(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089929
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】電圧電流変換装置および電流源装置
(51)【国際特許分類】
H03F 3/45 20060101AFI20240627BHJP
H01S 5/042 20060101ALI20240627BHJP
G05F 1/56 20060101ALI20240627BHJP
G05F 1/575 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H03F3/45
H03F3/45 109
H01S5/042
G05F1/56
G05F1/575
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205478
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】399011195
【氏名又は名称】ザインエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100110582
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 昌聰
(72)【発明者】
【氏名】小勝 秀行
(72)【発明者】
【氏名】藤田 悠介
【テーマコード(参考)】
5F173
5H420
5J500
【Fターム(参考)】
5F173SJ03
5F173SJ12
5F173SJ16
5H420BB04
5H420BB13
5H420CC02
5H420DD02
5H420EA11
5H420EB37
5H420NA17
5H420NB03
5H420NB24
5H420NC03
5H420NC12
5H420NC22
5J500AA01
5J500AC62
5J500AF17
5J500AH02
5J500AH10
5J500AH18
5J500AH19
5J500AH25
5J500AH29
5J500AK05
5J500AK42
5J500AM13
5J500DN01
5J500DP01
(57)【要約】
【課題】高速動作かつ大電流振幅出力が容易な電圧電流変換装置を提供する。
【解決手段】電圧電流変換装置1Aは、電流供給回路10A、差動回路20A、昇圧部30および制御部40A等を備える。電流供給回路10Aは、第1NMOSトランジスタ11、第2NMOSトランジスタ12、第1抵抗器13および第2抵抗器14を含む。差動回路20Aは、第1NPNトランジスタ21、第2NPNトランジスタ22およびテール電流源23を含む。昇圧部30は、第1NMOSトランジスタ11および第2NMOSトランジスタ12それぞれのゲートに、電源電位以上の電位を与える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基準電位を供給する第1基準電位供給端に各々のドレインが接続される第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタと、前記第1NMOSトランジスタのソースと第1ノードとの間に設けられた第1抵抗器と、前記第2NMOSトランジスタのソースと第2ノードとの間に設けられた第2抵抗器と、を含み、前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれのゲートが互いに接続されている電流供給回路と、
前記第1ノードにコレクタが接続された第1NPNトランジスタと、前記第2ノードにコレクタが接続された第2NPNトランジスタと、前記第1基準電位より低電位の第2基準電位を供給する第2基準電位供給端と前記第1NPNトランジスタおよび前記第2NPNトランジスタそれぞれのエミッタとの間に設けられたテール電流源と、を含む差動回路と、
前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれのゲートに前記第1基準電位以上の電位を与える昇圧部と、
前記第1抵抗器に流れる電流または前記第1ノードの電位に基づいて、前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれのゲートに前記昇圧部が与える電位を制御する制御部と、
を備え、
前記第1NPNトランジスタおよび前記第2NPNトランジスタそれぞれのベースに差動電圧信号を入力し、この差動電圧信号に応じた電流信号を前記第1ノードから出力する、
電圧電流変換装置。
【請求項2】
第1基準電位を供給する第1基準電位供給端に各々のドレインが接続される第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタを含み、前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれのゲートが互いに接続されている電流供給回路と、
前記第1NMOSトランジスタのソースにコレクタが接続された第1NPNトランジスタと、前記第2NMOSトランジスタのソースにコレクタが接続された第2NPNトランジスタと、前記第1基準電位より低電位の第2基準電位を供給する第2基準電位供給端と前記第1NPNトランジスタおよび前記第2NPNトランジスタそれぞれのエミッタとの間に設けられたテール電流源と、を含む差動回路と、
前記第1NMOSトランジスタのソースと第1ノードとの間に設けられた第1抵抗器と、
前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれのゲートに前記第1基準電位以上の電位を与える昇圧部と、
前記抵抗器に流れる電流または前記第1ノードの電位に基づいて、前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれのゲートに前記昇圧部が与える電位を制御する制御部と、
を備え、
前記第1NPNトランジスタおよび前記第2NPNトランジスタそれぞれのベースに差動電圧信号を入力し、この差動電圧信号に応じた電流信号を前記第1ノードから出力する、
電圧電流変換装置。
【請求項3】
前記第1NMOSトランジスタのソースと第3ノードとの間に設けられた第3抵抗器と、前記第3ノードと前記第2基準電位供給端との間に設けられた電流源と、を更に備え、
前記制御部は、前記第1抵抗器に流れる電流または前記第1ノードの電位と、前記第3抵抗器に流れる電流または前記第3ノードの電位との比較に基づいて、第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれのゲートに前記昇圧部が与える電位を制御する、
請求項1または2に記載の電圧電流変換装置。
【請求項4】
前記第1基準電位供給端にドレインが接続された第3NMOSトランジスタと、前記第3NMOSトランジスタのソースと第3ノードとの間に設けられた第3抵抗器と、前記第3ノードと前記第2基準電位供給端との間に設けられた電流源と、を更に備え、
前記第1NMOSトランジスタ、前記第2NMOSトランジスタおよび前記第3NMOSトランジスタそれぞれのゲートが互いに接続されており、
前記制御部は、前記第1抵抗器に流れる電流または前記第1ノードの電位と、前記第3抵抗器に流れる電流または前記第3ノードの電位との比較に基づいて、第1NMOSトランジスタ,第2NMOSトランジスタおよび前記第3NMOSトランジスタそれぞれのゲートに前記昇圧部が与える電位を制御する、
請求項1または2に記載の電圧電流変換装置。
【請求項5】
前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれはNタイプLDMOSトランジスタである、
請求項1または2に記載の電圧電流変換装置。
【請求項6】
前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれはトリプルウェル構造を有し、前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれのPウェルと前記第1ノードとの間に抵抗器が設けられている、
請求項1または2に記載の電圧電流変換装置。
【請求項7】
前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれはトリプルウェル構造を有し、前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれのPウェルと前記第1NMOSトランジスタのソースとの間に抵抗器が設けられている、
請求項1または2に記載の電圧電流変換装置。
【請求項8】
前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれはトリプルウェル構造を有し、前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれのPウェルと前記第1基準電位供給端との間に電圧源が設けられている、
請求項1または2に記載の電圧電流変換装置。
【請求項9】
前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれはトリプルウェル構造を有し、前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタそれぞれのPウェルと前記第1基準電位供給端との間にダイオードが設けられている、
請求項1または2に記載の電圧電流変換装置。
【請求項10】
前記差動回路は、前記第2基準電位供給端と前記第1NPNトランジスタのエミッタとの間のテール電流源と、前記第2基準電位供給端と前記第2NPNトランジスタのエミッタとの間のテール電流源と、が別個に設けられている、
請求項1または2に記載の電圧電流変換装置。
【請求項11】
前記第2ノードにダミーの負荷が接続されている、
請求項1に記載の電圧電流変換装置。
【請求項12】
前記第3抵抗器の抵抗値または前記電流源の電流値が可変である、
請求項3に記載の電圧電流変換装置。
【請求項13】
複数の前記電流供給回路を備え、複数の前記電流供給回路のうち前記第1基準電位供給端に接続される電流供給回路の個数が可変である、
請求項1または2に記載の電圧電流変換装置。
【請求項14】
第1基準電位を供給する第1基準電位供給端に各々のコレクタが接続される第1NPNトランジスタおよび第2NPNトランジスタと、前記第1NPNトランジスタのエミッタと第1ノードとの間に設けられた第1抵抗器と、前記第2NPNトランジスタのエミッタと第2ノードとの間に設けられた第2抵抗器と、を含み、前記第1NPNトランジスタおよび前記第2NPNトランジスタそれぞれのベースが互いに接続されている電流供給回路と、
前記第1ノードにコレクタが接続された第3NPNトランジスタと、前記第2ノードにコレクタが接続された第4NPNトランジスタと、前記第1基準電位より低電位の第2基準電位を供給する第2基準電位供給端と前記第3NPNトランジスタおよび前記第4NPNトランジスタそれぞれのエミッタとの間に設けられたテール電流源と、を含む差動回路と、
前記第1NPNトランジスタおよび前記第2NPNトランジスタそれぞれのベースに前記第1基準電位以上の電位を与える昇圧部と、
前記第1抵抗器に流れる電流または前記第1ノードの電位に基づいて、前記第1NPNトランジスタおよび前記第2NPNトランジスタそれぞれのベースに前記昇圧部が与える電位を制御する制御部と、
を備え、
前記第3NPNトランジスタおよび前記第4NPNトランジスタそれぞれのベースに差動電圧信号を入力し、この差動電圧信号に応じた電流信号を前記第1ノードから出力する、
電圧電流変換装置。
【請求項15】
第1基準電位を供給する第1基準電位供給端にドレインが接続されるNMOSトランジスタと、前記NMOSトランジスタのソースとノードとの間に設けられた抵抗器と、を含む電流供給回路と、
前記ノードにコレクタが接続された第1NPNトランジスタと、前記第1基準電位供給端にコレクタが接続された第2NPNトランジスタと、前記第1基準電位より低電位の第2基準電位を供給する第2基準電位供給端と前記第1NPNトランジスタおよび前記第2NPNトランジスタそれぞれのエミッタとの間に設けられたテール電流源と、を含む差動回路と、
前記NMOSトランジスタのゲートに前記第1基準電位以上の電位を与える昇圧部と、
前記抵抗器に流れる電流または前記ノードの電位に基づいて、前記NMOSトランジスタのゲートに前記昇圧部が与える電位を制御する制御部と、
を備え、
前記第1NPNトランジスタおよび前記第2NPNトランジスタそれぞれのベースに差動電圧信号を入力し、この差動電圧信号に応じた電流信号を前記ノードから出力する、
電圧電流変換装置。
【請求項16】
基準電位を供給する基準電位供給端にドレインが接続されるNMOSトランジスタと、
前記MOSトランジスタのゲートに前記基準電位以上の電位を与える昇圧部と、
前記NMOSトランジスタのソースから出力される電流を入力する負荷回路における電流または電位に基づいて、前記NMOSトランジスタのゲートに前記昇圧部が与える電位を制御する制御部と、
を備える電流源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧電流変換装置および電流源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2に記載されている電圧電流変換装置は、入力された差動電圧信号に応じた電流信号を出力するものであって、特に、レーザダイオードを発光させるために該レーザダイオードに駆動電流を供給するレーザドライバであり、レーザダイオードのうちでも面発光レーザダイオード(Vertical Cavity Surface Emitting Laser、VCSEL)に駆動電流を供給することを意図したものである。
【0003】
電圧電流変換装置は、これらの文献に記載されているように、一般に、差動電圧信号を入力する入力差動対を構成する二つのNPNトランジスタを含む差動回路と、これら二つのNPNトランジスタと高電位の第1基準電位供給端との間に設けられた電流供給回路と、を備える。
【0004】
特許文献1に記載された電圧電流変換装置の電流供給回路は、飽和領域で動作するPMOSトランジスタを含む。特許文献2に記載された電圧電流変換装置の電流供給回路は、線形領域で動作するPMOSトランジスタを含む。
【0005】
入力された差動電圧信号に応じた電流信号を出力する電圧電流変換装置に限らず、電流を負荷回路に供給する電流源装置もPMOSトランジスタを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0190554号明細書
【特許文献2】米国特許第9570917号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
PMOSトランジスタは、ゲートから見える容量がミラー効果により大きくなり、フィードバック制御の周波数特性が悪いので、高速動作をすることが困難である。飽和領域で動作するPMOSトランジスタは、必要な電流を流すためのトランジスタサイズが大きく、寄生容量が大きいので、大電流振幅動作時に高速動作をすることが更に困難である。線形領域で動作するPMOSトランジスタは、電流値のVds依存性が大きいので、フィードバック制御による出力インピーダンスが低く、大電流振幅動作をすることが困難である。したがって、従来の電圧電流変換装置および電流源装置は、高速動作かつ大電流振幅出力を実現することが困難である。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、高速動作かつ大電流振幅出力が容易な電圧電流変換装置および電流源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電圧電流変換装置の第1態様は、(1) 第1基準電位を供給する第1基準電位供給端に各々のドレインが接続される第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタと、第1NMOSトランジスタのソースと第1ノードとの間に設けられた第1抵抗器と、第2NMOSトランジスタのソースと第2ノードとの間に設けられた第2抵抗器と、を含み、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれのゲートが互いに接続されている電流供給回路と、(2) 第1ノードにコレクタが接続された第1NPNトランジスタと、第2ノードにコレクタが接続された第2NPNトランジスタと、第1基準電位より低電位の第2基準電位を供給する第2基準電位供給端と第1NPNトランジスタおよび第2NPNトランジスタそれぞれのエミッタとの間に設けられたテール電流源と、を含む差動回路と、(3) 第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれのゲートに第1基準電位以上の電位を与える昇圧部と、(4) 第1抵抗器に流れる電流または第1ノードの電位に基づいて、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれのゲートに昇圧部が与える電位を制御する制御部と、を備える。そして、電圧電流変換装置は、第1NPNトランジスタおよび第2NPNトランジスタそれぞれのベースに差動電圧信号を入力し、この差動電圧信号に応じた電流信号を第1ノードから出力する。
【0010】
本発明の電圧電流変換装置の第2態様は、(1) 第1基準電位を供給する第1基準電位供給端に各々のドレインが接続される第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタを含み、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれのゲートが互いに接続されている電流供給回路と、(2) 第1NMOSトランジスタのソースにコレクタが接続された第1NPNトランジスタと、第2NMOSトランジスタのソースにコレクタが接続された第2NPNトランジスタと、第1基準電位より低電位の第2基準電位を供給する第2基準電位供給端と第1NPNトランジスタおよび第2NPNトランジスタそれぞれのエミッタとの間に設けられたテール電流源と、を含む差動回路と、(3) 第1NMOSトランジスタのソースと第1ノードとの間に設けられた第1抵抗器と、(4) 第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれのゲートに第1基準電位以上の電位を与える昇圧部と、(5) 抵抗器に流れる電流または第1ノードの電位に基づいて、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれのゲートに昇圧部が与える電位を制御する制御部と、を備える。そして、電圧電流変換装置は、第1NPNトランジスタおよび第2NPNトランジスタそれぞれのベースに差動電圧信号を入力し、この差動電圧信号に応じた電流信号を第1ノードから出力する。
【0011】
本発明の電圧電流変換装置は、次のような態様としてもよい。
第3態様では、第1態様または第2態様に加えて、電圧電流変換装置は、第1NMOSトランジスタのソースと第3ノードとの間に設けられた第3抵抗器と、第3ノードと第2基準電位供給端との間に設けられた電流源と、を更に備える。制御部は、第1抵抗器に流れる電流または第1ノードの電位と、第3抵抗器に流れる電流または第3ノードの電位との比較に基づいて、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれのゲートに昇圧部が与える電位を制御する。
【0012】
第4態様では、第1態様または第2態様に加えて、電圧電流変換装置は、第1基準電位供給端にドレインが接続された第3NMOSトランジスタと、第3NMOSトランジスタのソースと第3ノードとの間に設けられた第3抵抗器と、第3ノードと第2基準電位供給端との間に設けられた電流源と、を更に備える。第1NMOSトランジスタ、第2NMOSトランジスタおよび第3NMOSトランジスタそれぞれのゲートが互いに接続されている。制御部は、第1抵抗器に流れる電流または第1ノードの電位と、第3抵抗器に流れる電流または第3ノードの電位との比較に基づいて、第1NMOSトランジスタ,第2NMOSトランジスタおよび第3NMOSトランジスタそれぞれのゲートに昇圧部が与える電位を制御する。
【0013】
第5態様では、第1~第4の態様の何れかに加えて、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれはNタイプLDMOSトランジスタである。
【0014】
第6態様では、第1~第4の態様の何れかに加えて、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれはトリプルウェル構造を有し、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれのPウェルと第1ノードとの間に抵抗器が設けられている。
【0015】
第7態様では、第1~第4の態様の何れかに加えて、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれはトリプルウェル構造を有し、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれのPウェルと第1NMOSトランジスタのソースとの間に抵抗器が設けられている。
【0016】
第8態様では、第1~第4の態様の何れかに加えて、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれはトリプルウェル構造を有し、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれのPウェルと第1基準電位供給端との間に電圧源が設けられている。
【0017】
第9態様では、第1~第4の態様の何れかに加えて、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれはトリプルウェル構造を有し、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタそれぞれのPウェルと第1基準電位供給端との間にダイオードが設けられている。
【0018】
第10態様では、第1~第9の態様の何れかに加えて、差動回路は、第2基準電位供給端と第1NPNトランジスタのエミッタとの間のテール電流源と、第2基準電位供給端と第2NPNトランジスタのエミッタとの間のテール電流源と、が別個に設けられている。
【0019】
第11態様では、第1態様および第1態様を含む第3~第10の態様の何れかに加えて、第2ノードにダミーの負荷が接続されている。
【0020】
第12態様では、第3態様に加えて、第3抵抗器の抵抗値または電流源の電流値が可変である。
【0021】
第13態様では、第1~第12の態様の何れかに加えて、電圧電流変換装置は、複数の電流供給回路を備え、複数の電流供給回路のうち第1基準電位供給端に接続される電流供給回路の個数が可変である。
【0022】
本発明の電圧電流変換装置の第14態様は、(1) 第1基準電位を供給する第1基準電位供給端に各々のコレクタが接続される第1NPNトランジスタおよび第2NPNトランジスタと、第1NPNトランジスタのエミッタと第1ノードとの間に設けられた第1抵抗器と、第2NPNトランジスタのエミッタと第2ノードとの間に設けられた第2抵抗器と、を含み、第1NPNトランジスタおよび第2NPNトランジスタそれぞれのベースが互いに接続されている電流供給回路と、(2) 第1ノードにコレクタが接続された第3NPNトランジスタと、第2ノードにコレクタが接続された第4NPNトランジスタと、第1基準電位より低電位の第2基準電位を供給する第2基準電位供給端と第3NPNトランジスタおよび第4NPNトランジスタそれぞれのエミッタとの間に設けられたテール電流源と、を含む差動回路と、(3) 第1NPNトランジスタおよび第2NPNトランジスタそれぞれのベースに第1基準電位以上の電位を与える昇圧部と、(4) 第1抵抗器に流れる電流または第1ノードの電位に基づいて、第1NPNトランジスタおよび第2NPNトランジスタそれぞれのベースに昇圧部が与える電位を制御する制御部と、を備える。そして、電圧電流変換装置は、第3NPNトランジスタおよび第4NPNトランジスタそれぞれのベースに差動電圧信号を入力し、この差動電圧信号に応じた電流信号を第1ノードから出力する。
【0023】
本発明の電圧電流変換装置の第15態様は、(1) 第1基準電位を供給する第1基準電位供給端にドレインが接続されるNMOSトランジスタと、NMOSトランジスタのソースとノードとの間に設けられた抵抗器と、を含む電流供給回路と、(2) ノードにコレクタが接続された第1NPNトランジスタと、第1基準電位供給端にコレクタが接続された第2NPNトランジスタと、第1基準電位より低電位の第2基準電位を供給する第2基準電位供給端と第1NPNトランジスタおよび第2NPNトランジスタそれぞれのエミッタとの間に設けられたテール電流源と、を含む差動回路と、(3) NMOSトランジスタのゲートに第1基準電位以上の電位を与える昇圧部と、(4) 抵抗器に流れる電流またはノードの電位に基づいて、NMOSトランジスタのゲートに昇圧部が与える電位を制御する制御部と、を備える。そして、電圧電流変換装置は、第1NPNトランジスタおよび第2NPNトランジスタそれぞれのベースに差動電圧信号を入力し、この差動電圧信号に応じた電流信号をノードから出力する。
【0024】
本発明の電流源装置は、(1) 基準電位を供給する基準電位供給端にドレインが接続されるNMOSトランジスタと、(2) MOSトランジスタのゲートに基準電位以上の電位を与える昇圧部と、(3) NMOSトランジスタのソースから出力される電流を入力する負荷回路における電流または電位に基づいて、NMOSトランジスタのゲートに昇圧部が与える電位を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、高速動作かつ大電流振幅出力が容易な電圧電流変換装置および電流源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、電圧電流変換装置1Aの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、電圧電流変換装置1Bの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、電圧電流変換装置1Cの構成を示す図である。
【
図4】
図4は、昇圧部30の回路構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、制御部40Bの回路構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、電圧電流変換装置1Dの構成を示す図である。
【
図7】
図7は、電圧電流変換装置1Eの構成を示す図である。
【
図8】
図8は、電圧電流変換装置1Fの構成を示す図である。
【
図9】
図9は、電圧電流変換装置1Gの構成を示す図である。
【
図10】
図10は、電圧電流変換装置1Hの構成を示す図である。
【
図11】
図11は、電圧電流変換装置1iの構成を示す図である。
【
図12】
図12は、電圧電流変換装置1Jの構成を示す図である。
【
図13】
図13は、電圧電流変換装置1Kの構成を示す図である。
【
図14】
図14は、電圧電流変換装置1Lの構成を示す図である。
【
図16】
図16は、電圧電流変換装置1Mの構成を示す図である。
【
図17】
図17は、電圧電流変換装置1Nの構成を示す図である。
【
図18】
図18は、電圧電流変換装置1oの構成を示す図である。
【
図19】
図19は、電圧電流変換装置1Pの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
図1は、電圧電流変換装置1Aの構成を示す図である。電圧電流変換装置1Aは、電流供給回路10A、差動回路20A、昇圧部30および制御部40A等を備える。電流供給回路10Aは、第1NMOSトランジスタ11、第2NMOSトランジスタ12、第1抵抗器13および第2抵抗器14を含む。差動回路20Aは、第1NPNトランジスタ21、第2NPNトランジスタ22およびテール電流源23を含む。
【0029】
第1NMOSトランジスタ11および第2NMOSトランジスタ12それぞれのドレインは、第1基準電位(例えば電源電位)を供給する第1基準電位供給端に接続される。第1NMOSトランジスタ11および第2NMOSトランジスタ12それぞれのゲートは互いに接続されている。第1抵抗器13は、第1NMOSトランジスタ11のソースと第1ノードN1との間に設けられている。第2抵抗器14は、第2NMOSトランジスタ12のソースと第2ノードN2との間に設けられている。第1NMOSトランジスタ11および第2NMOSトランジスタ12それぞれの特性は互いに同じである。第1抵抗器13および第2抵抗器14それぞれの抵抗値は互いに等しい。
【0030】
第1NPNトランジスタ21のコレクタは第1ノードN1に接続されている。第2NPNトランジスタ22のコレクタは第2ノードN2に接続されている。テール電流源23は、第1基準電位より低電位の第2基準電位(例えば接地電位)を供給する第2基準電位供給端と、第1NPNトランジスタ21および第2NPNトランジスタ22それぞれのエミッタと、の間に設けられている。第1NPNトランジスタ21および第2NPNトランジスタ22それぞれの特性は互いに同じである。
【0031】
昇圧部30は、第1NMOSトランジスタ11および第2NMOSトランジスタ12それぞれのゲートに、第1基準電位以上の電位を与える。制御部40Aは、第1抵抗器13に流れる電流または第1ノードN1の電位に基づいて、第1NMOSトランジスタ11および第2NMOSトランジスタ12それぞれのゲートに昇圧部30が与える電位を制御する。昇圧部30の回路構成例を
図4に示す。
【0032】
この図に示される構成例では、昇圧部30の出力端と第2基準電位供給端との間に電流源42が設けられている。制御部40Aは、ローパスフィルタ41を介して第1ノードN1の電位を入力し、第1ノードN1の電位が所望値となるように(すなわち、第1抵抗器13に流れる電流が所望値となるように)電流源42に流れる電流を調整することにより、第1NMOSトランジスタ11および第2NMOSトランジスタ12それぞれのゲートに与えられる電位を制御する。
【0033】
電圧電流変換装置1Aは、第1NPNトランジスタ21および第2NPNトランジスタ22それぞれのベースに差動電圧信号INP,INNを入力し、この入力した差動電圧信号に応じた電流信号を第1ノードN1(出力ノード)から負荷2へ出力する。負荷2は、任意でよく、例えばレーザダイオードであり面発光レーザダイオードである。
【0034】
電流供給回路10AのNMOSトランジスタ11,12それぞれは、昇圧部30により第1基準電位以上の電位がゲートに与えられて、飽和領域で動作する。また、電流源42による電流引き抜きの量を調整する制御部40Aにより、NMOSトランジスタ11,12それぞれに流れる電流は一定となるようにフィードバック制御される。さらに、第1ノードN1と制御部40Aとの間にローパスフィルタ41が設けられていることにより、フィードバック系の負荷容量が第1ノードN1(出力ノード)に見えないようになっている。
【0035】
飽和領域で動作するNMOSトランジスタ11,12に対して電流一定フィードバック制御を行うことにより、DCから高周波域までの広い帯域において出力インピーダンスが高い。これは大振幅動作に有利である。すなわち、NMOSトランジスタ11,12それぞれは、昇圧部30により第1基準電位以上の電位がゲートに与えられて、飽和領域で動作することができる。また、昇圧部30による昇圧および電流源42による電流引き抜きにより、NMOSトランジスタ11,12それぞれに一定の電流が流れるように、NMOSトランジスタ11,12それぞれのゲート電位はフィードバック制御される。これにより出力インピーダンスが増大する。これは、インダクタを用いて出力インピーダンスを増大させているのではないので、低周波域でも出力インピーダンスが高い。
【0036】
特許文献1,2に記載されたものを含め従来の電圧電流変換装置では電流供給回路においてPMOSトランジスタを用いていたのに対して、本実施形態では、電流供給回路10AにおいてNMOSトランジスタ11,12を用いている。したがって、本実施形態では、ミラー効果が発生せず、NMOSトランジスタ11,12のゲートから見た容量が大きくないので、フィードバック制御のループ帯域を高速化することが容易である。したがって、高周波域まで、出力インピーダンスを高く維持することが容易であり、高速動作かつ大電流振幅出力が容易となる。
【0037】
PMOSトランジスタと比べて、NMOSトランジスタは、キャリアの移動度が高く、必要な量の電流を流すためのサイズが小さくて済むので、寄生容量が小さい。フィードバック制御のループ帯域以上の高域でも、出力インピーダンスを比較的高く維持することができるので、高速且つ大振幅動作に有利である。また、大振幅動作であることから、NMOSトランジスタ11,12のソースノードに電圧リップルが発生したとしても、寄生容量が小さいので、充放電が早く、ISI(inter-symbol interference、符号間干渉)が生じにくく、高速且つ大振幅動作に有利である。電流源をバイパスする電源への電流パスも無く、電源電流はNMOSトランジスタ11,12で規定されているので、電源電流のパタン依存性は少ない。
【0038】
図2は、電圧電流変換装置1Bの構成を示す図である。電圧電流変換装置1Bは、電流供給回路10A、差動回路20A、昇圧部30、制御部40B、第3抵抗器52および電流源53等を備える。電圧電流変換装置1A(
図1)と比較すると、電圧電流変換装置1B(
図2)は、第3抵抗器52および電流源53を更に備える点で相違し、制御部40Aおよび電流源42に替えて制御部40Bを備える点で相違する。
【0039】
第3抵抗器52は、第1NMOSトランジスタ11のソースと第3ノードN3との間に設けられている。電流源53は、第3ノードN3と第2基準電位供給端との間に設けられている。
【0040】
制御部40Bは、第1抵抗器13に流れる電流または第1ノードN1の電位と、第3抵抗器52に流れる電流または第3ノードN3の電位との比較に基づいて、NMOSトランジスタ11,12それぞれのゲートに昇圧部30が与える電位を制御する。この図に示される構成例では、制御部40Bは、第1ノードN1の電位と第3ノードN3の電位との比較に基づいて、NMOSトランジスタ11,12それぞれのゲートに昇圧部30が与える電位を制御する。制御部40Bは、トランスコンダクタンス増幅器(Gmアンプ、電流引き抜きアンプ)を含む構成とすることができる。制御部40Bは、ノードN3の電位を非反転入力端子に入力し、ローパスフィルタ41を経た第1ノードN1の電位を反転入力端子に入力する。制御部40Bの回路構成例を
図5に示す。
【0041】
抵抗器13,14の抵抗値をRとし、抵抗器13に流れる電流の所望値をIbiasとする。抵抗器52の抵抗値をRのM倍のM*Rとし、電流源53に流れる電流をIbiasのM分の1であるIbias/Mとする。制御部40Bは、第1ノードN1の電位と第3ノードN3の電位とが互いに等しくなるように、NMOSトランジスタ11,12それぞれのゲートに与えられる電位をフィードバック制御する。これにより、抵抗器13,52それぞれの両端に発生する電位差を互いに一致させて、抵抗器13に流れる電流を所望値Ibiasとすることができる。
【0042】
図3は、電圧電流変換装置1Cの構成を示す図である。電圧電流変換装置1Bは、電流供給回路10A、差動回路20A、昇圧部30、制御部40B、第3NMOSトランジスタ51、第3抵抗器52および電流源53等を備える。電圧電流変換装置1A(
図1)と比較すると、電圧電流変換装置1C(
図3)は、第3NMOSトランジスタ51、第3抵抗器52および電流源53を更に備える点で相違し、制御部40Aおよび電流源42に替えて制御部40Bを備える点で相違する。
【0043】
第3NMOSトランジスタ51のドレインは、第1基準電位供給端に接続されている。第3抵抗器52は、第3NMOSトランジスタ51のソースと第3ノードN3との間に設けられている。電流源53は、第3ノードN3と第2基準電位供給端との間に設けられている。NMOSトランジスタ11,12,51それぞれのゲートは互いに接続されている。
【0044】
制御部40Bは、第1抵抗器13に流れる電流または第1ノードN1の電位と、第3抵抗器52に流れる電流または第3ノードN3の電位との比較に基づいて、NMOSトランジスタ11,12,51それぞれのゲートに昇圧部30が与える電位を制御する。この図に示される構成例では、制御部40Bは、第1ノードN1の電位と第3ノードN3の電位との比較に基づいて、NMOSトランジスタ11,12,51それぞれのゲートに昇圧部30が与える電位を制御する。制御部40Bは、トランスコンダクタンス増幅器(電流引き抜きアンプ)を含む構成とすることができる。制御部40Bは、ノードN3の電位を非反転入力端子に入力し、ローパスフィルタ41を経た第1ノードN1の電位を反転入力端子に入力する。
【0045】
NMOSトランジスタ11,12のゲート長をWとし、抵抗器13,14の抵抗値をRとし、抵抗器13に流れる電流の所望値をIbiasとする。NMOSトランジスタ51のゲート長をWのM分の1であるW/Mとし、抵抗器52の抵抗値をRのM倍のM*Rとし、電流源53に流れる電流をIbiasのM分の1であるIbias/Mとする。制御部40Bは、第1ノードN1の電位と第3ノードN3の電位とが互いに等しくなるように、NMOSトランジスタ11,12,51それぞれのゲートに与えられる電位をフィードバック制御する。これにより、NMOSトランジスタ11および抵抗器13の両端に発生する電位差と、NMOSトランジスタ51および抵抗器52の両端に発生する電位差と、を互いに一致させて、抵抗器13に流れる電流を所望値Ibiasとすることができる。
【0046】
図6は、電圧電流変換装置1Dの構成を示す図である。電圧電流変換装置1Dは、電流供給回路10D、差動回路20A、昇圧部30、制御部40Aおよび抵抗器54等を備える。電圧電流変換装置1A(
図1)と比較すると、電圧電流変換装置1D(
図6)は、電流供給回路10Aに替えて電流供給回路10Dを備える点で相違し、抵抗器54を更に備える点で相違する。
【0047】
電流供給回路10Dは、第1NMOSトランジスタ11および第2NMOSトランジスタ12を含む。第1NMOSトランジスタ11および第2NMOSトランジスタ12それぞれのドレインは、第1基準電位(例えば電源電位)を供給する第1基準電位供給端に接続される。第1NMOSトランジスタ11および第2NMOSトランジスタ12それぞれのゲートは互いに接続されている。第1NMOSトランジスタ11および第2NMOSトランジスタ12それぞれの特性は互いに同じである。第1抵抗器13および第2抵抗器14それぞれの抵抗値は互いに等しい。
【0048】
差動回路20Aは、第1NPNトランジスタ21、第2NPNトランジスタ22およびテール電流源23を含む。第1NPNトランジスタ21のコレクタは第1NMOSトランジスタ11のソースに接続されている。第2NPNトランジスタ22のコレクタは第2NMOSトランジスタ12のソースに接続されている。テール電流源23は、第1基準電位より低電位の第2基準電位(例えば接地電位)を供給する第2基準電位供給端と、第1NPNトランジスタ21および第2NPNトランジスタ22それぞれのエミッタと、の間に設けられている。第1NPNトランジスタ21および第2NPNトランジスタ22それぞれの特性は互いに同じである。
【0049】
抵抗器54は、第1NMOSトランジスタ11のソースと第1ノードN1との間に設けられている。
【0050】
昇圧部30は、第1NMOSトランジスタ11および第2NMOSトランジスタ12それぞれのゲートに、第1基準電位以上の電位を与える。制御部40Aは、抵抗器54に流れる電流または第1ノードN1の電位に基づいて、第1NMOSトランジスタ11および第2NMOSトランジスタ12それぞれのゲートに昇圧部30が与える電位を制御する。
【0051】
この図に示される構成例では、昇圧部30の出力端と第2基準電位供給端との間に電流源42が設けられている。制御部40Aは、ローパスフィルタ41を介して第1ノードN1の電位を入力し、第1ノードN1の電位が所望値となるように(すなわち、抵抗器54に流れる電流が所望値となるように)電流源42に流れる電流を調整することにより、第1NMOSトランジスタ11および第2NMOSトランジスタ12それぞれのゲートに与えられる電位を制御する。
【0052】
電圧電流変換装置1Dは、第1NPNトランジスタ21および第2NPNトランジスタ22それぞれのベースに差動電圧信号INP,INNを入力し、この入力した差動電圧信号に応じた電流信号を第1ノードN1(出力ノード)から負荷2へ出力する。負荷2は、任意でよく、例えばレーザダイオードであり面発光レーザダイオードである。
【0053】
電圧電流変換装置1A(
図1)と比較すると、電圧電流変換装置1D(
図6)は、電位検出の為の抵抗器が設けられている位置の点で相違する。電圧電流変換装置1D(
図6)は、NMOSトランジスタ11に流れる電流ではなく、第1ノードN1(出力ノード)から負荷2へ出力される電流を検出するので、より正確な電流値の制御が可能である。
【0054】
図7は、電圧電流変換装置1Eの構成を示す図である。電圧電流変換装置1Eは、電流供給回路10D、差動回路20A、昇圧部30、制御部40B、第3抵抗器52、電流源53および抵抗器54等を備える。電圧電流変換装置1B(
図2)と比較すると、電圧電流変換装置1E(
図7)は、電流供給回路10Aに替えて電流供給回路10Dを備える点で相違し、抵抗器54を更に備える点で相違する。電流供給回路10Dの構成および抵抗器54の位置は、電圧電流変換装置1D(
図6)と同じである。電圧電流変換装置1B(
図2)と比較すると、電圧電流変換装置1E(
図7)は、電位検出の為の抵抗器が設けられている位置の点で相違する。電圧電流変換装置1E(
図7)は、NMOSトランジスタ11に流れる電流ではなく、第1ノードN1(出力ノード)から負荷2へ出力される電流を検出するので、より正確な電流値の制御が可能である。
【0055】
図8は、電圧電流変換装置1Fの構成を示す図である。電圧電流変換装置1Fは、電流供給回路10D、差動回路20A、昇圧部30、制御部40B、第3NMOSトランジスタ51、第3抵抗器52、電流源53および抵抗器54等を備える。電圧電流変換装置1C(
図3)と比較すると、電圧電流変換装置1F(
図8)は、電流供給回路10Aに替えて電流供給回路10Dを備える点で相違し、抵抗器54を更に備える点で相違する。電流供給回路10Dの構成および抵抗器54の位置は、電圧電流変換装置1D(
図6)と同じである。電圧電流変換装置1C(
図3)と比較すると、電圧電流変換装置1F(
図8)は、電位検出の為の抵抗器が設けられている位置の点で相違する。電圧電流変換装置1F(
図8)は、NMOSトランジスタ11に流れる電流ではなく、第1ノードN1(出力ノード)から負荷2へ出力される電流を検出するので、より正確な電流値の制御が可能である。
【0056】
以下では、電圧電流変換装置の様々な変形例の構成について説明する。変形例の構成の説明に際して、電圧電流変換装置1A(
図1)、電圧電流変換装置1B(
図2)、電圧電流変換装置1C(
図3)、電圧電流変換装置1D(
図6)、電圧電流変換装置1E(
図7)および電圧電流変換装置1F(
図8)のうちの何れかの構成を基にして説明するが、他の構成を基にした変形例の構成も可能である。また、以下に説明する複数の変形例の構成のうち2以上の変形例の構成を組み合わせることも可能である。
【0057】
NMOSトランジスタ11,12(およびNMOSトランジスタ51)は、通常の構成のものであってもよいが、好適には、NタイプLDMOSトランジスタであってもよいし、トリプルウェル構造を有するものであってもよい。これらのNMOSトランジスタを用いることで高耐圧特性を向上させることができる。
【0058】
NタイプLDMOSトランジスタは、同程度の耐圧を有するNMOSトランジスタに比べて、低オン抵抗や良好な高周波特性が期待できるので、昇圧部30と組み合わせて使う場合の特性改善に役立つ。NタイプLDMOSトランジスタは、ドレインとゲートとの間の単位長さ当たりの電界勾配を小さくするような構造を有し、この結果、同じゲート長であっても耐圧が高い。例えば、ゲート長0.13μmのCMOSの耐圧は1.5Vであるのに対して、同じゲート長のLDMOSの耐圧は5V超とすることも可能である。耐圧5V超のCMOSは、0.4μm以上のデザインルールとなるので、巨大化し、寄生容量や寄生抵抗が増大する。高耐圧が要求されるアプリケーションでは、LDMOSを使うことにより、CMOSに比べて寄生抵抗や寄生容量が少なく高周波特性に優れた回路を実現することができる。
【0059】
トリプルウェル構造を有するNMOSトランジスタは、P型基板上に順にディープNウェルおよびPウェルが形成され、このPウェルにドレインおよびソースが形成されたものである。また、Pウェルと外部回路とを電気的に接続するためのPウェルコンタクトが形成されている。通常の構成のNMOSトランジスタのゲートと基板との間に電源電圧以上の電位差が印加されると、NMOSトランジスタのゲート破壊が生じる危険がある。これに対して、トリプルウェル構造を有するNMOSトランジスタを用いれば、耐圧問題を回避することができる。NMOSトランジスタ11,12(およびNMOSトランジスタ51)としてトリプルウェル構造を有するものを用いる場合、
図9~
図12に示されるようにバイアスをするのが好適である。これらの図に示される構成は、電圧電流変換装置1B(
図2)を基にした変形例である。
【0060】
図9に示される電圧電流変換装置1Gの構成では、電流供給回路10Gのトリプルウェル構造を有するNMOSトランジスタ11,12それぞれのPウェルは、ウェル間に形成される寄生ダイオードを介して第1基準電位供給端に接続され、また、抵抗器15を介して第1ノードN1に接続されている。
【0061】
図10に示される電圧電流変換装置1Hの構成では、電流供給回路10Hのトリプルウェル構造を有するNMOSトランジスタ11,12それぞれのPウェルは、ウェル間に形成される寄生ダイオードを介して第1基準電位供給端に接続され、また、抵抗器16を介してNMOSトランジスタ11のソースに接続されている。
【0062】
図11に示される電圧電流変換装置1iの構成では、電流供給回路10iのトリプルウェル構造を有するNMOSトランジスタ11,12それぞれのPウェルは、ウェル間に形成される寄生ダイオードを介して第1基準電位供給端に接続され、また、電圧源17を介して第1基準電位供給端に接続される。
【0063】
図12に示される電圧電流変換装置1Jの構成では、電流供給回路10Jのトリプルウェル構造を有するNMOSトランジスタ11,12それぞれのPウェルは、ウェル間に形成される寄生ダイオードを介して第1基準電位供給端に接続され、また、ダイオード18を介して第1基準電位供給端に接続される。
【0064】
これら
図9~
図12に示される構成とすることにより、電源電圧を超える電位差がNMOSトランジスタ11,12それぞれのゲートと基板との間に印加されることが抑制されるので、耐圧問題が生じない。
図9に示される構成と比べて、
図10に示される構成では、基板電位がより高く、基板バイアス効果によるVth増大が緩和され、また、ソースと基板との間の電位が無く、ソースと基板との間の寄生容量が見えなくなる点で有利である。
【0065】
図13は、電圧電流変換装置1Kの構成を示す図である。電圧電流変換装置1B(
図2)と比べると、電圧電流変換装置1K(
図13)は、差動回路20Aに替えて差動回路20Kを備える点で相違する。差動回路20Kは、第2基準電位供給端とNPNトランジスタ21のエミッタとの間のテール電流源25と、第2基準電位供給端とNPNトランジスタ22のエミッタとの間のテール電流源26と、が別個に設けられている。また、NPNトランジスタ21,22それぞれのエミッタの間に抵抗器24が設けられている。このような構成とすることにより、エミッタデジェネレーションが発生し、差動対のトランスコンダクタンスが縮退される。ゲインが抑制され、入力ダイナミックレンジが増大して、電圧電流変換装置1Kのリニア動作が可能となる。
【0066】
図14は、電圧電流変換装置1Lの構成を示す図である。電圧電流変換装置1B(
図2)と比べると、電圧電流変換装置1L(
図14)は、ダミー負荷60を更に備える点で相違する。ダミー負荷60は、第2ノードN2に接続され、負荷2と同程度のインピーダンスを有する。例えば、負荷2がレーザダイオードである場合、ダミー負荷60は、
図15に示されるように、抵抗器601およびダイオード602,603を直列に接続した構成とすることができる。ダイオード602,603は、NPNトランジスタのコレクタとベースとを互いに接続することで構成され得る。このようなダミー負荷60を備える構成とすることにより、回路動作の左右対称性が改善され、電源電流のパタン依存性を抑制することができ、電源ノイズを抑制する上で有効である。
【0067】
図16は、電圧電流変換装置1Mの構成を示す図である。電圧電流変換装置1B(
図2)と比べると、電圧電流変換装置1M(
図16)は、第3抵抗器52の抵抗値または電流源53の電流値が可変である点で相違する。このような構成とすることにより、NMOSトランジスタ11,12に流れる電流を調整することが可能となる。
【0068】
図17は、電圧電流変換装置1Nの構成を示す図である。電圧電流変換装置1C(
図3)と比べると、電圧電流変換装置1N(
図17)は、複数の電流供給回路10Aを備える点で相違する。複数の電流供給回路10Aそれぞれと第1基準電位供給端との間にスイッチ61,62が設けられている。各電流供給回路10Aに対して1組のスイッチ61,62が設けられている。複数組のスイッチ61,62のうちオン状態とするスイッチ61,62の組の個数により、複数の電流供給回路10Aのうち第1基準電位供給端に接続される電流供給回路10Aの個数を可変とすることができる。このような構成とすることにより、参照パス(第3NMOSトランジスタ51、第3抵抗器52、電流源53)とのサイズ比率を変更することができるので、NMOSトランジスタ11,12に流れるトータルの電流値を調整することが可能となる。電流値を調整しても、NMOSトランジスタ11,12の動作点が常に一定に保たれ、電流可変レンジを広くし易い。なお、第3NMOSトランジスタ51のドレインと第1基準電位供給端との間に設けられたスイッチ63は、NMOSトランジスタ11,12のドレインと第1基準電位供給端との間に設けられたスイッチ61,62のレプリカであって、使用時には常にオン状態であり、設けられていなくてもよい。
【0069】
図18は、電圧電流変換装置1oの構成を示す図である。電圧電流変換装置1A(
図1)と比べると、電圧電流変換装置1o(
図18)は、電流供給回路10Aに替えて電流供給回路10oを備える点で相違する。電流供給回路10oは、NPNトランジスタ111,112および抵抗器13,14を含む。
【0070】
NPNトランジスタ111,112それぞれのコレクタは、第1基準電位(例えば電源電位)を供給する第1基準電位供給端に接続される。NPNトランジスタ111,112それぞれのベースは互いに接続されている。抵抗器13は、NPNトランジスタ111のエミッタとノードN1との間に設けられている。抵抗器14は、NPNトランジスタ112のエミッタとノードN2との間に設けられている。NPNトランジスタ111,112それぞれの特性は互いに同じである。抵抗器13,14それぞれの抵抗値は互いに等しい。
【0071】
昇圧部30は、NPNトランジスタ111,112それぞれのベースに、第1基準電位以上の電位を与える。制御部40Aは、抵抗器13に流れる電流またはノードN1の電位に基づいて、NPNトランジスタ111,112それぞれのベースに昇圧部30が与える電位を制御する。
【0072】
電圧電流変換装置1A(
図1)の電流供給回路10AはNMOSトランジスタ11,12を含む構成であったの対し、電圧電流変換装置1o(
図18)の電流供給回路10oはNPNトランジスタ111,112を含む。後者の構成でも、高速動作かつ大電流振幅出力が容易な電圧電流変換装置を実現することができる。
【0073】
図19は、電圧電流変換装置1Pの構成を示す図である。電圧電流変換装置1A(
図1)と比べると、電圧電流変換装置1P(
図19)は、電流供給回路10Aに替えて電流供給回路10Pを備える点で相違する。電流供給回路10Pは、NMOSトランジスタ11および抵抗器13を含む。
【0074】
NMOSトランジスタ11のドレインは、第1基準電位(例えば電源電位)を供給する第1基準電位供給端に接続される。抵抗器13は、NMOSトランジスタ11のソースとノードN1との間に設けられている。NPNトランジスタ21のコレクタは、ノードN1に接続されている。NPNトランジスタ22のコレクタは、第1基準電位供給端に接続される。昇圧部30は、NMOSトランジスタ11のゲートに第1基準電位以上の電位を与える。制御部40Aは、抵抗器に流れる電流またはノードの電位に基づいて、NMOSトランジスタのゲートに昇圧部が与える電位を制御する。
【0075】
電圧電流変換装置1A(
図1)の電流供給回路10Aは二つのNMOSトランジスタ11,12および二つの抵抗器13,14を含む構成であったの対し、電圧電流変換装置1P(
図19)の電流供給回路10Pは一つのNMOSトランジスタ11および一つの抵抗器13を含む。後者の構成でも、高速動作かつ大電流振幅出力が容易な電圧電流変換装置を実現することができる。
【0076】
図20は、電流源装置1Qの構成を示す図である。電流源装置1Qは、NMOSトランジスタ11、昇圧部30および制御部40A等を備える。
【0077】
NMOSトランジスタ11のドレインは、第1基準電位(例えば電源電位)を供給する第1基準電位供給端に接続される。NMOSトランジスタ11のソースから出力された電流は負荷回路3に入力される。昇圧部30は、NMOSトランジスタ11のゲートに基準電位以上の電位を与える。制御部40Aは、NMOSトランジスタのソースから出力される電流を入力する負荷回路3内の所定のノードにおける電流または電位に基づいて、NMOSトランジスタ11のゲートに昇圧部30が与える電位を制御する。
【0078】
この図に示される構成例では、昇圧部30の出力端と第2基準電位供給端(例えば接地電位供給端)との間に電流源42が設けられている。制御部40Aは、負荷回路3内の所定のノードにおける電流または電位が所望値となるように電流源42に流れる電流を調整することにより、NMOSトランジスタ11のゲートに与えられる電位を制御する。
【0079】
負荷回路3は、任意でよく、高速動作が要求される回路であってもよい。電流源装置1Qは、電流供給の為にNMOSトランジスタ11を用い、このNMOSトランジスタ11のゲートに基準電位以上の電位を与えることから、高速動作かつ大電流振幅出力が容易となり、高速動作が要求される負荷回路3に対して電流を好適に供給することができる。
【符号の説明】
【0080】
1A~1P…電圧電流変換装置、1Q…電流源装置、2…負荷、3…負荷回路。
10A,10D,10G~10J,10o,10P…電流供給回路、11…第1NMOSトランジスタ、12…第2NMOSトランジスタ、13…第1抵抗器、14…第2抵抗器、15…第4抵抗器、16…第5抵抗器、17…電圧源、18…ダイオード、111,112…NPNトランジスタ。
20A,20K…差動回路、21…第1NPNトランジスタ、22…第2NPNトランジスタ、23…テール電流源、24…抵抗器、25,26…テール電流源。
30…昇圧部、40A…制御部、40B…制御部(電流引き抜きアンプ)、41…ローパスフィルタ、42…電流源。
51…第3NMOSトランジスタ、52…第3抵抗器、53…電流源、54…抵抗器、60…ダミー負荷、61~63…スイッチ。
N1…第1ノード、N2…第2ノード、N3…第3ノード。