(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090001
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240627BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205611
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】399094361
【氏名又は名称】株式会社東京カンテイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉道
(72)【発明者】
【氏名】岡田 芳輝
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】対象地の資産価値の評価を路線価以外の情報を用いて精度良く取得する。
【解決手段】コンピュータが、対象地に関する情報の入力を受け付け、対象地の評価に用いる第1の状況類似地区を特定し、第1の状況類似地区に対応付けられた、状況類似地区において基準に選定された基準地である第1の基準地を取得し、第1の基準地に関する情報と、対象地との類似性についての所定の条件を満たす類似事例の土地が含まれる状況類似地区に対応付けられた第2の基準地に関する情報と、に基づいて、対象地の価格を算出し、対象地の価格を出力する、情報処理方法である。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
対象地に関する情報の入力を受け付け、
前記対象地の評価に用いる第1の状況類似地区を特定し、
前記第1の状況類似地区に対応付けられた、状況類似地区において基準に選定された基準地である第1の基準地を取得し、
前記第1の基準地に関する情報と、前記対象地との類似性についての所定の条件を満たす類似事例の土地が含まれる状況類似地区に対応付けられた第2の基準地に関する情報と、に基づいて、前記対象地の価格を算出し、
前記対象地の価格を出力する、
情報処理方法。
【請求項2】
前記コンピュータは、
前記対象地を所定割合以上含む状況類似地区、前記対象地が接面する道路の部分を所定割合以上含む状況類似地区、前記対象地の間口部分を含む状況類似地区、又は、前記対象地の代表座標を含む状況類似地区を、前記第1の状況類似地区として特定する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記コンピュータは、
前記対象地を前記所定割合以上含む状況類似地区を前記第1の状況類似地区として特定する場合に、前記対象地のポリゴンデータと前記対象地の周辺に設定されている1又は複数の状況類似地区のポリゴンデータとを用いる、
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記コンピュータは、
前記対象地が接面する道路の部分を前記所定割合以上含む状況類似地区を前記第1の状況類似地区として特定する場合に、前記対象地が接面する道路の部分の図形データを取得し、前記図形データと前記対象地の周辺に設定されている1又は複数の状況類似地区のポリゴンデータとを用いる、
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記コンピュータは、
前記対象地を想定した所定の条件を満たす第1のポリゴンデータを取得し、
前記第1のポリゴンデータを前記対象地のポリゴンとして用いて、前記第1の状況類似地区を特定する、
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記コンピュータは、
前記第1の状況類似地区を特定できない場合には、前記対象地に対応する基準地の選択を促すメッセージを出力する、
請求項3から5のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記コンピュータは、
前記類似事例の土地の価格に、前記第1の基準地の価格と前記第2の基準地の価格との比率を乗じて、前記対象地の価格を算出する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
対象地に関する情報の入力を受け付け、
前記対象地の評価に用いる第1の状況類似地区を特定し、
前記第1の状況類似地区に対応付けられた、状況類似地区において基準に選定された基準地である第1の基準地を取得し、
前記第1の基準地に関する情報と、前記対象地との類似性についての所定の条件を満たす類似事例の土地が含まれる状況類似地区に対応付けられた第2の基準地に関する情報と、に基づいて、前記対象地の価格を算出し、
前記対象地の価格を出力する、
制御部、
を備える情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
対象地に関する情報の入力を受け付けさせ、
前記対象地の評価に用いられる第1の状況類似地区を特定させ、
前記第1の状況類似地区に対応付けられた、状況類似地区において基準に選定された基準地である第1の基準地を取得させ、
前記第1の基準地に関する情報と、前記対象地との類似性についての所定の条件を満たす類似事例の土地が含まれる状況類似地区に対応付けられた第2の基準地に関する情報と、に基づいて、前記対象地の価格を算出させ、
前記対象地の価格を出力させる、
ためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータが、
対象地に関する情報の入力を受け付け、
前記対象地を所定割合以上含む状況類似地区、前記対象地が接面する道路の部分を所定割合以上含む状況類似地区、前記対象地の間口部分を含む状況類似地区、又は、前記対象地の代表座標を含む状況類似地区を、前記対象地が含まれる第1の状況類似地区として特定する、
情報処理方法。
【請求項11】
前記コンピュータは、
前記対象地を所定割合以上含む状況類似地区を前記第1の状況類似地区として特定する場合に、前記対象地のポリゴンデータと前記対象地の周辺に設定されている1又は複数の状況類似地区のポリゴンデータとを用いる、
請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記コンピュータは、
前記対象地が接面する道路の部分を前記所定割合以上含む状況類似地区を前記第1の状況類似地区として特定する場合に、前記対象地が接面する道路の部分の図形データを取得し、前記図形データと前記対象地の周辺に設定されている1又は複数の状況類似地区のポリゴンデータとを用いる、
請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記コンピュータは、
前記対象地を想定した所定の条件を満たす第1のポリゴンデータを取得し、
前記第1のポリゴンデータを前記対象地のポリゴンとして用いて、前記第1の状況類似地区を特定する、
請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項14】
対象地に関する情報の入力を受け付け、
前記対象地を所定割合以上含む状況類似地区、前記対象地が接面する道路の部分を所定割合以上含む状況類似地区、前記対象地の間口部分を含む状況類似地区、又は、前記対象
地の代表座標を含む状況類似地区を、前記対象地が含まれる第1の状況類似地区として特定する、
制御部、
を備える情報処理装置。
【請求項15】
コンピュータに、
対象地に関する情報の入力を受け付けさせ、
前記対象地を所定割合以上含む状況類似地区、前記対象地が接面する道路の部分を所定割合以上含む状況類似地区、前記対象地の間口部分を含む状況類似地区、又は、前記対象地の代表座標を含む状況類似地区を、前記対象地が含まれる第1の状況類似地区として特定させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土地の価格を決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鑑定対象地点の路線価及び鑑定対象地点に近い最寄地点の路線価の比を最寄地点の地価に乗じることに基づき鑑定対象地点の地価を求める技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-73239号公報
【特許文献2】特開2001-249989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、路線価が付設されていない地域もある。また、路線価は、当該地域又は地点の特徴を反映した値であり、鑑定対象地点の路線価と鑑定対象地点に近い最寄地点の路線価との比は、鑑定対象地点と最寄地点との地域格差率又は個別要因格差率に相当するとも言える。地域格差率及び個別要因格差率は、所定の項目について鑑定対象地点と最寄地点との地域格差及び個別要因格差を判定することによっても得られるが、これらの格差の判定は不動産鑑定に熟達した者以外のユーザにとっては困難なことである。
【0005】
本発明は、上記した問題に鑑み、対象地の資産価値の評価を路線価以外の情報を用いて精度良く取得可能な情報処理方法、情報処理装置、及び、プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様の一つは、コンピュータが、対象地に関する情報の入力を受け付け、対象地の評価に用いられる第1の状況類似地区を特定し、第1の状況類似地区に対応付けられた第1の基準地を取得し、第1の基準地に関する情報と、対象地との類似性についての所定の条件を満たす類似事例の土地が含まれる状況類似地区に対応付けられた第2の基準地に関する情報と、に基づいて、対象地の価格を算出し、対象地の価格を出力する、情報処理方法である。土地には、例えば、宅地、農地(田、畑)、山林、原野、及び、雑種地等がある。状況類似地区は、価格形成要因がおおむね同等と認められる地区のことである。基準地は、状況類似地区において基準として選定された土地である。状況類似地区及び基準地は、市町村が行う調査に基づいて定められている。土地が宅地である場合には、基準地は標準宅地と称される。対象地、類似事例の土地、第1の基準地、及び、第2の基準地は、いずれも同じ種類の土地である。なお、類似事例の土地の対象には、取引事例のある土地、地価公示法に基づく地価公示(公示地)、及び、国土利用計画法施行令による地価調査(基準地)が含まれる。
【0007】
状況類似地区は、路線価が付設されていない地域でも設定されていることが多い。本開示の態様の一つでは、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定し、当該状況類似地区の第1の基準地に関する情報と類似事例の土地に対応する第2の基準地に関する情報とを用いて対象地の価格を取得することができる。これによって、路線価を用いなくとも、対象地の価格を取得することができる。また、基準地に関する情報の一つである、基準地の価格は市町村の調査により取得されたものであるので、第1の基準地の価格と第2の基準地
の価格との比率を地域格差率又は個別要因格差率として用いることができ、ユーザが土地評価の熟達者でなくとも、対象地の価格を精度よく算出することができる。対象地の価格を精度よく算出する、とは、算出された対象地の価格と、当該対象地が実際に購入された場合の成約価格との差が小さいことをいう。
【0008】
本開示の態様の一つでは、コンピュータは、対象地を所定割合以上含む状況類似地区、対象地が接面する道路の部分を所定割合以上含む状況類似地区、対象地の間口部分を含む状況類似地区、又は、対象地の代表座標を含む状況類似地区を、第1の状況類似地区として特定してもよい。これによって、例えば、対象地が複数の状況類似地区にまたがっている場合でも、第1の状況類似地区を1つに特定することができ、対象地の評価に用いる状況類似地区の特定を自動化することができる。
【0009】
本開示の態様の一つでは、状況類似地区及び土地は、ポリゴンデータとして保持されていてもよい。この場合には、コンピュータは、対象地を所定割合以上含む状況類似地区を第1の状況類似地区として特定する場合に、対象地のポリゴンデータと対象地の周辺に設定されている1又は複数の状況類似地区のポリゴンデータとを用いてもよい。これによって、対象地の評価に用いる状況類似地区を機械的に特定することができる。
【0010】
本発明の他の態様の一つは、上記情報処理方法のいずれかを実行する情報処理装置としても特定することができる。また、本発明の他の態様の一つは、コンピュータに上記情報処理方法のいずれかを実行させるためのプログラムとしても特定可能である。なお、本発明の他の態様の一つは、上記プログラムを格納した非一時的記憶媒体として捉えることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、対象地の資産価値の評価を路線価以外の情報を用いて精度良く取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、状況類似地区と標準宅地の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る不動産評価システムのシステム構成と、サーバのハードウェア構成との一例を示す図である。
【
図3】
図3は、サーバの機能構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、不動産情報データベースに保持される情報の一例である。
【
図5】
図5は、取引事例データベースに保持される情報の一例である。
【
図6】
図6は、状況類似地区情報に含まれる状況類似地区の属性データの一例である。
【
図7】
図7は、標準宅地情報に含まれる標準宅地の属性データの一例である。
【
図8】
図8は、ポリゴンデータの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、サーバの不動産評価処理のフローチャートの一例である。
【
図11】
図11は、端末における対象地情報入力画面の一例である。
【
図12】
図12は、端末における評価額出力画面の一例である。
【
図13】
図13は、標準宅地の取得処理の変形例における、対象地のポリゴンデータが存在しない場合の処理のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、状況類似地区と標準宅地の一例を示す図である。以下、第1実施形態では、土地の一例として、宅地について説明される。
図1では、状況類似地区は破線で示されている。
【0015】
状況類似地区と標準宅地とは、固定資産の評価を行うための指標の一つである。状況類似地区は、宅地を用途地区に区分し、さらに、道路の状況、公共施設等の接近の状況、家屋の疎密度、その他宅地の利用上の便等の類似性で区分した地区である。固定資産の評価において、土地の用途地区の区分には、例えば、商業系の区分、住宅系の区分、工業系の区分、及び、観光系の区分があり、それぞれにさらに小区分がある。例えば、商業系の区分には、高度商業地区、普通商業地区、繁華街、ビル街、中高層用併用住宅地区、及び、低層併用住宅地区等の区分がある。例えば、住宅系の区分には、高級住宅地区、中高層普通住宅地区、低層普通住宅地区等の区分がある。工業系の区分には、例えば、家内工業地区、中小工業地区、大工業地区等の区分がある。小区分については、行政によって使用されるものが異なる。
図1では、状況類似地区は用途地区の区分で塗り分けされている。状況類似地区は、状況類似地域とも称される。
【0016】
状況類似地区の中で、主要な街路に沿接する宅地のうちから、間口、奥行、地積、形状等からみて標準的なものと認められる宅地が標準宅地として選定されている。状況類似地区と標準宅地は1対1で対応付けられている。また、標準宅地の価格は公開されている。標準宅地の価格は、路線価の付設に用いられる。したがって、路線価が付設されていない地域でも、状況類似地区は設定されていることが多い。
【0017】
なお、土地が田、畑、山林である場合には、それぞれ、状況類似地区ごとに、基準田、基準畑、基準山林が選定される。基準田、基準畑、基準山林、及び、標準宅地の総称は、基準地と称される。標準宅地は、基準宅地とも称される。
【0018】
第1実施形態では、対象地が含まれる状況類似地区に1対1で対応付けられている標準宅地の価格を用いて、対象地の価値を評価する。しかしながら、例えば、対象地が複数の状況類似地区にまたがっている場合には、いずれの状況類似地区に対象不動産が含まれるかを特定すること、すなわち、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定することは、不動産鑑定の熟達者でなければ判断が難しいことがある。対象地の評価に用いる状況類似地区は、“第1の状況類似地区”の一例である。
【0019】
図2は、第1実施形態に係る不動産評価システム100のシステム構成とサーバ1のハードウェア構成との一例を示す図である。不動産評価システム100は、不動産の価値を評価するシステムである。第1実施形態では、不動産評価システム100は、不動産として宅地を評価する。不動産の価値は、例えば、価格で示される。不動産の価格は、例えば、不動産全体の価格、単位面積当たりの価格で示される。面積の単位には、例えば、平方メートル、及び、坪がある。以下、不動産の評価として示される価格を、評価額、と称する。
【0020】
不動産評価システム100は、サーバ1と端末2とを含む。不動産評価システム100は、端末2を複数含むことも可能であるが、
図2では、簡略化のため、端末2は、1台のみ表示されている。サーバ1と端末2とは、例えば、通信ネットワークN1を介して接続されている。通信ネットワークN1は、例えば、インターネット等の公衆ネットワークであってもよいし、社内ネットワーク等のプライベートなネットワークであってもよい。
【0021】
端末2は、例えば、PC、スマートフォン、及び、タブレット端末等の端末である。端
末2は、サーバ1へ、対象地の評価のリクエストを送信し、サーバ1は、当該リクエストに対するレスポンスとして、対象地の価格を送信する。
【0022】
サーバ1は、対象地に関する情報に基づいて、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定し、特定した状況類似地区に対応付けられている基準地の価格を用いて対象地の価格を取得する。より具体的には、第1実施形態では、サーバ1は、状況類似地区をポリゴンデータとして保持しており、状況類似地区のポリゴンデータを用いて、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定する。サーバ1は、取引事例比較法で、対象地と価格形成要因が類似する土地の取引事例の価格に、対象地に対応する基準地の価格と当該類似する土地の取引事例に対応する基準地の価格との比率、時点修正率、及び、個別要因格差率を乗じて、対象地の価格を算出する。
【0023】
取引事例は成約事例に限らず、所有者が売却を希望した売り出し事例でも過去の評価先例でも良い。また、取引事例の代わりに、地価公示法に基づく地価公示の公示地や国土利用計画法施行令による地価調査の基準地が用いられても良い。なお、地価調査の基準地は、状況類似地区の基準地とは異なる。以下、地価公示法に基づく地価公示の公示地、及び、国土利用計画法施行令による地価調査の基準地を、公示・基準地、と称する。以下、土地の取引事例を、単に、取引事例、又は、事例、と称する。また、対象の土地と類似する土地の取引事例を、単に、類似事例、と称する。また、以下、土地として宅地を例に説明を行うため、基準地を標準宅地、として説明する。
【0024】
第1実施形態によれば、対象地の価格は、基準地の価格を用いて取得される。これによって、路線価の付設がない地域に存在する土地についても、精度良く評価することができる。また、対象地の評価に用いる状況類似地区が自動的に特定されるので、熟達者でなくとも、対象地に関する情報を入力するという簡便な操作によって、いずれのユーザでも基準地の価格を用いた対象地の評価額を取得することができる。
【0025】
図2には、サーバ1のハードウェア構成も示されている。サーバ1は、例えば、専用のコンピュータ、又は、PC(Personal Computer)等の汎用のコンピュータである。サー
バ1は、例えば、ハードウェア構成要素として、CPU(Central Processing Unit)1
01、メモリ102、外部記憶装置103、及び、通信部104を備え、これらがバスにより互いに接続されている情報処理装置である。
【0026】
通信部104は、例えば、有線のネットワーク、又は、無線のネットワークと接続する。通信部104は、例えば、NIC(Network Interface Card)、光通信用のユニット、無線LAN(Local Area Network)カード、又は、携帯電話網に接続するための無線回路等である。通信部104で受信されたデータ等は、CPU 101に出力される。
【0027】
メモリ102は、CPU 101に、外部記憶装置103に格納されているプログラムをロードする記憶領域および作業領域を提供したり、バッファとして用いられたりする記憶装置である。メモリ102は、例えば、RAM(Random Access Memory)のような半導体メモリである。
【0028】
外部記憶装置103は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してCPU 101が使用するデータを格納する。外部記憶装置103は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスク(Hard Drive Disc)、又は、SSD(Solid State Drive)である。外部記憶装置103は、例えば、オペレーティングシステム(OS
)、不動産評価プログラム、及び、その他様々なアプリケーションプログラムを保持する。不動産評価プログラムは、対象地の評価に用いられる状況類似地区を特定し、特定した状況類似地区に対応付けられている基準地の価格を用いて対象地の価格を取得するための
プログラムである。
【0029】
CPU 101は、補助記憶装置105に保持されたOSや様々なアプリケーションプログラムをメモリ102にロードして実行することによって、様々な処理を実行する。CPU 101は、1つであってもよいし、複数であってもよい。CPU 101は、「制御部」の一例である。
【0030】
なお、
図2に示されるサーバ1のハードウェア構成は、一例であり、上記に限られず、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略や置換、追加が可能である。例えば、サーバ1は、キーボードやマウス等の入力装置、及び、ディスプレイ等の出力装置を備えてもよい。例えば、サーバ1は、可搬記録媒体を駆動し、可搬記録媒体に記録されたデータを読み出す可搬記録媒体駆動装置を備えてもよい。可搬記録媒体は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray(登録商標)ディスクのようなディスク記録媒体、フラッシュメモリカードのような記録媒体である。
【0031】
端末2は、例えば、PC、タブレット端末、又は、スマートフォン等の端末である。端末2もハードウェア構成として、CPU、メモリ、補助記憶装置、通信部を備えており、さらに、ディスプレイ又はタッチパネルディスプレイやキーボード等も備える。例えば、サーバ1はウェブサーバであり、不動産評価システム100のサービスをウェブサービスとして提供してもよい。この場合には、端末2は、不動産評価システム100のウェブページにアクセスして、当該ウェブページ上で対象地に関する情報を入力して送信操作を行うことで、サーバ1へ対象地の評価のリクエストを送信する。サーバ1は、端末2からのリクエストを受信すると対象地の評価額を取得し、対象地の評価額を含むウェブページを端末2へ送信すると、当該ウェブページが端末2のディスプレイに表示される。ただし、これに限定されず、端末2は補助記憶装置に不動産評価システム100のクライアント用のアプリケーションプログラムをインストールしており、当該アプリケーションプログラムを実行することによって、対象地の評価のリクエストをサーバ1へ送信したり、対象地の評価額を画面に出力したりしてもよい。また、これらに限定されず、例えば、端末2が不動産評価プログラムをインストールしており、端末2が、リクエストの入力に応じて、対象地が含まれる状況類似地区に対応付けられている基準地の価格を用いて対象地の価格を取得して出力してもよい。
【0032】
図3は、サーバ1の機能構成の一例を示す図である。サーバ1は、機能構成要素として、事例抽出部11、基準地特定部12、価格取得部13、不動産情報DB 14、取引事例DB 15、ポリゴンDB 16、地図情報DB 17、及び、補正率情報DB 18を備える。これらの機能構成要素は、サーバ1のCPU 101が外部記憶装置103に保持されている所定のプログラムを実行することによって達成される機能構成要素である。
【0033】
事例抽出部11は、端末2からの対象地の評価のリクエストを受信すると、対象地との類似性についての所定の条件を満たす取引事例を類似事例として取引事例DB 15から取得する。端末2からは、例えば、対象地の評価のリクエストとともに、対象地に関する情報も受信される。対象地に関する情報は、対象地を特定する情報が含まれる。対象地を特定する情報には、例えば、対象地が既に不動産評価システム100に登録されている宅地である場合には不動産評価システム100における対象地の識別情報、対象地が不動産評価システム100に登録されていない宅地である場合には、対象地の所在地がある。対象の所在地は、例えば、住所で示されてもよいし、地図上でユーザによって指定された場所の緯度及び経度で示されてもよい。対象地の評価のリクエストとともに端末2から受信される対象地に関する情報には、対象地を特定する情報の他に、例えば、対象地の、地積
、形状、間口等の情報が含まれてもよい。
【0034】
対象地との類似性についての所定の条件は、例えば、土地の価値を形成する1又は複数の要因について、類似すること、である。対象地と類似することは、例えば、土地の価値を形成する1又は複数の要因について、対象地との差分に基づいて得られる類似度が所定値よりも小さいこと、である。当該類似度は、例えば、土地の価値を形成する1又は複数の要因について、対象地と取引事例との差分値の合計値、平均値、加重平均値等として求められてもよい。すなわち、類似事例は、土地の1又は複数の評価項目における評価の値が、対象地に対して所定の条件を満たす取引事例であるとも言える。土地の価値を形成する要因及び不動産の評価項目には、例えば、対象地と、所在地、用途、地積、形状、接面する道路の幅員、所在の市区町村又は所在の行政区等がある。具体例としては、対象地との距離が最も小さいことが条件である場合には、対象地に最も近い位置にある取引事例が類似事例として取得される。なお、類似事例の選択方法は、特定の方法に限定されず、公知の方法のいずれが用いられてもよい。類似事例は、公示・基準地を含んでもよい。事例抽出部11は、類似事例を価格取得部13へ出力する。
【0035】
基準地特定部12は、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定し、特定した状況類似地区に対応付けられている標準宅地を特定する。第1実施形態では、宅地、状況類似地区、及び、道路等はポリゴンデータとして保持されている。基準地特定部12は、対象地に関する情報に基づいて、対象地に対応するポリゴンデータと、対象地周辺の状況類似地区のポリゴンデータとの位置関係に基づいて、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定する。基準地特定部12は、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定すると、当該状況類似地区に対応付けられている標準宅地を特定できる。対象地の評価に用いる況類似地区の特定方法の詳細については後述される。
【0036】
基準地特定部12は、類似事例に予め標準宅地が対応付けられていない場合には、類似事例についても、対象地と同様にして状況類似地区を特定し、標準宅地を特定する。基準地特定部12は、対象地に対応する標準宅地を価格取得部13へ出力する。基準地特定部12は、類似事例に対応する標準宅地の特定を行った場合には、類似事例に対応する標準宅地も価格取得部13へ出力する。以下、対象地に対応する標準宅地、及び、類似事例に対応する標準宅地を、それぞれ、単に、対象地の標準宅地、及び、類似事例の標準宅地、と称する。
【0037】
価格取得部13は、対象地の標準宅地の価格と、類似事例の価格と、類似事例の標準宅地の価格とから、対象地の評価額を算出する。標準宅地の価格は、後述の地図情報DB 17から取得される。類似事例の価格は、後述の取引事例DB 15から取得される。第1実施形態では、下記の式1に従って、取引事例比較法で対象地の評価額が算出される。
【数1】
【0038】
対象地の標準宅地の価格と類似事例の標準宅地の価格とは、それぞれ、宅地が含まれる状況類似地区の特徴を反映した値である。したがって、式1における対象地の標準宅地の価格と類似事例の標準宅地の価格との比率は、取引事例比較法で用いられる地域要因格差率に相当すると言える。
【0039】
時点修正率は、類似事例の価格の調査時点から現在時点までの、対象地における地価の変動率である。時点修正率は、例えば、後述の地図情報DB 17に保持されている状況
類似地区の属性データに含まれる時点修正率又は標準宅地の属性データに含まれる時点修正率が用いられてもよい。ただし、時点修正率の取得方法は、特定の方法に限定されない。なお、取引事例に代えて、公示・基準地を使用する場合には、公示・基準地の価格の対前年変動率を用いて時点修正率を求めても良い。
【0040】
個別要因格差率は、対象地と類似事例との、それぞれが有する個別要因の格差率である。宅地の個別要因の一例として、面積、形状、接面道路の数、接面道路の幅員、最寄駅までの距離等がある。個別要因格差率は、個別要因に関する複数の所定の項目それぞれについての、対象地の個別格差を示す値の合計値と、類似事例の個別格差を示す値の合計値との比率で取得される。対象地及び類似事例それぞれについての個別格差を示す値(合計値)は、例えば、対象地と類似事例とそれぞれに関する情報に基づいて、基準地特定部12が当該複数の所定の項目について判定して求めてもよいし、オペレータによって入力されてもよいし、後述の補正率情報DB 18に保持されている、予め住所の市区町村単位で用途地域ごとに設定された個別格差を示す値を含む個別要因格差率テーブルが用いられてもよい。個別要因格差率の取得方法は、特定の方法に限定されない。なお、個別格差についての判定項目は、街路条件、環境条件、行政的条件、画地条件等について定められている。
【0041】
なお、より具体的には、個別要因格差率テーブルには、1レコード中に、県コード、市区町村コード、用途地域の種別、個別格差の項目が含まれる。用途地域は、都市計画によって市町村によって定められた地域である。用途地域は、固定資産評価の用途地区区分とは異なる観点から分類されたものである。ただし、用途地域の種別と用途地区区分とは対応させることができる。用途地域の種別と固定資産評価の用途地区区分との対応表は、例えば、後述の補正率情報DB 18に保持されていてもよい。個別格差テーブルを用いる場合には、例えば、基準地特定部12は、対象地が所在する状況類似地区の用途地区区分を特定し、特定した用途地区区分に対応する用途地域の種別を当該対応表から取得し、対象地が所在する、市区町村と用途地域の種別とに対応する個別格差の値を個別要因格差率テーブルから取得して、対象地の個別格差を示す値を取得する。類似事例についても同様にして個別格差を示す値が取得される。
【0042】
なお、時点修正率も、上述の個別要因格差率テーブルのように、市区町村単位で用途地域ごとに設定された時点修正率を含む時点修正率テーブルを用いて取得されてもよい。地域格差率、時点修正率、及び、個別要因格差率は、事例の価格を補正するので、まとめて補正率とも称される。また、標準宅地の価格は対象地又は類似事例の個別要因を反映している値であるとも解釈できるので、対象地の標準宅地の価格と類似事例の標準宅地の価格との比率は、個別要因格差率に対応するとも言える。
【0043】
なお、対象地の評価額の算出方法は、上記の式1を用いた方法に限定されない。例えば、対象地と類似事例とが同じ地域に存在する場合には地域格差は考慮しなくてもよい。例えば、類似事例の価格の調査時点と現在時点との乖離が十分に小さい場合には、時点修正を行わなくてよい。例えば、対象地と類似事例とのいずれの個別要因に格差がない場合には個別要因格差を考慮しなくてもよい。すなわち、地域格差率、時点修正率、及び、個別要因格差率は、いずれも、選択的に用いるものである。したがって、例えば、対象地の評価額は、類似事例の価格に対象地の標準宅地の価格と類似事例の標準宅地の価格との比率のみを乗じて算出されてもよい。
【0044】
価格取得部13は、対象地の評価のリクエストに対するレスポンスとして、算出した対象地の評価額を端末2へ送信する。対象地の評価額とともに、例えば、対象地の評価額に関する情報、対象地の標準宅地の価格、類似事例の価格、類似事例の標準宅地の価格、及び、算出に用いられた、時点修正率の値、及び、個別要因格差率の値等が含まれてもよい
。価格取得部13は、対象地の評価額を、例えば、対象地の評価額を表示するウェブページとして端末2へ送信してもよい。
【0045】
不動産情報DB 14、取引事例DB 15、ポリゴンDB 16、地図情報DB 17、及び、補正率情報DB 18は、外部記憶装置103の記憶領域に作成される。不動産情報DB 14には、不動産評価システム100に登録されている不動産に関する情報が格納されている。不動産情報DB 14に保持されている情報の詳細は、後述される。取引事例DB 15には、土地(第1実施形態では宅地)の売買の取引事例に関する情報が格納されている。取引事例DB 15に保持されている情報の詳細は後述される。
【0046】
ポリゴンDB 16には、不動産情報DB 14に登録されている宅地の一部のポリゴンデータ、及び、一部の道路のポリゴンデータが格納されている。宅地のポリゴンデータは、例えば、宅地の形状及びサイズによって定義される。道路のポリゴンデータは、例えば、宅地と接面する道路の一部分のポリゴンデータである。道路の部分のポリゴンデータは、当該道路の幅員と、宅地と接面する線分とによって定義されている。なお、道路の部分のポリゴンデータの代わりに、ラインデータが用いられてもよい。道路の部分のラインデータは、例えば、宅地と接面する道路の部分の宅地と接面する線分であってもよいし、宅地と接面する道路の部分の通行方向の中心線を示す線分であってもよい。道路の部分に相当するポリゴンデータ及びラインデータは、それぞれ、“道路の部分の図形データ”の一例である。
【0047】
補正率情報DB 18には、対象地の評価額の算出に用いられる、時点修正率、及び、個別要因格差率を求めるために用いられる情報が保持されている。例えば、補正率情報DB 18には、上述の個別要因格差率テーブル、上述の時点修正テーブル、及び、用途地域の種別と固定資産評価の用途地区区分との対応表等が保持されている。ただし、補正率情報DB 18に保持される情報はこれらに限定されず、補正率情報DB 18には、時点修正率及び個別要因格差率の取得方法に応じて必要な情報が保持される。
【0048】
地図情報DB 17には、地図情報171、道路情報172、状況類似地区情報173、及び、標準宅地情報174が含まれる。地図情報171は、所定の領域ごとの地図データである。道路情報172は、主要道路について、例えば、各道路が所定のポイントで区切られた部分の、形状を示すポリゴンデータと、属性を含む属性データとを含む。ポリゴンデータが作成される主要道路は、例えば、都市計画道路、幹線道路(国道、都道府県道、市町村道)等を含む。道路が区切られるポイントは、例えば、交差点の境界、及び、道路の分岐点等である。道路の部分のポリゴンデータの形状は、例えば、道路の当該部分の幅員と区切られたポイント間のリンクの形状で定義される。道路の部分の属性データには、例えば、地図上の位置情報、道路の種類等が含まれる。道路情報には、ポリゴンデータの代わりに道路の部分のリンクの形状を示すラインデータが含まれてもよい。
【0049】
状況類似地区情報173は、各状況類似地区の、形状を示すポリゴンデータと、属性を含む属性データとを含む。状況類似地区の属性データに含まれる情報の詳細については後述される。標準宅地情報174は、各標準宅地の、形状を示すポリゴンデータと、属性を含む属性データとを含む。標準宅地の属性データに含まれる情報の詳細については後述される。
【0050】
地図情報DB 17は、例えば、不動産評価システム100の管理者以外の第三者(地図製作会社等)によって作成されたものであってもよい。なお、
図3に示されるサーバ1の機能構成は一例であって、これに限定されない。例えば、不動産情報DB 14、取引事例DB 15、ポリゴンDB 16、地図情報DB 17、及び、補正率情報DB 18は、それぞれサーバ1とは異なる装置に備えられてもよく、不動産評価システム100
の管理者以外の第三者によって管理されているものであってもよい。
【0051】
図4は、不動産情報DB 14に保持される情報の一例である。不動産情報DB 14には、例えば、取引事例のある土地、不動産評価システム100の管理者によって調査された実績のある土地、及び、不動産評価システム100の管理者またはユーザによって登録された土地等に関する情報が格納されている。
図4では、土地が宅地である場合の例が示されている。不動産情報DB 14の1レコードは、1つの土地に対応する。
図4に示される例では、不動産情報DB 14の1レコードには、識別情報(
図4内、「不動産ID」)、所在地、用途地区区分、代表座標、面積、間口、及び、ポリゴンIDのフィールドが含まれている。
【0052】
所在地のフィールドには、宅地の所在を示す情報が格納される。宅地の所在を示す情報は、例えば、住所、又は、緯度及び経度である。用途地区区分のフィールドには、宅地が含まれる用途地区の区分を示す情報が格納される。用途地区の区分を示す情報は、例えば、コード、又は、用途地域の区分を表す文字列である。代表座標のフィールドには、宅地の代表座標の緯度及び経度が格納される。宅地の代表座標は、例えば、宅地の中心の座標、間口の中心の座標、又は、宅地の複数の角のうちのいずれかの座標等のいずれであってもよい。ただし、宅地の代表座標は、不動産評価システム100において、全ての宅地で同じ定義が適用される。
【0053】
面積のフィールドには、宅地の面積が格納される。間口のフィールドには、宅地の間口の位置を示す情報が格納される。間口を示す情報は、例えば、間口の方角、間口に相当する線分上のいずれかの点の座標、等である。間口の登録は必須ではなく、間口のフィールドは空であることもある。
【0054】
ポリゴンIDのフィールドには、ポリゴンDB 16に保持される、宅地に対応するポリゴンデータの識別情報が格納される。宅地に対応するポリゴンデータは、不動産評価システム100の管理者によって作成され登録される。全ての宅地についてポリゴンデータが作成されるわけではなく、ポリゴンデータが未作成の宅地も存在する。ポリゴンデータが未作成の宅地については、ポリゴンIDのフィールドは空になる。なお、不動産情報DB 14に保持される情報は、
図4に示される情報に限定されず、実施の形態、及び、対象とする土地の種類に応じて適宜変更可能である。
【0055】
図5は、取引事例DB 15に保持される情報の一例である。
図5に示される取引事例DB 15の1レコードは、1つの販売事例に対応する。取引事例DB 15のレコードには、例えば、事例の識別情報(事例ID)、不動産の識別情報(不動産ID)、販売開始年月、販売開始価格、成約年月、成約価格、及び、標準宅地IDのフィールドが含まれている。販売開始価格及び成約価格は、宅地そのものの価格であってもよいし、単位面積当たりの価格であってもよい。販売開始価格は、不動産評価システム100によって算出された宅地の評価額に相当する。販売開始年月は、宅地の評価を行った年月に相当する。
【0056】
成約年月及び成約価格のフィールドには、値が格納されていない場合もある。例えば、販売されたものの、その後、販売が中止された事例や、販売の実績はないものの評価だけが行われた事例については、販売開始価格は存在しても、成約価格は存在しない。対象地の評価額の算出において、類似事例の価格としては、例えば、成約価格のフィールドの値が優先的に用いられる。成約価格のフィールドの値が存在しない場合には、類似事例の価格として、販売開始価格の値が用いられる。
【0057】
標準宅地IDは、例えば、販売開始価格の算出の際に特定された当該事例に対応する標準宅地の識別情報である。標準宅地IDの情報の登録は任意であって、登録されていない
こともある。
【0058】
取引事例の宅地の詳細な情報は、不動産の識別情報を用いて不動産情報DB 14から取得することができる。なお、取引事例DB 15に保持される情報は、
図5に示される情報に限定されず、実施の形態に応じて適宜変更可能である。なお、取引事例の代わりに、又は、取引事例に加えて、公示・基準地が用いられる場合には、サーバ1は、公示・基準地に関する情報を保持するデータベースを備えてもよい。公示・基準地に関する情報を保持するデータベースには、例えば、公示・基準地の、識別情報、所在地、面積、価格、及び、価格の調査時点等が含まれる。
【0059】
図6は、状況類似地区情報173に含まれる状況類似地区の属性データの一例である。状況類似地区の属性データには、内部ID、地区ID、位置情報、用途地区区分、及び、時点修正情報が含まれる。内部IDは、地図情報DB 17において、状況類似地区のポリゴンデータと属性データとを対応付ける識別情報である。地区IDは、状況類似地区の識別情報である。
【0060】
位置情報は、状況類似地区の位置に関する情報である。例えば、位置情報には、地図情報171の地図データの座標における、状況類似地区のX座標の最大値、Y座標の最大値、X座標の最小値、及び、Y座標の最小値が含まれる。ただし、状況類似地区の属性データ内の位置情報に含まれる情報は、これに限定されない。
【0061】
用途地区区分は、状況類似地区の用途地区の区分を示す情報である。時点修正情報は、価格調査基準日から所定期間経過後の時点修正率である。対象地の評価額の算出に用いられる時点修正率として、対象地の評価に用いられる状況類似地区の時点修正率が用いられてもよい。なお、状況類似地区の属性データに含まれる情報は、
図6に示される情報に限定されない。
【0062】
図7は、標準宅地情報174に含まれる標準宅地の属性データの一例である。標準宅地の属性データには、内部ID、標準宅地ID、位置情報、所在、用途地区区分、価格、状況類似地区ID、及び、時点修正情報が含まれる。内部IDは、地図情報DB 17において、1つの標準宅地のポリゴンデータと属性データとを対応付ける識別情報である。標準宅地IDは、標準宅地の識別情報である。
【0063】
位置情報は、標準宅地の位置に関する情報である。標準宅地の属性データ内の位置情報に含まれる情報は、例えば、状況類似地区の属性データ内の位置情報に含まれる情報と同様の情報である。所在は、標準宅地の所在を示す情報である。所在を示す情報は、例えば、住所、又は、緯度及び経度である。用途地区区分は、状況類似地区を含む用途地区の区分を示す情報である。
【0064】
価格は、標準宅地の価格である。状況類似地区IDは、標準宅地が対応付けられる状況類似地区の識別情報である。時点修正情報は、価格調査基準日から所定期間経過後の時点修正率である。対象地の評価額の算出に用いられる時点修正率として、対象地の標準宅地の時点修正率が用いられてもよい。なお、標準宅地の属性データに含まれる情報は、
図7に示される情報に限定されない。
【0065】
図8は、ポリゴンデータの一例を示す図である。
図8には、宅地と当該宅地が接面する道路の一部とについて、地図上の該当部分とポリゴンデータとが示されている。宅地のポリゴンデータは、ポリゴンDB 16に保持されている。また、宅地に間口の情報が登録されている場合には、宅地のポリゴンデータと紐付けて、間口の線分がポリゴンDB 16に保持される。宅地が接面する道路の、当該宅地が接面する部分を含むポリゴンデータ
は、ポリゴンDB 16又は道路情報172に保持されている。
【0066】
<処理の流れ>
図9は、サーバ1の不動産評価処理のフローチャートの一例である。
図9に示される処理は、例えば、端末2から宅地の評価のリクエストが受信された場合に開始される。
図9に示される処理の実行主体は、CPU 101であるが、便宜上、機能構成要素を主体として説明する。
図9以降のフローチャートについても同様である。
【0067】
OP1では、事例抽出部11は、対象地に関する情報を取得する。OP1で取得される対象地に関する情報は、例えば、不動産情報DB 14に含まれる項目(所在地、用途地区区分、代表座標、面積、間口、ポリゴンID等)に相当する情報である。対象地が不動産評価システム100に登録されている宅地であり、評価のリクエストとともに、対象地の識別情報が受信された場合には、OP1では、事例抽出部11は、対象地に関する情報を不動産情報DB 14から取得する。
【0068】
対象地が不動産評価システム100に登録されていない宅地であり、端末2から評価のリクエストとともに、対象地に関する情報が受信される場合には、OP1では、事例抽出部11は、受信した対象地に関する情報を用いる。また、この場合には、事例抽出部11は、受信した対象地に関する情報を、不動産情報DB 14に新たに登録してもよい。
【0069】
対象地が不動産評価システム100に登録されていない宅地であり、端末2から評価のリクエストとともに、対象地を特定する情報(住所、又は、地図上の位置等)のみが受信される場合には、OP1では、事例抽出部11は、例えば、地図情報DB 17を参照して、用途地区区分、代表座標、及び、面積等の対象地に関する情報を取得する。
【0070】
OP2では、事例抽出部11は、例えば、不動産情報DB 14、取引事例DB 15、及び、地図情報DB 17を参照し、OP1において取得した対象地に関する情報に基づいて、所定の条件を満たす事例を類似事例として取得する。事例抽出部11は、基準地特定部12と価格取得部13へ、対象地と類似事例を通知する。
【0071】
OP3では、基準地特定部12は、対象地に対応する標準宅地を、地図情報DB 17を参照して、取得する。標準宅地の取得処理の詳細は、後述される。基準地特定部12は、価格取得部13へ、対象地に対応する標準宅地を通知する。
【0072】
OP4では、基準地特定部12は、類似事例に対応する標準宅地を取得する。取引事例DB 15において、類似事例に標準宅地が対応付けられている場合には、基準地特定部12は、取引事例DB 15から類似事例の標準宅地を取得する。取引事例DB 15において、類似事例に標準宅地が対応付けられていない場合には、基準地特定部12は、類似事例について、対象地と同様にして、標準宅地を取得する。基準地特定部12は、価格取得部13へ、類似事例に対応する標準宅地を通知する。
【0073】
OP5では、価格取得部13は、時点修正率を取得する。OP6では、価格取得部13は、個別要因格差率を取得する。OP7では、価格取得部13は、上記の式1にしたがって、対象地の評価額を算出する。OP8では、価格取得部13は、対象地の評価額等を、例えば、端末2へ送信する等して、出力する。その後、
図9に示される処理が終了する。
【0074】
図10A及び
図10Bは、標準宅地の取得処理のフローチャートの一例である。
図10A及び
図10Bに示される処理は、
図9のOP3において実行される処理である。なお、
図10A及び
図10Bに示される処理は、
図9のOP4において、取引事例DB 15において、類似事例に標準宅地が対応付けられていない場合にも実行される。
図10A及び
図10Bでは、対象地に対応する標準宅地を取得する場合について説明される。類似事例に対応する標準宅地を取得する場合には、下記の説明中の「対象地」が「類似事例」に置き換わる。
【0075】
OP301では、基準地特定部12は、対象地のポリゴンデータがポリゴンDB 16に保持されているか否かを判定する。対象地のポリゴンデータがポリゴンDB 16に保持されている場合には(OP301:YES)、処理がOP302へ進む。対象地のポリゴンデータがポリゴンDB 16に保持されていない場合には(OP301:NO)、処理が
図10BのOP311へ進む。
【0076】
OP302からOP308では、基準地特定部12は、対象地のポリゴンデータを用いて、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定する。OP302では、基準地特定部12は、対象地のポリゴンを全部含む状況類似地区が有るか否かを判定する。OP302の判定は、例えば、地図情報DB 17を参照して、対象地のポリゴンと状況類似地区のポリゴンとを用いて、行われる。
【0077】
対象地のポリゴンを全部含む状況類似地区が有る場合には(OP302:YES)、処理がOP303へ進む。OP303では、基準地特定部12は、対象地のポリゴンを全部含む状況類似地区を対象地の評価に用いる状況特定地区として特定し、特定した状況類似地区に対応付けられている標準宅地を、対象地に対応する標準宅地として取得する。その後、
図10Aに示される処理が終了し、処理が
図9のOP4へ進む。
【0078】
対象地のポリゴンを全部含む状況類似地区がない場合には(OP302:NO)、処理がOP304へ進む。OP304では、基準地特定部12は、対象地のポリゴンを所定割合以上含む状況類似地区が有るか否を判定する。OP304の判定に用いられる閾値となる所定割合は、例えば、不動産評価システム100の管理者によって、5割以上の値に設定される。OP304の判定は、例えば、地図情報DB 17を参照して、対象地のポリゴンと状況類似地区のポリゴンとを用いて、行われる。
【0079】
対象地のポリゴンを所定割合以上含む状況類似地区が有る場合には(OP304:YES)、処理がOP305へ進む。OP305では、基準地特定部12は、対象地のポリゴンを所定割合以上含む状況類似地区を対象地の評価に用いる状況類似地区として特定し、特定した状況類似地区に対応付けられている標準宅地を、対象地に対応する標準宅地として取得する。その後、
図10Aに示される処理が終了し、処理が
図9のOP4へ進む。これによって、例えば、対象地が複数の状況類似地区にまたがっている場合でも、対象地の評価に用いられる状況類似地区が、対象地のポリゴンが所定割合以上含まれる状況類似地区1つに特定され、対象地に対応する標準宅地を自動的に取得することができる。
【0080】
対象地のポリゴンを所定割合以上含む状況類似地区がない場合には(OP304:NO)、処理がOP306へ進む。OP306では、基準地特定部12は、対象地の間口が判明しているか否かを判定する。対象地の間口が不動産情報DB 14に登録されている場合、又は、対象地の間口の情報が端末2から受信された場合には、OP306は肯定判定となる。対象地の間口が判明している場合には(OP306:YES)、処理がOP307へ進む。
【0081】
OP307では、基準地特定部12は、対象地の間口が含まれる状況類似地区を対象地の評価に用いる状況類似地区として特定し、特定した状況類似地区に対応付けられている標準宅地を、対象地に対応する標準宅地として取得する。対象地の間口の線分がポリゴンDB 16に保持されている場合には、当該間口の線分と状況類似地区のポリゴンとを用いて、対象地の間口が含まれる状況類似地区が特定される。間口の線分が複数の状況類似
地区にまたがっている場合には、例えば、間口の線分が最も多く含まれている状況類似地区が特定されてもよい。間口の線分がポリゴンDB 16に保持されていない場合には、例えば、基準地特定部12は、間口の代表座標を求めて、当該間口の代表座標が含まれている状況類似地区を特定してもよい。間口の代表座標は、例えば、間口が存在する対象地の辺上の中心点の座標であってもよい。その後、
図10Aに示される処理が終了し、処理が
図9のOP4へ進む。これによって、例えば、対象地が3つ以上の状況類似地区にまたがっており、いずれの状況類似地区にも対象地のポリゴンが所定割合未満しか含まれていない場合のように、熟練者でないユーザが対象地の評価に用いる状況類似地区を特定しづらい場合でも、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定することができる。
【0082】
OP306において、対象地の間口が判明していない場合には(OP306:NO)、処理がOP308へ進む。OP308では、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定できないため、基準地特定部12は、対象地と類似する標準宅地をユーザに選択させるための処理を行う。例えば、基準地特定部12は、標準宅地の選択を促すメッセージと、状況類似地区、標準宅地、及び、対象地を表示した地図とを含む画面データを生成し、端末2へ送信する。なお、対象地と類似する標準宅地をユーザに選択させるための処理はこれに限定されない。その後、
図10Aに示される処理が終了し、処理が
図9のOP4へ進む。
【0083】
図10Bに示される処理は、対象地のポリゴンデータがポリゴンDB 16に保持されていない場合に実行される処理である。OP311では、基準地特定部12は、地図情報171、道路情報172、及び、ポリゴンDB 16を参照して、対象地の接道部分の道路ポリゴンが有るか否かを判定する。
【0084】
対象地の接道部分の道路ポリゴンが道路情報172及びポリゴンDB 16のいずれかに有る場合には(OP311:YES)、処理がOP312へ進む。なお、道路情報172及びポリゴンDB 16の両方に対象地の接道部分の道路ポリゴンが存在する場合には、例えば、ポリゴンDB 16に保持される道路ポリゴンを用いてもよい。
【0085】
OP312からOP315では、基準地特定部12は、対象地のポリゴンの代わりに、接道部分の道路ポリゴンを用いて、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定する。なお、接道部分の道路ポリゴンが複数存在する場合には、以下の処理において、最も多く対象地と接面する道路ポリゴンが用いられてもよいし、当該複数の道路ポリゴンすべてが用いられてもよい。
【0086】
OP312では、基準地特定部12は、接道部分の道路ポリゴンを全部含む状況類似地区が有るか否かを判定する。OP312の判定は、例えば、地図情報DB 17を参照して、接道部分の道路ポリゴンと状況類似地区のポリゴンとを用いて、行われる。
【0087】
接道部分の道路ポリゴンを全部含む状況類似地区が有る場合には(OP312:YES)、処理がOP313へ進む。OP313では、基準地特定部12は、接道部分の道路ポリゴンを全部含む状況類似地区を対象地の評価に用いる状況類似地区として特定し、特定した状況類似地区に対応付けられている標準宅地を、対象地に対応する標準宅地として取得する。その後、
図10Bに示される処理が終了し、処理が
図9のOP4へ進む。
【0088】
接道部分の道路ポリゴンを全部含む状況類似地区がない場合には(OP312:NO)、処理がOP314へ進む。OP314では、基準地特定部12は、接道部分の道路ポリゴンを所定割合以上含む状況類似地区が有るか否を判定する。OP314の判定に用いられる閾値となる所定割合は、例えば、不動産評価システム100の管理者によって、5割以上の値に設定される。
【0089】
接道部分の道路ポリゴンを所定割合以上含む状況類似地区が有る場合には(OP314:YES)、処理がOP315へ進む。OP315では、基準地特定部12は、接道部分の道路ポリゴンを所定割合以上含む状況類似地区を対象地の評価に用いる状況類似地区に特定し、特定した状況類似地区に対応付けられている標準宅地を、対象地に対応する標準宅地として取得する。その後、
図10Bに示される処理が終了し、処理が
図9のOP4へ進む。
【0090】
接道部分の道路ポリゴンを所定割合以上含む状況類似地区がない場合には(OP314:NO)、処理がOP316へ進む。OP316では、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定できないため、基準地特定部12は、OP308と同様に、対象地と類似する標準宅地をユーザに選択させるための処理を行う。その後、
図10Bに示される処理が終了し、処理が
図9のOP4へ進む。
【0091】
OP311において、対象地の接道部分の道路ポリゴンがない場合には(OP311:NO)、処理がOP317へ進む。OP317及びOP318では、基準地特定部12は、対象地のポリゴンの代わりに、対象地の代表座標を用いて、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定する。
【0092】
OP317では、基準地特定部12は、対象地の代表座標を含む状況類似地区が有るか否かを判定する。対象地の代表座標は、不動産情報DB 14から取得可能である。対象地の代表座標を含む状況類似地区がある場合には(OP317:YES)、処理がOP318へ進む。OP318では、基準地特定部12は、代表座標を含む状況類似地区を対象地の評価に用いる状況類似地区として特定し、特定した状況類似地区に対応付けられている標準宅地を対象地に対応する標準宅地として特定する。その後、
図10Bに示される処理が終了する。
【0093】
対象地の代表座標を含む状況類似地区がない場合には(OP317:YES)、処理がOP316へ進み、基準地特定部12は、対象地と類似する標準宅地をユーザに選択させるための処理を行う。その後、
図10Bに示される処理が終了し、処理が
図9のOP4へ進む。
【0094】
対象地のポリゴンデータは対象地の地形が分かっていなければ作成することができない。しかしながら、
図10Bに示される処理によれば、対象地の地形が分かっておらず、対象地のポリゴンがポリゴンDB 16に保持されていない場合でも、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定でき、対象地に対応する標準宅地を特定することができる。
【0095】
なお、
図10A及び
図10Bに示される標準宅地の取得処理は一例であって、標準宅地の取得処理は、
図10A及び
図10Bに示される処理に限定されない。例えば、対象地のポリゴンを用いずに、間口の線分のみ、接道部分の道路ポリゴンのみ、又は、対象地の代表座標のみを用いて標準宅地を取得してもよい。または、対象地のポリゴン、間口の線分、接道部分のポリゴン、及び、対象地の代表座標のうちのいずれか2つ又は3つを用いて、標準宅地を取得してもよい。
【0096】
例えば、状況類似地区の設定の方法は行政によって様々である。状況類似地区は、例えば、建物の状況等も踏まえて設定されている場合、大通り沿いの商業地域はそれ以外の商業地域に比べて道路中心線(境界)からの距離が長くなるように設定されている場合、及び、道路基準で地区分けされて設定されている場合等がある。例えば、状況類似地区が道路基準で設定されている場合には、対象地が含まれる状況類似地区と、対象地の接道部分の道路が含まれる状況類似地区とが異なってしまうことがある。接道部分の道路が含まれる状況類似地区を、標準宅地を特定するための状況類似地区とした方が、実際の状況に適
することが多いため、このような場合には、対象地のポリゴンが存在している場合でも、対象地の接道部分の道路ポリゴンを用いて、状況類似地区を特定するようにしてもよい。なお、対象地の接道部分の道路ポリゴンが、ポリゴンDB16に存在しない場合には、基準地特定部12は、対象地と接面する道路の辺を特定し、当該辺と当該道路の幅員とを用いて、対象地の接道部分の道路ポリゴンを作成してもよい。また、対象地の接道する辺が不明の場合には、ユーザに指定してもらうようにしてもよい。
【0097】
図11は、端末2における対象地情報入力画面の一例である。
図11に示される対象地情報入力画面の一例には、対象地と特定する方法として、宅地ID、住所、及び、地図から選択の3つの選択肢があり、ラジオボタンの選択で、いずれかを選択することができる。「送信」ボタンを選択すると、端末2からサーバ1へ対象地に関する情報が送信される。なお、対象地情報入力画面は、
図11に示される例に限定されない。例えば、対象地情報入力画面に、対象地の所在以外の詳細な情報(面積、間口等)の入力欄が含まれていてもよい。
【0098】
図12は、端末2における評価額出力画面の一例である。
図12に示される評価額出力画面の一例には、対象地の識別情報(宅地ID)、対象地の標準宅地の価格、類似事例の識別情報(事例ID)、類似事例の価格、類似事例の標準宅地の価格、評価額の算出に用いられた時点修正率及び個別要因格差率、対象地評価額とその算出式が含まれている。なお、評価額出力画面は、
図12に示される例に限定されない。例えば、評価額出力画面は、対象地及び類似事例の所在地や形状等を含んでもよい。
【0099】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態では、対象地の標準宅地の価格と類似事例の標準宅地の価格とを用いて、対象地の評価額が取得される。これによって、例えば、対象地及び類似事例の少なくともいずれかに、対応する路線価が付設されていない場合でも、精度の高い補正率を容易に取得することができ、結果として、対象地の評価額を精度よく取得することができる。
【0100】
また、第1実施形態では、状況類似地区のポリゴンデータを用いることによって、サーバ1が自動的に、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定する。例えば、対象地が複数の状況類似地区にまたがっているような、熟達者でないユーザにとって対象地の評価に用いる状況類似地区の特定が難しい場合でも、サーバ1が自動的に、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定する。これによって、ユーザは、対象地を指定する簡便な操作を行うことによって、対象地の評価額を取得することができる。
【0101】
<標準宅地の取得処理の変形例>
第1実施形態では、標準宅地の取得処理において、対象地のポリゴンデータも、接道部分の道路のポリゴンデータも存在しない場合には、対象地の代表座標を用いて対象地の評価に用いる状況類似地区が特定された。これに代えて、対象地のポリゴンデータも、接道部分の道路のポリゴンデータも存在しない場合に、対象地を想定した簡単なポリゴンデータを作成し、当該ポリゴンデータを用いて対象地の評価に用いる状況類似地区を特定してもよい。
【0102】
図13は、標準宅地の取得処理の変形例における、対象地のポリゴンデータが存在しない場合の処理のフローチャートの一例である。
図13に示される処理は、当該変形例において、
図10Bの代わりに実行される処理である。その為、
図10Bと共通する処理には同じ符号が付されている。
【0103】
図13では、OP311において、対象地の接道部分の道路ポリゴンがない場合には(OP311:NO)、処理がOP321へ進む。OP321では、基準地特定部12は、
対象地を想定した、所定の条件を満たすポリゴンを作成して取得する。例えば、所定の条件は、対象地と同程度の面積の所定形状(例えば、正方形、長方形等)とすることを含む。所定の条件は、例えば、対象地の接面道路の方位に合わせてポリゴンの一辺が当該接面道路に沿うように配置すること、対象地の間口に対する奥行きの比が判明している場合には、当該間口と奥行との比を満たすような形状とすること、等をさらに含んでもよい。
【0104】
対象地を想定したポリゴンは、例えば、基準地特定部12が、上記所定の条件を満たすようにポリゴンデータの各辺の情報を設定して作成してもよいし、ユーザによって指定された情報に基づいて作成されてもよい。ユーザによって指定される場合には、例えば、端末2において、画面に表示された、対象地が含まれる地図上で、対象地の形状を指定するユーザ操作又は対象地を選択するユーザ操作が入力され、当該ユーザ操作の情報をサーバ1が受信することによって、対象地を想定したポリゴンが作成される。対象地の形状を指定するユーザ操作は、例えば、マウスで対象地を囲む操作である。
【0105】
以降、基準地特定部12は、OP321で作成した対象地を想定したポリゴンに対して、OP312からOP315の処理を実行して、対象地の評価に用いる状況類似地区を特定し、標準宅地を取得する。これによって、対象地のポリゴンデータが存在しない場合でも、ポリゴンデータを用いて自動的に対象地の評価に用いる状況類似地区を特定することができる。
【0106】
なお、標準宅地の取得処理は、
図10A及び
図10Bに示される処理、及び、
図10A及び
図13に示される処理に限定されない。例えば、対象地のポリゴンを用いずに、間口の線分のみ、接道部分のポリゴンのみ、対象地を想定したポリゴンのみ、又は、対象地の代表座標のみを用いて標準宅地を取得してもよい。または、対象地のポリゴン、間口の線分、接道部分のポリゴン、対象地を想定したポリゴン、及び、対象地の代表座標のうちのいずれか複数を組み合わせて、標準宅地を取得してもよい。例えば、対象地のポリゴンが存在しない場合には、接道部分のポリゴンの有無にかかわらず、対象地を想定したポリゴンを作成し、当該ポリゴンを用いて対象地の評価に用いる状況類似地区を特定してもよい。
【0107】
<その他の変形例>
第1実施形態では、類似事例の価格に、対象地の標準宅地の価格と類似事例の標準宅地の価格との比率、時点修正率、及び、個別要因格差率を乗じて、対象地の評価額が算出された(式1参照)。これに限られず、時点修正率、及び、個別格差率のいずれか又は両方ともを用いずに、類似事例の価格に、対象地の標準宅地の価格と類似事例の標準宅地の価格との比率を乗じて、又は、対象地の標準宅地の価格と類似事例の標準宅地の価格との比率と時点修正率又は個別要因格差率いずれか一方とを乗じて、対象地の評価額を算出してもよい。
【0108】
対象地の標準宅地の価格と類似事例の標準宅地の価格は、それぞれ、対象地及び類似事例が所在する状況類似地区の特徴を反映した値であるが、対象地及び類似事例の個別要因を反映した値であるとも捉えることができる。対象地の標準宅地の価格と類似事例の標準宅地の価格を対象地及び類似事例の個別要因を反映した値として捉えた場合に、対象地の標準宅地の価格と類似事例の標準宅地の価格との比率は、個別要因格差率として捉えることもできる。そのため、対象地の標準宅地の価格と類似事例の標準宅地の価格との比率を用いることで、ある程度、地域格差、及び、個別格差が反映された対象地の評価額を取得することができる。
【0109】
また、第1実施形態では、類似事例の価格に、対象地の標準宅地の価格と類似事例の標準宅地の価格との比率を乗じて対象地の評価額が算出された(式1参照)。対象地の標準
宅地の価格と類似事例の標準宅地の価格との比率を用いることに限定されず、対象地の標準宅地に関する情報と類似事例の標準宅地に関する情報とを用いていれば、第1実施形態において対象地の評価額を算出する方法として採用することができる。標準宅地に関する情報は、例えば、個別要因の情報、価格等である。個別要因には、例えば、接面する道路の幅員、最寄り駅からの距離、容積率、及び、用地地区等がある。例えば、対象地の標準宅地と類似事例の標準宅地との個別要因の差分を求め、各個別要因の差分にそれぞれに応じた係数を乗じて合計して補正額を求め、対象地の標準宅地の価格に当該補正額を加えることで、対象地の評価額を算出してもよい。各個別要因の差分に乗じられる係数は、個別要因の差分を価格に変換するための係数である。この他、対象地の標準宅地と類似事例の標準宅地との情報を用いて、対象地の評価額を算出するあらゆる既存の方法を、第1実施形態に採用することができる。
【0110】
<記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0111】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる非一時的な記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM(リードオンリーメモリ)等がある。さらに、SSD(Solid State Drive)は、コンピュータ等から取り外し可能な記録媒体としても、コ
ンピュータ等に固定された記録媒体としても利用可能である。
【符号の説明】
【0112】
1・・サーバ
2・・端末
11・・事例抽出部
12・・基準地特定部
13・・価格取得部
14・・不動産情報DB
15・・取引事例DB
16・・ポリゴンDB
17・・地図情報DB
18・・補正率情報DB
100・・不動産評価システム
101・・CPU
102・・メモリ
103・・外部記憶装置
104・・通信部
171・・地図情報
172・・道路情報
173・・状況類似地区情報
174・・標準宅地情報