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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089882
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/03 20060101AFI20240627BHJP
   B65G 35/08 20060101ALI20240627BHJP
   B65G 54/02 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H02K41/03 A
B65G35/08 A
B65G54/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205395
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 陽太
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 祥之
(72)【発明者】
【氏名】北浦 寛斗
【テーマコード(参考)】
3F021
5H641
【Fターム(参考)】
3F021AA01
3F021BA02
3F021CA04
3F021DA08
5H641BB06
5H641GG02
5H641HH03
5H641JB04
(57)【要約】
【課題】物品を長期間にわたって安定して搬送することができる物品搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送レールを有する搬送部と、搬送レールの外面に接触し、物品を保持する複数の搬送シャトルと、搬送レールの内部に配置されるコイルを有し搬送シャトルを移動させるリニア搬送機構と、搬送レールに取り付けられてコイルからの熱を外部に排出する排熱機構と、を有する。排熱機構は、搬送レールの熱を排出するための気流を発生する送風機を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の搬送方向に沿って延びる搬送レールを有する搬送部と、
前記搬送レールの外面に接触して配置され、前記物品を保持する複数の搬送シャトルと、
前記搬送レールの内部に配置されるコイルを有し前記搬送シャトルを前記搬送部に沿って移動させるリニア搬送機構と、
前記搬送レールに取り付けられて前記コイルからの熱を外部に排出する排熱機構と、を有し、
前記排熱機構は、前記搬送レールの熱を排出するための気流を発生する送風機を有する物品搬送装置。
【請求項2】
前記レールは、前記コイルを収納するレール本体部を有し、
前記排熱機構は、前記搬送レールの前記搬送シャトルと干渉しない位置で、レール本体部と直接的又は間接的に接触するヒートシンクを有し、
前記送風機からの気流の少なくとも一部は、前記ヒートシンクに吹き付けられる請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記ヒートシンクは、前記レール本体部よりも下部に配置される請求項2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記送風機は、前記搬送シャトルの速度、負荷、加減速の回数の少なくとも1つの変化に基づいて風量を増減する請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記搬送レールは、直線搬送レールと曲線搬送レールとを有し、
前記排熱機構は、前記直線搬送レールよりも前記曲線搬送レールに多く配置される請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項6】
前記搬送部は、前記搬送レールが分岐する分岐部を有し、
前記分岐部では、2本の前記搬送レールを前記搬送シャトルが通過する隙間を介して対向して配置した重複領域が形成され、
前記排熱機構は、前記分岐部に前記搬送部の他の部分よりも多く配置される請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項7】
前記搬送部は、異なる前記搬送レールが合流する合流部を有し、
前記合流部では、2本の前記搬送レールを前記搬送シャトルが通過する隙間を介して対向して配置した重複領域が形成され、
前記排熱機構は、前記合流部に前記搬送部の他の部分よりも多く配置される請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項8】
前記搬送部は、前記搬送シャトルが上下に移動する部分を有し、少なくとも一部に前記搬送シャトルが停止する又は低速で移動する待機領域を有する縦搬送部を有し、
前記排熱機構は、前記縦搬送部に前記搬送部の他の部分よりも多く配置される請求項1に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特表2015―525176号公報には、物品を搬送する装置として、リニアモーターを用いたリニア搬送装置が開示されている。このリニア搬送装置には、電磁石を配置したリニアモーターのステータと、永久磁石が設けられた搬送部材とを有する。電磁石と永久磁石とでリニアモータシステムが形成される。そして、搬送部材は、ホルダまたは対応ホルダを有し、搬送方向に並んだホルダおよび対応ホルダで製品を挟み、搬送部材を移動させることで製品を搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2015―525176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リニアモーターに用いられるコイルは、可動子に対する力が変化すると負荷が大きくなり、発熱する。コイルが発熱すると、物品を搬送する装置が変形したり、コイルの性能が低下したりして安定した物品の搬送が困難になる場合がある。
【0005】
そこで、物品を長期間にわたって安定して搬送することができる物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の物品搬送装置は、物品の搬送方向に沿って延びる搬送レールを有する搬送部と、前記搬送レールの外面に接触して配置され、前記物品を保持する複数の搬送シャトルと、前記搬送レールの内部に配置されるコイルを有し前記搬送シャトルを前記搬送部に沿って移動させるリニア搬送機構と、前記搬送レールに取り付けられて前記コイルからの熱を外部に排出する排熱機構と、を有する。前記排熱機構は、前記搬送レールの熱を排出するための気流を発生する送風機を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる物品送出装置によると、物品を長期間にわたって安定して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】物品処理装置の概略配置図である。
図2】物品処理装置の機能ブロック図である。
図3】物品を保持した搬送シャトル及び単体の搬送シャトルが直線状のレールに沿って移動している状態を外側から見た図である。
図4】図に示す搬送シャトルの平面図である。
図5】搬送シャトルの搬送方向の後側から見た図である。
図6】図は、第2搬送ルートの分岐レールを移動する搬送シャトルを搬送方向後側から見た図である。
図7】物品を保持した搬送シャトルが第1曲線レールを移動している状態を示す平面図である。
図8】排熱機構が取り付けられた第1直線搬送レールの断面図である。
図9】排熱機構が取り付けられた分岐レールの断面図である。
図10】レールに取り付けられた排熱機構の背面図である。
図11】排熱機構を異なる設置状態で設置したレールの断面図である。
図12】第1変形例の排熱機構が配置された搬送部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態において、図1に示す物品搬送装置100を基準として、方向を定義する。物品搬送装置100において、時計回り方向を物品Pcの搬送方向Tr、すなわち、搬送シャトル2の移動方向とする。さらに、第1搬送ルート11のループを基準として、外側Os、内側Isを定義する。また、物品Pc及び搬送シャトル2の移動方向において、現在の位置に対して未来に到達する側を前側とする。逆に、現在の位置に対して過去に位置していた側を後側とする。また、物品Pcの各面は、物品搬送装置100にて搬送されている状態を基準に搬送方向Trの前側の面を前面Pcf、後側の面を後面Pcr、外側の面を外面PcO、内側の面を内面PcIとする。また、物品Pcの底部の面を底面Pctとする。
【0010】
<物品搬送装置100>
図1は、物品搬送装置100の概略配置図である。図2は、物品搬送装置100の機能ブロック図である。物品搬送装置100は、例えば、紙等で形成され、内部に液体の収容物が充填された略直方体状の物品(被搬送物ともいう)Pcを搬送する。そして搬送しつつ、検査、印字等の処理を実行し、別途設けられた搬出部から次の工程に送られる。
【0011】
物品搬送装置100は、搬送部1と、搬送シャトル2と、リニア搬送機構3と、コントローラ4と、供給部5と、検査部6と、処理部7と、排熱機構8と、を有する。
【0012】
<コントローラ4>
ここでコントローラ4の詳細について説明する。図2に示すように、コントローラ4は、処理回路41と、記憶回路42とを有する。処理回路41は、各種情報を処理する回路であり、CPU、MPU等の演算回路を有する。また、コントローラ4には、処理結果に基づいて、リニア搬送機構3、供給部5、検査部6、処理部7及び排熱機構8が接続され、処理回路41は、これらの要素の制御を行う。
【0013】
記憶回路42は、ROM、RAM等の半導体メモリー、フラッシュメモリー等の可搬性を有するメモリーおよびハードディスク等の記憶媒体を含むまたは接続される回路である。記憶回路42で、制御プログラムまたは処理プログラム等の各種プログラムを記憶しておき、必要に応じて処理に対応したプログラムを呼び出すとともに処理回路41でプログラムを動作させて、処理を行うようにしてもよい。コントローラ4に接続される要素およびその制御については、各要素の説明時に説明する。
【0014】
<搬送部1>
搬送部1の詳細について説明する。図3は、物品Pcを保持した搬送シャトル2が直線状のレール13に沿って移動している状態を外側Osから見た図である。図4は、図3に示す搬送シャトル2の平面図である。搬送部1は、第1搬送ルート11と、第2搬送ルート12と、を有する。2つの搬送シャトル2が、物品Pcを搬送方向の前後から挟んで保持し、物品Pcを搬送方向Trに搬送する。
【0015】
搬送シャトル2は、第1搬送ルート11に沿って移動する。また、予め決められた条件を満たした又は満たさない搬送シャトル2は、第2搬送ルート12に進入し、第2搬送ルート12に沿って移動する。そして、再度、第2搬送ルート12から第1搬送ルート11に戻り、第1搬送ルート11に沿って移動する。
【0016】
<第1搬送ルート11>
図5は、第1搬送ルート11を移動する搬送シャトル2の搬送方向後側から見た図である。第1搬送ルート11は、環状であり、第1直線搬送レール111と、第2直線搬送レール112と、第1曲線搬送レール113と、第2曲線搬送レール114とを有する。第1直線搬送レール111及び第2直線搬送レール112は、並んで配置される。第1搬送ルート11では、第1直線搬送レール111と第2直線搬送レール112の両端を、それぞれ、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114で連結して、環状に形成される。
【0017】
第1直線搬送レール111及び第2直線搬送レール112は、直線である。第1直線搬送レール111及び第2直線搬送レール112は、直線状の短レールを搬送方向Trに連結して形成される。直線状の短レールの連結数を変更することで、第1直線搬送レール111及び第2直線搬送レール112の長さを変更できる。なお、第1直線搬送レール111及び第2直線搬送レール112は、それぞれ1本のレールであってもよい。
【0018】
さらに、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114は、たとえば、クロソイド曲線状を挙げることができる。また、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114は円弧状であってもよいし、複数の曲線状の部分又は直線状の部分と曲線状の部分とを組みあわせてもよい。
【0019】
第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114は、曲線状の短レールを連結して形成されている。異なる形状及び長さの曲線状の短レールを、第1搬送ルート11に合わせて組み合わせることで、多様な形状に対応可能である。なお、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114は1本のレールであってもよい。
【0020】
第1搬送ルート11において、搬送シャトル2は、第1搬送ルート11の第1直線搬送レール111、第2直線搬送レール112、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114の外側Osの面に配置される。そして、搬送シャトル2は、環状の第1搬送ルート11に沿って移動可能である。
【0021】
第1直線搬送レール111、第2直線搬送レール112、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114は、同一の構造を有しており、これらの詳細な形状の説明において、各レールを代表してレール13として説明する。
【0022】
<第2搬送ルート12>
図6は、第2搬送ルート12の分岐レール121を移動する搬送シャトル2を搬送方向後側から見た図である。図1に示すとおり、第2搬送ルート12は、分岐レール121と、合流レール122と、帰還レール123とを有する。第2搬送ルート12は、分岐レール121、帰還レール123及び合流レール122の順でつないだ構成である。第2搬送ルート12は、第1搬送ルート11を組み合わせることで環状となる。つまり、第2搬送ルート12は、環状の一部を構成する。
【0023】
第2搬送ルート12は、分岐点P1及び合流点P2で、第1搬送ルート11と接続される。第2搬送ルート12において、搬送シャトル2は、分岐レール121及び合流レール122の環状の内側Isの面に配置され、第2搬送ルート12に沿って移動する。また、搬送シャトル2は、分岐レール121の内側Isの面から帰還レール123の外側Osの面に移動する。また、帰還レール123の外側Osの面から合流レール122の内側の面に移動する。この分岐レール121から帰還レール123への移動する部分は、合流点P2と同様の構成である。また、帰還レール123から合流レール122へ移動する部分は、分岐点P1と同様の構成である。
【0024】
分岐レール121及び合流レール122は、直線である。分岐レール121及び合流レール122は、直線状の短レールを搬送方向Trに連結して形成される。直線状の短レールの連結数を変更することで、分岐レール121及び合流レール122の長さを変更できる。なお、分岐レール121及び合流レール122は、それぞれ1本のレールであってもよい。
【0025】
分岐点P1において、分岐レール121の搬送方向Trの後端の内側Isの面は、第1直線搬送レール111の搬送方向Trの前端の外側Osの面に対向して配置される。また、合流レール122の搬送方向Trの前端の内側Isの面は、第1搬送ルート11の第2直線搬送レール112の搬送方向Trの後側の端部の外側Osの面に対向して配置される。合流レール122と第2直線搬送レール112とが対向する部分が合流点P2である。
【0026】
帰還レール123は、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114と同じ構成である。帰還レール123の搬送方向Trの後側の端部は、分岐レール121の搬送方向Trの前側端部の内側Isに対向して配置される。同様に、帰還レール123の搬送方向Trの前側の端部は、合流レール122の搬送方向Trの後側端部の内側Isに対向して配置される。
【0027】
また、分岐レール121及び合流レール122は、後述する溝部134が内側Isに配置される以外、第1直線搬送レール111と同様のレール13で構成される。なお、上述したとおり、帰還レール123は、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114と同じ構成であるため、レール13で構成される。
【0028】
<レール13>
図3図5図6に示すように、レール13は、レール本体部131と、レール上部132と、レール下部133とを有する。レール本体部131は、搬送方向Trと直交する面で切断した切断面が長方形状の筒体である。レール本体部131は、例えば、一部のステンレス鋼、アルミニウム及びその合金を挙げることができるが、これに限定されない。
【0029】
レール上部132は、レール本体部131の上部に配置される。レール上部132は、搬送方向Trと交差する方向の外面から凹んだ溝部134を有する。レール上部132は、2個の溝部134を有する。2個の溝部134は、上下に並んで配置される。
【0030】
なお、レール本体部131とレール上部132との固定は、単一の部材で形成してもよいし、別体で形成して、溶接、ねじ止め等の固定方法で固定してもよい。第1搬送ルート11の全域において、溝部134は、外側Osに配置される。また、第2搬送ルート12の全域において、溝部134は、内側Isに配置される。図3及び図5に示すように、上下方向において、レール本体部131とレール上部132との境界部分には、隙間135が形成される。
【0031】
レール下部133は、レール本体部131の下部に配置される。なお、レール本体部131とレール下部133とは、単一の部材で形成してもよいし、別体で形成して、溶接、ねじ止め等の固定方法で固定してもよい。
【0032】
<搬送シャトル2>
次に、搬送シャトル2について説明する。搬送シャトル2は、シャトル本体21と、物品保持部22とを有する。シャトル本体21には、リニア搬送機構3のマグネット32が配置される。なお、マグネット32はシャトル本体21の内部に収容され、レール本体部131に配置されたコイル31と搬送方向Trと交差する方向に対向する。
【0033】
搬送シャトル2のシャトル本体21は、第1面24と、第2面25とを有する。また、シャトル本体21は、凸部213を有する。凸部213は、レール本体部131とレール上部132との間に形成された隙間135に嵌る。凸部213が隙間135に嵌ることで、シャトル本体21のずれが抑制される。
【0034】
シャトル本体21には、2個の上ローラー211が配置される。2個の上ローラー211は、シャトル本体21に回転可能に支持される。詳しく説明すると、上ローラー211は、搬送方向Trと直交するとともに、レール13の外面と平行な回転軸周りに回転可能に配置される。2個の上ローラー211は、搬送方向Trに離れているとともに、上下方向に異なる位置に配置される。本実施形態におけるシャトル本体21では、搬送方向Trの前側の上ローラー211(図3参照)が、上になるように配置される。
【0035】
シャトル本体21には、2個の下ローラー212が配置される。2個の下ローラー212は、シャトル本体21に回転可能に支持される。下ローラー212は円柱状である。2個の下ローラー212は、搬送方向Trに離れているとともに、上下方向に異なる位置に配置される。本実施形態におけるシャトル本体21では、搬送方向Trの前側の下ローラー212(図3参照)が、下になるように配置される。
【0036】
<物品保持部22>
物品保持部22は、シャトル本体21の上部に固定される。物品保持部22は、保持板221と、保持アーム222と、支持台座223とを有する。保持板221は、板状であり、シャトル本体21よりも内側Isに配置され、上方に延びる。保持板221の搬送方向Tr前側は、前側に向かって内側に傾斜している。また、保持板221には、貫通孔2211と、搬送方向Trの両端に設けられた凹部2212とを有する。凹部2212は、貫通孔2211よりも下に搬送方向に並んで配置される。
【0037】
物品保持部22は、2個の保持アーム222を有し、上下に並んで保持板221に固定される。各保持アーム222の一方は保持板221の上方に配置され、他方は貫通孔2211を貫通して、保持板221よりも外側Osに突出する。
【0038】
保持アーム222は、搬送方向前部に配置される第1接触部225と、搬送方向後部に配置される第2接触部226とを有する。第1接触部225及び第2接触部226は、突出方向の中間部分が搬送方向Trに膨らんだ曲面状である(図4等参照)。
【0039】
支持台座223は、保持板221に固定される。支持台座223は、前部支持台座227と、後部支持台座228とを有する。前部支持台座227は、搬送方向Trにおいて、第1接触部225よりも前側に配置される。また、後部支持台座228は第2接触部226よりも後側に配置される。前部支持台座227及び後部支持台座228の上面は、同じ高さである。なお、前部支持台座227と後部支持台座228とが一体に形成されていてもよい。搬送シャトル2は以上示した形状を有する。
【0040】
<リニア搬送機構3>
物品搬送装置100において、複数の搬送シャトル2は、リニア搬送機構3によって、それぞれ、独立して駆動される。リニア搬送機構3は、複数のコイル31と、マグネット32と、リニアドライバ33と、を有する。複数のコイル31は、第1搬送ルート11及び第2搬送ルート12を構成するレール13の内部に搬送方向Trに沿って配列されている。
【0041】
マグネット32は、永久磁石であり搬送シャトル2のシャトル本体21に配置される。図5に示すように、マグネット32は、シャトル本体21の内部に配置される。シャトル本体21は、磁石に引っ付かない材料で形成されている。そのため、マグネット32の磁力は、シャトル本体21の外部に漏れる。そして、マグネット32は、コイル31と磁力を付与しあうことができるように配置される。シャトル本体21に配置されたマグネット32と、レール13の内部に配置された複数のコイル31とでリニアモーターが形成される。
【0042】
リニアドライバ33は、各コイル31と接続される(図2参照)。リニアドライバ33は、不図示の電源回路に接続されている。リニアドライバ33は、コイル31に供給する電力を制御する回路であり、演算処理回路、各コイル31に供給する電圧および電流を調整する電力供給回路等の回路を含む。リニアドライバ33は、コントローラ4からの指示に基づいて、各コイル31に適切な電流を供給する。
【0043】
コイル31に順に電流が供給されることで、搬送シャトル2に配置されたマグネット32との間に発生する磁力によって、搬送シャトル2が搬送部1の第1搬送ルート11又は第2搬送ルート12に沿って移動する。また、リニアドライバ33は、コイル31に供給する電流の量、タイミングを変更することで、搬送シャトル2の速度を調整することができる。
【0044】
コントローラ4は、リニアドライバ33を介して、搬送シャトル2を独立して移動させることができる。なお、コントローラ4は、複数の搬送シャトル2を個別に動作をさせることができるとともに、同期して動作させることも可能である。また、コントローラ4は、搬送シャトル2の位置を取得できる。
【0045】
コントローラ4は、搬送シャトル2を加減速することで、搬送方向Trに隣り合う搬送シャトル2の相対距離を調整する。例えば、搬送シャトル2を加速すると、搬送方向Trの前を移動している搬送シャトル2との距離が接近し、後を移動している搬送シャトル2との距離が離間する。また、減速した場合、その反対に、前の搬送シャトル2と離間し、後の搬送シャトル2と接近する。搬送シャトル2の加減速によって、搬送シャトル2同士が接触する虞もある。
【0046】
また、リニア搬送機構3において、搬送シャトル2の速度、換言すると、搬送シャトル2間の相対距離を頻繁に変更すると、消費電力が増加し、コイル31の過熱の原因になる。そのため、コントローラ4は、なるべく搬送シャトル2の加減速を行わない、つまり、搬送シャトル2同士の距離を一定に保って搬送シャトル2を制御する。また、搬送シャトル2同士の距離を変更する必要がある場合も、コントローラ4は、搬送シャトル2同士の距離の変化がなるべく小さくなるように搬送シャトル2の速度を制御する。
【0047】
搬送シャトル2において、物品保持部22は、シャトル本体21の上方に配置される。このことから、シャトル本体21の第1面24の内側及び第2面25の外側には、構成部材が配置されない。そのため、上ローラー211及び下ローラー212の径方向外縁部が、第1面24よりも内側Is及び第2面25よりも外側Osに突出する。
【0048】
これにより、第1搬送ルート11において、搬送シャトル2は、第1直線搬送レール111、第2直線搬送レール112、第1曲線搬送レール113及び第2曲線搬送レール114の外側Osに沿って移動できる。また、搬送シャトル2は、第2搬送ルート12において、分岐レール121及び合流レール122の内面に沿って移動できる。また、搬送シャトル2は、帰還レール123の外面に沿って移動できる。
【0049】
さらに詳しく説明すると、搬送シャトル2は、第1搬送ルート11において、レール13の外側Osに沿って移動可能である。シャトル本体21は、例えば、マグネット32の磁力によって、第1搬送ルート11のレール13の外側Osに吸着されている。なお、レール13に磁石を吸着する鉄等の金属で形成された吸着部を備えていてもよいし、コイル31に備えられた鉄心とマグネット32との磁力によって吸着されてもよい。
【0050】
第1搬送ルート11において、上ローラー211および下ローラー212がレール13と接触することで、シャトル本体21の第1面24がレール13の外面と一定の間隔を開けて配置される。つまり、シャトル本体21は、上下を上ローラー211及び下ローラー212でレール13の外面に移動可能に支持される。
【0051】
搬送シャトル2は、搬送方向Trに配列された上ローラー211および下ローラー212が上下にずれている。このため、搬送シャトル2が、搬送方向Trに接近した場合でも、上ローラー211同士または下ローラー212同士が干渉しにくい。そのため、搬送シャトル2を搬送方向Trに前後に接近して配置可能及び接近した状態で移動可能である。
【0052】
図6に示すように、搬送シャトル2は、第2搬送ルート12において、分岐レール121及び合流レール122の内側Isに沿って移動可能である。シャトル本体21は、内部に配置されたマグネット32の磁力によって、分岐レール121及び合流レール122の内面に吸着されている。なお、レール13に磁石を吸着する鉄等の金属で形成された吸着部を備えていてもよいし、コイル31に備えられた鉄心とマグネット32との磁力によって吸着されてもよい。
【0053】
上ローラー211及び下ローラー212が分岐レール121及び合流レール122と接触することで、シャトル本体21の第2面25が分岐レール121及び合流レール122の内面と一定の間隔を開けて対向して配置される。つまり、シャトル本体21は、上下を上ローラー211及び下ローラー212で分岐レール121及び合流レール122の内面に移動可能に支持される。
【0054】
このような構成とすることで、第1直線搬送レール111、第2直線搬送レール112、分岐レール121及び合流レール122に配置されるコイル31の制御で、搬送シャトル2を分岐点P1で分岐可能であるとともに、合流点P2で合流可能である。つまり、簡単な構成であるとともに、簡単な制御で、搬送シャトル2を分岐、合流させることができる。
【0055】
つまり、コントローラ4は、第1直線搬送レール111を移動する搬送シャトル2を、分岐点P1で、第1曲線搬送レール113又は分岐レール121のどちらかに分岐可能である。また、コントローラ4は、第2搬送ルート12の合流レール122を移動する搬送シャトル2を、合流点P2で、第2直線搬送レール112に合流させることが可能である。
【0056】
<搬送シャトル2による物品Pcの保持>
次に、搬送シャトル2による物品Pcの保持について説明する。物品Pcは、搬送方向Trに並んで配置された2つの搬送シャトル2にて、搬送方向Trの前後から保持される。
【0057】
搬送方向Trの前側の搬送シャトル2の後部支持台座228が物品Pcの底面の前部の内側を支持し、第2接触部226が物品Pcの前面Pcfを押圧する。また、物品Pcの搬送方向Trの後側の搬送シャトル2の前部支持台座227が物品Pcの底面Pctの後部の内側を支持し、第1接触部225が物品Pcの後面Pcrを押圧する。このとき、物品Pcの内面PcIは保持板221と接触する。
【0058】
ここで物品Pcが、内部に液体の収容物が充填された略直方体状の場合、物品Pcの前面Pcfは、第2接触部226に押圧されて中間部分が凹む。同様に、物品Pcの後面Pcrは、第1接触部225に押圧されて中間部分が凹む。このように、前面Pcf及びPcrがそれぞれ、第2接触部226及び第1接触部225に押圧されて凹むことで、物品Pcの外側Osへの移動が制限される。また、物品Pcの内面PcIが保持板221と接触することで、物品Pcの内側Isへの移動も制限される。これにより、2つの搬送シャトル2で、物品Pcをしっかり保持できる。なお、物品Pcの搬送方向Trの前後に配置される搬送シャトル2は、同じ形状である。
【0059】
図7は、物品Pcを保持した搬送シャトル2が曲線状のレール13を移動している状態を示す平面図である。図7に示すように、第1接触部225及び第2接触部226が各々、外側に膨らんだ、略曲面状であるので、保持アーム222の突出方向が平行でない場合にも物品Pcの前面Pcf及び後面Pcrを挟んで保持できる。
【0060】
<排熱機構8>
リニア搬送機構3は、レール13の内部に、コイル31が搬送方向に沿って並んで配置されている。そして、コイル31に電流を供給する構成であり、コイル31に電流を供給するとき、コイル31は、電流によって発熱する。
【0061】
コイル31からの熱がレール13に伝達され、レール13が熱により変形(膨張)する。レール13が熱により膨張すると、レール13のレール上部132の溝部134及びレール下部133の搬送シャトル2の下ローラー212が接触する面の精度が低下し、搬送シャトル2の移動の精度が低下する。また、コイル31自体の能力も昇温によって低下するため、より多くの電流が必要になり、エネルギ消費量が増大する。
【0062】
また、物品搬送装置100は、取り扱う物品Pcによる制限、接地位置の制限により、液体(冷却水)による冷却ができない場合がある。そのため、物品搬送装置100において排熱機構8として、空冷による排熱機構を採用している。
【0063】
そこで、搬送部1には、リニア搬送機構3のコイル31で発生した熱を外部に排熱する排熱機構8が設けられている。排熱機構8について図面を参照して説明する。図8は、排熱機構8が取り付けられた第1直線搬送レール111の断面図である。図9は、排熱機構8が取り付けられた分岐レール121の断面図である。図10は、レール13に取り付けられた排熱機構8の背面図である。
【0064】
排熱機構8は、送風機81と、ヒートシンク82と、取付部材83と、を有する。図2に示すように、送風機81は、コントローラ4に接続されており、コントローラ4からの指示に基づいて動作する。また、送風機81は、風量を変更できる構成となっている。
【0065】
レール13において、搬送シャトル2が摺動する面を摺動面130(図8において外側Osの面、図9において内側Isの面)とすると、排熱機構8は、摺動面130と反対側に配置される。このように配置することで、物品搬送装置100の搬送シャトル2の移動の邪魔にならない。
【0066】
図8図9図10に示すように、排熱機構8は、レール本体部131よりも下方に配置される。このように配置することでも、排熱機構8はレール13の摺動面130に沿って移動する搬送シャトル2及びレール13よりも上方にある物品保持部22に保持されている物品Pcの邪魔にならない。また、空気中には、塵、埃等の異物が含まれる場合があり、異物の中には、物品Pcの品質の劣化に繋がる物質が含まれる場合がある。排熱機構8をレール本体部131よりも下方に配置することで、空気中の塵、埃等の異物とともに気流Ar1が物品Pcに吹き付けられることを抑制でき、異物付着による物品Pcの品質の劣化が抑制される。
【0067】
図10に示すように、ヒートシンク82は、例えば、銅、アルミニウム、アルミニウム合金等の熱伝導率が高い部材で形成される。複数のフィン821は、例えば板状であり、互いに並んで配置される。フィン821は、隙間を開けて並んで配置される。ヒートシンク82では、伝導された熱が、複数のフィン821のそれぞれに伝導される。ヒートシンク82は、複数のフィン821を有することで、熱交換のために外気と接触する接触面積を広くすることができ、熱交換効率を高めることが可能である。
【0068】
取付部材83は、板状の部材である。取付部材83の一部は、レール13のレール本体部131と、レール下部133とに挟まれて配置される。そして、取付部材83は、レール13の搬送シャトル2が摺動する面と反対側に突出する突出部831を有する。例えば、第1搬送ルート11に配置される場合、取付部材83の突出部831は、環状の内側に突出する。突出部831にヒートシンク82が接触して固定される。
【0069】
取付部材83には、レール本体部131の内部に配置されたコイル31で発生した熱が伝導する。つまり、取付部材83は、ヒートシンク82を取り付けるためのブラケットであるとともに、コイル31で発生した熱をヒートシンク82に伝導させる熱伝導部材の役割を果たす。取付部材83は、例えば、銅、アルミニウム、アルミニウム合金等の熱伝導率が高い部材で形成される。取付部材83とレール13とが、一体成型であってもよいし、別の部材として形成されてもよい。また、取付部材83と、ヒートシンク82とが、一体成型であってもよいし、別の部材として形成されてもよい。
【0070】
送風機81は、複数のフィン821の間の隙間に気流を流すことができるように配置される。排熱機構8では、複数のフィン821の表面を一定以上の流速の気流が接触して流れることで、フィン821から熱が奪われる。排熱機構8が複数のフィン821を有するヒートシンク82を有することで、設置体積当たりのヒートシンク82と気流とが接触する面積を大きくできる。これにより、排熱機構8の排熱効率が高められる。
【0071】
これにより、レール13からヒートシンク82に伝導された熱の排熱を効率よく実施されるため、レール13の温度上昇が抑制される。そして、レール13の温度上昇が抑制されるため、物品搬送装置100を、長期間動作させても、レール13の温度上昇による変形が抑制され、搬送シャトル2が安定して移動できる。また、コイル31の昇温を抑制し、コイル31の昇温による能力低下を抑制し、消費電力を低減することができる。
【0072】
送風機81が、気流がヒートシンク82を通過し、レール13に衝突するように配置されてもよい。このように形成することで、送風機81からの気流Ar1がレール13にも吹き付けられるため、レール13からも直接熱が奪われる。その結果、レール13から直接及びヒートシンク82を介してコイル31で発生した熱が外部に排出され、その結果、レール13の温度上昇が抑制される効果が高くなる。
【0073】
また、送風機81からの気流Ar1がレール13のレール本体部131に吹き付けることで、レール本体部131を十分に冷却できる構成である場合、ヒートシンク82を省略してもよい。
【0074】
送風機81は、コントローラ4の指示に基づいて駆動される。つまり、送風機81から吐出される気流の流量又は流速は、コントローラ4からの指示に従って決定される。さらにくわしく説明すると、上述のとおり、コイル31に供給される電流が大きくなるとコイル31の発熱量が多くなる。コイル31に供給される電流が多くなる場合としては、例えば、搬送シャトル2の速度上昇、加速、負荷増(曲線部分における遠心力等)を挙げることができる。そのため、コントローラ4は、搬送シャトル2の速度、加速、負荷を取得し、その情報に基づいて、送風機81の風量を制御するようにしてもよい。このとき、送風機81の設置される部分ごとに、送風機81の風量を調整するようにしてもよい。
【0075】
なお、本変形例では、板状のフィン821を用いるものを例示しているが、これに限定されず、例えば、棒状の突起をフィンとして備える構成であってもよい。棒状の突起をフィンとする場合、フィンは、複数の方向に配列されてもよい。
【0076】
また、排熱機構8において、レール13に設置部分を確保できる場合、ヒートシンク82を直接、レール13に取り付けてもよい。また、物品搬送装置100の周囲に、十分な設置領域を確保できる場合、ヒートシンク82は、摺動面130と反対側の面から突出するように配置してもよい(図11参照)。図11は、排熱機構8を異なる設置状態で設置したレールの断面図である。
【0077】
搬送シャトル2が移動するときに、摺動面130には異物が付着する場合がある。排熱機構8は、レール13の下方に配置する又は摺動面130と反対側に配置されことで、摺動面130に直接気流を吹き付けないように配置されている。これにより、摺動面130に付着した異物が気流によって巻き上げられて、物品Pc、搬送シャトル2等に付着することを抑制できる。
【0078】
なお、物品保持部22が、レール13よりも下方或いは外側Osにある場合、排熱機構8をレール13の上部に配置してもよい。熱せられた空気は、上方に向かって流れるため、排熱効果を高めることができる。なお、図8図9に示す排熱機構8において、ヒートシンク82を気流が上下方向に通過するように送風機81を配置してもよく、気流がヒートシンク82を通過するとともにレール13に衝突するように配置してもよい。
【0079】
物品搬送装置100では、コイル31からの発熱でレール13の温度が上昇する。物品搬送装置100において、コイル31の熱は、コイル31の負荷が大きい部分で大きくなる。そのため、搬送部1のコイル31の負荷が大きくなる部分に排熱機構8が配置される。ここで、排熱機構8の設置場所について、図面を参照して説明する。
【0080】
図1に示すように、排熱機構8は、第1直線搬送レール111、第2直線搬送レール112、分岐レール121、合流レール122といった直線状のレールには、一定程度の間隔をあけて配置される。また、排熱機構8は、第1曲線搬送レール113、第2曲線搬送レール114及び帰還レール123等、湾曲した部分のレール13に配置される。曲線部分では、搬送シャトル2は、環状の外側に沿って移動する。曲線部分を移動する搬送シャトル2には、遠心力が作用する。この遠心力によって搬送シャトル2が外側に脱落しないように、直線部分を移動するときよりも強い力で搬送シャトル2をレール13に向かって引き付けている。つまり、曲線部分は、コイル31の負荷が高くなる部分である。そのため、上述した第1曲線搬送レール113、第2曲線搬送レール114及び帰還レール123を構成するレール13に排熱機構8が配置されている。
【0081】
また、図1に示すように、排熱機構8は、分岐点P1及び合流点P2に配置される。分岐点P1及び合流点P2では、搬送シャトル2の内側Is及び外側Osの両方にレール13が配置される。そして、一方のコイル31の磁力を他方のコイル31の磁力よりも強くすることで、搬送シャトル2の方向を調整している。そのため、分岐点P1及び合流点P2に配置されるコイル31は、直線部分の他の部分に配置されるコイル31に比べて負荷が大きい。そのため、第1直線搬送レール111から分岐レール121への分岐点P1に配置される部分、第2直線搬送レール112と合流レール122との合流点P2に配置される部分に排熱機構8が配置される。
【0082】
物品搬送装置100では、コイル31の負荷が大きい部分には、排熱機構8を必ず配置するとともに配置間隔を狭くし、その他のコイル31の負荷が小さい部分には、排熱機構8の配置間隔を広げている。これにより、コイル31からの熱を効果的に排熱することができるとともに、排熱機構8の数を減らすことができ、物品搬送装置100の構成を簡単にすることができるとともに、排熱機構8で消費される電力を減らすことができる。
【0083】
<第1変形例>
図12は、第1変形例の排熱機構8が配置された搬送部1Aの概略図である。搬送部1Aは、上下方向に延びるレール13Aを有する点で、図3等に示す搬送部1と異なるが、それ以外の点は、搬送部1と同じ構成を有する。そのため、搬送部1Aにおいて、搬送部1と実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに同じ部分の詳細な説明は省略する。また、図12に示す搬送シャトル2Aでは、物品保持部22を省略しているが、実質上搬送シャトル2と同じである。そのため、搬送シャトル2Aの搬送シャトル2と同じ部分には、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図12に示すように、搬送部1Aでは、搬送シャトル2Aを上方向(Usとする)又は下方向(Dsとする)に延びるレール13Aに沿って移動させる。
【0084】
このような場合において、重力に抗するように上方向Usに搬送シャトル2Aが移動する場合、コイル31には、搬送シャトル2を移動させる力に加えて搬送シャトル2Aを重力に抗する力を付与させる必要がある。また、下方に移動する場合において一定速で移動する場合も、搬送シャトル2Aに重力に抗する力を作用させる必要があり、コイル31の負荷が大きくなる。さらに、上下方向に延びるレール13Aにおいて、搬送シャトル2Aが停止した状態で待機する場合も、コイル31の負荷が大きくなる。
【0085】
そこで、排熱機構8は上下に延びるレール13に配置される。このように、上下に延びるレール13に排熱機構8を配置することで、コイル31の発熱を効率よく廃棄することができる。これにより、物品搬送装置100のレール13Aの熱による変形を抑制することができ、搬送シャトル2Aが円滑に移動可能である。
【0086】
<供給部5>
図1に示すように、供給部5は、物品移動部51を有する。物品移動部51は、物品Pcを移動させる移動機構である。物品移動部51は、例えば、物品搬送装置100が配置される工程の前工程から搬出された物品を、物品搬送装置100に搬入(供給)する。なお、供給部5における物品Pcの移動方向を、供給方向Tsとする。
【0087】
物品移動部51は、略直方体状の物品Pcを搬送するコンベヤである。物品移動部51は、上面に載置された物品Pcを供給方向Tsに移動させる。これにより、物品Pcは、供給部5において、供給方向Tsに沿って移動する。
【0088】
物品移動部51は、ベルトコンベヤ、トップチェーンコンベヤなど、一般的な搬送コンベヤを用いることができる。ここでは、物品移動部51は、ベルトコンベヤを用いている(図1等参照)。物品移動部51は、コントローラ4に接続されており(図2参照)、コントローラ4からの指示に従って駆動される。
【0089】
物品移動部51の供給方向Tsの後端が乗換部R1に接続している。物品移動部51によって供給方向Tsに移動された物品Pcは、乗換部R1で前後に並んだ搬送シャトル2に搬送方向Trの前後から挟まれて保持され、搬送方向Trに沿って搬送される。
【0090】
供給部5において、物品移動部51の供給方向Tsの前方の端部は、物品Pcを正確な方向に誘導するガイドバー52が配置される。ガイドバー52は、物品移動部51上を移動する物品Pcの搬送方向Trと交差する方向に面する側面と接触する。これにより、物品Pcの倒れを抑制しつつ、乗換部R1における物品Pcの搬送シャトル2に対する角度のずれを抑制できる。
【0091】
乗換部R1において、物品移動部51の供給方向Tsの前側の端部の内側Isは、搬送シャトル2の支持台座223と接触しないように、隙間をあけて配置される。そして、物品Pcは、物品移動部51による移動から搬送シャトル2による保持に移行するとき、前側の搬送シャトル2の後部支持台座228が物品Pcの底面Pctを支持する。そのため、物品移動部51は、支持台座223の上面と同じ高さ又はそれよりも多少高く設けることが好ましい。なお、物品移動部51の上面の支持台座223に対する高さは、物品Pcが支持台座223の上面に移動するとき、物品Pc及び内部に収容されている収容物に悪影響の無い程度の高さである。
【0092】
<検査部6>
検査部6は、第1直線搬送レール111の近傍に配置される。検査部6は、第1直線搬送レール111の環状の外側に配置されて、搬送シャトル2が保持した物品Pcの底面Pctの状態に基づいて、物品Pcの良又は不良の判定を行う。
【0093】
図2に示すように、検査部6は、撮像部61と、判定部62とを有する。撮像部61及び判定部62は、コントローラ4に接続されており、コントローラ4からの指示に従って動作する。
【0094】
撮像部61は、例えば、CCD、CMOS等の撮像素子を有する、カメラを有する。撮像部61は、搬送シャトル2によって前後から保持され、第1直線搬送レール111に沿って移動する物品Pcの底面を撮像する。撮像部61は、画角及び焦点が固定されている。そして、コントローラ4の処理回路41は、搬送シャトル2に保持された物品Pcが検査部6を通過する毎に、物品Pcの底面Pctを撮像するように制御する。
【0095】
そして、撮像部61は、物品Pcの底面Pctを撮像するごとに、撮像データをコントローラ4に送る。コントローラ4は、送られてきた撮像データを記憶回路42に蓄積する。また、コントローラ4の処理回路41は、送られてきた撮像データを判定部62に送信する。判定部62は、画像データに対して画像処理を実行し、画像処理後の画像データに基づいて、底面Pctの折りしろの形状、位置、色を確認し、物品Pcの良又は不良に判定する。
【0096】
なお、判定部62は、コントローラ4の処理回路41と独立した処理装置を用いて処理を実行するようにしてもよいし、処理回路41の一部を用いて判定処理を行ってもよい。さらには、記憶回路42に記憶された判定処理用のプログラムを処理回路41で実行し、判定部62としてもよい。
【0097】
判定部62は、物品Pcの良又は不良を判定する。そして、判定部62による物品Pcの良又は不良の判定結果は、コントローラ4に送る。コントローラ4は、良品と判定された物品Pcを保持した搬送シャトル2が分岐点P1から第1曲線搬送レール113に移動するように、リニア搬送機構3を制御する。また、コントローラ4は、不良品と判定された物品Pcを保持した搬送シャトル2が分岐点P1から第2搬送ルート12に移動するように、リニア搬送機構3を制御する。
【0098】
第2搬送ルート12の分岐レール121の途中に、第2搬送ルート12の外部に排出する物品排出部124が設けられている。物品排出部124では、搬送シャトル2に保持されて不良品と判定された物品Pcを物品搬送装置100の外部に排出される。物品搬送装置100において、コントローラ4は、物品Pcを保持した搬送シャトル2が物品排出部124を通過するときに、物品Pcを保持している搬送シャトル2の距離が離れるようにリニア搬送機構3を制御する。これにより物品Pcが搬送シャトル2から離れ、物品Pcが落下する。落下した物品Pcは、不図示の容器によって回収される。
【0099】
コントローラ4は、物品排出部124を通過した搬送シャトル2を帰還レール123及び合流レール122に沿って一定の速度で移動するように、リニア搬送機構3を制御する。そして、コントローラ4は、合流点P2で搬送シャトル2が第2直線搬送レール112に移動するように、リニア搬送機構3を制御する。
【0100】
検査部6を用いることで、物品搬送装置100で搬送される物品Pcの良品と不良品とを判定し、良品のみを正規のルートである第1搬送ルート11に沿って移動させることができる。本実施形態の検査部6では、撮像部61として静止画を撮像する構成を例に説明したが、動画を撮影し、その動画に基づいて良品と不良品とを判定するようにしてもよい。
【0101】
<処理部7>
第1搬送ルート11の第2直線搬送レール112の搬送方向Trの後側の近傍には、物品Pcに対して予め決められた処理を実行するための処理部7が配置される。処理部7は、コントローラ4に接続されており、コントローラ4からの指示に基づいて、制御される。
【0102】
本実施形態の物品搬送装置100において、処理部7は、物品Pcの所定の位置に、製造日、消費期限等の文字を印字する印字処理である。なお、処理部7による処理は、印字処理に限定されず、物品Pcに対して実行される処理を広く採用することができる。
【0103】
処理部7において、物品Pcに対して印字処理を実行するとき、物品Pcの搬送速度が速いと、正確な印字ができない。そのため、コントローラ4は、物品Pcが処理部7を移動するとき、物品Pcの搬送速度を遅くして物品Pcに対して処理を実行する。そして、物品Pcに対する処理が完了すると、コントローラ4は、物品Pcを元の速度に戻し、第2直線搬送レール112に沿って移動させる。
【0104】
そして、第2直線搬送レール112の搬送方向Trの後端部の近傍には、物品搬送装置100の外部に、物品Pcを搬出する搬出部115が設けられる。搬出部115では、物品Pcが物品搬送装置100の外部、例えば、次工程に物品Pcを移動させる。搬出部115で物品Pcを外部に搬出した後、搬送シャトル2は、第2曲線搬送レール114に移動させる。第2曲線搬送レール114において、搬送シャトル2は、一定の速度で移動しつつ、乗換部R1での物品Pcの供給の待機を行う。
【0105】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【0106】
<まとめ>
本発明は、以下の構成を有する。
【0107】
(1)物品の搬送方向に沿って延びる搬送レールを有する搬送部と、
前記搬送レールの外面に接触して配置され、前記物品を保持する複数の搬送シャトルと、
前記搬送レールの内部に配置されるコイルを有し前記搬送シャトルを前記搬送部に沿って移動させるリニア搬送機構と、
前記搬送レールに取り付けられて前記コイルからの熱を外部に排出する排熱機構と、を有し、
前記排熱機構は、前記搬送レールの熱を排出するための気流を発生する送風機を有する物品搬送装置。
【0108】
(2)前記レールは、前記コイルを収納するレール本体部を有し、
前記排熱機構は、前記搬送レールの前記搬送シャトルと干渉しない位置で、レール本体部と直接的又は間接的に接触するヒートシンクを有し、
前記送風機からの気流の少なくとも一部は、前記ヒートシンクに吹き付けられる(1)に記載の物品搬送装置。
【0109】
(3)前記ヒートシンクは、前記レール本体部よりも下部に配置される(2)に記載の物品搬送装置。
【0110】
(4)前記送風機は、前記搬送シャトルの速度、負荷、加減速の回数の少なくとも1つの変化に基づいて風量を増減する(1)から(3)のいずれかに記載の物品搬送装置。
【0111】
(5)前記搬送レールは、直線搬送レールと曲線搬送レールとを有し、
前記排熱機構は、前記直線搬送レールよりも前記曲線搬送レールに多く配置される(1)から(4)のいずれかに記載の物品搬送装置。
【0112】
(6)前記搬送部は、前記搬送レールが分岐する分岐部を有し、
前記分岐部では、2本の前記搬送レールを前記搬送シャトルが通過する隙間を介して対向して配置した重複領域が形成され、
前記排熱機構は、前記分岐部に前記搬送部の他の部分よりも多く配置される(1)から(5)のいずれかに記載の物品搬送装置。
【0113】
(7)前記搬送部は、異なる前記搬送レールが合流する合流部を有し、
前記合流部では、2本の前記搬送レールを前記搬送シャトルが通過する隙間を介して対向して配置した重複領域が形成され、
前記排熱機構は、前記合流部に前記搬送部の他の部分よりも多く配置される(1)から(6)のいずれかに記載の物品搬送装置。
【0114】
(8)前記搬送部は、前記搬送シャトルが上下に移動する部分を有し、少なくとも一部に前記搬送シャトルが停止する又は低速で移動する待機領域を有する縦搬送部を有し、
前記排熱機構は、前記縦搬送部に前記搬送部の他の部分よりも多く配置される(1)から(7)のいずれかに記載の物品搬送装置。
【符号の説明】
【0115】
100 物品搬送装置
1、1A 搬送部
11 第1搬送ルート
111 第1直線搬送レール
112 第2直線搬送レール
113 第1曲線搬送レール
114 第2曲線搬送レール
115 搬出部
12 第2搬送ルート
121 分岐レール
122 合流レール
123 帰還レール
124 物品排出部
13、13A レール
130 摺動面
131 レール本体部
132 レール上部
133 レール下部
134 溝部
135 隙間
2、2A 搬送シャトル
21 シャトル本体
211 上ローラー
212 下ローラー
213 凸部
22 物品保持部
221 保持板
222 保持アーム
223 支持台座
225 第1接触部
226 第2接触部
227 前部支持台座
228 後部支持台座
24 第1面
25 第2面
3 リニア搬送機構
31 コイル
32 マグネット
33 リニアドライバ
4 コントローラ
41 処理回路
42 記憶回路
5 供給部
51 物品移動部
52 ガイドバー
6 検査部
61 撮像部
62 判定部
7 処理部
8 排熱機構
81 送風機
82 ヒートシンク
821 フィン
83 取付部材
831 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図12