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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089879
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 54/02 20060101AFI20240627BHJP
   B65G 35/08 20060101ALI20240627BHJP
   B60L 13/03 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B65G54/02
B65G35/08 A
B60L13/03 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205392
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 陽太
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 祥之
(72)【発明者】
【氏名】大道 亮太
(72)【発明者】
【氏名】乾 公昭
【テーマコード(参考)】
3F021
5H113
【Fターム(参考)】
3F021AA01
3F021BA02
3F021CA04
3F021DA08
5H113BB06
5H113BB09
5H113CC04
5H113CD01
5H113CD11
5H113DA06
5H113DB03
5H113DB15
5H113DD01
5H113HH27
(57)【要約】
【課題】搬送シャトルで物品を搬送方向の前後から挟むことで、物品を確実に保持し、物品を安定して搬送する。
【解決手段】2個の搬送シャトルが各保持アームで搬送方向の前後から挟んで物品を保持し、物品の前側の搬送シャトルの保持アームは少なくとも物品の前面と接触可能な第1接触部を有し、後側の搬送シャトルの保持アームは少なくとも物品の後面と接触可能な第2接触部を有し、第1接触部及び第2接触部の少なくとも一部は、保持アームの延伸方向の中間部分が搬送方向に凸に膨らんだ凸部を有し、搬送シャトルが物品を保持するときに、凸部が物品の前面及び後面の中間部分が凹むように押圧する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の搬送方向の少なくとも一部に沿う搬送レールと有する搬送部と、
前記搬送レールの外面に接触して配置されて前記搬送方向に移動する複数の搬送シャトルと、
前記搬送シャトルを前記搬送部に沿って移動させるリニア搬送機構と、を有し、
前記搬送シャトルは前記搬送レールの外面と直交して延びるとともに、前記物品の前記搬送方向の前面及び後面の少なくとも一方と接触可能な保持アームを有し、前記搬送方向に並んで配置された2個の前記搬送シャトルが各前記保持アームで前記搬送方向の前後から挟んで前記物品を保持し、
前記物品の前面と接触する前記搬送シャトルの前記保持アームは少なくとも前記物品の前面と接触可能な第1接触部を有し、
前記物品の後面と接触する前記搬送シャトルの前記保持アームは少なくとも前記物品の後面と接触可能な第2接触部を有し、
前記第1接触部及び前記第2接触部の少なくとも一部は、前記保持アームの延伸方向の中間部分が搬送方向に凸に膨らんだ凸部を有し、
前記搬送シャトルが前記物品を保持するときに、前記凸部が前記物品の前面及び後面の中間部分が凹むように押圧する物品搬送装置。
【請求項2】
前記第1接触部は、前記物品と対向する部分の全体が前記凸部あり、
前記第1接触部は、前記保持アームの延伸方向の全長に渡って前記物品の前記前面と接触する請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記第2接触部は、前記物品と対向する部分の全体が前記凸部あり、
前記第2接触部は、前記保持アームの延伸方向の全長に渡って前記物品の前記後面と接触する請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記第2接触部は、前記物品と対向する部分の全体が前記凸部あり、
前記第2接触部は、前記保持アームの延伸方向の全長に渡って前記物品の前記後面と接触する請求項2に記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記搬送シャトルの前記保持アームは、前記搬送方向の後側が前記第1接触部であり、前記搬送方向の前側が前記第2接触部である請求項4に記載の物品搬送装置。
【請求項6】
前記搬送シャトルは、
前記保持アームの前記第1接触部が前記物品の搬送方向前面と接触するときに前記物品の下面の前側と接触する第1支持部と、
前記保持アームの前記第2接触部が前記物品の搬送方向後面と接触するときに前記物品の下面の後側と接触する第2支持部と、を有する請求項5に記載の物品搬送装置。
【請求項7】
前記搬送シャトルの動作を制御する制御部をさらに有し、
前記制御部は、前記第1接触部及び前記第2接触部が、前記物品の前面及び後面に所定の圧力で接触するように前記搬送シャトルを制御するとともに、前後に並んだ前記搬送シャトルの距離が所定の範囲から外れたときに、前記物品が不良であると判定する請求項1から請求項6のいずれかに記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特表2015-525176号公報には、物品を搬送する装置として、リニアモーターを用いたリニア搬送装置が開示されている。このリニア搬送装置には、電磁石を配置したリニアモーターのステータと、永久磁石が設けられた搬送部材とを有する。電磁石と永久磁石とでリニアモータシステムが形成される。そして、搬送部材は、ホルダまたは対応ホルダを有し、搬送方向に並んだホルダおよび対応ホルダで製品を挟み、搬送部材を移動させることで製品を搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2015-525176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の搬送装置では、棒状のホルダ及び対応ホルダで製品を挟んで製品を搬送しているが、このような構成では、製品の保持が不十分になり製品が脱落する虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、搬送シャトルで物品を搬送方向の前後から挟むことで、物品を確実に保持し、物品を安定して搬送することができる物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の物品搬送装置は、物品の搬送方向の少なくとも一部に沿う搬送レールと有する搬送部と、前記搬送レールの外面に接触して配置されて前記搬送方向に移動する複数の搬送シャトルと、前記搬送シャトルを前記搬送部に沿って移動させるリニア搬送機構と、を有する。前記搬送シャトルは前記搬送レールの外面と直交して延びるとともに、前記物品の前記搬送方向の前面及び後面の少なくとも一方と接触可能な保持アームを有し、前記搬送方向に並んで配置された2個の前記搬送シャトルが各前記保持アームで前記搬送方向の前後から挟んで前記物品を保持する。前記物品の前面と接触する前記搬送シャトルの前記保持アームは少なくとも前記物品の前面と接触可能な第1接触部を有する。前記物品の後面と接触する前記搬送シャトルの前記保持アームは少なくとも前記物品の後面と接触可能な第2接触部を有する。前記第1接触部及び前記第2接触部の少なくとも一部は、前記保持アームの延伸方向の中間部分が搬送方向に凸に膨らんだ凸部を有する。前記搬送シャトルが前記物品を保持するときに、前記凸部が前記物品の前面及び後面の中間部分が凹むように押圧する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る物品搬送装置によると、搬送シャトルで物品を搬送方向の前後から挟むことで、物品を確実に保持し、物品を安定して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】物品搬送装置の概略配置図である。
図2】物品搬送装置の機能ブロック図である。
図3】物品を保持した搬送シャトル及び単体の搬送シャトルが直線状のレールに沿って移動している状態を外側から見た図である。
図4図3に示す搬送シャトルの平面図である。
図5】第1搬送ルートを移動する搬送シャトル2の搬送方向後側から見た図である。
図6】第2搬送ルートの分岐レールを移動する搬送シャトルを搬送方向後側から見た図である。
図7】物品を保持した搬送シャトルが曲線状のレールを移動している状態を示す平面図である。
図8】物品を保持した搬送シャトルが直線状のレールを移動している状態を示す拡大平面図である。
図9】物品を保持した搬送シャトルが曲線状のレールを移動している状態を示す拡大平面図である。
図10】良品の物品及び不良品の物品を保持したときの搬送シャトルの距離を示す図である。
図11】良品と不良品との判別工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態において、図1に示す物品搬送装置100を基準として、方向を定義する。物品搬送装置100において、時計回り方向を物品Pcの搬送方向Tr、すなわち、搬送シャトル2の移動方向とする。さらに、第1搬送ルート11のループを基準として、外側Os、内側Isを定義する。また、物品Pc及び搬送シャトル2の移動方向において、現在の位置に対して未来に到達する側を前側とする。逆に、現在の位置に対して過去に位置していた側を後側とする。また、物品Pcの各面は、物品搬送装置100にて搬送されている状態を基準に搬送方向Trの前側の面を前面Pcf、後側の面を後面Pcr、外側の面を外面PcO、内側の面を内面PcIとする。また、物品Pcの底部の面を底面Pctとする。
【0010】
<物品搬送装置100>
図1は、物品搬送装置100の概略配置図である。図2は、物品搬送装置100の機能ブロック図である。物品搬送装置100は、例えば、紙等で形成され、内部に液体の収容物が充填された略直方体状の物品(被搬送物ともいう)Pcを搬送する。そして搬送しつつ、検査、印字等の処理を実行し、別途設けられた搬出部から次の工程に送られる。
【0011】
物品搬送装置100は、搬送部1と、搬送シャトル2と、リニア搬送機構3と、コントローラ4と、供給部5と、検査部6と、処理部7と、を有する。
【0012】
<コントローラ4>
ここでコントローラ4の詳細について説明する。図2に示すように、コントローラ4は、処理回路41と、記憶回路42とを有する。処理回路41は、各種情報を処理する回路であり、CPU、MPU等の演算回路を有する。また、処理回路41は、処理結果に基づいて、リニア搬送機構3、供給部5、検査部6、処理部7と接続され、これらの要素の制御を行う。
【0013】
記憶回路42は、ROM、RAM等の半導体メモリー、フラッシュメモリー等の可搬性を有するメモリーおよびハードディスク等の記憶媒体を含むまたは接続される回路である。記憶回路42で、制御プログラムまたは処理プログラム等の各種プログラムを記憶しておき、必要に応じて処理に対応したプログラムを呼び出すとともに処理回路41でプログラムを動作させて、処理を行うようにしてもよい。コントローラ4に接続される要素およびその制御については、各要素の説明時に説明する。
【0014】
<搬送部1>
搬送部1の詳細について説明する。図3は、物品Pcを保持した搬送シャトル2が直線状のレール13に沿って移動している状態を外側Osから見た図である。図4は、図3に示す搬送シャトル2の平面図である。搬送部1は、第1搬送ルート11と、第2搬送ルート12と、を有する。2つの搬送シャトル2が、物品Pcを搬送方向の前後から挟んで保持し、物品Pcを搬送方向Trに搬送する。
【0015】
搬送シャトル2は、第1搬送ルート11に沿って移動する。また、予め決められた条件を満たした又は満たさない搬送シャトル2は、第2搬送ルート12に進入し、第2搬送ルート12に沿って移動する。そして、再度、第2搬送ルート12から第1搬送ルート11に戻り、第1搬送ルート11に沿って移動する。
【0016】
<第1搬送ルート11>
図5は、第1搬送ルート11を移動する搬送シャトル2の搬送方向後側から見た図である。第1搬送ルート11は、環状であり、第1直線搬送レール111と、第2直線搬送レール112と、第1曲線搬送レール113と、第2曲線搬送レール114とを有する。第1直線搬送レール111及び第2直線搬送レール112は、並んで配置される。第1搬送ルート11では、第1直線搬送レール111と第2直線搬送レール112の両端を、それぞれ、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114で連結して、環状に形成される。
【0017】
第1直線搬送レール111及び第2直線搬送レール112は、直線である。第1直線搬送レール111及び第2直線搬送レール112は、直線状の短レールを搬送方向Trに連結して形成される。直線状の短レールの連結数を変更することで、第1直線搬送レール111及び第2直線搬送レール112の長さを変更できる。なお、第1直線搬送レール111及び第2直線搬送レール112は、それぞれ1本のレールであってもよい。
【0018】
さらに、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114は、たとえば、クロソイド曲線状を挙げることができる。また、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114は円弧状であってもよいし、複数の曲線状の部分又は直線状の部分と曲線状の部分とを組みあわせてもよい。
【0019】
第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114は、曲線状の短レールを連結して形成されている。異なる形状及び長さの曲線状の短レールを、第1搬送ルート11に合わせて組み合わせることで、多様な形状に対応可能である。なお、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114は1本のレールであってもよい。
【0020】
第1搬送ルート11において、搬送シャトル2は、第1搬送ルート11の第1直線搬送レール111、第2直線搬送レール112、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114の外側Osの面に配置される。そして、搬送シャトル2は、環状の第1搬送ルート11に沿って移動可能である。
【0021】
第1直線搬送レール111、第2直線搬送レール112、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114は、同一の構造を有しており、これらの詳細な形状の説明において、各レールを代表してレール13として説明する。
【0022】
<第2搬送ルート12>
図6は、第2搬送ルート12の分岐レール121を移動する搬送シャトル2を搬送方向後側から見た図である。図1に示すとおり、第2搬送ルート12は、分岐レール121と、合流レール122と、帰還レール123とを有する。第2搬送ルート12は、分岐レール121、帰還レール123及び合流レール122の順でつないだ構成である。第2搬送ルート12は、第1搬送ルート11を組み合わせることで環状となる。つまり、第2搬送ルート12は、環状の一部を構成する。
【0023】
第2搬送ルート12は、分岐点P1及び合流点P2で、第1搬送ルート11と接続される。第2搬送ルート12において、搬送シャトル2は、分岐レール121及び合流レール122の環状の内側Isの面に配置され、第2搬送ルート12に沿って移動する。また、搬送シャトル2は、分岐レール121の内側Isの面から帰還レール123の外側Osの面に移動する。また、帰還レール123の外側Osの面から合流レール122の内側の面に移動する。この分岐レール121から帰還レール123への移動する部分は、合流点P2と同様の構成である。また、帰還レール123から合流レール122へ移動する部分は、分岐点P1と同様の構成である。
【0024】
分岐レール121及び合流レール122は、直線である。分岐レール121及び合流レール122は、直線状の短レールを搬送方向Trに連結して形成される。直線状の短レールの連結数を変更することで、分岐レール121及び合流レール122の長さを変更できる。なお、分岐レール121及び合流レール122は、それぞれ1本のレールであってもよい。
【0025】
分岐点P1において、分岐レール121の搬送方向Trの後端の内側Isの面は、第1直線搬送レール111の搬送方向Trの前端の外側Osの面に対向して配置される。また、合流レール122の搬送方向Trの前端の内側Isの面は、第1搬送ルート11の第2直線搬送レール112の搬送方向Trの後側の端部の外側Osの面に対向して配置される。合流レール122と第2直線搬送レール112とが対向する部分が合流点P2である。
【0026】
帰還レール123は、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114と同じ構成である。帰還レール123の搬送方向Trの後側の端部は、分岐レール121の搬送方向Trの前側端部の内側Isに対向して配置される。同様に、帰還レール123の搬送方向Trの前側の端部は、合流レール122の搬送方向Trの後側端部の内側Isに対向して配置される。
【0027】
また、分岐レール121及び合流レール122は、後述する溝部134が内側Isに配置される以外、第1直線搬送レール111と同様のレール13で構成される。なお、上述したとおり、帰還レール123は、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114と同じ構成であるため、レール13で構成される。
【0028】
<レール13>
図3図5図6に示すように、レール13は、レール本体部131と、レール上部132と、レール下部133とを有する。レール本体部131は、搬送方向Trと直交する面で切断した切断面が長方形状の筒体である。レール本体部131は、例えば、一部のステンレス鋼、アルミニウム及びその合金を挙げることができるが、これに限定されない。
【0029】
レール上部132は、レール本体部131の上部に配置される。レール上部132は、搬送方向Trと交差する方向の外面から凹んだ溝部134を有する。レール上部132は、2個の溝部134を有する。2個の溝部134は、上下に並んで配置される。
【0030】
なお、レール本体部131とレール上部132との固定は、単一の部材で形成してもよいし、別体で形成して、溶接、ねじ止め等の固定方法で固定してもよい。第1搬送ルート11の全域において、溝部134は、外側Osに配置される。また、第2搬送ルート12の全域において、溝部134は、内側Isに配置される。図3及び図5に示すように、上下方向において、レール本体部131とレール上部132との境界部分には、隙間135が形成される。
【0031】
レール下部133は、レール本体部131の下部に配置される。なお、レール本体部131とレール下部133とは、単一の部材で形成してもよいし、別体で形成して、溶接、ねじ止め等の固定方法で固定してもよい。
【0032】
<搬送シャトル2>
次に、搬送シャトル2について説明する。搬送シャトル2は、シャトル本体21と、物品保持部22とを有する。シャトル本体21には、リニア搬送機構3のマグネット32が配置される。なお、マグネット32はシャトル本体21の内部に収容され、レール本体部131に配置されたコイル31と搬送方向Trと交差する方向に対向する。
【0033】
搬送シャトル2のシャトル本体21は、第1面24と、第2面25とを有する。また、シャトル本体21は、凸部213を有する。凸部213は、レール本体部131とレール上部132との間に形成された隙間135に嵌る。凸部213が隙間135に嵌ることで、シャトル本体21のずれが抑制される。
【0034】
シャトル本体21には、2個の上ローラー211が配置される。2個の上ローラー211は、シャトル本体21に回転可能に支持される。詳しく説明すると、上ローラー211は、搬送方向Trと直交するとともに、レール13の外面と平行な回転軸周りに回転可能に配置される。2個の上ローラー211は、搬送方向Trに離れているとともに、上下方向に異なる位置に配置される。本実施形態におけるシャトル本体21では、搬送方向Trの前側の上ローラー211(図3参照)が、上になるように配置される。
【0035】
シャトル本体21には、2個の下ローラー212が配置される。2個の下ローラー212は、シャトル本体21に回転可能に支持される。下ローラー212は円柱状である。2個の下ローラー212は、搬送方向Trに離れているとともに、上下方向に異なる位置に配置される。本実施形態におけるシャトル本体21では、搬送方向Trの前側の下ローラー212(図3参照)が、下になるように配置される。
【0036】
<物品保持部22>
物品保持部22は、シャトル本体21の上部に固定される。物品保持部22は、保持板221と、保持アーム222と、支持台座223とを有する。保持板221は、板状であり、シャトル本体21よりも内側Isに配置され、上方に延びる。保持板221の搬送方向Tr前側は、前側に向かって内側に傾斜している。また、保持板221には、貫通孔2211と、搬送方向Trの両端に設けられた凹部2212とを有する。凹部2212は、貫通孔2211よりも下に搬送方向に並んで配置される。
【0037】
物品保持部22は、2個の保持アーム222を有し、上下に並んで保持板221に固定される。各保持アーム222の一方は保持板221の上方に配置され、他方は貫通孔2211を貫通して、保持板221よりも外側Osに突出する。
【0038】
保持アーム222は、搬送方向前部に配置される第1接触部225と、搬送方向後部に配置される第2接触部226とを有する。第1接触部225及び第2接触部226は、突出方向の中間部分が搬送方向Trに膨らんだ曲面状である(図4等参照)。
【0039】
支持台座223は、保持板221に固定される。支持台座223は、前部支持台座227と、後部支持台座228とを有する。前部支持台座227は、搬送方向Trにおいて、第1接触部225よりも前側に配置される。また、後部支持台座228は第2接触部226よりも後側に配置される。前部支持台座227及び後部支持台座228の上面は、同じ高さである。なお、前部支持台座227と後部支持台座228とが一体に形成されていてもよい。搬送シャトル2は以上示した形状を有する。
【0040】
<リニア搬送機構3>
物品搬送装置100において、複数の搬送シャトル2は、リニア搬送機構3によって、それぞれ、独立して駆動される。リニア搬送機構3は、複数のコイル31と、マグネット32と、リニアドライバ33と、を有する。複数のコイル31は、第1搬送ルート11及び第2搬送ルート12を構成するレール13の内部に搬送方向Trに沿って配列されている。
【0041】
マグネット32は、永久磁石であり搬送シャトル2のシャトル本体21に配置される。図5に示すように、マグネット32は、シャトル本体21の内部に配置される。シャトル本体21は、磁石に引っ付かない材料で形成されている。そのため、マグネット32の磁力は、シャトル本体21の外部に漏れる。そして、マグネット32は、コイル31と磁力を付与しあうことができるように配置される。シャトル本体21に配置されたマグネット32と、レール13の内部に配置された複数のコイル31とでリニアモーターが形成される。
【0042】
リニアドライバ33は、各コイル31と接続される(図2参照)。リニアドライバ33は、不図示の電源回路に接続されている。リニアドライバ33は、コイル31に供給する電力を制御する回路であり、演算処理回路、各コイル31に供給する電圧および電流を調整する電力供給回路等の回路を含む。リニアドライバ33は、コントローラ4からの指示に基づいて、各コイル31に適切な電流を供給する。
【0043】
コイル31に順に電流が供給されることで、搬送シャトル2に配置されたマグネット32との間に発生する磁力によって、搬送シャトル2が搬送部1の第1搬送ルート11又は第2搬送ルート12に沿って移動する。また、リニアドライバ33は、コイル31に供給する電流の量、タイミングを変更することで、搬送シャトル2の速度を調整することができる。
【0044】
コントローラ4は、リニアドライバ33を介して、搬送シャトル2を独立して移動させることができる。なお、コントローラ4は、複数の搬送シャトル2を個別に動作をさせることができるとともに、同期して動作させることも可能である。また、コントローラ4は、搬送シャトル2の位置を取得できる。
【0045】
コントローラ4は、搬送シャトル2を加減速することで、搬送方向Trに隣り合う搬送シャトル2の相対距離を調整する。例えば、搬送シャトル2を加速すると、搬送方向Trの前を移動している搬送シャトル2との距離が接近し、後を移動している搬送シャトル2との距離が離間する。また、減速した場合、その反対に、前の搬送シャトル2と離間し、後の搬送シャトル2と接近する。搬送シャトル2の加減速によって、搬送シャトル2同士が接触する虞もある。
【0046】
また、リニア搬送機構3において、搬送シャトル2の速度、換言すると、搬送シャトル2間の相対距離を頻繁に変更すると、消費電力が増加し、コイル31の過熱の原因になる。そのため、コントローラ4は、なるべく搬送シャトル2の加減速を行わない、つまり、搬送シャトル2同士の距離を一定に保って搬送シャトル2を制御する。また、搬送シャトル2同士の距離を変更する必要がある場合も、コントローラ4は、搬送シャトル2同士の距離の変化がなるべく小さくなるように搬送シャトル2の速度を制御する。
【0047】
搬送シャトル2において、物品保持部22は、シャトル本体21の上方に配置される。このことから、シャトル本体21の第1面24の内側及び第2面25の外側には、構成部材が配置されない。そのため、上ローラー211及び下ローラー212の径方向外縁部が、第1面24よりも内側Is及び第2面25よりも外側Osに突出する。
【0048】
これにより、第1搬送ルート11において、搬送シャトル2は、第1直線搬送レール111、第2直線搬送レール112、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114の外側Osに沿って移動できる。また、搬送シャトル2は、第2搬送ルート12において、分岐レール121及び合流レール122の内面に沿って移動できる。また、搬送シャトル2は、帰還レール123の外面に沿って移動できる。
【0049】
さらに詳しく説明すると、搬送シャトル2は、第1搬送ルート11において、レール13の外側Osに沿って移動可能である。シャトル本体21は、例えば、マグネット32の磁力によって、第1搬送ルート11のレール13の外側Osに吸着されている。なお、レール13に磁石を吸着する鉄等の金属で形成された吸着部を備えていてもよいし、コイル31に備えられた鉄心とマグネット32との磁力によって吸着されてもよい。
【0050】
第1搬送ルート11において、上ローラー211および下ローラー212がレール13と接触することで、シャトル本体21の第1面24がレール13の外面と一定の間隔を開けて配置される。つまり、シャトル本体21は、上下を上ローラー211及び下ローラー212でレール13の外面に移動可能に支持される。
【0051】
搬送シャトル2は、搬送方向Trに配列された上ローラー211および下ローラー212が上下にずれている。このため、搬送シャトル2が、搬送方向Trに接近した場合でも、上ローラー211同士または下ローラー212同士が干渉しにくい。そのため、搬送シャトル2を搬送方向Trに前後に接近して配置可能及び接近した状態で移動可能である。
【0052】
図6に示すように、搬送シャトル2は、第2搬送ルート12において、分岐レール121及び合流レール122の内側Isに沿って移動可能である。シャトル本体21は、内部に配置されたマグネット32の磁力によって、分岐レール121及び合流レール122の内面に吸着されている。なお、レール13に磁石を吸着する鉄等の金属で形成された吸着部を備えていてもよいし、コイル31に備えられた鉄心とマグネット32との磁力によって吸着されてもよい。
【0053】
上ローラー211及び下ローラー212が分岐レール121及び合流レール122と接触することで、シャトル本体21の第2面25が分岐レール121及び合流レール122の内面と一定の間隔を開けて対向して配置される。つまり、シャトル本体21は、上下を上ローラー211及び下ローラー212で分岐レール121及び合流レール122の内面に移動可能に支持される。
【0054】
このような構成とすることで、第1直線搬送レール111、第2直線搬送レール112、分岐レール121及び合流レール122に配置されるコイル31の制御で、搬送シャトル2を分岐点P1で分岐可能であるとともに、合流点P2で合流可能である。つまり、簡単な構成であるとともに、簡単な制御で、搬送シャトル2を分岐、合流させることができる。
【0055】
つまり、コントローラ4は、第1直線搬送レール111を移動する搬送シャトル2を、分岐点P1で、第1曲線搬送レール113又は分岐レール121のどちらかに分岐可能である。また、コントローラ4は、第2搬送ルート12の合流レール122を移動する搬送シャトル2を、合流点P2で、第2直線搬送レール112に合流可させることが可能である。
【0056】
<供給部5>
図1に示すように、供給部5は、物品移動部51を有する。物品移動部51は、物品Pcを移動させる移動機構である。物品移動部51は、例えば、物品搬送装置100が配置される工程の前工程から搬出された物品を、物品搬送装置100に搬入(供給)する。なお、供給部5における物品Pcの移動方向を、供給方向Tsとする。
【0057】
物品移動部51は、略直方体状の物品Pcを搬送するコンベヤである。物品移動部51は、上面に載置された物品Pcを供給方向Tsに移動させる。これにより、物品Pcは、供給部5において、供給方向Tsに沿って移動する。
【0058】
物品移動部51は、ベルトコンベヤ、トップチェーンコンベヤなど、一般的な搬送コンベヤを用いることができる。ここでは、物品移動部51は、ベルトコンベヤを用いている(図1等参照)。物品移動部51は、コントローラ4に接続されており(図2参照)、コントローラ4からの指示に従って駆動される。
【0059】
物品移動部51の供給方向Tsの後端が乗換部R1に接続している。物品移動部51によって供給方向Tsに移動された物品Pcは、乗換部R1で前後に並んだ搬送シャトル2に搬送方向Trの前後から挟まれて保持され、搬送方向Trに沿って搬送される。
【0060】
供給部5において、物品移動部51の供給方向Tsの前方の端部は、物品Pcを正確な方向に誘導するガイドバー52が配置される。ガイドバー52は、物品移動部51上を移動する物品Pcの搬送方向Trと交差する方向に面する側面と接触する。これにより、物品Pcの倒れを抑制しつつ、乗換部R1における物品Pcの搬送シャトル2に対する角度のずれを抑制できる。
【0061】
乗換部R1において、物品移動部51の供給方向Tsの前側の端部の内側Isは、搬送シャトル2の支持台座223と接触しないように、隙間をあけて配置される。そして、物品Pcは、物品移動部51による移動から搬送シャトル2による保持に移行するとき、前側の搬送シャトル2の後部支持台座228が物品Pcの底面Pctを支持する。そのため、物品移動部51は、支持台座223の上面と同じ高さ又はそれよりも多少高く設けることが好ましい。なお、物品移動部51の上面の支持台座223に対する高さは、物品Pcが支持台座223の上面に移動するとき、物品Pc及び内部に収容されている収容物に悪影響の無い程度の高さである。
【0062】
<検査部6>
検査部6は、第1直線搬送レール111の近傍に配置される。検査部6は、第1直線搬送レール111の環状の外側に配置されて、搬送シャトル2が保持した物品Pcの底面Pctの状態に基づいて、物品Pcの良又は不良の判定を行う。
【0063】
図2に示すように、検査部6は、撮像部61と、判定部62とを有する。撮像部61及び判定部62は、コントローラ4に接続されており、コントローラ4からの指示に従って動作する。
【0064】
撮像部61は、例えば、CCD、CMOS等の撮像素子を有する、カメラを有する。撮像部61は、搬送シャトル2によって前後から保持され、第1直線搬送レール111に沿って移動する物品Pcの底面を撮像する。撮像部61は、画角及び焦点が固定されている。そして、コントローラ4の処理回路41は、搬送シャトル2に保持された物品Pcが検査部6を通過する毎に、物品Pcの底面Pctを撮像するように制御する。
【0065】
そして、撮像部61は、物品Pcの底面Pctを撮像するごとに、撮像データをコントローラ4に送る。コントローラ4は、送られてきた撮像データを記憶回路42に蓄積する。また、コントローラ4の処理回路41は、送られてきた撮像データを判定部62に送信する。判定部62は、画像データに対して画像処理を実行し、画像処理後の画像データに基づいて、底面Pctの折りしろの形状、位置、色を確認し、物品Pcの良又は不良に判定する。
【0066】
なお、判定部62は、コントローラ4の処理回路41と独立した処理装置を用いて処理を実行するようにしてもよいし、処理回路41の一部を用いて判定処理を行ってもよい。さらには、記憶回路42に記憶された判定処理用のプログラムを処理回路41で実行し、判定部62としてもよい。
【0067】
判定部62は、物品Pcの良又は不良を判定する。そして、判定部62による物品Pcの良又は不良の判定結果は、コントローラ4に送る。コントローラ4は、良品と判定された物品Pcを保持した搬送シャトル2が分岐点P1から第1曲線搬送レール113に移動するように、リニア搬送機構3を制御する。また、コントローラ4は、不良品と判定された物品Pcを保持した搬送シャトル2が分岐点P1から第2搬送ルート12に移動するように、リニア搬送機構3を制御する。
【0068】
第2搬送ルート12の分岐レール121の途中に、第2搬送ルート12の外部に排出する物品排出部124が設けられている。物品排出部124では、搬送シャトル2に保持されて不良品と判定された物品Pcを物品搬送装置100の外部に排出される。物品搬送装置100において、コントローラ4は、物品Pcを保持した搬送シャトル2が物品排出部124を通過するときに、物品Pcを保持している搬送シャトル2の距離が離れるようにリニア搬送機構3を制御する。これにより物品Pcが搬送シャトル2から離れ、物品Pcが落下する。落下した物品Pcは、不図示の容器によって回収される。
【0069】
コントローラ4は、物品排出部124を通過した搬送シャトル2を帰還レール123及び合流レール122に沿って一定の速度で移動するように、リニア搬送機構3を制御する。そして、コントローラ4は、合流点P2で搬送シャトル2が第2直線搬送レール112に移動するように、リニア搬送機構3を制御する。
【0070】
検査部6を用いることで、物品搬送装置100で搬送される物品Pcの良品と不良品とを分別し、良品のみを正規のルートである第1搬送ルート11に沿って移動させることができる。本実施形態の検査部6では、撮像部61として静止画を撮像する構成を例に説明したが、動画を撮影し、その動画に基づいて良品と不良品とを判別するようにしてもよい。
【0071】
<処理部7>
第1搬送ルート11の第2直線搬送レール112の搬送方向Trの後側の近傍には、物品Pcに対して予め決められた処理を実行するための処理部7が配置される。処理部7は、コントローラ4に接続されており、コントローラ4からの指示に基づいて、制御される。
【0072】
本実施形態の物品搬送装置100において、処理部7は、物品Pcの所定の位置に、製造日、消費期限等の文字を印字する印字処理である。なお、処理部7による処理は、印字処理に限定されず、物品Pcに対して実行される処理を広く採用することができる。
【0073】
処理部7において、物品Pcに対して印字処理を実行するとき、物品Pcの搬送速度が速いと、正確な印字ができない。そのため、コントローラ4は、物品Pcが処理部7を移動するとき、物品Pcの搬送速度を遅くして物品Pcに対して処理を実行する。そして、物品Pcに対する処理が完了すると、コントローラ4は、物品Pcを元の速度に戻し、第2直線搬送レール112に沿って移動させる。
【0074】
そして、第2直線搬送レール112の搬送方向Trの後端部の近傍には、物品搬送装置100の外部に、物品Pcを搬出する搬出部115が設けられる。搬出部115では、物品Pcが物品搬送装置100の外部、例えば、次工程に物品Pcを移動させる。搬出部115で物品Pcを外部に搬出した後、搬送シャトル2は、第2曲線搬送レール114に移動させる。第2曲線搬送レール114において、搬送シャトル2は、一定の速度で移動しつつ、乗換部R1での物品Pcの供給の待機を行う。
【0075】
図7は、物品Pcを保持した搬送シャトル2が曲線状のレール13を移動している状態を示す平面図である。図7に示すように、第1接触部225及び第2接触部226が各々、外側に膨らんだ、略曲面状であるので、保持アーム222の突出方向が平行でない場合にも物品Pcの前面Pcf及び後面Pcrを挟んで保持できる。
【0076】
<搬送シャトル2による物品Pcの保持>
次に、搬送シャトル2による物品Pcの保持について説明する。図8は、物品Pcを保持した搬送シャトル2が直線状のレール13を移動している状態を示す拡大平面図である。また、図9は、物品Pcを保持した搬送シャトル2が曲線状のレール13を移動している状態を示す拡大平面図である。図8及び図9では、物品Pcの保持アーム222が接触している部分の形状を示している。なお、前側の搬送シャトル2F、後側の搬送シャトル2Rと区別して説明する。
【0077】
図8図9に示す第1接触部225及び第2接触部226とは、長手方向の中央部が、搬送方向に突出する凸曲面である。そして、第1接触部225及び第2接触部226は、平面視において円弧状である。
【0078】
前側の搬送シャトル2Fの後部支持台座228が物品Pcの底面Pctの前部の内側を支持し、第2接触部226が物品Pcの前面Pcfを押圧する。後側の搬送シャトル2Rの前部支持台座227が物品Pcの底面Pctの後部の内側を支持し、第1接触部225が物品Pcの後面Pcrを押圧する。
【0079】
直方体形状の物品Pcは、例えば、紙で形成されて、内部に、飲料等の液体が充填されている。そのため、物品Pcの前面Pcf及び後面Pcrは、変形しやすい構成となっている。そして、物品Pcの前面Pcfは、前側の搬送シャトル2Fの第2接触部226に押圧されることで、第2接触部226に沿って凹む。物品Pcの後面Pcrは、後側の搬送シャトル2Rの第1接触部225に押圧されることで、第1接触部225に沿って凹む。
【0080】
図8図9に示すように、物品Pcの前面Pcfは、外側Os及び内側Is(図4図5図6を参照)に比べて中間部分が搬送方向Trの後側に凹んでいる。その凹み部分には、前側の搬送シャトル2Fの第2接触部226が接触している。物品Pcの後面Pcrは、外側Os及び内側Isに比べて中間部分が搬送方向Trの前側に凹んでいる。その凹み部分には、後側の搬送シャトル2Rの第1接触部225が接触している。
【0081】
このように、物品Pcは、搬送シャトル2F、2Rで保持されるとき、物品Pcの底面Pctは、内側が前部支持台座227及び後部支持台座228に支持される。そのため、上部が外側Osに倒れるように力が作用する。一方で、物品Pcの前面Pcf及び後面Pcrは凹むとともに、それぞれ、前側の搬送シャトル2Fの第2接触部226及び後側の搬送シャトル2Rの第1接触部225で押圧される。そのため、物品Pcの上部が外側Osに倒れようとする力は、第1接触部225及び第2接触部226によって支持され、物品Pcの上部が外側Osに倒れることを抑制できる。
【0082】
また、前側の搬送シャトル2F及び後側の搬送シャトル2Rが、曲線状のレール13に沿って移動している場合、各搬送シャトル2F、2Rの保持アーム222は外側に向かうにつれて広がる。各保持アーム222の第1接触部225及び第2接触部226の中央部が搬送方向に突出した形成であるため、物品Pcを保持する保持アーム222の外側が外側に拡がるようになっていても、物品Pcをしっかり保持することができる。
【0083】
以上示したように、第1接触部225及び第2接触部226が保持アーム222の長手方向の中央が平面視において外側に突出する曲線状である構成とすることで、物品Pcが、外側Osに倒れることを抑制しつつ、搬送方向Trに移動させることができる。
【0084】
第1接触部225及び第2接触部226の平面視の形状は、円弧状に限定されず、楕円弧状、サイクロイド曲線状、トロコイド曲線状等の突出する凸曲面であってもよい。また、本実施形態では、第1接触部225及び第2接触部226とは、平面視において鏡像となるような形状であるが、これに限定されない。例えば、第1接触部225が円弧状で、第2接触部226が楕円弧状等、異なる形状であってもよい。
【0085】
前側の搬送シャトル2Fが常に物品Pcの前面Pcfを、後側の搬送シャトル2Rが常に物品Pcの後面Pcrをそれぞれ押圧して保持する構成である場合がある。この場合において、前側の搬送シャトル2Fは、第2接触部226及び後部支持台座228のみを有し、後側の搬送シャトル2Rは、第1接触部225及び前部支持台座227のみを有する構成であってもよい。
【0086】
リニア搬送機構3は、前側の搬送シャトル2Fと後側の搬送シャトル2Rとを制御し、物品Pcを前後から挟んで保持する。リニア搬送機構3は、前側の搬送シャトル2Fの第2接触部226及び後側の搬送シャトル2Rの第1接触部225が一定の圧力で物品Pcを押圧するように、前側の搬送シャトル2Fと後側の搬送シャトル2Rとを制御する。
【0087】
ここで、良品の(物品Pcgとする)又は不良品の(物品Pcnとする)を保持したときの前側の搬送シャトル2Fと後側の搬送シャトル2Rとの距離について図面を参照して説明する。図10は、良品の物品及び不良品の物品を保持したときの搬送シャトルの距離を示す図である。図10では、適正な量の収納物が収納された良品の物品Pcgを保持した状態(状態A1とする)と、収納物が既定の量よりも多い不良品の物品Pcnを保持した状態(状態A2とする)と、収納物が既定の量よりも少ない不良品の物品Pcnを保持した状態(状態A3とする)とを示している。
【0088】
図10に示すように、良品の物品を保持した状態の前側の搬送シャトル2Fと後側の搬送シャトル2Rとの搬送方向の距離はL1である(図10参照)。一方で、収納物が既定の量よりも多い不良品の物品Pcnの場合、前側の搬送シャトル2Fと後側の搬送シャトル2Rとの搬送方向の相対距離はL2(>L1)である。また、數納物が既定の量よりも少ない不良品の物品Pcnの場合、前側の搬送シャトル2Fと後側の搬送シャトル2Rとの搬送方向の相対距離はL3(<L1)である。
【0089】
コントローラ4は、前側の搬送シャトル2Fと後側の搬送シャトル2Rとの距離に基づいて、物品Pcが良品であるか不良品であるか判定できる。以下に、前側の搬送シャトル2Fと後側の搬送シャトル2Rとの相対距離に基づいて、良品と不良品の判別方法について図面を参照して説明する。図11は、良品と不良品との判別工程を示すフローチャートである。
【0090】
乗換部R1で供給部5から供給された物品Pcを、前側の搬送シャトル2F及び後側の搬送シャトル2Rで前後から挟んで保持する。コントローラ4は、前側の搬送シャトル2Fと後側の搬送シャトル2Rとの搬送方向の相対距離Lを取得する(ステップS101)。
【0091】
物品Pcは、収納物の量、包装体の形状等がばらつく場合がある。つまり、良品の物品Pcgを保持したときの前側の搬送シャトル2Fと後側の搬送シャトル2Rとの搬送方向Trの相対距離は、一定の範囲でばらつくと考えられる。コントローラ4は、取得した相対距離Lが、一定の範囲(Lg1≦L≦Lg2)に収まっているか否か確認する(ステップS102)。第1閾値であるLg1は、L3よりも大きい。また、第2閾値であるLg2は、L2よりも小さい。
【0092】
Lg1≦L≦Lg2である場合(ステップS102でYesの場合)、コントローラ4は、前側の搬送シャトル2Fと後側の搬送シャトル2Rで保持している物品Pcが良品の物品Pcgであると判定する(ステップS103)。
【0093】
また、L<Lg1又はLg2<Lである場合(ステップS102でNoの場合)、コントローラ4は、前側の搬送シャトル2Fと後側の搬送シャトル2Rで保持している物品Pcが不良品の物品Pcnであると判定する(ステップS104)。
【0094】
このようにコントローラ4は、前側の搬送シャトル2F及び後側の搬送シャトル2Rの搬送方向の相対距離に基づいて、保持されている物品が良品であるか不良品であるか判定することができる。
【0095】
なお、本実施形態では、コントローラ4が良品であるか不良品であるか判定しているが、これに限定されない。例えば、検査部6の判定部62で判定するようにしてもよい。そして、判定の結果、良品と判定された物品Pcgについては、分岐点P1で第1搬送ルート11の第1曲線搬送レール113に沿って移動する。不良品と判定された物品Pcnについては、分岐点P1で第2搬送ルート12に搬送され、物品排出部124で排出される。また、コントローラ4は、乗換部R1で前側の搬送シャトル2F及び後側の搬送シャトル2Rが保持したときに、不良品と判定された物品Pcnは、検査部6での検査を行わないようにしてもよい。このようにすることで、不必要な処理が削減される。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【0097】
<まとめ>
本発明は、以下の構成を有する。
【0098】
(1) 物品の搬送方向の少なくとも一部に沿う搬送レールと有する搬送部と、
前記搬送レールの外面に接触して配置されて前記搬送方向に移動する複数の搬送シャトルと、
前記搬送シャトルを前記搬送部に沿って移動させるリニア搬送機構と、を有する。
前記搬送シャトルは前記搬送レールの外面と直交して延びるとともに、前記物品の前記搬送方向の前面及び後面の少なくとも一方と接触可能な保持アームを有し、前記搬送方向に並んで配置された2個の前記搬送シャトルが各前記保持アームで前記搬送方向の前後から挟んで前記物品を保持する。
前記物品の前面と接触する前記搬送シャトルの前記保持アームは少なくとも前記物品の前面と接触可能な第1接触部を有する。
前記物品の後面と接触する前記搬送シャトルの前記保持アームは少なくとも前記物品の後面と接触可能な第2接触部を有する。
前記第1接触部及び前記第2接触部の少なくとも一部は、前記保持アームの延伸方向の中間部分が搬送方向に凸に膨らんだ凸部を有する。
前記搬送シャトルが前記物品を保持するときに、前記凸部が前記物品の前面及び後面の中間部分が凹むように押圧する。
【0099】
(2)前記第1接触部は、前記物品と対向する部分の全体が前記凸部あり、
前記第1接触部は、前記保持アームの延伸方向の全長に渡って前記物品の前記前面と接触する(1)に記載の物品搬送装置。
【0100】
(3)前記第2接触部は、前記物品と対向する部分の全体が前記凸部あり、
前記第2接触部は、前記保持アームの延伸方向の全長に渡って前記物品の前記後面と接触する(1)又は(2)に記載の物品搬送装置。
【0101】
(4)前記搬送シャトルの前記保持アームは、前記搬送方向の後側が前記第1接触部であり、前記搬送方向の前側が前記第2接触部である(3)に記載の物品搬送装置。
【0102】
(5)前記搬送シャトルは、
前記保持アームの前記第1接触部が前記物品の搬送方向前面と接触するときに前記物品の下面の前側と接触する第1支持部と、
前記保持アームの前記第2接触部が前記物品の搬送方向後面と接触するときに前記物品の下面の後側と接触する第2支持部と、を有する(1)から(4)のいずれかに記載の物品送出装置。
【0103】
(6)前記搬送シャトルの動作を制御する制御部をさらに有し、
前記制御部は、前記第1接触部及び前記第2接触部が、前記物品の前面及び後面に所定の圧力で接触するように前記搬送シャトルを制御するとともに、前後に並んだ前記搬送シャトルの距離が所定の範囲から外れたときに、前記物品が不良であると判定する(1)から(5)のいずれかに記載の物品搬送装置。
【符号の説明】
【0104】
100 物品搬送装置
1 搬送部
11 第1搬送ルート
111 第1直線搬送レール
112 第2直線搬送レール
113 第1曲線搬送レール
114 第2曲線搬送レール
115 搬出部
12 第2搬送ルート
121 分岐レール
122 合流レール
123 帰還レール
124 物品排出部
13 レール
131 レール本体部
132 レール上部
133 レール下部
134 溝部
135 隙間
2 搬送シャトル
21 シャトル本体
211 上ローラー
212 下ローラー
213 凸部
22 物品保持部
221 保持板
2211 貫通孔
2212 凹部
222 保持アーム
223 支持台座
225 第1接触部
226 第2接触部
227 前部支持台座
228 後部支持台座
24 第1面
25 第2面
3 リニア搬送機構
31 コイル
32 マグネット
33 リニアドライバ
4 コントローラ
41 処理回路
42 記憶回路
5 供給部
51 物品移動部
52 ガイドバー
6 検査部
61 撮像部
62 判定部
7 処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11