(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089932
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】制動装置及び建物の免震構造
(51)【国際特許分類】
F16F 15/02 20060101AFI20240627BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20240627BHJP
F16F 15/04 20060101ALI20240627BHJP
F16F 3/02 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
F16F15/02 E
E04H9/02 331B
F16F15/04 E
F16F15/02 D
F16F3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205481
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊丹 十夢
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】千葉 一樹
(72)【発明者】
【氏名】知念 輝
【テーマコード(参考)】
2E139
3J048
3J059
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AB13
2E139BA20
2E139BA24
2E139BD35
2E139CA02
2E139CB04
2E139CB05
2E139CC02
3J048AA02
3J048AC01
3J048AD11
3J048BC02
3J048BC05
3J048BE12
3J048CB01
3J048DA01
3J048EA38
3J059AA06
3J059AC03
3J059BA01
3J059BA21
3J059BB03
3J059BB04
3J059BD01
(57)【要約】
【課題】エネルギー吸収性能に優れ、かつ繰り返しの使用が可能であるうえに、外力の作用方向の長さを短くすることが可能な制動装置を提供する。
【解決手段】外力により生じるエネルギーを吸収させるための制動装置1である。
円盤状に形成されて周面54が作用面となる可動プレート5と、可動プレートに重ねられる第1プレート21及び第2プレート22と、重ねられたプレートを貫通するとともに、第1プレート及び第2プレートの拘束穴211,221に嵌合される芯材部4と、芯材部の端部に軸方向が伸縮方向となるように装着されるバネ部3とを備えている。
そして、プレート同士は、軸直交方向の摺動がいずれの方向に対しても同じ力の大きさで起きるように形成された凹凸の嵌め合わせがされた状態でバネ部による復元力を受けている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外力により生じるエネルギーを吸収させるための制動装置であって、
円盤状に形成されて周面が作用面となる可動プレートと、
前記可動プレートの前記周面に直交する第1面に重ねられる第1プレートと、
前記可動プレートの前記周面に直交する第2面に重ねられる第2プレートと、
重ねられた前記第1プレート、前記可動プレート及び前記第2プレートを貫通するとともに、前記第1プレート及び前記第2プレートの拘束穴に嵌合される芯材部と、
前記第1プレート及び前記第2プレートの少なくとも一方から突出された前記芯材部の端部に、前記芯材部の軸方向が伸縮方向となるように装着されるバネ部とを備え、
前記可動プレートには、前記芯材部の軸直交方向の相対的な移動を許容する大きさの通過穴が設けられるとともに、
前記第1プレート及び前記第2プレートの少なくとも一方と前記可動プレートとは、前記軸直交方向の摺動がいずれの方向に対しても同じ力の大きさで起きるように形成された凹凸の嵌め合わせがされた状態で前記バネ部による復元力を受けていることを特徴とする制動装置。
【請求項2】
前記バネ部は、剛性が異なる皿バネ材又はコイルバネ材を組み合わせることで形成されることを特徴とする請求項1に記載の制動装置。
【請求項3】
前記凹凸は、前記通過穴を中心とする円錐状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の制動装置。
【請求項4】
前記凹凸は、前記可動プレート側が截頭円錐状の凹部となって、前記第1プレート又は前記第2プレート側が截頭円錐状の凸部になることを特徴とする請求項3に記載の制動装置。
【請求項5】
前記芯材部は、複数本が配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の制動装置。
【請求項6】
前記凹凸の嵌め合わせは、前記第1プレート側と前記第2プレート側との両方に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の制動装置。
【請求項7】
前記バネ部は、前記第1プレート又は前記第2プレートの一方から突出された前記芯材部の端部に装着され、前記芯材部の他方の端部は前記第2プレート又は前記第1プレートの前記拘束穴に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の制動装置。
【請求項8】
免震装置が配置される建物の免震構造であって、
前記免震装置が配置される免震層に設置される請求項1又は2に記載の制動装置と、
前記免震層に所定以上の変形が生じる前に前記制動装置を作動させるための反力部とを備えていることを特徴とする建物の免震構造。
【請求項9】
前記免震層の上部側又は下部側に前記制動装置が設置されるとともに、
前記可動プレートの前記周面に対向する位置に、前記反力部となる円筒状の内周面が設けられることを特徴とする請求項8に記載の建物の免震構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外力により生じるエネルギーを吸収させるための制動装置、及びそれが設置された建物の免震構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震の揺れの伝達を抑えるために、建物と基礎との間に免震装置が配置された建物の免震構造が知られている。こうした免震構造では、構造設計時に想定するレベルを上回る想定外の大地震が発生した場合に、免震装置が配置された免震層に過大変形が生じ、建物が周囲の擁壁に衝突したり、免震装置が過大変形することで免震層が損傷することが懸念される。また、擁壁衝突時の衝撃力によって、上部建物が損傷する可能性もある。
【0003】
そこで、特許文献1に開示されているように、緩衝材となるゴム製ブロックを、大地震時の過大変形によって衝突が起きうる箇所に予め設置しておくことで、衝撃を緩和させることが行われている。ここで、ゴム製ブロックは、大きな力が作用すると、塑性変形することでエネルギーを吸収することも知られている。
【0004】
一方、特許文献2には、外力の作用方向に複数の皿バネを並べたバネ機構を備えた振動抑制装置が開示されている。この振動抑制装置では、所定値より大きい変位が生じた際に可動するバネ量を増やすことで、変位が大きいときほど剛性が低くなるようにしている。こうした振動抑制装置は、免震装置に復元力を生じさせるためのバネ材として使用したり、減衰材などを付与することでダンパー材として使用したりすることができる。
【0005】
さらに、特許文献3,4には、建物などの構造物の制振機構として、複数の皿バネを並べたバネ部材を使用することが開示されている。この皿バネを要素としたバネ部材は、圧縮力と引張力の双方に対応し得る構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-71651号公報
【特許文献2】特開2017-78432号公報
【特許文献3】特開2012-163134号公報
【特許文献4】特開2012-102793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたようなエネルギーを吸収するために塑性化させる装置は、塑性化によって性能が低下したときに交換する必要があるが、大地震後などでは早急な対応が難しいうえに、交換費用が必要になる。
【0008】
また、特許文献2-4に開示されたような複数の皿バネを並べる構成では、皿バネの1枚当たりの変形量が少ないので、制振機構のように外力の作用方向に一定以上の変位をさせることが条件となる場合は、多くの皿バネを組み込む必要があり、装置の長さが長くなって大型化することになる。免震装置が配置される免震ピットは、多数の配管などが敷設されていて、利用できる空間に制約があるため、装置はなるべく小さい方が望ましい。
【0009】
そこで本発明は、エネルギー吸収性能に優れ、かつ繰り返しの使用が可能であるうえに、外力の作用方向の長さを短くすることが可能な制動装置、及びそれが設置された建物の免震構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の制動装置は、外力により生じるエネルギーを吸収させるための制動装置であって、円盤状に形成されて周面が作用面となる可動プレートと、前記可動プレートの前記周面に直交する第1面に重ねられる第1プレートと、前記可動プレートの前記周面に直交する第2面に重ねられる第2プレートと、重ねられた前記第1プレート、前記可動プレート及び前記第2プレートを貫通するとともに、前記第1プレート及び前記第2プレートの拘束穴に嵌合される芯材部と、前記第1プレート及び前記第2プレートの少なくとも一方から突出された前記芯材部の端部に、前記芯材部の軸方向が伸縮方向となるように装着されるバネ部とを備え、前記可動プレートには、前記芯材部の軸直交方向の相対的な移動を許容する大きさの通過穴が設けられるとともに、前記第1プレート及び前記第2プレートの少なくとも一方と前記可動プレートとは、前記軸直交方向の摺動がいずれの方向に対しても同じ力の大きさで起きるように形成された凹凸の嵌め合わせがされた状態で前記バネ部による復元力を受けていることを特徴とする。
【0011】
ここで、前記バネ部は、剛性が異なる皿バネ材又はコイルバネ材を組み合わせることで形成することができる。また、前記凹凸は、前記通過穴を中心とする円錐状に形成されている構成とすることができる。さらに、前記凹凸は、前記可動プレート側が截頭円錐状の凹部となって、前記第1プレート又は前記第2プレート側が截頭円錐状の凸部になることが好ましい。
【0012】
また、前記芯材部は、複数本が配置される構成とすることができる。さらに、前記凹凸の嵌め合わせは、前記第1プレート側と前記第2プレート側との両方に設けられる構成とすることができる。そして、前記バネ部は、前記第1プレート又は前記第2プレートの一方から突出された前記芯材部の端部に装着され、前記芯材部の他方の端部は前記第2プレート又は前記第1プレートの前記拘束穴に固定されている構成であってもよい。
【0013】
また、建物の免震構造の発明は、免震装置が配置される建物の免震構造であって、前記免震装置が配置される免震層に設置される上記いずれかに記載の制動装置と、前記免震層に所定以上の変形が生じる前に前記制動装置を作動させるための反力部とを備えていることを特徴とする。
【0014】
ここで、前記免震層の上部側又は下部側に前記制動装置が設置されるとともに、前記可動プレートの前記周面に対向する位置に、前記反力部となる円筒状の内周面が設けられる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
このように構成された本発明の制動装置は、外力の作用方向と略直交する方向が伸縮方向となるバネ部を備えている。そして、可動プレートの周面に外力が作用して移動すると、第1プレート又は第2プレートと可動プレートとの間の凹凸の嵌め合わせの解除の際にバネ部が収縮するとともに、これらの間において摺動によるエネルギー吸収が行われる。
【0016】
このため、面内のいずれの方向から作用する外力に対してもエネルギー吸収性能に優れている。また、バネ部を伸縮させる機構のため、復元性能に優れ、繰り返しの使用が可能である。さらに、バネ部の伸縮方向が外力の作用方向と略直交する方向となっているので、制動装置の外力の作用方向の長さを短くすることができる。
【0017】
また、バネ部を、剛性が異なる皿バネ材又はコイルバネ材を組み合わせることで形成するのであれば、剛性増加型の復元力特性となるように設定して、緩やかな制動を行わせることができる。
【0018】
また、建物の免震構造の発明は、免震装置が配置される免震層に制動装置が設置されるとともに、免震層に所定以上の変形が生じる前に制動装置を作動させるための反力部を備えている。このため、設計時の想定以上の大地震が発生しても、建物が周囲の擁壁に衝突したり、免震装置が過大変形することで免震層が損傷したりすることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施の形態の制動装置の内部構造を説明する図であって、(a)は平常時の状態を示す破断斜視図、(b)は大地震時の状態を示す破断斜視図である。
【
図2】本実施の形態の建物の免震構造を説明する図であって、(a)は平常時の状態を示す模式図、(b)は大地震時の状態を示す模式図である。
【
図3】本実施の形態の制動装置の構成を説明するための斜視図である。
【
図4】本実施の形態の制動装置の構成を説明するための分解斜視図である。
【
図5】本実施の形態の制動装置の構成を説明するための断面図である。
【
図7】バネ部の復元力特性を説明する図であって、(a)はバネ部の剛性増加型の復元力特性を説明するためのグラフ、(b)は摩擦を含めた制動装置の復元力特性を説明するためのグラフである。
【
図8】制動装置の動作を説明する図であって、(a)は初期状態を説明するための断面図、(b)は作動時の状態を説明するための断面図である。
【
図9】本実施の形態の建物の免震構造における制動装置の設置例を示した図であって、(a)はターゲットの一部を破断した斜視図、(b)はターゲットと可動プレートとの配置関係を説明する平面図である。
【
図10】本実施の形態の建物の免震構造における制動装置の作動範囲を示した説明図である。
【
図11】実施例1の制動装置の構成を説明する図であって、(a)は上側のプレートが平板である場合を示す断面図、(b)は下側のプレートが平板である場合を示す断面図である。
【
図12】実施例2の制動装置の構成を説明する図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【
図13】実施例2の別の制動装置の構成を説明する図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【
図14】制動装置の軸数及び他の諸元と安定度との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1、
図3-
図5は、本実施の形態の制動装置1の構成を説明するための図である。また、
図2は、本実施の形態の建物の免震構造を模式的に示した説明図である。
【0021】
本実施の形態の制動装置1は、外力により生じるエネルギーを吸収させるための装置である。本実施の形態の制動装置1は、免震構造の建物と組み合わせて使用することができる。また、フォークリフトなどの重機のバンパ、人工知能(AI)によって制御される移動機器などにも、本実施の形態の制動装置1を取り付けることができる。
【0022】
以下、本実施の形態では、
図2(a)に示すように、免震装置Eが配置された建物Mに対して制動装置1を設置する場合について、主に説明する。地震の揺れの伝達を抑えるために、建物Mと基礎Bとの間に免震装置Eが配置された建物Mでは、地震時に、免震装置Eが配置された免震層において変形が生じる(
図2(b)参照)。
【0023】
免震構造の建物Mでは、構造設計時に想定したレベルを上回る想定外の大地震が発生した場合に、
図2(b)に示すように免震層において過大な変形が生じ、建物Mが周囲の擁壁M4に衝突したり、免震装置Eが過大変形することで免震層が損傷することが懸念される。そこで、こうした免震層の過大変形を抑えるために、本実施の形態の制動装置1を設置する。
【0024】
本実施の形態の制動装置1は、
図1及び
図3に示すように、円盤状に形成されて周面54が作用面となる可動プレート5と、可動プレート5の周面54に直交する第1面に重ねられる第1プレート21と、同じく周面54に直交する第2面に重ねられる第2プレート22と、重ねられたプレート(21,5,22)を貫通する芯材部4と、芯材部4の端部に装着されるバネ部3とを備えている。ここで、
図1は、制動装置1を芯材部4が並んだ位置で破断して内部構造を示した破断斜視図であり、
図3は、制動装置1の外観を下から仰ぎ見た斜視図である。
【0025】
図4に示すように、可動プレート5は、厚みのある円盤状に形成されていて、円筒状の周面54が外部から押される作用面となる。この図では、可動プレート5の上面が周面54に直交する第1面となり、可動プレート5の下面が周面54に直交する第2面となる。そして、可動プレート5の第1面に重ねられる第1プレート21と第2面に重ねられる第2プレート22は、可動プレート5よりも直径が小さい円盤状にそれぞれ形成される。
【0026】
可動プレート5には、芯材部4を通す芯材部4の直径より大きな内径となる通過穴53が穿孔される。
図4では、可動プレート5に貫通させる4本の芯材部4の数に合わせて、4個の通過穴53が設けられている。
【0027】
通過穴53の内径は、
図5に示すように、芯材部4の外径より充分に大きく、この芯材部4の外周面と通過穴53の内周面との離隔が、芯材部4の軸直交方向の相対的な移動を許容する大きさと言える。また、第1プレート21又は第2プレート22よりも可動プレート5が側方に突出する長さによっても、可動プレート5が水平方向に移動できる範囲が規定される。
【0028】
さらに、通過穴53の周縁には、
図4に示すように、截頭円錐状の凹部51の勾配のある周面が形成される。すなわち、通過穴53を中心とする円錐状の凹部51は、通過穴53によって截頭されるため、截頭円錐形になる。
【0029】
可動プレート5の下面側にも、上面側と同様に截頭円錐状の凹部52が形成されている。一方、可動プレート5の下面側の凹部52と対向する第2プレート22の上面には、截頭円錐状の凸部222が形成される。この可動プレート5の下面側の凹部52と第2プレート22の上面側の凸部222とが、凹凸に嵌め合わされた状態になる。
【0030】
同様に、第1プレート21の下面側にも截頭円錐状の凸部212が形成され、可動プレート5の上面側の凹部51と第1プレート21の下面側の凸部212とが、凹凸に嵌め合わされた状態になる。
図5は、可動プレート5の上下において、それぞれに対向する第1プレート21と第2プレート22との間で、凹凸の嵌め合わせがされた状態を示している。
【0031】
この凹凸の嵌め合わせの関係は、可動プレート5側と第1プレート21又は第2プレート22側との関係が逆になっていてもよい。すなわち、可動プレートに設けられるのが凸部で、第1プレート又は第2プレート側に設けられるのが凹部となっていてもよい。
【0032】
截頭円錐状の凹凸の嵌め合わせは、芯材部4の軸直交方向(水平方向)となるいずれの方向(360°)に対しても拘束力が同じになるので、水平方向のいずれの方向から力を受けても、同じ力の大きさで同じ状態の摺動が生じることになる。
【0033】
芯材部4は、可動プレート5の通過穴53を貫通するだけでなく、第1プレート21及び第2プレート22の拘束穴211,221も貫通する。ここで、拘束穴211,221の「拘束」の意味は、芯材部4の軸直交方向(水平方向)の相対的な移動を制限するという意味である。
【0034】
本実施の形態の制動装置1は、バネ部3が芯材部4の下側の端部にのみ装着されるので、芯材部4の上側の端部は、第1プレート21の拘束穴211に固定されることになる。例えば、拘束穴211の内周面に雌ネジを設けておき、芯材部4の上端の雄ネジをねじ込むことで、第1プレート21に対して芯材部4の軸方向の移動が起きないように固定させる。
【0035】
これに対して第2プレート22の拘束穴221と芯材部4との関係は、芯材部4の軸直交方向の相対的な移動は制限することになるが、芯材部4の軸方向の相対的な移動は制限されない関係となる。すなわち、バネ部3の伸縮量によって第2プレート22は上下動することになるので、芯材部4に沿った第2プレート22の上下動が制限されないようにする。
【0036】
本実施の形態の制動装置1では、第2プレート22の下方から突出された芯材部4の端部に、芯材部4の軸方向が伸縮方向となるようにバネ部3が装着される。すなわち、可動プレート5の周面54に対して入力される外力の作用方向は、芯材部4の軸直交方向であり、その作用方向と略直交する芯材部4の軸方向がバネ部3の伸縮方向となるように、円筒状のバネ部3が配置される。
【0037】
要するに、バネ部3の円柱状の中空部に対して、円柱状の芯材部4が挿入される。芯材部4は、バネ部3のガイド機能も発揮することになる。また、バネ部3の下側には、ワッシャ34とナット35が取り付けられて、バネ部3の下端の位置は芯材部4の所定の位置に固定されることになる。
【0038】
バネ部3は、
図1(a)に示すように、制動装置1が作動していない平常時において最も伸びた状態になる。要するに、可動プレート5の上下において第1プレート21と第2プレート22との間で凹凸の嵌め合わせがされた状態が維持される程度にナット35を締め上げてワッシャ34の位置を固定し、ワッシャ34に載せられたバネ部3の復元力によって第2プレート22及び可動プレート5を第1プレート21側に押し付けるような設定にする。
【0039】
一方、
図1(b)に示すように、大地震時などにおいて、可動プレート5の周面54に外力が作用して可動プレート5が芯材部4の軸直交方向(水平方向)に移動すると、可動プレート5と第1プレート21及び第2プレート22との凹凸の嵌め合わせが解除されるような摺動が起きる。
【0040】
そして、凸部212,222が凹部51,52をせり上がって第1プレート21と第2プレート22との離隔が広がると、バネ部3が収縮することになる。なお、第1プレート21の上面が構造物などに固定されている場合は、可動プレート5が斜めに下がっていくとともに、第2プレート22は芯材部4に沿って真っすぐ下がり、それに押されてバネ部3が収縮することになる。
【0041】
このバネ部3を収縮させるような可動プレート5の移動が起きたときに、可動プレート5と第1プレート21との間、及び可動プレート5と第2プレート22との間で、摩擦抵抗のある摺動が起きてエネルギーの吸収が行われる。
【0042】
続いて、
図6及び
図7を参照しながら、バネ部3の構成及び復元力特性について説明する。本実施の形態の制動装置1に配置されるバネ部3は、剛性が異なる複数の皿バネ材を組み合わせることによって形成される。
【0043】
図6では、3種類の剛性が異なる皿バネ材が重ねられた構成を示している。詳細には、下から4枚の第1皿バネ材31と、4枚の第2皿バネ材32と、6枚の第3皿バネ材33とが重ねられている。
【0044】
第1皿バネ材31と第2皿バネ材32と第3皿バネ材33は、材厚や材質を変えることによって、異なる剛性になっている。ここでは、剛性が高い順に、第1皿バネ材31、第2皿バネ材32、第3皿バネ材33となる。また、バネ部3全体の剛性については、皿バネ材(31,32,33)を重ねる枚数によっても、調整することができる。
【0045】
図7(a)は、バネ部3の剛性増加型の復元力特性を説明するためのグラフである。上述したように構成されたバネ部3は、変形の増大に伴って剛性を増加させることができるので、例えば免震層の変形の増加に従って、徐々にブレーキを効かせることができるようになる。
【0046】
図7(a)のバネ部3に作用する荷重が0(kN)で変形が0(mm)のA点は、
図6に示すような初期状態を示している。そして、バネ部3を収縮(圧縮)させる荷重が作用すると、B点までは剛性が最も低い第3皿バネ材33が主に変形する。
【0047】
B点を超えて、さらにバネ部3に作用する荷重が増加すると、C点までは第2皿バネ材32が主に変形し、C点を超えると、最も剛性が高い第1皿バネ材31が主に変形することになる。このように、変形の増加に伴って段階的に系全体の剛性が増加するバネ部3の復元力特性を、剛性増加型という。
【0048】
本実施の形態の制動装置1は、このようなバネ部3の収縮時の復元力特性を利用した制動を行う。さらに、本実施の形態の制動装置1では、可動プレート5と第1プレート21との間、及び可動プレート5と第2プレート22との間で起きる摺動によっても、エネルギーの吸収が行われる。
【0049】
上述したように、可動プレート5の作用面となる周面54が押されて移動が始まると、可動プレート5と第1プレート21及び第2プレート22との凹凸の嵌め合わせが解除され、摩擦抵抗を伴った摺動が起きる。
【0050】
この際の摩擦抵抗(摩擦係数)の大きさは、凸部212,222と凹部51,52の周面の勾配や接触面の処理などによって、任意に設定することができる。また、圧縮したバネ部3の復元力で第1プレート21と可動プレート5と第2プレート22とを押し付けあわせていることによって、摩擦力が増加することにもなる。
【0051】
特に、凸部212,222と凹部51,52の周面の勾配(角度θ)によって、摩擦力の大きさを調整することができる。角度θが小さい(緩勾配)ほどバネ部3の必要変形量を抑えるとともに、摩擦力を大きくできる。ただし、角度θを小さくしすぎると装置の復元力を摩擦力が上回り復元できなくなる。このため、安定して復元する程度に角度θを大きくする必要がある。この角度θは、45°以下、例えば20°から30°程度に設定する。
【0052】
図7(b)は、摩擦を含めた制動装置1の復元力特性を説明するためのグラフである。グラフの破線は、
図7(a)で説明したバネ部3のみの復元力特性を示している。そこに、第1プレート21と可動プレート5と第2プレート22との間の摺動面間に生じる摩擦力を加えると、実線で示したような復元力特性に設定することができる。
【0053】
摩擦を含めた制動装置1の復元力特性では、可動プレート5の周面54が押されて移動が始まると、摺動面間の摩擦力と第3皿バネ材33の収縮によって、バネ部3のみの場合と比べて、剛性の高い挙動を示す。
【0054】
このバネ部3のみの場合よりも剛性が上回る挙動は、変形が増加している間は続く。また、変形が大きくなるほど、バネ部3の収縮量が増えて復元力も大きくなるので、摺動面間の摩擦力も大きくなる。
【0055】
そして、外力が減少してバネ部3が復元(伸長)し始めると、摺動面間に摩擦力がある分だけ、制動装置1の復元力が小さくなり、エネルギー吸収量を増やすことができる。さらに摩擦を大きくして、建物Mに比べて制動装置1が遅れて復元する場合は、圧縮時の破線で囲まれた範囲のすべてがエネルギー吸収量となり、より大きなエネルギーを吸収することができる。
【0056】
次に、
図8を参照しながら、本実施の形態の制動装置1の動作について説明する。
図8(a)は、制動装置1の初期状態を説明するための断面図である。制動装置1は、例えば
図2(a)に示すように、基礎梁や床梁などの梁部材M1の下面から、免震装置Eが配置された免震層に垂下させた垂下部M2に取り付けられる。
【0057】
ここで、第1プレート21は、制動装置1内の相対的な位置関係では、固定部となる。また、性能を安定させるために、バネ部3には初期圧縮力が加えられて、少し圧縮された状態となっている。この初期圧縮力は、制動装置1の作動開始時に、大きな衝撃力が発生しない程度に調整される。
【0058】
図8(b)は、制動装置1の作動時の状態を説明するための断面図である。
図2(b)に示すように、地震が起きて基礎Bの揺れが大きくなると、基礎Bから免震層に突出するように設けられた反力部となるターゲット6に、制動装置1が接触する状況が起きる。
【0059】
例えば、
図8(b)の左側でターゲット6への接触が起きれば、可動プレート5の周面54が右側に向けて押されることになる。要するに
図8(b)の周面54に隣接して示した矢印は、ターゲット6から受ける外力の作用方向を示している。外力によって押し込まれた可動プレート5は、外力の作用方向に移動することになる。
【0060】
この際、芯材部4は第1プレート21から吊り下げられた状態で移動せず、凹凸の嵌め合わせが解除されて、摺動を伴いながら凸部212,222が凹部51,52をせり上がることで、可動プレート5と第2プレート22は下方に向けて移動することになる。すなわち、芯材部4は、この移動量よりも大きな通過穴53に通されているので、通過穴53の内周面に当たるまでは、可動プレート5は制限なく移動することができる。なお、可動プレート5の移動は、第1プレート21又は第2プレート22の周縁によって制限されることもある。
【0061】
可動プレート5の移動に伴って第2プレート22が下方に移動すると、第2プレート22の下面とワッシャ34との間隔が狭くなって、バネ部3が収縮することになる。芯材部4が通過穴53の内周面に当たって可動プレート5の移動が止まると、バネ部3もそれ以上に圧縮されることはないので、
図8(b)に示した状態が、バネ部3の最大変形量(収縮量)となる。
【0062】
一方、可動プレート5の周面54を押し込む外力の作用がなくなると、バネ部3の復元力によってバネ部3が伸長し、第2プレート22が上方に移動して第2プレート22の下面とワッシャ34との間隔が広くなり、可動プレート5、第2プレート22及びバネ部3は、
図8(a)に示すような初期状態に戻ることになる。
【0063】
次に、本実施の形態の制動装置1及び建物の免震構造の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の制動装置1は、外力の作用方向(例えば
図8(b)の矢印参照)と略直交する方向が伸縮方向となるバネ部3を備えている。
【0064】
そして、可動プレート5の周面54に外力が作用して移動すると、第1プレート21及び第2プレート22と可動プレート5との間の凹凸の嵌め合わせの解除の際にバネ部3が収縮するとともに、これらの間において摩擦抵抗を伴った摺動によるエネルギー吸収が行われる。
【0065】
この摺動は、バネ部3による復元力が作用した状態で行われるので、凸部212,222と凹部51,52との間の押し付けあいによって、より効率的にエネルギーを吸収させることができる。
【0066】
このため、エネルギー吸収性能に優れている。また、バネ部3を伸縮させる機構のため、復元性能に優れ、繰り返しの使用が可能である。特に、皿バネ材(31,32,33)は、変形後も塑性化しにくいので、大地震によって制動装置1が稼動した後も、塑性化による性能低下が生じることなく、そのまま繰り返し使用することができる。
【0067】
また、摺動時は、可動プレート5と上下プレート(21,22)とが常に3点以上で接しているので、可動プレート5が回転するなどの不安定な挙動が防止され、想定した復元力特性を得ることができる。
【0068】
また、バネ部3の伸縮方向が外力の作用方向と略直交する方向となっているので、制動装置1の外力の作用方向の長さを短くすることができる。例えば、1枚当たりの変形量が少ない皿バネ材を使用する場合、一定以上の変位をさせようとすると多くの皿バネ材(31,32,33)を組み込むことになるが、外力の作用方向(水平方向)と略直交する上下方向に積み重ねるだけなので、制動装置1の外力の作用方向の長大化を抑えることができる。このため、配管などによって設置範囲の制限を受けることが多い免震層となる免震ピットにも、小型な制動装置1であれば様々な位置に設置することができる。
【0069】
さらに、バネ部3を、剛性が異なる皿バネ材(31,32,33)を組み合わせることで形成するのであれば、剛性増加型の復元力特性となるように設定して、緩やかな制動を行わせることができる。すなわち、変形の増加に伴って系全体の剛性が段階的に増加するバネ部3を利用するのであれば、初期の衝撃力の発生を抑えられるうえに、過大な変形に対しても制動を行うことができる。
【0070】
本実施の形態の建物Mの免震構造は、免震装置Eが配置される免震層に制動装置1が設置されるとともに、免震層や免震装置Eに所定以上の変形が生じる前に制動装置1を作動させるための反力部を備えている。
【0071】
図9及び
図10は、本実施の形態の建物Mの免震構造における制動装置1の設置例と作動範囲を説明する図である。
図9(a),(b)に示すように、ターゲット6は、基礎Bに下端部を固定させた鋼管や円筒状の鉄筋コンクリート部材などによって設けることができる。
【0072】
例えば、免震装置Eで支持される梁部材M1の長手方向の中央に、制動装置1を設置することができる。制動装置1は、
図9(a)に示すように、例えば梁部材M1の下面から垂下させた垂下部M2の下面に、第1プレート21の上面を接合させることで取り付けられる。設置される制動装置1の最外径(可動プレート5の直径)は、例えば1100mm程度になる。
【0073】
図9(b)の平面図に示すように、水平面内の全方向に向いた可動プレート5の周面54に対しては、それを外側から囲むように、円筒状のターゲット6の内周面が設けられる。この制動装置1の周面54とターゲット6の内周面との距離L1は、免震装置Eの機能を充分に発揮させるためには、設計時に想定した規模の地震による免震層の変形の範囲では、接触が起きないようにする必要がある。
【0074】
図10は、本実施の形態の建物の免震構造における制動装置1の作動範囲を説明するための図である。制動装置1は、基礎Bから上方に向けて立ち上げられた円筒状のターゲット6に当接させることで作動する。
【0075】
ここで、建物Mの梁部材M1の端面と、建物Mの周囲に設けられた擁壁M4(
図2参照)との離隔をL2とすると、免震層にL2以上の変形が起きる前に制動装置1を作動させて、大地震によるエネルギーを吸収させる必要がある。そこで、制動装置1の周面54とターゲット6との距離L1(
図9(b)参照)を、L2よりも小さくする。
【0076】
詳細には、距離L1に制動装置1の最大変形量を加えた値が、L2よりも小さくなるように距離L1を設定することになる。このような設定にすることで、設計時の想定以上の大地震が発生しても、建物Mが周囲の擁壁M4に衝突したり、免震装置Eやダンパー材などが過大変形することで引張破断や座屈などが起きて損傷したりするのを防ぐことができる。
【0077】
また、制動装置1が作動することで、免震層の剛性が徐々に増加していくことになり、上部に設けられる建物Mの応答加速度の増幅を抑えつつ、免震層の変形を抑制することができるようになる。
【0078】
こうした制動装置1の配置箇所、制動装置1の凸部212,222と凹部51,52の周面の勾配(角度θ)、摺動面間の摩擦抵抗(摩擦係数)及びバネ部3の復元力特性などは、免震層全体の復元力特性に基づいて適宜設定することができる。
【0079】
そして、本実施の形態の制動装置1は、水平面内の360°のあらゆる方向からの外力に対して作動させることができるので、1方向や2方向の外力に対してしか作用させることができない装置と比べて、設置数を大幅に削減することができる。
【実施例0080】
以下、前記した実施の形態の制動装置1とは別の実施形態の制動装置1A,1Bについて、
図11を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
【0081】
前記実施の形態では、第1プレート21及び第2プレート22の両方に、可動プレート5に対して凹凸の嵌め合わせをさせる凸部212,222がある場合について説明したが、実施例1では、いずれか一方においてのみ凹凸の嵌め合わせがある構成について説明する。
【0082】
図11(a)に示した制動装置1Aは、可動プレート5Aの上側の第1プレート21Aが平面視円形の平板となる構成を示している。すなわち、第1プレート21Aには凸部が設けられておらず、第1プレート21Aに対向する可動プレート5Aの上面も平面に形成される。
【0083】
これに対して
図11(b)に示した制動装置1Bは、可動プレート5Bの下側の第2プレート22Bが平面視円形の平板となる構成を示している。すなわち、第2プレート22Bには凸部が設けられておらず、第2プレート22Bに対向する可動プレート5Bの下面も平面に形成される。
【0084】
このように可動プレート5A(5B)に対向させる片側の第2プレート22(第1プレート21)との間でだけ凹凸の嵌め合わせ状態にする場合は、凸部222(212)の周面の勾配(角度θ)を、例えば20°から30°程度に設定する。
【0085】
図11(a)に示した上側の第1プレート21Aを平板にした制動装置1Aは、可動プレート5Aの移動方向が水平方向のみとなることで、動作と性能の安定性を向上させることができる。また、凸部を設けないので、第1プレート21Aの外径を通過穴53が覆われる程度まで、小さくすることができる。
【0086】
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
前記実施の形態及び実施例1で説明した制動装置1,1A,1Bは、複数本(例示では4本)の芯材部4を備えた構成となっていたが、実施例2では、1本の芯材部4によって構成される制動装置1C,1Dについて説明する。
このため、可動プレート5Cについても、上面にのみ通過穴53の周縁に截頭円錐状の凹部51が設けられ、下面は平面に形成されている。こうした1軸で凸部212が1山の制動装置1Cは、例えば最外径(可動プレート5Cの直径)を600mmと、4軸の制動装置1の半分程度の大きさに製作することができる。
このように凹凸の嵌め合わせは、必ずしも芯材部4が中心となる凸部にする必要はなく、芯材部4を中心にして、それを囲むように環状の凸部212Dを設けた場合であっても、可動プレート5Dをいずれの方向に対しても同じ力の大きさで摺動させることができる。ここで、凸部212Dが2山に形成された制動装置1Dは、1山の制動装置1Cに比べて少し大きい、例えば最外径(可動プレート5Dの直径)が700mm程度となるように製作することができる。
芯材部4の軸数が少ない方が装置外径を小さくできる、芯材部4の軸数が多い方がバネ部3を小さくできるなど、それぞれの構成によって利点がある。また、制動装置の作動時の安定性で言えば、芯材部4の配置本数が3本以上の方が、安定して可動プレートを移動させることができるようになる。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態では、免震構造の建物Mに制動装置1を設置する場合について主に説明したが、これに限定されるものではなく、ロボットなどの接触部のダンパー材などにも、本実施の形態又は実施例の制動装置1,1A-1Dを使用することができる。
また、前記実施の形態では、3種類の剛性が異なる皿バネ材(31,32,33)を組み合わせることによってバネ部3を構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、複数の剛性が異なるコイルバネ材、角バネ材、ゴム材又はそれらに準ずる材料などを組み合わせることによってバネ部を形成することもできる。
また、前記実施の形態では、円筒状のターゲット6を例にして反力部について説明したが、これに限定されるものではなく、四角筒状や六角筒状など多角形状の反力部とすることもできる。
さらに、前記実施の形態では、免震層の上部側に制動装置1を設置して、下部側(基礎B側)にターゲット6を設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、免震層の下部側に制動装置1を設置して、上部側に反力部を設けることもできる。なお、前記実施の形態で下部側を基礎Bにしたのは例示であって、建物の中間層に設けられる免震層にも、制動装置1を設置することができる。
また、前記実施の形態及び実施例では、第2プレート22,22B,22C,22D側から突出された芯材部4の端部にのみバネ部3を装着する構成について説明したが、これに限定されるものではなく、第1プレート側に芯材部の端部を突出させてバネ部3を装着する構成であってもよいし、両方のプレートから芯材部の端部を突出させてそれぞれにバネ部3を装着する構成としてもよい。