(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089940
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】ダークテスト方法および異常診断装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/05 20060101AFI20240627BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G05B19/05 L
G01R31/00
G05B19/05 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205495
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】惠木 快昌
【テーマコード(参考)】
2G036
5H220
【Fターム(参考)】
2G036AA19
2G036BA37
2G036BB06
2G036BB09
2G036CA10
5H220AA06
5H220BB15
5H220CC09
5H220CX05
5H220JJ28
5H220JJ36
5H220LL01
(57)【要約】
【課題】最小の診断パルス幅でダークテストを実施する、ダークテスト方法を提供する。
【解決手段】出力機器5のON/OFF切替のために電圧信号を出力する出力切替回路2の異常の有無を診断するダークテスト方法は、前記出力切替回路2に、診断パルス幅のOFFパルス状の切替信号を出力することと、前記出力切替回路2から出力される電圧信号をデジタル変換した出力検出信号から、OFFパルス状の応答パルスが検出できるか否かを判断することと、を含むテスト処理を、前記応答パルスが検出できるまで、前記診断パルス幅を徐々に増やしながら繰り返し、前記診断パルス幅が、規定の上限値以上になった場合に、前記出力切替回路2が異常であると診断する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力機器のON/OFF切替のために電圧信号を出力する出力切替回路の異常の有無を診断するダークテスト方法であって、
前記出力切替回路に、診断パルス幅のOFFパルス状の切替信号を出力することと
前記出力切替回路から出力される電圧信号をデジタル変換した出力検出信号から、OFFパルス状の応答パルスが検出できるか否かを判断することと、
を含むテスト処理を、前記応答パルスが検出できるまで、前記診断パルス幅を徐々に増やしながら繰り返し、前記診断パルス幅が、規定の上限値以上になった場合に、前記出力切替回路が異常であると診断する、
ことを特徴とするダークテスト方法。
【請求項2】
請求項1に記載のダークテスト方法であって、
前記応答パルスが検出できたときの前記診断パルス幅を、パルス幅前回値として記憶しておき、次回の前記ダークテストの際に、前記パルス幅前回値を基準として、初回のテスト処理における前記診断パルス幅を決定する、ことを特徴とするダークテスト方法。
【請求項3】
出力機器のON/OFF切替のために電圧信号を出力する出力切替回路の異常の有無を診断する異常診断装置であって、
前記電圧信号をデジタル変換した出力検出信号を取得する出力検出回路と、
前記出力切替回路に、ONまたはOFFを示す切替信号を出力する出力制御部と、
前記出力切替回路の異常の有無を診断するダークテストを実行する出力診断部と、
を備え、
前記ダークテストにおいて、前記出力診断部は、前記出力制御部に対して診断パルス幅のOFFパルス状の出力切替信号の出力を指示するとともに、前記出力検出信号からOFFパルス状の応答パルスの検出ができるか否かを判断するテスト処理を、前記応答パルスが検出できるまで、前記診断パルス幅を徐々に増やしながら繰り返し、前記診断パルス幅が、規定の上限値以上になった場合に、前記出力切替回路が異常であると診断する、
ことを特徴とする異常診断装置。
【請求項4】
請求項3に記載の異常診断装置であって、
前記出力診断装置は、前記応答パルスが検出できたときの前記診断パルス幅を、パルス幅前回値として記憶しておき、次回の前記ダークテストの際には、前記パルス幅前回値を基準として、初回のテスト処理における前記診断パルス幅を決定する、ことを特徴とする異常診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、出力機器に対して電圧信号を出力する出力切替回路の異常を診断するダークテスト方法、および、異常診断装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
工場の生産工程の自動化を図るFA(Factory Automation)の分野で用いられるプログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)は、非制御機器の制御を行う装置である。このようなPLCの出力装置では、例えば、非常停止が要求された場合に出力を安全側(出力OFF側)に制御して接続される出力機器を停止させることが可能か、を定期的に診断することが求められる。
【0003】
通常の稼働状態でONとOFFを繰り返す出力機器(例えばソレノイドバルブ等)では、出力OFFを指令するタイミングで異常診断を行うことができる。一方、STO(Safe Torque OFF)機能付きサーボドライブユニットに対するSTO解除入力など、稼働状態で常に出力ONとなる出力機器の場合、長時間の連続稼働状態では出力OFFを指令するタイミングがなく異常診断ができない。
【0004】
そのため、一般的に、ダークテスト、または、パルステストと呼ばれる、出力機器が応答しない短時間のOFFパルスを出力することで異常診断を行う手法が用いられる。
【0005】
図5は、ダークテスト機能を備えた異常診断装置の構成を示すブロック図である。以下、
図5を用いてダークテスト方法について説明する。
【0006】
出力制御部1は、図示しないロジック部が出力する出力指令、及び、出力診断部4bが出力する診断要求に基づき、出力切替信号を出力切替回路2に出力する。また、出力制御部1は、現在出力している出力切替信号の内容を示す出力状態を、出力診断部4bに出力する。出力切替信号は、出力指令がOFFの場合、OFF状態を維持し、出力指令がONの場合、診断要求に応じて変化する。具体的には、出力切替信号は、出力指令がONかつ診断要求がOFFの場合、ON状態を維持し、出力指令がONかつ診断要求がONの場合、一時的にOFFとなるOFFパルス状に変化する。また、出力状態は、出力切替信号がON状態を維持する「出力ON」と、出力切替信号がOFF状態を維持する「出力OFF」と、出力切替信号がOFFパルス状に変化する「診断パルス出力」と、の3種類の状態を含む。
【0007】
出力切替回路2は、出力機器用電源6と出力機器5との間に介在する回路であり、スイッチを含む回路である。出力切替回路2は、出力制御部1が出力する出力切替信号に基づき、スイッチを切替え、出力機器5に電圧信号である出力信号を出力する。出力信号は、定常状態では、出力切替信号がONの場合に出力機器用電源6の出力電圧となり、出力切替信号がOFFの場合に0Vとなる。なお、スイッチは、例えば、半導体による電気的なスイッチである。
【0008】
出力検出回路3は、出力切替回路2が出力する出力信号をデジタル信号に変換し、出力検出信号として出力診断部4bに出力する。
【0009】
出力診断部4bは、出力検出回路3が出力する出力検出信号と、出力制御部1が出力する出力状態と、に基づき、出力切替回路2の診断を行う。すなわち、出力状態と出力検出信号とが不一致となった場合に、診断部41bは、出力切替回路2の異常を示す異常検出信号を出力する。異常検出信号が出力された場合、図示しないロジック部にて、各種エラー処理が実行される。また、出力診断部4bは、出力制御部1に対し診断要求と診断パルス幅とを出力する。例えば、診断パルス要求部42bは、「出力ON」状態が一定時間継続した場合などに診断要求ONを、出力制御部1に出力する。また、診断パルス要求部42bは、パルス幅格納部44に予め設定された値などを診断パルス幅として、出力制御部1に出力する。
【0010】
出力機器5は、例えば、ソレノイドバルブやSTO機能付きサーボドライブユニットなどである。
【0011】
出力機器用電源6は、例えば、ソレノイドバルブの駆動用電源や、STO機能付きサーボドライブユニットのSTO解除端子用の入力電源などである。
【0012】
以下、出力制御部1が出力切替信号として診断パルスを出力する場合の動作について説明する。
【0013】
出力制御部1は、診断要求がONの場合に、出力切替信号として、
図3の出力切替信号に示す診断パルス(OFFパルス)を出力する。診断パルスのOFFパルス幅は、出力診断部4bが出力する診断パルス幅となる。
図3の診断パルスに対して、出力切替回路2が出力する出力信号は、回路の応答遅延により、例えば、
図3の出力信号に示す波形となる。更に、出力検出回路3により出力信号はデジタル変換され、出力検出信号は、
図3の出力検出信号に示すような、OFFパルス状のデジタル信号(以下「応答パルス」と呼ぶ)となる。出力診断部4bの診断部41bは、出力状態が「診断パルス出力」の場合に、出力検出信号が応答パルスを含むか否かを確認する。そして、出力診断部4bは、出力検出信号が応答パルスを含む場合、出力信号をOFF可能であること、すなわち、出力切替回路2が正常であると診断する。逆に、出力検出信号が応答パルスを含まない場合、出力診断部4bは、出力切替回路2の異常を示す異常検出信号を出力する。
【0014】
ここで、診断パルスのパルス幅が短すぎる場合、出力信号が、例えば、
図4の出力信号に示すように、完全にOFFしない波形となる。このとき、出力信号が出力検出回路3の閾値電圧を下回らない場合、出力検出信号は、
図4の出力検出信号に示す様に応答パルスを含まないため、出力診断部4bは、出力切替回路2の異常を誤検出する。一方、診断パルスのパルス幅が長すぎる場合、出力機器5が、出力信号のOFFに反応してしまう。
【0015】
すなわち、ダークテストでは診断パルスのパルス幅が重要であり、出力切替回路2の応答特性のばらつきや、接続される出力機器5の種類などに応じて、診断パルスのパルス幅を適切に設定する必要がある。診断パルスのパルス幅の設定方法として、例えば、特許文献1には、診断パルスを複数のパルス幅で出力し、それぞれのパルス幅に対応する出力検出信号のパルス幅を比較して、誤検出されないパルス幅をオートチューニングで決定する技術が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ダークテストの診断パルス幅は、出力機器への影響を低減するため短い方が望ましい。しかし、診断パルス幅が短いと、接続される出力機器や、出力切替回路2を構成する半導体部品の個体差などにより、異常を誤検出しやすくなる。そのため、異常を誤検出しないために、予め十分なマージンを取った診断パルス幅を設定する必要がある。更に、マージンの大きさは、出力切替回路2を構成する半導体部品の特性ばらつきや温度による特性変動などを考慮する必要があり、設計や評価から適切なマージンを決定する作業が必要であった。
【0018】
本発明が解決しようとする課題は、最小の診断パルス幅でダークテストを実施する、ダークテスト方法および診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
出力機器のON/OFF切替のために電圧信号を出力する出力切替回路の異常の有無を診断するダークテスト方法は、前記出力切替回路に、診断パルス幅のOFFパルス状の切替信号を出力することと、前記出力切替回路から出力される電圧信号をデジタル変換した出力検出信号から、OFFパルス状の応答パルスが検出できるか否かを判断することと、を含むテスト処理を、前記応答パルスが検出できるまで、前記診断パルス幅を徐々に増やしながら繰り返し、前記診断パルス幅が、規定の上限値以上になった場合に、前記出力切替回路が異常であると診断する。
【0020】
また、出力機器のON/OFF切替のために電圧信号を出力する出力切替回路の異常の有無を診断する異常診断装置は、前記電圧信号をデジタル変換した出力検出信号を取得する出力検出回路と、前記出力切替回路に、ONまたはOFFを示す切替信号を出力する出力制御部と、前記出力切替回路の異常の有無を診断するダークテストを実行する出力診断部と、を備え、前記ダークテストにおいて、前記出力診断部は、前記出力制御部に対して診断パルス幅のOFFパルス状の出力切替信号の出力を指示するとともに、前記出力検出信号からOFFパルス状の応答パルスの検出ができるか否かを判断するテスト処理を、前記応答パルスが検出できるまで、前記診断パルス幅を徐々に増やしながら繰り返し、前記診断パルス幅が、規定の上限値以上になった場合に、前記出力切替回路が異常であると診断する。
【発明の効果】
【0021】
診断パルス幅を増やしながらテスト処理を繰り返し行うことにより、回路の特性ばらつきや温度による特性変動に応じて、最小の診断パルス幅でダークテストを行うことができる。また、回路の特性ばらつきや温度による特性変動に応じて、ダークテストの診断パルス幅を自動調整できるため、生産中止や、代替部品との二重購買などで、回路部品を変更した場合においても、ダークテストに関するパラメータ変更が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】ダークテスト方法の流れを示すフローチャートである。
【
図2】ダークテスト機能を備えた診断装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】ダークテスト時の出力切替信号と出力検出信号との関係の一例を示した図である。
【
図4】ダークテスト時の出力切替信号と出力検出信号との関係の一例を示した図である。
【
図5】従来例におけるダークテスト機能を備えた診断装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例について説明する。
図2は、診断装置の構成を示すブロック図である。これまでに
図5を用いて説明した従来例と共通の要素は同じ番号を付番し説明を省略する。
【0024】
出力診断部4aは、出力検出回路3が出力する出力検出信号と、出力制御部1が出力する出力状態と、に基づき、出力切替回路2の診断を行う。すなわち、出力状態と出力検出信号とが不一致となった場合に、診断部41aは、出力切替回路2の異常を示す異常検出信号を出力する。異常検出信号が出力された場合、図示しないロジック部にて、各種エラー処理が実行される。また、出力診断部4aは、出力制御部1に対し、診断要求と診断パルス幅とを出力する。例えば、診断パルス要求部42aは、出力状態として「出力ON状態」が一定時間継続した場合、および、診断部41aからテスト処理の再実行が要求された場合に、診断要求ONを出力制御部1に出力する。また、診断パルス要求部42aは、パルス幅変更部43に設定した値を診断パルス幅として、出力制御部1に出力する。
【0025】
診断パルス要求部42aは、診断要求ONを出力する要因に応じて診断パルス幅を更新し、パルス幅変更部43に設定する。診断部41aは、出力状態が「ON出力」または「OFF出力」の場合において、出力状態と出力検出信号が不一致となった場合に異常検出信号を出力する。また、診断部41aは、出力状態が「診断パルス出力」の場合において、出力検出信号から応答パルス(OFFパルス)が得られず、かつ、診断パルス幅が上限値未満の場合に、診断パルス要求部42aにテスト処理の再実行を要求し、応答パルスが得られず、かつ、診断パルス幅が上限値以上の場合に、異常検出信号を出力する。
【0026】
図1は、本発明のダークテストの実施例を示すフローチャートである。
図2のブロック図の出力制御部1および出力診断部4aは、
図1のフローチャートに示す各ステップを実行する。
【0027】
出力診断部4aの診断パルス要求部42aは、例えば、出力制御部1が出力する出力状態の出力ON状態が一定時間継続した場合などに、ダークテストの処理を開始し、ステップS01に進む。以下、ステップS06までの各ステップを、出力診断部4aが実行する。
【0028】
ステップS01では、診断パルス要求部42aは、テスト未実施フラグを確認し、初回のダークテストか否かの判定を行う。テスト未実施フラグは、図示しない電源投入時の初期化処理でONされるフラグである。テスト未実施フラグがONの場合にはステップS02に進み、テスト未実施フラグがOFFの場合にはステップS03に進む。
【0029】
ステップS02は、初回のダークテスト実行時に、診断パルス幅の初期値を決定するステップである。ステップS02において、診断パルス要求部42aは、パルス幅変更部43の診断パルス幅として、予め設定された最小パルス幅を設定し、ステップS04に進む。
【0030】
ステップS03は、2回目以降のダークテスト実行時に、診断パルス幅の初期値を決定するステップである。ステップS03において、診断パルス要求部42aは、パルス幅変更部43の診断パルス幅に、前回のダークテスト実行時にステップS09にて保存されるパルス幅前回値から、予め設定されたパルス幅増分を減算した値、を設定し、ステップS04に進む。
【0031】
ステップS04、ステップS05は、S03でパルス幅変更部43に設定された診断パルス幅が最小パルス幅未満となる場合に、パルス幅変更部43が診断パルス幅を最小パルス幅にリミットする処理であり、リミット処理後にステップS06に進む。なお、最小パルス幅は予め設定された値である。
【0032】
ステップS06では、診断パルス要求部42aが出力制御部1に診断要求ONとパルス幅変更部43に設定された診断パルス幅を出力し、ステップS07に進む。
【0033】
ステップS07は、出力制御部1が実行する処理である。出力制御部1は、診断要求に従い、診断パルス幅の診断パルスを出力し、ステップS08に進む。なお、ステップS08以降の各ステップは、出力診断部4aが実行する。
【0034】
ステップS08では、診断部41aが、ステップS07で出力される診断パルスに対する応答パルスの有無を判定し、診断パルス要求部42aに通知する。出力検査信号が応答パルスを含む場合ステップS09に進み、応答パルスを含まない場合ステップS11に進む。
【0035】
ステップS09は、ダークテストが正常に完了した場合に実行される処理である。診断パルス要求部42aは、診断パルスに対応する応答パルスがあった時、ダークテストが正常に完了したと見做す。そして、診断パルス要求部42aは、タークテストが正常に完了した場合における診断パルス幅をパルス幅前回値として保存し、テスト未実施フラグをOFFする。その後、ステップS10に進む。
【0036】
ステップS10で、診断パルス要求部42aが、診断要求をOFFし、ダークテストを完了する。
【0037】
ステップS11、ステップS12は、ステップS08にて応答パルスが無い場合に診断パルス幅を増加させる処理である。ステップS11にて、診断パルス要求部42aが、パルス幅変更部43が出力する診断パルス幅にパルス幅増分を加算してパルス幅変更部43に再設定する。ステップS12にて、診断部41aが、再設定された診断パルス幅と最大パルス幅との比較を行う。診断パルス幅が最大パルス幅以下の場合は、ステップS13に進む。ステップS13において、診断パルス要求部42aが、診断要求をOFFした後、再設定された診断パルス幅にて再度ステップS06以降の処理を行う。診断パルス幅が最大パルス幅を超えた場合は、ステップS14に進む。なお、最大パルス幅は、予め設定された値である。
【0038】
ステップS14は、診断パルスの診断パルス幅が、最大パルス幅を超えた場合に実行される処理である。ステップS14において、診断部41aが、異常検出信号を出力し、図示しないロジック部が異常検出信号より出力切替回路2の異常を検出し、各種エラー処理を行う。
【0039】
このように、出力制御部1および出力診断部4の処理を構成することにより、出力切替回路2の特性ばらつきや、温度による特性変動があっても、常に最小のパルス幅でダークテストを実行することができる。なお、最大パルス幅は、例えば、出力切替回路2に接続が想定される出力機器の中で最も応答が遅い出力機器に合わせて設定すればよい。当然、応答が早い出力機器を接続した場合、診断パルス幅が最大パルス幅の場合に、出力機器が診断パルスに応答するが、出力切替回路2が正常な場合は、診断パルス幅は出力機器が応答しないパルス幅までしか増加しないため影響はない。例えば、出力切替回路2に異常がありOFFを出力できない場合は、診断パルスを出力できず出力機器は応答しない。この場合、
図1のステップS14にて異常検出され適切なエラー処理が実施される。
【0040】
なお、本発明の実施形態は、
図2の出力機器5、出力機器用電源6の実装形態に依存しない。すなわち、
図2の診断装置と、出力機器5および出力機器用電源6と、が同一の機器内にあってもよいし、互いに異なる機器に分かれていてもよい。例えば、本明細書で開示する技術は、パワー素子を駆動するゲート信号伝達用フォトカプラの1次側電源を遮断することでSTO機能を実現するサーボドライブユニットにおけるSTO機能のダークテスト方法に利用されてもよい。例えば、
図2の出力機器5がゲート信号を伝達するフォトカプラであり、出力機器用電源6がフォトカプラの1次側用電源であり、出力切替回路2がフォトカプラの1次側電源遮断回路であり、これらが全て同一機器内に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 出力制御部、2 出力切替回路、3 出力検出回路、4a,4b 出力診断部、5 出力機器、6 出力機器用電源、41a,41b 診断部、42a,42b 診断パルス要求部、43 パルス幅変更部、44 パルス幅格納部。