(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089938
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】展示ケース
(51)【国際特許分類】
A47F 3/00 20060101AFI20240627BHJP
A47F 7/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A47F3/00 F
A47F7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205489
(22)【出願日】2022-12-22
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】518248000
【氏名又は名称】株式会社Circumo
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭佑
【テーマコード(参考)】
3B110
【Fターム(参考)】
3B110FA16
3B110GA01
3B110HA10
(57)【要約】
【課題】鐔等の刀装具単体を見栄えよく展示することができ、利便性に優れた展示ケースを提供する。
【解決手段】刀装具Zを展示するための展示ケースXであって、刀装具Zが収容される展示空間Sが設けられたケース本体Aを備え、ケース本体Aは、刀装具Zを、その一方の面が前方側を向くように、展示空間S内で支持する支持部A1と、支持部A1の後方側に設けられることで、刀装具Zの他方の面を前方側から視認可能とする鏡部A2と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刀装具を展示するための展示ケースであって、
前記刀装具が収容される展示空間が設けられたケース本体を備え、
前記ケース本体は、前記刀装具を、その一方の面が前方側を向くように、前記展示空間内で支持する支持部と、前記支持部の後方側に設けられることで、前記刀装具の他方の面を前方側から視認可能とする鏡部と、を有する、展示ケース。
【請求項2】
前記ケース本体は、前記刀装具を照射する照明部を有する、請求項1に記載の展示ケース。
【請求項3】
前記照明部は、前記刀装具の一方の面を照射する第一照明部と、前記刀装具の他方の面を照射する第二照明部と、を含む、請求項2に記載の展示ケース。
【請求項4】
前記支持部は、前記刀装具の他方の面が当接し、略透明な載置部と、前記載置部に設けられ、前記刀装具を前記載置部上で位置決めする位置決め部と、を含む、請求項1に記載の展示ケース。
【請求項5】
前記刀装具は、鐔であり、
前記位置決め部は、前記鐔の茎穴に挿通される突起である、請求項4に記載の展示ケース。
【請求項6】
前記位置決め部は、前記載置部上に複数設けられている、請求項4又は5に記載の展示ケース。
【請求項7】
前記展示空間の正面側を開閉可能に閉塞する蓋部を備える、請求項1に記載の展示ケース。
【請求項8】
前記蓋部は、略透明である、請求項7に記載の展示ケース。
【請求項9】
前記蓋部の表面には、反射防止加工が施されている、請求項8に記載の展示ケース。
【請求項10】
前記ケース本体を所定の壁面に設置可能とする壁掛け用部材が設けられている、請求項1に記載の展示ケース。
【請求項11】
前記ケース本体は、前記展示空間の底面に設けられた土台部を有し、
前記土台部は、その表面に装飾面を含む、請求項1に記載の展示ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鐔等の刀装具の展示に用いられる展示ケースに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、対象の物品を、その美観を高めた状態で展示することのできる展示ケースに関する発明が、種々提案されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、内部鑑賞可能な収納具において、少なくとも鑑賞面を防災扉によって閉鎖自在に構成した展示ケースが記載されている。
【0004】
この展示ケースには、古美術品や刀、陶磁器、古文書、宝飾品等を展示可能であり、鑑賞面を防火扉によって構成していることで、火災時に展示されている対象の物品を保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3-26210号公報
【特許文献2】特開2021-159214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1に記載の展示ケースは、各対象物品を、上下方向に形成された各段に配置していくため、特定の対象物品が上段の陰に入り、光量不足に伴って美観が損なわれる、という問題があった。
特に、刀は、その照明の当たり方が見栄えに大きく影響することから、特許文献1に記載の展示ケースは、刀の展示に適していない、という問題があった。
【0007】
そこで、本願発明の発明者は、特許文献2に記載の、刀を見栄えよく展示することができ、利便性に優れた展示ケースを発明した。
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の展示ケースは、飽くまでも刀全体を見栄えよく展示することができるものであり、鐔単体での展示に適したものではない。
特に、鐔は、職人の手によって表裏で独自の美観が創出されるものであり、単体で美術工芸品としての価値が高いことから、鐔単体での展示に適した展示ケースの開発が、愛好家等から望まれていた。
【0009】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、鐔等の刀装具単体を見栄え良く展示することができ、利便性に優れた展示ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、刀装具を展示するための展示ケースであって、
前記刀装具が収容される展示空間が設けられたケース本体を備え、
前記ケース本体は、前記刀装具を、その一方の面が前方側を向くように、前記展示空間内で支持する支持部と、前記支持部の後方側に設けられることで、前記刀装具の他方の面を前方側から視認可能とする鏡部と、を有する。
【0011】
本発明によれば、特に、両面に独自の美観が創出されている鐔において、一方の面のみならず、他方の面についても、裏返す作業を伴わなくとも、鏡部を介して視認することができ、両面の美観を一度に堪能することが可能な、見栄えの良い展示が可能となる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記ケース本体は、前記刀装具を照射する照明部を有する。
【0013】
このような構成とすることで、刀装具の視認性が上がり、光と相俟って、刀装具をより芸術的な美観でもって展示することが可能となる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記照明部は、前記刀装具の一方の面を照射する第一照明部と、前記刀装具の他方の面を照射する第二照明部、を含む。
【0015】
このような構成とすることで、刀装具の両面に対して、視認性及び芸術的な美観を向上させることが可能となる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記支持部は、前記刀装具の他方の面が当接し、略透明な載置部と、前記載置部に設けられ、前記刀装具を前記載置部上で位置決めする位置決め部と、を含む。
【0017】
このような構成とすることで、他方の面の視認性を維持しつつ、刀装具を安定的に展示空間内に支持しておくことが可能となる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記刀装具は、鐔であり、前記位置決め部は、前記鐔の茎穴に挿通される突起である。
【0019】
このような構成とすることで、鐔の位置決め部に対する取付け・取外し作業が容易となる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記位置決め部は、前記載置部上に複数設けられている。
【0021】
このような構成とすることで、例えば、異なる美観を有する鐔を一度に展示することができ、展示ケースとしての利便性が向上する。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記展示空間の正面側を開閉可能に閉塞する蓋部を備える。
【0023】
このような構成とすることで、刀装具を、外気等の外的要因による劣化や損傷から好適に保護することが可能となる。
【0024】
本発明の好ましい形態では、前記蓋部は、略透明である。
【0025】
このような構成とすることで、刀装具を好適に保護しつつ、閉状態であっても、蓋部を介して刀装具の両面を視認することが可能となる上、地震などの揺れで刀装具が落下するのを防ぐことにも役立つ。
【0026】
本発明の好ましい形態では、前記蓋部の表面には、反射防止加工が施されている。
【0027】
このような構成とすることで、蓋部への映り込みを減らし、紫外線をカットすることで展示物の劣化を防ぐことが可能となる。
【0028】
本発明の好ましい形態では、前記ケース本体を所定の壁面に設置可能とする壁掛け用部材が設けられている。
【0029】
このような構成とすることで、刀装具を展示しつつ、展示場の床面のスペースを有効活用することが可能となる。特に、床面積の小さい小部屋等、従来では床面に載置することによる展示が出来なかった場所においても、省スペースで設置可能となる。
【0030】
本発明の好ましい形態では、前記ケース本体は、前記展示空間の底面に設けられた土台部を有し、前記土台部は、その表面に装飾面を含む。
【0031】
このような構成とすることで、展示空間の雰囲気を装飾面により演出することができ、刀装具と併せて、展示空間全体で優れた美観を発揮することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、鐔等の刀装具単体を見栄えよく展示することができ、利便性に優れた展示ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施形態に係る展示ケースの正面側から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る展示ケースのPP´線断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る展示ケースの正面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る(a)壁掛け用部材の正面側から見た斜視図、(b)展示ケースの背面側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る展示ケースの使用方法の説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る展示ケースの使用方法の説明図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る展示ケースの使用方法の説明図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る展示ケースの使用方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る展示ケースについて説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、これらの図において、符号Xは、本実施形態に係る展示ケースを示す。
【0035】
<構成>
以下、
図1~
図4を用いて、展示ケースXの構成について説明する。
ここで、以下、説明の便宜上、
図1~
図3に示すx軸方向を前後方向、y軸方向を左右方向とし、x軸の矢印が示す方向を前方とする。
なお、本実施形態においては、刀装具Zとして鐔(以下鐔Z)を展示する例について説明する。
【0036】
図1~
図3に示すように、展示ケースXは、刀の鐔Zを展示するものであって、鐔Zが収容される展示空間Sが設けられたケース本体Aと、展示空間Sの正面側を開閉可能に閉塞する蓋部Bと、を備える。
【0037】
<<ケース本体A>>
ケース本体Aは、鐔Zを、その一方の面が前方側を向くように、展示空間S内で支持する支持部A1と、支持部A1の後方側に設けられることで、鐔Zの他方の面を前方側から視認可能とする鏡部A2と、鐔Zを照射する照明部A3と、展示空間Sの底面に設けられた土台部A4と、を有している。
また、ケース本体Aは、前方側(正面側)が開放され、ケース本体Aの外形を構成する箱状の第一筐体H1と、第一筐体H1に内包され、第一筐体H1と同様に前方側が開放された箱状の第二筐体H2と、を有している。
【0038】
支持部A1は、鐔Zの他方の面が当接し、略透明な載置部A11と、載置部A11に設けられ、鐔Zを載置部A11上で位置決めする位置決め部A12と、を含む。
【0039】
載置部A11は、例えばアクリル等の安価且つ加工が容易な、略透明の素材により形成された、左右方向に長い略長方形の板状体であり、特に
図2に示すように、第二筐体H2の正面側を閉塞するように設けられている。
詳述すれば、載置部A11は、その上下端部それぞれが、左右全長に亘って、第二筐体H2において開放部分の上下部分を構成する、正面部H2fの内面に当接し、連結されている。
また、載置部A11は、特に
図3に示すように、その左右方向の長さが、第一筐体H1の各側面部H1sの内面間の距離と略同一となるように構成されている。
【0040】
位置決め部A12は、鐔Zの茎穴Z1に挿通される突起であり、本実施形態においては、左右方向に沿って所定の間隔を空けて3つ設けられている。
なお、各位置決め部A12も、載置部A11と同様に、例えばアクリル等の安価且つ加工が容易な、略透明の素材により形成されており、載置部A11と一体的に形成されても良いし、別体に形成し、載置部A11に接着して設けられても良い。
【0041】
また、本実施形態のように、位置決め部A12が、左右方向に配置された複数の突起であることで、小柄や笄といったある程度長尺のものを、各位置決め部A12の上面に載置する、縁頭を位置決め部A12に挿込む、といったように、別の刀装具を展示することにも応用が利く。
なお、上記のような、ある程度長尺の刀装具を展示する際には、例えば、各位置決め部A12の上面に窪みを設ける等、位置決めがより安定的に可能となるような形状変更を、適宜施すことが好ましい。
【0042】
鏡部A2は、左右方向に長い略長方形の板状体であり、正面側が鏡面となされている。
また、鏡部A2は、特に
図2に示すように、その背面側が、第二筐体H2の背面部H2rの内面に当接し、連結されている。
なお、鏡部A2には、実際には鐔Zの背面や、後述する装飾面A41が映ることとなるが、各図において鏡像の図示は省略している。
【0043】
ここで、正面部H2f及び背面部H2rは、下方から上方に向かうに伴って漸次後方に傾斜していくように構成され、その傾斜角は略同一である。
これにより、載置部A11及び鏡部A2の傾斜方向及び傾斜角も略同一となされ、それぞれの面方向が略平行となされている。
また、このような傾斜態様とすることで、載置部A11上における鐔Zの載置状態が安定的に維持される。
【0044】
照明部A3は、特に
図2に示すように、鐔Zの一方の面(正面)を照射する第一照明部A31と、鐔Zの他方の面(背面)を照射する第二照明部A32と、を含む。
なお、第一照明部A31及び第二照明部A32は、それぞれ小型且つ略円筒状のスポット照明であり、別途付属品として設けられたリモコン(図示せず)により、遠隔でON・OFFの制御や調光が可能である。
【0045】
第一照明部A31は、第一筐体H1の正面部H1fから背面側に延びて連接された傾斜部H1tに設けられた貫通孔(図示せず)に嵌め込まれている。
なお、傾斜部H1tは、前方から後方に向かうに伴って漸次上方に傾斜していくように構成されているため、第一照明部A31の照射方向は、鐔Zの正面に向かう。
【0046】
第二照明部A32は、第二筐体H2の上面部分を構成する傾斜部H2tに設けられた貫通孔(図示せず)に嵌め込まれている。
なお、傾斜部H2tは、前方から後方に向かうに伴って漸次下方に傾斜していくように構成されているため、第二照明部A32の照射方向は、鐔Zの背面に向かう。
【0047】
ここで、
図3に示すように、第一照明部A31は、各位置決め部A12に対応するように、本実施形態において、左右方向に沿って所定の間隔を空けて3つ設けられている。
また、第二照明部A32についても、
図3で図示していないが、各第一照明部A31と同様に、左右方向に沿って所定の間隔を空けて3つ設けられている。
これにより、各位置決め部A12に取付けられた各鐔Zに対して、正面側及び背面側双方からスポット光が照射される。
なお、
図3において、傾斜部H1tの貫通孔の上部に突出している各第一照明部A31を、点線で示している。
【0048】
土台部A4は、第二筐体H2の底面部H2bに載置される、略長方形の板状体であり、その表面に装飾面A41を含む。
なお、本実施形態においては、装飾面A41に漆装飾を施した例を示しているが、装飾の態様は、これに限定されず、任意のデザインを描画したり、壁紙を貼り付けたりしても良い。
【0049】
<<蓋部B>>
蓋部Bは、載置部A11と同様に、例えばアクリル等の安価且つ加工が容易な、略透明の素材により形成された、左右方向に長い略長方形の板状体である。
また、蓋部Bの下端部には、その左右方向全長に亘って回動手段Rが設けられ、その上端部には、その左右方向全長に亘って持ち手部M1が設けられている。
さらに、蓋部Bの表面には、反射防止加工が施されている。
【0050】
なお、特に
図3に示すように、閉状態において、蓋部B及び載置部A11の傾斜方向及び傾斜角が略同一となり、それぞれの面方向が略平行となるように構成されている。
また、ここでいう反射防止加工は、蒸着等による反射防止膜のコーティングや、反射防止加工を施したフィルムを貼付けておくといった手法が含まれる。
【0051】
回動手段Rは、載置部A11の下端部が連結される回動手段本体R1と、回動手段本体R1の内部を左右方向全長に亘って貫通し、その両端部が各側面部H1sに貫入・軸支された回動軸R2と、により構成されている。
これにより、蓋部Bは、回動軸R2周りに回動可能となされている。
なお、
図3においては、回動軸R2を点線で示している。
【0052】
持ち手部M1は、特に
図3に示すように、閉状態において、下方に開口する断面コ字状の長尺体であり、磁性を有する金属素材により形成されている。
なお、載置部A11の上端部は、持ち手部M1の前方側内周面に当接され、連結されている。
【0053】
また、持ち手部M1は、特に
図1に示すように、その両端部が、第一筐体H1の側面部H1sに形成された窪みに収まるように構成され、特に
図3に示すように、その長さが、第一筐体H1の左右方向の長さよりも長く構成されている。
これにより、蓋部Bは、閉状態において、展示空間S内部(各側面部H1sの前端面よりもやや後方側)に配置され、使用者は、持ち手部M1の左右両端部に手を掛け、前方側に引くことで、回動軸R2周りの回動でもって、容易に開状態とすることができる。
【0054】
ここで、特に
図2(及び
図7)に示すように、第二筐体H2における上部の正面部H2fの外面には、磁性体M2が設けられており、持ち手部M1と磁性体M2とにより、着脱手段Mが構成されている。
これにより、閉状態において、持ち手部M1と磁性体M2とが磁着することで、閉状態が安定的に維持される。
【0055】
<<その他の構成>>
図4(a)に示すように、展示ケースXには、付属品として壁掛け用部材Wが設けられている。
壁掛け用部材Wは、略L字状断面に折曲形成された板状体である壁掛け用部材本体W1と、壁掛け用部材本体W1の上端部且つ左右端部に設けられた、一対の挿込み突起W2とにより構成されている。
また、壁掛け用部材本体W1において、第一筐体H1の背面部H1rに当接する面体の四隅には、所定の壁面に壁掛け用部材本体W1を取付けるための取付孔h1が形成されている。
さらに、壁掛け用部材本体W1において、第一筐体H1の底面部H1bに当接する面体の左右両端には、ケース本体Aと連結するための連結孔h2が形成されている。
【0056】
図4(b)に示すように、第一筐体H1の背面部H1rには、各挿込み突起W2が挿込まれる、一対の挿込み孔t1が形成されている。
また、第一筐体H1の底面部H1bには、各連結孔h2と連通する一対のネジ穴部t2が形成されている。
【0057】
<使用方法>
以下、
図5~
図9を用いて、展示ケースXの使用方法について説明する。
【0058】
使用者は、リモコンを操作し、第一照明部A31及び第二照明部A32をONにし、所望の照度に調光することで、
図5及び
図6に示すように、各鐔Zの両面にスポット光が照射される。
【0059】
また、使用者は、既述の通り、持ち手部M1の左右両端部に手を掛け、前方側に引くことで、持ち手部M1と磁性体M2との磁着状態を解消し、
図7(a)に示すように、回動軸R2周りの回動でもって、蓋部Bを回動させ、開状態とすることができる。
【0060】
また、使用者は、開状態とした後、
図7(b)に示すように、何れかの位置決め部A12から、鐔Zを取外すことができる。
【0061】
また、使用者は、各取付孔h1にボルト等の締結部材(図示せず)を貫入させ、壁掛け用部材Wを所定の壁面に取付けた後、各挿込み孔t1に各挿込み突起W2を挿込みつつ、背面部H1r及び底面部H1bそれぞれに、壁掛け用部材本体W1を当接させる。
これにより、
図8に示す状態となるため、使用者は、連通した各連結孔h2及び各ネジ穴部t2にボルト等の締結部材(図示せず)を貫入させ、ケース本体Aと壁掛け用部材Wとを連結させる。
【0062】
<効果>
本実施形態によれば、両面に独自の美観が創出されている鐔Zにおいて、一方の面のみならず、他方の面についても、裏返す作業を伴わなくとも、鏡部A2を介して視認することができ、両面の美観を一度に堪能することが可能な、見栄えの良い展示が可能となる。
【0063】
また、照明部A3により、鐔Zの視認性が上がり、スポット光と相俟って、鐔Zをより芸術的な美観でもって展示することが可能となる。
【0064】
また、第一照明部A31及び第二照明部A32により、鐔Zの両面に対して、視認性及び芸術的な美観を向上させることが可能となる。
【0065】
また、支持部A1が、略透明な載置部A11と、位置決め部A12と、を含むことで、他方の面の視認性を維持しつつ、鐔Zを安定的に展示空間S内に支持しておくことが可能となる。
【0066】
また、位置決め部A12が鐔Zの茎穴Z1に挿通される突起であることで、鐔Zの位置決め部A12に対する取付け・取外し作業が容易となる。
【0067】
また、位置決め部A12が複数設けられていることで、例えば、異なる美観を有する鐔Zを一度に展示することができ、展示ケースとしての利便性が向上する。
【0068】
また、蓋部Bにより、鐔Zを、外気等の外的要因による劣化や損傷から好適に保護することが可能となる。
【0069】
また、蓋部Bが略透明であることで、鐔Zを好適に保護しつつ、閉状態であっても、蓋部Bを介して鐔Zの両面を視認することが可能となる。
【0070】
また、蓋部Bの表面に反射防止加工が施されていることで、蓋部Bへの映り込みを減らし、紫外線をカットすることで展示物の劣化を防ぐことが可能となる。
【0071】
また、壁掛け用部材Wにより、鐔Zを展示しつつ、展示場の床面のスペースを有効活用することが可能となる。特に、床面積の小さい小部屋等、従来では床面に載置することによる展示が出来なかった場所においても、省スペースで設置可能となる。
【0072】
また、その表面に装飾面A41を含む土台部A4により、展示空間Sの雰囲気を装飾面により演出することができ、鐔Zと併せて、展示空間S全体で優れた美観を発揮することが可能となる。
【0073】
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0074】
例えば、本実施形態において、位置決め部A12の数は3つとしたが、1つや2つ、4つ以上としても良いし、これに合わせて照明部A3の数も、当然に変更される。
【0075】
また、照明部A3の制御は、ケース本体Aに、電子回路やこれと照明部A3とを接続する導線を設け、ケース本体Aに設けられた物理スイッチにて制御する構成としても良い。
【0076】
また、本実施形態においては、既述の通り、展示対象となる刀装具Zは、鐔に限られず、位置決め部A12を用いて、小柄や笄、縁頭等、種々の刀装具を展示可能である。
【符号の説明】
【0077】
X 展示ケース
A ケース本体
A1 支持部
A2 鏡部
A3 照明部
A4 土台部
H1 第一筐体
H2 第二筐体
B 蓋部
R 回動手段
R1 回動手段本体
R2 回動軸
M 着脱手段
M1 持ち手部
M2 磁性体
S 展示空間
W 壁掛け用部材
W1 壁掛け用部材本体
W2 挿込み突起
Z 刀装具(鐔)