(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089919
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】繊維処理剤組成物と香料組成物からなる繊維処理用物品
(51)【国際特許分類】
D06M 13/463 20060101AFI20240627BHJP
D06M 13/00 20060101ALI20240627BHJP
D06M 13/224 20060101ALI20240627BHJP
D06M 15/643 20060101ALI20240627BHJP
D06M 13/144 20060101ALI20240627BHJP
D06M 13/148 20060101ALI20240627BHJP
C11B 9/00 20060101ALN20240627BHJP
【FI】
D06M13/463
D06M13/00
D06M13/224
D06M15/643
D06M13/144
D06M13/148
C11B9/00 X
C11B9/00 W
C11B9/00 L
C11B9/00 T
C11B9/00 M
C11B9/00 K
C11B9/00 C
C11B9/00 D
C11B9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205462
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 美和子
(72)【発明者】
【氏名】渡瀬 寛也
【テーマコード(参考)】
4H059
4L033
【Fターム(参考)】
4H059BA12
4H059BA14
4H059BA20
4H059BA22
4H059BA23
4H059BA30
4H059BB03
4H059BB13
4H059BB14
4H059BB15
4H059BB18
4H059BB22
4H059BC23
4H059DA09
4H059EA35
4L033AB04
4L033AC02
4L033AC15
4L033BA00
4L033BA11
4L033BA12
4L033BA21
4L033BA86
4L033CA59
(57)【要約】
【課題】繊維処理剤に香料組成物を入れ放置した際の被膜形成を抑制し、使用性に優れた製品を提供する。
【解決手段】容器に充填されている香料組成物と、該香料組成物が充填されている容器とは別の容器に充填されている繊維処理剤組成物とを備える繊維処理用物品であって、
前記香料組成物が、
(A)香料成分 1~40質量%、及び
(B)ノニオン界面活性剤 1~80質量%
を含有し、
前記繊維処理剤組成物が、
(C)カチオン界面活性剤 1~30質量%、及び
(D)(D-1)~(D-3)から選ばれる少なくとも1種の化合物 1~10質量%
(D-1)炭素数8以上18以下の高級アルコール
(D-2)シリコーン化合物
(D-3)炭素数2~8の多価アルコール
を含有する、繊維処理用物品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に充填されている香料組成物と、該香料組成物が充填されている容器とは別の容器に充填されている繊維処理剤組成物とを備える繊維処理用物品であって、
前記香料組成物が、
(A)香料成分 1~40質量%、及び
(B)ノニオン界面活性剤 1~80質量%
を含有し、
前記繊維処理剤組成物が、
(C)カチオン界面活性剤 1~30質量%、及び
(D)(D-1)~(D-3)から選ばれる少なくとも1種の化合物 1~10質量%
(D-1)炭素数8以上18以下の高級アルコール
(D-2)シリコーン化合物
(D-3)炭素数2~8の多価アルコール
を含有する、繊維処理用物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維処理用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維製品用賦香剤は多数発売されており、近年は個人の嗜好にカスタマイズ可能な製品が増えている。生活者の嗜好に合わせた香りの種類や強度を提供するため、消費者自身で香料組成物を無香性の製品へミックスする方法が開示されている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-023776号公報
【特許文献2】特開2021-127558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、繊維処理剤に香料組成物を入れた後、放置されることで、繊維処理剤と香料組成物の境界において香料組成物を覆うように被膜が形成されることがある。そのため、消費者自身で繊維処理剤に香料組成物をミックスする製品を、例えば予約洗濯で使用することが困難となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これに対し、本発明は、繊維処理剤に香料組成物を入れ放置した際の被膜形成を抑制し、使用性に優れた製品を提供することを目的とする。ここで、被膜とは、繊維処理剤組成物と香料組成物の境界に生じる、香料組成物を覆うように形成される膜のことである。
本発明は、例えば、下記〔1〕に関するものである。
〔1〕容器に充填されている香料組成物と、該香料組成物が充填されている容器とは別の容器に充填されている繊維処理剤組成物とを備える繊維処理用物品であって、
前記香料組成物が、
(A)香料成分 1~40質量%、及び
(B)ノニオン界面活性剤 1~80質量%
を含有し、
前記繊維処理剤組成物が、
(C)カチオン界面活性剤 1~30質量%、及び
(D)(D-1)~(D-3)から選ばれる少なくとも1種の化合物 1~10質量%
(D-1)炭素数8以上18以下の高級アルコール
(D-2)シリコーン化合物
(D-3)炭素数2~8の多価アルコール
を含有する、繊維処理用物品。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、繊維処理剤組成物に香料組成物を入れ、一晩放置した後でも被膜の形成が抑制され、使用性に優れた繊維処理用物品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の繊維処理用物品は、容器に充填されている香料組成物と、該香料組成物が充填されている容器とは別の容器に充填されている繊維処理剤組成物とを備える。本発明の繊維処理用物品は、香料組成物と繊維処理剤組成物との組み合わせのみからなるものに限定されるわけではなく、適宜、他の構成要素を含んでもよい。
本発明において、香料組成物は、(A)香料成分及び(B)ノニオン界面活性剤を含有する。
本発明において、繊維処理剤組成物は、(C)カチオン界面活性剤及び(D)(D-1)~(D-3)から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する。
【0008】
I.香料組成物
[(A)成分]
香料組成物に配合される(A)成分は、香料成分であり、処理した繊維製品に香りを付与するものである。
(A)成分しては、繊維製品用液体柔軟・仕上げ剤組成物において一般的に用いられているものを特に制限なく用いることができ、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、衣類用柔軟剤や衣類用の洗剤等に一般的に使用されるエッセンシャルオイル、アブソリュート、並びに、炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エーテル類、アセタール類、ケタール類及びニトリル類等の合成香水成分等が挙げられる。
好ましい香料成分の例は、特開2010-520928号公報に記載されており、例えば、Agrumex、Aldron、Ambrettolide、Ambroxan、ケイ皮酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、Boisambrene、セドロール、酢酸セドリル、Celestolide/Crysolide、Cetalox、シトロネリルエトキサレート、Fixal、Fixolide、Galaxolide、Guaiacwood Acetate、サリチル酸シス-3-ヘキセニル、ヘキシルケイ皮アルデヒド、サリチル酸ヘキシル、IsoE Super、安息香酸リナリル、ケイ皮酸リナリル、フェニル酢酸リナリル、Javanol、メチルセドリルケトン、Moskene、Musk、Musk Ketone、Musk Tibetine、MuskXylol、Myraldyl Acetate、酢酸ネロリジル、Novalide、Okoumal、カプリル酸パラクレシル、フェニル酢酸パラクレシル、Phantolid、ケイ皮酸フェニルエチル、サリチル酸フェニルエチル、Rose Crystals、Rosone、Sandela、テトラデカニトリル、Thibetolide、Traseolide、Trimofix O、2-メチルピラジン、アセトアルデヒドフェニルエチルプロピルアセタール、アセトフェノン、アルコールC6(以下において、表記法Cnは、n個の炭素原子および1つのヒドロキシル官能を有するすべての物質を含む)、アルコールC8、アルデヒドC6(以下において、表記法Cnは、n個の炭素原子および1つのアルデヒド官能を有するすべての異性体を包含する)、アルデヒドC7、アルデヒドC8、アルデヒドC9、ノネニルアルデヒド(nonenylic aldehyde)、グリコール酸アリルアミル、カプロン酸アリル、酪酸アミル、アルデヒドアニシック(anisique)、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアセトン、ベンジルアルコール、酪酸ベンジル、ギ酸ベンジル、イソ吉草酸ベンジル、ベンジルメチルエーテル、プロピオン酸ベンジル、Bergamyl Acetate、酢酸ブチル、樟脳、3-メチル-5-プロピル-2-シクロヘキセノン、ケイ皮アルデヒド、シス-3-ヘキセノール、酢酸シス-3-ヘキセニル、ギ酸シス-3-ヘキセニル、イソ酪酸シス-3-ヘキセニル、プロピオン酸シス-3-ヘキセニル、チグリン酸シス-3-ヘキセニル、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルニトリル、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、クミンアルデヒド、シクラールC、酢酸(シクロヘキシルオキシ)-2-プロペニルエステル、ダマセノン、アルファ-ダマスコン、ベータ-ダマスコン、ギ酸デカヒドロベータ-ナフチル、マロン酸ジエチル、ジヒドロジャスモン、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ジヒドロテルピネオール、アントラニル酸ジメチル、ジメチルベンジルカルビノール、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、ジメチルオクテノン、ジメトール(Dimetol)、ジミルセトール、エストラゴール、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、安息香酸エチル、ヘプタン酸エチル、エチルリナロール、サリチル酸エチル、酪酸エチル2-メチル、オイカリプトール、オイゲノール、酢酸フェンキル、フェンキルアルコール、4-フェニル-2,4,6-トリメチル1,3-ジオキサン、2-オクチン酸メチル、4-イソプロピルシクロヘキサノール、2-sec-ブチルシクロヘキサノン、酢酸スチルアリル、ゲラニルニトリル、酢酸ヘキシル、アルファ-イオノン、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、イソ-シクロシトラール、ジヒドロイソジャスモン、イソ-メントン、イソ-ペンチレート、イソ-プレゴール、シスジャスモン、左旋性カルボン、フェニルアセトアルデヒドグリセリルアセタール、カルビン(carbinic)酸3-ヘキセニルメチルエーテル、1-メチル-シクロヘキサ-1,3-ジエン、リナロール、リナロールオキシド、ペンタン酸2-エチルエチルエステル、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、メントール、メントン、メチルアセトフェノン、メチルアミルケトン、安息香酸メチル、アルファ-メチルケイ皮アルデヒド、メチルヘプテノン、メチルヘキシルケトン、メチルパラクレゾール、酢酸メチルフェニル、サリチル酸メチル、ネラール、ネロール、4-tert-ペンチル-シクロヘキサノン、パラ-クレゾール、酢酸パラ-クレシル、パラ-t-ブチルシクロヘキサノン、パラ-トルイルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、酢酸フェニルエチル、フェニルエチルアルコール、酪酸フェニルエチル、ギ酸フェニルエチル、イソ酪酸フェニルエチル、プロピオン酸フェニルエチル、酢酸フェニルプロピル、フェニルプロピルアルデヒド、テトラヒドロ-2,4-ジメチル-4-ペンチル-フラン、4-メチル-2-(2-メチル-1-プロペニル)テトラヒドロピラン、5-メチル-3-ヘプタノンオキシム、プロピオン酸スチルアリル、スチレン、4-メチルフェニルアセトアルデヒド、テルピネオール、テルピノレン、テトラヒドロ-リナロール、テトラヒドロ-ミルセノール、トランス-2-ヘキセナール、酢酸ベルジルやViridine等が挙げられる。
【0009】
(A)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(A)成分の配合量は、香料組成物の総質量に対し、1~40質量%であり、好ましくは10~38質量%であり、より好ましくは20~35質量%である。(A)成分の配合量が1質量%以上であると、香りの強度を調整しようとした場合に充分な香り付けが可能となる。(A)成分の配合量が40質量%以下であると、香料組成物の一定の使用量が確保でき、自分好みの香り強度に調整することが容易になる。
【0010】
[(B)成分]
香料組成物に配合される(B)成分は、ノニオン界面活性剤であり、香料成分((A)成分)の分散性向上の目的で配合される。
(B)成分としては、特に限定されないが、アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤が挙げられる。
アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性としては、例えば、多価アルコール、高級アルコール、高級アミン又は高級脂肪酸から誘導されるものを用いることができる。具体的には、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミドなどが挙げられる。ここで、「オキシアルキレン」は、アルキレンオキシド付加物であることを示す。
【0011】
(B)成分としては、1分子あたりアルキレンオキシドが平均2モル~100モル付加されたノニオン界面活性剤が好ましく、より好ましくはアルキレンオキシドの平均付加モル数が5~80、さらに好ましくは10~60、特に好ましくは20~50、最も好ましくは20~40である。アルキレンオキシドの平均付加モル数が100以下であれば、乳化系の柔軟剤との相溶性がより良好であり得、2以上であればプラスチックの劣化を抑制し得る。なお、詳細な作用機構は不明だがプラスチック劣化を引き起こす成分の特徴として一定水準の疎水度を有する点が挙げられる。疎水度の低い成分はプラスチックとの相溶性が低くプラスチック内部に浸透しないため劣化を起こしにくい。そのため本発明の好ましい成分として記載しているアルキレンオキシドを2以上付加したノニオン界面活性剤のように疎水度の低い成分はプラスチック劣化を抑制し得ると考えられる。
アルキレンオキシドとしては、炭素数2~4のアルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドがより好ましく、エチレンオキシドが特に好ましい。
【0012】
(B)成分の具体例としては、モノオレイン酸POE(15)グリセリル、モノイソステアリン酸POE(20)ソルビタン、モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン、テトラオレイン酸POE(4)ソルビット、テトラオレイン酸POE(6)ソルビット、テトラオレイン酸POE(30)ソルビット、テトラオレイン酸POE(40)ソルビット、テトラオレイン酸POE(60)ソルビット、テトライソステアリン酸POE(30)ソルビット、PPG-33ソルビトール、POE(40)ひまし油、POE(50)ひまし油、POE(40)硬化ひまし油、POE(60)硬化ひまし油、POE(100)硬化ひまし油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO)、ジオレイン酸ポリエチレングリコール(12)、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20)、POE(20)セチルエーテル、POE(30)セチルエーテル、POE(40)セチルエーテル、POE(20)オレイルエーテル、POE(20)イソデシルエーテル、POE(60)イソヘキサデシルエーテル、POE(20)イソトリデシルエーテル、POE(40)イソトリデシルエーテル、POE(60)イソトリデシルエーテル、POE(80)イソトリデシルエーテル、POE(45)トリデシルエーテル、POE(60)トリデシルエーテル、POE(20)ステアリルエーテル、POE(30)ステアリルエーテル、POE(10)ベヘニルエーテル、POE(20)ベヘニルエーテル、POE(30)ベヘニルエーテル、POE(25)オクチルドデシルエーテル、POE(20)POP(4)セチルエーテル、POE(7.5)ノニルフェニルエーテル、POE(15)ノニルフェニルエーテル、POE(15)ステアリルアミン、POE(15)ステアリン酸アミドなどが挙げられる。ここで、「POE」はポリオキシエチレンを示し、「POP」はポリオキシプロピレンを示し、それらの後の()内の数値は平均付加モル数を示す。また、EOはエチレンオキシドを示し、その前の数値はEOの付加モル数を示す。
【0013】
(B)成分としては、上記の中でも、多価アルコールの誘導体が、すすぎ工程での水への溶解性向上の観点で好ましく、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物、多価アルコールのアルキレンオキシド付加物がより好ましく、多価アルコール脂肪酸エステルのEO付加物(EO付加モル数10以上)、多価アルコールのアルキレンオキシド付加物(EO付加モル数10以上)がさらに好ましい。
また、(A)成分の組成によっては、プラスチック等の劣化の原因となり、香料組成物をプラスチック製容器に入れて保存したときに、容器が劣化して蓋が閉めにくくなったり、香料組成物を吸い上げるのに使用するスポイトの劣化に影響する場合があるが、(B)成分は、(A)成分に起因するプラスチック等の劣化を抑制するのに有効である。
多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物において、脂肪酸の炭素数は好ましくは8以上、より好ましくは14以上であり、また、好ましくは22以下、より好ましくは18以下である。脂肪酸の炭素鎖は、特に限定はされないが、分岐および不飽和結合を有するものが好ましく、より好ましく不飽和基を持つものである。不飽和基を有する場合、低温条件における流動性が高くハンドリング性に優れる。
多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物において、アルコールの価数は好ましくは2以上、より好ましくは4以上であり、また、好ましくは8以下、より好ましくは6以下である。
また、(B)成分としては、4価以上のアルコール脂肪酸エステルのEO付加物が好ましく、中でも脂肪酸の炭素数が14以上、かつEO付加モル数10以上であるものがより好ましい。さらに好ましくはソルビトール脂肪酸エステルのEO付加物であり、中でも脂肪酸の炭素数が14以上、かつEO付加モル数10以上であるものが特に好ましい。
【0014】
(B)成分における多価アルコールの誘導体としては、具体的には、モノオレイン酸POE(15)グリセリル、モノイソステアリン酸POE(20)ソルビタン、モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン、テトラオレイン酸POE(4)ソルビット、テトラオレイン酸POE(6)ソルビット、テトラオレイン酸POE(30)ソルビット、テトラオレイン酸POE(40)ソルビット、テトラオレイン酸POE(60)ソルビット、テトライソステアリン酸POE(30)ソルビット、PPG-33ソルビトール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO)、ジオレイン酸ポリエチレングリコール(12)、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20)が挙げられ、モノオレイン酸POE(15)グリセリル、モノイソステアリン酸POE(20)ソルビタン、モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン、テトラオレイン酸POE(4)ソルビット、テトラオレイン酸POE(6)ソルビット、テトラオレイン酸POE(30)ソルビット、テトラオレイン酸POE(40)ソルビット、テトラオレイン酸POE(60)ソルビットがより好ましく、テトラオレイン酸POE(4)ソルビット、テトラオレイン酸POE(6)ソルビット、テトラオレイン酸POE(30)ソルビット、テトラオレイン酸POE(40)ソルビット、テトラオレイン酸POE(60)ソルビットがさらに好ましく、テトラオレイン酸POE(4)ソルビット、テトラオレイン酸POE(30)ソルビット、テトラオレイン酸POE(40)ソルビット、テトラオレイン酸POE(60)が特に好ましく、テトラオレイン酸POE(4)ソルビット、テトラオレイン酸POE(30)ソルビットが最も好ましい。
【0015】
(B)成分のHLB値は、好ましくは6~15、より好ましくは7~13、更に好ましくは8~12である。HLB値が低すぎると、香料組成物中での安定性確保が難しく、高すぎると繊維処理剤組成物との混合性が悪化する。
(B)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(B)成分の配合量は、香料組成物の総質量に対し、1~80質量%であり、好ましくは10~70質量%であり、より好ましくは30~50質量%である。(B)成分の配合量が1質量%以上であると、衣類への香りのむら付きを抑制でき、(B)成分の配合量が80質量%以下であると、粘度の上昇を抑制でき使用性が良好である。
【0016】
[希釈剤]
香料組成物は、(A)成分及び(B)成分に加え、更に希釈剤を含有してもよい。希釈剤を含有することで香料組成物の一定の使用量が確保でき、自分好みの香り強度に調整することが容易になる。
希釈剤としては、特に限定されないが、パルミチン酸やステアリン酸等の脂肪酸、ステアリルアルコール等の炭素数10以上の脂肪族アルコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルやトリグリセリド等の多価アルコールと脂肪酸のエステル化物(アルコール脂肪酸エステル)等が挙げられ、好ましくはアルコール脂肪酸エステルである。アルコール脂肪酸エステルとしては、具体的には、ミリスチン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等が挙げられる。
【0017】
II.繊維処理剤組成物
[(C)成分]
繊維処理剤組成物に配合される(C)成分は、カチオン界面活性剤であり、繊維への柔軟性(風合い)付与及び/又は組成物の構造粘性付与の目的で配合される。(C)成分の存在により、繊維処理剤組成物は、例えば柔軟剤組成物である。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アミン化合物又は4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0018】
具体的には、(C)成分としては、「エステル基(-COO-)及び/又はアミド基(-NHCO-)で分断されていてもよい、炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物」である、カチオン界面活性剤が挙げられる。
炭素数10~26の炭化水素基(以下、本明細書において「長鎖炭化水素基」ということがある)の炭素数は10~26であり、17~26が好ましく、19~24がより好ましい。炭素数が10以上であると柔軟性付与効果が良好であり、26以下であると液体柔軟剤組成物のハンドリング性が良好である。
長鎖炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。長鎖炭化水素基が不飽和である場合、二重結合の位置はいずれの箇所にあっても構わないが、二重結合が1個の場合には、その二重結合の位置は長鎖炭化水素基の中央であるか、中央周辺に存在していることが好ましい。
長鎖炭化水素基は、鎖状の炭化水素基であっても、構造中に環を含む炭化水素基であってもよく、好ましくは鎖状の炭化水素基である。鎖状の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。鎖状の炭化水素基としては、アルキル基またはアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0019】
長鎖炭化水素基は、エステル基(-COO-)及び/又はアミド基(-NHCO-)で分断されていてもよい。すなわち、長鎖炭化水素基は、その炭素鎖中に、エステル基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも1種の分断基を有し、該分断基によって炭素鎖が分断されたものであってもよい。該分断基を有すると、生分解性が向上する等の点から好ましい。
該分断基を有する場合、1つの長鎖炭化水素基が有する分断基の数は1つであっても2つ以上であってもよい。すなわち、長鎖炭化水素基は、分断基によって1ヶ所が分断されていてもよく、2ヶ所以上が分断されていてもよい。分断基を2つ以上有する場合、各分断基は、同じであっても異なっていてもよい。
なお、長鎖炭化水素基がその炭素鎖中に分断基を有する場合、分断基が有する炭素原子は、長鎖炭化水素基の炭素数にカウントするものとする。
長鎖炭化水素基は、通常、工業的に使用される牛脂由来の未水添脂肪酸、不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸、パーム椰子、油椰子などの植物由来の未水添脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいは不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸又は脂肪酸エステル等を使用することにより導入される。
アミン化合物としては、2級アミン化合物(長鎖炭化水素基の数が2個)又は3級アミン化合物(長鎖炭化水素基の数が3個)が好ましく、3級アミン化合物がより好ましい。
【0020】
アミン化合物としては、下記一般式(A1)で表される化合物が挙げられる。
【化1】
[式中、R
1~R
3はそれぞれ独立に、炭素数10~26の炭化水素基、-CH
2CH(Y)OCOR
4(Yは水素原子又はCH
3であり、R
4は炭素数7~21の炭化水素基である。)、-(CH
2)
nNHCOR
5(nは2又は3であり、R
5は炭素数7~21の炭化水素基である。)、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-CH
2CH(Y)OH(Yは水素原子又はCH
3である)、又は、-(CH
2)
nNH
2(nは2又は3である)であり、
R
1~R
3のうちの少なくとも1つは、炭素数10~26の炭化水素基、-CH
2CH(Y)OCOR
4、又は-(CH
2)
nNHCOR
5である。]
【0021】
一般式(A1)中、R1~R3における炭素数10~26の炭化水素基の炭素数は、17~26が好ましく、19~24がより好ましい。該炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。該炭化水素基としては、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。
-CH2CH(Y)OCOR4中、Yは水素原子又はCH3であり、水素原子が特に好ましい。R4は炭素数7~21の炭化水素基、好ましくは炭素数15~19の炭化水素基である。一般式(A1)で表される化合物中にR4が複数存在するとき、該複数のR4は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
【0022】
R4の炭化水素基は、炭素数8~22の脂肪酸(R4COOH)からカルボキシ基を除いた残基(脂肪酸残基)であり、R4のもととなる脂肪酸(R4COOH)は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また、直鎖脂肪酸でも分岐脂肪酸でもよい。なかでも、飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。柔軟処理した衣類に良好な吸水性を付与するために、R4のもととなる脂肪酸の飽和/不飽和比率(質量比)は、90/10~0/100が好ましく、80/20~0/100がより好ましい。
R4が不飽和脂肪酸残基である場合、シス体とトランス体が存在するが、シス体/トランス体の質量比率は、40/60~100/0が好ましく、70/30~90/10が特に好ましい。
【0023】
R4のもととなる脂肪酸として具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10~60)や、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10~60)などが挙げられる。中でも、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸、およびリノール酸から選ばれる2種以上を所定量ずつ組み合わせて、以下の条件(a)~(c)を満たすように調整した脂肪酸組成物を用いることが好ましい。
(a)飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の比率(質量比)が90/10~0/100、より好ましくは80/20~0/100である。
(b)シス体/トランス体の比率(質量比)が40/60~100/0、より好ましくは70/30~90/10である。
(c)炭素数18の脂肪酸が60質量%以上、好ましくは80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸が2質量%未満であり、炭素数21~22の脂肪酸が1質量%未満である。
【0024】
一般式(A1)における、基「-(CH2)nNHCOR5」中、nは2又は3であり、3が特に好ましい。
R5は炭素数7~21の炭化水素基、好ましくは炭素数15~19の炭化水素基である。一般式(A1)で表される化合物中にR5が複数存在するとき、該複数のR5は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
R5としては、R4と同様のものが具体的に挙げられる。
【0025】
一般式(A1)において、R1~R3のうち、少なくとも1つは長鎖炭化水素基(炭素数10~26の炭化水素基)、-CH2CH(Y)OCOR4、又は-(CH2)nNHCOR5)であり、2つが長鎖炭化水素基であることが好ましい。
R1~R3のうち、1つ又は2つが長鎖炭化水素基である場合、残りの2つ又は1つは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH、又は-(CH2)nNH2であり、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH、又は-(CH2)nNH2であることが好ましい。ここで、炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。-CH2CH(Y)OHにおけるYは、-CH2CH(Y)OCOR4中のYと同様である。-(CH2)nNH2におけるnは、-(CH2)nNHCOR5中のnと同様である。
【0026】
一般式(A1)で表される化合物の好ましい例として、下記一般式(A1-1)~(A1-8)で表される化合物が挙げられる。
【化2】
〔(A1-1)式中、R
7及びR
8はそれぞれ独立に、炭素数10~26の炭化水素基である。(A1-2)~(A1-8)の各式中、R
9及びR
10はそれぞれ独立に、炭素数7~21の炭化水素基である。〕
【0027】
R7及びR8における炭化水素基としては、前記一般式(A1)のR1~R3における炭素数10~26の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
R9及びR10における炭素数7~21の炭化水素基としては、前記一般式(A1)のR4における炭素数7~21の炭化水素基と同様のものが挙げられる。なお、式中にR9が複数存在するとき、該複数のR9は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
【0028】
(C)成分は、アミン化合物の塩であってもよい。
アミン化合物の塩は、該アミン化合物を酸で中和することにより得られる。アミン化合物の中和に用いる酸としては、有機酸でも無機酸でもよく、例えば塩酸、硫酸や、メチル硫酸等が挙げられる。アミン化合物の中和は、公知の方法により実施できる。
【0029】
(C)成分は、アミン化合物の4級化物であってもよい。
アミン化合物の4級化物は、該アミン化合物に4級化剤を反応させて得られる。アミン化合物の4級化に用いる4級化剤としては、例えば、塩化メチル等のハロゲン化アルキルや、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸などが挙げられる。これらの4級化剤をアミン化合物と反応させると、アミン化合物の窒素原子に4級化剤のアルキル基が導入され、4級アンモニウムイオンとハロゲンイオン又はモノアルキル硫酸イオンとの塩が形成される。4級化剤により導入されるアルキル基は、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。アミン化合物の4級化は、公知の方法により実施できる。
【0030】
(C)成分としては、
一般式(A1)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、
一般式(A1-1)~(A1-8)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、
一般式(A1-4)~(A1-6)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
特に、一般式(A1-4)で表される化合物の4級化物と、(A1-5)で表される化合物の4級化物と、(A1-6)で表される化合物の4級化物とを併用することが好ましい。
一般式(A1)及び(A1-1)~(A1-8)で表される化合物、その塩及びその4級化物は、市販のものを用いてもよく、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
【0031】
例えば、一般式(A1-2)で表される化合物(以下「化合物(A1-2)」という)と、一般式(A1-3)で表される化合物(以下「化合物(A1-3)」という)とを含む組成物は、一般式(A1)のR4の欄で説明した脂肪酸組成物、または該脂肪酸組成物における脂肪酸を該脂肪酸のメチルエステルに置き換えた脂肪酸メチルエステル組成物と、メチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、柔軟性付与を良好にする観点から、「化合物(A1-2)/化合物(A1-3)」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。その際、柔軟性付与の観点から「化合物(A1-2)の4級化物/化合物(A1-3)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
【0032】
一般式(A1-4)で表される化合物(以下「化合物(A1-4)」という)と、一般式(A1-5)で表される化合物(以下「化合物(A1-5)」という)と、一般式(A1-6)で表される化合物(以下「化合物(A1-6)」という)とを含む組成物は、一般式(A1)のR4の欄で説明した脂肪酸組成物または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、化合物(A1-4)、(A1-5)及び(A1-6)の合計質量に対する個々の成分の含有比率は、柔軟性付与の観点から、化合物(A1-4)が1~60質量%、化合物(A1-5)が5~98質量%、化合物(A1-6)が0.1~40質量%であることが好ましく、化合物(A1-4)が30~60質量%、化合物(A1-5)が10~55質量%、化合物(A1-6)が5~35質量%であることがより好ましい。
また、その4級化物を用いる場合には、4級化反応を十分に進行させる点で、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。化合物(A1-4)、(A1-5)及び(A1-6)の各4級化物の存在比率は、柔軟性付与の観点から質量比で、化合物(A1-4)の4級化物が1~60質量%、化合物(A1-5)の4級化物が5~98質量%、化合物(A1-6)の4級化物が0.1~40質量%であることが好ましく、化合物(A1-4)の4級化物が30~60質量%、化合物(A1-5)の4級化物が10~55質量%、化合物(A1-6)の4級化物が5~35質量%であることがより好ましい。
なお、化合物(A1-4)、(A1-5)及び(A1-6)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、「4級化物/4級化されていないエステルアミン」の比率は70/30~99/1の質量比率の範囲内であることが好ましい。
【0033】
一般式(A1-7)で表される化合物(以下「化合物(A1-7)」という)及び一般式(A1-8)で表される化合物(以下「化合物(A1-8)」という)は、一般式(A1)のR4の欄で説明した脂肪酸組成物と、N-メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、J.Org.Chem.,26,3409(1960)に記載の公知の方法で合成したN-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチル-1,3-プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、「化合物(A1-7)/化合物(A1-8)」で表される存在比率が質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
またその4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルを用いることが好ましく、「化合物(A1-7)の4級化物/化合物(A1-8)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
【0034】
(C)成分は、1種類のアミン化合物、その塩又はその4級化物を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物、例えば、一般式(A1-4)~(A1-6)で表される化合物の混合物として用いてもよい。
(C)成分の配合量は、繊維処理剤組成物の総質量に対し、1~30質量%であり、好ましくは5~20質量%であり、より好ましくは6~15質量%である。(C)成分の配合量が1質量%以上であると、充分な柔軟性が付与でき、30質量%以下であると、凍結復元後の増粘を抑制でき、保存安定性が良好である。
【0035】
[(D)成分]
繊維処理剤組成物に配合される(D)成分は、下記(D-1)~(D-3)から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、被膜形成の抑制の目的で配合される。
<(D-1)成分>
(D-1)成分は、炭素数8以上18以下の高級アルコールであり、ハンドリング性の観点から、炭素数8以上18以下の脂肪族アルコールであることが好ましい。
好ましいアルコールとしては、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、及びステアリルアルコールから選ばれる1種以上であり、これらの中でも、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールが特に好ましい。
(D-1)成分は、これらの1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0036】
<(D-2)成分>
(D-2)成分は、シリコーン化合物である。
シリコーン化合物としては、特に限定されないが、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン等が挙げられる。(D-2)成分はこれらの1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
このシリコーン化合物の分子構造は、直鎖状であっても分岐や架橋していてもよい。また、変性シリコーン化合物は1種類の有機官能基により変性されていても構わないし、2種以上の有機官能基により変性されていてもよい。
このなかでも特に好ましいシリコーン化合物として、被膜形成抑制及び柔軟性付与の観点で、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンがより好ましい。
ジメチルシリコーンを用いる場合、その動粘度(25℃)に特に制限はなく、1~100,000,000mm2/sが好ましく、10~10,000,000mm2/sがより好ましく、100~1,000,000mm2/sが更に好ましい。また、ジメチルシリコーンはオイルであってもよく、エマルジョンであってもよい。
ジメチルシリコーンとしては商業的に入手できるものを使用することができる。ジメチルシリコーンとしては、例えば、旭化成ワッカーシリコーン株式会社から、BELSIL DM10、東レ・ダウコーニング株式会社から、BY 22-050 Aで販売されているものが挙げられる。
【0037】
好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、アルキル(炭素数1~3)シロキサンとポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2~5が好ましい)の共重合体が挙げられる。このうち、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンの共重合体が好ましい。なお、ポリオキシアルキレンとは、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのランダム又はブロック重合体を示す。このようなものとして、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
一般式(I):
【化3】
(式中、M、N、a及びbは、それぞれ独立して平均重合度であり、Rは水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Mは10~10000、Nは1~1000、かつM>Nであることが好ましく、Mは10~1000、Nは1~50、かつM>Nであることが更に好ましい。Mが大きいほど柔軟性は良好となるが、シリコーン化合物の粘度が高くなるため柔軟剤組成物製造時の作業性が悪くなる場合がある。aは2~100、bは0~50が好ましい。Rとしては水素又は炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
前記一般式(I)で表されるポリエーテル変性シリコーンは、一般に、Si-H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えば、ポリオキシアルキレンアリルエーテル等の炭素-炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを、白金触媒下、付加反応させることにより製造することができる。したがって、前記ポリエーテル変性シリコーン中には未反応のポリオキシアルキレンアルキルエーテルやSi-H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンがわずかに含まれる場合がある。Si-H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは反応性が高いため、前記ポリエーテル変性シリコーン中での存在量としては、30ppm以下(Si-Hの量として)であることが好ましい。
【0038】
一般式(II):
【化4】
前記一般式(II)中、
A、B、h、及びiは、それぞれ独立して平均重合度であり、
Rは、アルキル基を表し、
R’は、水素又はアルキル基を表す。
ここで、Aは、5~10,000であり、Bは、2~10,000である。hは、2~100であり、iは、0~50である。Rは、炭素数1~5のアルキル基であることが好ましい。R’は、水素又は炭素数1~4のアルキル基であることが好ましい。
前記一般式(II)で表される線状ポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体は、反応性末端基を有するポリオキシアルキレン化合物と、該化合物の反応性末端基と反応する末端基を有するジヒドロカルビルシロキサンとを反応させることにより製造することができる。このようなポリエーテル変性シリコーンは、側鎖のポリオキシアルキレン鎖が長く、ポリシロキサン鎖の重合度が大きいものほど粘度が高くなるので、製造時の作業性改善及び組成物への配合を容易にするために、水溶性有機溶剤とのプレミックスの形で配合に供することが好ましい。該有機溶剤としては、例えば、エタノール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール等が挙げられる。
前記ポリエーテル変性シリコーンとしては、より具体的には、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製の、SH3771M、SH3772M、SH3775M、FZ-2166、FZ-2120、L-720、SH8700、L-7002、L-7001、SF8410、FZ-2164、FZ-2203、FZ-2208、信越化学工業(株)製の、KF352A、KF615A、X-22-6191、X-22-4515、KF-6012、KF-6004等、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のTSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4450、TSF4446、TSF4452、TSF4460等が挙げられる。
【0039】
アミノ変性シリコーンは、ジメチルシリコーン骨格の末端あるいは側鎖にアミノ基を導入したシリコーンオイルであり、アミノ基以外に水酸基、アルキル基、フェニル基等の置換基が導入されていてもよい。また、アミノ変性シリコーンは、オイルの形態でも良く、ノニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤を乳化剤として乳化させたアミノ変性シリコーンエマルジョンの形態でも良い。
好ましいアミノ変性シリコーンのオイルまたは、エマルジョンの場合の基油オイルは、次の一般式(III)で表される。
【化5】
式(III)中、R
1、R
6は互いに同一でも、異なっていてもよく、メチル基、水酸基、水素のいずれかを表す。R
2は、-(CH
2)
n-A
1、及び-(CH
2)
n-NHCO-(CH
2)
m-A
1のいずれかを表す。A
1は、-N(R
3)(R
4)、及び-N
+(R
3)(R
4)(R
5)・X
-のいずれかを表す。R
3~R
5は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、フェニル基、及び-(CH
2)
n-NH
2のいずれかを表す。X
-は、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸メチルイオン、及び硫酸エチルイオンのうちのいずれかを表す。m及びnの値は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、0~12の整数を表す。p及びqの値は、ポリシロキサンの重合度を表し、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、pは0~20000、好ましくは10~10000、qは1~500、好ましくは1~100を表す。
アミノ変性シリコーンのオイルを用いる場合、25℃における動粘度が50~20000mm
2/sであることが好ましく、100~10000mm
2/sであることがより好ましい。動粘度がこの範囲にあると、高い配合効果が発現されるとともに、製造性が良好であり、組成物の取り扱いも容易になるため好ましい。
アミノ変性シリコーンとしては商業的に入手できるものを使用することができ、例えば、アミノ変性シリコーンオイルとしては、東レ・ダウコーニング株式会社から、SF―8417、BY16-892、BY16-890で販売されているもの、信越化学工業株式会社から、KF-864、KF-860、KF-8004、KF-8002、KF-8005、KF-867、KF-861、KF-880、KF-867Sなどが挙げられる。 アミノ変性シリコーンエマルジョンタイプのものとしては、東レ・ダウコーニング株式会社から、SM8904、BY22-079、FZ-4671、FZ-4672で販売されているもの、信越化学工業株式会社から、Polonシリーズで販売されているPolonMF-14、PolonMF-29、PolonMF-14D、PolonMF-44、PolonMF-14EC、PolonMF-52が挙げられる。
【0040】
<(D-3)成分>
(D-3)成分は、炭素数2~8の多価アルコールである。
具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等が挙げられ、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンが好ましく、エチレングリコールがより好ましい。
(D-3)成分は、これらの1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0041】
(D)成分の配合量は、繊維処理剤組成物の総質量に対し、1~10質量%であり、好ましくは2~7質量%であり、より好ましくは2~6質量%である。(D)成分の配合量が1質量%以上であると、繊維処理剤組成物に香料組成物を投入して一晩放置後の被膜形成を抑制することができる。(D-1)成分の配合量が10質量%以下であると、増粘を防ぎ使用性が良好である。(D-2)成分又は(D-3)成分の配合量が10質量%以下であると、繊維処理剤組成物を長期保存した際の安定性が良好である。
繊維処理剤組成物に香料組成物を添加した際の推定被膜形成メカニズムは、繊維処理剤組成物と香料組成物の境界で水分が局所的に蒸発するため被膜が形成されると考えられる。これに対し、(D)成分を添加することで保水力が向上し、水の蒸発を防ぎ被膜形成を抑制していると推察される。
【0042】
<(E)成分>
繊維処理剤組成物は、(E)成分としてノニオン界面活性剤を含み得る。(E)成分は、繊維処理剤組成物の保存安定性の向上のために配合され得る。
ノニオン界面活性剤としては、繊維処理剤組成物に一般的に使用されているものを特に制限なく使用することができる。例えば、アルコール又は脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物等を用いることができる。
アルコール又は脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物において、アルコール及び脂肪酸の各炭素鎖部分は、分岐していてもよく直鎖であってもよく、又、不飽和があってもよい。また、炭素鎖に分布があってもよい。炭素鎖の炭素数は、好ましくは6~20、より好ましくは8~18である。炭素鎖が直鎖である場合には、その炭素数は好ましくは6~14、より好ましくは8~12、最も好ましくは10~12である。炭素鎖が分岐鎖である場合には、その炭素数は好ましくは6~18、より好ましくは9~18、最も好ましくは13である。
ノニオン界面活性剤の原料としては、エクソンモービル社製エクサール、BASF社製LUTENSOL(ルテンゾール)シリーズ、協和発酵工業製オキソコールや、Shell社製DOBANOLシリーズなどを使用することができる。ノニオン界面活性剤がアルコールのアルキレンオキシド付加物である場合には、1級アルコール及び2級アルコールのいずれも使用することができる。炭素数13のアルコールは、例えばドデセンを原料として製造されるが、その出発原料としてはブチレンでもプロピレンでもよい。
炭素鎖が不飽和基を含む場合、その炭素数は18であるものが特に好ましい。不飽和基の立体異性体構造は、シス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよいが、特にシス体/トランス体の比率が25/75~100/0(質量比)であることが好ましい。
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)が好ましいが、EOとともにプロピレンオキサイド(PO)またはブチレンオキサイド(BO)を付加したものであってもよい。EOの平均付加モル数としては10~100モルが好適であり、より好ましくは20~80モル、特に好ましくは40~70モルである。また、EOとともに付加するPO又はBOの平均付加モル数としては1~5が好適であり、より好ましくは1~3モルである。この際、EOを付加した後、PO又はBOを付加しても、あるいはPO又はBOを付加した後、EOを付加してもよい。
ノニオン界面活性剤の具体例としては、ノニルアルコールの平均EO9PO1付加物、一級イソノニルアルコールの平均EO40モル付加物、一級イソデシルアルコールの平均EO20モル付加物、ラウリルアルコールの平均EO20モル付加物、ラウリルアルコールの平均EO30モル付加物、一級イソへキサデシルアルコールの平均EO60モル付加物、一級イソトリデシルアルコールの平均EO60モル付加物、トリデシルアルコールの平均EO50モル付加物や、ラウリン酸の平均EO20モル付加物などが挙げられる。市販品としては、日本エマルジョン製エマレックスシリーズ、三洋化成製エマルミンシリーズ、ライオン化学製TDAシリーズ、日本触媒製ソフタノールシリーズや、BASF社製LUTESOLシリーズなどを使用することができる。
【0043】
[任意成分]
繊維処理剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前記(C)及び(D)成分に加え、前記(E)成分以外の下記の任意成分を配合してもよい。
【0044】
(糖系化合物)
糖系化合物は、柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物の安定性の更なる向上、特に凍結復元性の更なる向上のために配合され得る。
糖系化合物としては、糖骨格の繰り返し単位の数(重合度)が1~40のものが好ましく、1~20が更に好ましく、1~5(すなわち、単糖及び重合度1超5以下のオリゴ糖)が特に好ましい。好ましい糖系化合物としては、単糖、二糖、オリゴ糖や糖アルコールが挙げられる。
糖の具体例としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、タロース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、及び、天然多糖の部分加水分解から得られるオリゴ糖、並びに、これらの糖に置換基を導入した化合物(糖誘導体)が挙げられる。導入可能な置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アミン基、4級アンモニウム基や、カルボキシル基等が挙げられ、これらの中でも、特にアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基が挙げられる。置換基としては、炭素数1~18のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基が好ましく、炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基がより好ましく、炭素数1~6のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1~3のアルキル基が最も好ましい。
糖としては、重合度が1~5の単糖及びオリゴ糖、並びに、重合度が1~5の単糖及びオリゴ糖において少なくとも一つの水酸基の水素原子がアルキル基で置換された化合物から選ばれる1種以上が好ましい。上記に挙げた中でも、凍結復元性の観点からは、トレハロースが好ましい。
糖アルコールとしては、エリトリトール、トレイトール、ペンチトール、ヘキシトール、ダルシトール、ソルビトール、マンニトール、ボレミトール、ペルセイユトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール等が挙げられる。
糖系化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。
糖系化合物の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、0.01~10質量%、好ましくは0.05~7質量%、より好ましくは0.1~5質量%である。
【0045】
(染料及び/又は顔料)
染料及び顔料は、それぞれ柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物の外観を向上するために配合され得る。
染料及び顔料共に、柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)などに記載されている。また、特開平6-123081号公報、特開平6-123082号公報、特開平7-18573号公報、特開平8-27669号公報、特開平9-250085号公報、特開平10-77576号公報、特開平11-43865号公報、特開2001-181972号公報や特開2001-348784号公報などに記載されている染料も用いることができる。
好ましくは、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる、赤色、青色、黄色もしくは紫色系の水溶性染料の1種以上である。
液体柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物の保存安定性や繊維に対する染着性の観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基及びアミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料、直接染料又は反応性染料が好ましい。
染料及び顔料のそれぞれについて、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物として用いてもよい。また、染料と顔料とを併用してもよい。
染料及び顔料の各含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは1~50ppm、より好ましくは1~30ppmである。
【0046】
(防腐剤)
防腐剤は、主に、柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物の防腐力や殺菌力を強化し、長期保存中の防腐性を保つために配合され得る。
防腐剤としては、柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。具体例としては、例えば、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-ブチル-3-イソチアゾロン、2-ベンジル-3-イソチアゾロン、2-フェニル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4,5-ジクロロイソチアゾロン、5-クロロ-2-メチル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンや、これらの混合物などが挙げられる。なかでも、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンが好ましく、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンとの混合物がより好ましく、前者が約77質量%と後者が約23質量%との混合物やその希釈液(例えば、イソチアゾロン液)が特に好ましく、具体的には、ダウケミカル社製のケーソンCG-ICPなどが挙げられる。
ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3-オン、類縁化合物としてジチオ-2,2-ビス(ベンズメチルアミド)や、これらの混合物などが挙げられる。中でも、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが特に好ましく、具体的には、クラリアント(株)製のニッパサイド、(株)ロンザ製のプロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL、プロキセルLV、プロキセルCRL、プロキセルNBZ、プロキセルAMや、プロキセルB20などが挙げられる。
安息香酸類としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルや、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
防腐剤の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.0001~1質量%である。0.0001質量%以上であると、防腐剤の配合効果が十分に得られ、1質量%以下であると、繊維処理剤組成物の高い保存安定性を十分に維持することができる。
【0047】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物を紫外線から保護するために配合され得る。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収し、赤外線や可視光線等に変換して放出することで、紫外線防御効果を発揮する成分である。
紫外線吸収剤としては、柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。具体例としては、例えば、p-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸エチル、p-アミノ安息香酸グリセリルや、p-ジメチルアミノ安息香酸アミル等のアミノ安息香酸誘導体;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸オクチルや、サリチル酸ミリスチル等のサリチル酸誘導体;ジイソプロピルケイ皮酸メチル、p-メトキシケイ皮酸エチル、p-メトキシケイ皮酸イソプロピル、p-メトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシルや、p-メトキシケイ皮酸ブチル等のケイ皮酸誘導体;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸や、2、2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;ウロカニン酸や、ウロカニン酸エチル等のアゾール系化合物;4-t-ブチル-4'-メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.001~5質量%である。
【0048】
(抗菌剤)
抗菌剤は、柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物の保存性を高めるために配合され得る。
抗菌剤としては、柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物分野において公知の成分を特に制限なく用いることができる。具体例としては、例えば、ダイクロサン、トリクロサン、塩化ベンザルコニウム、ビス-(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、8-オキシキノリン、ビグアニド系化合物(例えば、ポリヘキサメチレンビグアニド)、塩酸クロロヘキシジンや、ポリリジン等が挙げられる。これらの中でも、塩化ベンザルコニウム、ビグアニド系化合物や、塩酸クロロヘキシジンが好ましい。
抗菌剤の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.001~5質量%である。
前記の任意成分以外にも、繊維処理剤組成物の香気や色調の安定性を向上させるための酸化防止剤や還元剤、乳濁剤(ポリスチレンエマルジョンなど)、不透明剤、縮み防止剤、洗濯じわ防止剤、形状保持剤、ドレープ性保持剤、アイロン性向上剤、酸素漂白防止剤、増白剤、白化剤、布地柔軟化クレイ、帯電防止剤、移染防止剤(ポリビニルピロリドンなど)、高分子分散剤、汚れ剥離剤、スカム分散剤、蛍光増白剤(4,4-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム(チバスペシャルティケミカルズ製チノパールCBS-X)など)、染料固定剤、退色防止剤(1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジンなど)、染み抜き剤、繊維表面改質剤(セルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼや、ケラチナーゼなどの酵素)、抑泡剤、水分吸放出性など絹の風合い・機能を付与する成分(シルクプロテインパウダー、それらの表面改質物、乳化分散液、具体的にはK-50、K-30、K-10、A-705、S-702、L-710、FPシリーズ(出光石油化学)、加水分解シルク液(上毛)、シルクゲンGソルブルS(一丸ファルコス))や、汚染防止剤(アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレンイソフタレート単位とポリオキシアルキレン単位とからなる非イオン性高分子化合物、例えば、互応化学工業製FR627、クラリアントジャパン製SRC-1など)などを適宜配合することができる。
【0049】
(水)
柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物は、好ましくは、水を含む液体状の水性組成物である。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができる。なかでもイオン交換水が好適である。
【0050】
(香料組成物)
柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で(前記I.香料組成物の香りを邪魔しない範囲で)、香料組成物を含んでもよい。柔軟成分自体の臭いをマスキングする意味では、柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物にも香料組成物を含める方が好ましい。
香料の種類に特に制限はなく、柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物に一般的に使用される香料成分を、目的に応じて適宜選択することができる。香料は、1種類の香料成分であってもよく、複数種類の香料成分の混合物であってもよい。また、香料は、香料成分単独であってもよく、香料成分と他の成分(例えば、溶剤)とを含む香料組成物であってもよい。
香料成分の具体例としては、例えば、アルデヒド類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ハイドロカーボン類、ケトン類、ラクトン類、ムスク類、テルペン骨格を有する香料、天然香料、動物性香料などが挙げられる。
各香料の具体例は以下の通りである。
アルデヒド類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウンデシレンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、アルデヒドC-12MNA、ミラックアルデヒド、α-アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、エチルバニリン、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、リグストラール、リリアール、リラール、トリプラール、バニリンや、ヘリオナールなどが挙げられる。
フェノール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オイゲノールや、イソオイゲノールなどが挙げられる。
アルコール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シトロネロール、ジハイドロミルセノール、ジハイドロリナロール、ゲラニオール、リナロール、ネロール、サンダロール、サンタレックス、ターピネオール、テトラハイドロリナロール、メントール、ボルネオール、1-デカナール、バクダノールや、フェニルエチルアルコールなどが挙げられる。
エーテル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セドランバー、グリサルバ、メチルオイゲノールや、メチルイソオイゲノールなどが挙げられる。
エステル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シス-3-ヘキセニルアセテート、シス-3-ヘキセニルプロピオネート、シス-3-ヘキセニルサリシレート、p-クレジルアセテート、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、アミルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、アミルサリシレート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ベンジルアセテート、セドリルアセテート、シトロネリルアセテート、デカハイドロ-β-ナフチルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、エリカプロピオネート、エチルアセトアセテート、エリカアセテート、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ヘディオン、リナリルアセテート、β-フェニルエチルアセテート、ヘキシルサリシレート、スチラリルアセテート、ターピニルアセテート、ベチベリルアセテート、o-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、マンザネートや、アリルヘプタノエートなどが挙げられる。
ハイドロカーボン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リモネン(特に、d-リモネン)、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、カンフェンや、テルピノーレン等が挙げられる。
ケトン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α-ヨノン、β-ヨノン、メチル-β-ナフチルケトン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、ダマセノン、シス-ジャスモン、メチルヨノン、アリルヨノン、カシュメラン、ジハイドロジャスモン、イソイースーパー、ベルトフィックス、イソロンジフォラノン、コアボン、カルボン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、ダイナスコンやマルトールなどが挙げられる。
ラクトン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、γ-ノナラクトン、γ-ドデカラクトン、クマリンや、アンブロキサンなどが挙げられる。
ムスク類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シクロペンタデカノライド、エチレンブラシレート、ガラクソライド、ムスクケトン、トナリッド、トナライドや、ニトロムスク類などが挙げられる。
テルペン骨格を有する香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲラニオール(ゼラニオール)、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、ミント、シトロネラール、ミルセン、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、テレピネロール、カルボン、ヨノン(例えばβ-ヨノン)、カンフェンや、ボルネオールなどが挙げられる。
天然香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オレンジ油、レモン油、ライム油、プチグレン油、ユズ油、ネロリ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ラバンジン油、アビエス油、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、イランイラン油、シトロネラ油、ゼラニウム油、ペパーミント油、ハッカ油、スペアミント油、ユーカリ油、レモングラス油、パチュリ油、ジャスミン油、ローズ油、シダー油、ベチバー油、ガルバナム油、オークモス油、パイン油、樟脳油、白檀油、芳樟油、テレピン油、クローブ油、クローブリーフ油、カシア油、ナツメッグ油、カナンガ油や、タイム油などの精油が挙げられる。
動物性香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、じゃ香、霊猫香、海狸香や、竜涎香などが挙げられる。
【0051】
香料としては、アルデヒド類、ケトン類及びハイドロカーボン類の香料成分を含有する香料組成物が好ましい。この好ましい香料組成物の具体例としては、下記の香料成分を含むものが挙げられる。
アルデヒド類:
ウンデシレンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、アルデヒドC-12MNA、ミラックアルデヒド、α-アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、リグストラール、リリアール、リラール、トリプラール、バニリン、エチルバニリン、ヘリオナール
ケトン類:
α-ヨノン、β-ヨノン、メチル-β-ナフチルケトン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、シス-ジャスモン、メチルヨノン(メチルイオノン)、アリルヨノン(アリルイオノン)、カシュメラン、ジハイドロジャスモン、イソイースーパー、ベルトフィックス、イソロンジフォラノン、コアボン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、ダイナスコン、マルトール
ハイドロカーボン類:
リモネン、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、テルピノーレン
より好ましい香料組成物の具体例としては、α-アミルシンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、オクタナール、バニリン、エチルバニリン、ヘリオナール、β-ヨノン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、ラズベリーケトン、マルトール、リモネン、α-ピネン、β-ピネン及びミルセンを含むものが挙げられる。
更に好ましい香料組成物の具体例としては、α-アミルシンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、オクタナール、バニリン、ヘリオナール及びマルトールを含むものが挙げられる。
香料組成物が、香料成分としてアルデヒド類と、ケトン類と、ハイドロカーボン類とを含む場合、凍結復元性の観点で、これらの香料成分の総質量は、香料組成物の総質量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、特に好ましくは50質量%以上である。
【0052】
香料組成物には、繊維処理剤組成物(例えば、繊維製品用仕上げ剤組成物又は柔軟剤組成物)に一般的に使用される溶剤を配合してもよい。香料用溶剤としては、エタノール、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート)、スクロースジアセテートヘキサイソブチレート、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル(BB)、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコール(DPG)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト-5(1,2-ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA-2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA-4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)や、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。
溶剤の含量は、香料組成物の総質量に対して、例えば0.1~30質量%、好ましくは1~20質量%である。
香料組成物には、繊維処理剤組成物(例えば、繊維製品用仕上げ剤組成物又は柔軟剤組成物)に一般的に使用される酸化防止剤を配合してもよい。香料用酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ジブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)、t-ブチル-p-ヒドロキシアニソール(BHA)、p-メトキシフェノール、β-ナフトール、フェニル-α-ナフチルアミン、テトラメチルジアミノジフェニルメタン、γ-オリザノール、ビタミンE(α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、トリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)・1/3クエン酸塩、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、クェルセチンや、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等が挙げられる。好ましくは2,6-ジ-t-ジブチル-4-ヒドロキシトルエンである。
酸化防止剤の含量は、香料組成物の総質量に対して、例えば0.001~10質量%、好ましくは0.01~5質量%である。
香料の含量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対し、0.1~4質量%、好ましくは0.5~3質量%、より好ましくは0.5~2質量%である。
【0053】
[香料組成物を充填するための容器]
香料組成物を充填するための容器は、特に限定されないが、香料組成物を収容する容器の材質は、プラスチック、ガラス、陶器、金属等が挙げられる。容器の容量は、5~100mlが好ましく、5~50mLがより好ましい。
香料組成物の容器としては、スクリューキャップ付きの容器、または、容器から直接香料組成物を滴下するもの、スポイト付きのキャップを備えた容器、ポンプディスペンサーを備えた容器等が使用でき、例えば、特開2018-167840号公報に記載のスポイト付きのキャップを備えた容器、特開2005-132466号公報に記載のポンプディスペンサーを備えた容器等が挙げられる。
【0054】
[繊維処理剤組成物を充填するための容器]
繊維処理剤組成物を充填するための容器は、特に限定されないが、傾注容器、ポンプ容器、スクイズ容器、トリガー容器等が挙げられる。
【0055】
[香料組成物の製造方法]
香料組成物の製造方法は特に限定されず、組成物の製造方法として公知の方法により製造できる。例えば、(A)成分、(B)成分、任意成分を、常温にて混合する方法で香料組成物を調製し得る。
【0056】
[繊維処理剤組成物の製造方法]
繊維処理剤組成物の製造方法は特に限定されず、公知の方法、例えば主剤としてカチオン界面活性剤を用いる従来の液体柔軟剤組成物の製造方法と同様の方法により、繊維処理剤組成物を調製し得る。
例えば、(C)成分、(D)成分を含む油相と、水相とを、(C)成分の融点以上の温度条件下で混合して乳化物を調製し、その後、得られた乳化物に必要に応じて他の成分を添加、混合することにより製造することができる。
油相は、(C)成分の融点以上の温度で、(C)成分、(D)成分と必要に応じて任意成分とを混合することにより調製できる。
水相は、水と必要に応じて任意成分とを混合することにより調製できる。
【0057】
[使用方法]
<繊維処理剤組成物の使用方法>
本発明において、繊維処理剤組成物の使用方法に特に制限はなく、一般の柔軟剤と同様の方法で使用することができる。例えば、洗濯機の仕上げ剤投入口に入れたり、洗濯機内に投入したり、被洗物に直接塗付したり、たらいのような容器中の水に溶解させ、更に被洗物を入れて浸漬処理する方法がある。
【0058】
<香料組成物の使用方法>
香料組成物は、高濃度の香料濃縮物であるため、使用量を変更することで容易に香りの強度を調整可能であり、また複数の香りの香料組成物を組み合せることで、好みの香りを家庭で作り上げる楽しみが得られるものである。使用方法の一例としては、以下のような工程手順である。
工程例1:繊維処理剤組成物の容器で直接、あるいは別容器の中で事前に、繊維処理剤組成物と香料組成物を混合する工程
繊維処理剤組成物/香料組成物の配合比は、特に限定されないが、1~500が好ましく、5~300がより好ましく、10~300が更に好ましい。配合比が上記上限以下または下限以上であれば適度な残香性を得ることができる。
工程例2:洗浄剤組成物で洗濯後、洗濯槽内で繊維処理剤組成物と香料組成物とを混合する工程(繊維処理剤組成物と香料組成物は予め混合されていても、されていなくてもよい。)
繊維処理剤組成物/香料組成物の配合比は、特に限定されないが、1~500が好ましく、5~300がより好ましく、10~300が更に好ましい。
【0059】
[繊維製品]
本発明において、処理され得る繊維製品は、特に制限されるものではなく、例えば、衣類、カーテン、ソファー、カーペット、タオル、ハンカチ、シーツ、マクラカバー等が挙げられる。また、対象とする繊維製品の素材も、特に限定されないが、例えば、綿、絹、麻、ウール等の天然繊維でもよいし、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の化学繊維でもよい。
【実施例0060】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。尚、実施例において成分配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0061】
I.香料組成物
[(A)成分]
下記のA-1を使用した。
・A-1:下記表1に示される組成で香料成分を含む香料組成物
【表1】
【0062】
[(B)成分]
下記のB-1及びB-2を使用した。
・B-1:テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(30EO)(NIKKOL GO-430NV、日光ケミカルズ社製)
・B-2:テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(4EO)(NIKKOL GO-4V、日光ケミカルズ社製)
【0063】
[任意成分]
・希釈剤:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(NIKKOL トリエスターF-810、日光ケミカルズ社製)
【0064】
II.繊維処理剤組成物
[(C)成分]
下記のC-1及びC-2を使用した。
・C-1:特開2003-12471号公報の実施例4に記載の手順に従って合成したカチオン界面活性剤
・C-2:特表2013-525617号公報の実施例Iに記載の手順に従って合成したカチオン界面活性剤
【0065】
[(D)成分]
下記のD-1-1~D-3-3を使用した。
・D-1-1:セチルアルコール(カルコール6098、花王株式会社製)
・D-1-2:オクタノール(1-オクタノール、関東化学社製)
・D-2-1:ポリエーテル変性シリコーン(SH3771M、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
・D-2-2:ジメチコン(BELSIL DM10、旭化成ワッカー社製)
・D-3-1:エチレングリコール(エチレングリコール、関東化学社製)
・D-3-2:グリセリン(グリセリン、関東化学社製)
・D-3-3:プロピレングリコール(プロピレングリコール、関東化学社製)
【0066】
[任意成分]
共通成分A:
・(E)成分:ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルEO60モル(ライオンケミカル社製) 2%
・塩化カルシウム(株式会社トクヤマ製 商品名:粒状塩化カルシウム) 0.5%
・防腐剤:1,2-ベンズイソチアゾリンー3-オン(NIPACIDE BIT20、クラリアントジャパン社製) 0.0015%
・香料(下記表2に示される組成で香料成分を含む香料組成物) 0.4%
表中の各香料成分の数値は、香料組成物の総質量に対する質量%である。
【表2】
【0067】
共通成分B:
・(E)成分:ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルEO60モル(ライオンケミカル社製) 2%
・高度分岐環状デキストリン(クラスターデキストリン、グリコ栄養食品社製) 1%
・95%合成エタノール(純正化学社製) 0.1%
・クエン酸(富士フィルム和光試薬社製) 0.005%
・塩化カルシウム(株式会社トクヤマ製 商品名:粒状塩化カルシウム) 0.01%
・香料(上記表2に示される組成で香料成分を含む香料組成物) 0.4%
【0068】
[香料組成物の調製方法]
各成分の配合量を下記表3に記載の通り調整し、(A)成分、(B)成分、及び希釈剤を混合して調製した(実施例1~12、比較例1~2)。
【0069】
[繊維処理剤組成物の調製方法]
内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、島津製作所製)を用い、各成分の配合量を、下記表3に記載の通り調整して、次の手順により繊維処理剤組成物(柔軟剤組成物)を調製した。
まず、(C)成分、(D-1)成分、(D-2)成分、(E)成分、香料を混合攪拌して、油相混合物を得た。一方、防腐剤をバランス用イオン交換水に溶解させて水相混合物を得た。ここで、バランス用イオン交換水の質量は、980gから油相混合物と塩化カルシウムの合計量を差し引いた残部に相当する。
次に、(C)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(C)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とし、攪拌は回転速度1,000rpmで、1回目の水相混合物添加後に2分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。しかる後、(D-3)成分、塩化カルシウム、高度分岐環状デキストリン、95%合成エタノール、クエン酸を添加し、必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpH2.5に調整し、更に全体質量が1,000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の繊維処理剤組成物を得た。
【0070】
[評価方法]
上記のとおり調製した繊維処理剤組成物20gに対し、上記のとおり調製した香料組成物0.5gを添加し、かき混ぜたりせずに一晩放置した。放置後の被膜形成の有無を、下記評価基準に従って評価した。使用性の観点から〇以上を合格とした。結果を下記表3における「被膜形成」の項において示した。
<評価基準>
◎:被膜なし
〇:香料組成物と繊維処理剤組成物のフチ(境界)部分にやや被膜あり
×:香料組成物と繊維処理剤組成物の境界付近から香料組成物を覆うように被膜あり
【0071】