(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089992
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】サイドミラー格納構造
(51)【国際特許分類】
B60R 1/06 20060101AFI20240627BHJP
B60R 1/074 20060101ALI20240627BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B60R1/06 Z
B60R1/074
B60J5/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205594
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】二ノ宮 聖児
【テーマコード(参考)】
3D053
【Fターム(参考)】
3D053FF18
3D053FF30
3D053GG01
3D053GG12
3D053HH01
3D053HH03
3D053HH09
3D053HH18
3D053MM46
(57)【要約】 (修正有)
【課題】乗降口の開放時でもアウタスライドドアとサイドミラーとが干渉しないサイドミラー格納構造を提供する。
【解決手段】サイドミラー格納構造1は、車両1000の前方に形成された乗降口20と、車両1000の外側前方に摺動して乗降口20を開放可能なアウタスライドドア30と、アウタスライドドア30側にあり、車両1000の後方を確認可能であって車両1000の幅方向内側へ格納可能なサイドミラー70と、サイドミラー70とアウタスライドドア30とを連動させるリンク部40とを備え、アウタスライドドア30は、車両1000の幅方向外側へせり出す第一ステップと、せり出した後に車両1000の前方へ摺動する第二ステップとを実施することにより乗降口20を開放するものであり、サイドミラー70は、前記第一ステップにより、リンク部40を介して車両1000の幅方向内側へ折りたたまれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方に形成された乗降口と、
前記車両の外側前方に摺動して前記乗降口を開放可能なアウタスライドドアと、
前記アウタスライドドア側にあり、前記車両の後方を確認可能であって前記車両の幅方向内側へ格納可能なサイドミラーと、
を備えたサイドミラー格納構造であって、
前記サイドミラーと前記アウタスライドドアとを連動させるリンク部をさらに備え、
前記アウタスライドドアは、前記車両の幅方向外側へせり出す第一ステップと、せり出した後に前記車両の前方へ摺動する第二ステップとを実施することにより前記乗降口を開放するものであり、
前記サイドミラーは、前記アウタスライドドアが前記第一ステップを実施することにより、前記リンク部を介して前記車両の幅方向内側へ折りたたまれることを特徴とする、サイドミラー格納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドミラー格納構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
路線バスなどの前方の乗降口に於いて、ドア間口と車内空間との拡大のためアウタスライドドアを採用したものがある。アウタスライドドアは、乗降口開放時、車両外側の前方又は後方に摺動するため、乗降が楽になるうえに、運転手から乗客を確認しやすい。アウタスライドドアとしては特許文献1のようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アウタスライドドアをフロントオーバーハングの短い車両に採用する場合、乗降口の開放時において、後方に摺動させるとフロントタイヤの表面を覆う恰好となり操舵を規制してしまうため前方に摺動させる必要がある。しかし、従来技術においては、乗降口の開放時にアウタスライドドアを前方に摺動させるとサイドミラーに干渉するおそれがある。
【0005】
本発明は、乗降口の開放時でもアウタスライドドアとサイドミラーとが干渉しないサイドミラー格納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0007】
本適用例に係るサイドミラー格納構造は、車両の前方に形成された乗降口と、前記車両の外側前方に摺動して前記乗降口を開放可能なアウタスライドドアと、前記アウタスライドドア側にあり、前記車両の後方を確認可能であって前記車両の幅方向内側へ格納可能なサイドミラーと、を備えたサイドミラー格納構造であって、前記サイドミラーと前記アウタスライドドアとを連動させるリンク部をさらに備え、前記アウタスライドドアは、前記車両の幅方向外側へせり出す第一ステップと、せり出した後に前記車両の前方へ摺動する第二ステップとを実施することによって前記乗降口を開放するものであり、前記サイドミラーは、前記アウタスライドドアが前記第一ステップを実施することにより、前記リンク部を介して前記車両の幅方向内側へ折りたたまれることを特徴とする。
【0008】
本適用例によれば、アウタスライドドアによる第一ステップの実施に伴ってサイドミラーを格納することができるため、アウタスライドドアによる第二ステップの実施時においてアウタスライドドアとサイドミラーとの接触を回避することができる。
【0009】
このように、本発明によれば、乗降口の開放時でもアウタスライドドアとサイドミラーとが干渉しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るサイドミラー格納構造の一実施形態を適用したバスの左側面図である。
【
図2】
図1に示すサイドミラー格納構造の動作を説明するための状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、
図1及び
図2を適宜参照しつつ、本発明に係るサイドミラー格納構造の一実施形態における構成、動作及び効果について説明する。なお、以下において、
図1に示す車両1000の車幅方向を単に「車幅方向」と言及する。
【0012】
(サイドミラー格納構造の構成)
まず、本発明に係るサイドミラー格納構造の一実施形態における構成について説明する。
図1及び
図2に示すように、サイドミラー格納構造1は、バスである車両1000に適用されており、車体10と、乗降口20と、アウタスライドドア30と、リンクロッド40(リンク部)と、回転軸部50と、支持機構60と、サイドミラー70と、リンクフック80(リンク部)と、ガイドローラ90と、ドア駆動機構100と、ドア連結部110とを備えている。
【0013】
車体10は、図示しないシャシフレーム上にて複数のパネル材及び柱材によって略直方体状をなしており、複数のタイヤによって支持されている。乗降口20は、車体10の左側面前方に形成されており、乗客が車両1000に乗ったり車両1000から降りたりするための乗降口である。アウタスライドドア30は、乗降口20の開放及び閉鎖を行うためのドアであり、車幅方向外側に摺動してから車両1000の前方に摺動することにより乗降口20の開放を行い、車両1000の後方に摺動してから車幅方向内側に摺動することにより乗降口20の閉鎖を行う。
【0014】
リンクロッド40は、側面視円弧状に構成されており、その後端は、アウタスライドドア30の上部に位置している。回転軸部50は、リンクロッド40の前端が接続されており、車体10に軸支された軸材が取り付けられて上下方向に延在している。回転軸部50は、軸材が車両1000の車高方向を軸として回転可能なように構成されている。支持機構60は、その後端において回転軸部50の軸材と連結され、この軸材の回転に伴って回動するように構成されている。
【0015】
サイドミラー70は、車両1000のドライバーが運転中に車両1000の後方を確認することを可能にするものであり、支持機構60の前端側(つまり、車両1000におけるアウタスライドドア30側前方)に設けられている。サイドミラー70は、支持機構60の回動動作による車幅方向内側への格納(折りたたみ)と車幅方向外側への展開とが可能なように構成されている。
【0016】
リンクフック80は、アウタスライドドア30の車幅方向外側に取り付けられ、車両1000の後方側に開口した平面視C字状部材である。リンクフック80は、乗降口20の閉鎖状態においてはリンクロッド40の後端を収容する位置に配置されている。
【0017】
ガイドローラ90は、リンクロッド40の後端に取り付けられて鉛直軸回り(つまり水平方向)に回転可能に構成されている。ガイドローラ90の直径は、リンクフック80の開口幅より小さくなっている。
【0018】
ドア駆動機構100は、アウタスライドドア30を駆動して、アウタスライドドア30による乗降口20の開放及び閉鎖を実施させるための機構である。具体的には、ドア駆動機構100は、アウタスライドドア30を車幅方向と車両前後方向との少なくとも2方向に駆動させることが可能である。ドア駆動機構100としては、例えば電動のアクチュエータを用いることができる。
【0019】
ドア連結部110は、アウタスライドドア30とドア駆動機構100とを連結し、ドア駆動機構100からの駆動力をアウタスライドドア30に伝達可能に構成されている。
【0020】
(サイドミラー格納構造の動作)
次に、本発明に係るサイドミラー格納構造の一実施形態における動作について説明する。なお、
図2は、
図1に示す車両1000における左前部の概略上面視図である。
図2においては車体10がフレーム部分のみ示されている。
【0021】
図2(a)は、
図1にも示す乗降口20の閉鎖状態、すなわちアウタスライドドア30が車体の一部となっている状態を示している。この状態においては、サイドミラー70は、車体10の左側面よりも左側(車幅方向外側)に位置している。
【0022】
乗降口20の開放動作の第一ステップにおいて、
図2(b)に示すように、ドア駆動機構100がアウタスライドドア30を車幅方向外側へせり出すことにより、リンクフック80がリンクロッド40の後端側を車幅方向外側に押し出す。これに連動して、回転軸部50の軸材が
図2(b)に示す時計回りに回転し、回転軸部50の回転によって支持機構60が回動する。すると、サイドミラー70が車幅方向内側へ折りたたまれる(つまり、格納される)。この状態が
図2(b)に示す中間状態である。
【0023】
乗降口20の開放動作の第二ステップにおいて、
図2(c)に示すように、ドア駆動機構100は、アウタスライドドア30をせり出した後に車両1000の前方へ摺動させることにより乗降口20を開放する。このときサイドミラー70は格納された状態にあることから、アウタスライドドア30はサイドミラー70と干渉することなく前方へ摺動する。リンクフック80は、
図1に示す車両1000の後方に開口していることから、アウタスライドドア30が前方へ摺動する時にはリンクロッド40の後端及びガイドローラ90から離れていく。この際に、リンクフック80とガイドローラ90とが接触しても、リンクフック80は、ガイドローラ90の回転により、ガイドローラ90に引っかからずに円滑に移動する。第二ステップ終了後の状態が
図2(c)に示す乗降口開放状態である。
【0024】
乗降口20の閉鎖動作については、上述した
図2(a)~(c)の動きが逆となる。つまり、まずドア駆動機構100がアウタスライドドア30を車両1000の後方に摺動させることにより、サイドミラー格納構造1が
図2(c)から
図2(b)の状態に移行する。これにより、リンクロッド40の後端及びガイドローラ90はリンクフック80の中に再度収容される。この時も、リンクフック80は、ガイドローラ90の回転により、ガイドローラ90に引っかかることなく円滑に移動してリンクロッド40の後端及びガイドローラ90を収容する。
【0025】
さらに、ドア駆動機構100がアウタスライドドア30を車幅方向内側に引き込むことにより、リンクフック80がリンクロッド40を車幅方向内側に回動させる。このリンクロッド40の動きに連動して回転軸部50を介して支持機構60及びサイドミラー70が車幅方向外側に回動される。これにより、サイドミラー格納構造1が
図2(b)から
図2(a)の状態に移行する。
【0026】
(サイドミラー格納構造の効果)
サイドミラー格納構造1によれば、アウタスライドドア30による第一ステップの実施に伴ってサイドミラー70を格納することができるため、アウタスライドドア30による第二ステップの実施時においてアウタスライドドア30とサイドミラー70との接触を回避することができる。よって、車両1000のフロントオーバーハングが短い場合であっても、乗降口20の開放時においてアウタスライドドア30とサイドミラー70とが干渉しないようにすることができる。
【0027】
また、サイドミラー格納構造1によれば、乗降口20の開放動作における第一ステップにおいては、リンクフック80がリンクロッド40を車幅方向外側に回動させるが、第二ステップにおいてはリンクロッド40とリンクフック80とが互いに干渉しないようになっている。これにより、リンクフック80によるリンクロッド40の過度な回動(車幅方向外側への回動)を回避することができるため、サイドミラー70の過度な回動(車幅方向内側への回動)によるサイドミラー70と車体10の前面との衝突を回避することができる。
【0028】
(その他)
上記一実施形態においては、リンクロッド40が回転軸部50を介して支持機構60と、上面視においてほぼ同一直線状に延びているが、必ずしも同一直線状に延びるように配置されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 サイドミラー格納構造
10 車体
20 乗降口
30 アウタスライドドア
40 リンクロッド(リンク部)
50 回転軸部
60 支持機構
70 サイドミラー
80 リンクフック(リンク部)
90 ガイドローラ
100 ドア駆動機構
110 ドア連結部
1000 車両