(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089888
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】車体構造
(51)【国際特許分類】
B60R 19/02 20060101AFI20240627BHJP
B62D 25/08 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B60R19/02 Z
B62D25/08 M
B62D25/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205402
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西田 真吾
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA09
3D203AA30
3D203BA02
3D203BA03
3D203BA06
3D203BA07
3D203BA13
3D203BB04
3D203BB16
3D203BB17
3D203BB20
3D203BB22
3D203BB25
3D203BC13
3D203BC14
3D203BC15
3D203DA22
3D203DA72
3D203DA73
3D203DA76
(57)【要約】
【課題】車体重量を抑制できるとともに、組み付け工数も低減できる車体構造を提供する。
【解決手段】フロントストラットタワーバー40及びリアストラットタワーバー60にフロントサスペンションタワー50L、50R、リアサスペンションタワー70L、70Rが取付けられている。前方延長部44L、44Rにおいて、フロントサスペンションタワー50L、50Rの取付位置からフロントの方向に合わせて前方の部分及び斜行部46L、46Rは一対の延出部となる。一対の延出部間を連結するアッパフロントバンパ48が設けられている。後方延長部64L、64Rにおいて、リアサスペンションタワー70L、70Rの取付位置からリアの方向に合わせて後方の部分は一対の延出部となる。当該左右一対の延出部間を連結するアッパリアバンパ66が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロント及びリアのうち少なくとも一方にストラットタワーバーを有するとともに、前記ストラットタワーバーの左右の両側に左右一対のサスペンションタワーが取付けられている車体構造であって、
前記ストラットタワーバーは、前記サスペンションタワーの取付位置から、前記フロントまたはリアの方向に合わせて、前方または後方へ延出された左右一対の延出部と、前記左右一対の延出部間を連結するバンパ部を一体に有する車体構造。
【請求項2】
前記延出部が、前方に延出されている場合、前記ストラットタワーバーは、フロントストラットタワーバーであり、
前記サスペンションタワーがフロントサスペンションタワーである請求項1に記載の車体構造。
【請求項3】
前記延出部が、後方に延出されている場合、前記ストラットタワーバーは、リアストラットタワーバーであり、
前記サスペンションタワーがリアサスペンションタワーである請求項1に記載の車体構造。
【請求項4】
前記延出部の少なくとも一部が、下方、または上方へ延出されている請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バンパは、その左右の両端が車体の骨格フレームに対して、例えば左右のバンパサポートメンバを介して取り付けられていることが多い(特許文献1参照)。特許文献1では、前記左右のバンパサポートメンバは、前記骨格フレームである左右両サイドシルから斜め前上方に延出された左右フロントピラーの上端間に架設されたアッパクロスメンバに対して一体に連結されている。
【0003】
また、特許文献1では、サスペンションであるショックアブソーバの上端部を支持する左右のフロントサスペンションタワー部は、前記左右フロントビラーに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1のように、従来は、バンパを支持する構成と、サスペンションの上端を支持する構成とは別の支持構成となっているため、それぞれを支持する部材が多くなる。この結果、車体重量が増加するとともに、組み付け工数も増加する。
【0006】
本発明の目的は、車体重量を抑制できるとともに、組み付け工数も低減できる車体構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、本発明の車体構造は、フロント及びリアのうち少なくとも一方にストラットタワーバーを有するとともに、前記ストラットタワーバーの左右の両側に左右一対のサスペンションタワーが取付けられている車体構造であって、前記ストラットタワーバーは、前記サスペンションタワーの取付位置から、前記フロントまたはリアの方向に合わせて、前方または後方へ延出された左右一対の延出部と、前記左右一対の延出部間を連結するバンパ部を一体に有するものである(請求項1)。
【0008】
上記構成によれば、ストラットタワーバーにバンパ部が設けられていることにより、バンパを別途の部材にて支持する場合に比して、車両重量を抑制できるとともに、組み付け工数も低減できる。また、ストラットタワーバーにより、車体剛性を向上することもできる。
【0009】
また、前記延出部が、前方に延出されている場合、前記ストラットタワーバーは、フロントストラットタワーバーであり、前記サスペンションタワーがフロントサスペンションタワーである(請求項2)。
【0010】
上記構成によれば、車体のフロント側において、前記ストラットタワーバーをフロントストラットタワーバーにして、前記バンパ部をフロントバンパとすることにより、上記作用を容易に実現することができる。
【0011】
また、前記延出部が、後方に延出されている場合、前記ストラットタワーバーは、リアストラットタワーバーであり、前記サスペンションタワーがリアサスペンションタワーである(請求項3)。
【0012】
上記構成によれば、車体のフロント側において、前記ストラットタワーバーをリアストラットタワーバーにして、前記バンパ部をリアバンパとすることにより、上記作用を容易に実現することができる。
【0013】
また、前記延出部の少なくとも一部が、下方、または上方へ延出されていてもよい(請求項4)。
上記構成によれば、ストラットタワーバーの延出部の少なくとも一部を下方、または上方へ延出させることにより、意匠性を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、車体重量を抑制できるとともに、組み付け工数も低減できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】一実施形態の車体の下から見た斜視図である。
【
図3】一実施形態の車体の後方ら見た斜視図である。
【
図4】一実施形態の車体の左側方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態)
以下、本発明をフロント及びリアのそれぞれにおいて、上下にダンパを有するダブルバンパを有する車体構造に具体化した一実施形態を
図1~
図4を参照して説明する。
【0017】
図1~
図4に示す車体構造を構成する各部材は、鉄、アルミ材等からなっている。また、各部材は、特に断らない限り溶接接合で取付固定されている。以下、詳細に説明する。
なお、各図に適宜記す矢印とともに付した前、後、左、右は、車体の前方、後方、左方、及び右方をそれぞれ示している。また、左右方向は、車幅方向である。
【0018】
図2に示すように、フレーム10は、左右一対のサイドメンバ12、14、フロントクロスメンバ16、複数の中間クロスメンバ18a、18b及びリアクロスメンバ20によりラダーフレームとなっている。フレーム10の上面全体には、フロアパネル22が取付固定されている。
【0019】
図2、
図4に示すように、サイドメンバ12、14の両前部下面には、ロアフロントクロスメンバ24が架設されている。ロアフロントクロスメンバ24の前面には、左右一対のロアサポートメンバ26、27が取付固定されている。ロアサポートメンバ26、27は、前方へ延出されていて、前部が斜め上方へ向かって屈曲されている。ロアサポートメンバ26、27の前端間にはロアフロントバンパ28が架設されている。
【0020】
ロアサポートメンバ26、27の前部にはロアフロントバンパ28に対して前面衝突時における衝突荷重が印加された際、曲げモーメントが発生する。このため、前記前部の上方へ屈曲した部位は、圧潰されることにより後方へ屈曲されて衝撃エネルギの吸収が可能となっている。これにより、ロアフロントバンパ28は、後方へ移動可能である。
【0021】
図2~
図4に示すように、リアクロスメンバ20の後面には、基部プレート30が取付固定されている。基部プレート30の後面には、左右一対の左右一対のリアサポートメンバ32、33が取付固定されている。リアサポートメンバ32、33は、後方へ延出されていて、両後端の上面間にはロアリアバンパ34が架設されている。
【0022】
<フロントストラットタワーバー40>
図1~
図4に示すように、サイドメンバ12、14において、前後方向の中央部よりも前側には、フロントストラットタワーバー40が取り付けられている。
【0023】
図1に示すように、フロントストラットタワーバー40は、左右一対のフロントピラー部42L、42R、左右一対の前方延長部44L、44R、左右一対の斜行部46L、46R及びアッパフロントバンパ48を含む。フロントストラットタワーバー40は、一つのパイプ材にてこれらの各部が一体となるように形成されている。なお、フロントストラットタワーバー40は、パイプ材のように断面が筒形状に限定するものではなく、形鋼の断面形状を有していてもよい。形鋼の断面形状では、例えば、H型、I型、Z型、溝型等がある。フロントストラットタワーバー40は、ストラットタワーバーに相当する。
【0024】
フロントピラー部42L、42Rは、下端部がサイドメンバ12の左側面及びサイドメンバ14の右側面に対してそれぞれ取付固定されていて、ともに前方へ行くほど狭くなるように、かつ斜め上前方へ延出されている。前方延長部44L、44Rは、後端がフロントピラー部42L、42Rの上端にそれぞれ連結されていて、ともに前方へ水平に、かつ、略平行となるように延出されている。
【0025】
斜行部46L、46Rは、後端が前方延長部44L、44Rの前端に対して屈曲して斜め下方へ向かうように連結されている。斜行部46L、46Rの前端部側はともに前方へ行くほど狭くなるように延出されている。
図1に示すように、斜行部46L、46Rの前端部間は、アッパフロントバンパ48により連結されている。
【0026】
図1に示すように、アッパフロントバンパ48は、車幅方向に沿ってロアフロントバンパ28と平行に配置されている。また、
図4に示すように、アッパフロントバンパ48は、ロアフロントバンパ28に対して若干後方に位置するように、かつ、ロアフロントバンパ28とは、離間して配置されている。
【0027】
ロアフロントバンパ28とアッパフロントバンパ48の離間距離は、前面衝突時の衝突荷重が印加されたロアフロントバンパ28が後方へ移動した際、アッパフロントバンパ48に対してロアフロントバンパ28が干渉しない距離とされている。
【0028】
また、斜行部46L、46Rには、アッパフロントバンパ48に対して前面衝突時における衝突荷重が印加された際、曲げモーメントが発生する。このため、前方延長部44L、44Rと斜行部46L、46R間の屈曲した部位は、圧潰されることにより後方へ屈曲されて衝撃エネルギの吸収が可能となっている。これにより、アッパフロントバンパ48は、後方へ移動可能である。アッパフロントバンパ48は、バンパ部及びフロントバンパ部に相当する。
【0029】
前方延長部44L、44Rにおいて、前後方向の中央部よりも後端寄り位置には、左右一対のフロントサスペンションタワー50L、50Rが取付固定されている。
フロントサスペンションタワー50L、50Rには、左右のフロントサスペンション54L、54Rの上端がそれぞれ取り付けられている。フロントサスペンション54L、54Rは、同軸に配置されたコイルスプリング56R、56L、及びショックアブソーバ58L、58Rを備えている。ショックアブソーバ58L、58Rの下端部は、左右の前輪52L、52Rのナックル(図示しない)等に支持されている。
【0030】
フロアパネル22の前部上方において、フロントストラットタワーバー40で囲まれる空間は、車両の駆動源となる図示しない内燃機関や、或いは電気自動車の場合には、図示しないモータに電力を供給する電源の収納空間となる。
【0031】
ここで、前方延長部44L、44Rにおいて、前記フロントサスペンションタワー50L、50Rの取付位置から前方の部分及び斜行部46L、46Rは、延出部及びフロント延出部に相当する。フロントサスペンションタワー50L、50Rは、サスペンションタワーに相当する。
【0032】
<リアストラットタワーバー60>
図1~
図4に示すように、サイドメンバ12、14において、前後方向の中央部よりも後側には、リアストラットタワーバー60が取り付けられている。
図1に示すように、リアストラットタワーバー60は、左右一対のリアピラー部62L、62R、左右一対の後方延長部64L、64R、及びアッパリアバンパ66を含む。リアストラットタワーバー60は、一つのパイプ材にてこれらの各部が一体となるように形成されている。なお、リアストラットタワーバー60は、パイプ材のように断面が筒形状に限定するものではなく、形鋼の断面形状を有していてもよい。形鋼の断面形状では、例えば、H型、I型、Z型、溝型等がある。リアストラットタワーバー60は、ストラットタワーバーに相当する。
【0033】
リアピラー部62L、62Rは、下端部がサイドメンバ12の左側面及びサイドメンバ14の右側面に対してそれぞれ取付固定されていて、ともに斜め後上方へ、かつ平行となるように延出されている。後方延長部64L、64Rは、後端がリアピラー部62L、62Rの上端にそれぞれ連結されていて、ともに後方へ水平に、かつ、平行となるように延出されている。
【0034】
図1、
図3に示すように、アッパリアバンパ66は、車幅方向に沿ってロアリアバンパ34と平行に、かつ、
図4に示すようにロアリアバンパ34に対して若干前方に位置するように配置されている。アッパリアバンパ66と、リアサポートメンバ32、33間には、左右一対のサポートメンバ68L、68Rが相互に平行となるように連結されている。アッパリアバンパ66は、バンパ部及びリアバンパ部に相当する。
【0035】
後方延長部64L、64Rにおいて、前後方向の中央部の位置には、左右一対のリアサスペンションタワー70L、70Rが取付固定されている。リアサスペンションタワー70L、70Rには、左右のリアサスペンション74L、74Rの上端がそれぞれ取り付けられている。リアサスペンション74L、74Rは、同軸に配置されたコイルスプリング76R、76L、及びショックアブソーバ78L、78Rを備えている。ショックアブソーバ78L、78Rの下端部は、左右の後輪80L、80Rをフレーム10に対して連結されたアーム(図示しない)等に取付けられている。
【0036】
フロアパネル22の後部において、リアストラットタワーバー60にて囲まれる空間は、車体後部の荷物収納空間となる。これにより、リアストラットタワーバー60は、荷台の枠を兼用するようにされている。
【0037】
ここで、後方延長部64L、64Rにおいて、前記リアサスペンションタワーの取付位置から後方の部分は、延出部及びリア延出部に相当する。
図1、
図3、
図4に示すように、リアストラットタワーバー60の後方延長部64L、64Rの前端間に位置するようにロールバー82が設けられている。ロールバー82は、上下方向に延びる左右一対のポール部84L、84Rと、ポール部84L、84Rの略中間部間、及び上端間に架設されたクロスメンバ85、86と、ポール部84L、84Rの上端間を連結したアーチ部88とを含む。
【0038】
ポール部84L、84Rは、その下端がサイドメンバ12、14に対して取付固定されているとともに、中間部がリアストラットタワーバー60の64L、64Rの前端部に対して溶接等により連結されている。ポール部84L、84R、クロスメンバ85、及びアーチ部88は、パイプにて形成されている。クロスメンバ86は、平板状に形成されている。フロアパネル22において、ロールバー82と、フロントピラー部42L、42Rの間には、図示しない運転席が配置される。
【0039】
(実施形態の作用)
上記のように構成された車体構造の作用について説明する。
<前面衝突時>
前面衝突時の際、ロアフロントバンパ28に衝突荷重が印加される。この衝突荷重は、ロアサポートメンバ26、27、ロアフロントクロスメンバ24を介してサイドメンバ12、14で受け止められる。
【0040】
また、ロアサポートメンバ26、27の前部にはロアフロントバンパ28に対して前記衝突荷重が印加すると、曲げモーメントが発生する。このため、前記前部の上方へ屈曲した部位は、圧潰されることにより衝撃エネルギを吸収するとともに後方へ屈曲される。また、ロアフロントバンパ28は、後方へ移動する。
【0041】
一方、前面衝突時の際、アッパフロントバンパ48に衝突荷重が印加される。この場合、この衝突荷重は、フロントストラットタワーバー40(斜行部46L、46R、前方延長部44L、44R、フロントピラー部42L、42R)を介してサイドメンバ12、14で受け止められる。
【0042】
また、斜行部46L、46Rには、アッパフロントバンパ48に対して前記衝突荷重が印加されると、曲げモーメントが発生する。このため、前方延長部44L、44Rと斜行部46L、46R間の屈曲した部位は、圧潰されることにより後方へ屈曲されて衝撃エネルギを吸収するとともに後方へ屈曲される。また、アッパフロントバンパ48は、後方へ移動する。
【0043】
<後面衝突時>
後面衝突時の際、ロアリアバンパ34に衝突荷重が印加される。この衝突荷重は、リアサポートメンバ32、33、及びリアクロスメンバ20を介してサイドメンバ12、14で受け止められる。
【0044】
また、後面衝突時の際、アッパリアバンパ66に衝突荷重が印加されると、この衝突荷重は、リアストラットタワーバー60(後方延長部64L、64R、リアピラー部62L、62R)を介してサイドメンバ12、14で受け止められる。
【0045】
<剛性の向上>
本実施形態では、フロントストラットタワーバー40を有することにより、車体前部の車体剛性が向上する。また、本実施形態では、リアストラットタワーバー60を有することによって、車体後部の車体剛性が向上する。
【0046】
また、フロントストラットタワーバー40、及びリアストラットタワーバー60にそれぞれフロントサスペンション54L、54R、リアサスペンション74L、74Rが取り付けられている。この結果、これらのサスペンションの取付剛性を向上することができる。
【0047】
また、本実施形態では、フロントストラットタワーバー40がアッパフロントバンパ48を一体に有することにより、フロントストラットタワーバー40をアッパバンパと兼用している。このことにより、ダブルバンパを有する車体構造において、フロントストラットタワーバーと、アッパバンパを別部材として設ける場合に比して、部品点数を少なくできる。また、部品点数が少ないため、部品の車体に対する組み付け工数も低減できる。この結果、コストを低減できる。
【0048】
また、本実施形態では、リアストラットタワーバー60がアッパリアバンパ66を一体に有することにより、リアストラットタワーバー60をリアバンパと兼用している。
このことにより、ダブルバンパを有する車体構造において、リアストラットタワーバーと、リアアッパバンパを別部材として設ける場合に比して、部品点数を少なくできる。また、部品点数が少ないため、部品の車体に対する組み付け工数も低減できる。この結果、コストを低減できる。
【0049】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1)本実施形態の車体構造では、フロント及びリアの両方にフロントストラットタワーバー40及びリアストラットタワーバー60を有する。また、本実施形態の車体構造は、フロントストラットタワーバー40及びリアストラットタワーバー60の左右の両側にフロントサスペンションタワー50L、50R、リアサスペンションタワー70L、70Rが取付けられている。
【0050】
フロントストラットタワーバー40の前方延長部44L、44Rにおいて、フロントサスペンションタワー50L、50Rの取付位置からフロントの方向に合わせて前方の部分及び斜行部46L、46Rは左右一対の延出部となる。そして、当該左右一対の延出部間を連結するアッパフロントバンパ48(バンパ部)を当該左右一対の延出部と一体となっている。
【0051】
また、リアストラットタワーバー60の後方延長部64L、64Rにおいて、リアサスペンションタワー70L、70Rの取付位置からリアの方向に合わせて後方の部分は左右一対の延出部となる。そして、当該左右一対の延出部間を連結するアッパリアバンパ66(バンパ部)を当該左右一対の延出部と一体となっている。
【0052】
上記構成によれば、フロントストラットタワーバー40にアッパフロントバンパ48(バンパ部)が設けられていることにより、バンパを別途の部材にて支持する場合に比して、車体重量を抑制できるとともに、組み付け工数も低減できる。また、フロントストラットタワーバー40により、車体前部の車体剛性が向上する。
【0053】
また、リアストラットタワーバー60にアッパリアバンパ66(バンパ部)が設けられていることにより、バンパを別途の部材にて支持する場合に比して、車体重量を抑制できるとともに、組み付け工数も低減できる。また、リアストラットタワーバー60を有することによって、車体後部の車体剛性が向上する。
【0054】
(2)また、本実施形態の車体構造では、フロントストラットタワーバー40の延出部の一部が斜め下方へ延出する斜行部46L、46Rを有する。この結果、本実施形態によれば、意匠性を高めることが可能となる。
【0055】
前記実施形態は、フロント及びリアをともにダブルバンパを有する車体構造に具体化したが、フロント及びリアのうち、少なくともいずれか一方をシングルのバンパを有する車体構造に具体化してもよい。この場合、下記の(1)~(7)のように変更して実施することができる。
【0056】
(1)
図1~
図4の実施形態の構成中、アッパフロントバンパ48とロアリアバンパ34を残して、ロアフロントバンパ28とアッパリアバンパ66を省略してもよい(請求項2のサポートの実施形態)。
【0057】
この場合、アッパフロントバンパ48と、ロアリアバンパ34は、それぞれフロントバンパと、リアバンパとなる。
(2)
図1~
図4の実施形態の構成中、アッパフロントバンパ48と、アッパリアバンパ66を残して、ロアフロントバンパ28とロアリアバンパ34を省略してもよい(請求項2、請求項3のサポートの実施形態)。この場合、アッパフロントバンパ48と、アッパリアバンパ66は、それぞれフロントバンパと、リアバンパとなる。
【0058】
(3)
図1~
図4の実施形態の構成中、アッパフロントバンパ48、ロアフロントバンパ28及びアッパリアバンパ66を残して、ロアリアバンパ34を省略してもよい(請求項2、請求項3のサポートの実施形態)。この場合、アッパリアバンパ66は、リアバンパとなる。
【0059】
(4)
図1~
図4の実施形態の構成中、アッパフロントバンパ48、ロアフロントバンパ28及びロアリアバンパ34を残して、アッパリアバンパ66を省略してもよい(請求項2のサポートの実施形態)。この場合、アッパフロントバンパ48は、フロントバンパとなる。
【0060】
(5)
図1~
図4の実施形態の構成中、アッパフロントバンパ48、アッパリアバンパ66及びロアリアバンパ34を残して、ロアフロントバンパ28を省略してもよい(請求項2、請求項3のサポートの実施形態)。この場合、アッパフロントバンパ48は、フロントバンパとなる。
【0061】
(6)
図1~
図4の実施形態の構成中、ロアフロントバンパ28、アッパリアバンパ66を残して、アッパフロントバンパ48とロアリアバンパ34を省略してもよい(請求項3のサポートの実施形態)。
【0062】
この場合、ロアフロントバンパ28と、アッパリアバンパ66は、それぞれフロントバンパと、リアバンパとなる。
(7)
図1~
図4の実施形態の構成中、ロアフロントバンパ28、アッパリアバンパ66及びロアリアバンパ34を残して、アッパフロントバンパ48を省略してもよい(請求項3のサポートの実施形態)。この場合、ロアフロントバンパ28は、フロントバンパとなる。
【0063】
また、上述した実施形態及び変更の各実施形態、並びに以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・アッパフロントバンパ48を残して、ロアフロントバンパ28を省略した場合、アッパフロントバンパ48の高さをロアフロントバンパ28の高さ位置に変更してもよい。
【0064】
・アッパリアバンパ66を残して、ロアリアバンパ34を省略した場合、アッパリアバンパ66の高さをロアリアバンパ34の高さ位置に変更してもよい。
・前記実施形態の斜行部46L、46Rを省略して、前方延長部44L、44Rの前端間をアッパフロントバンパ48で一体に連結した構成としてもよい。
【0065】
・前記実施形態のリアストラットタワーバー60の後方延長部64L、64Rの全体、または、後部側を斜め下方へ延出する斜行部にして、当該斜行部の下端間をアッパリアバンパ66として連結してもよい(請求項4のサポート)。また、後部側を斜め下方の代わりに直下方へ延出してもよい(請求項4のサポート)。
【0066】
・前記実施形態のリアストラットタワーバー60の後方延長部64L、64Rの全体、または、後部側を斜め上方へ上がる斜行部にして、当該斜行部の上端間をアッパリアバンパ66として連結してもよい(請求項4のサポート)。また、後部側を斜め上方の代わりに直上方へ延出してもよい(請求項4のサポート)。
【0067】
・前記実施形態では、フロントストラットタワーバー40の延出部の一部が斜め下方へ延出する斜行部46L、46Rを有するようにした。これに代えて、斜行部46L、46Rの後端を、フロントサスペンションタワー50L、50Rの取付位置に位置させてもよい。すなわち、フロントストラットタワーバー40の延出部の全体を斜行部にして下方へ延出させてもよい(請求項4のサポート)。
【0068】
・前記実施形態では、フロントストラットタワーバー40は、前方延長部44L、44Rから、下方へ延出された斜行部46L、46Rを有する。これに代えて、上方へ延出してもよい。上方への延出方法としては、フロントストラットタワーバー40の延出部の全体、または一部を斜行部にして下方へ延出させてもよい(請求項4のサポート)。
【0069】
・前記実施形態では、リアストラットタワーバー60においても、フロントストラットタワーバー40と同様に、後方延長部64L、64Rの一部に、下方、または上方へ延出する斜行部を設けてもよい(請求項4のサポート)。
【0070】
この場合、リアサスペンションタワー70L、70Rの取付位置からの延出部は、その一部、または全部を下方へ延出させればよい。
【符号の説明】
【0071】
10…フレーム
12…サイドメンバ
14…サイドメンバ
16…フロントクロスメンバ
18a…中間クロスメンバ
18b…中間クロスメンバ
20…リアクロスメンバ
22…フロアパネル
24…ロアフロントクロスメンバ
26…ロアサポートメンバ
27…ロアサポートメンバ
28…ロアフロントバンパ
30…基部プレート
32…リアサポートメンバ
34…ロアリアバンパ
40…フロントストラットタワーバー
42R…フロントピラー部
42L…フロントピラー部
44R…前方延長部
44L…前方延長部
46R…斜行部
46L…斜行部
48…アッパフロントバンパ
50R…フロントサスペンションタワー
50L…フロントサスペンションタワー
52R…前輪
52L…前輪
54R…フロントサスペンション
54L…フロントサスペンション
56R…コイルスプリング
56L…コイルスプリング
58R…ショックアブソーバ
58L…ショックアブソーバ
60…リアストラットタワーバー
62L…リアピラー部
62R…リアピラー部
64L…後方延長部
64R…後方延長部
66…アッパリアバンパ
68L…サポートメンバ
68R…サポートメンバ
70R…リアサスペンションタワー
70L…リアサスペンションタワー
74R…リアサスペンション
74L…リアサスペンション
76R…コイルスプリング
76L…コイルスプリング
78R…ショックアブソーバ
78L…ショックアブソーバ
80R…後輪
80L…後輪