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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089986
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】用紙搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/38 20060101AFI20240627BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240627BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B65H5/38
G03G15/00 480
B65H5/06 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205584
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】高田 聡一
(72)【発明者】
【氏名】松本 良孝
【テーマコード(参考)】
2H072
3F049
3F101
【Fターム(参考)】
2H072CB07
2H072EA16
2H072JA02
2H072JA04
3F049AA04
3F049DA12
3F049DB02
3F049EA08
3F049LA02
3F049LB03
3F101FB04
3F101FE02
3F101FE08
3F101LA02
3F101LB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ジャム発生時に用紙を容易に取り除くことができる用紙搬送装置を提供する。
【解決手段】用紙搬送装置70は、第1搬送ガイド72および第2搬送ガイド74を含む一対の搬送ガイドと、一対の搬送ガイドの一方側縁と対向する筐体40の側壁に設けられた開閉部材とを備える。第2搬送ガイドは、第1搬送ガイドと所定間隔で対向する案内位置と、用紙搬送路を開放する開放位置とに変位可能に設けられる。さらに、用紙搬送装置は、第2搬送ガイドを変位させる操作部と、操作部の開放操作と連動して用紙搬送路に残された用紙を第1搬送ガイドから離間させる押圧部材80とを備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に用紙搬送路を形成する一対の搬送ガイドと、前記筐体の前記一対の搬送ガイドの一方側縁と対向する側壁に形成された開口に開閉可能に設けられた開閉部材とを備える用紙搬送装置であって、
前記一対の搬送ガイドは、
用紙の一方主面を案内する第1搬送ガイドと、
前記第1搬送ガイドと所定間隔で対向して前記用紙の他方主面を案内する案内位置と、前記第1搬送ガイドから離れる方向に移動して前記用紙搬送路を開放する開放位置とに変位可能な第2搬送ガイドとを含み、
前記第2搬送ガイドに設けられ、当該第2搬送ガイドを変位させるための操作部、および、
前記第2搬送ガイドを前記案内位置から前記開放位置に変位させる前記操作部の開放操作と連動して、前記用紙搬送路に残された用紙を押圧して前記第1搬送ガイドから離間させる押圧部材を備える、用紙搬送装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、前記操作部の開放操作と連動して、前記開口を正面から見たときに前記用紙の一部が目視可能な位置まで当該用紙を前記第1搬送ガイドから離間させる、請求項1記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、先端部が前記用紙搬送路に突出しない退避位置と、前記先端部が前記第1搬送ガイドよりも前記用紙搬送路側に突出する突出位置とに変位可能な突き出しレバーを含む、請求項1または2記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記突き出しレバーは、回動軸に固定されており、前記回動軸を支点に回動することによって前記退避位置と前記突出位置とに変位する、請求項3記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記突き出しレバーが前記退避位置から前記突出位置に回動する方向である第1方向に前記回動軸を付勢する付勢部材をさらに備え、
前記第2搬送ガイドは、前記案内位置にあるときに前記回動軸の前記第1方向に対する回動を規制する規制部を有し、
前記操作部の開放操作と連動して、前記規制部による前記回動軸の回転規制が解除されることで、前記突き出しレバーが前記退避位置から前記突出位置に変位する、請求項4記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
前記突き出しレバーの先端部は、前記用紙の搬送方向に延びかつ前記第2搬送ガイド側に向かって膨らむように湾曲する湾曲形状に形成されている、請求項3記載の用紙搬送装置。
【請求項7】
前記突き出しレバーは、前記用紙搬送路において最小サイズ幅の用紙が通過する領域の両端部に対応する位置のそれぞれに設けられる、請求項3記載の用紙搬送装置。
【請求項8】
前記突き出しレバーは、前記用紙搬送路において最小サイズ幅の用紙が通過する領域の前記開口側の端部に対応する位置のみに設けられる、請求項3記載の用紙搬送装置。
【請求項9】
前記押圧部材は、前記第2搬送ガイドの両側縁部に連結部を介して一体化された前記第1搬送ガイドの一部を含み、
前記操作部の開放操作と連動して、前記第1搬送ガイドの一部が前記用紙搬送路に残された用紙を押圧しながら前記第1搬送ガイドの他の部分から離脱することで、前記用紙を前記第1搬送ガイドの他の部分から離間させる、請求項1または2記載の用紙搬送装置。
【請求項10】
前記一対の搬送ガイドは、湾曲形状の前記用紙搬送路を形成しており、
前記第2搬送ガイドは、前記用紙搬送路の湾曲方向における内側に配置される、請求項1または2記載の用紙搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は用紙搬送装置に関し、特にたとえば、開閉部材の開放方向と搬送ガイドの開放方向とが異なる方向に設けられた、用紙搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の用紙搬送装置(シート搬送装置)の一例が特許文献1に開示される。特許文献1のシート搬送装置は、シートの搬送経路を開放可能に設けて、ジャムシートの除去を容易にしてなる画像形成装置のシート搬送装置であって、画像形成装置外装側に設けられた第1ガイド板を、搬送経路の開放動作に連動させて開放されるようにし、また、画像形成装置本体側に設けた第2ガイド板を、画像形成装置本体側に回動可能に設け、開放動作に連動させて回動させるようにし、更に、回動付勢され、第2ガイド板のシート案内面より突出可能である補助レバーを設け、補助レバーを開放動作に関連させて、第2ガイド板の回動と同時に、第2ガイド板のシート案内面より突出させるようにしたことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-201042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、装置の筐体に開閉可能に設けられた開閉部材(サイドカバー)の内面に搬送ガイドの一方(第1ガイド板)が一体化されている。つまり、開閉部材の開放方向と搬送ガイドの開放方向とが同じ方向となっており、開閉部材を開くと同時に用紙搬送路の一部が開放される。しかしながら、開閉部材(筐体)の開放方向と搬送ガイド(用紙搬送路)の開放方向とが必ずしも同じ方向になるとは限らず、これらが異なる方向に設けられる用紙搬送装置も存在する。このような用紙搬送装置については、特許文献1の技術を用いることができない。
【0005】
それゆえに、この開示の主たる目的は、新規な、用紙搬送装置を提供することである。
【0006】
この開示の他の目的は、開閉部材の開放方向と搬送ガイドの開放方向とが異なる場合でも、ジャム発生時に用紙を容易に取り除くことができる、用紙搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の開示は、筐体内に用紙搬送路を形成する一対の搬送ガイドと、筐体の一対の搬送ガイドの一方側縁と対向する側壁に形成された開口に開閉可能に設けられた開閉部材とを備える用紙搬送装置であって、一対の搬送ガイドは、用紙の一方主面を案内する第1搬送ガイドと、第1搬送ガイドと所定間隔で対向して用紙の他方主面を案内する案内位置と、第1搬送ガイドから離れる方向に移動して用紙搬送路を開放する開放位置とに変位可能な第2搬送ガイドとを含み、第2搬送ガイドに設けられ、当該第2搬送ガイドを変位させるための操作部、および第2搬送ガイドの案内位置から開放位置に変位させる操作部の開放操作と連動して、用紙搬送路に残された用紙を押圧して第1搬送ガイドから離間させる押圧部材を備える、用紙搬送装置である。
【0008】
第1の開示によれば、操作部の開放操作と連動して用紙搬送路に残された用紙(ジャム紙)を第1搬送ガイドから離間させる押圧部材を備えるので、開閉部材の開放方向と搬送ガイドの開放方向とが異なる場合でも、ジャム発生時に用紙を容易に取り除くことができる。
【0009】
第2の開示は、第1の開示に従属し、押圧部材は、操作部の開放操作と連動して、開口を正面から見たときに用紙の一部が目視可能な位置まで当該用紙を第1搬送ガイドから離間させる。
【0010】
第2開示によれば、ジャム処理時に用紙が見え易くなるので、用紙搬送路に残された用紙をより容易に取り除くことができる。
【0011】
第3の開示は、第1または第2の開示に従属し、押圧部材は、先端部が用紙搬送路に突出しない退避位置と、先端部が第1搬送ガイドよりも用紙搬送路側に突出する突出位置とに変位可能な突き出しレバーを含む。
【0012】
第4の開示は、第3の開示に従属し、突き出しレバーは、回動軸に固定されており、回動軸を支点に回動することによって退避位置と突出位置とに変位する。
【0013】
第5の開示は、第4の開示に従属し、突き出しレバーが退避位置から突出位置に回動する方向である第1方向に回動軸を付勢する付勢部材をさらに備え、第2搬送ガイドは、案内位置にあるときに回動軸の第1方向に対する回動を規制する規制部を有し、操作部の開放操作と連動して、規制部による回動軸の回転規制が解除されることで、突き出しレバーが退避位置から突出位置に変位する。
【0014】
第6の開示は、第3の開示に従属し、突き出しレバーの先端部は、用紙の搬送方向に延びかつ第2搬送ガイド側に向かって膨らむように湾曲する湾曲形状に形成されている。
【0015】
第7の開示は、第3の開示に従属し、突き出しレバーは、用紙搬送路において最小サイズ幅の用紙が通過する領域の両端部に対応する位置のそれぞれに設けられる。
【0016】
第8の開示は、第3の開示に従属し、突き出しレバーは、用紙搬送路において最小サイズ幅の用紙が通過する領域の開口側の端部に対応する位置のみに設けられる。
【0017】
第9の開示は、第1または第2の開示に従属し、押圧部材は、第2搬送ガイドの両側縁部に連結部を介して一体化された第1搬送ガイドの一部を含み、操作部の開放操作と連動して、第1搬送ガイドの一部が用紙搬送路に残された用紙を押圧しながら第1搬送ガイドの他の部分から離脱することで、用紙を第1搬送ガイドの他の部分から離間させる用紙搬送装置。
【0018】
第10の開示は、第1または第2の開示に従属し、一対の搬送ガイドは、湾曲形状の用紙搬送路を形成しており、第2搬送ガイドは、用紙搬送路の湾曲方向における内側に配置される。
【発明の効果】
【0019】
この開示によれば、開閉部材(筐体)の開放方向と搬送ガイド(用紙搬送路)の開放方向とが異なる場合でも、ジャム発生時に用紙を容易に取り除くことができる。
【0020】
この開示の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この開示の第1実施例である用紙搬送装置を備える折り機が設けられた画像形成装置を示す斜視図である。
図2】折り機の内部構造を示す断面図である。
図3】折り機の前ドアを開放した状態の画像形成装置を示す斜視図である。
図4】用紙搬送装置が備える第2搬送ガイドを示す斜視図である。
図5】用紙搬送装置が備える押圧部材を示す斜視図である。
図6】第2搬送ガイドが案内位置にある状態の用紙搬送装置を押圧部材の背面側から見た様子を示す図である。
図7】第2搬送ガイドが案内位置にある状態の用紙搬送装置を示す断面図である。
図8】第2搬送ガイドが開放位置にある状態の用紙搬送装置を押圧部材の背面側から見た様子を示す図である。
図9】第2搬送ガイドが開放位置にある状態の用紙搬送装置を示す断面図である。
図10】この開示の第2実施例の用紙搬送装置を示す断面図である。
図11】この開示の第3実施例の用紙搬送装置が備える第2搬送ガイドおよび押圧部材を示す斜視図である。
図12】第2搬送ガイドが案内位置にある状態の第3実施例の用紙搬送装置を示す断面図である。
図13】第2搬送ガイドが開放位置にある状態の第3実施例の用紙搬送装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施例]
図1および図2を参照して、この開示の一実施例である用紙搬送装置70は、画像形成装置10が備える折り機16に設けられる。詳細は後述するように、用紙搬送装置70は、折り機16の筐体40内に用紙搬送路L1を形成する一対の搬送ガイド72,74を備えている。そして、折り機16内でのジャム発生時に、筐体40の前ドア78(開閉部材の一例)を前側に開いた後、第2搬送ガイド74を下側に回動させて用紙搬送路L1を開放することで、用紙搬送路L1に残された用紙を取り除くことができるものである。
【0023】
なお、この開示では、ユーザの立ち位置に対向する面、つまり操作パネル24が設けられる側の面を前面(正面)として画像形成装置10およびその構成部材の前後方向(奥行方向)を規定し、画像形成装置10およびその構成部材の左右方向(横方向)は、ユーザから画像形成装置10を見た状態を基準として規定する。また、この開示で言う用紙には、普通紙に加えて、封筒、厚紙、はがき、OHPフィルム、加工紙(光沢紙、コート紙、マット紙等)および写真用紙などの各種の用紙(シート)を含む。
【0024】
先ず、画像形成装置10の構成について概略的に説明する。図1に示すように、画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機であって、電子写真方式によって用紙に対して多色または単色の画像を形成する。画像形成装置10は、画像形成部26を備える装置本体12と、装置本体12の上方に配置される画像読取装置14と、装置本体12の胴内排紙部30に配置される折り機16とを含む。
【0025】
画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台を上面に有する筐体を備える。この筐体内には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等が設けられる。画像読取装置14は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0026】
画像読取装置14の上面には、奥側に配置されるヒンジ等を介して、原稿押えカバー20が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー20には、画像読取装置14の画像読取位置に対して原稿を1枚ずつ自動的に給紙するADF22(自動原稿送り装置)が設けられる。また、画像読取装置14の前面側には、操作パネル24が設けられる。操作パネル24には、タッチパネルディスプレイ等のディスプレイおよび各種のハードウェアキー(操作ボタン)等が適宜設けられる。
【0027】
画像形成部26は、露光ユニット、現像器、感光体ドラム、帯電器、中間転写ベルト、転写ローラおよび定着ユニット等を備える。画像形成部26は、その下方に配置される給紙装置28から搬送される用紙に対して電子写真方式によって画像を形成する。すなわち、画像形成部26は、帯電器および露光ユニット等によって画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム上に形成し、現像器によって、感光体ドラム上の静電潜像をトナーにより顕像化する。また、感光体ドラム上に形成されたトナー像を中間転写ベルトおよび転写ローラ等によって用紙に転写し、用紙に転写されたトナー像を定着ユニットによって熱定着させた後、画像形成済みの用紙を胴内排紙部30に設けられた折り機16に送り込む。なお、用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取装置14で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が用いられる。
【0028】
また、図示は省略するが、装置本体12内の所定位置には、折り機16を含む画像形成装置10の各部位の動作を制御する制御部が設けられる。制御部は、CPUおよびメモリ等を含み、ユーザによる操作パネル24への入力操作などに応じて、画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。
【0029】
図1および図2に示すように、折り機16は、装置本体12の排紙口から送り込まれた画像形成済みの用紙に対して、二つ折り、内三つ折り、外三つ折りおよびZ折りなどの折り加工を行う装置であって、装置本体12の胴内排紙部30に着脱可能に設けられる。折り機16の筐体40内に搬入された用紙は、紙折り部44において所望の折り加工を施された後、排紙トレイ42に排出される。ただし、折り加工が必要のない用紙は、そのまま排紙トレイ42に排出される。以下、折り機16の構成について簡単に説明する。
【0030】
折り機16は、全体として略直方体状に形成された筐体40を備える。筐体40は、フレームおよび外装部材を組み合わせることで形成される。この筐体40の右側面には、装置本体12の排紙口から排出された用紙を筐体40内に受け入れるための受入口40aが形成され、筐体40の左側面には、排紙トレイ42に用紙を排出する排出口40bが形成される。また、筐体40の内部には、紙折り部44が設けられると共に、受入口40aから紙折り部44を経由して排出口40bに至る用紙搬送路Lが形成される。用紙搬送路Lは、用紙の両主面(表裏面)を挟むようにして用紙を案内する一対の搬送ガイドGによって構成されている。この用紙搬送路Lには、受入口40a近傍に設けられた給紙ローラ46および排出口40b近傍に設けられた排紙ローラ48を含む複数の搬送ローラが設けられる。なお、後述するように、用紙搬送装置70が備える一対の搬送ガイド72,74は、用紙搬送路Lの一部である用紙搬送路L1を構成するものであるので、用紙搬送路Lの他の領域を構成する搬送ガイドGと区別するために、特別に別の参照符号(72,74)を付している。
【0031】
紙折り部44は、用紙に折り加工を行う部分であって、レジストローラ50、第1正逆転ローラ52、第2正逆転ローラ54、第1折りローラ56、第2折りローラ58および第3折りローラ60等を備える。また、図示は省略するが、レジストローラ50と第1正逆転ローラ52との間には、用紙を第1正逆転ローラ52側に導く第1位置と第1折りローラ56側に導く第2位置とに切り替え可能な切替爪が設けられる。たとえば、用紙に二つ折り加工を行う際には、用紙は、その先端がレジストローラ50を通過した後、切替爪によって第1折りローラ56と第2折りローラ58との間のニップ部に搬送される。その後、用紙の先端が第2正逆転ローラ54を通過し、折り位置まで用紙が搬送されると、折り位置で第2正逆転ローラ54を反転させて用紙に撓みを形成する。そして、この撓みが第2折りローラ58と第3折りローラ60との間のニップ部を通過することで、用紙に二つ折り加工が施される。なお、説明は省略するが、紙折り部44では、切替爪、第1正逆転ローラ52および第2正逆転ローラ54等の動作の仕方を変更することで、内三つ折り、外三つ折りおよびZ折り等の他の折り加工を行うことも可能である。
【0032】
また、折り機16には、用紙搬送装置70が設けられる。用紙搬送装置70は、筐体40内に用紙搬送路L1を形成する一対の搬送ガイド72,74を備え、紙折り部44に用紙を送り込む領域(つまり用紙搬送方向における紙折り部44の上流側)に設けられる。この用紙搬送装置70は、ジャム発生時に、用紙搬送路L1に残された用紙を取り除く構造を有している。また、用紙搬送路L1は、用紙搬送路Lの一部を構成しており、折り機16の筐体40は、用紙搬送装置70の筐体でもある。
【0033】
具体的には、用紙搬送装置70が備える一対の搬送ガイド72,74は、用紙の一方主面を案内する第1搬送ガイド72と、用紙の他方主面を案内する第2搬送ガイド74とを含む。この実施例では、用紙搬送路L1は、横方向(左右方向)に延び、また、上側に向かって膨らむように湾曲する湾曲形状に形成されている。そして、第1搬送ガイド72は、用紙搬送路L1の湾曲方向における外側(上側)に配置され、用紙の一方主面(上面)を案内する。一方、第2搬送ガイド74は、用紙搬送路L1の湾曲方向における内側(下側)に配置され、用紙の他方主面(下面)を案内する。
【0034】
第1搬送ガイド72は、湾曲板状に形成され、筐体40のフレーム40cに固定的に支持される。また、第1搬送ガイド72およびフレーム40cには、後述する押圧部材80の突き出しレバー80aと対応する位置に、突き出しレバー80aが挿通される貫通孔が形成される。
【0035】
図2と共に図4を参照して、第2搬送ガイド74は、湾曲板状のガイド本体74aと、ガイド本体74aの一方側縁(前縁)から幅方向外方(前方)に突出する延出部74bとを含む。この延出部74bの前端部には、ユーザが第2搬送ガイド74を操作する際の把持部となる操作レバー74c(操作部)が形成される。また、延出部74bには、操作レバー74cの後側に、後述する押圧部材80が備える回動軸80bの第1方向に対する回動を規制するための規制部74dが形成される。このような第2搬送ガイド74は、用紙搬送方向における下流側端部(左端部)を支点として上下方向に回動可能に設けられている。そして、第2搬送ガイド74は、第1搬送ガイド72と所定間隔で対向して用紙の他方主面を案内する案内位置(図7参照)と、第1搬送ガイド72から離れる方向(下方)に回動して用紙搬送路L1を開放する開放位置(図9参照)とに変位可能である。
【0036】
また、第2搬送ガイド74の下側(第1搬送ガイド72と反対側)には、空間76が形成される。この空間76は、ジャム処理時に、案内位置から開放位置への第2搬送ガイド74の回動(変位)を受容すると共に、用紙を用紙搬送路L1から取り出すためのジャム処理空間として用いられる。また、空間76は、紙折り部44における折り加工時に、用紙の一部を一時的に受容するための空間としても利用される。
【0037】
また、図3からよく分かるように、筐体40の前壁、つまり一対の搬送ガイド72,74の一方側縁と対向する側壁には、空間76と連通する開口76aが形成される。また、この開口76aを開閉可能なように、前ドア78がヒンジ等を介して前後方向に回動可能に設けられる。この前ドア78を前側に開くことで、筐体40が開放されて開口76aおよび操作レバー74cが外部に露出する。また、操作レバー74cを操作して第2搬送ガイド74を下側に開くことで、用紙搬送路L1が開放される。すなわち、この実施例では、前ドア78(筐体40)の開放方向と、第2搬送ガイド74(用紙搬送路L1)の開放方向とが直交している。
【0038】
このような用紙搬送装置70を備える折り機16においては、ジャム発生時、前ドア78を前側に開くと共に、第2搬送ガイド74を下側に開いて用紙搬送路L1を開放することで、用紙搬送路L1に残された用紙(ジャム紙)を取り除くことが可能となる。しかし、用紙搬送路L1は、ジャム処理空間となる空間76の上面に沿うように形成されているため、このままではジャム紙を取り除く作業(ジャム処理作業)を行い難い。特に、用紙搬送路L1が湾曲している場合、その湾曲方向における外側に配置される第1搬送ガイド72の用紙案内面にジャム紙が張り付いた状態となるため、ジャム紙を掴み難い。また、開口76aを下から覗き込むようにしないと、ジャム紙が見えない。したがって、ジャム紙を除去し難い。
【0039】
そこで、この実施例では、案内位置から開放位置に第2搬送ガイド74を変位させる操作レバー74cの開放操作と連動して、用紙搬送路L1に残された用紙を押圧して第1搬送ガイド72から離間させる押圧部材80を用紙搬送装置70に設けることで、ジャム処理作業を容易に行うことができるようにした。以下、押圧部材80の構成について、具体的に説明する。ただし、図6および図8では、押圧部材80が見えるように、筐体40の外装部材を適宜省略している。
【0040】
図5図7に示すように、押圧部材80は、突き出しレバー80a、回動軸80bおよび引掛部80cなどを備え、第1搬送ガイド72を支持するフレーム40cの背面側(上面側)に設けられる。突き出しレバー80aは、L字状に形成され、その基端部が回動軸80bに固定されている。回動軸80bは、用紙幅方向(前後方向)に延びるように設けられ、その両端部が筐体40のフレームに回動可能に支持される。
【0041】
すなわち、突き出しレバー80aは、回動軸80bを支点として上下方向に回動可能に設けられている。そして、突き出しレバー80aは、その先端部80dが用紙搬送路L1に突出しない退避位置(図7参照)と、先端部80dが第1搬送ガイド72よりも用紙搬送路L1側に突出する突出位置(図9参照)とに変位可能である。この際、突き出しレバー80aが退避位置にある状態では、その先端部80dは、用紙搬送の邪魔にならないように、第1搬送ガイド72の用紙案内面から2mm~3mm程度控えた(引っ込む)位置になることが好ましい。一方、突き出しレバー80aが突出位置にある状態において、突き出しレバー80aの先端部が第1搬送ガイド72の用紙案内面から突出する大きさ(突出長さ)は、第1搬送ガイド72とジャム紙との間にユーザが指を入れることができる隙間が形成される位置まで、ジャム紙を第1搬送ガイド72から離間させることができる大きさに設定することが好ましい。また、開口76aを正面から見たときにジャム紙の一部が目視可能な位置まで、つまり開口76aの軸線方向における外形の投影範囲内にジャム紙の一部が入るまで、ジャム紙を第1搬送ガイド72から離間させることができる大きさに設定することが好ましい。具体的には、突き出しレバー80aが突出位置にある状態では、その先端部80dは、第1搬送ガイド72の用紙案内面から10mm~20mm程度突き出す位置になることが好ましい。
【0042】
また、この実施例では、押圧部材80は、2つの突き出しレバー80aを有しており、2つの突き出しレバー80aは、用紙搬送路L1において最小サイズ幅の用紙が通過する領域の両端部に対応する位置のそれぞれに配置される。これにより、用紙搬送装置70(画像形成装置10)で使用される全サイズの用紙について、突き出しレバー80aを適切に作用させることができる。
【0043】
また、図示は省略するが、押圧部材80の回動軸80bには、突き出しレバー80aが退避位置から突出位置に回動する方向である第1方向(正面から見て反時計回り)に回動軸80bを付勢するねじりばね等の付勢部材が設けられる。また、回動軸80bの一方端部(前端部)、つまり第2搬送ガイド74の規制部74dと対応する位置には、回動軸80bと直交する方向に延びる引掛部80cが設けられる。
【0044】
続いて、図6図9を参照して、用紙搬送装置70における押圧部材80の動作について説明する。図6および図7に示すように、通常時には、第2搬送ガイド74は、第1搬送ガイド72と所定間隔で対向する案内位置で保持される。第2搬送ガイド74が案内位置にある状態では、第2搬送ガイド74の規制部74dによって押圧部材80の回動軸80bの第1方向への回転が規制されることで、押圧部材80は、突き出しレバー80aが退避位置にある状態を保持する。
【0045】
一方、図8および図9に示すように、ジャム発生時には、ユーザが前ドア78を前側に開いた後、操作レバー74cを操作して第2搬送ガイド74を下側に開く、つまり案内位置から開放位置に第2搬送ガイド74を変位させることで、用紙搬送路L1が開放される。この際、操作レバー74cの開放操作に連動して、つまり案内位置から開放位置への第2搬送ガイド74の変位に伴い、第2搬送ガイド74の規制部74dによる押圧部材80の回動軸80bの第1方向への回転規制が解除される。すると、付勢部材による付勢力によって押圧部材80が第1方向に回動して、突き出しレバー80aが退避位置から突出位置に自動的に変位する。これに伴い、用紙搬送路L1に残されたジャム紙は、押圧部材80の突き出しレバー80aの先端部80dによって押圧されて第1搬送ガイド72から突き出しレバー80aの突出分だけ離間される。すなわち、第1搬送ガイド72とジャム紙との間に指を差し入れる隙間が形成されると共に、開口76aの正面からジャム紙が見え易くなるので、ジャム紙を用紙搬送路L1から容易に取り除くことができるようになる。
【0046】
なお、用紙搬送路L1に残されたジャム紙を取り除いた後、操作レバー74cを操作して第2搬送ガイド74を開放位置から案内位置に戻すと、押圧部材80は、これと連動して第1方向と反対方向に回動し、突き出しレバー80aが退避位置にある状態に自動的に戻る。
【0047】
以上のように、この第1実施例によれば、操作レバー74cの開放操作と連動してジャム紙を第1搬送ガイド72から離間させる押圧部材80を備えるので、前ドア78の開放方向と第2搬送ガイド74の開放方向とが異なる場合でも、ジャム発生時にジャム紙を容易に取り除くことができる。
[第2実施例]
次に、図10を参照して、この開示の第2実施例の用紙搬送装置70について説明する。この第2実施例では、突き出しレバーの形状が上述の第1実施例と異なる。これ以外は第1実施例と同じであるため、上述の第1実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0048】
図10に示すように、第2実施例では、押圧部材80の突き出しレバー80aは、先端部80d(つまり用紙を押圧する押圧部)が湾曲形状に形成されている。突き出しレバー80aの先端部80dは、用紙搬送方向に延びるように形成され、第2搬送ガイド74側に向かって膨らむように湾曲する。
【0049】
第2実施例においても、第1実施例と同様の作用効果を奏し、ジャム発生時にジャム紙を容易に取り除くことができる。また、突き出しレバー80aの先端部80dが湾曲形状を有するので、ジャム紙の広い範囲を押圧することができ、より適切にジャム紙を第1搬送ガイド72から離間させることができる。
【0050】
なお、上述の各実施例では、押圧部材80が2つの突き出しレバー80aを有しているが、突き出しレバー80aの数、大きさ、形状および位置などの具体的な配置態様は、適宜変更可能である。たとえば、突き出しレバー80aは、用紙搬送路L1において最小サイズ幅の用紙が通過する領域の開口76a側の端部に対応する位置のみに設けることもできる。
【0051】
また、上述の各実施例では、押圧部材80の回動軸80bを第1方向に付勢する付勢部材が設けているが、押圧部材80は、その自重によって付勢されて第1方向に回動するようにしても構わない。また、押圧部材80(突き出しレバー80a)は、回動するのではなく、退避位置と突出位置との間を直線的に変位するようにしても構わない。
【0052】
[第3実施例]
続いて、図11図13を参照して、この開示の第3実施例の用紙搬送装置70について説明する。この第3実施例では、押圧部材の構成が上述の第1実施例と異なる。これ以外は第1実施例と同じであるため、上述の第1実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0053】
図11図13に示すように、第3実施例では、第1搬送ガイド72は、用紙搬送方向における一部72a(中央部)が他の部分72b(両端部)から分割されている。そして、第1搬送ガイド72の一部72aは、第2搬送ガイド74のガイド本体74aの両側縁部(前縁部および後縁部)に対して連結部82を介してブリッジ状に一体化されており、この第1搬送ガイド72の一部72aが押圧部材として用いられる。
【0054】
図12に示すように、通常時には、第2搬送ガイド74は、第1搬送ガイド72と所定間隔で対向する案内位置で保持される。一方、図13に示すように、ジャム発生時には、ユーザが前ドア78を前側に開いた後、操作レバー74cを操作して第2搬送ガイド74を下側に開くことで、用紙搬送路L1が開放される。この際、操作レバー74cの開放操作に連動して、第2搬送ガイド74と共に第1搬送ガイドの一部72a(つまり押圧部材)がジャム紙を押圧しながら第1搬送ガイド72の他の部分72bから離脱することで、ジャム紙が第1搬送ガイド72の他の部分72bから離間される。すなわち、第1搬送ガイド72の他の部分72bとジャム紙との間に指を差し入れる隙間が形成されると共に、開口76aの正面からジャム紙が見え易くなるので、ジャム紙を用紙搬送路L1から容易に取り除くことができるようになる。
【0055】
第3実施例においても、第1実施例と同様の作用効果を奏し、ジャム発生時にジャム紙を容易に取り除くことができる。
【0056】
なお、上述の各実施例では、用紙搬送装置を折り機に設けたが、この開示に係る用紙搬送装置は、画像形成装置の装置本体に設けられてもよいし、原稿送り装置に設けられてもよい。また、この開示に係る用紙搬送装置は、画像形成装置に付設されて、用紙にステープル綴じ、穴あけ、スタンプ捺印およびソートなどの後処理を行う後処理装置、或いは装置本体と後処理装置とを接続する中継搬送装置などに設けることもできる。
【0057】
また、上述の各実施例では、一対の搬送ガイドによって横方向に延びる用紙搬送路を形成しているが、一対の搬送ガイドによって形成される用紙搬送路は、縦方向または斜め方向に延びる搬送路であっても構わないし、直線形状の搬送路であっても構わない。
【0058】
さらに、この開示に係る用紙搬送装置を適用する画像形成装置は、複写機、ファクシミリおよびプリンタ等のいずれか、またはこれらの少なくとも2つを組み合わせた複合機であってもよく、また、モノクロ機であってもよい。さらに、画像形成装置の画像形成部は、電子写真方式に限定されず、たとえば、インクジェット方式のものであってもよい。
【0059】
なお、上で挙げた具体的な数値および部品形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 …画像形成装置
12 …装置本体
14 …画像読取装置
16 …折り機
40 …筐体
70 …用紙搬送装置
72 …第1搬送ガイド
74 …第2搬送ガイド
78 …前ドア(開閉部材)
80 …押圧部材
80a …突き出しレバー
80b …回動軸
L,L1 …用紙搬送路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13