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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089897
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】筐体、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20240627BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20240627BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H05K5/03 B
H05K5/00 A
H05K7/14 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205419
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】本田 健
【テーマコード(参考)】
4E360
5E348
【Fターム(参考)】
4E360AB08
4E360BA08
4E360BB22
4E360BC06
4E360BD03
4E360BD05
4E360EA11
4E360EA24
4E360EC04
4E360EC05
4E360ED03
4E360ED14
4E360ED29
4E360ED30
4E360GA06
4E360GA22
4E360GA29
4E360GA60
4E360GB99
4E360GC08
5E348AA03
5E348AA15
5E348AA31
5E348AA40
(57)【要約】
【課題】筐体とコネクタの隙間を小さくする。
【解決手段】回路基板140を収容する筐体110であって、収容される回路基板140に対向する一面が開口する箱部材111と、箱部材111の開口を閉塞する蓋部材112と、を備え、箱部材111、および蓋部材112は、回路基板140に取り付けられ筐体110から露出する露出部品142の外周形状に対応した枠部113を備え、枠部113は、箱部材111に蓋部材112を組み付けた状態において環状となる箱側枠部114、および蓋側枠部115で構成される筐体110。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を収容する筐体であって、
収容される前記回路基板に対向する一面が開口する箱部材と、
前記箱部材の開口を閉塞する蓋部材と、を備え、
前記箱部材、および前記蓋部材は、
前記回路基板に取り付けられ前記筐体から露出する露出部品の外周形状に対応した枠部を備え、
前記枠部は、
前記箱部材に前記蓋部材を組み付けた状態において環状となる箱側枠部、および蓋側枠部で構成される
筐体。
【請求項2】
前記箱部材は、
収容される前記回路基板の一面に先端が当接する箱側突起を備え、
前記蓋部材は、
収容される前記回路基板の他面に先端が当接する蓋側突起を備え、
前記箱側突起、および前記蓋側突起は、
前記箱部材に前記蓋部材を組み付けた状態において前記回路基板を厚さ方向に保持する
請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記箱側突起、および前記蓋側突起の一方は、
前記箱部材に前記蓋部材を組み付けた状態において変形する第一変形部を先端に備える
請求項2に記載の筐体。
【請求項4】
前記箱部材、および前記蓋部材の一方は、
対向する一方の壁面部から他方の壁面部に向かって突出し、厚さ方向に延在する突条部を備え、
前記突条部は、
厚さ方向において、開口から遠ざかるに従い他方の壁面部に向かうテーパー面と、
前記テーパー面から開口の反対側に向かって延在し、圧入される前記回路基板によって変形する第二変形部を備える
請求項1または2に記載の筐体。
【請求項5】
前記枠部は、
前記露出部品の外周面に設けられ、前記露出部品を露出させる前記筐体の壁面部に沿って延在する溝、または穴に嵌まり込む嵌入部を備える
請求項1または2に記載の筐体。
【請求項6】
材質は、ABS(アクリロニトル ブタジエン スチレン)、ASA(アクリレート スチレン アクリロニトル)、SAN(スチレン アクリロニトル)、およびPP(ポリプロピレン)の少なくとも1つを含む
請求項1または2に記載の筐体。
【請求項7】
材質は、強化材を含む
請求項6に記載の筐体。
【請求項8】
材質の弾性率は、
2,000MPa以上、2,500MPa以下の範囲から選定される
請求項1または2に記載の筐体。
【請求項9】
回路基板と、前記回路基板を収容する筐体を有する電子機器であって、
前記筐体は、
収容される前記回路基板に対向する一面が開口する箱部材と、
前記箱部材の開口を閉塞する蓋部材と、を備え、
前記箱部材、および前記蓋部材は、
前記回路基板に取り付けられ前記筐体から露出する露出部品の外周形状に対応した枠部を備え、
前記枠部は、
前記箱部材に前記蓋部材を組み付けた状態において環状となる箱側枠部、および蓋側枠部で構成される
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筐体、および筐体を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器が備える回路基板を筐体内に固定する技術として、直方体の筐体の側面に設けられた開口から回路基板を差し込んで収容するスライド式の収容技術が特許文献1に記載されている。回路基板は、筐体内部に設けられた挿入方向に延在する溝に案内され、筐体奥の突起へ回路基板の端縁を圧入することで回路基板は筐体内に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-134963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、スライド式の収容方法では、筐体の開口は、回路基板に取り付けられた最大の部品(例えばコネクタ)と同等以上の大きさが必要となる。筐体の開口が大きいと収容された回路基板と筐体との間に大きな隙間が発生し、水や異物が筐体内に侵入する可能性が高まる。
【0005】
また、スペーサーなどにより回路基板と筐体との隙間を埋めることが考えられるが、電子機器の部品点数が多くなり、電子機器を組み立てる際の工数も増加する。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みなされたものであり、筐体内に収容された回路基板と筐体との隙間を小さくすることができる筐体、および前記筐体を備えた電子機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1態様に係る筐体は、回路基板を収容する筐体であって、収容される前記回路基板に対向する一面が開口する箱部材と、前記箱部材の開口を閉塞する蓋部材と、を備え、前記箱部材、および前記蓋部材は、前記回路基板に取り付けられ前記筐体から露出する露出部品の外周形状に対応した枠部を備え、前記枠部は、前記箱部材に前記蓋部材を組み付けた状態において環状となる箱側枠部、および蓋側枠部で構成される。
【0008】
また、本開示の1態様に係る電子機器は、回路基板と、前記回路基板を収容する筐体を有する電子機器であって、前記筐体は、収容される前記回路基板に対向する一面が開口する箱部材と、前記箱部材の開口を閉塞する蓋部材と、を備え、前記箱部材、および前記蓋部材は、前記回路基板に取り付けられ前記筐体から露出する露出部品の外周形状に対応した枠部を備え、前記枠部は、前記箱部材に前記蓋部材を組み付けた状態において環状となる箱側枠部、および蓋側枠部で構成される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、筐体は、箱部材と蓋部材とを回路基板の厚さ方向に組み付ける上下組立式となっている。コネクタなどの露出部品の外形に対応させた枠部を厚さ方向に分割して箱部材と蓋部材とにそれぞれ配置することで、露出部品と筐体との隙間を可及的に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】筐体を有する電子機器を示す斜視図である。
図2】分解状態の電子機器を一部透過状態で示す斜視図である。
図3】回路基板によって削られた状態の突条部近傍を示す斜視図である
図4】規制部の近傍を示す斜視図である。
図5】蓋側突起の近傍を、蓋側主面を省略して示す斜視図である。
図6】組み付け前の枠部の近傍を示す斜視図である。
図7】組み付け後の枠部の近傍を示す斜視図である。
図8】筐体の別例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る筐体、および電子機器の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を説明するために一例を挙示するものであり、本開示を限定する主旨ではない。例えば、以下の実施の形態において示される形状、構造、材料、構成要素、相対的位置関係、接続状態、数値、数式、方法における各段階の内容、各段階の順序などは、一例であり、以下に記載されていない内容を含む場合がある。また、平行、直交などの幾何学的な表現を用いる場合があるが、これらの表現は、数学的な厳密さを示すものではなく、実質的に許容される誤差、ずれなどが含まれる。また、同時、同一などの表現も、実質的に許容される範囲を含んでいる。
【0012】
また、図面は、本開示を説明するために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる。また、図中に示す場合があるX軸、Y軸、Z軸は、図の説明のために任意に設定した直交座標を示している。つまりZ軸は、鉛直方向に沿う軸とは限らず、X軸、Y軸は、水平面内に存在するとは限らない。
【0013】
また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として包括的に説明する場合がある。また、以下に記載する内容の一部は、本開示に関する任意の構成要素として説明している。
【0014】
図1は、筐体110を有する電子機器100を示す斜視図である。図2は、分解状態の電子機器100を一部透過状態で示す斜視図である。電子機器100は、電子機器100の機能を実現する回路基板140と、回路基板140を収容する筐体110と、を備えている。電子機器100としては、例えば、自動車、航空機、船舶などの移動体などの対象物に取り付けられ、取り付けられた対象物の全機能、または一部の機能を電子的に制御するECU(Electronic Control Unit)、オーディオ用アンプなどを例示することができる。
【0015】
回路基板140は、配線が施されたプリント基板141と、プリント基板141に実装され、電子機器100の機能を実現するための電子部品、電気部品などの部品(図示省略)と、を備えている。回路基板140は、外部との通信、電力の供給、センサからの信号の取得などを目的として筐体110から一部が露出する部品の一つであるコネクタなどの露出部品142を備えている。本実施の形態の場合、回路基板140には、二つの露出部品142が取り付けられている。
【0016】
回路基板140の形状は、限定されるものではないが、本実施の形態の場合、矩形の板状である。なお、本明細書において方向を説明する場合、回路基板140の厚さ方向(図中Z軸方向)、回路基板140の長手方向(図中X軸方向)、回路基板140の短手方向(図中Y軸方向)と記載する場合がある。
【0017】
筐体110は、回路基板140を収容する箱状の部材であり、箱部材111と、蓋部材112と、枠部113と、を備えている。筐体110の概略外形は、限定されるものではなく、直方体、円筒などでも構わない。本実施の形態の場合、筐体110は、回路基板140の形状に応じた概略直方体状である。
【0018】
筐体110の材質は、ABS(アクリロニトル ブタジエン スチレン)、含有材としてPP(ポリカーボネート)を含むABS、ASA(アクリレート スチレン アクリロニトル)、SAN(スチレン アクリロニトル)、PP(ポリプロピレン)を例示できる。また、Glass Fiberなどを強化材として含んでも構わない。また、筐体110を構成する材質は、筐体110と一体に形成される第一変形部133、および第二変形部124(詳細は後述)が、回路基板140により削られ、または潰されて変形できる硬さ(柔らかさ)となるように調整されることが好ましい。具体的な筐体110を構成する材質の弾性率としては、2,000~2,500MPa程度を例示することができる。この弾性率は、ブタジエン、アクリレートゴム等の含有物質の量を調整して実現しても構わない。
【0019】
箱部材111は、収容される回路基板140に対向する一面が開口する箱状の部材である。箱部材111には、露出部品142の外周形状に対応した環形状の枠部113を構成する箱側枠部114が設けられている。本実施の形態の場合、露出部品142は、直方体状であるため、枠部113は、矩形の貫通孔を囲む部分であり、箱側枠部114は、矩形の切り欠きを囲む部分である。なお、箱側枠部114は、箱部材111の一部分であり、その範囲は明確ではない。本実施の形態の場合、箱部材111は、箱側突起116と、突条部117と、規制部118と、を備えている。
【0020】
箱側突起116は、蓋部材112が箱部材111に組み付けられた状態において、収容される回路基板140の一面に先端が当接し、収容する回路基板140の厚さ方向(図中Z軸方向)において回路基板140の移動を規制する部分である。本実施の形態の場合、箱側突起116は、箱部材111の最大面である箱側主面121と、箱側主面121と交差する四つの箱側壁面部122との隅部に突出状に設けられた直方体状の突起である。複数の箱側突起116の開口側(図中Z+側)の面は面一になるように配置されており、それぞれが回路基板140の端縁部を支持する。
【0021】
図3は、回路基板140によって削られた状態の突条部117近傍を示す斜視図である。図3において、削られた部分は二点鎖線で示されている。突条部117は、対向する一方の壁面部(例えば図中X+側の箱側壁面部122)から他方の壁面部(例えば図中X-側の箱側壁面部122)に向かって突出し、厚さ方向(図中Z軸方向)に延在する箱部材111のリブ状の部分である。突条部117は、収容する回路基板140の厚さ方向に直交する長手方向(図中X軸方向)、および短手方向(図中Y軸方向)において回路基板140の移動を規制する。本実施の形態の場合、突条部117は、箱側主面121と、箱側壁面部122との隅部にリブ状に設けられており、テーパー面123と、第二変形部124と、を備えている。突条部117は、箱部材111の内方において、長手方向の両側に対向状に配置され、また短手方向の一方である箱側枠部114の近傍に配置されている。
【0022】
テーパー面123は、厚さ方向において、蓋部材112側の開口から遠ざかるに従い、つまり箱側主面121に向かうに従い対向する他方の壁面部(例えば図中X-側の箱側壁面部122)に向かって傾く面である。テーパー面123は、箱部材111に回路基板140を配置する際に、回路基板140の端縁と当接し、回路基板140を箱部材111に圧入する際に回路基板140を案内する部分である。
【0023】
第二変形部124は、テーパー面123から開口(前記箱部材111)の反対側である箱側主面121に向かって延在し、圧入される回路基板140によって変形する部分である。第二変形部124は、他方の壁面部(例えば図中X-側の箱側壁面部122)に向かって先細りとなるエッジ状であり、回路基板140の圧入時に容易に変形できるものとなっている。変形する前の第二変形部124には、テーパー面123の一部が配置されている。本実施の形態の場合、第二変形部124は、圧入時の回路基板140の端縁部により削られることにより変形する。第二変形部124が削られたことにより発生する削りかす125は、高さが箱側突起116よりも低い台座部126との間に挟持される。なお、第二変形部124は、削られることなく塑性変形しても構わない。
【0024】
突条部117は、回路基板140の長手方向、および短手方向の少なくとも一方の長さに大きな誤差が含まれている場合でも隙間が生じることなく第二変形部124が変形することにより回路基板140の移動を厚さ方向と直交する方向に確実に規制することができる。
【0025】
図4は、規制部118の近傍を示す斜視図である。規制部118は、対向する一方の壁面部(例えば図中Y+側の箱側壁面部122)から他方の壁面部(例えば図中Y-側の箱側壁面部122)に向かって突出し、厚さ方向(図中Z軸方向)に延在する箱部材111のリブ状の部分である。規制部118は、収容する回路基板140の厚さ方向に直交する短手方向(図中Y軸方向)において回路基板140の移動を規制する。本実施の形態の場合、規制部118は、箱側主面121と、箱側壁面部122との隅部にリブ状に設けられており、第二テーパー面127を備えている。規制部118は、短手方向において突条部117と対向状に配置されている。
【0026】
第二テーパー面127は、厚さ方向において、蓋部材112側の開口から遠ざかるに従い、つまり箱側主面121に向かうに従い対向する他方の壁面部(例えば図中Y-側の箱側壁面部122)に向かって傾く面である。第二テーパー面127は、箱部材111に回路基板140を配置する際に、回路基板140の端縁と当接し、回路基板140を箱部材111に圧入する際に回路基板140を案内する。
【0027】
蓋部材112は、箱部材111の開口を閉塞する部材である。蓋部材112には、露出部品142の外周形状に対応した環形状の枠部113を構成する蓋側枠部115が設けられている。本実施の形態の場合、蓋側枠部115は、矩形の切り欠きを囲む部分であり、箱側枠部114と組み合わされることにより、矩形の貫通状の枠部113を構成する。なお、蓋側枠部115は、蓋部材112の一部分であり、その範囲は明確ではない。本実施の形態の場合、蓋部材112は、蓋側突起128を備えている。
【0028】
蓋部材112の形状は、限定されるものではない。本実施の形態の場合、蓋部材112の形状は、箱部材111との間でインロー構造を形成する形状である。蓋部材112は、蓋部材112の最大面である蓋側主面129と、蓋側主面129と交差する四つの蓋側壁面部130とを備えている。蓋側壁面部130は、箱側壁面部122の外側に配置される。蓋側壁面部130には、長手方向、および短手方向に延在する係合穴131が複数箇所に設けられている。係合穴131は、箱側壁面部122の外周面の複数箇所に設けられた係合突起132と共に蓋部材112と箱部材111とを固定するスナップフィット構造を構成している。係合穴131と係合突起132によるスナップフィット構造を箱部材111の外側に配置することにより、箱部材111の回路基板140の収容空間を広く確保することができる。つまり、筐体110内に収容する回路基板140を大きくすることができ、回路基板140の部品が実装できる領域を広く確保することができる。
【0029】
図5は、蓋側突起128の近傍を、蓋側主面129を省略して示す斜視図である。図5において、回路基板140に押圧することにより変形した部分は破線で示されている。蓋側突起128は、蓋部材112が箱部材111に組み付けられた状態において、収容される回路基板140の一面に先端が当接する部分である。蓋側突起128は、収容する回路基板140の厚さ方向(図中Z軸方向)において箱側突起116との間で回路基板140を挟んで回路基板140の移動を規制する。本実施の形態の場合、蓋側突起128は、蓋側主面129から厚さ方向に箱部材111に向かって突出状に設けられた直方体状の突起である。本実施の形態の場合、複数の蓋側突起128には、箱部材111に蓋部材112を組み付けた状態において回路基板140の表面に押さえつけられることにより変形する第一変形部133が先端に設けられている。第一変形部133の変形前は、回路基板140に向かって尖るエッジ、またはニードル状である。第一変形部133は、蓋部材112を箱部材111に組み付ける際に回路基板140に厚さ方向に押しつけられ、潰れた状態となる。潰れた後の第一変形部133は、回路基板140と面接触状態で当接する。
【0030】
図6は、組み付け前の枠部113の近傍を示す斜視図である。図7は、組み付け後の枠部113の近傍を示す斜視図である。枠部113は、回路基板140に取り付けられた部品の1つである露出部品142が筐体110から露出する部分である。枠部113の形状は、露出部品142の外周形状に対応している。露出部品142の外周形状に対応しているとは、枠部113が露出部品142の外周面に密着、または当接した状態、および枠部113と露出部品142との間に僅かな隙間が存在する場合も含まれる。また、露出部品142の外周形状に対応しているとは、枠部113と露出部品142との間から筐体110内に水や微細な異物などの侵入を抑制できる状態である。図6に示すように、箱側枠部114と蓋側枠部115とに分離可能であり、図7に示すように、箱部材111に蓋部材112を組み付けた状態において箱側枠部114、および蓋側枠部115は、環状の枠部113を形成する。本実施の形態の場合、箱側枠部114は、蓋側枠部115の内側に配置されており、箱部材111に蓋部材112を組み付けた状態において箱側枠部114と蓋側枠部115とは、短手方向に重なった状態で枠部113を形成している。
【0031】
実施の形態に係る電子機器100の筐体110によれば、箱側枠部114を備えた箱部材111と蓋側枠部115を備えた蓋部材112とを収容される回路基板140の厚さ方向に組み付けることにより、箱側枠部114と蓋側枠部115とを露出部品142の外周面を包むように配置することができる。従って露出部品142の外周面に形成された凹凸や回路基板140に実装される露出部品142以外の部品の大きさに影響されることなく、枠部113を露出部品142の外周面に隙間無く、または僅かな隙間で配置することができ、隙間からの水や異物の侵入を効果的に抑制することができる。
【0032】
また、箱部材111に蓋部材112を組み付ける際の力により、箱側突起116の先端に設けられた第一変形部133を回路基板140の表面に面接触になるまで押しつけ、箱側突起116との間で回路基板140を挟持することで筐体110内に回路基板140を強固に固定することが可能となる。
【0033】
また、箱部材111に蓋部材112を組み付ける際の力により、突条部117同士の間、および突条部117と規制部118との間に回路基板140を圧入することにより、第二変形部124が変形する。これにより、対向する突条部117同士の距離や突条部117と規制部118との距離、回路基板140の寸法に製造上の誤差が存在する場合でも、突条部117、規制部118により厚さ方向と直交する方向において回路基板140を確実に保持することが可能となる。
【0034】
なお、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本開示の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本開示の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
【0035】
例えば、枠部113は、図8に示すように、露出部品142の外周面に設けられ、露出部品142を露出させる筐体110の壁面部に沿って延在する溝、または穴である凹部143に嵌まり込む嵌入部135を備えてもかまわない。枠部113が箱側枠部114と蓋側枠部115に分割されるため、箱側壁面部122、蓋側壁面部130に沿って延在する凹部143に同様に延在する嵌入部135を挿入することができる。これにより、筐体110への水や異物などの侵入を高い効果で抑制することができる。
【符号の説明】
【0036】
100 電子機器
110 筐体
111 箱部材
112 蓋部材
113 枠部
114 箱側枠部
115 蓋側枠部
116 箱側突起
117 突条部
118 規制部
121 箱側主面
122 箱側壁面部
123 テーパー面
124 第二変形部
126 台座部
127 第二テーパー面
128 蓋側突起
129 蓋側主面
130 蓋側壁面部
131 係合穴
132 係合突起
133 第一変形部
135 嵌入部
140 回路基板
141 プリント基板
142 露出部品
143 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8