(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089922
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240627BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20240627BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20240627BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H05K3/46 T
H05K3/46 E
H05K3/46 N
H05K1/11 H
H05K3/40 E
H05K1/03 610H
H05K1/03 610R
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205467
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】桑原 雅
(72)【発明者】
【氏名】酒井 純
(72)【発明者】
【氏名】伊西 拓弥
【テーマコード(参考)】
5E316
5E317
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA04
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA43
5E316BB02
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5E316CC32
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5E317CD01
5E317CD15
5E317CD18
5E317CD25
5E317CD27
5E317GG03
(57)【要約】
【課題】ビア開口の内壁面に均一で薄いシード層を形成する。
【解決手段】コア基板と、第1ビルドアップ部と、第2ビルドアップ部と、第3ビルドアップ部と、第4ビルドアップ部と、を有する配線基板であって、配線基板の最も外側の面は、第3ビルドアップ部の最外面及び第4ビルドアップ部の最外面で構成されており、第3導体層に含まれる配線における配線幅と配線間距離の最小値は、第1導体層、第2導体層及び第4導体層に含まれる配線における配線幅と配線間距離の最小値よりも小さく、第3絶縁層は、ビア開口と、ビア開口内に形成され、第3導体層と下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、第3導体層とビア導体は、シード層とシード層上の電解めっき層で形成されており、第3絶縁層は、樹脂とビア開口の内壁面を形成する第1無機粒子と第3絶縁層内に埋まっている第2無機粒子を含み、第1無機粒子の形状は前記第2無機粒子の形状と異なる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有するコア基板と、前記第1面上に形成され、交互に積層される複数の第1絶縁層及び複数の第1導体層を含む第1ビルドアップ部と、前記第2面上に形成され、交互に積層される複数の第2絶縁層及び複数の第2導体層を含む第2ビルドアップ部と、前記第1ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される複数の第3絶縁層及び複数の第3導体層を含む第3ビルドアップ部と、前記第2ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層及び少なくとも1層の第4導体層を含む第4ビルドアップ部と、を有する配線基板であって、
前記配線基板の最も外側の面は、前記第3ビルドアップ部の最外面、及び、前記第4ビルドアップ部の最外面で構成されており、
前記第3導体層に含まれる配線における配線幅の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線幅の最小値よりも小さく、
前記第3導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値よりも小さく、
前記第3絶縁層は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、前記第1面から前記第2面に至るビア開口と、前記ビア開口内に形成され、前記第3導体層と下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、
前記第3導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上の電解めっき層で形成されており、
前記第3絶縁層は、無機粒子と樹脂を含み、
前記無機粒子は前記ビア開口の内壁面を形成する第1無機粒子と前記第3絶縁層内に埋まっている第2無機粒子を含み、
前記第1無機粒子の形状は前記第2無機粒子の形状と異なる。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板において、前記コア基板がガラスコアである。
【請求項3】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3導体層に含まれる配線の最小の配線幅が3μm以下、最小の配線間隔が3μm以下である。
【請求項4】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3導体層に含まれる配線のアスペクト比は2以上4以下である。
【請求項5】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3導体層に含まれる配線の上面は研磨面である。
【請求項6】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3絶縁層に含まれる無機粒子の最大粒径が、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層に含まれる無機粒子の最大粒径よりも小さい。
【請求項7】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3導体層に含まれる配線は、前記第3絶縁層に形成された溝を充填する導体によって構成されている。
【請求項8】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3ビルドアップ部を構成する前記第3絶縁層の体積と前記第4ビルドアップ部を構成する第4絶縁層の体積とは、略等しい。
【請求項9】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3ビルドアップ部における導体が占める体積と前記第4ビルドアップ部における導体が占める体積とは、略等しい。
【請求項10】
請求項1に記載の配線基板において、前記内壁面は前記第1無機粒子と前記樹脂によって形成されており、前記第1無機粒子は平坦部を有し、前記平坦部が前記内壁面を形成する。
【請求項11】
請求項1に記載の配線基板において、前記内壁面の算術平均粗さは1.0μm以下である。
【請求項12】
請求項10に記載の配線基板において、前記内壁面は前記樹脂と前記平坦部で形成されている。
【請求項13】
請求項12に記載の配線基板において、前記平坦部と前記内壁面を形成する前記樹脂の面は、ほぼ共通な面を形成する。
【請求項14】
請求項10に記載の配線基板において、前記第2無機粒子の形状は球である。
【請求項15】
請求項10に記載の配線基板において、前記第1無機粒子の形状は球を平面で切断することで得られる。
【請求項16】
請求項14に記載の配線基板において、前記第1無機粒子の形状は前記第2無機粒子を
平面で切断することで得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のビルドアップ部を有する配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、従来のプリント配線板の一例を開示している。特許文献1に開示されている技術では、
図4に示すように、プリント配線板は、第1導体層51と、第1導体層51上に形成されている絶縁層52と、絶縁層52に形成されている、第1導体層51の一部を露出するビア開口53と、を有する。絶縁層52は樹脂54と無機粒子55とを含む。
図4に示すプリント配線板の中間体において、絶縁層52の上面52a、ビア開口53の内壁面53aおよび第1導体層51の露出部51aに対し、シード層が形成される。そして、シード層上において、ビア開口53の内壁面53aおよび第1導体層51の露出部51aにビア導体を形成するとともに、ビア導体および絶縁層52の上面52aに第2導体層を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、ビア開口53をレーザ加工で形成するため、
図4の拡大部に示すように、ビア開口53の内壁面53aから無機粒子55が突出する場合がある。そのため、ビア開口53の内壁面53aにシード層をスパッタで形成しようとすると、垂直方向に噴射される粒子に対し突出した無機粒子55の下部が影部分Sになり、その影部分Sにシード層が付かなくなる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る配線基板は、第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有するコア基板と、前記第1面上に形成され、交互に積層される複数の第1絶縁層及び複数の第1導体層を含む第1ビルドアップ部と、前記第2面上に形成され、交互に積層される複数の第2絶縁層及び複数の第2導体層を含む第2ビルドアップ部と、前記第1ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される複数の第3絶縁層及び複数の第3導体層を含む第3ビルドアップ部と、前記第2ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層及び少なくとも1層の第4導体層を含む第4ビルドアップ部と、を有する配線基板であって、前記配線基板の最も外側の面は、前記第3ビルドアップ部の最外面、及び、前記第4ビルドアップ部の最外面で構成されており、前記第3導体層に含まれる配線における配線幅の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線幅の最小値よりも小さく、前記第3導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値よりも小さく、前記第3絶縁層は、前記第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、前記第1面から前記第2面に至るビア開口と、前記ビア開口内に形成され、前記第3導体層と下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、前記第3導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上の電解めっき層で形成されており、前記第3絶縁層は、無機粒子と樹脂を含み、前記無機粒子は前記ビア開口の内壁面を形成する第1無機粒子と前記第3絶縁層内に埋まっている第2無機粒子を含み、前記第1無機粒子の形状は前記第2無機粒子の形状と異なる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明に係る配線基板におけるビルドアップ部の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図2】本発明に係る配線基板における第3ビルドアップ部の各層の一実施形態における特徴部分を模式的に示す断面図である。
【
図3A】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図3B】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図3C】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図3D】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図3E】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図3F】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図3G】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図3H】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図3I】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図4】従来のプリント配線板の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<本発明の配線基板について>
本発明の配線基板の一実施形態が、図面を参照して説明される。なお、
図1~
図3に示す例において、各部材の寸法、特に高さ方向の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実際の寸法とは異なる寸法で記載している。
【0008】
図1は、本発明に係る配線基板におけるビルドアップ部の一実施形態を説明するための断面図である。
図1において、CSは、例えば図中上側の第1面CS1および下側の第2面CS2を有するコア基板である。BU1は、コア基板CSの第1面CS1上に形成され、交互に積層される複数の第1絶縁層12及び複数の第1導体層11を含む第1ビルドアップ部である。BU2は、コア基板CSの第2面CS2上に形成され、交互に積層される複数の第2絶縁層22及び複数の第2導体層21を含む第2ビルドアップ部である。BU3は、第1ビルドアップ部BU1上に形成され、交互に積層される複数の第3絶縁層32及び複数の第3導体層31を含む第3ビルドアップ部である。BU4は、第2ビルドアップ部BU2上に形成され、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層42及び少なくとも1層の第4導体層41を含む第4ビルドアップ部である。本実施形態では、上記構成の配線基板1の第3ビルドアップ部BU3上に、チップ1およびチップ2が搭載されている。
【0009】
図1に示す本発明に係る配線基板においては、コア基板CSとしてガラスコアを用いることが好ましい。コア基板としてガラスコアを用いると、他の材料のコア基板を用いた配線基板と比べて、高密度配線が形成し易くなる。ガラスコアとしては、従来から知られているいずれの材料をも使用できる。例えば、耐熱性と耐衝撃性に優れ、熱膨張係数がシリコンに近い、ホウ珪酸ガラスを用いることができる。
【0010】
本実施形態に係る配線基板1の特徴は、第3ビルドアップ部BU3の構造にある。すなわち、第3導体層に含まれる配線における配線幅および配線間距離の最小値は、第1導体層、第2導体層、及び、第4導体層に含まれる配線における配線幅および配線間距離の最小値よりも小さい。また、第3絶縁層は、第1面と、第1面と反対側の第2面と、第1面から第2面に至るビア開口と前記第3導体層と下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、第3導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上の電解めっき層で形成されている。さらに、第3絶縁層は、無機粒子と樹脂を含み、無機粒子はビア開口の内壁面を形成する第1無機粒子と第3絶縁層内に埋まっている第2無機粒子を含み、第1無機粒子の形状は第2無機粒子の形状と異なる。
【0011】
本実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3が、上記構成を備えることで、第3ビルドアップ部BU3における配線の高密度化を達成でき、配線間での信号の伝送速度の差を少なくすることができる。
【0012】
図2は、本実施形態に係る配線基板における第3ビルドアップ部BU3の各層の一実施形態における特徴部分を説明するための模式図である。
図2において、説明の対象となる層L1の下層L2は、層L1と同じ構成となっている。説明の対象となる層L1は下層L2上に連続して形成されている。
【0013】
本実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における各層が、
図2に示す構成を含んでいる。
図2において、下層L2の第3導体層31と、この第3導体層31上に形成されている層L1の第3絶縁層32と、第3絶縁層32に形成されている、下層L2の第3導体層31の一部を導体パッド31aとして露出するビア開口37を示している。第3絶縁層32は樹脂33と無機粒子34とを含む。
【0014】
本実施形態に係る配線基板では、無機粒子34は、ビア開口37の内壁面37aを形成する第1無機粒子34-1と、第3絶縁層32の樹脂33内に埋まっている第2無機粒子34-2とを含む。そして、第1無機粒子34-1の形状は、第2無機粒子34-2の形状と異なっている。好ましい実施形態として、ビア開口37の内壁面37aは、第1無機粒子34-1と樹脂33とによって形成されており、第1無機粒子34-1の平坦部と樹脂33により、平坦な面となっている。
【0015】
そのため、
図2に示す配線基板の中間体において、層L1の第3絶縁層32の上面32a、ビア開口37の内壁面37aおよび下層L2の第3導体層31の露出する導体パッド31aに対し、スパッタでシード層を形成しても、ビア開口37の内壁面37aが平坦面であるため、垂直方向に噴射される粒子に対する障害がなく、ビア開口37の内壁面37aに均一で薄いシード層を形成することができる。
【0016】
<本発明の配線基板の特徴となる第3ビルドアップ部BU3の製造方法について>
第1ビルドアップ部BU1、第2ビルドアップ部BU2、および、第4ビルドアップ部BU4については、交互に積層される複数の第1絶縁層12及び複数の第1導体層11の形成、交互に積層される複数の第2絶縁層22及び複数の第2導体層21の形成、および、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層42及び少なくとも1層の第4導体層41の形成を、従来から公知の方法で行うことができる。ここでは、それらの詳細については説明を省いている。
【0017】
図3A~
図3Iを参照にして、本発明の配線基板の特徴となる第3ビルドアップ部BU3の製造方法について説明する。
【0018】
まず、
図3Aに示すように、下層L2上に、対象となる層L1の樹脂33と無機粒子34とからなる第3絶縁層32および保護膜36を形成する。第3絶縁層32の上面32aは樹脂33のみで形成されており、無機粒子34は露出していない。そのため、第3絶縁層32の上面32aには凹凸が形成されていない。保護膜36は第3絶縁層32の上面32aを完全に覆っている。保護膜36の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。保護膜36と第3絶縁層32の上面32aとの間に離型剤が形成されている。
【0019】
次に、
図3Bに示されるように、保護膜36の上からレーザ光が照射される。レーザ光は保護膜36と第3絶縁層32とを同時に貫通する。これにより、下層L2の第3導体層31と導体パッド31aとを接続するビア導体形成用のビア開口37が形成される。ビア開口37において、第1無機粒子34-1は内壁面37aから突出している。レーザ光は、例えばUVレーザ光、CO
2レーザ光である。ビア開口37により下層の第3導体層31が露出される。ビア開口37が形成される時、第3絶縁層32の上面32aは保護膜36で覆われている。そのため、ビア開口37が形成される時、樹脂33が飛散しても、第3絶縁層32の上面32aへの樹脂33の付着が抑制される。
【0020】
次に、
図3Cに示されるように、第3絶縁層32の上面32aを保護膜36で覆った状態で、ビア開口37内に対しドライプロセス(プラズマ)でデスミア処理を行う。これにより、ビア開口37の内壁面37aは粗化されるが、第3絶縁層32の上面32aは粗化されない。第3絶縁層32の上面32aは粗化されないため、第3絶縁層32の上面32aは樹脂33のみで形成される。デスミア処理は、例えばフルオロカーボン系ガスを含む反応性イオンエッチング(RIE)により、第3絶縁層32内において樹脂33より無機粒子34を優先的にエッチングする条件で行うことができる。これにより、ビア開口37の内壁面37aから突出している第1無機粒子34-1の部分をエッチングして、平坦化することができる。その結果、ビア開口37の内壁面37aを、第1無機粒子34-1の平坦部と樹脂33とからなる平面とすることができる。
【0021】
次に、
図3Dに示されるように、第3絶縁層32の上面32aから保護膜36が除去される。保護膜36の除去後、第3絶縁層32の上面32aを荒らすことは行われない。
【0022】
次に、
図3Eに示されるように、第3絶縁層32の上面32a上にシード層31cが形成される。シード層31cはスパッタによって形成される。シード層31cの形成はドライプロセスで行われる。シード層31cはビア開口37から露出する下層の第3導体層31の上面とビア開口37の内壁面37aにも形成される。本実施形態では、シード層31cは、銅とケイ素とアルミニウムを含む合金をスパッタすることにより形成される第1層31c-1と、その上に銅をスパッタすることで形成される第2層31c-2とで、構成されている。
【0023】
次に、
図3Fに示されるように、シード層31c上にめっきレジスト38が形成される。めっきレジスト38は、導体パッド31aと配線31bとからなる第3導体層31を形成するための開口を有する。
【0024】
次に、
図3Gに示されるように、めっきレジスト38から露出するシード層31c上に電解めっき膜31dが形成される。電解めっき膜31dはビア開口37を充填する。電解めっき膜31dは、めっきレジスト38の高さより高く形成される。すなわち、例えば、
図3Gに示されるように、電解めっき膜31dが、めっきレジスト38の上面よりも外側に、上面が凸球面状を有するように形成される。
【0025】
次に、
図3Hに示されるように、電解めっき膜31d、及び、めっきレジスト38の上側の一部が、研磨によって除去される。研磨は、電解めっき膜31dの厚さが求められる所望の厚さとなるまで行われる。研磨は、例えば化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により実施される。この研磨によって、電解めっき膜31dの上面は、算術平均粗さRaで0.3μm以下の値を有するように形成される。
【0026】
その後、めっきレジスト38およびその下層のシード層31cが除去される。これにより、
図3Iに示されるように、第3絶縁層32の上面32a上のシード層31cと電解めっき膜31dによって、配線31bが形成される。ビア開口37内のシード層31cと電解めっき膜31dによって、ビア開口37内にビア導体と、その上に導体パッド31aが形成される。以上のようにして、
図3Iに示されるように、本発明の一実施形態に係る配線基板が得られる。
【0027】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3において、ビア開口37の内壁面37aから第1無機粒子34-1が突出せず、ビア開口37の内壁面37aを第1無機粒子34-1の平坦部と樹脂33とからなる平面としている。そのため、ビア開口37の内壁面37aに均一で薄いシード層31cを形成することができる。その結果、シード層31c上に、導体パッド31aおよび配線31bからなる第3導体層31を精度よく確実に形成することができる。これにより、高い品質を有する配線板を提供することができる。
【0028】
以下、本発明に係る配線基板において、好適な実施形態について説明する。
【0029】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3導体層31の配線31bの最小の配線幅が3μm以下、最小の配線間隔が3μm以下であることが好ましい。さらに、第3導体層31に含まれる配線31bは、アスペクト比が2.0以上、且つ、4.0以下となるように形成されていることが好ましい。このように、第3ビルドアップ部BU3が、配線幅及び配線間距離が比較的小さく、且つ、比較的高いアスペクト比を有する配線31bを有していることにより、表層部に比較的高密度の配線31bを有する配線基板が実現され得る。配線基板の表層部において搬送される電気信号に対応した、より適切な配線が提供される。
【0030】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3導体層31に含まれる配線31bの上面は研磨面であることが好ましい。第3導体層に含まれる配線の上面を研磨面とすることで、第3導体層31の上面は粗さが比較的小さく平坦であり、よって、第3導体層31は比較的均一な厚さとされている。具体的には、第3導体層31の上面は、算術平均粗さRaで0.3μm以下、とされている。配線31bの厚さが比較的均一に形成されていることで、配線31bによって搬送される信号の挿入損失(インサーションロス)は小さく抑えられる。配線31bによる良好な信号伝送が実現され得る。
【0031】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3絶縁層32に含まれる無機粒子34の最大粒径が、第1絶縁層12及び第2絶縁層22に含まれる無機粒子の最大粒径よりも小さいことが好ましい。比較的高密度に形成される配線31bに接する第3絶縁層32に無機粒子34が含まれる場合に、隣り合う配線31b、31b間に粒径の比較的大きい無機粒子34が位置すると、無機粒子34の表面を介するマイグレーションにより配線31bと、隣接する配線31b間の短絡が発生する場合がある。従って、第3絶縁層32に含まれ得る無機粒子34の最大の粒径が比較的小さいことで、配線31b、31bにおける短絡の虞を低減することができる。
【0032】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3導体層31に含まれる配線31bは、第3絶縁層32に形成された溝を充填する導体によって構成されていることが好ましい。すなわち、上述した第3導体層31が第3絶縁層32の上面32aから上側に突出する形態の代わりに、第3導体層31を、第3絶縁層32の上面32aから第3絶縁層32内に埋没する(埋め込まれる)形態とすることもできる。その場合、溝に埋設された第3導体層31の上面は研磨面とされ得る。
【0033】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3ビルドアップ部BU3を構成する第3絶縁層32の体積と第4ビルドアップ部BU4を構成する第4絶縁層42の体積とは、略等しいことが好ましい。また、第3ビルドアップ部BU3における導体が占める体積と第4ビルドアップ部BU4における導体が占める体積とは、略等しいことが好ましい。これらの条件を満たすことで、配線基板1の反りを低減させることができる。
【0034】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、ビア開口37の内壁面37aは第1無機粒子34-1と樹脂33によって形成されており、第1無機粒子34-1は平坦部を有し、平坦部が内壁面37aを形成することが好ましい。また、ビア開口37の内壁面37aの算術平均粗さは1.0μm以下であることが好ましい。さらに、ビア開口37の内壁面37aは樹脂33と第1無機粒子34-1の平坦部で形成されていることが好ましい。さらにまた、第1無機粒子34-1の平坦部と内壁面37aを形成する樹脂33の面は、ほぼ共通な面を形成することが好ましい。なお、第2無機粒子34-2の形状は球であること、第1無機粒子34-1の形状は球を平面で切断することで得られること、第1無機粒子34-1の形状は第2無機粒子34-2を平面で切断することで得られること、はいずれも好ましい実施形態となる。いずれの構成も、ビア開口37の内壁面37aに均一で薄いシード層31cを形成するために好適な実施形態となる。
【符号の説明】
【0035】
1 配線基板
11 第1導体層
12 第1絶縁層
21 第2導体層
22 第2絶縁層
31 第3導体層
31a 導体パッド
31b 配線
31c シード層
31c-1 第1層
31c-2 第2層
31d 電解めっき膜
32 第3絶縁層
32a 上面
33 樹脂
34 無機粒子
34-1 第1無機粒子
34-2 第2無機粒子
36 保護膜
37 ビア開口
37a 内壁面
38 めっきレジスト
41 第4導体層
42 第4絶縁層
BU1 第1ビルドアップ部
BU2 第2ビルドアップ部
BU3 第3ビルドアップ部
BU4 第4ビルドアップ部
CS コア基板
CS1 第1面
CS2 第2面
L1 対象となる層
L2 下層