(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089967
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】施工管理装置、施工管理方法及び施工管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240627BHJP
G06Q 10/0631 20230101ALI20240627BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/0631
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205548
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000135771
【氏名又は名称】株式会社パスコ
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】100102716
【弁理士】
【氏名又は名称】在原 元司
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 善一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 陽哉
(72)【発明者】
【氏名】尾上 和彦
(72)【発明者】
【氏名】宮田 岩往
(72)【発明者】
【氏名】高尾 篤志
(72)【発明者】
【氏名】平井 崇
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 尊彦
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA09
5L049AA09
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】割り当て作業の自動化を進め、簡易に工事の進捗を確認できる施工管理装置、施工管理方法及び施工管理プログラムを提供する。
【解決手段】建設物における各部位と各部位を構成する部材とを含む3次元モデルデータにおける各部位と、部材と、当該部材に対して行われる標準工程と、の組合せを特定する標準工程特定部12と、工程項目の名称と部材と部位とを含む複数の工程項目の順序が特定された工程データの工程項目のうち部位と部材と工程項目の名称との組合せが、標準工程特定部12が特定した3次元モデルデータにおける部位と部材と標準工程の名称との組合せに一致する場合に、工程項目に3次元モデルデータを紐付ける施工紐付け部14と、工程データに従い工程項目に紐付けられた3次元モデルデータを工程データに含まれる工程項目の施工段階に応じた状態で画面上に表示させるシミュレート部16と、を備える施工管理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設物における各部位と前記各部位を構成する部材とを特定可能にした3次元モデルデータ、前記部材ごとに当該部材に対して行われる標準的な工程項目である標準工程が対応付けられた部材マスタデータ、及び工程項目の名称と前記工程項目に対応付けられた部材と当該部材により構成される部位とを含み複数の工程項目のそれぞれの順序が特定された工程データ、を記憶する記憶部と、
前記3次元モデルデータと前記部材マスタデータとを参照して前記3次元モデルデータの前記各部位と、当該部位を構成する前記部材と、当該部材に対して行われる前記標準工程と、の組合せを特定する標準工程特定部と、
前記工程データの前記工程項目に前記3次元モデルデータを紐付ける施工紐付け部と、
前記工程データに従い、前記工程項目に紐付けられた前記3次元モデルデータを、前記工程項目の施工段階に応じた状態で画面上に表示させるシミュレート部と、
を備え、
前記施工紐付け部は、前記工程データの前記工程項目のうち、前記部位と前記部材と前記工程項目の名称との組合せが、前記標準工程特定部が特定した前記3次元モデルデータにおける前記部位と前記部材と前記標準工程の名称との組合せに一致する工程項目に当該3次元モデルデータの当該部材を紐付ける、
施工管理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記部位の名称及び前記部材の名称の文字列をファイル名に含む前記部材ごとのファイルとして前記3次元モデルデータを記憶し、
前記標準工程特定部は、前記ファイル名から前記部位の名称及び前記部材の名称の文字列を抽出して前記3次元モデルデータの前記部位ごとの前記部材を特定する、
請求項1に記載の施工管理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記複数の工程項目のそれぞれが前記部位の名称及び前記部材の名称の文字列に対応付けられるとともに、前記部材には別名の文字列が設定可能である前記工程データを記憶し、
前記施工紐付け部は、前記工程データにおいて前記部材の別名の文字列が対応付けられている前記工程項目については、前記部材の別名の文字列を用いて当該工程項目に前記3次元モデルデータの当該部材を紐付ける、
請求項1または請求項2に記載の施工管理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、さらに、前記標準工程それぞれと当該標準工程の施工段階に応じたステータスとを対応付けた標準工程マスタデータを記憶し、
前記施工紐付け部は、前記工程データの前記工程項目のうち前記標準工程と同じ名称の工程項目に、前記標準工程マスタデータにおいて当該標準工程に対応付けられた前記ステータスを紐付ける、
請求項1または請求項2に記載の施工管理装置。
【請求項5】
建設物における各部位と前記各部位を構成する部材とを特定可能にした3次元モデルデータ、前記部材ごとに当該部材に対して行われる標準的な工程項目である標準工程が対応付けられた部材マスタデータ、及び工程項目の名称と前記工程項目に対応付けられた部材と当該部材により構成される部位とを含み複数の工程項目のそれぞれの順序が特定された工程データ、を記憶する記憶ステップと、
前記3次元モデルデータと前記部材マスタデータとを参照して前記3次元モデルデータの前記各部位と、当該部位を構成する前記部材と、当該部材に対して行われる前記標準工程と、の組合せを特定する標準工程特定ステップと、
前記工程データの前記工程項目に前記3次元モデルデータを紐付ける施工紐付けステップと、
前記工程データに従い、前記工程項目に紐付けられた前記3次元モデルデータを、前記工程項目の施工段階に応じた状態で画面上に表示させるシミュレートステップと、
を備え、
前記施工紐付けステップは、前記工程データの前記工程項目のうち、前記部位と前記部材と前記工程項目の名称との組合せが、前記標準工程特定ステップにおいて特定された前記3次元モデルデータにおける前記部位と前記部材と前記標準工程の名称との組合せに一致する工程項目に当該3次元モデルデータの当該部材を紐付ける、
施工管理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
建設物における各部位と前記各部位を構成する部材とを特定可能にした3次元モデルデータ、前記部材ごとに当該部材に対して行われる標準的な工程項目である標準工程が対応付けられた部材マスタデータ、及び工程項目の名称と前記工程項目に対応付けられた部材と当該部材により構成される部位とを含み複数の工程項目のそれぞれの順序が特定された工程データ、を記憶する記憶部、
前記3次元モデルデータと前記部材マスタデータとを参照して前記3次元モデルデータの前記各部位と、当該部位を構成する前記部材と、当該部材に対して行われる前記標準工程と、の組合せを特定する標準工程特定部、
前記工程データの前記工程項目に前記3次元モデルデータを紐付ける施工紐付け部、
前記工程データに従い、前記工程項目に紐付けられた前記3次元モデルデータを、前記工程項目の施工段階に応じた状態で画面上に表示させるシミュレート部、
として機能させ、
前記施工紐付け部は、前記工程データの前記工程項目のうち、前記部位と前記部材と前記工程項目の名称との組合せが、前記標準工程特定部が特定した前記3次元モデルデータにおける前記部位と前記部材と前記標準工程の名称との組合せに一致する工程項目に当該3次元モデルデータの当該部材を紐付ける、
施工管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工管理装置、施工管理方法及び施工管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば橋梁、トンネル、ダム、土工、河川等の土木公共工事の分野では、各種の建設物を建設する際に、2次元図面から3次元モデルへの移行による業務変革や、或いは初期の工程(フロント)において負荷をかけて事前に集中的に検討し、後工程で生じそうな手戻りを未然に防いで、品質の向上や工期の短縮化を図ることを可能にするフロントローディングにより、合意形成の迅速化、業務の効率化、品質の向上、ひいては生産性の向上等を図ることを目的として、国土交通省では、BIM/CIM(Building Information Modeling/Construction Information Modeling/Management)を円滑に導入できるように、ガイドラインを整備して、体系的な推進を試みている。このため、3次元のCIMモデルを作成するための種々の3次元モデル解析プログラムやソフトウェアが開発されている。
【0003】
また、2次元の図面を作成してから3次元の形状を組み立て、CGでシミュレーションするといった従来の手法とは異なり、当初から3次元で設計して3次元モデルを作成することが可能な、BIM/CIMによって作成されるBIM/CIMモデルが開発されている。BIM/CIMモデルでは、3次元オブジェクトの集合体であることから、これらのオブジェクトにコストや仕上げ、管理情報などの属性データを追加することが可能であり、建築物の設計、施工から維持管理に至るまでの、建築物のライフサイクルの全体で、モデルに蓄積された情報を活用することが可能になる。BIM/CIMモデルを作成可能なBIM/CIMツールとして、「ArchiCAD」や「Revit」等の、種々の3次元CADソフトが知られている。
【0004】
さらに、定められた工期内に工事が完了するように、例えば公共工事における工程の計画と実施を管理するための種々の工程管理ソフトが知られており、特に制約条件の理論であるTOC(Theory of Constraints)の考えに基づいて、全体最適の視点で開発されたクリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント(CCPM)を採用した工程管理ソフトも開発されている。ここで、クリティカルチェーンは、プロジェクトにおいて各タスクの実行順序を考えた時に、作業工程上の従属関係を考慮するクリティカルパス法による従来の手法に加えて、必要リソースが限られているために発生する従属関係をも考慮する手法であり、プロジェクトマネジメントは、要員の人間心理や行動特性、及び社会的・組織的問題も考慮して、工期の短縮、納期の順守を目的としてプロジエクト管理を行う実践的手法であり、各々のタスクから除去した安全余裕を、「バッファ」に集約して管理するようになっている。
【0005】
一方、例えばプラント建設物等の建設工事において、工事の進捗を確認できるようにした工事の進捗管理システムも開発されている。例えば、下記特許文献1に記載の施工管理装置10では、シミュレーションのために工程・モデル紐付けステップS6において工程データと建設物30の3次元設計モデルとの紐づけが行われる。当該ステップS6において、作業員は、3次元設計モデルを構成する複数の部位の設計データの中から工程項目33を紐付けしたい部位の設計データを選択し、工程データを構成する複数の工程項目の中の一又は複数の工程項目33に割り当てる、という作業を全ての部位に対して繰り返し実施する。
【0006】
また、上記施工管理装置10では、シミュレーションのために工程・ステータス紐付けステップS5において工程データとステータスとの紐づけも行われる。該ステップS5において、作業員は、工程項目33を指定して、指定した工程項目33の工程期間中の部材ステータス33aを設定し、さらに指定した工程項目33の工程期間経過後の部材ステータス33bを設定する、という作業を全ての工程項目に対して繰り返し実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1の技術では、各施工現場においては相当数の部材があり、それらに対して工程を一つ一つ割り当てていく必要があった。さらには、工程も一つの部材に対して複数あるため、全体でかなりの数の割り当て作業を行う必要があった。そのため、上記特許文献1の技術では、相当の時間を必要とし、入力ミス等の可能性もあって、非常に非効率な作業となっていた。
【0009】
本発明は、割り当て作業の自動化を進め、簡易に工事の進捗を確認できる施工管理装置、施工管理方法及び施工管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の実施形態を含む。
【0011】
[1]建設物における各部位と前記各部位を構成する部材とを特定可能にした3次元モデルデータ、前記部材ごとに当該部材に対して行われる標準的な工程項目である標準工程が対応付けられた部材マスタデータ、及び工程項目の名称と前記工程項目に対応付けられた部材と当該部材により構成される部位とを含み複数の工程項目のそれぞれの順序が特定された工程データ、を記憶する記憶部と、前記3次元モデルデータと前記部材マスタデータとを参照して前記3次元モデルデータの前記各部位と、当該部位を構成する前記部材と、当該部材に対して行われる前記標準工程と、の組合せを特定する標準工程特定部と、前記工程データの前記工程項目に前記3次元モデルデータを紐付ける施工紐付け部と、前記工程データに従い、前記工程項目に紐付けられた前記3次元モデルデータを、前記工程項目の施工段階に応じた状態で画面上に表示させるシミュレート部と、を備え、前記施工紐付け部は、前記工程データの前記工程項目のうち、前記部位と前記部材と前記工程項目の名称との組合せが、前記標準工程特定部が特定した前記3次元モデルデータにおける前記部位と前記部材と前記標準工程の名称との組合せに一致する工程項目に当該3次元モデルデータの当該部材を紐付ける、施工管理装置。
【0012】
[2]前記記憶部は、前記部位の名称及び前記部材の名称の文字列をファイル名に含む前記部材ごとのファイルとして前記3次元モデルデータを記憶し、前記標準工程特定部は、前記ファイル名から前記部位の名称及び前記部材の名称の文字列を抽出して前記3次元モデルデータの前記部位毎の前記部材を特定する、[1]に記載の施工管理装置。
【0013】
[3]前記記憶部は、前記複数の工程項目のそれぞれが前記部位の名称及び前記部材の名称の文字列に対応付けられるとともに、前記部材には別名の文字列が設定可能である前記工程データを記憶し、前記施工紐付け部は、前記工程データにおいて前記部材の別名の文字列が対応付けられている前記工程項目については、前記部材の別名の文字列を用いて当該工程項目に前記3次元モデルデータの当該部材を紐付ける、[1]または[2]に記載の施工管理装置。
【0014】
[4]前記記憶部は、さらに、前記標準工程それぞれと当該標準工程の施工段階に応じたステータスとを対応付けた標準工程マスタデータを記憶し、前記施工紐付け部は、前記工程データの前記工程項目のうち前記標準工程と同じ名称の工程項目に、前記標準工程マスタデータにおいて当該標準工程に対応付けられた前記ステータスを紐付ける、[1]~[3]のいずれかひとつに記載の施工管理装置。
【0015】
[5]建設物における各部位と前記各部位を構成する部材とを特定可能にした3次元モデルデータ、前記部材ごとに当該部材に対して行われる標準的な工程項目である標準工程が対応付けられた部材マスタデータ、及び前記工程項目の名称と前記工程項目に対応付けられた部材と当該部材により構成される部位とを含み複数の工程項目のそれぞれの順序が特定された工程データ、を記憶する記憶ステップと、前記3次元モデルデータと前記部材マスタデータとを参照して前記3次元モデルデータの前記各部位と、当該部位を構成する前記部材と、当該部材に対して行われる前記標準工程と、の組合せを特定する標準工程特定ステップと、前記工程データの前記工程項目に前記3次元モデルデータを紐付ける施工紐付けステップと、前記工程データに従い、前記工程項目に紐付けられた前記3次元モデルデータを、前記工程項目の施工段階に応じた状態で画面上に表示させるシミュレートステップと、を備え、前記施工紐付けステップは、前記工程データの前記工程項目のうち、前記部位と前記部材と前記工程項目の名称との組合せが、前記標準工程特定ステップにおいて特定された前記3次元モデルデータにおける前記部位と前記部材と前記標準工程の名称との組合せに一致する工程項目に当該3次元モデルデータの当該部材を紐付ける、施工管理方法。
【0016】
[6]コンピュータを、建設物における各部位と前記各部位を構成する部材とを特定可能にした3次元モデルデータ、前記部材ごとに当該部材に対して行われる標準的な工程項目である標準工程が対応付けられた部材マスタデータ、及び工程項目の名称と前記工程項目に対応付けられた部材と当該部材により構成される部位とを含み複数の工程項目のそれぞれの順序が特定された工程データ、を記憶する記憶部、前記3次元モデルデータと前記部材マスタデータとを参照して前記3次元モデルデータの前記各部位と、当該部位を構成する前記部材と、当該部材に対して行われる前記標準工程と、の組合せを特定する標準工程特定部、前記工程データの前記工程項目に前記3次元モデルデータを紐付ける施工紐付け部、前記工程データに従い、前記工程項目に紐付けられた前記3次元モデルデータを、前記工程項目の施工段階に応じた状態で画面上に表示させるシミュレート部、として機能させ、前記施工紐付け部は、前記工程データの前記工程項目のうち、前記部位と前記部材と前記工程項目の名称との組合せが、前記標準工程特定部が特定した前記3次元モデルデータにおける前記部位と前記部材と前記標準工程の名称との組合せに一致する工程項目に当該3次元モデルデータの当該部材を紐付ける、施工管理プログラム。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、割り当て作業の自動化を進め、簡易に工事の進捗を確認できる施工管理装置、施工管理方法及び施工管理プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態にかかる施工管理装置の例の機能ブロック図である。
【
図2】実施形態にかかる3次元モデルデータに含まれる建設物の3次元モデルの例を示す図である。
【
図3】実施形態にかかる部材マスタデータの例を示す図である。
【
図4】実施形態にかかる標準工程マスタデータの例を示す図である。
【
図5】実施形態にかかる各ステータスにおける表示設定の例を示す図である。
【
図6】実施形態にかかる工程データの例を示す図である。
【
図7】実施形態にかかる施工管理装置の動作例のフロー図である。
【
図8】実施形態にかかる施工紐付け部による期間中・期間後のステータスの自動設定処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0020】
図1には、実施形態にかかる施工管理装置100の例の機能ブロック図が示される。施工管理装置100は、記憶部10、標準工程特定部12、施工紐付け部14、シミュレート部16、表示部18、編集部19およびCPU20を含み、装置全体の制御および各種演算を行うコンピュータとして構成されている。CPU20はCPU以外にGPU等のアクセラレーターを含んでいてもよい。
【0021】
CPU20は、標準工程特定部12、施工紐付け部14、シミュレート部16、編集部19等として機能する。上記各機能は例えばCPU20とCPU20の処理動作を制御するプログラムとにより実現される。
【0022】
また、記憶部10は、ハードディスク装置、ソリッドステートドライブ(SSD)等の不揮発性メモリで構成され、上記各データ、およびCPU20を動作させるためのプログラム等の、施工管理装置100が行う各処理に必要な情報を記憶する。なお、記憶部10としては、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、電気的消去および書き換え可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ等を使用してもよい。また、記憶部10には、主としてCPU20の作業領域として機能するランダムアクセスメモリ(RAM)、およびBIOS等の制御プログラムその他のCPU20が使用するデータが格納される読み出し専用メモリ(ROM)を含めるのが好適である。なお、記憶部10には外部の記憶装置が含まれてもよい。
【0023】
記憶部10は、建設物における各部位と各部位を構成する全ての部材の形状及び配置とを特定可能にした3次元モデルデータ、部材ごとに当該部材に対して行われる標準工程が対応付けられた部材マスタデータ、及び工程項目の名称と工程項目に対応付けられた部材と当該部材により構成される部位とを含む複数の工程項目のそれぞれの順序が特定された工程データ、を記憶する。さらに、記憶部10は、標準工程マスタデータを記憶してもよい。
【0024】
ここで、3次元モデルデータとは、建設工事の対象(管理対象ともいう)である建設物の3次元モデルに関するデータであり、建設物を構成する各部位及び各部位を構成する部材の各名称と各部材ごとの3次元モデルデータ及び各部材の配置情報とを含んでいる。すなわち、3次元モデルデータには、各部材ごとの3次元モデルデータの集合が含まれる。この3次元モデルデータは、CADソフトウェアを用いて予め作成され、例えば部位または部材ごとのファイル群として記憶部10に記憶される。部材ごとの3次元モデルデータのファイルには、部位及び部材の各名称の文字列または識別コードをファイル名として含んでいる。これにより、ファイル名からの文字列抽出によって部位と部材を特定できる。
【0025】
部材マスタデータとは、建設物の部材ごとにその部材に対して実施される標準工程を対応付けた情報であって、表計算ソフトウェア等を用いて予め作成され、部材ごとに標準工程が記載されたファイルとして記憶部10に記憶される。また、標準工程とは、各部材に対してそれぞれ実施される工程項目の内、標準的な工事の工程として予め設定された工程項目で、1つの部材に対して、一つ又は複数の標準工程が実施(対応付け)される。例えば部材の「柱」であれば,「鉄筋工」「型枠工」「コンクリート打設工」「養生工」「脱型」等からなる。このように、部材マスタデータには、1つの部材に対する複数の標準工程の対応付けが含まれる場合がある。あるいは、異なる部材に対する施工に共通の標準工程が含まれ得る。そのため部材マスタデータにおいては、複数の部材に対する共通の標準工程の対応付けを含んでいてもよい。具体例として、部材の名称の前方を共通の名称(例えば、柱1段目、柱2段目・・)としておき、その場合は、共通の標準工程「柱」を適用する形をとってもよい。標準工程の情報としては、例えば部材名(部材の名称)及び標準工程名称(標準工程の名称)等が含まれる。
【0026】
工程データとは、管理対象の建設物について実施される複数の工程項目の順序を特定する情報である。工程項目とは、上記建設物を建設するために実施される工事の項目であり、当該建設物の部位を構成する部材それぞれに対して実施される工程項目の組合せで工程データが構成されている。工程データは、工程項目の順序に加え、工程項目の名称、工程項目の対象である部位の情報、及び部位を構成する部材の情報も含んでいる。この工程データには、各工程項目の工事の順序を特定する情報として、計画開始日および計画終了日の情報も含まれる。施工期間中または竣工後には、実績開始日、実績終了日の情報を持たせても良い。また、施工期間中において、計画開始日、計画終了日が変更になる場合がある。その時は、当初の予定を当初開始日、当初終了日として別に持たせ、計画開始日、計画終了日を随時更新しても良い。工程データは、工程管理ソフトウェアを用いて予め作成され、例えば部材ごとのファイルとして記憶部10に記憶される。
【0027】
標準工程マスタデータとは、複数の標準工程それぞれとその施工段階を表す情報として定義されたステータスとを対応付けた情報であって、表計算ソフトウェア等を用いて予め作成され記憶部10に記憶される。ステータスとは、当該標準工程の期間中、期間後、および、初期(施工前)の部材の施工状態を表すものである。シミュレート部16が3次元モデルをシミュレート表示する際に、ステータスに応じて各部材の表示色が設定されており、色表示によって当該日時における各部材のステータスを確認することができる。標準工程マスタデータは、例えば標準工程ごとにステータス情報が列挙されたCSVファイルとして作成され、標準工程名称(標準工程の名称)、期間中ステータス(施工中のステータス)、期間後ステータス(施工後のステータス)及びモデル初期ステータス(施工前のステータス)等を情報として含んでいる。
【0028】
標準工程特定部12は、3次元モデルデータと部材マスタデータとを参照して3次元モデルデータの各部位と、当該部位を構成する部材と、当該部材に対して行われる標準工程と、の組合せを特定する。すなわち、標準工程特定部12は、記憶部10から管理対象である建設物の3次元モデルデータと部材マスタデータとを読み出し、読み出した3次元モデルデータのファイル名に含まれる部材の名称をキーにして部材マスタデータを検索し、各部材に対して実施される標準工程を特定することにより、3次元モデルデータの各部位と、当該部位を構成する部材と、当該部材に対して行われる一又は複数の標準工程の各名称の組合せを特定する。特定した各名称の組合せは、標準工程特定部12が記憶部10に書き込んで記憶させる。
【0029】
施工紐付け部14は、工程データの工程項目に3次元モデルデータを紐付ける。すなわち、施工紐付け部14は、工程データを記憶部10から読み出して参照し、工程データの工程項目のうち、部位と部材と工程項目の名称との組合せが、3次元モデルデータにおける部位と部材と標準工程特定部12が特定した一又は複数の標準工程の名称のいずれかとの組合せに一致する工程項目を、当該3次元モデルデータの当該部材に紐付ける。紐付けられた工程項目と3次元モデルデータの部材との情報は、施工紐付け部14が記憶部10に書き込んで記憶させる。さらに、施工紐付け部14は、工事の進捗を表す情報として、工程データの工程項目のそれぞれに、標準工程マスタデータに定義された期間中、期間後、および、初期(施工前)の各ステータスを紐付ける処理も行う。この処理は、工程データの工程項目のうち標準工程と同じ名称の工程項目に、標準工程マスタデータにおいて当該標準工程に対応付けられたステータスを紐づけることにより実行される。
【0030】
シミュレート部16は、工程データに従い、工程項目に紐付けられた3次元モデルデータに含まれる各部材を、工程項目の施工段階に応じた状態で画面上に表示させる。すなわち、シミュレート部16は、記憶部10から紐付けられた工程データと3次元モデルデータとの情報を読み出し、利用者に日時を指定させ、その日時と各工程項目の計画開始日および計画終了日とを比較してその日時における工事の進捗(すなわち各工程項目が期間中か期間後かなど)を判定し、その日時の計画された工事の進捗に応じた3次元モデルデータの各部材を、指定されたステータスに応じた色で表示部18の画面に表示する。
【0031】
表示部18は、液晶表示装置その他の適宜な表示装置及びその制御装置により構成され、シミュレート部16の指示に基づき、指定された日時の工事の進捗に応じた3次元モデルとステータス等を表示する。
【0032】
編集部19は、記憶部10に記憶された情報の追加、変更を行う。例えば、後述する3次元モデルデータの内容編集、あるいは実績開始日、実績終了日の追加、計画開始日、計画終了日の変更等の工程データの編集等が挙げられる。
【0033】
図2には、3次元モデルデータに含まれる建設物の3次元モデルの例が示される。
図2の例では、杭22と梁24とで構成された骨組み26の上に、矩形構造物28が載置された建設物が記載されており、全体で一つの部位を構成している。この部位は、杭22と梁24とで構成された骨組み26と矩形構造物28とで構成されている。3次元モデルデータには、建設物を構成する部位及び部材の3次元モデルデータ及び各部材の配置情報と、部位及び各部位を構成する部材の各名称とが含まれる。
【0034】
図3には、部材マスタデータの例が示される。
図3の例では、部材マスタデータに部材名及び標準工程名称1~4の項目が含まれている。例えば、杭22は、場所打ち杭として施工されるため、部材名「場所打ち杭」の標準工程1として「場所打杭工」が対応付けられる。なお、標準工程名称の数は任意に設定でき、例えば10個の標準工程名称(標準工程名称1~10)を設定することもできる。
図3において、部材マスタデータは、複数の部材について部材ごとに標準工程名称が列挙されたCSVファイルとして作成されている。
【0035】
図4には、標準工程マスタデータの例が示される。
図4の例では、標準工程マスタデータに、標準工程名称、期間中ステータス、期間後ステータス及びモデル初期(施工前)ステータスの項目が含まれている。例えば、場所打ち杭として施工される杭22に対応付けられた、部材名「場所打ち杭」の標準工程1の「場所打杭工」に対して、「期間中ステータス」の「杭打設工」が、「期間後ステータス」の「完成」が、「モデル初期ステータス」の「未着手」が、それぞれ対応付けられる。「期間中ステータス」は、対象となる部材の工程項目が施工期間内であることをシミュレート部16がシミュレーションにおいて表示するための表示設定、「期間後ステータス」は、対象となる部材の工程項目が施工期間後(施工終了後)であることをシミュレート部16がシミュレーションにおいて表示するための表示設定、「モデル初期ステータス」は、対象となる部材の工程項目が施工期間前の状態であることをシミュレート部16がシミュレーションにおいて表示するための表示設定である。
【0036】
図5には、各ステータスにおける表示設定の例が示される。表示設定は、3次元モデルの各部材をシミュレート部16で表示可能なように、各部材の標準工程毎に設定された表示/非表示の区分、表示する際の色等である。例えば、部材名「場所打ち杭」の標準工程である「場所打杭工」に対する「期間中ステータス」の「杭打設工」には、当該ステータス中の部材の「表示」と表示色である「橙色(Orange)」が対応付けられ、「期間後ステータス」の「完成」には、当該ステータス中の部材の「表示」と表示色「灰色(Gray)」が対応付けられる。その場合、当該工程項目「場所打杭工」が施工期間内と判定されたときは、シミュレート部16が工程項目「場所打杭工」に対応する部材である「場所打ち杭」としての杭22の3次元モデルを「橙色」で描き、ステータスの属性情報として「杭打設工」を持った図を表示する。同様に、当該工程項目「場所打杭工」が施工期間後と判定されたときは、シミュレート部16が「場所打ち杭」としての杭22の3次元モデルを「灰色」で描き、ステータスの属性情報として「完成」を持った図を表示する。また、「場所打杭工」の「モデル初期ステータス」には「未着手」が対応付けられているので、当該工程項目「場所打杭工」が施工期間前と判定されたときは、シミュレート部16が例えば「場所打ち杭」としての杭22の3次元モデルを「非表示」にした図を表示する。
【0037】
図6には、工程データの例が示される。
図6の例では、工程データに、名称、計画開始日、計画終了日、実績開始日、実績終了日、期間中ステータス、期間後ステータス、ブロック名、部材名及び工程項目の名称が含まれている。
【0038】
名称欄には、各工程項目の名称が入力されており、工程項目は階層構造を有しており、実体的な工程項目と、実体的な工程項目のまとまりを表す分類用の工程項目を含んでいる。これらを表すために、
図6の例では、工程項目毎に階層内の位置(位置により順序と深さが特定される)と実体的な工程項目か否かを識別するフラグF(タスクタイプと称する)が対応付けられている。実体的な工程項目は、施工対象が分かるように、部位名(
図6では、ブロック名)によって部位が特定されている。そのため、工程データにおいて実体的な工程項目毎に部位名が特定可能となっている。
【0039】
さらに、工程データにおいては、自動割り当てを可能にするために、実体的な工程項目毎に、部位を構成する部材を特定可能な情報(部材名)がその部位に対して実施される工程項目の名称とともに対応付けられている。工程項目は、工程項目の名称により特定される。
【0040】
また、計画開始日は、各工程項目における計画段階の施工始端であり、計画終了日は、その終端である。実績開始日は、各工程項目における実績の施工期間の始端であり、実績終了日は、その終端である。実績開始日及び実績終了日は、施工中または施工後に入力する。
【0041】
また、工程データには、各工程項目の施工段階に応じたステータスとして、標準工程マスタデータから紐付けられた「期間中ステータス」と「期間後ステータス」が対応付けられており、シミュレート部16が各部材の3次元モデルをシミュレート表示する際の各部材の表示方法を示している。
【0042】
図7には、実施形態にかかる施工管理装置100の動作例のフロー図が示される。
図7において、上述したように表計算ソフトウェア等を用いて予め作成された標準工程マスタデータが記憶部10に記憶され、施工管理装置100が当該データを取得する(S1)。この場合、表計算ソフトウェア等の機能により、当該データを記憶部10に記憶させる。
【0043】
次に、表計算ソフトウェア等を用いて予め作成された部材マスタデータが記憶部10に記憶され、施工管理装置100が当該データを取得する(S2)。この場合、表計算ソフトウェア等の機能により、当該データを記憶部10に記憶させる。
【0044】
次に、工程管理ソフトウェアを用いて予め作成された工程データが記憶部10に記憶され、施工管理装置100が当該データを取得する(S3)。この場合、工程管理ソフトウェアの機能により、当該データを記憶部10に記憶させる。
【0045】
施工紐付け部14は、工程データと標準工程マスタデータとを記憶部10から読み出し、工程データの工程項目の名称をキーにして標準工程マスタデータのステータスを検索し、工程データの工程項目の名称の内、標準工程マスタデータの標準工程の名称と同じ名称が付けられている工程項目に、標準工程マスタデータにおいてその標準工程に対応付けられたステータスを紐づける(S4)。これにより、期間中・期間後のステータスを各工程項目に自動設定できる。設定されたステータスは、記憶部10に記憶された工程データに書き込まれて格納される。
【0046】
図8には、施工紐付け部14による期間中・期間後のステータスの自動設定処理の説明図が示される。
図8において、工程データの工程項目の名称をキーとして標準工程マスタデータを検索する処理が「キー」との文言で示されている。
図8の例では、標準工程名称である「鉄筋工」、「型枠工」、「脱型」がキーとなっている。このキーに基づき、標準工程マスタデータにおいて「鉄筋工」に対応付けられた期間中ステータスとして「鉄筋工・圧接工」が、期間後ステータスとして「型枠工」が、それぞれ工程データの当該工程項目に設定される。また、
図8の例では、標準工程マスタデータにおいて「型枠工」に対応付けられた期間中ステータスとして「型枠工」が、期間後ステータスとして「コンクリート打設工」が、それぞれ工程データの当該工程項目に設定される。また、標準工程マスタデータにおいて「脱型」に対応付けられた期間中ステータスとして「脱型」が、期間後ステータスとして「完成」が、それぞれ工程データの当該工程項目に設定される。
【0047】
次に、CADソフトウェアを用いて予め作成された3次元モデルデータが記憶部10に記憶され、施工管理装置100が当該データを取得する(S5)。この場合、CADソフトウェアの機能により、当該データを記憶部10に記憶させる。
【0048】
標準工程特定部12は、記憶部10から3次元モデルデータを読み出し、3次元モデルデータのファイル名に含まれる部位の名称及び部材の名称の文字列を抽出して3次元モデルの部材名を部位毎に特定する(S6)。
【0049】
次に、標準工程特定部12は、記憶部10から部材マスタデータを読み出し、S6で特定した3次元モデルの部材名をキーにして、例えば
図3に示される部材マスタデータを検索し、3次元モデルの部材に対して実施される標準工程を特定する(S7)。これにより、3次元モデルデータに含まれる3次元モデルの部位と、当該部位を構成する部材と、当該部材のそれぞれに対して行われる標準工程と、の組合せが特定される。
【0050】
なお、利用者は、必要に応じて3次元モデルデータの内容を編集部19を用いて編集することによって3次元モデルの部材名の別名を設定し、別名をその3次元モデルデータの当該部材に対応付けて記憶部10に記憶させる(S8)。ここで、「必要に応じ」とは、3次元モデルデータにおける名称と工程データにおける名称とが不統一の部材名がある場合等である。
【0051】
部材名の別名の設定処理は、例えば以下のようにして実行される。すなわち、利用者が編集部19の編集開始コマンドを指定すると、編集部19が、記憶部10から3次元モデルデータを読み出し、3次元モデルデータに書き込まれている、3次元モデル毎の「ブロック名」、「部材名1」、「部材名2」を表示部18に一覧表示させるとともに、別名の設定欄である「部材名2」の入力を受け付ける。利用者は「部材名2」欄に別名を入力し、編集部19が当該別名を3次元モデルデータに書き込む。入力を終えた利用者が編集部19の編集終了コマンドを指定すると、編集部19は3次元モデルデータにおいて別名が設定されなかった3次元モデルの「部材名1」を「部材名2」に転記する。以後、部材名として「部材名2」の欄の文字列が使用される。
【0052】
次に、施工紐付け部14は、標準工程特定部12が特定した3次元モデルデータの各部位と、当該部位を構成する部材と、当該部材に対して行われる標準工程の名称との組合せと標準工程マスタデータとを記憶部10から読み出し、3次元モデルデータに含まれる各3次元モデルに対応付けられている標準工程の名称をキーにして標準工程マスタデータを検索し、標準工程マスタデータにおいて、上記キーに一致する名称の標準工程の初期ステータスを特定し、特定した初期ステータスを該当する3次元モデルの初期ステータスとして3次元モデルデータに書き込む(S9)。なお、S9の処理は、S4のステップで期間中・期間後のステータスと同様に初期ステータスを特定し、工程データに書き込んでおいてもよい。
【0053】
施工紐付け部14は、工程データを記憶部10から読み出して参照し、工程データの工程項目のうち部位と部材と工程項目の名称との組合せが、標準工程特定部12が特定した3次元モデルデータにおける部位と部材と標準工程の名称との組合せに一致する場合に、工程項目のそれぞれに当該3次元モデルデータの部材を紐付ける(S10)。この場合、施工紐付け部14は、3次元モデルデータにおける部位の名称を構成する「ブロック名(部位名)」と「部材名1(別名が設定されていない場合)又は部材名2(別名が設定されている場合)」と「標準工程名称」との組み合わせをキーにして、工程データにおける「ブロック名(部位名)」と「部材名」と「工程項目の名称」を検索し、工程データにおいて、「ブロック名(部位名)」同士が完全一致し、且つ別名が設定されている場合は3次元モデルデータの「部材名2」が工程データの「部材名」に前方一致し(工程データ側の文字列の方が長いことを許容)、別名が設定されていない場合は3次元モデルデータの「部材名1」が工程データの「部材名」に前方一致し(工程データ側の文字列の方が長いことを許容)、且つ3次元モデルデータの「標準工程名称」が工程データの「工程項目の名称」に前方一致する(工程データ側の文字列の方が長いことを許容)レコードを特定する。施工紐付け部14は、特定した工程データのレコードと、キーにした3次元モデルデータのレコードとの対応付けを記憶部10に書き込むことにより、工程データへの3次元モデルデータの各部材の紐づけが行われる。
【0054】
次に、利用者は、S10において、工程データへの3次元モデルの紐づけ(自動割り当て)の対象とならなかった工程項目及び3次元モデルデータの各部材に対し、編集部19を使用して、例えば「部材名2」の追記、編集をしたり、工程データの部材名を変更したりして、全ての3次元モデルデータの部材に対して工程データへの紐づけを行う(S11)。
【0055】
また、施工開始後、または、施工終了後において、利用者は、編集部19を使用して工事の進捗に合わせて、工程項目毎に実績開始日および実績終了日の書きこみを行うこともできる。あるいは、計画開始日または計画終了日が変更になった時は、当初設定されていた計画開始日または計画終了日を変更してもよい。その場合、当初設定されていた計画開始日または計画終了日を当初開始日、当初終了日としてもよい。
【0056】
次に、シミュレート部16は、利用者に日時を指定させ、その日時と各工程項目の計画開始日および計画終了日を比較してその日時における工事の進捗(すなわち各工程項目が期間中か期間後かなど)を判定する。以上により、その日時の計画した工事の進捗に応じた3次元モデルとステータス等を画面に表示する(S12)。
【0057】
上述した、
図7の各ステップを実行するためのプログラムは、記録媒体に格納することも可能であり、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、上記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明または「データ信号」の発明として捉えてもよい。
【0058】
以上述べた実施形態では、3次元モデルデータの部材の情報を3次元モデルデータのファイル名によって特定可能にする例を示したが、ファイルのヘッダー部などファイル内のデータによって特定可能にしてもよいし、3次元モデルのファイル名と部材との対応付けを記述したリストファイルによって特定可能にしてもよい。
【0059】
上記
図7のS8における「3次元モデルデータの部材名の別名設定」ステップで編集部19の編集機能によって3次元モデルデータに「部材名2」を設定する例を示したが、ファイルを介在させて「部材名2」を設定してもよい。そうすることで、表計算ソフトウェア等の編集機能を利用でき、設定作業が効率化する場合がある。
【0060】
すなわち、利用者は編集部19の所定コマンドを用い、S6及びS7の処理によって各3次元モデルに対応付けられて記憶部10に書き込まれている「ブロック名(部位名)」、「部材名1」、「部材名2」、「標準工程名称1」~「標準工程名称10」をCSVファイルとして出力させる。利用者は表計算ソフトウェア等を用いてCSVファイルを編集して、別名を設定したい3次元モデルの「部材」の行に、「部材名1」とは別の、工程項目データの部材名と紐付け可能な別名である「部材名2」を書き込む。また、利用者は別名が設定されなかった3次元モデルの「部材名1」を「部材名2」に転記する。その後、利用者は編集部19の所定コマンドによりCSVファイルを指定し、CSVファイルが表すデータを記憶部10に書き戻す。
【0061】
上記
図7のS8における「3次元モデルデータの部材名の別名設定」ステップで別名設定不要の「部材名1」を「部材名2」に転記し、上記
図7のS10における「工程データへの3次元モデルの紐づけ」ステップで「部材名2」をキーにして紐づけを行う例を示したが、転記を省略してもよい。その場合は、上記
図7のS10における「工程データへの3次元モデルの紐づけ」ステップにおいて「部材名2」が空ではない3次元モデルについては「部材名2」をキーにして紐づけを行い、「部材名2」が空の3次元モデルについては「部材名1」をキーにして紐づけを行う。
【0062】
「ブロック名」で部位を表す例を示したが、「ブロック名」と「期施工」との2項目を組み合わせて部位を表してもよい。期施工とは、施工期間を分割して行う際の「第1期工事」「第2期工事」といった工期を識別する情報である。この場合、工程データは項目「期施工」を加えたものとなり、3次元モデルデータは、ファイル名等に「期施工」を表す文字列を加えたものとなり、施工紐付け部14は部位名として「ブロック名」と「期施工」とを組み合わせたものを用いて検索および割り当てを行う。
【符号の説明】
【0063】
10 記憶部、12 標準工程特定部、14 施工紐付け部、16 シミュレート部、18 表示部、19 編集部、20 CPU、22 杭、24 梁、26 骨組み、28 矩形構造物、100 施工管理装置。