。各装置及び各機能(処理)を、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ及び記憶装置であるメモリを有するコンピュータにより実現してもよい。例えば、メモリに実施形態における方法を行うためのプログラムを格納し、各機能を、メモリに格納されたプログラムをプロセッサで実行することにより実現してもよい。
【0042】
これらのプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0043】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
10、40、50 画像処理装置
11 可視光カメラ制御部
12 可視光画像取得部
13 第1取得部
14 遠赤外線カメラ制御部
15 遠赤外線画像取得部
16 第2取得部
17 露出調整部
20 可視光カメラ
30 遠赤外線カメラ
41 距離計測部
51 第3取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6