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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089945
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】混合容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/32 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B65D81/32 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205503
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】520303232
【氏名又は名称】三菱ガス化学トレーディング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522497906
【氏名又は名称】斎藤樹脂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069073
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 和保
(72)【発明者】
【氏名】露崎 直紀
(72)【発明者】
【氏名】花木 弘造
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013AA05
3E013AB01
3E013AB03
3E013AB07
3E013AC01
3E013AC13
3E013AD06
3E013AD23
3E013AE04
3E013AE06
3E013AF02
3E013AF16
3E013AF22
3E013BA07
3E013BB04
3E013BB06
3E013BC04
3E013BD11
3E013BD20
3E013CC04
3E013CC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、複数の液体を使用直前に混合することができる混合容器を提供する。
【解決手段】本発明に係る混合容器は、ボトム外周壁と、該ボトム外周壁と所定の間隔開けて立設するボトム内周壁と、該ボトム内周壁の中央部に凹状に形成された液体溜まり部と、前記ボトム外周壁と前記ボトム内周壁との間を連接し、ボトム外周側を支点として押し下げ可能な連結部とを具備するボトム部と、前記ボトム外周壁に内接するトップ外周壁と、前記ボトム内周壁に外接するトップ内周壁と、前記トップ外周壁と前記トップ内周壁の上面を閉塞する上面壁と、前記トップ外周壁、前記トップ内周壁、前記上面壁および前記連結部とによって画成される液体収容空間を複数の空間に仕切る仕切り壁とを具備するトップ部とによって構成され、前記連結部を押し下げた場合、それぞれの液体収容空間と前記液体溜まり部とを連通する液体通路を前記ボトム部に設けたことにある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に立設するトップ外周壁、該トップ外周壁との間に所定の液体収容空間を画成するトップ内周壁、前記トップ外周壁の上端と前記トップ内周壁の上端との間を連設する上面壁および前記液体収容空間を所定の大きさに仕切る仕切り壁を有するトップ部と、
前記トップ外周壁の下端が噛合する外側噛合溝がその基部に形成されるボトム外周壁、前記トップ内周壁の下端が噛合する内側噛合溝がその基部に形成されるボトム内周壁、前記外側噛合溝および前記内側噛合溝の間を、前記外側噛合溝側を支点としてボトム内周壁を移動可能にするように連結する連結部、前記内周壁の中央部に凹状に形成された液体溜まり部および前記液体収容空間と前記液体溜まり部を連通する液体通路を有するボトム部とを具備することを特徴とする混合容器。
【請求項2】
前記液体通路は、前記液体溜まり部の周縁接線方向に延出するように形成することを特徴とする請求項1記載の混合容器。
【請求項3】
前記液体貯まり部の上部であって前記ボトム内周壁に当接するように吸収部材が配され、前記連結部が押し下げられて液体溜まり部で混合された液体が前記吸収部材に吸収されることを特徴とする請求項1または2記載の混合容器。
【請求項4】
前記吸収部材は、不織布または多孔質スポンジであることを特徴とする請求項3記載の混合容器。
【請求項5】
前記上面壁には、前記複数の液体収容空間のそれぞれに連通する流体充填口が形成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の混合容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時に複数の溶液を混合することのできる混合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(実開平4-45272号公報)は、第1液用容器と、第2液用容器とからなる二液混合容器であって、上記第1液用容器は、圧搾可能な胴部より口頸部を起立した第1容器体と、上記口頸部上端に嵌着させた第1抽出ノズルと、上記口頸部外周に周壁内周を着脱自在に嵌合させるとともに、頂壁裏面中央より上記第1抽出ノズルの開口を閉塞させる棒栓を垂設させてなる第1キャップとから構成し、上記第2液用容器は、底壁周縁より円筒状の周壁を立設してなる上面端開放の第2容器体と、該容器体の周壁内周に液密且つ上下動自在に嵌合させた環状ピストンを外周縁に周設させ、且つ、中央に穿設した透孔外周縁より上方に第2抽出ノズルを立設してなる可動蓋と、上記第2容器体周壁外周に周壁内周を着脱時事に嵌合させるとともに、頂壁裏面中央より上記第2抽出ノズルの開口を閉塞させた枠栓を垂設させてなる第2キャップとから構成し、上記第2抽出ノズル外周を上記第1抽出ノズル開口に嵌合可能に構成するとともに、上記可動蓋を、該蓋裏面が前記第2容器体底壁上面と当接するまで押し下げ可能に構成してなる二液混合容器を開示する。
【0003】
特許文献2(特開2022-58010号公報)に開示される二液混合容器は、第1液を収容する第1収容空間を有する第1容器体と、第1容器体に装着されるともに第2液を収容する第2収容空間を有する第2容器体と、第2収容空間を閉塞するキャップとを備え、第2容器体は、第1容器体の口部に装着される外壁部と、外壁部の径方向内側に設けられた内壁部と、外壁部および内壁部の下部に連結され、第2収容空間を区画形成する底壁部とを有し、底壁部には弱化部が設けられており、キャップは、内壁部の上部に対して中心軸線周りの少なくとも一方向に回転不能となるように係合しており、キャップの少なくとも一方向への回転によってキャップの装着が解除されることを特徴とするものである。
【0004】
特許文献3(特開2010-83567号公報)は、内部に2種類の異なる物品を別個に封入し、使用時に以前には内部が仕切られ2種類の物品を別々に保持でき、使用時には内部を容易に連通させて2種類の物品を合わせて使用することができる2室分離袋に関するもので、フィルムからなり、略中央部に仕切り部を有することで2種類の被収容物をそれぞれ別個に収容できる平袋であって、前記仕切り部は、袋の上下面を構成する前記フィルムが易剥離性を有する帯状テープを挟んで熱融着されることで形成されており、熱融着されたヒートシール部は、前記帯状テープに平行な略帯状で、一部に幅が狭くなった幅狭部を有しており、該幅狭部は前記帯状テープを挟む部分にのみ位置し、該幅狭部を除く部分は前記帯状テープを挟む部分と挟まない部分に跨がって位置する平袋を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平4-45272号公報
【特許文献2】特開2022-58010号公報
【特許文献3】特開2010-83567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているように、異種の2液を混合して用いる場合、混合状態で保存するとそれぞれの液が互いに反応して効力を失ったり劣化したりするという不具合が生じる。このため、このような2液を混合する場合、使用直前に混合して使用することが望ましい。
【0007】
また、特許文献2では、二液が混合された後に内容物が使用可能になるように構成されるが、構造自体が複雑であるという不具合を有する。
【0008】
さらに、特許文献3では、仕切り部を容易に連通させて化粧水を不織布シートに含浸させることが開示されているが、2液以上の液体を不織布シートに含浸可能な構造を有していない。
【0009】
このため、本発明は、2液、または複数の液体を、使用直前に混合することができる混合容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る混合容器は、環状に立設するトップ外周壁、該トップ外周壁との間に所定の液体収容空間を画成するトップ内周壁、前記トップ外周壁の上端と前記トップ内周壁の上端との間を連設する上面壁および前記液体収容空間を所定の大きさに仕切る仕切り壁を有するトップ部と、前記トップ外周壁の下端が噛合する外側噛合溝がその基部に形成されるボトム外周壁、前記トップ内周壁の下端が噛合する内側噛合溝がその基部に形成されるボトム内周壁、前記外側噛合溝および前記内側噛合溝の間を、前記外側噛合溝側を支点としてボトム内周壁を移動可能にするように連結する連結部、前記内周壁の中央部に凹状に形成された液体溜まり部および前記液体収容空間と前記液体溜まり部を連通する液体通路を有するボトム部とを具備することにある。
ことにある。
【0011】
これによって、使用時にボトム部の液体溜まり部を押し下げることによって連結部が押し下げられ、前記液体収容空間の下方が開放され、流体通路を介して複数の液体が液体溜まり部へ移動し、この液体溜まり部で混合されて所望の溶液が得られる。尚、前記液体通路は、前記液体溜まり部の周縁接線方向に延出するように形成することが好ましい。これによって、流体通路を経て液体溜まり部に流入した液体は、旋回運動をするため、良好な混合が得られる。
【0012】
また、前記液体貯まり部の上部であって前記ボトム内周壁に当接するように吸収部材が配され、前記連結部が押し下げられて液体溜まり部で混合された液体が前記吸収部材に吸収されることが望ましい。さらに、前記吸収部材は、不織布または多孔質スポンジであることが望ましい。さらに、前記液体は化粧水を構成する第1の溶液および第2の溶液であることが望ましい。第1の溶液としては、保湿成分、例えばグリセリン、多価アルコール類、糖類、ヒアルロン酸などを含有し、第2の溶液としては、水(精製水)、エタノール、カルボキシビニルポリマーなどが想定される。
【0013】
さらにまた、前記上面壁には、前記複数の液体収容空間のそれぞれに連通する流体充填口が形成されることが望ましい。これによって、混合容器の形成後に、溶液の充填を可能にするので、混合容器組立の作業性が向上するものである。また、最後の作業として前記上面壁を覆うようにシールを装着し、前記液体充填口を閉塞することができるものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、使用時に連結部を押し下げることによって、複数の液体収容空間の下方がそれぞれの流体通路と連通し、液体収容空間に充填された液体が流体通路を介して液体溜まり部に流入して混合されるので、液体溜まり部にて複数の液体が混合されることから、簡単に且つ確実に所望の混合液を取得することができるものである。
【0015】
このように、使用直前に液の混合が可能になることから、混合液の液同士の反応による経時的劣化を防止することができるので、酸化防止剤や防腐剤等の余分な薬剤の使用しなくてすむという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1に係る混合容器の使用前の状態を示した断面図である。
図2】本発明の実施例1に係る混合容器の使用時の状態を示した断面図である。
図3図3(a)は、実施例1に係る混合容器のトップ部を示した平面図であり、図3(b)は、その断面図である。
図4図4(a)は、実施例1に係る混合容器のボトム部を示した平面図であり、図4(b)は、その断面図である。
図5】本発明の実施例2に係る混合容器のボトム部を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について、図面により説明する。
【実施例0018】
本発明の実施例1に係る混合容器1は、図1及ぶ図2に示されるように、トップ部2およびボトム部3を具備する。
【0019】
前記トップ部2は、図1図2および図3(a),(b)に示されるように、環状に立設するトップ外周壁21と、このトップ外周壁21との間に所定の液体収容空間25を画成するトップ内周壁22と、前記トップ外周壁21の上端と前記トップ内周壁22の上端との間を連設する上面壁23と、前記液体収容空間25を所定の大きさに仕切る仕切り壁24とを有する。この仕切り壁24によって液体収容空間25は、所望の空間に分割される。
【0020】
前記ボトム部3は、図1図2および図4(a),(b)に示されるように、前記トップ外周壁21の下端が噛合する外側噛合溝35がその基部に形成されるボトム外周壁31と、前記トップ内周壁22の下端が噛合する内側噛合溝36がその基部に形成されるボトム内周壁32と、前記外側噛合溝35および前記内側噛合溝36の間を、前記外側噛合溝35側を支点としてボトム内周壁32を移動可能にするように連結する連結部34と、前記ボトム内周壁32の中央部に凹状に形成された液体溜まり部33および前記液体収容空間25と前記液体溜まり部33を連通する液体通路38を有する。
【0021】
また、この実施例1では、前記液体貯まり部33の上部であって前記ボトム内周壁32に当接するように吸収部材4が配され、前記連結部34が押し下げられて液体溜まり部33で混合された液体が前記吸収部材4に吸収されるものである。尚、前記吸収部材4は、不織布または多孔質スポンジである
【0022】
さらに、前記上面壁23には、前記複数の液体収容空間25のそれぞれに連通する流体充填口26が形成される。これによって、トップ部2とボトム部3とを組み立てた後に、液体収容空間25に液体を充填できるので、作業性が向上する。その後、前記上面壁23を覆うように、シール5を貼り付けて、前記流体充填口26を閉塞する。
【0023】
実施例1では、上記構造の混合容器1について、吸収部材4を、不織布によって形成され所定の大きさに折り畳まれたフェイシャルマスクとするとともに、2つの仕切り壁24によって前記液体収容空間25を2つの空間に仕切り、それぞれの空間に前記流体充填口26を介して種類の異なる化粧水溶液を充填する。充填する液体としては、第1の溶液としては、保湿成分、例えばグリセリン、多価アルコール類、糖類、ヒアルロン酸などを含有し、第2の溶液としては、水(精製水)、エタノール、カルボキシビニルポリマーなどが想定される。製造後、使用するまでは、図1で示す状態である。
【0024】
上記混合容器1を使用する場合、前記シール5の中央部分を押下する。すると吸収部材4を介して前記連結部34が押し下げられ、前記ボトム内側壁32が下がり、前記トップ内周壁22の下端が前記内側噛合溝36から外れるので、前記流体収容空間25の下方が開いて前記流体収容空間25のそれぞれの空間に充填された化粧水溶液が液体通路38を介して前記液体溜まり部33に流出し、ここで混合される。この場合、それぞれの液体は、前記液体溜まり部33に接線方向から流入するため、流体溜まり部33内には液体が回転して流入するため、2つの化粧水溶液が効率的に均一に混合される。
【0025】
均一に混合された混合液は、前記吸収部材4に均等に吸収されるので、フェイシャルシールへの化粧水の吸収ムラを防止できるものである。
【実施例0026】
図5に示される本発明の実施例2に係る混合容器1は、3液を混合して使用する場合を示したものである。
【0027】
したがって、仕切り壁24は、前記液体収容空間25を3つの空間に分割するように配置され、これに伴って前記液体通路28はそれぞれの空間と前記液体溜まり部23とを連通する。また、液体通路28は前記液体溜まり部23に対して接線方向に形成される。
【0028】
以上の構成により、本発明の実施例2によれば、3種類の液体を均一に混合することができるものである。
【0029】
さらに、別の実施例では、2液の混合割合によって、液体収容空間25のそれぞれの空間の容積を変化させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
上述したように、本発明の実施例では、吸収部材に複数の溶液を混合させた混合溶液を吸収させるものを開示したが、使用時に複数の液を混合させて使用するもの、例えば接着剤、例えば食品などにも利用することが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 混合容器
2 トップ部
3 ボトム部
4 吸収部材
5 シール
21 トップ外周壁
22 トップ内周壁
23 上面壁
24 仕切り壁
25 液体収容空間
31 ボトム外周壁
32 ボトム内周壁
33 液体溜まり部
34 連結部
35 外側噛合溝
36 内側噛合溝
37 仕切り壁噛合溝


図1
図2
図3
図4
図5