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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089996
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】ロッカー装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 17/20 20060101AFI20240627BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20240627BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20240627BHJP
   F25D 13/02 20060101ALI20240627BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
E05B17/20 Z
E05B65/00 D
A47B55/00
F25D13/02
H05K5/03 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205603
(22)【出願日】2022-12-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.令和4年9月7日から8日、フードストアソリューションズフェア2022に出展し公開 2.令和4年10月24日、コープ和泉中央店及び南海電気鉄道株式会社泉大津駅へ納品
(71)【出願人】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 真吾
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓真
(72)【発明者】
【氏名】ファム ディン トゥアン
【テーマコード(参考)】
3B067
3L045
4E360
【Fターム(参考)】
3B067AA01
3B067AA05
3B067AA11
3L045AA04
3L045BA01
3L045CA02
3L045EA01
3L045PA04
4E360AB55
4E360BB02
4E360BB12
4E360BC03
4E360BC12
4E360GA43
4E360GA44
4E360GA47
4E360GB89
4E360GB99
(57)【要約】
【課題】ロッカー装置において、常態においては電気錠に対する不正なアクセスを困難として不正解錠を確実に防止できるとともに、保守や修理の際には容易に電気錠へアクセスすることができるようにする。
【解決手段】本発明のロッカー装置においては、扉2の揺動先端を受ける本体ケース1の左右の側部に配された錠ユニット21を、後方側の格納位置と、当該後位置よりも前方寄りのメンテナンス位置との間で、本体ケース1に対して前後方向にスライド移動可能に構成する。そして、錠ユニット21が格納位置にあるとき、メンテナンス窓23は本体ケース1の左右の側壁9により閉塞され、錠ユニット21をメンテナンス位置に変位させたとき、側壁9によるメンテナンス窓23の閉塞が解除されて、メンテナンス窓23を介して電気錠8にアクセスできるように構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納室(5)を備える本体ケース(1)と、収納室(5)の前面開口を揺動開閉する扉(2)と、扉(2)を閉姿勢に保持する電気錠(8)とを備えるロッカー装置において、
扉(2)の揺動先端を受ける本体ケース(1)の左右の側部には、錠ユニット(21)が配されており、
錠ユニット(21)は、縦長箱状のユニットボックス(22)と、ユニットボックス(22)の内部に固定された電気錠(8)とを備え、ユニットボックス(22)には、メンテナンス作業時に電気錠(8)にアクセスするためのメンテナンス窓(23)が形成されており、
錠ユニット(21)は、後方側の格納位置と、当該後位置よりも前方寄りのメンテナンス位置との間で、本体ケース(1)に対して前後方向にスライド移動可能に構成され、常態においてはロック具(53)により格納位置に固定されており、
錠ユニット(21)が格納位置にあるとき、メンテナンス窓(23)は本体ケース(1)の左右の側壁(9)により閉塞されており、錠ユニット(21)がメンテナンス位置に変位されたとき、側壁(9)によるメンテナンス窓(23)の閉塞が解除されて、当該メンテナンス窓(23)を介して電気錠(8)にアクセスすることができるように構成されていることを特徴とするロッカー装置。
【請求項2】
錠ユニット(21)をスライド移動可能に支持する支持構造(50)が、本体ケース(1)とユニットボックス(22)の上端との間に設けられた上ガイド(51)と、本体ケース(1)とユニットボックス(22)の下端との間に設けられた下ガイド(52)とで構成されており、
上ガイド(51)が、ユニットボックス(22)に下向きに突出形成される上ガイド片(56)と、本体ケース(1)の上方に形成されて、上ガイド片(56)を前後方向に案内する上ガイドスリット(57)とで構成され、
下ガイド(52)が、ユニットボックス(22)に下向きに突出形成される下ガイド片(63)と、本体ケース(1)の下方に形成されて、下ガイド片(63)を前後方向に案内する下ガイドスリット(64)と、ユニットボックス(22)を下側から受け止め支持する下支持体(65)とで構成されている請求項1に記載のロッカー装置。
【請求項3】
下ガイド片(63)は、ユニットボックス(22)の下ボックス壁(22d)から下向きに突出形成されており、下支持体(65)に下ガイドスリット(64)が開設されており、
錠ユニット(21)の前方へのスライド変位が、下ガイドスリット(64)の前縁部に下ガイド片(63)が当接することにより規制される請求項2に記載のロッカー装置。
【請求項4】
上ガイド(51)は、側壁(9)に固定されて、ユニットボックス(22)の上ボックス壁(22c)を下側から受け止め支持する上支持体(58)を含み、
上支持体(58)は、側壁(9)の左右の側面(10)から左右方向に離間する状態で固定されており、
側壁(9)の左右の側面(10)と、該側面(10)と向かい合う上支持体(58)の縁部(58a)との間に、上ガイドスリット(57)が形成されている請求項2に記載のロッカー装置。
【請求項5】
本体ケース(1)の左右の側壁(9)の側面(10)は、平坦な主面(10a)と、該主面(10a)よりも左右の内方向に形成された受面(10b)と、両面(10a・10b)を繋ぐ後面(10c)で構成されており、
側壁(9)の前コーナー部には、これら受面(10b)と後面(10c)で画成されて錠ユニット(21)を配置するためのユニット凹部(24)が凹み形成されており、
錠ユニット(21)を格納位置としたとき、本体ケース(1)の側面(10)の主面(10a)と、錠ユニット(21)のユニットボックス(22)の側面(22g)とが面一状となるように構成されている請求項1から4のいずれかひとつに記載のロッカー装置。
【請求項6】
扉(2)に、電気錠(8)で捕捉されるストライカー(7)が後向きに突設されており、
電気錠(8)は、ストライカー(7)を捕捉して扉(2)を施錠する施錠姿勢と、ストライカー(7)を捕捉しない解錠姿勢とに姿勢変更可能なラッチ(27)を有し、該ラッチ(27)は、電気錠(8)の前面から後向きに切欠き形成される捕捉凹部(28)の後端部に設けられており、
ユニットボックス(22)に、ストライカー(7)をユニットボックス(22)の内部に侵入させるためのキャッチ窓(69)が形成されており、
電気錠(8)が、キャッチ窓(69)に捕捉凹部(28)が臨むようにユニットボックス(22)の内部に固定されている請求項1に記載のロッカー装置。
【請求項7】
本体ケース(1)には上下多段状に複数個の収納室(5)が設けられ、その左右の側部には、一つの錠ユニット(21)が配されており、
ユニットボックス(22)の内部には、各収納室(5)に対応して、複数個の電気錠(8)が固定されており、
電気錠(8)は、ストライカー(7)を捕捉して扉(2)を施錠する施錠姿勢と、ストライカー(7)を捕捉しない解錠姿勢とに姿勢変更可能なラッチ(27)を有し、
各電気錠(8)には、施錠姿勢のラッチ(27)を強制的に解錠姿勢へと変位させる解錠レバー(29)が設けられており、
錠ユニット(21)に、各電気錠(8)の解錠レバー(29)を操作する操作片(39)と、全ての操作片(39)を同時的に操作する操作具(42)とが設けられている請求項1に記載のロッカー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納室の扉が電気錠で施錠されるロッカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のロッカー装置は、例えば特許文献1(発明の名称:荷物管理ロッカー)に公知である。特許文献1のロッカー装置は、上下3段の収納室を区画するケーシングと、ケーシングに対して垂直軸まわりに回動可能に支持されて各収納室を開閉する扉と、ケーシングに設けられて扉を閉状態で保持する電気錠とを備えている。電気錠は、ケーシングの内部に格納され、扉を閉状態で保持するラッチのみがケーシングの外部に突出できる状態で取り付けられており、制御装置部から出力される信号により、ケーシングからラッチが突出するロック状態と、ケーシング内にラッチが退入するロック解除状態とに切換えられる。ロック状態にあるラッチが扉の揺動先端を捕捉することにより扉は閉状態に保持され、扉を捕捉しているラッチをロック解除状態に切換えることにより扉は開放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-265507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品の保管を担うロッカー装置において、扉を閉状態で保持する電気錠の不具合は、物品の預け入れ或いは取り出しに影響を与えるため、電気錠は定期的に保守を行うことが好ましく、また、故障時には交換等の修理を迅速に行うことが求められる。しかし、特許文献1のロッカー装置では、ケーシングの内部に電気錠が設けられているため、その構造上電気錠にアクセスすることが容易ではなく、保守や修理を行うには手間と時間を要する。一方、電気錠をケーシングの外面側に固定した場合には、電気錠に対して容易にアクセスすることが可能となるため保守や修理は容易となるが、いたずら等の不正操作により電気錠が強制的に解錠されるおそれがあり、ロッカー装置の信頼性の低下を招く。
【0005】
本発明は、以上のような問題を解決することを目的としてなされたものであり、ロッカー装置において、常態においては電気錠に対する不正なアクセスを困難として不正解錠を確実に防止できるとともに、保守や修理の際には容易に電気錠へアクセスすることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、収納室5を備える本体ケース1と、収納室5の前面開口を開閉する扉2と、扉2を閉姿勢に保持する電気錠8とを備えるロッカー装置を対象とする。扉2の揺動先端を受ける本体ケース1の左右の側部には、錠ユニット21が配されている。錠ユニット21は、縦長箱状のユニットボックス22と、ユニットボックス22の内部に固定された電気錠8とを備え、ユニットボックス22には、メンテナンス作業時に電気錠8にアクセスするためのメンテナンス窓23が形成されている。また、錠ユニット21は、後方側の格納位置と、当該後位置よりも前方寄りのメンテナンス位置との間で、本体ケース1に対して前後方向にスライド移動可能に構成され、常態においてはロック具53により格納位置に固定されている。そして、錠ユニット21が格納位置にあるとき、メンテナンス窓23は本体ケース1の左右の側壁9により閉塞されており、錠ユニット21がメンテナンス位置に変位されたとき、側壁9によるメンテナンス窓23の閉塞が解除されて、当該メンテナンス窓23を介して電気錠8にアクセスすることができるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
錠ユニット21をスライド移動可能に支持する支持構造50は、本体ケース1とユニットボックス22の上端との間に設けられた上ガイド51と、本体ケース1とユニットボックス22の下端との間に設けられた下ガイド52とで構成されている。上ガイド51は、ユニットボックス22に下向きに突出形成される上ガイド片56と、本体ケース1の上方に形成されて、上ガイド片56を前後方向に案内する上ガイドスリット57とで構成されている。下ガイド52は、ユニットボックス22に下向きに突出形成される下ガイド片63と、本体ケース1の下方に形成されて、下ガイド片63を前後方向に案内する下ガイドスリット64と、ユニットボックス22を下側から受け止め支持する下支持体65とで構成されている。
【0008】
下ガイド片63は、ユニットボックス22の下ボックス壁22dから下向きに突出形成されており、下支持体65に下ガイドスリット64が開設されている。錠ユニット21の前方へのスライド変位は、下ガイドスリット64の前縁部に下ガイド片63が当接することにより規制される。
【0009】
上ガイド51は、側壁9に固定されて、ユニットボックス22の上ボックス壁22cを下側から受け止め支持する上支持体58を含み、上支持体58は、側壁9の左右の側面10から左右方向に離間する状態で固定されている。側壁9の左右の側面10と、該側面10と向かい合う上支持体58の縁部58aとの間に、上ガイドスリット57が形成されている。
【0010】
本体ケース1の左右の側壁9の側面10は、平坦な主面10aと、該主面10aよりも左右の内方向に形成された受面10bと、両面10a・10bを繋ぐ後面10cで構成されている。側壁9の前コーナー部には、これら受面10bと後面10cで画成されて錠ユニット21を配置するためのユニット凹部24が凹み形成されている。錠ユニット21を格納位置としたとき、本体ケース1の側面10の主面10aと、錠ユニット21のユニットボックス22の側面22gとが面一状となるように構成されている。
【0011】
扉2に、電気錠8で捕捉されるストライカー7が後向きに突設されている。電気錠8は、ストライカー7を捕捉して扉2を施錠する施錠姿勢と、ストライカー7を捕捉しない解錠姿勢とに姿勢変更可能なラッチ27を有し、該ラッチ27は、電気錠8の前面から後向きに切欠き形成される捕捉凹部28の後端部に設けられている。ユニットボックス22に、ストライカー7をユニットボックス22の内部に侵入させるためのキャッチ窓69が形成されている。電気錠8は、キャッチ窓69に捕捉凹部28が臨むようにユニットボックス22の内部に固定されている。
【0012】
本体ケース1には上下多段状に複数個の収納室5が設けられ、その左右の側部には、一つの錠ユニット21が配されている。ユニットボックス22の内部には、各収納室5に対応して、複数個の電気錠8が固定されている。電気錠8は、ストライカー7を捕捉して扉2を施錠する施錠姿勢と、ストライカー7を捕捉しない解錠姿勢とに姿勢変更可能なラッチ27を有し、各電気錠8には、施錠姿勢のラッチ27を強制的に解錠姿勢へと変位させる解錠レバー29が設けられている。錠ユニット21に、各電気錠8の解錠レバー29を操作する操作片39と、全ての操作片39を同時的に操作する操作具42とが設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のロッカー装置においては、扉2の揺動先端を受ける本体ケース1の左右の側部に配された錠ユニット21を、後方側の格納位置と、当該後位置よりも前方寄りのメンテナンス位置との間で、本体ケース1に対して前後方向にスライド移動可能に構成する。そして、錠ユニット21が格納位置にあるとき、メンテナンス窓23は本体ケース1の左右の側壁9により閉塞され、錠ユニット21をメンテナンス位置に変位させたとき、側壁9によるメンテナンス窓23の閉塞が解除されて、メンテナンス窓23を介して電気錠8にアクセスできるように構成する。以上のようなロッカー装置によれば、錠ユニット21をメンテナンス位置に変位させることで、電気錠8に対して保守や修理を行うことが可能となる。また、保守や修理が完了したのちは、錠ユニット21を格納位置に変位させロック具53で本体ケース1に固定することで、メンテナンス窓23を閉塞することができるので、電気錠8へのアクセスを困難なものとして、不正解錠を防止することができる。以上より、本発明によれば、常態においては錠ユニット21を格納位置に位置させることで、電気錠8へのアクセスを困難として不正解錠を防止することができるので、信頼性に優れたロッカー装置を得ることができる。また、保守や修理の際には錠ユニット21をメンテナンス位置に位置させることで、容易に電気錠8へアクセスすることができるので、作業性に優れたロッカー装置を得ることができる。
【0014】
錠ユニット21をスライド移動可能に支持する支持構造50を、本体ケース1とユニットボックス22の上端との間に設けられた上ガイド51と、本体ケース1とユニットボックス22の下端との間に設けられた下ガイド52とで構成し、上ガイド51を、ユニットボックス22に下向きに突出形成される上ガイド片56と、本体ケース1の上方に形成されて、上ガイド片56を前後方向に案内する上ガイドスリット57とで構成し、下ガイド52を、ユニットボックス22に下向きに突出形成される下ガイド片63と、本体ケース1の下方に形成されて、下ガイド片63を前後方向に案内する下ガイドスリット64と、ユニットボックス22を下側から受け止め支持する下支持体65とで構成すると、上ガイド片56を上ガイドスリット57へ差し込むとともに、下ガイド片63を下ガイドスリット64へ差し込み、下支持体65によりユニットボックス22を下側から受け止め支持させるだけで、本体ケース1に対して錠ユニット21を前後方向にスライド移動可能に組み付けることができ、より簡単に支持構造50を構築することができる。錠ユニット21をスライド移動可能に構成したことに伴う、ロッカー装置のコストアップを抑えることができる。
【0015】
下ガイド片63が、ユニットボックス22の下ボックス壁22dから下向きに突出形成されており、下支持体65に下ガイドスリット64が開設されており、錠ユニット21の前方へのスライド変位が、下ガイドスリット64の前縁部に下ガイド片63が当接することにより規制されていると、スライド操作される錠ユニット21の前方へ変位を制限してメンテナンス位置で保持することができる。これによれば、錠ユニット21の位置保持のための構造を別途設ける場合に比べて、支持構造50の構造を簡素化することができるので、ロッカー装置のコストアップを抑えることができる。
【0016】
上ガイド51は、側壁9に固定されて、ユニットボックス22の上ボックス壁22cを下側から受け止め支持する上支持体58を含み、上支持体58は、側壁9の左右の側面10から左右方向に離間する状態で固定されており、側壁9の左右の側面10と、該側面10と向かい合う上支持体58の縁部58aとの間に、上ガイドスリット57が形成されている構成を採ることができる。これによれば、下支持体65と上支持体58の両者でユニットボックス22を受け止め支持することができるので、上下のいずれか一方で錠ユニット21の荷重を受ける構成に比べて、よりスムーズに錠ユニット21をスライド移動させることができる。また、上支持体58が、側壁9の左右の側面10から左右方向に離間する状態で固定され、側壁9の左右の側面10と、該側面10と向かい合う上支持体58の縁部58aとの間に、上ガイドスリット57が形成されていると、側壁9の側面10に上支持体58を固定するだけで、上ガイドスリット57が形成されるため、当該上ガイドスリット57をより簡便に形成することができる。また、錠ユニット21を受け止め支持する構造と、前後に案内するための構造とを同時に形成することができるので、上ガイド51をより簡便に形成することができる。
【0017】
本体ケース1の左右の側壁9の側面10は、平坦な主面10aと、該主面10aよりも左右の内方向に形成された受面10bと、両面10a・10bを繋ぐ後面10cで構成されており、側壁9の前コーナー部には、これら受面10bと後面10cで画成されて錠ユニット21を配置するためのユニット凹部24が凹み形成されており、錠ユニット21を格納位置としたとき、本体ケース1の側面10の主面10aと、錠ユニット21のユニットボックス22の側面22gとが面一状となるような形態を採ることができる。これによれば、錠ユニット21を付加したことに伴い、当該錠ユニット21が本体ケース1の側面から突出することを防ぐことができるので、ロッカー装置の外観を簡素ですっきりとした印象に仕上げて、ロッカー装置の意匠効果の向上を図ることができる。
【0018】
扉2に、電気錠8で捕捉されるストライカー7が後向きに突設されており、電気錠8は、ストライカー7を捕捉して扉2を施錠する施錠姿勢と、ストライカー7を捕捉しない解錠姿勢とに姿勢変更可能なラッチ27を有し、該ラッチ27は、電気錠8の前面に後向きに切欠き形成される捕捉凹部28の後端部に設けられており、ユニットボックス22に、ストライカー7をユニットボックス22の内部に侵入させるためのキャッチ窓69が形成されて、電気錠8が、キャッチ窓69に捕捉凹部28が臨むようにユニットボックス22の内部に固定されている形態を採ることができる。このように、ストライカー7を捕捉するラッチ27が捕捉凹部28の後端部に設けられていると、当該ラッチ27へのアクセスをより困難なものとすることができるので、外部からラッチ27が不正に操作されることをより確実に防ぐことができる。
【0019】
本体ケース1には上下多段状に複数個の収納室5が設けられ、その左右の側部には、一つの錠ユニット21が配されており、ユニットボックス22の内部には、各収納室5に対応して、複数個の電気錠8が固定されており、電気錠8は、ストライカー7を捕捉して扉2を施錠する施錠姿勢と、ストライカー7を捕捉しない解錠姿勢とに姿勢変更可能なラッチ27を有し、各電気錠8には、施錠姿勢にあるラッチ27を強制的に解錠姿勢へと変位させる解錠レバー29が設けられており、錠ユニット21に、各電気錠8の解錠レバー29を操作する操作片39と、全ての操作片39を同時的に操作する操作具42とが設けられている形態を採ることができる。これによれば、保守や修理ですべての扉2を開放したいときなどに、操作具42を操作するだけで、全ての解錠レバー29を操作して、一斉に全ての電気錠8に対する解錠操作を行うことができる。したがって、各扉2を個別に解錠操作する場合に比べて、解錠操作の手間と時間を大幅に省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るロッカー装置を冷蔵ロッカーに適用した実施形態を示しており、錠ユニットがメンテナンス位置にある状態の斜視図である。
図2】冷蔵ロッカーの縦断側面図である。
図3】冷蔵ロッカーの横断平面図である。
図4】電気錠まわりの縦断側面図である。
図5】錠ユニットの側面図である。
図6図9におけるA-A線断面図である。
図7】本体ケースと錠ユニットを分離した状態を示す斜視図である。
図8】錠ユニットが格納位置にある状態の斜視図である。
図9図8におけるB-B線断面図である。
図10図9におけるC-C線断面図である。
図11】錠ユニットの操作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施形態) 図1から図11に、本発明に係るロッカー装置を、物品を冷蔵保管する冷蔵ロッカーに適用した実施形態を示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、図1から図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2において冷蔵ロッカーは、前面開口を有する上下方向に長い断熱箱体からなる本体ケース1と、本体ケース1の前面に設けられる断熱性を有する4枚(複数)の扉2とを備える。本体ケース1の内部空間及び前面開口は、左右に架け渡される3組の格子棚3及び仕切体4で上下4段の領域に区分されており、これら格子棚3及び仕切体4によって本体ケース1の内部が、上下多段状の収納室5に区画されている。
【0022】
扉2は、収納室5毎に設けられており、図3に示すように、本体ケース1の前面左端と扉2の後面左端の間に設けられた上下一対のヒンジ6で回動可能に支持されている。ヒンジ6は垂直軸からなるヒンジ軸を有し、該ヒンジ軸まわりに扉2が回動することで収納室5の開口が開閉される。扉2の後面右端の上下方向中央には、ストライカー7が後向きに突設されており、該ストライカー7が本体ケース1側に設けられた電気錠8で捕捉されることにより、扉2は閉姿勢で保持される。ストライカー7は、平面視で前向きに開口するコ字状の金属棒体で形成されている。各扉2の電気錠8は、冷蔵ロッカーの近傍に設置された制御装置で制御される。図7において符号9は、扉2の揺動先端を受ける本体ケース1の右側の側部を構成する右側壁(側壁)を示す。また、符号10は、当該側壁9の右側面(側面)を示し、符号10aは、当該右側面10の大部分を占める平坦な主面を示す。
【0023】
図2に示すように、本体ケース1の天井壁の内面には、冷凍装置を構成する蒸発器11が設置されている。蒸発器11の前方には、循環ファン12が設けられており、循環ファン12が駆動されると、蒸発器11で冷却された空気が多段状の収納室5を循環する。本体ケース1の下側に配された機械室13には、蒸発器11と共に冷凍装置を構成する圧縮機14及び凝縮器15と、機械室13内に冷却風を生起する冷却ファン16などが設置されている。冷蔵ロッカーは、機械室13の前面に機械室パネル17が着脱可能に装着されており、最上段の扉2の上側に本体ケース1の前面上端を覆う化粧パネル18が着脱可能に装着されている。すべての扉2を閉じた状態において、化粧パネル18、扉2、及び機械室パネル17の前面は、略面一状に構成される。
【0024】
各扉2の電気錠8は、本体ケース1とは別体にユニット化された錠ユニット21に組み込まれている。図4及び図5に示すように錠ユニット21は、ユニットボックス22を基体とし、該ユニットボックス22に各扉2に対応する4個の電気錠8が固定されている。ユニットボックス22は、前後のボックス壁22a・22bと、上下のボックス壁22c・22dと、左右のボックス壁22e・22fとで縦長四角箱状に形成されている。後ボックス壁22bの左側過半部、左ボックス壁22eの後側過半部、及び下ボックス壁22dの左側は切欠かれており、これら切欠かれた部分が錠ユニット21のメンテナンス窓23を形成する。下ボックス壁22dの切欠きは、前側が相対的に小さく後側が相対的に大きな段付き状に切欠かれている。本実施形態では、各収納室5に対応する電気錠8を1個のユニットボックス22に組み付けるように構成したので、各収納室5に対応する電気錠8を個別のユニットボックス22に組み付ける場合に比べて、冷蔵ロッカーの構成を簡素化できる。
【0025】
以上のような構成からなる錠ユニット21は、本体ケース1の右側壁9に設置されている。より詳しくは、本体ケース1の右側壁9の前コーナー部には、ユニット凹部24が形成されており、このユニット凹部24内に錠ユニット21は配置されている。ユニット凹部24は、右側壁9の右側面10の主面10aよりも左側の内方向に形成された受面10bと、後方側に形成された後面10cとで画成された凹入部として形成される。ユニット凹部24の下面は、本体ケース1の底壁の外側面を構成する外箱1aにより画成される。ユニットボックス22の左右幅寸法と、ユニット凹部24の左右幅寸法とは同一に設定されている。
【0026】
各電気錠8は同一部材であり、中空の錠ケース26と、錠ケース26内に収容されてストライカー7を捕捉するラッチ27などを備えている。ラッチ27は捕捉溝を有する側面視U字状の部材からなり、図4に示すストライカー7を捕捉する施錠姿勢と、図5に示すストライカー7を捕捉しない解錠姿勢との間で水平軸まわりに揺動できる。錠ケース26の前面には、後向きに切欠き形成される捕捉凹部28が設けられており、ラッチ27は捕捉凹部28の後端部に位置している。図4等において符号29は、下向きに操作することで施錠姿勢にあるラッチ27を強制的に解錠姿勢へと変位させる解錠レバーである。各電気錠8は、錠ケース26が左ボックス壁22eにビスで締結されることで、ユニットボックス22に固定される。
【0027】
各電気錠8の下側には、閉状態の扉2を開方向に向かって付勢する丸軸状のプッシャー32が設けられている。プッシャー32は、前ボックス壁22aと断面L字状の金属プレートからなる軸ブラケット33とに貫通状に形成された前後の軸支孔34・34で前ボックス壁22aから出退自在に支持されており、付勢ばね35で進出方向に付勢されている。付勢ばね35は、プッシャー32の中途部に張り出し形成されたフランジ部36と軸ブラケット33との間でプッシャー32に外嵌装着されており、プッシャー32の進出限界は、フランジ部36が前ボックス壁22aの内面に当接することで規定される。プッシャー32は、軸ブラケット33が左ボックス壁22eにビスで締結されることで、ユニットボックス22に固定される。制御装置で電気錠8が開操作されてラッチ27によるストライカー7の捕捉が解除されると、扉2は解錠されてプッシャー32の付勢力で開方向に揺動され収納室5が開放される。
【0028】
錠ユニット21は、すべての電気錠8の解錠レバー29を同時的に操作する解錠構造を備えている。解錠構造は、各電気錠8に対応して解錠レバー29を操作する操作片39と、各操作片39を一体的に連結する連結杆40と、連結杆40を上下スライド可能に支持する支持アーム41と、連結杆40を上下スライド操作する操作具42などで構成される。連結杆40は、断面コ字状に形成された上下に長い条材からなり、上下端のそれぞれに水平板からなるエンドプレート43が設けられている。各操作片39は、解錠レバー29の上方に配置される垂直板からなり、連結杆40の後縁部から左向きに一体的に突設される。
【0029】
連結杆40を支持する支持アーム41は、ユニットボックス22の上下方向の中途部に2箇所設けられている。図3に示すように、平面視における支持アーム41はクランク状に形成されており、後端片が右ボックス壁22fの内面に固定されて、前端片が右ボックス壁22fから左方に離間する。連結杆40は、支持アーム41に対応して設けられた上下方向に長いスリット44を備えており、スリット44に支持アーム41の前端片が挿通され、該前端片に固定される保持ブロック45で抜け止めが図られることで、支持アーム41で上下スライド可能に支持される。
【0030】
図5に示すように、操作具42は、前ボックス壁22aの下端に固定され、専用の鍵で操作されるキーシリンダ46と、ユニットボックス22内に配置され、キーシリンダ46で作動姿勢と待機姿勢との間で90度回動操作される偏芯台47とを備える。偏芯台47は断面コ字状の金属板からなり、図6において実線で示す待機姿勢にある偏芯台47の上端とキーシリンダ46の中心軸との距離と、図6において二点鎖線で示す作動姿勢にある偏芯台47の上端とキーシリンダ46の中心軸との距離とが異なるように形成されている。待機姿勢における前記距離は、作動姿勢における前記距離よりも小さく設定されている。図5及び図6に示すように連結杆40は、下側のエンドプレート43が偏芯台47で受け止められて位置保持されており、キーシリンダ46で偏芯台47が待機姿勢と作動姿勢とに姿勢が切換えられることで上下スライド操作される。
【0031】
具体的には、待機姿勢にある偏芯台47をキーシリンダ46で作動姿勢に切換え操作すると、エンドプレート43を支持する偏芯台47の上端位置が下がるので、連結杆40は自重により下向きにスライドされる。この連結杆40の下方向へのスライドにより各操作片39は同時に下方向に移動されるので、各操作片39は同時的に解錠レバー29を下向きに操作し、各電気錠8のラッチ27が強制的に解錠姿勢へと変位される。逆に作動姿勢にある偏芯台47をキーシリンダ46で待機姿勢に切換え操作すると、エンドプレート43を支持する偏芯台47の上端位置が上がるので、連結杆40は持ち上げられ上向きにスライドされる。この連結杆40の上方向へのスライドにより各操作片39は同時的に上方向に移動されるので、各操作片39による解錠レバー29の操作が解除される。待機姿勢でエンドプレート43と当接する偏芯台47の上端と、作動姿勢でエンドプレート43と当接する偏芯台47の上端との間は丸められており、連結杆40の上下操作はスムーズに行われる。
【0032】
錠ユニット21は、後方側の格納位置(図3図8参照)と、当該格納位置(後位置)よりも前方寄りのメンテナンス位置(図1参照)との間で、本体ケース1に対して前後方向にスライド移動可能に構成され、常態においては、ロック具53により格納位置に固定されている。錠ユニット21を前後方向にスライド移動可能に案内支持する支持構造50は、本体ケース1の上端とユニットボックス22の上端との間に設けられた上ガイド51と、本体ケース1の下端とユニットボックス22の下端との間に設けられた下ガイド52とで構成される。
【0033】
図9及び図10に示すように上ガイド51は、ユニットボックス22に設けられる上ガイド片56と、本体ケース1の上方に形成されて、上ガイド片56を前後方向に案内する上ガイドスリット57と、前後摺動自在にユニットボックス22を下側から受け止め支持する上支持プレート(上支持体)58などで構成される。上ガイド片56は、上ボックス壁22cの左縁後端から下向きに突出形成される垂直板からなる。上支持プレート58は、ユニット凹部24の上端に設置される前後方向に長い水平な矩形板からなり、左縁から下向きに連続する垂直壁からなる補強プレート59を備えている。上支持プレート58の後端縁及び補強プレート59の前端縁には、上支持プレート58を本体ケース1に取り付けるための固定片60・60が一体に設けられており、前側の固定片60を本体ケース1の前面に、後側の固定片60をユニット凹部24の後面10cにそれぞれ固定することにより、上支持プレート58は本体ケース1に一体的に設けられる(図1参照)。
【0034】
上支持プレート58は、補強プレート59が受面10bから離間する状態で本体ケース1に固定されており、これにより上支持プレート58の左縁部(縁部)58a(補強プレート59)と受面10bとの間には、上下に貫通する前後方向に長い上ガイドスリット57が形成される。上ガイドスリット57内に上ガイド片56を差し込んだとき、ユニットボックス22は、上ボックス壁22cが上支持プレート58の上面で受け止め支持される。上ガイド51におけるユニットボックス22の右方への移動は、上ガイド片56が上支持プレート58に接することで規制される。
【0035】
下ガイド52は、ユニットボックス22に設けられる下ガイド片63と、本体ケース1の下方に形成されて、下ガイド片63を前後方向に案内する下ガイドスリット64と、ユニットボックス22を下側から受け止め支持する下支持プレート(下支持体)65などで構成される。下ガイド片63は、下ボックス壁22dの左縁後端から下向きに突出形成されている。下支持プレート65は、ユニット凹部24の下面を画成する本体ケース1の外箱1aで構成されている。
【0036】
ユニット凹部24に臨む下支持プレート65の左側は、前側が相対的に小さく後側が相対的に大きく切欠かれて、下支持プレート65には、前後中途部に段部66を有する前後方向に長い開口が形成されており(図7参照)、この開口が、下ガイド52の下ガイドスリット64を構成する。また、段部66が下ガイドスリット64の前縁部を構成する。ユニットボックス22は、下ボックス壁22dが下支持プレート65の上面で受け止め支持され、下ガイド片63が下支持プレート65の後側過半部の縁部に摺接しつつ前後方向に案内される。また、下ガイド52におけるユニットボックス22の右方への移動は、下ガイド片63が下支持プレート65と接していることで規制される。
【0037】
図8に示すようにロック具53は、上ボックス壁22cと上支持プレート58、及び前ボックス壁22aと機械室13を画成する壁面54を締結固定するビスで構成される。上ボックス壁22cと上支持プレート58との間には、2個のロック具53が上ボックス壁22cの前後に配置され、前ボックス壁22aと壁面54との間には、1個のロック具53が前ボックス壁22aの下端に配置されている。錠ユニット21を格納位置に変位させた状態で、上ボックス壁22cを介して上支持プレート58にロック具53をねじ込み、さらに前ボックス壁22aを介して壁面54にロック具53をねじ込むことにより、錠ユニット21は格納位置に固定される。
【0038】
図9及び図10に示すように、格納位置に固定された錠ユニット21は、ユニットボックス22の左ボックス壁22eの後縁と受面10bとが当接し、ユニットボックス22の後ボックス壁22bと後面10cとが当接する。この状態では、ユニットボックス22の後、下、及び左のボックス壁22b・22d・22eは、それぞれ後面10c、受面10b、及び上支持プレート58の上面と正対して、メンテナンス窓23は、これら後面10c、受面10b、及び上支持プレート58の上面で塞がれる。
【0039】
先に説明したように、ユニットボックス22とユニット凹部24の左右幅寸法は同一に設定されているので、錠ユニット21が格納位置に固定された状態においては、右ボックス壁22fの外側面(ユニットボックス22の右側面)は、本体ケース1の側面10の主面10aと面一状となるように構成される。本実施形態では、ユニットボックス22とユニット凹部24の上下寸法も同一に設定したので、上ボックス壁22c(ユニットボックス22の上面)は、本体ケース1の上面と面一状に構成される。また、ユニットボックス22の前後寸法は、ユニット凹部24の前後寸法よりも大きく設定したので、前ボックス壁22a(錠ユニット21の前面)は、本体ケース1の前面よりも前側に位置して、錠ユニット21の前端部は、本体ケース1の前面よりも前方に迫り出す(図8参照)。
【0040】
図3及び図8に示すようにユニットボックス22は、本体ケース1の前面よりも前方に迫り出す部分に、ストライカー7を錠ユニット21の内部へ侵入させるためのキャッチ窓69が形成されている。キャッチ窓69は、各電気錠8に対応して設けられており、前及び左のボックス壁22a・22eにわたって切欠き形成されている。各電気錠8は、捕捉凹部28がキャッチ窓69に臨むようにユニットボックス22の内部に固定されている。開放されている扉2を閉じ操作すると、ストライカー7はキャッチ窓69を介して捕捉凹部28に侵入しラッチ27で捕捉される。
【0041】
本体ケース1への錠ユニット21の取り付けは、まず図7に示すようにユニットボックス22に電気錠8、プッシャー32、及び解錠構造を組み付け、錠ユニット21としてユニット化する。次いで、上ガイド片56を上方から上ガイドスリット57へ差し込むとともに、下ガイド片63を上方から下ガイドスリット64へ差し込み、下支持プレート65によりユニットボックス22を下側から受け止め支持させる。これにて、本体ケース1に対して錠ユニット21を前後方向にスライド移動可能に組み付けることができる。最後に錠ユニット21を後方の格納位置へとスライド変位させロック具53を取り付けることにより、錠ユニット21は本体ケース1に固定される。錠ユニット21の固定ののちは、機械室13の前面に機械室パネル17をビスで装着し、本体ケース1の上部に化粧パネル18をビスで装着する。機械室パネル17及び化粧パネル18が装着され、すべての扉2が閉じられた状態では、錠ユニット21の前面は、両パネル17・18及び扉2で覆われる。
【0042】
保守や修理において電気錠8へアクセスする場合、図11に示すように、まず錠ユニット21の前面を覆う両パネル17・18及び扉2を取り除く。具体的には、機械室パネル17及び化粧パネル18を固定しているビスを取り外して両パネル17・18を分離する。次いで、各扉2を開放するが、キーシリンダ46に鍵を差し込み、偏芯台47を待機姿勢から作動姿勢へと切換えることで、各電気錠8の解錠レバー29が操作片39で同時的に操作される。これにて、各扉2に対応する電気錠8を強制的に解錠操作できるので、全ての扉2を一度の操作で開放することができる。なお、機械室パネル17の右上部には、キーシリンダ46に正対する挿通孔70が設けられており、挿通孔70を介して鍵を差し込みキーシリンダ46を操作することも可能であるので、機械室パネル17の分離前に扉2の開放操作を行うこともできる。
【0043】
両パネル17・18及び扉2を取り除いたのちロック具53を取り外すと、錠ユニット21は固定が解除され、前後にスライド変位可能な状態となる。この状態で、格納位置にある錠ユニット21を前方へスライド操作してメンテナンス位置まで引き出すと、メンテナンス窓23が露出し、電気錠8に対してアクセスが可能となる(図1参照)。このとき、錠ユニット21の引き出し操作は、下ガイド片63が下ガイドスリット64の段部66(下ガイドスリット64の前縁部)に当接して受け止められることで前方へのスライドが規制され、錠ユニット21はメンテナンス位置でスライド変位が停止される。なお、上ガイド51では、上ガイド片56が前側の固定片60に当接して受け止められることで前方へのスライドが規制される。保守や修理が完了したのちは、錠ユニット21を後方へスライド操作してメンテナンス位置から格納位置まで押し込み、ロック具53で錠ユニット21を固定し、最後に両パネル17・18を装着して扉2を閉じる。
【0044】
以上のように、本実施形態の冷蔵ロッカーにおいては、扉2の揺動先端を受ける本体ケース1の右側部に配された錠ユニット21を、後方側の格納位置と、当該後位置よりも前方寄りのメンテナンス位置との間で、本体ケース1に対して前後方向にスライド移動可能に構成し、錠ユニット21が格納位置にあるとき、メンテナンス窓23は本体ケース1の左右の側壁9により閉塞され、錠ユニット21をメンテナンス位置に変位させたとき、側壁9によるメンテナンス窓23の閉塞が解除されて、メンテナンス窓23を介して電気錠8にアクセスできるように構成した。以上のような冷蔵ロッカーによれば、錠ユニット21をメンテナンス位置に変位させることで、電気錠8に対して保守や修理を行うことができる。また、保守や修理が完了したのちは、錠ユニット21を格納位置に変位させロック具53で本体ケース1に固定することで、メンテナンス窓23を閉塞することができるので、電気錠8へのアクセスを困難なものとして、不正解錠を防止することができる。以上より、本実施形態によれば、常態においては錠ユニット21を格納位置に位置させることで、電気錠8へのアクセスを困難として不正解錠を防止することができるので、信頼性に優れたロッカー装置を得ることができる。また、保守や修理の際には錠ユニット21をメンテナンス位置に位置させることで、容易に電気錠8へアクセスすることができるので、作業性に優れたロッカー装置を得ることができる。
【0045】
錠ユニット21をスライド移動可能に支持する支持構造50を構成する上ガイド51を、ユニットボックス22に下向きに突出形成される上ガイド片56と、本体ケース1の上方に形成されて、上ガイド片56を前後方向に案内する上ガイドスリット57とで構成し、下ガイド52を、ユニットボックス22に下向きに突出形成される下ガイド片63と、本体ケース1の下方に形成されて、下ガイド片63を前後方向に案内する下ガイドスリット64と、ユニットボックス22を下側から受け止め支持する下支持プレート65とで構成した。このような構成によれば、上ガイド片56を上ガイドスリット57へ差し込むとともに、下ガイド片63を下ガイドスリット64へ差し込み、下支持プレート65によりユニットボックス22を下側から受け止め支持させるだけで、本体ケース1に対して錠ユニット21を前後方向にスライド移動可能に組み付けることができ、より簡単に支持構造50を構築することができる。錠ユニット21をスライド移動可能に構成したことに伴う、ロッカー装置のコストアップを抑えることができる。
【0046】
下ガイド片63を、ユニットボックス22の下ボックス壁22dから下向きに突出形成し、下支持プレート65に下ガイドスリット64を開設し、錠ユニット21の前方へのスライド変位を、下ガイドスリット64に形成された段部66(前縁部)に下ガイド片63が当接することにより規制されるように構成したので、スライド操作される錠ユニット21の前方へ変位を制限してメンテナンス位置で保持することができる。これによれば、錠ユニット21の位置保持のための構造を別途設ける場合に比べて、支持構造50の構造を簡素化することができるので、ロッカー装置のコストアップを抑えることができる。
【0047】
上ガイド51を、側壁9に固定されて、ユニットボックス22の上ボックス壁22cを下側から受け止め支持する上支持プレート58を含んで構成し、上支持プレート58を、側壁9の左右の側面10から左右方向に離間する状態で固定し、側壁9の左右の側面10と、該側面10と向かい合う上支持プレート58の左縁部58aとの間に、上ガイドスリット57を形成した。これによれば、下支持プレート65と上支持プレート58の両者でユニットボックス22を受け止め支持することができるので、上下のいずれか一方で錠ユニット21の荷重を受ける構成に比べて、よりスムーズに錠ユニット21をスライド移動させることができる。また、上支持プレート58を、側壁9の左右の側面10から左右方向に離間する状態で固定し、側壁9の左右の側面10と、該側面10と向かい合う上支持プレート58の左縁部58aとの間に、上ガイドスリット57を形成したので、側壁9の側面10に上支持プレート58を固定するだけで、上ガイドスリット57が形成されるため、当該上ガイドスリット57をより簡便に形成することができる。また、錠ユニット21を受け止め支持する構造と、前後に案内するための構造とを同時に形成することができるので、上ガイド51をより簡便に形成することができる。
【0048】
本体ケース1の左右の側壁9の側面10を、平坦な主面10aと、該主面10aよりも左右の内方向に形成された受面10bと、両面10a・10bを繋ぐ後面10cで構成し、側壁9の前コーナー部には、これら受面10bと後面10cで画成されて錠ユニット21を配置するためのユニット凹部24を凹み形成した。そして、錠ユニット21を格納位置としたとき、本体ケース1の側面10の主面10aと、錠ユニット21のユニットボックス22の側面22gとが面一状となるように構成した。これによれば、錠ユニット21を付加したことに伴い、当該錠ユニット21が本体ケース1の側面から突出することを防ぐことができるので、ロッカー装置の外観を簡素ですっきりとした印象に仕上げて、ロッカー装置の意匠効果の向上を図ることができる。
【0049】
電気錠8が有する該ラッチ27を、電気錠8の前面に後向きに切欠き形成される捕捉凹部28の後端部に設け、ユニットボックス22に、ストライカー7をユニットボックス22の内部に侵入させるためのキャッチ窓69を形成した。そして、電気錠8を、キャッチ窓69に捕捉凹部28が臨むようにユニットボックス22の内部に固定した。このように、ストライカー7を捕捉するラッチ27が捕捉凹部28の後端部に設けたので、当該ラッチ27へのアクセスをより困難なものとすることができるので、外部からラッチ27が不正に操作されることをより確実に防ぐことができる。
【0050】
本体ケース1には上下多段状に複数個の収納室5を設け、その左右の側部には、一つの錠ユニット21を配し、ユニットボックス22の内部には、各収納室5に対応して、複数個の電気錠8を固定した。各電気錠8には、施錠姿勢にあるラッチ27を強制的に解錠姿勢へと変位させる解錠レバー29を設け、錠ユニット21に、各電気錠8の解錠レバー29を操作する操作片39と、全ての操作片39を同時的に操作する操作具42とを設けた。これによれば、保守や修理ですべての扉2を開放したいときなどに、操作具42を操作するだけで、全ての解錠レバー29を操作して、一斉に全ての電気錠8に対する解錠操作を行うことができる。したがって、各扉2を個別に解錠操作する場合に比べて、解錠操作の手間と時間を大幅に省くことができる。
【0051】
上記実施形態では、錠ユニット21をユニット凹部24に配置したが、ユニット凹部24を配して本体ケース1の側面から突出する状態で錠ユニット21を配置してもよい。錠ユニット21は各扉2に対応して複数設けることができる。冷蔵ロッカーの構成は左右勝手違いであってもよい。本発明は、冷蔵ロッカー以外のロッカー装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 本体ケース
2 扉
5 収納室
7 ストライカー
8 電気錠
9 側壁
10 側壁の左右の側面(側壁の右側面)
10a 主面
10b 受面
10c 後面
21 錠ユニット
22 ユニットボックス
22c 上ボックス壁
22d 下ボックス壁
22g ユニットボックスの側面
23 メンテナンス窓
24 ユニット凹部
27 ラッチ
28 捕捉凹部
29 解錠レバー
39 操作片
42 操作具
50 支持構造
51 上ガイド
52 下ガイド
53 ロック具
56 上ガイド片
57 上ガイドスリット
58 上支持体(上支持プレート)
58a 上支持体の縁部
63 下ガイド片
64 下ガイドスリット
65 下支持体(下支持プレート)
69 キャッチ窓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11