(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089998
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】情報分析装置及び情報分析方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240627BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205605
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】山本 枝里子
(72)【発明者】
【氏名】大久保 雅人
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】携帯端末の位置情報のデータを活用して、地域の利用者が当該地域における環境負荷を容易に把握することができる情報分析装置及び情報分析方法を提供すること。
【解決手段】情報分析装置は、給油施設情報と充電施設情報とを含む地図情報を記憶する地図情報記憶部と、指定された所定の期間における複数の携帯端末の少なくとも位置情報の時間的推移を示すプローブ位置情報テーブルを記憶するプローブ位置情報記憶部と、プローブ位置情報テーブルに基づいて、利用者が車両乗車中を示す状態と車両乗車中を示す状態とに挟まれた期間の携帯端末の位置情報が、給油施設の位置又は前記充電施設の位置に該当するか否かを判定する施設判定部と、携帯端末の位置情報が給油施設の位置情報に相当する場合、利用者は内燃機関車両を利用と判定し、携帯端末の位置情報が充電施設の位置情報に相当する場合、利用者はEV車両を利用と判定する車両判定部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関車両への給油サービスを提供する給油施設の位置を含む給油施設情報と、EV車両への充電サービスを提供する充電施設の位置を含む充電施設情報と、を含む地図情報を記憶する地図情報記憶部と、
指定された所定の期間における複数の利用者がそれぞれ所持する携帯端末の少なくとも位置情報の時間的推移を示すプローブ位置情報テーブルを記憶するプローブ位置情報記憶部と、
前記プローブ位置情報テーブルに基づいて、前記利用者が車両乗車中を示す状態と車両乗車中を示す状態とに挟まれた期間の前記携帯端末の位置情報が、前記地図情報記憶部に記憶された前記給油施設の位置又は前記充電施設の位置に該当するか否かを判定する施設判定部と、
前記施設判定部により、挟まれた前記期間の前記携帯端末の位置情報が前記給油施設の位置情報に相当すると判定された場合、前記利用者は前記内燃機関車両を利用していると判定し、挟まれた前記期間の前記携帯端末の位置情報が前記充電施設の位置情報に相当すると判定された場合、前記利用者は前記EV車両を利用していると判定する車両判定部と、
を備えることを特徴とする情報分析装置。
【請求項2】
前記複数の携帯端末それぞれの連続する位置情報を時刻情報とともにプローブ情報として収集するプローブ情報収集部と、
収集した前記複数の携帯端末それぞれの前記位置情報及び前記時刻情報を時系列の順に格納して前記プローブ位置情報テーブルを構築するテーブル更新部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報分析装置。
【請求項3】
前記地図情報記憶部は、指定された領域に関する指定領域情報を備え、
さらに、前記所定の期間内に、前記指定領域情報の指定された前記領域を少なくとも通過した前記内燃機関車両の累計台数と、前記指定領域情報の指定された前記領域を少なくとも通過した前記EV車両の累計台数と、を算出する累計台数算出部と、
前記累計台数算出部により算出される前記内燃機関車両の累計台数と、前記EV車両の累計台数と、の比率を算出する台数比率算出部と、を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の情報分析装置。
【請求項4】
前記プローブ位置情報テーブルに基づいて、前記利用者が車両乗車中を示す状態と車両乗車中を示す状態とに挟まれた期間において車両位置に変化がない場合、挟まれた前記期間を含めて、携帯端末が車両により移動していると判定する車両移動時間判定部と、
前記車両移動時間判定部により判定された時間内に前記車両の移動した距離を算出する移動距離算出部と、
所定期間内において、前記指定領域情報の指定された前記所定の領域を通過した前記内燃機関車両の移動した距離の累計と、前記指定領域情報の指定された前記所定の領域を通過した前記EV車両の移動した距離の累計と、の比率を算出する移動距離比率算出部と、
を備えることを特徴とする請求項3記載の情報分析装置。
【請求項5】
複数の前記携帯端末が同一の車両により移動しているか否かを複数の前記携帯端末それぞれの位置情報の時間的推移により判定する同一車両判定部を備え、
前記同一車両判定部により、前記複数の携帯端末が同一の車両で移動していると判定した場合には、前記累計台数算出部及び前記移動距離算出部は、同一車両について重複する算出をしないことを特徴とする請求項4記載の情報分析装置。
【請求項6】
コンピュータにより実行される情報分析方法であって、
内燃機関車両への給油サービスを提供する給油施設の位置を含む給油施設情報と、EV車両への充電サービスを提供する充電施設の位置を含む充電施設情報と、を含む地図情報を記憶する地図情報記憶ステップと、
指定された所定の期間における複数の利用者がそれぞれ所持する携帯端末の少なくとも位置情報の時間的推移を示すプローブ位置情報テーブルを記憶するプローブ位置情報記憶ステップと、
前記プローブ位置情報テーブルに基づいて、前記利用者が車両乗車中を示す状態と車両乗車中を示す状態に挟まれた期間の前記携帯端末の位置情報が、記憶された前記給油施設の位置又は前記充電施設の位置に該当するか否かを判定する施設判定ステップと、
前記施設判定ステップにおいて、挟まれた前記期間の前記携帯端末の位置情報が前記給油施設の位置情報に相当すると判定された場合、前記利用者は前記内燃機関車両を利用していると判定し、挟まれた前記期間の前記携帯端末の位置情報が前記充電施設の位置情報に相当すると判定された場合、前記利用者は前記EV車両を利用していると判定する車両判定ステップと、
を備えることを特徴とする情報分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地域毎の環境負荷に関する指標を算出する情報分析装置及び情報分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種自動車メーカーからEV車(電気自動車)が販売されている。
近年、環境意識の高まりとともに、自分が居住する地域(又は、今後、居住を検討している地域)の環境への影響度を知りたいというニーズが高まっており、EV車の環境に与える負荷についてもそのニーズの対象となっている。
しかしながら、行政やメーカーから公表されている地域内のEV車の販売台数では、実際に利用されているかどうかは不明であるため地域の環境負荷に与える影響度を知ることができない。
なお、利用については、例えば特許文献1には、EV車が道路リンクを走行するために要するバッテリーの消費電力量を正確に算出するための技術が開示されている。
また、非特許文献1には、スマートフォン等により測位された位置情報とともに、加速度データを用いて、スマートフォン等のユーザの行動を判定する弱者見守りシステムの技術が開示されている。当該技術では、ユーザの行動として、車両に乗車中、電車に乗車中、歩行中等の判定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】土井善貴ら、「スマートフォンを利用した弱者を見守るシステムTLIFSの提案」、第74回全国大会講演論文集、vol.1、pp.353-354、2012年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、1台1台のバッテリー消費量を予測するのみで、地域でどの程度のEV車が活用されているかを把握することはできない。
また、非特許文献1記載の技術では、ユーザの行動を判定するだけで、車両がEV車か否かを判定することはできない。
【0006】
そこで本発明は、携帯端末の位置情報のデータを活用して、地域の利用者が当該地域における環境負荷を容易に把握することができる情報分析装置及び情報分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明の情報分析装置(例えば、後述の「情報分析装置20」)は、内燃機関車両(例えば、後述の「ガソリン車40a」)への給油サービスを提供する給油施設の位置を含む給油施設情報と、EV車両(例えば、後述の「EV車40b」)への充電サービスを提供する充電施設の位置を含む充電施設情報と、を含む地図情報を記憶する地図情報記憶部(例えば、後述の「地図情報記憶部221」)と、指定された所定の期間における複数の利用者がそれぞれ所持する携帯端末(例えば、後述の「携帯端末10」)の少なくとも位置情報の時間的推移を示すプローブ位置情報テーブルを記憶するプローブ位置情報記憶部(例えば、後述の「プローブ位置情報記憶部222」)と、前記プローブ位置情報テーブルに基づいて、前記利用者が車両乗車中を示す状態と車両乗車中を示す状態とに挟まれた期間の前記携帯端末の位置情報が、前記地図情報記憶部に記憶された前記給油施設の位置又は前記充電施設の位置に該当するか否かを判定する施設判定部(例えば、後述の「施設判定部212」)と、前記施設判定部により、挟まれた前記期間の前記携帯端末の位置情報が前記給油施設の位置情報に相当すると判定された場合、前記利用者は前記内燃機関車両を利用していると判定し、挟まれた前記期間の前記携帯端末の位置情報が前記充電施設の位置情報に相当すると判定された場合、前記利用者は前記EV車両を利用していると判定する車両判定部(例えば、後述の「車両判定部214」)と、を備える。
【0008】
上記(1)によれば、携帯端末の位置情報を用いて環境負荷を容易に把握することが可能となる。
【0009】
(2) (1)に記載の情報分析装置において、前記複数の携帯端末それぞれの連続する位置情報を時刻情報とともにプローブ情報として収集するプローブ情報収集部と、収集した前記複数の携帯端末それぞれの前記位置情報及び前記時刻情報を時系列の順に格納して前記プローブ位置情報テーブルを構築するテーブル更新部と、を備えてもよい。
【0010】
上記(2)によれば、(1)の情報分析装置と同様の効果を奏する。
【0011】
(3) (1)又は(2)に記載の情報分析装置において、前記地図情報記憶部は、指定された領域に関する指定領域情報を備え、さらに、前記所定の期間内に、前記指定領域情報の指定された前記領域を少なくとも通過した前記内燃機関車両の累計台数と、前記指定領域情報の指定された前記領域を少なくとも通過した前記EV車両の累計台数と、を算出する累計台数算出部と、前記累計台数算出部により算出される前記内燃機関車両の累計台数と、前記EV車両の累計台数と、の比率を算出する台数比率算出部と、を備えてもよい。
【0012】
上記(3)によれば、携帯端末の位置情報を用いて、所定領域である地域がどの程度の環境負荷であるかを容易に把握することが可能となる。
【0013】
(4) (3)に記載の情報分析装置において、前記プローブ位置情報テーブルに基づいて、前記利用者が車両乗車中を示す状態と車両乗車中を示す状態とに挟まれた期間において車両位置に変化がない場合、挟まれた前記期間を含めて、携帯端末が車両により移動していると判定する車両移動時間判定部と、前記車両移動時間判定部により判定された時間内に前記車両の移動した距離を算出する移動距離算出部と、所定期間内において、前記指定領域情報の指定された前記所定の領域を通過した前記内燃機関車両の移動した距離の累計と、前記指定領域情報の指定された前記所定の領域を通過した前記EV車両の移動した距離の累計と、の比率を算出する移動距離比率算出部と、を備えてもよい。
【0014】
上記(4)によれば、携帯端末の位置情報を用いて、所定領域である地域がどの程度の環境負荷であるかを容易に把握することが可能となる。
【0015】
(5) (4)に記載の情報分析装置において、複数の前記携帯端末が同一の車両により移動しているか否かを複数の前記携帯端末それぞれの位置情報の時間的推移により判定する同一車両判定部を備え、前記同一車両判定部により、前記複数の携帯端末が同一の車両で移動していると判定した場合には、前記累計台数算出部及び前記移動距離算出部は、同一車両について重複する算出をしなくてもよい。
【0016】
上記(5)によれば、より正確に環境負荷を把握することが可能となる。
【0017】
(6) 本発明の情報分析方法は、コンピュータにより実行される情報分析方法であって、内燃機関車両への給油サービスを提供する給油施設の位置を含む給油施設情報と、EV車両への充電サービスを提供する充電施設の位置を含む充電施設情報と、を含む地図情報を記憶する地図情報記憶ステップと、指定された所定の期間における複数の利用者がそれぞれ所持する携帯端末の少なくとも位置情報の時間的推移を示すプローブ位置情報テーブルを記憶するプローブ位置情報記憶ステップと、前記プローブ位置情報テーブルに基づいて、前記利用者が車両乗車中を示す状態と車両乗車中を示す状態に挟まれた期間の前記携帯端末の位置情報が、記憶された前記給油施設の位置又は前記充電施設の位置に該当するか否かを判定する施設判定ステップと、前記施設判定ステップにおいて、挟まれた前記期間の前記携帯端末の位置情報が前記給油施設の位置情報に相当すると判定された場合、前記利用者は前記内燃機関車両を利用していると判定し、挟まれた前記期間の前記携帯端末の位置情報が前記充電施設の位置情報に相当すると判定された場合、前記利用者は前記EV車両を利用していると判定する車両判定ステップと、を備える。
【0018】
上記(6)の方法によれば、(1)の情報分析装置と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、携帯端末の位置情報のデータを活用して、地域の利用者が当該地域における環境負荷を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態である情報分析システム全体の基本的構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態における携帯端末の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態におけるユーザ端末の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態における情報分析装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】プローブ位置情報テーブルの一例を示す図である。
【
図7】累計台数の比率の表示の一例を示す図である。
【
図8】車両移動時間判定部の動作の説明の一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態におけるプローブ情報の収集及びプローブ位置情報テーブルの更新時の基本的動作を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施形態における環境負荷を評価する時の基本的動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<情報分析システム1の全体構成>
以下、本発明の情報分析システムの好ましい一実施形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図1に、情報分析システム1の全体構成を示す。
【0022】
図1に示すように、情報分析システム1は、ガソリン車40aのユーザの携帯端末10aと、EV車40bのユーザの携帯端末10bと、情報分析装置20と、ユーザ端末30と、を含んで構成される。なお、本実施形態においては、特に断らない限り、ガソリン車40aには、ガソリン車だけでなくディーセル車、ハイブリッド車等の化石燃料で動く車両が含まれる。また、EV車40bには、バッテリー式電気自動車(BEV)等が含まれる。これら各装置及び各端末は、通信網50を介して相互に通信可能に接続される。
また、図中では、これら各装置及び各端末にて送受信される情報についても図示しているが、これらの情報はあくまで一例である。本実施形態にて、図示をしている以外の情報が送受信されるようにしてもよい。
なお、以下、携帯端末10a、10bのそれぞれを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「携帯端末10」ともいう。
【0023】
携帯端末10は、ガソリン車40aやEV車40bを利用するユーザのスマートフォンやタブレット端末等である。なお、携帯端末10には、当該ユーザの利用するガソリン車40a、EV車40bと連携するためのアプリケーションソフトがインストールされてもよい。
携帯端末10は、携帯端末10に含まれる加速度センサや振動センサ等により測定された速度情報や振動情報を取得したり、GPS(Global Positioning System)センサによりGPS衛星信号を受信して携帯端末10の位置情報(緯度及び経度)、及び当該位置情報を測位した時刻情報を取得する。携帯端末10は、取得した速度情報、振動情報、位置情報、及び時刻情報等を、携帯端末10の識別情報とともに、プローブ情報として情報分析装置20に対して送信する。
【0024】
情報分析装置20は、本実施形態特有の処理として、複数の携帯端末10から取得したプローブ情報を用いて、ユーザ端末30により指定された領域及び期間における環境負荷を分析し評価する装置である。
このため、情報分析装置20は、ガソリン車40aへの給油サービスを提供する給油施設の位置を含む給油施設情報と、EV車40bへの充電サービスを提供する充電施設の位置を含む充電施設情報と、を含む地図情報を記憶する地図情報記憶部221等を備える。また、情報分析装置20は、複数のユーザが所持する携帯端末10それぞれから取得したプローブ情報(速度情報、振動情報、位置情報、時刻情報等)に基づいて、携帯端末10毎に時系列の順に格納したプローブ位置情報テーブルを記憶するプローブ位置情報記憶部222を備える。
情報分析装置20は、地図情報記憶部221の地図情報とプローブ位置情報テーブルとに基づいて、携帯端末10のユーザが利用している車両がガソリン車40aかEV車40bかを判定する。情報分析装置20は、ユーザ端末30のユーザにより指定された期間に指定された地域(領域)内を走行したガソリン車40aの累計台数とEV車40bの累計台数との比率や、ガソリン車40aの移動した距離の累計とEV車40bの移動した距離の累計との比率を、当該地域の環境負荷として算出する。
そうすることで、情報分析装置20は、当該地域における環境指標(例えば、ESG指標(CO2観点)等)を評価することができる。
【0025】
ユーザ端末30はユーザにより操作される端末であって、情報分析装置20と通信することで、指定した期間における指定した領域の環境負荷に関する評価結果を取得し照会する端末である。
【0026】
ガソリン車40aは、前述したように、ガソリン等の化石燃料を利用する内燃機関車両である。また、EV車40bは、前述したように、BEV等の電気自動車である。
【0027】
通信網50は、インターネットや携帯電話網といったネットワークや、これらを組合せたネットワークにより実現される。
以上、情報分析システム1の全体構成について説明した。
次にそれぞれの構成について説明する。
【0028】
<携帯端末10が備える機能ブロック>
携帯端末10が備える機能ブロックについて
図2のブロック図を参照して説明をする。
図2に示すように、携帯端末10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、センサ部14と、表示部15と、入力部16とを含んで構成される。
【0029】
制御部11は、マイクロプロセッサ等の演算処理装置から構成され、携帯端末10を構成する各部の制御を行う。制御部11の詳細については、後述する。
【0030】
記憶部12は、半導体メモリ等で構成されており、ファームウェアやオペレーティングシステムと呼ばれる制御用のプログラム、情報分析装置20に対してプローブ情報を送信する機能を実行するプログラム等の種々の情報が記憶される。図中には、記憶部12が記憶する情報として、プローブ情報121を図示する。
【0031】
プローブ情報121は、携帯端末10を識別するための識別情報(例えば、携帯端末10の電話番号や、携帯端末10のMAC(Media Access Control)アドレス等)を含む。
また、プローブ情報121は、後述するセンサ部14に含まれる加速度センサや振動センサ等により測定された携帯端末10の速度情報や振動情報等を含む。
また、プローブ情報121は、後述するセンサ部14に含まれるGPSセンサによりGPS衛星信号を受信して携帯端末10の位置情報(緯度及び経度)、及び当該位置情報を測位した時刻情報等を含む。
また、プローブ情報121には、情報分析装置20が取得するプローブ情報を用いて分析し、分析結果をユーザ端末30等の第三者に対して提供することについて、ユーザにより同意されているか否かを示す許諾情報が含まれてよい。
【0032】
通信部13は、DSP等を有し、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)の規格や、Wi-Fi(登録商標)といった規格に準拠して、通信網50を介して他の装置(例えば、情報分析装置20)との間の無線通信や有線通信を実現する。通信部13は、例えば、携帯端末10側からプローブ情報(携帯端末10の識別情報、速度情報、振動情報、位置情報、時刻情報、及び許諾情報等)を情報分析装置20に送信するために利用される。
なお、通信部13は、新たな速度情報、振動情報、位置情報、時刻情報を取得する度に、プローブ情報を情報分析装置20に送信してもよく、所定の時間(例えば、1分等)毎に新たに溜まった速度情報、振動情報、位置情報、時刻情報をまとめてプローブ情報として情報分析装置20に送信してもよい。
また、通信部13と他の装置との間で送受信されるデータに特に制限はなく、これらの情報以外の情報が送受信されるようにしてもよい。
【0033】
センサ部14は、例えばGPSセンサ、加速度センサ、振動センサ等により構成される。センサ部14は、加速度センサや振動センサ等を用いて、携帯端末10の移動速度や振動を測定する。また、センサ部14は、GPSセンサによりGPS衛星信号を受信し、携帯端末10の位置情報(緯度及び経度)を測位するとともに、当該位置情報を測位したときの時刻情報を取得する。
【0034】
表示部15は、液晶ディスプレイ、又は有機エレクトロルミネッセンスパネル等の表示デバイスにより構成される。表示部15は、制御部11からの指示を受けて画像を表示する。表示部15が表示する情報としては、携帯端末10にインストールされている各種アプリケーションプログラムに応じたユーザインタフェース等が挙げられる。
【0035】
入力部16は、テンキーと呼ばれる物理スイッチや表示部15の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置で構成される。入力部16からの操作入力、例えばユーザによるテンキーの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御部11に出力することで、ユーザによる選択操作等を実現することができる。
【0036】
なお、この他、図示しないが、携帯端末10は、スピーカやマイク等を備えることもできる。そうすることで、情報をスピーカから音声で出力したり、マイクを介して音声入力されたユーザによる各種の選択、指示を音声認識技術により、制御部11に入力したりすることもできる。
【0037】
次に、制御部11の詳細について説明をする。制御部11はCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びI/O(Input / Output)等を有するマイクロプロセッサにより構成される。CPUは、ROM又は記憶部12から読み出した各プログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、及び記憶部12から情報を読み出し、RAM及び記憶部12に対して情報の書き込みを行い、通信部13、センサ部14、表示部15、及び入力部16と信号の授受を行う。これにより、ハードウェアとソフトウェア(プログラム)が協働することにより本実施形態における処理は実現される。
【0038】
プローブ情報送信部111は、通信部13を利用した無線通信により、携帯端末10のプローブ情報を、情報分析装置20に対して送信する。
以上、携帯端末10の構成について説明した。
【0039】
<ユーザ端末30が備える機能ブロック>
次に、ユーザ端末30が備える機能ブロックについて
図3のブロック図を参照して説明をする。
図3に示すように、ユーザ端末30は、少なくとも、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、表示部34と、入力部35とを含んで構成される。各部の構成は、例えば、携帯端末10の名称が同一の各部の構成とそれぞれ同様である。ユーザ端末30については、一般的なパーソナルコンピュータにより実現できるので、詳細な説明を省略する。
制御部31は、環境評価照会部310を含む。環境評価照会部310は、情報分析装置20に対して、例えば、ユーザにより指定された期間に指定された領域における携帯端末10のプローブ情報を参照する権限のある者に対して割り当てられたユーザIDによってアクセス可能とすることができる。
環境評価照会部310は、情報分析装置20に対して、例えば、ユーザにより指定された期間における指定された領域の環境負荷に関する評価を要求することで、環境負荷の評価結果を取得して照会することができる。
なお、ユーザ端末30に係る機能を情報分析装置20が備えるようにしてもよい。
また、ユーザ端末30は、例えば、地域それぞれにおける環境負荷を評価したい、不動産業者や金融機関等の施設に配置されてもよい。
以上、ユーザ端末30の構成について説明した。
【0040】
<情報分析装置20が備える機能ブロック>
最後に、情報分析装置20が備える機能ブロックについて
図4のブロック図を参照して説明をする。情報分析装置20は、サーバやグラウドサーバ、仮想サーバ等等であり、本実施形態を実現するためのソフトウェアを組み込むことにより実現することができる。
図4に示すように、情報分析装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、表示部24と、入力部25と、を含んで構成される。
【0041】
制御部21は、マイクロプロセッサ等の演算処理装置から構成され、情報分析装置20を構成する各部の制御を行う。制御部21の詳細については、後述する。
【0042】
記憶部22は、半導体メモリ等で構成されており、ファームウェアやオペレーティングシステムと呼ばれる制御用のプログラム、環境負荷を算出する機能を実行するプログラム、さらに地図情報やプローブ位置情報テーブル等の種々の情報が記憶される。このため、
図4に示すように、記憶部22には、地図情報記憶部221及びプローブ位置情報記憶部222といった、記憶部が確保されている。
なお、これらの記憶部は、記憶部22において、それぞれ個別に確保されてもよく、一体で構成してもよい。
【0043】
地図情報記憶部221には、ガソリン車40aへの給油サービスを提供する給油施設の位置を含む給油施情報と、EV車40bへの充電サービスを提供する充電施設の位置を含む充電施設と、を含む地図情報が記憶される。
また、地図情報記憶部221は、情報分析装置20がユーザ端末30から指定された領域を取得した場合、指定された領域を指定領域情報として記憶してもよい。
図5は、指定領域情報の一例を示す図である。
図5では、指定領域情報として、東京都の西側を「エリア1」とし、東側を「エリア2」とする場合を例示する。
【0044】
プローブ位置情報記憶部222には、複数のユーザそれぞれが所持する携帯端末10から取得したプローブ情報における位置情報の時間的推移を示すプローブ位置情報テーブルが記憶される。
図6は、プローブ位置情報テーブルの一例を示す図である。
図6に示すように、プローブ位置情報テーブルは、携帯端末10を識別するための「識別情報」を含む。また、プローブ位置情報テーブルは、識別情報に対応する携帯端末10の位置情報が測位された時の時刻情報である「日時」を含む。また、プローブ位置情報テーブルは、識別情報に対応する携帯端末10の「位置情報」を含む。
そして、後述するテーブル更新部211は、複数の携帯端末10それぞれのプローブ情報の位置情報を、時刻情報とともにプローブ位置情報テーブル内の対応するフィールドに時系列の順に格納することにより、プローブ位置情報テーブルを構築し更新する。
【0045】
プローブ位置情報テーブル内の「識別情報」は、取得した複数の携帯端末10それぞれのプローブ情報に含まれる識別情報である。なお、携帯端末10のプローブ情報の識別情報は、上述したように、携帯端末10のユーザが特定されないように、情報分析装置20によりランダムに一意に割り当てられた文字列や数字の列、又はそれらの組み合わせ等が割り当てられる。
プローブ位置情報テーブル内の「日時」は、取得した複数の携帯端末10それぞれのプローブ情報に含まれる時刻情報である。
プローブ位置情報テーブル内の「位置情報」は、取得した複数の携帯端末10それぞれのプローブ情報に含まれる時刻情報の日時に測位された位置情報である。
【0046】
通信部23は、DSP等を有し、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)の規格や、Wi-Fi(登録商標)といった規格に準拠して、通信網50を介して他の装置、例えば、携帯端末10との間の無線通信、及びユーザ端末30との間の無線通信や有線通信を実現する。
通信部23は、例えば、ユーザ端末30からユーザにより指定された期間における指定された領域の環境負荷に関する評価の要求を受信するとともに、当該要求に対する評価結果をユーザ端末30に送信するために利用される。
なお、通信部23と他の装置との間で送受信されるデータに特に制限はなく、これらの情報以外の情報が送受信されるようにしてもよい。
【0047】
表示部24は、液晶ディスプレイ、又は有機エレクトロルミネッセンスパネル等の表示デバイスにより構成される。表示部24は、制御部21からの指示を受けて画像を表示する。
【0048】
入力部25は、キーボードや表示部24の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置(図示を省略する)等で構成される。入力部25からの操作入力、例えば情報分析装置20のユーザによるキーボードのキーの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御部21に出力することで、各種処理の実行の操作を実現することができる。
【0049】
次に、制御部21の詳細について説明をする。制御部21はCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びI/O(Input / Output)等を有するマイクロプロセッサにより構成される。CPUは、ROM又は記憶部22から読み出した各プログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、及び記憶部22から情報を読み出し、RAM及び記憶部22に対して情報の書き込みを行い、通信部23、表示部24、及び入力部25と信号の授受を行う。これにより、ハードウェアとソフトウェア(プログラム)が協働することにより本実施形態における処理は実現される。
制御部21は、プローブ情報収集部210、テーブル更新部211、施設判定部212、同一車両判定部213、車両判定部214、累計台数算出部215、台数比率算出部216、車両移動時間判定部217、移動距離算出部218、移動距離比率算出部219、及び評価情報提供部21Aとして機能する。
【0050】
<プローブ情報収集部210>
プローブ情報収集部210は、通信部23を介して、複数の携帯端末10それぞれからプローブ情報を収集する。
【0051】
<テーブル更新部211>
テーブル更新部211は、プローブ情報収集部210により収集された複数の携帯端末10それぞれのプローブ情報の位置情報及び時刻情報をプローブ位置情報テーブル内の対応するフィールドに時系列の順に格納して、プローブ位置情報記憶部222のプローブ位置情報テーブルを構築し更新する。
【0052】
<施設判定部212>
施設判定部212は、プローブ位置情報記憶部222のプローブ位置情報テーブルに基づいて、携帯端末10のユーザの行動が車両乗車中を示す状態と車両乗車中を示す状態とに挟まれた期間の携帯端末10の位置情報が、地図情報記憶部221に記憶された給油施設の位置又は充電施設の位置に該当するか否かを判定する。
具体的には、施設判定部212は、例えば、ユーザにより指定された期間において指定された領域の環境負荷に関する評価の要求をユーザ端末30から受信した場合、プローブ位置情報記憶部222のプローブ位置情報テーブルに基づいて、複数の携帯端末10それぞれの位置情報の時間的推移を求める。施設判定部212は、非特許文献1等の公知の手法を用いて、求めた携帯端末10それぞれの位置情報の時間的推移のうち、例えば
図5の指定領域情報の領域内を少なくとも通過した携帯端末10の位置情報の時間的推移から、当該携帯端末10のユーザが「車両に乗車中」か、「電車に乗車中」か、「静止中」か、「歩行中」か等を推定する。
例えば、携帯端末10の位置情報の時間的推移が地図情報記憶部221に記憶された地図情報の道路上のノード(例えば道路の交差点、屈曲点、端点等)、及び各ノード間を結ぶ経路であるリンクの位置情報と一致し、携帯端末10の位置情報の時間的推移から算出される速度が所定値(例えば、時速10km等)以上の場合、施設判定部212は、当該携帯端末10のユーザは「車両に乗車中」と推定するようにしてもよい。
また、携帯端末10の位置情報の時間的推移が地図情報記憶部221に記憶された地図情報の鉄道路線(線路)の位置情報と一致し、携帯端末10の位置情報の時間的推移から算出される速度が所定値(例えば、時速10km等)以上の場合、施設判定部212は、当該携帯端末10のユーザは「電車に乗車中」と推定するようにしてもよい。
また、携帯端末10の位置情報の時間的推移が地図情報記憶部221に記憶された地図情報の同じ位置にとどまっている場合、施設判定部212は、当該携帯端末10のユーザは「静止中」と推定するようにしてもよい。
また、携帯端末10の位置情報の時間的推移が地図情報記憶部221に記憶された地図情報の道路上のノード(例えば道路の交差点、屈曲点、端点等)、及び各ノード間を結ぶ経路であるリンクの位置情報と一致するが、携帯端末10の位置情報の時間的推移から算出される速度が、例えば時速4km以下等の場合、施設判定部212は、当該携帯端末10のユーザは「歩行中」と推定するようにしてもよい。
【0053】
施設判定部212は、「車両に乗車中」と推定した携帯端末10のユーザが「車両に乗車中」を示す状態と「車両に乗車中」を示す状態とに挟まれた期間(例えば、「静止中」等)の携帯端末10の位置情報が、地図情報記憶部221に記憶された地図情報における給油施設の位置又は充電施設の位置に該当するか否かを判定する。
【0054】
なお、施設判定部212は、プローブ位置情報記憶部222のプローブ位置情報テーブルのみを用いて、携帯端末10のユーザが「車両に乗車中」か否か等を推定したが、これに限定されない。例えば、施設判定部212は、プローブ位置情報テーブルとともに、取得した各携帯端末10のプローブ情報に含まれる速度情報や振動情報を利用して、携帯端末10のユーザの行動を推定するようにしてもよい。
そうすることで、情報分析装置20は、車に乗っているか、バスに乗車しているか、電車に乗車しているか、バイクに乗っているか、自転車に乗っているか等、携帯端末10のユーザの行動をより正確及び詳細に推定することが可能となる。
【0055】
<同一車両判定部213>
同一車両判定部213は、複数の携帯端末10が同一のガソリン車40a又はEV車40bにより移動しているか否かを複数の携帯端末10それぞれの位置情報の時間的推移により判定する。
具体的には、同一車両判定部213は、例えば、複数の携帯端末10それぞれの位置情報の時間的推移のうち類似する時間的推移を示す携帯端末10を検索する。同一車両判定部213は、類似する時間的推移を示す携帯端末10それぞれに対して、施設判定部212により「車両に乗車中」と推定されている場合、携帯端末10それぞれのユーザが同一のガソリン車40a又はEV車40bに乗車して移動していると判定する。
そうすることで、情報分析装置20は、同一の車両を複数回カウントすることを回避でき、より正確に環境負荷を評価することが可能となる。
【0056】
<車両判定部214>
車両判定部214は、施設判定部212により、挟まれた期間の携帯端末10のプローブ情報の位置情報が給油施設の位置情報に相当すると判定された場合、携帯端末10のユーザはガソリン車40aを利用していると判定する。また、車両判定部214は、施設判定部212により、挟まれた期間の携帯端末10の位置情報が充電施設の位置情報に相当すると判定された場合、携帯端末10のユーザはEV車40bを利用していると判定する。
【0057】
<累計台数算出部215>
累計台数算出部215は、ユーザにより指定された期間内に、指定された領域(地図情報記憶部221の指定領域情報の指定された領域)を少なくとも通過したガソリン車40aの累計台数と、指定された領域(地図情報記憶部221の指定領域情報の指定された領域)を少なくとも通過したEV車40bの累計台数と、を算出する。
具体的には、累計台数算出部215は、例えば、ユーザにより指定された期間内に、指定領域情報で指定された領域を少なくとも通過した、車両判定部214により判定されたガソリン車40aの累計台数を算出する。また、累計台数算出部215は、指定された期間内に、指定領域情報で指定された領域を少なくとも通過した、車両判定部214により判定されたEV車40bの累計台数を算出する。
なお、累計台数算出部215は、同一車両判定部213により複数の携帯端末10が同一のガソリン車40a又はEV車40bにより移動していると判定されたガソリン車40a又はEV車40bについて重複して数えないようにする。
【0058】
<台数比率算出部216>
台数比率算出部216は、累計台数算出部215により算出されたガソリン車40aの累計台数と、EV車40bの累計台数と、の比率を算出する。
図7は、累計台数の比率の表示の一例を示す図である。
図7に示すように、「エリア2」におけるEV車40bの比率(BEV利用比率)が「エリア1」におけるEV車40bの比率(BEV利用比率)より高いことが分かる。すなわち、「エリア1」の方が「エリア2」と比べて環境負荷が高いことを示す。
換言すれば、情報分析装置20は、
図7に示すように、指定領域情報で指定された地域がどの程度の環境負荷であるかを容易に把握することが可能となる。
【0059】
<車両移動時間判定部217>
車両移動時間判定部217は、プローブ位置情報記憶部222のプローブ位置情報テーブルに基づいて、携帯端末10のユーザが「車両に乗車中」を示す状態と「車両に乗車中」を示す状態とに挟まれた期間(例えば、「静止中」等)において車両位置に変化がない場合、挟まれた期間を含めて、携帯端末10のユーザがガソリン車40a又はEV車40bで移動していると判定する。
図8は、車両移動時間判定部217の動作の説明の一例を示す図である。
図8の上段では、EV車40bの場合を例示し、下段ではガソリン車40aの場合を例示する。
図8に示すように、ガソリン車40a及びEV車40bそれぞれは、目的地まで移動し帰りに給油施設又は充電施設に寄って帰宅する。この移動の間に、施設判定部212により推定される携帯端末10のユーザの行動は、往路の「車両に乗車中」、目的地における「静止中」(又は「歩行中」)、目的地から給油施設又は充電施設までの「車両に乗車中」、給油施設又は充電施設での「静止中」、及び給油施設又は充電施設から自宅までの「車両に乗車中」の5つがある。しかしながら、目的地、及び給油施設又は充電施設において、ガソリン車40a又はEV車40bの車両位置は変化していない。
そこで、車両移動時間判定部217は、自宅を出発してから自宅に戻るまでの携帯端末10のユーザの行動を1つの「車両に乗車中」と判定することにより、後述する移動距離算出部218によるガソリン車40a及びEV車40bそれぞれの移動距離の算出を容易に行うことができる。
【0060】
<移動距離算出部218>
移動距離算出部218は、車両移動時間判定部217により判定された時間内にガソリン車40a及びEV車40bそれぞれの移動した距離を算出する。
具体的には、移動距離算出部218は、例えば、ユーザにより指定された期間内において、指定領域情報で指定された領域を通過したガソリン車40a及びEV車40bそれぞれの指定された領域内における移動距離を算出する。
【0061】
<移動距離比率算出部219>
移動距離比率算出部219は、例えば、ユーザにより指定された期間内において、指定された領域(地図情報記憶部221の指定領域情報の指定された領域)を通過したガソリン車40aの移動した距離の累計と、指定された領域(地図情報記憶部221の指定領域情報の指定された領域)を通過したEV車40bの移動した距離の累計と、の比率を算出する。
具体的には、移動距離比率算出部219は、例えば、ユーザにより指定された期間内において、指定された領域を通過したガソリン車40aそれぞれの移動距離算出部218により算出された移動距離の累計を算出する。また、移動距離比率算出部219は、ユーザにより指定された期間内において、指定された領域を通過したEV車40bそれぞれの移動距離算出部218により算出された移動距離の累計を算出する。移動距離比率算出部219は、算出したガソリン車40aの移動距離の累計と、算出したEV車40bの移動距離の累計と、の比率を算出する。
【0062】
<評価情報提供部21A>
評価情報提供部21Aは、指定された期間及び領域における台数比率算出部216により算出されたガソリン車40aの累計台数とEV車40bの累計台数との比率、又は移動距離比率算出部219により算出されたガソリン車40aの移動した距離の累計とEV車40bの移動した距離の累計との比率を評価結果として、ユーザ端末30(環境評価照会部310)に対して提供する。
評価情報提供部21Aは、例えば
図7に示すように、指定された期間及び領域における算出されたガソリン車40aの累計台数とEV車40bの累計台数との比率や、算出されたガソリン車40aの移動した距離の累計とEV車40bの移動した距離の累計との比率を表すグラフを提供するようにしてもよい。
そうすることで、情報分析装置20は、携帯端末10の位置情報を用いて、ユーザにより指定された領域(指定領域情報の指定された領域)がどの程度の環境負荷であるかを容易に把握することが可能となる。
【0063】
<本実施形態の動作>
最後に、
図9及び
図10のフローチャートを参照して、本実施形態の動作について説明する。ここで、
図9は、プローブ情報収集部210及びテーブル更新部211により行われる、プローブ情報の収集及びプローブ位置情報テーブルの更新時の動作を示すフローチャートである。また、
図10は、施設判定部212、同一車両判定部213、車両判定部214、累計台数算出部215、台数比率算出部216、車両移動時間判定部217、移動距離算出部218、及び移動距離比率算出部219により行われる、環境負荷の評価結果を提供する時の基本的動作を示すフローチャートである。
【0064】
まず、携帯端末10から収集したプローブ情報により、プローブ位置情報記憶部222のプローブ位置情報テーブルを更新する場合の動作について
図9を参照して説明する。
【0065】
ステップS11において、複数の携帯端末10それぞれのプローブ情報送信部111がプローブ情報の送信を開始するか否かを判定する。ここで、各携帯端末10の電源スイッチ(図示しない)がオンである場合には(ステップS11にてYes)、処理はステップS12に進む。一方、各携帯端末10の電源スイッチ(図示しない)がオフのままの場合には(ステップS11にてNo)、プローブ情報送信部111はプローブ情報の送信を開始せず、処理はステップS11で待機する。
【0066】
ステップS12において、センサ部14は、携帯端末10の位置情報、時刻情報等のプローブ情報を取得する。
【0067】
ステップS13において、プローブ情報送信部111は、センサ部14からプローブ情報を取得し、取得したプローブ情報を、情報分析装置20(プローブ情報収集部210)に対して、所定の周期で、リアルタイム送信又はバースト送信をする(ステップS13)。
【0068】
ステップS14において、情報分析装置20のプローブ情報収集部210は、複数の携帯端末10それぞれのプローブ情報を収集する。
【0069】
ステップS15において、テーブル更新部211が、ステップS14で収集されたプローブ情報に基づいてプローブ位置情報記憶部222のプローブ位置情報テーブルを更新する。
以上説明した動作により、プローブ情報の収集及びプローブ位置情報記憶部222のプローブ位置情報テーブルの更新が実現される。
【0070】
次に、
図10のフローチャートを参照して、環境負荷を評価する時の基本的動作について説明をする。
【0071】
ステップS21において、施設判定部212は、指定された期間と指定された領域とを含む環境負荷に関する評価の要求をユーザ端末30から受け付ける。
【0072】
ステップS22において、施設判定部212は、プローブ位置情報テーブルに基づいて、携帯端末10のユーザが「車両に乗車中」を示す状態と「車両に乗車中」を示す状態とに挟まれた期間の携帯端末10の位置情報が、給油施設の位置又は充電施設の位置に該当するか否かを判定する。
【0073】
ステップS23において、同一車両判定部213は、複数の携帯端末10が同一のガソリン車40a又はEV車40bにより移動しているか否かを複数の携帯端末10それぞれの位置情報の時間的推移により判定する。
【0074】
ステップS24において、車両判定部214は、ステップS23で携帯端末10の位置情報が給油施設の位置情報に相当すると判定された場合、携帯端末10のユーザはガソリン車40aを利用していると判定し、ステップS23で携帯端末10の位置情報が充電施設の位置情報に相当すると判定された場合、携帯端末10のユーザはEV車40bを利用していると判定する。
【0075】
ステップS25において、累計台数算出部215は、ステップS21で指定された期間内に、指定された領域を少なくとも通過した、ステップS24で判定されたガソリン車40aの累計台数と、ステップS24で判定されたEV車40bの累計台数と、を算出する。
【0076】
ステップS26において、台数比率算出部216は、ステップS25で算出されたガソリン車40aの累計台数と、EV車40bの累計台数と、の比率を算出する。
【0077】
ステップS27において、車両移動時間判定部217は、プローブ位置情報テーブルに基づいて、携帯端末10のユーザが「車両に乗車中」を示す状態と「車両に乗車中」を示す状態とに挟まれた期間において車両位置に変化がない場合、挟まれた期間を含めて、携帯端末10のユーザがガソリン車40a又はEV車40bで移動していると判定する。
【0078】
ステップS28において、移動距離算出部218は、ステップS21で指定された期間内において、指定された領域を通過したガソリン車40a及びEV車40bそれぞれの指定された領域内における移動距離を算出する。
【0079】
ステップS29において、移動距離比率算出部219は、ステップS21で指定された期間内において、ステップS24で判定されたガソリン車40aの移動した距離の累計と、ステップS24で判定されたEV車40bの移動した距離の累計と、の比率を算出する。そして、評価情報提供部21Aは、ステップS26で算出されたガソリン車40aの累計台数とEV車40bの累計台数との比率、又はステップS29で算出されたガソリン車40aの移動した距離の累計とEV車40bの移動した距離の累計との比率を評価結果として、ユーザ端末30に対して提供する。
【0080】
以上説明した、本実施形態の動作によれば、携帯端末10の位置情報のデータを活用して、ガソリン車40aの累計台数とEV車40bの累計台数との比率、又はガソリン車40aの移動した距離の累計とEV車40bの移動した距離の累計との比率から、地域の利用者が当該地域における環境負荷を容易に把握することができる。
【0081】
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0082】
<変形例1>
上述の実施形態では、情報分析装置20を1つのサーバ等により実現すると説明したが、情報分析装置20の各機能を、適宜複数のサーバ装置に分散する、分散処理システムとしてもよい。また、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、情報分析装置20の各機能を実現してもよい。また、ユーザ端末40に換えて、情報分析装置20がユーザ端末40の機能を備えるようにしてもよい。
すなわち、
図2、
図3及び、
図4の機能的構成は例示に過ぎず、本実施形態の機能的構成を限定するものではない。すなわち、本発明の情報分析機能に関する一連の処理を全体として実行できる機能が各機器に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図2、
図3、及び
図4の例に限定されない。
具体的には、情報分析装置20の備えるプローブ情報収集部210を例えばプローブデータサーバ(図示しない)が備えるようにしてもよい。そうすることで、情報分析装置20はプローブデータサーバ(図示しない)からプローブ情報を適宜ダウンロードするようにしてもよい。
さらに、情報分析装置20の備えるテーブル生成部211を、例えばプローブデータサーバ(図示しない)が備えるようにしてもよい。そうすることで、情報分析装置20はプローブデータサーバ(図示しない)からプローブ位置情報テーブルを適宜ダウンロードするようにしてもよい。
【0083】
<変形例2>
また例えば、上述の実施形態では、情報分析装置20は、プローブ位置情報記憶部222のプローブ位置情報テーブルのみを用いて、携帯端末10のユーザが「車両乗車中」か否か等を推定したが、これに限定されない。例えば、情報分析装置20は、プローブ位置情報テーブルとともに、プローブ情報に含まれる速度情報や振動情報を利用して、携帯端末10のユーザの状態を推定するようにしてもよい。
そうすることで、情報分析装置20は、車に乗っているか、バスに乗車しているか、電車に乗車しているか、バイクに乗っているか、自転車に乗っているか等、携帯端末10のユーザの状態をより正確及び詳細に推定することか可能となる。
<変形例3>
また、例えば施設判定部212は、給油施設又は充電施設での「静止中」と判定する場合に、給油施設と充電施設が隣接または併設されている場合は、車両判定部214は、施設判定部212により、挟まれた期間の長さの閾値により、携帯端末10のユーザはガソリン車40aを利用しているか、携帯端末10のユーザはEV車40bを利用しているかを判定するようにしてもよい。
そうすることで、挟まれた期間の長さの閾値を例えば10分とした場合は、10分未満では携帯端末10のユーザはガソリン車40aを利用していると判定し、10分以上では携帯端末10のユーザはEV車40bを利用していると判定できるため、給油施設と充電施設が隣接または併設していたとしても正確に判定することが可能となる。
【0084】
<ハードウェア及びソフトウェアについて>
上記の情報分析システム1に含まれる各機器のそれぞれは、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記の情報分析システム1に含まれる各機器のそれぞれが協働することにより行なわれる、情報分析方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、1つ以上のコンピュータが1つ以上のプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0085】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0086】
1 情報分析システム
10 携帯端末
11 制御部
111 プローブ情報送信部
12 記憶部
121 プローブ情報
13 通信部
14 センサ部
15 表示部
16 入力部
20 情報分析装置
21 制御部
210 プローブ情報収集部
211 テーブル更新部
212 施設判定部
213 同一車両判定部
214 車両判定部
215 累計台数算出部
216 台数比率算出部
217 車両移動時間判定部
218 移動距離算出部
219 移動距離比率算出部
21A 評価情報提供部
22 記憶部
221 地図情報記憶部
222 プローブ位置情報記憶部
23 通信部
24 表示部
25 入力部
30 ユーザ端末
31 制御部
310 環境評価照会部
32 記憶部
33 通信部
34 表示部
35 入力部