(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089985
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】作業機械の管理システム、作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20240627BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/20 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205578
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】因藤 雅人
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003BA02
2D003BA06
2D003BB01
2D003BB06
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
2D003DB03
2D003DB04
2D003DC02
2D003DC07
2D015EA02
2D015EB01
2D015GA03
2D015GB05
2D015HA03
2D015HB03
2D015HB04
2D015HB06
(57)【要約】
【課題】燃費を客観的に評価することを目的とする。
【解決手段】作業機械と、作業機械の管理装置とを含む作業機械の管理システムであって、前記管理装置は、複数のオペレータのそれぞれが前記作業機械を操作して作業を行ったときの前記作業機械の燃費の分布を示す分布情報が格納された記憶部と、前記作業機械に対して前記分布情報を送信する送信部と、前記作業機械から、前記作業機械の燃費を示す情報を受信すると、前記分布情報を更新する更新部と、を有する、作業機械の管理システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械と、作業機械の管理装置とを含む作業機械の管理システムであって、
前記管理装置は、
複数のオペレータのそれぞれが前記作業機械を操作して作業を行ったときの前記作業機械の燃費の分布を示す分布情報が格納された記憶部と、
前記作業機械に対して前記分布情報を送信する送信部と、
前記作業機械から、前記作業機械の燃費を示す情報を受信すると、前記分布情報を更新する更新部と、を有する、作業機械の管理システム。
【請求項2】
前記管理装置は、
前記記憶部に格納される前記分布情報を生成する生成部を有し、
前記生成部は、
前記複数のオペレータのそれぞれが前記作業機械を操作して作業を行ったときの前記作業機械の稼働情報を前記作業機械から収集し、収集した前記稼働情報を用いて、前記作業機械の作業内容毎に、前記作業機械の燃費の分布を示す分布情報を生成する、請求項1記載の作業機械の管理システム。
【請求項3】
前記作業機械は、
作業中の前記作業機械の燃費を算出する燃費算出部と、
前記作業中の作業内容を特定する作業内容特定部と、
前記記憶部の格納された分布情報のうち、特定された前記作業内容と対応した前記分布情報を参照して、前記作業機械の燃費を評価する評価部と、
前記評価部による評価結果を出力する出力部と、を有する、請求項2記載の作業機械の管理システム。
【請求項4】
前記記憶部には、
前記作業機械の顧客のカテゴリ毎に、前記作業内容毎の前記分布情報が格納されており、
前記作業機械は、
前記作業機械の顧客のカテゴリを特定するカテゴリ特定部を有し、
前記評価部は、
前記記憶部の格納された分布情報のうち、特定された前記顧客のカテゴリ及び前記作業内容に対応した前記分布情報を参照して、前記作業機械の燃費を評価する、請求項3記載の作業機械の管理システム。
【請求項5】
前記作業機械は、
前記作業機械の燃費と、前記作業機械の顧客のカテゴリを示す情報及び前記作業内容を示す情報とを、前記管理装置へ送信する通信部を有し、
前記管理装置の更新部は、
前記記憶部に格納された分布情報のうち、前記作業機械の顧客のカテゴリを示す情報及び前記作業内容を示す情報と対応付けられた分布情報に、前記作業機械の燃費を反映させる、請求項4記載の作業機械の管理システム。
【請求項6】
前記作業機械は、
前記燃費算出部により算出された燃費と、前記作業内容特定部により特定された作業内容と、前記カテゴリ特定部により特定されたカテゴリとを含む画面を表示装置に表示させ、
前記画面において、特定された作業内容と前記特定されたカテゴリの両方又は何れか一方を修正する操作を受け付けると、修正後の前記作業機械の顧客のカテゴリを示す情報及び前記作業内容を示す情報を前記管理装置に送信し、
前記管理装置の更新分布情報は、
前記記憶部に格納された分布情報のうち、修正後の前記作業機械の顧客のカテゴリを示す情報及び前記作業内容を示す情報と対応する分布情報に、前記作業機械の燃費を反映させる、請求項5記載の作業機械の管理システム。
【請求項7】
前作業機械は、
画像表示部と、前記画像表示部を支持する枠部と、前記枠部に設けられた発光部材と、を有する表示装置を有し、
前記評価部による評価の結果に応じた色で、前記発光部材を発光させる、請求項3又は3乃至6の何れか一項に記載の作業機械の管理システム。
【請求項8】
管理装置と通信を行う作業機械であって、
作業中の燃費を算出する燃費算出部と、
複数のオペレータのそれぞれが前記作業機械を操作して作業を行ったときの前記作業機械の燃費の分布を示す分布情報を保持する記憶部と、
前記燃費算出部により算出された前記作業機械の燃費を評価する評価部と、
前記評価部による評価結果を出力する出力部と、を有する作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の管理システム、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、作業内容毎に算出された燃費と、予め設定された作業内容毎の目標燃費とを比較して、燃料使用状態の良否を評価し、評価結果をモニタに表示させる油圧ショベルが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術は、燃料使用状態の評価の基準となる目標燃費がどのように決められるか記載されておらず、目標燃費の客観性について考慮されていない。このため、従来の技術では、燃費を客観的に評価することが困難である。
【0005】
そこで、上記事情に鑑み、燃費を客観的に評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の作業機械の管理システムは、作業機械と、作業機械の管理装置とを含む作業機械の管理システムであって、前記管理装置は、複数のオペレータのそれぞれが前記作業機械を操作して作業を行ったときの前記作業機械の燃費の分布を示す分布情報が格納された記憶部と、前記作業機械に対して前記分布情報を送信する送信部と、前記作業機械から、前記作業機械の燃費を示す情報を受信すると、前記分布情報を更新する更新部と、を有する、作業機械の管理システムである。
【0007】
開示の作業機械は、管理装置と通信を行う作業機械であって、作業中の燃費を算出する燃費算出部と、複数のオペレータのそれぞれが前記作業機械を操作して作業を行ったときの前記作業機械の燃費の分布を示す分布情報を保持する記憶部と、前記燃費算出部により算出された前記作業機械の燃費を評価する評価部と、前記評価部による評価結果を出力する出力部と、を有する作業機械である。
【発明の効果】
【0008】
燃費を客観的に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ショベルの管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】ショベルの管理システムの有する各装置のハードウェア構成を説明する図である。
【
図3】ショベルの管理システムの有する各装置の機能構成を説明する図である。
【
図5】ショベルの管理システムの動作を説明するシーケンス図である。
【
図6】キャビンの内部の配置について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、ショベルの管理システムのシステム構成の一例を示す図である。本実施形態のショベルの管理システムSYSは、ショベル100と、管理装置200とを含む。以下の説明では、ショベルの管理システムSYSを、単に管理システムSYSと表現する。
【0011】
本実施形態の管理システムSYSにおいて、ショベル100と、管理装置200とは、ネットワーク等を介して接続される。ショベル100は、作業機械の一例である。
【0012】
管理装置200は、過去に行われた作業においてショベル100が取得した稼働情報を収集し、収集した稼働情報に基づいて、作業内容毎の燃費の分布を示す分布情報を生成し、保持する。管理装置200が収集する稼働情報は、複数のオペレータのそれぞれがショベル100を操作して作業を行ったときの稼働情報を含む。作業内容、分布情報、燃費の詳細は後述する。
【0013】
また、管理装置200は、ショベル100の利用者である顧客のカテゴリ毎に、作業内容毎の燃費の分布を示す分布情報を保持していてよい。顧客のカテゴリとは、言い換えれば、ショベル100を利用して作業を行う事業者の業種である。具体的には、顧客のカテゴリは、土木建設業、産業廃棄物回収業、金属リサイクル業、林業等を含む。
【0014】
ショベル100は、ショベル100の利用者である顧客のカテゴリと対応した分布情報を管理装置200から取得する。
【0015】
また、ショベル100は、一定時間作業を行い、作業中の稼働情報を取得する。稼働情報は、自機の現在位置を示す位置情報、自機の向きを示す向き情報、自機の姿勢を示す姿勢情報、作業内容を示す作業内容情報、負荷率を記す負荷率情報、ショベル100の稼働時間を示す稼働時間情報、燃料噴射量を含む燃料情報、CO2排出量、作業量等を含む。
【0016】
続いて、ショベル100は、取得した稼働情報に基づき、燃費の算出と作業内容の特定を行う。そして、ショベル100は、管理装置200から取得した作業内容毎の分布情報のうち、特定された作業内容と対応する分布情報を参照して、作業中の燃費の良し悪しを評価し、評価結果を出力する。
【0017】
本実施形態では、このように、作業内容毎の燃費の分布を示す分布情報を参照して、作業中のショベル100の燃費の良し悪しを評価した結果を出力する。
【0018】
したがって、本実施形態によれば、作業中の燃費と、他のオペレータによって同じ作業が行われたときの燃費とを比較することができ、燃費を客観的に評価することができる。
【0019】
また、本実施形態によれば、作業中のオペレータに対し、自身が作業しているときの燃費と、他のオペレータによって同じ作業が行われたときの燃費との比較結果を把握させることができる。言い換えれば、本実施形態によれば、オペレータの運転技能を、他のオペレータの運転技能と比較して評価することができ、客観的にオペレータの運転技能を評価することができる。
【0020】
以下に、本実施形態のショベル100について説明する。ショベル100は、建設機械の一例であり、下部走行体1、旋回機構2、上部旋回体3を有する。ショベル100において、下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されており、上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。
【0021】
ブーム4、アーム5、バケット6は、アタッチメントの一例としての掘削アタッチメントを構成している。そして、ブーム4は、ブームシリンダ7により駆動され、アーム5は、アームシリンダ8により駆動され、バケット6は、バケットシリンダ9により駆動される。ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。
【0022】
ブーム角度センサS1はブーム4の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、ブーム角度センサS1は加速度センサであり、上部旋回体3に対するブーム4の回動角度(以下、「ブーム角度」とする。)を検出できる。ブーム角度は、例えば、ブーム4を最も下げたときに最小角度となり、ブーム4を上げるにつれて大きくなる。
【0023】
アーム角度センサS2はアーム5の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、アーム角度センサS2は加速度センサであり、ブーム4に対するアーム5の回動角度(以下、「アーム角度」とする。)を検出できる。アーム角度は、例えば、アーム5を最も閉じたときに最小角度となり、アーム5を開くにつれて大きくなる。
【0024】
バケット角度センサS3はバケット6の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、バケット角度センサS3は加速度センサであり、アーム5に対するバケット6の回動角度(以下、「バケット角度」とする。)を検出できる。バケット角度は、例えば、バケット6を最も閉じたときに最小角度となり、バケット6を開くにつれて大きくなる。
【0025】
ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及び、バケット角度センサS3はそれぞれ、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、連結ピン回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ、ジャイロセンサ、又は、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせ等であってもよい。
【0026】
ブームシリンダ7にはブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bが取り付けられている。アームシリンダ8にはアームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bが取り付けられている。
【0027】
バケットシリンダ9にはバケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bが取り付けられている。ブームロッド圧センサS7R、ブームボトム圧センサS7B、アームロッド圧センサS8R、アームボトム圧センサS8B、バケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bは、集合的に「シリンダ圧センサ」とも称される。
【0028】
ブームロッド圧センサS7Rはブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(以下、「ブームロッド圧」とする。)を検出し、ブームボトム圧センサS7Bはブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(以下、「ブームボトム圧」とする。)を検出する。アームロッド圧センサS8Rはアームシリンダ8のロッド側油室の圧力(以下、「アームロッド圧」とする。)を検出し、アームボトム圧センサS8Bはアームシリンダ8のボトム側油室の圧力(以下、「アームボトム圧」とする。)を検出する。
【0029】
バケットロッド圧センサS9Rはバケットシリンダ9のロッド側油室の圧力(以下、「バケットロッド圧」とする。)を検出し、バケットボトム圧センサS9Bはバケットシリンダ9のボトム側油室の圧力(以下、「バケットボトム圧」とする。)を検出する。
【0030】
上部旋回体3には運転室であるキャビン10が設けられ且つエンジン11等の動力源が搭載されている。また、エンジン11の排出機構の近傍には、CO2排出量を検出するためのセンサが設けられていてもよい。
【0031】
さらに、上部旋回体3には、コントローラ30、表示装置40、入力装置45、音声出力装置46、記憶装置47、測位装置P1、機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、撮像装置S6及び通信装置T1が取り付けられている。
【0032】
上部旋回体3には、電力を供給する蓄電部、及び、エンジン11の回転駆動力を用いて発電する電動発電機等が搭載されていてもよい。蓄電部は、例えば、キャパシタ、又は、リチウムイオン電池等である。電動発電機は、電動機として機能して機械負荷を駆動してもよく、発電機として機能して電気負荷に電力を供給してもよい。
【0033】
コントローラ30は、ショベル100の駆動制御を行う主制御部として機能する。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、RAM及びROM等を含むコンピュータで構成されている。コントローラ30の各種機能は、例えば、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。各種機能は、例えば、オペレータによるショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能、及び、オペレータによるショベル100の手動操作を自動的に支援するマシンコントロール機能の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0034】
表示装置40は、各種情報を表示するように構成されている。表示装置40は、CAN等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されていてもよく、専用線を介してコントローラ30に接続されていてもよい。
【0035】
入力装置45は、オペレータが各種情報をコントローラ30に入力できるように構成されている。入力装置45は、キャビン10内に設置されたタッチパネル、ノブスイッチ及びメンブレンスイッチ等の少なくとも1つを含む。
【0036】
音声出力装置46は、音声を出力するように構成されている。音声出力装置46は、例えば、コントローラ30に接続される車載スピーカであってもよく、ブザー等の警報器であってもよい。本実施形態では、音声出力装置46は、コントローラ30からの音声出力指令に応じて各種情報を音声出力するように構成されている。
【0037】
記憶装置47は、各種情報を記憶するように構成されている。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶装置47は、ショベル100の動作中に各種機器が出力する情報を記憶してもよく、ショベル100の動作が開始される前に各種機器を介して取得する情報を格納してもよい。
【0038】
具体的には、記憶装置47は、キャビン10内に配置された複数の撮像装置(カメラ)によって撮像された画像データと、コントローラ30によるオペレータの状態の検出結果とを含む情報が格納されてよい。
【0039】
また、記憶装置47は、例えば、通信装置T1等を介して取得される目標施工面に関するデータを記憶していてもよい。目標施工面は、ショベル100のオペレータが設定したものであってもよく、施工管理者等が設定したものであってもよい。
【0040】
測位装置P1は、上部旋回体3の位置を測定するように構成されている。測位装置P1は、上部旋回体3の向きを測定できるように構成されていてもよい。本実施形態では、測位装置P1は、例えばGNSSコンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを検出し、検出値をコントローラ30に対して出力する。そのため、測位装置P1は、上部旋回体3の向きを検出する向き検出装置としても機能し得る。向き検出装置は、上部旋回体3に取り付けられた方位センサであってもよい。
【0041】
機体傾斜センサS4は上部旋回体3の傾斜を検出するように構成されている。本実施形態では、機体傾斜センサS4は仮想水平面に対する上部旋回体3の前後軸回りの前後傾斜角及び左右軸回りの左右傾斜角を検出する加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、ショベル100の旋回軸上の一点であるショベル中心点で互いに直交する。
【0042】
旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度を検出するように構成されている。旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角度を検出或いは算出するように構成されていてもよい。本実施形態では、旋回角速度センサS5は、ジャイロセンサである。旋回角速度センサS5は、レゾルバ、ロータリエンコーダ等であってもよい。
【0043】
撮像装置S6は、空間認識装置の一例であり、ショベル100の周辺の画像を取得するように構成されている。本実施形態では、撮像装置S6は、ショベル100の前方の空間を撮像する前カメラS6F、ショベル100の左方の空間を撮像する左カメラS6L、ショベル100の右方の空間を撮像する右カメラS6R、及び、ショベル100の後方の空間を撮像する後カメラS6Bを含む。
【0044】
また、本実施形態の撮像装置S6は、キャビン10内に設けられた複数の撮像装置を含んでよい。撮像装置S6は、例えば、CCD又はCMOS等の撮像素子を有する単眼カメラであり、撮像した画像を表示装置40に出力する。撮像装置S6は、ステレオカメラ、距離画像カメラ等であってもよい。また、撮像装置S6は、3次元距離画像センサ、超音波センサ、ミリ波レーダ、LIDAR又は赤外線センサ等の他の空間認識装置で置き換えられてもよく、他の空間認識装置とカメラとの組み合わせで置き換えられてもよい。
【0045】
前カメラS6Fは、例えば、キャビン10の天井、すなわちキャビン10の内部に取り付けられている。但し、前カメラS6Fは、キャビン10の屋根、ブーム4の側面等、キャビン10の外部に取り付けられていてもよい。左カメラS6Lは、上部旋回体3の上面左端に取り付けられ、右カメラS6Rは、上部旋回体3の上面右端に取り付けられ、後カメラS6Bは、上部旋回体3の上面後端に取り付けられている。
【0046】
通信装置T1は、ショベル100の外部にある外部機器との通信を制御する。本実施形態では、通信装置T1は、衛星通信網、携帯電話通信網又はインターネット網等を介した外部機器との通信を制御するものであり、通信部の一例である。外部機器は、例えば、管理装置200であってもよく、ショベル100の周囲の作業者が携帯しているスマートフォン等の支援装置であってもよい。
【0047】
次に
図2を参照し、管理システムSYSが有する各装置のハードウェア構成について説明する。
図2は、ショベルの管理システムの有する各装置のハードウェア構成を説明する図である。
【0048】
はじめに、ショベル100に搭載される基本システムについて説明する。
図2において、機械的動力伝達ラインは二重線、作動油ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電力ラインは細い実線、電気制御ラインは一点鎖線でそれぞれ示されている。
【0049】
図2に示されるように、ショベル100の基本システムは、主に、エンジン11、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、操作圧センサ29、コントローラ30、切換弁60、表示装置40、エンジン回転数調整ダイヤル75等を含む。
【0050】
エンジン11は、負荷の増減に関わらずエンジン回転数を一定に維持するアイソクロナス制御を採用したディーゼルエンジンである。エンジン11における燃料噴射量、燃料噴射タイミング、ブースト圧等は、エンジンコントロールユニット(ECU74)により制御される。
【0051】
エンジン11は、油圧ポンプとしてのメインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれに接続されている。メインポンプ14は、作動油ラインを介してコントロールバルブ17に接続されている。
【0052】
コントロールバルブ17は、ショベル100の油圧系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、左走行油圧モータ、右走行油圧モータ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、旋回油圧モータ等の油圧アクチュエータに接続されている。
【0053】
具体的には、コントロールバルブ17は、各油圧アクチュエータに対応する複数のスプール弁を含む。各スプール弁は、PCポートの開口面積及びCTポートの開口面積を増減できるように、パイロット圧に応じて変位可能に構成されている。PCポートは、メインポンプ14と油圧アクチュエータとを連通させるポートである。CTポートは、油圧アクチュエータと作動油タンクとを連通させるポートである。
【0054】
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して操作装置26に接続されている。操作装置26は、例えば、左操作レバー、右操作レバー、及び走行操作装置を含む。走行操作装置は、例えば、走行レバー及び走行ペダルを含む。本実施形態では、操作装置26のそれぞれは、油圧式操作装置であり、パイロットラインを介してコントロールバルブ17内にある対応するスプール弁のパイロットポートに接続されている。但し、操作装置26は、電気式操作装置であってもよい。
【0055】
操作圧センサ29は、操作装置26の操作内容を圧力の形で検出する。操作圧センサ29は、検出値をコントローラ30に対して出力する。但し、操作装置26の操作内容は、電気的に検出されてもよい。
【0056】
切換弁60は、操作装置26の有効状態と無効状態とを切り換えできるように構成されている。操作装置26の有効状態は、オペレータが操作装置26を用いて油圧アクチュエータを操作できる状態である。操作装置26の無効状態は、オペレータが操作装置26を用いて油圧アクチュエータを操作できない状態である。本実施形態では、切換弁60は、コントローラ30からの指令に応じて動作するように構成されているゲートロック弁である。
【0057】
具体的には、切換弁60は、パイロットポンプ15と操作装置26とを繋ぐパイロットラインに配置され、コントローラ30からの指令に応じてパイロットラインの遮断・連通を切り換えできるように構成されている。操作装置26は、例えば、ゲートロックレバーD4が引き上げられて切換弁60(ゲートロック弁)が開かれたときに有効状態となり、ゲートロックレバーD4が押し下げられて切換弁60(ゲートロック弁)が閉じられたときに無効状態となる。
【0058】
表示装置40は、各種の情報を表示するように構成されている。表示装置40に表示される情報には、表示装置40の有する制御部40aが有するアワーメータの値を含んでよい。
【0059】
表示装置40は、CAN等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されていてもよく、専用線を介してコントローラ30に接続されていてもよい。本実施形態では、表示装置40は、撮像装置S6が撮像した1又は2以上の撮像画像と、メニュー画面とを表示できるように構成されている。表示装置40は、蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。
【0060】
表示装置40は、制御部40a、画像表示部41、操作部42、ベゼル43を有する。制御部40aは、画像表示部41に表示される画像を制御する。本実施形態では、制御部40aは、CPU、RAM、NVRAM、ROM等を備えたコンピュータで構成されている。この場合、制御部40aは、各機能要素に対応するプログラムをROMから読み出してRAMに読み込み、対応する処理をCPUに実行させる。但し、各機能要素は、ハードウェアで構成されていてもよく、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせで構成されていてもよい。また、画像表示部41に表示される画像は、コントローラ30又は撮像装置S6によって制御されてもよい。
【0061】
画像表示部41は、撮像装置S6の少なくとも1つが撮像した撮像画像とメニュー画面とを表示する。撮像画像は、例えば、後カメラS6Bが撮像した後方画像、左カメラS6Lが撮像した左方画像、右カメラS6Rが撮像した右方画像のうちのいずれかであってもよい。また、撮像画像は、例えば、後カメラS6B、左カメラS6L、及び右カメラS6Rによってそれぞれ撮像された撮像画像が合成された俯瞰画像であってもよい。また、撮像画像は、後方画像、左方画像、右方画像、及び俯瞰画像から選択される2以上の画像であってもよい。メニュー画面は、ショベル100の状態を示す状態画面、ショベル100の各種設定を示す設定画面を含む。
【0062】
操作部42は、ハードウェアスイッチを含むスイッチパネルである。操作部42は、タッチパネルであってもよい。本実施形態では、操作部42は、画像表示部41の下側に配置されており、画像表示部41が表示する画像を変更するためのスイッチ(例えば、メニュースイッチ)を含む。但し、操作部42の配置は、上記した例に限定されるものではなく、例えば、操作レバーに配置されてもよいし、運転席の左右両側のシート左側コンソール又はシート右側コンソールに配置されてもよい。ここで、表示装置40に設けられる操作部42に加えて、操作部42と同一の機能を有する運転席側操作部50が、操作レバー、シート左側コンソール、シート右側コンソールの内、少なくとも1つに配置されてもよい。
【0063】
本実施形態では、画像表示部41は、撮像装置S6が撮像した俯瞰画像及び後方画像を表示している状態で操作部42のメニュースイッチが操作されると、メニュー画面を表示する。例えば、画像表示部41は、操作部42のメニュースイッチが操作される前後で俯瞰画像の大きさを変更することなく、後方画像の大きさを縮小すると共に、メニュー詳細項目を選択する画面等を表示する。
【0064】
また、画像表示部41は、ショベル100の操作が可能な状態及び操作が不能な状態のいずれであっても、操作部42のメニュースイッチが操作されるとメニュー画面を表示するように構成されていてよい。また、画像表示部41は、ショベル100の操作が不能の状態であるときに限り、操作部42のメニュースイッチが操作されるとメニュー画面を表示するように構成されていてもよい。
【0065】
ベゼル43は、画像表示部41を支持する枠部であり、LED(light-emitting diode)等の発光部材が設けられている。発光部材は、発光した光の色が、キャビン10内の運転席に着座したオペレータに視認できるように取り付けられていればよい。
【0066】
ベゼル43の有する発光部材は、コントローラ30によって、発光させるタイミングや色等が制御される。本実施形態では、ベゼル43の有する発光部材を発光させるタイミングや色を異ならせることで、画像表示部41に表示される情報量を変更せずに、オペレータに対して、各種の通知を行うことができる。
【0067】
より具体的には、コントローラ30は、作業中のショベル100の燃費の評価結果に応じた色とタイミングで、ベゼル43の有する発光部材を発光させてもよい。こうすることで、画像表示部41に表示される情報量を維持したまま、燃費の評価結果をオペレータに通知できる。なお、ベゼル43の有する発光部材は、燃費の評価結果の通知以外に用いられてもよい。また、燃費の評価結果は、画像表示部41に表示されてもよい。この場合、既に画像表示部41に表示されている情報の視認性を損なわないように表示されることが好ましい。
【0068】
ゲートロックレバーD4は、ショベル100の操作が可能な状態と、操作が不能な状態とを切り換える。ショベル100の操作が可能な状態とは、ゲートロックレバーD4が引き上げられて切換弁60が開かれることで操作装置26が有効とった状態である。ショベル100の操作が不能な状態とは、ゲートロックレバーD4が押し下げられて切換弁60が閉じられることで操作装置26が無効となった状態である。
【0069】
蓄電池70は、例えば、オルタネータ11aで発電した電気で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30等にも供給される。例えば、エンジン11のスタータ11bは、蓄電池70からの電力で駆動され、エンジン11を始動する。
【0070】
ECU74は、冷却水温等、エンジン11の状態に関するデータをコントローラ30に送信する。メインポンプ14のレギュレータ14aは、斜板傾転角に関するデータをコントローラ30に送信する。吐出圧センサ14bは、メインポンプ14の吐出圧に関するデータをコントローラ30に送信する。作動油タンクとメインポンプ14との間の管路に設けられた油温センサ14cは、その管路を流れる作動油の温度に関するデータをコントローラ30に送信する。操作圧センサ29は、操作装置26が操作されたときに生成されるパイロット圧に関するデータをコントローラ30に送信する。コントローラ30は一時記憶部(メモリ)にこれらのデータを蓄積しておき、必要なときに表示装置40に送信できる。
【0071】
エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン11の回転数(以下、「エンジン回転数」)を調整するための操作入力を受け付ける。エンジン回転数調整ダイヤル75は、ユーザがエンジン回転数を予め規定される10段階で調整可能に構成される。これにより、例えば、軽負荷作業において、エンジン回転数のレベルが相対的に低くなるように調整されることで、ショベル100の燃費を向上させることができる。また、例えば、吊り作業やダンプトラックへの土砂の積み込み作業が行われる場合に、エンジン回転数のレベルが相対的に低く設定されることで、荷揺れや荷台の土砂の崩壊等の発生を抑制することができる。また、例えば、ショベル100の操作スキルが相対的に低い新人オペレータの場合、無理な操作や操作ミス等による作業への影響を抑制するために、エンジン回転数を相対的に低くなるように調整することができる。
【0072】
エンジン回転数調整ダイヤル75で受け付けられる入力内容に対応する出力信号は、コントローラ30に取り込まれる。なお、エンジン回転数調整ダイヤル75を通じて、エンジン回転数のレベルが調整される代わりに、エンジン回転数自体が調整可能な態様であってもよい。例えば、エンジン回転数調整ダイヤル75を用いて、連続的に、或いは、所定値刻みで、エンジン回転数を調整可能な態様であってもよい。
【0073】
警報装置49は、ショベル100の作業に携わる人の注意を喚起するための装置である。警報装置49は、例えば、室内警報装置及び室外警報装置の組み合わせで構成される。室内警報装置は、キャビン10内にいるショベル100のオペレータの注意を喚起するための装置であり、例えば、キャビン10内に設けられた音出力装置、振動発生装置、及び発光装置の少なくとも1つを含む。室内警報装置は、表示装置40であってもよい。
【0074】
室外警報装置は、ショベル100の周囲で作業する作業者の注意を喚起するための装置であり、例えば、キャビン10の外に設けられた音出力装置及び発光装置の少なくとも1つを含む。室外警報装置としての音出力装置は、例えば、上部旋回体3の底面に取り付けられている走行アラーム装置を含む。また、室外警報装置は、上部旋回体3上に設けられる発光装置であってもよい。但し、室外警報装置は省略されてもよい。警報装置49は、例えば、物体検出装置として機能する撮像装置S6が所定物体を検出した場合に、ショベル100の作業に携わる人にその旨を報知してもよい。
【0075】
次に、本実施形態の管理装置200のハードウェア構成について説明する。本実施形態の管理装置200は、それぞれバスで相互に接続されているCPU201、記憶装置202、通信装置203、入力装置204、表示装置205を有するコンピュータである。
【0076】
CPU201は、管理装置200の全体の動作を制御する。記憶装置202は、CPU201が実行するプログラムや、ショベル100に関する種々の情報等が格納される。通信装置203は、ネットワークを経由して、ショベル100や支援装置と通信を行う。
【0077】
入力装置204は、管理装置200に対する情報の入力を行うためのものであり、例えば、キーボードやポインティングデバイス等によって実現される。表示装置205は、管理装置200から出力される各種の情報を表示するものであり、ディスプレイ等によって実現される。
【0078】
次に、
図3を参照して、本実施形態の管理システムSYSの有する各装置の機能構成について説明する。
図3は、ショベルの管理システムの有する各装置の機能構成を説明する図である。
【0079】
はじめに、管理装置200の機能について説明する。本実施形態の管理装置200は、記憶部210、情報取得部211、分布情報生成部212、分布情報抽出部213、分布情報送信部214、分布情報更新部215を有する。
【0080】
記憶部210は、分布情報群220を格納する。分布情報群220は、ショベル100の顧客のカテゴリ毎に生成された、作業内容毎の分布情報の集合であってよい。
【0081】
図3の例では、分布情報群220は、分布情報220-1、220-2、・・・、220-nを含む。分布情報220-1は、例えば、カテゴリが「土木建設」である顧客がショベル100を利用したときの、ショベル100の作業内容毎の燃費の分布を示す分布情報であってよい。分布情報220-2は、カテゴリが「林業」である顧客がショベル100を利用したときの、ショベル100の作業内容毎の燃費の分布を示す分布情報であってよい。
【0082】
なお、分布情報群220は、例えば、作業現場の地域毎の分布情報を含んでもよい。例えば、分布情報群220は、ある国のある地域において、ショベル100が作業を行ったときの、作業内容毎の燃費の分布を示す情報が含まれてもよい。
【0083】
さらに、分布情報群220に含まれる分布情報は、例えば、顧客毎、且つ、顧客の作業現場がある地域毎の分布情報を含んでもよい。この場合、分布情報群220は、例えば、あるカテゴリの顧客のショベル100が、ある地域の作業現場で作業を行ったときの、作業内容毎の燃費の分布を示す情報が含まれてもよい。
【0084】
さらに、分布情報群220は、ショベル100に取り付けられるエンドアタッチメントの種類毎の、作業内容毎の燃料の分布を示す分布情報が含まれてもよい。
【0085】
情報取得部211は、ショベル100から各種の情報を取得する。具体的には、例えば、情報取得部211は、稼働情報をショベル100から取得する。稼働情報は、分布情報群220に含まれる分布情報の生成や更新に用いられる。
【0086】
また、情報取得部211は、ショベル100の顧客のカテゴリを示す情報をショベル100から取得する。以下の説明では、ショベル100を利用する顧客のカテゴリを示す情報を、カテゴリ情報と表現する場合がある。また、情報取得部211は、ショベル100の現在位置を示す位置情報等を取得してもよい。位置情報は、稼働情報に含まれてもよい。
【0087】
分布情報生成部212は、ショベル100の顧客のカテゴリ毎に分布情報を生成し、記憶部210に格納する。
【0088】
具体的には、分布情報生成部212は、過去に複数のオペレータのそれぞれが、ショベル100で作業を行ったときの稼働情報を、顧客のカテゴリ毎に収集する。次に、分布情報生成部212は、収集した各稼働情報から、作業内容の特定と燃費の算出を行い、作業内容毎に算出された燃費を集計することで、顧客のカテゴリ毎に、作業内容毎の燃費の分布を示す分布情報を生成する。
【0089】
本実施形態では、このように、過去に収集した稼働情報から、燃費を評価する際に用いる分布情報を生成するため、燃費を評価するための目標値を設定する必要がなく、目標値を設定するための手間を削減できる。
【0090】
分布情報抽出部213は、分布情報群220から、ショベル100の顧客のカテゴリ対応する分布情報を抽出する。分布情報送信部214は、抽出した分布情報をショベル100へ送信する。
【0091】
分布情報更新部215は、ショベル100から燃費を示す情報を取得すると、ショベル100の顧客のカテゴリと対応する分布情報を更新する。
【0092】
次に、ショベル100の機能について説明する。本実施形態のショベル100は、カテゴリ特定部31、稼働情報取得部32、燃費算出部33、作業内容特定部34、判定部35、表示制御部36を有する。
【0093】
カテゴリ特定部31は、ショベル100を利用する顧客のカテゴリを特定し、顧客のカテゴリを示すカテゴリ情報を管理装置200に送信する。
【0094】
稼働情報取得部32は、作業中のショベル100の稼働情報を取得する。燃費算出部33は、稼働情報取得部32が取得した稼働情報から、ショベル100が一定時間作業した場合の燃費を算出する。一定時間とは、例えば、1時間程度であってよい。
【0095】
作業内容特定部34は、ショベル100の作業中に取得した稼働情報から、ショベル100の作業内容を特定する。
【0096】
判定部35は、分布情報における、作業内容特定部34により特定された作業内容と対応する燃費の分布と、燃費算出部33により算出された燃費とを比較し、作業中のショベル100の燃費の良し悪しを判定する。言い換えれば、判定部35は、分布情報と作業中のショベル100の燃費とを比較して、作業中のショベル100の燃費を評価する評価部の一例である。
【0097】
表示制御部36は、判定部35による判定結果を表示装置40に出力させる。具体的には、表示制御部36は、判定部35の判定結果に応じて、表示装置40のベゼル43が有する発光部材を発光させる。言い換えれば、表示制御部36は、ショベル100の燃費の評価結果を出力する出力部の一例である。
【0098】
また、表示制御部36は、カテゴリ特定部31により特定された顧客のカテゴリ、燃費算出部33により算出された燃費、作業内容特定部34により特定された作業内容等を表示装置40に表示させる。具体的には、表示制御部36は、表示装置40の画像表示部41に、カテゴリ特定部31により特定された顧客のカテゴリと、作業内容特定部34により特定された作業内容とが、正しいか否かをオペレータに確認させるための画面を表示させる。
【0099】
次に、
図4を参照して、本実施形態の分布情報群220に含まれる分布情報について説明する。
図4は、分布情報群に含まれる分布情報の一例を示す図である。
【0100】
図4に示す分布情報220-1は、顧客のカテゴリが「土木建設」であり、作業現場の地域が○○県である場合の、作業内容毎の燃費の分布を示している。
図4において、縦軸に燃費を示し、横軸に作業内容の種類を示している。本実施形態における燃費とは、単位時間当たりの燃料消費量である。
【0101】
また、本実施形態における作業内容とは、例えば、積み込み作業、吊り作業、ハンドリング作業、埋め戻し作業等を含む。
【0102】
図4の例は、土木建設業の顧客の○○県にある作業現場で、ショベル100が積み込み作業を行った場合、燃費がX5[L/h]程度となる場合が最も多く、燃費がX4[L/h]又はX6[L/h]に近くなるほど、このような燃費となる場合が少なくなることを示す。
【0103】
言い換えれば、
図4は、カテゴリ「土木建設」に分類される顧客の○○県にある作業現場で、オペレータがショベル100を操作して積み込み作業を行った場合、燃費がX5[L/h]程となるオペレータの数が最も多く、燃費がX4[L/h]程度、又は、X6[L/h]程度となるオペレータの数が最も少ないことを示す。
【0104】
つまり、カテゴリが「土木建設」の顧客の○○県にある作業現場において、一定時間積み込み作業を行ったときの燃費がX5[L/h]程である場合、単位時間当たりの燃料消費量は平均的であり、ショベル100の燃費は平均的であることを示す。言い換えれば、ショベル100を操作しているオペレータの運転技能が平均的であることを示す。
【0105】
また、カテゴリが「土木建設」の顧客の○○県にある作業現場において、一定時間積み込み作業を行ったときの燃費がX6[L/h]に近づく程、単位時間当たりの燃料消費量が多くなり、ショベル100の燃費が悪い状態であることを示す。言い換えれば、ショベル100を操作しているオペレータの運転技能が平均より低いことを示す。
【0106】
また、カテゴリが「土木建設」の顧客の○○県にある作業現場において、一定時間積み込み作業を行ったときの燃費がX4[L/h]に近づく程、単位時間当たりの燃料消費量が少なくなり、ショベル100の燃費が良い状態であることを示す。言い換えれば、ショベル100を操作しているオペレータの運転技能が平均より高いことを示す。
【0107】
本実施形態では、燃費がX45[L/h]からX56[L/h]の範囲である場合、燃費は平均的と判定とされ、燃費がX4[L/h]からX45[L/h]の範囲である場合、燃費は良いと判定とされ、燃費がX56[L/h]からX6[L/h]の範囲である場合、燃費は悪いと判定とされてもよい。
【0108】
また、本実施形態では、燃費がX6[L/h]より大きい場合、燃費がとても悪いと判定され、燃費がX4[L/h]より小さい場合、燃費がとても良いと判定されてよい。
【0109】
また、
図4では、カテゴリ「土木建設」に分類される顧客の○○県にある作業現場で、オペレータがショベル100を操作して吊り作業を行った場合、燃費がX2[L/h]程となるオペレータの数が最も多く、燃費がX3[L/h]程度、又は、X1[L/h]程度となるオペレータの数が最も少ないことがわかる。
【0110】
つまり、カテゴリが「土木建設」の顧客の○○県にある作業現場において、一定時間吊り作業を行ったときの燃費がX2[L/h]程である場合、単位時間当たりの燃料消費量は平均的であり、ショベル100の燃費は平均的であることを示す。言い換えれば、ショベル100を操作しているオペレータの運転技能が平均的であることを示す。
【0111】
また、カテゴリが「土木建設」の顧客の○○県にある作業現場において、一定時間吊り作業を行ったときの燃費がX3[L/h]に近づく程、単位時間当たりの燃料消費量が多くなり、ショベル100の燃費が悪い状態であることを示す。言い換えれば、ショベル100を操作しているオペレータの運転技能が平均より低いことを示す。
【0112】
また、カテゴリが「土木建設」の顧客の○○県にある作業現場において、一定時間吊り作業を行ったときの燃費がX1[L/h]に近づく程、単位時間当たりの燃料消費量が少なくなり、ショベル100の燃費が良い状態であることを示す。言い換えれば、ショベル100を操作しているオペレータの運転技能が平均より高いことを示す。
【0113】
なお、
図4に示す分布情報220-1は、作業毎の燃費の分布を示す分布情報の一例である。本実施形態では、作業内容毎の燃費の分布は、
図4に示す分布情報とは異なる方法で示されても良い。
【0114】
具体的には、例えば、
図4では、燃費を単位時間当たりの燃料消費量としているが、燃費は、単位仕事量当たりに要する燃料消費量としてもよい。
【0115】
また、本実施形態では、燃費の分布が正規分布である場合には、過去に複数のオペレータのそれぞれが、ショベル100で作業を行ったときの稼働情報から算出した燃費を、平均50、標準偏差10のデータに変換し、燃費の分布を偏差値で示してもよい。この場合、作業中の燃費の良し悪しの判定結果も偏差値で示される。
【0116】
このように、燃費の良し悪しの判定結果を偏差値で示すことで、作業中のオペレータに対し、複数のオペレータのそれぞれが作業を行ったとき燃費の平均値からのへだたりの大きさを把握させることができる。
【0117】
次に、
図5を参照して、本実施形態の管理システムSYSの動作について説明する。
図5は、ショベルの管理システムの動作を説明するシーケンス図である。
【0118】
本実施形態の管理システムSYSにおいて、ショベル100は、起動すると(ステップS501)、コントローラ30のカテゴリ特定部31により、ショベル100を利用する顧客のカテゴリを特定する(ステップS502)。
【0119】
本実施形態のカテゴリ特定部31は、例えば、ショベル100の納品先を示す情報に基づき、ショベル100の顧客のカテゴリを特定してもよい。ショベル100の納品先を示す情報は、例えば、ショベル100を顧客へ販売する際に、ショベル100に入力されて、保持されていてよい。
【0120】
また、カテゴリ特定部31は、ショベル100の撮像装置S6によって撮像された作業現場の画像に基づき、顧客のカテゴリを特定してもよい。例えば、カテゴリ特定部31は、撮像装置S6によって撮像された画像が、建設現場の画像であった場合には、顧客のカテゴリを土木建設に特定してもよい。
【0121】
また、カテゴリ特定部31は、ショベル100に取り付けられているエンドアタッチメントの種類に基づき、顧客のカテゴリを特定してもよい。例えば、エンドアタッチメントとして、バケット6の代わりにグラップルが取り付けられていた場合に、カテゴリ特定部31は、顧客のカテゴリを林業に特定してもよい。
【0122】
また、カテゴリ特定部31は、ショベル100の現在位置を示す位置情報に応じて、作業現場がある地域を特定してもよい。その場合、カテゴリ特定部31は、作業現場がある地域を示す情報を、カテゴリ情報の一部としてもよい。
【0123】
続いて、ショベル100のカテゴリ特定部31は、顧客のカテゴリを示すカテゴリ情報を管理装置200に送信する(ステップS503)。
【0124】
管理装置200は、情報取得部211により、ショベル100からカテゴリ情報を取得すると、分布情報抽出部213により、分布情報群220から、カテゴリ情報が示すカテゴリと対応する分布情報を抽出する(ステップS504)。続いて、管理装置200は、分布情報送信部214により、抽出した分布情報をショベル100へ送信する(ステップS505)。
【0125】
ショベル100は、一定時間作業を行い、稼働情報取得部32により、作業中の稼働情報を取得する(ステップS506)。
【0126】
続いて、ショベル100は、作業内容特定部34により、稼働情報に基づき、一定時間ショベル100が行っていた作業の作業内容を特定する(ステップS507)。
【0127】
続いて、ショベル100は、表示制御部36により、作業内容特定部34が特定した作業内容と、ステップS502で特定された顧客のカテゴリとを表示装置40の画像表示部41に表示させる(ステップS508)。
【0128】
本実施形態では、このように、ショベル100において特定された顧客のカテゴリと、作業内容とを表示装置40に表示させることで、オペレータにより、特定された内容の正誤を確認させることができる。
【0129】
続いて、ショベル100は、燃費算出部33により、ステップS506で取得した稼働情報に基づき、燃費を算出する(ステップS509)。続いて、ショベル100は、判定部35により、算出された燃費と、ステップS505で取得した分布情報とを比較し、ショベル100の燃費の良し悪しを判定する(ステップS510)。
【0130】
続いて、ショベル100は、表示制御部36により、判定結果を表示装置40に出力する(ステップS511)。具体的には、表示制御部36は、判定結果に応じた色で、表示装置40のベゼル43が有する発光部材を発光させる。
【0131】
続いて、ショベル100は、燃費算出部33により算出された、ショベル100の燃費を示す情報を、管理装置200へ送信する(ステップS512)。このとき、ショベル100は、燃費を示す情報と共に、判定部35による判定結果、ステップS502で特定されたカテゴリ、ステップS507で特定された作業内容等を管理装置200に送信してもよい。
【0132】
管理装置200は、ショベル100から燃費を示す情報を取得すると、分布情報更新部215により、対応する分布情報を更新する(ステップS513)。具体的には、分布情報更新部215は、ステップS504において、分布情報抽出部213により抽出された分布情報に、ショベル100から取得した燃費を示す情報を反映させる。言い換えれば、分布情報更新部215は、ショベル100の顧客のカテゴリと対応する分布情報を、ショベル100から取得した燃費を含む分布情報とする。
【0133】
本実施形態では、このように、ショベル100において燃費が算出されると、管理装置200が有する分布情報が、ショベル100で算出された燃費を含む分布情報に更新される。このため、本実施形態の管理装置200は、常に最新の分布情報を保持することができる。
【0134】
また、ショベル100は、ステップS508において表示された作業内容と顧客のカテゴリの両方又は何れか一方が誤っていた場合には、ステップS508で表示された画面において、特定された結果を修正する操作が行われてよい。具体的には、本実施形態では、ステップS508において表示された画面に、正しいカテゴリや作業内容が入力されてよい。
【0135】
ショベル100は、ステップS508で表示された画面において、カテゴリ特定部31により特定されたカテゴリや作業内容特定部34で特定された作業内容を修正する操作が行われると、この操作によって入力された修正後のカテゴリと作業内容を示す情報を、ショベル100の燃費と共に管理装置200へ送信する。管理装置200は、この情報を受信すると、分布情報更新部215により、記憶部210に格納された分布情報群220のうち、修正後のカテゴリと作業内容を示す情報と対応する分布情報に、ショベル100の燃費を反映させる。
【0136】
本実施形態では、このように分布情報を更新することで、正しいカテゴリと作業内容に基づき、分布情報を更新することができる。
【0137】
また、本実施形態では、カテゴリ特定部31と作業内容特定部34が、入力されるデータと出力するデータとの関連性を学習することで生成されるモデルであってよい。この場合、カテゴリ特定部31によって特定された顧客のカテゴリが誤っていた場合には、カテゴリを特定する際に参照した情報と、ステップS508において入力された正しいカテゴリ(正解)とを1つのデータセットとして、カテゴリ特定部31を機械学習させてもよい。
【0138】
また、本実施形態では、例えば、作業内容特定部34によって特定された作業内容が誤っていた場合には、作業内容を特定する際に用いた稼働情報と、ステップS508において入力された正しい作業内容(正解)とを1つのデータセットとして、作業内容特定部34を機械学習させてもよい。
【0139】
本実施形態では、このように、カテゴリ特定部31と作業内容特定部34を更新することで、特定されるカテゴリや作業内容の精度を高めることができる。
【0140】
また、本実施形態では、燃費の良し悪しの判定結果を表示装置40に出力するものとしたが、これに限定されない。燃費の良し悪しの判定結果は、表示装置40に出力されず、管理装置200に送信されてもよい。この場合、燃費の良し悪しの判定結果と、ショベル100を操作しているオペレータを特定する情報とが、対応付けられて管理装置200に送信されてもよい。このようにすることで、管理装置200の利用者に対し、ショベル100のオペレータの運転技能に関する情報を閲覧させることができる。
【0141】
また、
図5の例では、ショベル100が管理装置200から分布情報を取得するものとしたが、これに限定されない。ショベル100は、管理装置200から分布情報を取得ずに、管理装置200の記憶部210にアクセスして分布情報を参照するだけでもよい。
【0142】
以下に、
図5に示す動作をより具体的に説明する。以下の説明では、ショベル100は土木建設の事業者に納品されており、ショベル100には、納品先を示す情報が格納されているものとする。
【0143】
管理システムSYSにおいて、ショベル100は、起動すると、カテゴリ特定部31は、例えば、ショベル100に格納されている納品先を示す情報と、自機の現在位置を示す位置情報とを取得する。そして、カテゴリ特定部31は、納品先を示す情報と位置情報とから、カテゴリを「土木建設、○○県の作業現場」に特定し、カテゴリ情報「土木建設、○○県の作業現場」を管理装置200に送信する。
【0144】
管理装置200は、このカテゴリ情報を取得すると、記憶部210に格納された分布情報群220から、カテゴリ情報「土木建設、○○県の作業現場」と対応する分布情報220-1を抽出し、ショベル100へ送信する。
【0145】
ショベル100は、一定時間作業を行い、作業中に取得した稼働情報から、作業内容を特定し、燃費を算出する。ここでは、作業内容が「積み込み作業」に特定され、算出された燃費がX7[L/h]であったものとして説明する。
【0146】
ショベル100は、作業内容が「積み込み作業」に特定されたため、分布情報220-1における作業内容「積み込み作業」の燃費の分布を参照する。そして、ショベル100は、燃費X7[L/h]は、作業内容「積み込み作業」の燃費の分布において、X4[L/h]からX45[L/h]の範囲内に入る(
図4参照)。
【0147】
このため、ショベル100の判定部35は、一定時間作業を行ったショベル100は、燃費が良い状態である、と判定し、表示制御部36により、判定結果に応じた色で、表示装置40のベゼル43が有する発光部材を発光させる。また、ショベル100は、判定結果を管理装置200へ送信する。管理装置200は、判定結果を受信すると、分布情報220-1を、ショベル100から受信した判定結果を含む分布情報に更新する。
【0148】
本実施形態では、このように、ショベル100の顧客のカテゴリ毎に生成された分布情報を用いることで、ショベル100の利用環境に応じた分布情報を基準として、燃費を評価することができる。また、本実施形態では、ショベル100の作業内容毎に生成された分布情報を用いることで、ショベル100の作業の種類に応じた分布情報を基準とすることができる。したがって、本実施形態によれば、ショベル100の利用環境(顧客カテゴリ)や作業内容によって生じる燃費のばらつきに影響されることなく、客観的に燃費を評価することができる。
【0149】
本実施形態では、このように、作業中のショベル100の燃費と、他のオペレータが同じ作業を行ったときのショベル100の燃費とを比較することで、ショベル100の燃費を客観的に評価することができる。また、本実施形態では、作業中のオペレータの運転技能を客観的に評価することができる。
【0150】
次に、
図6を参照して、判定結果の出力の仕方について説明する。
図6は、キャビンの内部の配置について説明する図である。
【0151】
図6はキャビン10の内部の斜視図であり、キャビン10内の運転席から前方を見たときの様子を示す。
【0152】
図6に示すように、キャビン10内には運転席90が設置されている。そして、運転席90の左側には左コンソール90Lが設置され、運転席90の右側には右コンソール90Rが設置されている。左コンソール90Lの前端上部には左操作レバー26Lが取り付けられ、右コンソール90R上の左操作レバー26Lに対応する位置には右操作レバー26Rが取り付けられている。右コンソール90Rの前端上部には、表示装置40の一つであるメインモニタ40Mが取り付けられている。メインモニタ40Mは、画像表示部41Mと、操作部42Mと、ベゼル43Mを含む。
【0153】
また、キャビン10は、フレーム体110を有している。フレーム体110は、縦フレームと横フレームと繋ぎフレームとを組み合わせて形成されている。縦フレームは、前方側に位置する左右一対のピラー111(111L、111R)と、後方側に位置する左右一対の縦フレーム(不図示)を有している。横フレームは、前方側の左ピラー111L、右ピラー111R間に横架される前側天井フレーム113と、後方側の左右のピラー間に横架される後方側の後側天井フレーム(不図示)を有している。前方側の左右一対のピラー111と後方側の左右一対のピラーとは、それぞれ左右一対の繋ぎフレームで連結されている。
【0154】
キャビン10において、左ピラー111Lには、表示装置40の一例である左モニタ40Lが取り付けられ、右ピラー111Rには右モニタ40Rが取り付けられている。左モニタ40L及び右モニタ40Rは、オペレータがキャビン10のフロントウィンドウ62を通じてバケット6を中心視野で捉えているときに、左モニタ40L及び右モニタ40Rを周辺視野で捉えることができるような位置に取り付けられてよい。そのため、オペレータは、バケット6を中心視野で捉えながら掘削作業を行っているときに、視線を動かさずに、左モニタ及び右モニタに映し出されるショベルの左後方及び右後方の様子を周辺視野で捉えることができる。
【0155】
左コンソール90Lの上には選択ダイヤル52及び操作装置53が設置されている。オペレータは、ショベル100の左後方の画像を表示する左モニタ40Lが映し出す範囲を変えたい場合、選択ダイヤル52を操作して左カメラS6Lを選択する。そして、操作装置53を操作して左カメラS6Lの向きを変えることで左モニタが映し出す範囲を変えることができる。左後方用ミラー10cが映し出す範囲を変える場合も同様である。
【0156】
また、キャビン10内には、バックモニタ40Bが、前側天井フレーム113に沿って配置されるように、右ピラー111Rの上部に取り付けられている。なお、バックモニタ40Bは、前側天井フレーム113に沿って配置されるように、左ピラー111Lの上部に取り付けられていてもよい。
【0157】
このように、運転席に座って正面を見るショベルのオペレータの視野の左側部分にはあたかも左後方用ミラーであるかのように左モニタが配置されてもよい。また、視野の右側部分にはあたかも右後方用ミラーであるかのように右モニタが配置されてもよい。
【0158】
また、本実施形態では、視野の上側部分にはあたかも後方用ミラーであるかのようにバックモニタ40Bが配置されている。そのため、ショベルのオペレータは、左モニタ40Lに映し出される画像がショベルの左後方の鏡像画像であることを直感的に認識できる。同様に、右モニタ40Rに映し出される画像がショベルの右後方の鏡像画像であり、バックモニタ40Bに映し出される画像がショベルの後方の鏡像画像であることを直感的に認識できる。
【0159】
左モニタ40L、右モニタ40R、バックモニタ40Bに表示される画像はそれぞれ、左カメラS6L、右カメラS6R、後カメラS6Bが撮像した画像に対応する。すなわち、左モニタ40L、右モニタ40R、バックモニタ40Bはそれぞれ独立して別々の方向を映し出す。また、左モニタ40L、右モニタ40R、バックモニタ40Bの表示は、オペレータがキーオンした際に、メインモニタ40Mの起動と同時に開始される。但し、エンジン11の起動と同時に開始されてもよい。
【0160】
図6では、メインモニタ40Mのベゼル43Mは、ベゼル43Mに設けられた発光部材を緑色で発光させ、作業中の燃費が良い状態と判定されたことを通知している。
【0161】
本実施形態では、このように、ベゼル43を光らせることで、ショベル100の燃費の良し悪しの判定結果をオペレータに通知することができる。したがって、本実施形態によれば、メインモニタ40Mの画像表示部41Mに表示される情報量を維持したまま、ショベル100の燃費の良し悪しの判定結果をオペレータに通知できる。
【0162】
また、本実施形態では、例えば、燃費が平均的な状態と判定とされた場合には発光部材を薄緑色で発光させ、燃費が悪い状態と判定された場合には発光部材を青色で発光させてもよい。さらに、本実施形態では、燃費がとても悪い状態と判定された場合には、発光部材を赤色で発光させてよい。
【0163】
本実施形態では、このように、ショベル100の燃費の状態に応じて、発光部材の色を変化させるため、オペレータに対し、視覚的にショベル100の燃費の良し悪しを把握させることができる。さらに、本実施形態では、オペレータに対し、自身が作業したときのショベル100の燃費と、他のオペレータが同じ作業を行ったときのショベル100の燃費とを比較した結果を把握させることができる。このため、本実施形態では、オペレータに対し、自身の運転技能と、他のオペレータの運転技能との差異を把握させることができる。
【0164】
なお、
図6では、メインモニタ40のベゼル43に設けられた発光部材を発光させることで、ショベル100の燃費の評価結果をオペレータに通知するものとしたが、これに限定されない。発光部材は、メインモニタ40のベゼル43以外に設けられていてもよい。発光部材は、運転席90に着座したオペレータが視認できる位置に配置されていればよい。
【0165】
また、本実施形態では、ショベル100の燃費の評価結果を、音声として出力してもよい。具体的には、本実施形態では、例えば、ショベル100の燃費の評価結果を示す音声データ(「燃費良し」等)を出力してもよい。また、本実施形態では、ショベル100の燃費の評価結果と対応する楽曲等を出力してもよい。
【0166】
本実施形態では、ショベル100の燃費の分布情報を用いて、作業中のショベル100の燃費を評価した結果を、オペレータに把握させることができればよく、評価結果はどのような形態で出力されてもよい。
【0167】
上述した実施形態では、ショベル100がカテゴリ特定部31、作業内容特定部34、判定部35を有するものとしたが、これに限定されない。本実施形態では、管理装置200が、カテゴリ特定部31、燃費算出部33、作業内容特定部34、判定部35を有してもよい。
【0168】
この場合、例えば、ショベル100は、起動すると、起動したことを示す通知として、ショベル100の機体を特定する情報(機体識別番号等)を管理装置200に送信する。
【0169】
管理装置200は、機体を特定する情報を受信すると、管理装置200の有するカテゴリ特定部31により、ショベル100の顧客のカテゴリを特定する。なお、管理装置200では、ショベル100の顧客のカテゴリを示すカテゴリ情報が予め格納されていてよい。
【0170】
ショベル100では、一定時間か作業を行った後に、作業中に取得した稼働情報を管理装置200へ送信する。
【0171】
管理装置200は、稼働滋養法を受信すると、燃費算出部33により燃費を算出し、作業内容特定部34により作業内容を特定し、判定部35により、顧客のカテゴリと、作業内容とに対応した分布情報を参照して、ショベル100の燃費の良し悪しを評価する。そして、管理装置200は、評価結果をショベル100に送信する。
【0172】
ショベル100は、管理装置200から評価結果を受信すると、表示制御部36により、評価結果を表示装置40に出力する。
【0173】
本実施形態では、このように、管理装置200にカテゴリ特定部31、燃費算出部33、作業内容特定部34、判定部35を設けることで、ショベル100のコントローラ30の処理負荷を軽減させることができ、ショベル100の構成を簡素化できる。
【0174】
また、上述した実施形態では、管理装置200が分布情報群220を格納する記憶部210を有するものとしたが、これに限定されない。記憶部210は、ショベル100に設けられていてもよい。
【0175】
この場合、ショベル100に設けられる記憶部210には、ショベル100の納品先となる事業者のカテゴリと対応する分布情報が格納されていればよい。
【0176】
このように、ショベル100が予め自機の顧客のカテゴリと対応する分布情報を格納する記憶部210を有することで、ショベル100は、管理装置200と通信を行わずに、ショベル100の燃費を客観的に評価することができる。したがって、ショベル100の通信負荷を低減することができる。また、山間部等のように、ショベル100と管理装置200との通信環境が整っていない作業現場であっても、ショベル100の燃費を客観的に評価することができる。
【0177】
また、本実施形態では、ショベル100を作業機械の一例として説明したが、作業機械は、例えば、クレーン、フォークリフト、バックホー等であってもよい。
【0178】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0179】
10 キャビン
11 エンジン
30 コントローラ
31 カテゴリ特定部
32 稼働情報取得部
33 燃費算出部
34 作業内容特定部
35 判定部
36 表示制御部
100 ショベル
200 管理装置
210 記憶部
211 情報取得部
212 分布情報生成部
213 分布情報抽出部
214 分布情報送信部
215 分布情報更新部
220 分布情報群