IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱マテリアル株式会社の特許一覧

特開2024-90004刃先交換式切削工具用ホルダ、および刃先交換式切削工具
<>
  • 特開-刃先交換式切削工具用ホルダ、および刃先交換式切削工具 図1
  • 特開-刃先交換式切削工具用ホルダ、および刃先交換式切削工具 図2
  • 特開-刃先交換式切削工具用ホルダ、および刃先交換式切削工具 図3
  • 特開-刃先交換式切削工具用ホルダ、および刃先交換式切削工具 図4
  • 特開-刃先交換式切削工具用ホルダ、および刃先交換式切削工具 図5
  • 特開-刃先交換式切削工具用ホルダ、および刃先交換式切削工具 図6
  • 特開-刃先交換式切削工具用ホルダ、および刃先交換式切削工具 図7
  • 特開-刃先交換式切削工具用ホルダ、および刃先交換式切削工具 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090004
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】刃先交換式切削工具用ホルダ、および刃先交換式切削工具
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/06 20060101AFI20240627BHJP
   B23C 5/02 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B23C5/06 A
B23C5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205617
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】尾上 太一
【テーマコード(参考)】
3C022
【Fターム(参考)】
3C022GG01
3C022HH01
(57)【要約】
【課題】刃先交換式切削工具用ホルダおよび刃先交換式切削工具の軽量化。
【解決手段】先端外周部において間隔をあけて複数の切削インサートを保持し、回転する主軸体の先端に取り付けられて工具軸線周りに回転させられる刃先交換式切削工具用ホルダであって、工具軸線を中心とする円筒状であり主軸体に固定される内周壁部と、工具軸線を中心とする円筒状であり内周壁部を径方向外側から囲む外周壁部と、を備え、外周壁部の外側面には、それぞれ切削インサートが固定される複数のインサート保持部が設けられ、外周壁部の内側面には、軸方向から見て多角形状の多角形状部が設けられ、インサート保持部は、軸方向から見て、工具軸線から多角形状部の各頂点に向かって延びる仮想線上に配置される、刃先交換式切削工具用ホルダ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端外周部において間隔をあけて複数の切削インサートを保持し、回転する主軸体の先端に取り付けられて工具軸線周りに回転させられる刃先交換式切削工具用ホルダであって、
前記工具軸線を中心とする円筒状であり前記主軸体に固定される内周壁部と、
前記工具軸線を中心とする円筒状であり前記内周壁部を径方向外側から囲む外周壁部と、を備え、
前記外周壁部の外側面には、それぞれ前記切削インサートが固定される複数のインサート保持部が設けられ、
前記外周壁部の内側面には、軸方向から見て多角形状の多角形状部が設けられ、
前記インサート保持部は、軸方向から見て、前記工具軸線から前記多角形状部の各頂点に向かって延びる仮想線上に配置される、
刃先交換式切削工具用ホルダ。
【請求項2】
前記多角形状部は、軸方向において前記インサート保持部が設けられる領域を包含する領域に設けられる、
請求項1に記載の刃先交換式切削工具用ホルダ。
【請求項3】
前記多角形状部の前記頂点には、スミRが設けられる、
請求項1に記載の刃先交換式切削工具用ホルダ。
【請求項4】
前記多角形状部は、周方向に隣り合う前記頂点同士の間を繋ぐ湾曲面部を有し、
前記湾曲面部は、前記工具軸線までの距離より大きい曲率半径で滑らかに湾曲する、
請求項1に記載の刃先交換式切削工具用ホルダ。
【請求項5】
先端外周部において間隔をあけて複数の切削インサートを保持し、回転する主軸体の先端に取り付けられて工具軸線周りに回転させられる刃先交換式切削工具用ホルダであって、
前記工具軸線を中心とする円筒状であり前記主軸体に固定される内周壁部と、
前記工具軸線を中心とする円筒状であり前記内周壁部を径方向外側から囲む外周壁部と、を備え、
前記外周壁部の外側面には、それぞれ前記切削インサートが固定される複数のインサート保持部が設けられ、
前記外周壁部の内側面には、それぞれ前記インサート保持部に向かって凹む複数の凹部が設けられる、
刃先交換式切削工具用ホルダ。
【請求項6】
前記凹部は、軸方向において前記インサート保持部が設けられる領域を包含する領域に設けられる、
請求項5に記載の刃先交換式切削工具用ホルダ。
【請求項7】
前記凹部の径方向外側のスミ部分にスミRが設けられる、
請求項5に記載の刃先交換式切削工具用ホルダ。
【請求項8】
前記内周壁部の外側面から径方向外側に延びて前記外周壁部の内側面に繋がる複数の梁部を備える、
請求項1~7の何れか一項に記載の刃先交換式切削工具用ホルダ。
【請求項9】
複数の前記梁部は、
径方向外側に向かうに従い周方向一方側に延びる複数の第1梁部と、
径方向外側に向かうに従い周方向他方側に延びる複数の第2梁部と、を含み、
前記第1梁部と前記第2梁部とは、前記内周壁部と前記外周壁部との間で互いに交差して繋がる、
請求項8に記載の刃先交換式切削工具用ホルダ。
【請求項10】
請求項1~7の何れか一項に記載の刃先交換式切削工具用ホルダと、
前記刃先交換式切削工具用ホルダに保持された複数の前記切削インサートと、を備える、刃先交換式切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃先交換式切削工具用ホルダ、および刃先交換式切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
切削工具は、切削インサートの交換の度にフライス盤のアーバから取り外す必要があるため、作業者の負担を軽減するなどの目的で軽量化が望まれている。軽量化を目的として、穴あけ加工などによる肉盗みを行う場合、穴のエッジ部での応力集中の懸念がある。そこで、3Dプリンタを用いて内部を中空構造を採用することで軽量化を図った切削工具が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-149657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工具用ホルダに中空構造を採用する場合に、工具用ホルダの製造方法が3Dプリンタによるものに限定される。このため、工具用ホルダの生産性が悪く、また選定可能な材料に制限があるなどといった問題があった。
【0005】
本発明は、このような背景の下になされたものであって、製造手段の選択の幅を確保しつつ軽量化を図ることができる刃先交換式切削工具用ホルダおよび刃先交換式切削工具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様の刃先交換式切削工具用ホルダは、先端外周部において間隔をあけて複数の切削インサートを保持し、回転する主軸体の先端に取り付けられて工具軸線周りに回転させられる刃先交換式切削工具用ホルダであって、前記工具軸線を中心とする円筒状であり前記主軸体に固定される内周壁部と、前記工具軸線を中心とする円筒状であり前記内周壁部を径方向外側から囲む外周壁部と、を備え、前記外周壁部の外側面には、それぞれ前記切削インサートが固定される複数のインサート保持部が設けられ、前記外周壁部の内側面には、軸方向から見て多角形状の多角形状部が設けられ、前記インサート保持部は、軸方向から見て、前記工具軸線から前記多角形状部の各頂点に向かって延びる仮想線上に配置される。
【0007】
上述の構成によれば、刃先交換式切削工具用ホルダが、主軸体に固定される内周壁部と、切削インサートが固定される外周壁部と、を有する。また、内周壁部と外周壁部との間には隙間が設けられる事となるため、刃先交換式切削工具用ホルダの軽量化を図る事ができる。
また、上述の構成によれば、外周壁部の内側面に、インサート保持部に向かって延びる仮想線上に頂点を配置する多角形状部が設けられる。したがって、外周壁部の内側面は、仮想線上で最も窪んだ形状となり、刃先交換式切削工具用ホルダのさらなる軽量化を果たすことができる。
また、刃先交換式切削工具を用いた切削時に、切削インサートには被削材から回転方向後方を向く反力を受ける。このため、外周壁部は、インサート保持部において、切削インサートから回転方向後方に力を受ける。外周壁部の内側面を上述したような多角形状とすることで、インサート保持部の回転方向後方側の外周壁部の厚さを十分に確保することが可能となり、切削インサートから受ける力に対する外周壁部の剛性を高めて切削インサートの保持を安定させることができる。
さらに、外周壁部の内側面を多角形状とすることで、複数の頂点同士の間の形状を回転対称にすることができ、刃先交換式切削工具の回転安定性を高めることができる。
【0008】
上述の刃先交換式切削工具用ホルダにおいて、前記多角形状部は、軸方向において前記インサート保持部が設けられる領域を包含する領域に設けられる、構成としてもよい。
【0009】
上述の構成によれば、軸方向においてインサート保持部が設けられる領域全体の回転方向後方の肉厚を十分に確保する事が可能となる。このため、切削インサートから受ける力に対する外周壁部の剛性を高めることが可能となり切削インサートの保持を安定させることができる。
【0010】
上述の刃先交換式切削工具用ホルダにおいて、前記多角形状部の前記頂点には、スミRが設けられる、構成としてもよい。
【0011】
上述の構成によれば、多角形状部の頂点に応力集中が生じ難くなり、外周壁部の剛性を高めることが可能となり切削インサートの保持を安定させることができる。
【0012】
上述の刃先交換式切削工具用ホルダにおいて、前記多角形状部は、周方向に隣り合う前記頂点同士の間を繋ぐ湾曲面部を有し、前記湾曲面部は、前記工具軸線までの距離より大きい曲率半径で滑らかに湾曲する、構成としてもよい。
【0013】
上述の構成によれば、湾曲面部を滑らかに湾曲させることで刃先交換式切削工具用ホルダのさらなる軽量化を図ることができる。
【0014】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様の刃先交換式切削工具用ホルダは、先端外周部において間隔をあけて複数の切削インサートを保持し、回転する主軸体の先端に取り付けられて前記工具軸線周りに回転させられる刃先交換式切削工具用ホルダであって、前記工具軸線を中心とする円筒状であり前記主軸体に固定される内周壁部と、前記工具軸線を中心とする円筒状であり前記内周壁部を径方向外側から囲む外周壁部と、を備え、前記外周壁部の外側面には、それぞれ前記切削インサートが固定される複数のインサート保持部が設けられ、前記外周壁部の内側面には、それぞれ前記インサート保持部に向かって凹む複数の凹部が設けられる。
【0015】
上述の構成によれば、刃先交換式切削工具用ホルダが、主軸体に固定される内周壁部と、インサートが固定される外周壁部と、を有する。また、内周壁部と外周壁部との間には隙間が設けられる事となるため、刃先交換式切削工具用ホルダの軽量化を図る事ができる。
また、上述の構成によれば、外周壁部の内側面に、インサート保持部に向かって凹む複数の凹部が設けられため、刃先交換式切削工具用ホルダのさらなる軽量化を果たすことができる。
また、刃先交換式切削工具を用いた切削時に、切削インサートには被削材から回転方向後方を向く反力を受ける。このため、外周壁部は、インサート保持部において、切削インサートから回転方向後方に力を受ける。上述の構成によれば、外周壁部の内側面の凹部が、インサート保持部に向かって延びるため、インサート保持部の回転方向後方側の外周壁部の厚さを十分に確保することが可能となり、切削インサートから受ける力に対する外周壁部の剛性を高めて切削インサートの保持を安定させることができる。
【0016】
上述の刃先交換式切削工具用ホルダにおいて、前記凹部は、軸方向において前記インサート保持部が設けられる領域を包含する領域に設けられる、構成としてもよい。
【0017】
上述の構成によれば、軸方向においてインサート保持部が設けられる領域全体の回転方向後方の肉厚を十分に確保する事が可能となる。このため、切削インサートから受ける力に対する外周壁部の剛性を高めることが可能となり切削インサートの保持を安定させることができる。
【0018】
上述の刃先交換式切削工具用ホルダにおいて、前記凹部の径方向外側のスミ部分にスミRが設けられる、構成としてもよい。
【0019】
上述の構成によれば、凹部のスミ部分に応力集中が生じ難くなり、外周壁部の剛性を高めることが可能となり切削インサートの保持を安定させることができる。
【0020】
上述の刃先交換式切削工具用ホルダにおいて、前記内周壁部の外側面から径方向外側に延びて前記外周壁部の内側面に繋がる複数の梁部を備える、構成としてもよい。
【0021】
上述の構成によれば、複数の梁部が内周壁部と外周壁部とを繋ぐことで、外周壁部が梁部を介して内周壁部に径方向内側から支持される。これにより、外周壁部の剛性を高めることができ、切削時においける刃先交換式切削工具用ホルダの損傷および振動を抑制できる。
【0022】
上述の刃先交換式切削工具用ホルダにおいて、複数の前記梁部は、径方向外側に向かうに従い周方向一方側に延びる複数の第1梁部と、径方向外側に向かうに従い周方向他方側に延びる複数の第2梁部と、を含み、前記第1梁部と前記第2梁部とは、前記内周壁部と前記外周壁部との間で互いに交差して繋がる、構成としてもよい。
【0023】
上述の構成によれば、一対の梁部(第1梁部、および第2梁部)が、互いに交差して繋がるため、梁部同士が補強し合って軽量かつ高剛性の補強構造を実現でき、剛性の高い刃先交換式切削工具用ホルダを得ることができる。また、上述の構成によれば、第1梁部と第2梁部とが、周方向の互いに異なる方向に傾斜して延びる。このため、外周壁部の周方向両側の剛性をバランスよく高めることができ、外周壁部が切削インサートから周方向の反力を受けても外周壁部の振動を効果的に抑制できる。
【0024】
本発明の一態様の刃先交換式切削工具は、上述の刃先交換式切削工具用ホルダと、前記刃先交換式切削工具用ホルダに保持された複数の前記切削インサートと、を備える。
【0025】
この構成によれば、十分な剛性を確保しつつ軽量化した刃先交換式切削工具を提供できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、製造手段の選択の幅を確保しつつ軽量化を図ることができる刃先交換式切削工具用ホルダおよび刃先交換式切削工具の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一実施形態の刃先交換式切削工具の斜視図。
図2】一実施形態の刃先交換式切削工具用ホルダの側面図。
図3】一実施形態の刃先交換式切削工具用ホルダの正面図。
図4図2のIV-IV線に沿う断面図。
図5図3のV-V線に沿う断面図。
図6】変形例1の刃先交換式切削工具用ホルダの正面図である。
図7】変形例2の刃先交換式切削工具用ホルダの正面図である。
図8】変形例3の刃先交換式切削工具用ホルダの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る刃先交換式切削工具について説明する。以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。また、図面においては、適宜Z軸を示す。
以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「上側」と呼び、Z軸方向の負の側(-Z側)を「下側」と呼ぶ。以下に説明する実施形態において、「上側」は、切削工具1、および工具用ホルダ10の基端側であり、「下側」は、切削工具1、および工具用ホルダ10の先端側である。なお、本明細書における上下方向は、刃先交換式切削工具の使用時の姿勢の一例であり、刃先交換式切削工具の姿勢を限定するものではない。また、特に断りのない限り、刃先交換式切削工具の工具軸線Oに平行な方向を単に「軸方向」又は「上下方向」と呼び、工具軸線Oを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、工具軸線Oを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0029】
以下、一実施形態の切削工具(切削工具刃先交換式切削工具)1について図面を基に説明する。
図1は、切削工具1の斜視図である。図2および図3は、それぞれ工具用ホルダ(刃先交換式切削工具用ホルダ)10の側面図および正面図である。また、図4図2のIV-IV線に沿う断面図であり、図5図3のV-V線に沿う断面図である。
【0030】
本実施形態の切削工具1は、正面フライスカッタである。切削工具1は、切刃31により金属材料等からなる被削材にフライス加工を施す。切削工具1は、回転軸を中心として回転するアーバ(主軸体)9の下端に取り付けられる。切削工具1は、その工具軸線Oをアーバ9の回転軸と一致するようにアーバ9に固定され、アーバ9によって工具軸線Oを中心として回転方向Tに回転させられる。
なお、以下の説明において、特定部位に対して回転方向T側の領域を回転方向前方とよび回転方向T側と反対側の領域を回転方向後方と呼ぶ場合がある。
【0031】
図1に示すように、切削工具1は、工具用ホルダ10と、工具用ホルダ10に着脱可能に取り付けられる複数の切削インサート30と、を備える。
【0032】
切削インサート30は、超硬合金等の硬質材料からなる。切削インサート30は、工具用ホルダ10の先端外周部10aに工具軸線O周りに互いに間隔をあけて設けられるインサート保持部45にクランプネジによって着脱可能に取り付けられる。切削インサート30は、多角形板状をなす。切削インサート30の多角形状の主面と側面と交差稜線部には、切刃31が設けられている。切削インサート30は、切刃31が工具軸線Oの軸方向に沿って延びるように、工具用ホルダ10に取り付けられている。
【0033】
工具用ホルダ10は、アーバ9の先端に取り付けられて工具軸線O周りに回転させられる。工具用ホルダ10は、先端外周部10aにおいて間隔をあけて複数の切削インサート30を保持する。工具用ホルダ10には、工具軸線Oに沿って中央を貫通する取付孔11が設けられている。取付孔11には、アーバ9の先端部分およびアーバ9に工具用ホルダ10を固定するための固定ボルト8(図5参照)が通過する。
【0034】
本実施形態の工具用ホルダ10は、一例として3Dプリンタによって金属の粉末材料を溶融させながら積層することで形成される。しかしながら、工具用ホルダ10は、3Dプリンタ以外の製造方法によって製造されていてもよい。
【0035】
工具用ホルダ10は、内周壁部50と外周壁部40と複数の梁部25、26と、ベース部20と、を有する。内周壁部50、および外周壁部40は、ともに工具軸線Oを中心とする円筒状である。
【0036】
図5に示すように、内周壁部50は、工具軸線Oを中心として軸方向に沿って延びる。内周壁部50に囲まれる領域は、取付孔11を構成する。内周壁部50は、アーバ9に工具用ホルダ10を固定するための固定ボルト8を径方向外側から囲む。固定ボルト8をアーバ9にネジ止めすることで固定ボルト8の頭部8aは、内周壁部50の下端面に押し付けられる。これにより、内周壁部50は、アーバ9に固定される。
【0037】
内周壁部50は、円筒部51とテーパ部52とを有する。円筒部51は、工具軸線Oを中心とする円筒形状を有する。円筒部51の外側面、および内側面には若干の段差があってもよい。テーパ部52は、円筒部51の下端に連なる。テーパ部52は、下側に向かうに従い直径を小さくするテーパ状である。テーパ部52の上端の直径は、円筒部51の直径と一致する。テーパ部52の下端は、下側に開口する。
【0038】
内周壁部50において、円筒部51とテーパ部52との境界部53は、周方向に沿って円環状に延びる。内周壁部50は、上端部から境界部53までの領域において一定の直径で軸方向に沿って延び、境界部53から下端部までの領域において下側に向かうに従い徐々に直径を小さくする。内側壁部50の厚さ(径方向寸法)は、軸方向の全長に亘って略一様である。
【0039】
外周壁部40は、工具軸線Oを中心として軸方向に沿って延びる。外周壁部40は、内周壁部50を径方向外側から囲む。すなわち、外周壁部40の内側面40aは、内周壁部50の外側面と隙間を介して径方向に対向する。外周壁部40と内周壁部50との間の隙間は、下側に開口する。
【0040】
外周壁部40の外側面には、複数のインサート保持部45と、複数の後方支持部44と、が設けられる。インサート保持部45、および後方支持部44は、外周壁部40の下端部に位置する。インサート保持部45、および後方支持部44は、外周壁部40の外側面が径方向内側に傍出することで形成されている。インサート保持部45は、それぞれ周方向に等間隔に配置される。1つのインサート保持部45の回転方向後方側には、1つの後方支持部44が設けられる。
【0041】
インサート保持部45には、切削インサート30が固定される。複数のインサート保持部45は、工具軸線O周りに略等間隔に設けられている。本実施形態の工具用ホルダ10には、4つの切削インサート30が取り付けられる。したがって、工具用ホルダ10には、4つのインサート保持部45が設けられている。
【0042】
図3に示すように、インサート保持部45は、回転方向前方を向く台座面45aを有する。台座面45aには、切削インサート30が取り付けられる。台座面45aに取り付けられる切削インサート30の回転方向前方には、チップポケット46が形成される。
【0043】
台座面45aは、平坦面である。本実施形態の台座面45aは、上側に向かうに従い回転方向後方側に若干傾斜している。台座面45aには、切削インサート30をネジ固定するためのネジ穴45bが設けられる。ネジ穴45bは、台座面45aと直交する方向に沿って延びる。
【0044】
インサート保持部45は、外周壁部40を構成する部分のうち実質的に切削インサート30の保持に寄与する部分である。本実施形態におけるインサート保持部45は、台座面45aからネジ穴45bの深さまで、回転方向後方側に延びる立方体状の領域である。
【0045】
後方支持部44は、インサート保持部45の回転方向後方側に、インサート保持部45に連なるように形成される。後方支持部44は、インサート保持部45を回転方向後方側から補強する。後方支持部44は、切削インサート30における切削力の反力を受けるため、周方向に沿って肉厚に形成されている。
【0046】
図5に示すように、外周壁部40は、上側テーパ部41と下側テーパ部42とを有する。上側テーパ部41は、下側に向かうに従い直径を小さくするテーパ状である。一方で、下側テーパ部42は、下側に向かうに従い直径を大きくするテーパ状である。上側テーパ部41の下端の直径は、下側テーパ部42の上端の直径と一致する。
【0047】
外周壁部40において、上側テーパ部41と下側テーパ部42との境界部43は、周方向に沿って円環状に延びる。外周壁部40は、上端部から境界部43までの領域において下側に向かうに従い徐々に直径を小さくし、境界部43から下端部までの領域において下側に向かうに従い徐々に直径を大きくする。
【0048】
外側壁部40の厚さ(径方向の寸法)は、下側に向かうに従い徐々に大きくなる。したがって、外側壁部40は、複数のインサート保持部45が配置される下端部において最も剛性が高められている。これにより、インサート保持部45において、切削インサート30を安定的に保持できる。
【0049】
図2に示すように、ベース部20は、工具用ホルダ10の軸方向の基端側の端部に位置する。ベース部20は、工具軸線Oを中心とする円板状である。ベース部20の中央には、取付孔11が開口する。ベース部20は、内周壁部50と外周壁部40の上端側(基端側)の端部同士を繋ぐ。内周壁部50は、ベース部20の内縁から下側に延びる。一方で、外周壁部40は、ベース部20の外縁から下側に延びる。
【0050】
ベース部20には、径方向に沿って延びる直線状の溝部21が設けられる。溝部21は、上側に開口する。溝部21には、アーバ9の下端に設けられたキー部が嵌合する。
【0051】
本実施形態によれば、内周壁部50と外周壁部40とが上端側(基端側)に設けられるベース部20において互いに連結される。本実施形態の工具用ホルダ10は、内周壁部50と外周壁部40との間の隙間が基端部で閉塞され、先端部で開放された構造を有する。本実施形態によれば、工具用ホルダ10を基端側でアーバ9に支持させることで、内周壁部50および外周壁部40の振動を効果的に抑制できる。
【0052】
図3に示すように、複数の梁部25、26は、径方向において内周壁部50と外周壁部40との間に位置する。複数の梁部25、26は、内周壁部50の外側面から径方向外側に延びて外周壁部40の内側面40aに繋がる。複数の梁部25、26は、外周壁部40を径方向外側から補強し、外周壁部40の剛性を高める。
【0053】
本実施形態において、複数の梁部25、26は、4つの第1梁部25と、4つの第2梁部26と、に分類される。第1梁部25は、径方向外側に向かうに従い周方向一方側(本実施形態では回転方向前方側)に延びる。一方で、第2梁部26は、径方向外側に向かうに従い周方向他方側(本実施形態では回転方向後方側)に延びる。
【0054】
本実施形態において、1つの第1梁部25と1つの第2梁部26とは、互いに交差して繋がる。ここで、互いに交差する一対の梁部25、26を、梁部25、26の「組」とする。本実施形態の工具用ホルダ10には、4組の梁部25、26の組が設けられる。4組の梁部25、26の組は、周方向において等間隔に配置される。
【0055】
本実施形態において、工具用ホルダ10に設けられる梁部25、26の組数は、工具用ホルダ10に取り付けられる切削インサート30の個数と等しい。すなわち、工具用ホルダ10において、インサート保持部45の数と、梁部25、26の組数とは、等しいことが好ましい。本実施形態によれば、周方向における工具用ホルダ10の剛性をバランスよく高めることができ、軽量かつ高剛性の工具用ホルダ10を構成できる。
【0056】
図5に示すように、梁部25、26の径方向内側の端部は、内周壁部50の境界部53に繋がり、径方向外側の端部は、外周壁部40の境界部43に繋がる。内周壁部50、および外周壁部40は、それぞれの境界部43、53において径方向に屈曲する。このため、内周壁部50、および外周壁部40は、それぞれの境界部43、53において最も剛性が高まる。本実施形態によれば梁部25、26の両端部が、それぞれ内周壁部50、および外周壁部40の剛性の高い部位に接続されるため、梁部25、26による補強効果がさらに高められる。
【0057】
次に外周壁部40の内側面40aの形状についてより具体的に説明する。
図4に示すように、外周壁部40の内側面40aのうちインサート保持部45の内側に設けられる領域は、軸方向から見て多角形状である。すなわち、外周壁部40は、軸方向から見て多角形状の多角形状部4を有する。
【0058】
多角形状部4は、周方向において等間隔に配置される複数(本実施形態では4個)の頂点4pを有する。本実施形態の頂点4pは、工具軸線Oを中心として周方向に等間隔に配置される。したがって、多角形状部4の内側には、複数の頂点4pを結ぶ正多角形Sが描画できる。軸方向から見て正多角形Sの中心点は、工具軸線Oと一致する。
【0059】
多角形状部4は、複数の湾曲面部4qを有する。湾曲面部4qは、正多角形Sの各辺の径方向外側を迂回して延びる。湾曲面部4qは、周方向に隣り合う頂点4p同士の間を繋ぐ。湾曲面部4qは、略一定の曲率半径で周方向に沿って延びる。湾曲面部4qは、工具軸線Oまでの距離より大きい曲率半径で滑らかに湾曲する。
【0060】
多角形状部4の頂点4pの数は、工具用ホルダ10のインサート保持部45の数と一致する。本実施形態の工具用ホルダ10には、4つのインサート保持部45が設けられる。したがって、多角形状部4には、4つの頂点4pが設けられる。本実施形態の正多角形Sは、正方形である。
【0061】
なお、本明細書において、「多角形状」とは、厳密な意味の正多角形以外に、本実施形態に示すように、正多角形の各頂点を結ぶ辺に沿って延びる領域(本実施形態の湾曲面部4q)が辺に対して湾曲する場合を含む概念である。
【0062】
多角形状部4の頂点4pには、スミRが設けられる。スミRは、1つの頂点4pを挟んで周方向両側に配置される一対の湾曲面部4qを滑らかに繋いで交差させる。
【0063】
図4に示すように、軸方向から見て、工具軸線Oから多角形状部4の頂点4pに向かって延びる仮想線VLを想定する。本実施形態において、内側面40aには、4つの頂点4pが設けられるため、内側面40aには、4本の仮想線VLが想定される。本実施形態において、4本の仮想線VLは、それぞれインサート保持部45を通過する。すなわち、インサート保持部45は、軸方向から見て、仮想線VL上に配置される。また、図3に示すように、4本の仮想線VLは、それぞれ台座面45aの下端を通過する。すなわち、台座面45aは、軸方向から見て、仮想線VL上に配置される。
【0064】
次に外周壁部40の形状について別の視点で捉える。
図4に示すように、外周壁部40の内側面40aは、当該内側面40aの内接円Cに対して、径外側に凹む複数の凹部4aを有する。本実施形態の凹部4aは、インサート保持部45に向かって凹んでいる。内側面40aに設けられる凹部4aの数は、工具用ホルダ10のインサート保持部45の数と一致する。したがって、本実施形態の内側面40aには、4つの凹部4aが設けられる。また、それぞれの凹部4aの径方向外側のスミ部分には、スミRが設けられる。
【0065】
図5には、軸方向において、多角形状部4、および凹部4aが設けられる領域Aと、インサート保持部45が設けられる領域Bと、を図示した。外周壁部40の内側面40aの形状は、軸方向に沿って一様ではない。外周壁部40の内側面40aは下端部(先端部)において軸方向から見て多角形状であり、上端部(基端部)において軸方向から見て円形である。また、外周壁部40の内側面40aは、下端部と上端部との間の領域で、下端部から上端部に向かうに従い多角形状から円形に徐々に変化する。
【0066】
本実施形態の多角形状部4は、軸方向においてインサート保持部45が設けられる領域Bを包含する領域Aに設けられる。すなわち、多角形状部4の下端は、インサート保持部45の下端と一致するかインサート保持部45の下端よりも下側に位置し、多角形状部4の上端は、インサート保持部45の上端と一致するかインサート保持部45の上端よりも上側に位置する。
【0067】
同様に、本実施形態の凹部4aは、軸方向においてインサート保持部45が設けられる領域Bを包含する領域Aに設けられる。すなわち、凹部4aの下端は、インサート保持部45の下端と一致するかインサート保持部45の下端よりも下側に位置し、凹部4aの上端は、インサート保持部45の上端と一致するかインサート保持部45の上端よりも上側に位置する。
【0068】
<本実施形態による作用効果>
本実施形態の工具用ホルダ10は、工具軸線Oを中心とする円筒状でありアーバ9に固定される内周壁部50と、工具軸線Oを中心とする円筒状であり内周壁部50を径方向外側から囲む外周壁部40と、を備える。外周壁部40の外側面には、それぞれ切削インサートが固定される複数のインサート保持部45が設けられる。外周壁部40の内側面40aには、軸方向から見て多角形状の多角形状部4が設けられる。インサート保持部45は、軸方向から見て、工具軸線Oから多角形状部4の各頂点4pに向かって延びる仮想線VL上に配置される。
【0069】
図5に示すように、本実施形態によれば、工具用ホルダ10が、アーバ9に固定される内周壁部50と、切削インサート30が固定される外周壁部40と、を有する。また、内周壁部50と外周壁部40との間には隙間が設けられる事となるため、工具用ホルダ10の軽量化を図る事ができる。
【0070】
図4に示すように、本実施形態によれば、外周壁部40の内側面40aに、インサート保持部45に向かって延びる仮想線VL上に頂点4pを配置する多角形状部4が設けられる。したがって、外周壁部40の内側面40aは、仮想線VL上で最も窪んだ形状となり、工具用ホルダ10のさらなる軽量化を果たすことができる。
【0071】
切削工具1を用いた切削時に、切削インサート30には被削材から回転方向後方を向く反力を受ける。このため、外周壁部40は、インサート保持部45において、切削インサート30から回転方向後方に力を受ける。本実施形態によれば、外周壁部40の内側面40aを上述したような多角形状とすることで、インサート保持部45の回転方向後方側の外周壁部40の厚さを十分に確保することが可能となり、切削インサート30から受ける力に対する外周壁部40の剛性を高めて切削インサート30の保持を安定させることができる。
【0072】
本実施形態によれば、外周壁部40の内側面40aを多角形状とすることで、複数の頂点4p同士の間の形状を、工具軸線Oを中心とする回転対称(本実施形態では90°毎)に形成することができ、切削工具1の回転安定性を高めることができる。
【0073】
図5に示すように、本実施形態の工具用ホルダ10において、多角形状部4は、軸方向においてインサート保持部45が設けられる領域Bを包含する領域Aに設けられる。本実施形態によれば、軸方向においてインサート保持部45が設けられる領域B全体の回転方向後方の肉厚を十分に確保する事が可能となる。このため、切削インサート30から受ける力に対する外周壁部40の剛性を高めることが可能となり切削インサート30の保持を安定させることができる。
【0074】
図4に示すように、本実施形態の工具用ホルダ10において、多角形状部4の頂点4pには、スミRが設けられる。本実施形態によれば、多角形状部4の頂点4pに応力集中が生じ難くなり、外周壁部40の剛性を高めることが可能となり切削インサート30の保持を安定させることができる。
【0075】
本実施形態の工具用ホルダ10において、多角形状部4は、周方向に隣り合う頂点4p同士の間を繋ぐ湾曲面部4qを有する。また、湾曲面部4qは、工具軸線Oまでの距離より大きい曲率半径で滑らかに湾曲する。本実施形態によれば、湾曲面部4qを滑らかに湾曲させることで工具用ホルダ10のさらなる軽量化を図ることができる。
【0076】
本実施形態の工具用ホルダ10は、外周壁部40の内側面40aには、それぞれインサート保持部45に向かって凹む複数の凹部4aが設けられる。本実施形態によれば、工具用ホルダ10の軽量化を果たすことができる。また、本実施形態によれば、外周壁部40の内側面40aの凹部4aが、インサート保持部45に向かって延びるため、インサート保持部45の回転方向後方側の外周壁部40の厚さを十分に確保することが可能となり、切削インサート30から受ける力に対する外周壁部40の剛性を高めて切削インサート30の保持を安定させることができる。
【0077】
本実施形態の凹部4aは、軸方向においてインサート保持部45が設けられる領域Bを包含する領域Aに設けられる。本実施形態によれば、軸方向においてインサート保持部45が設けられる領域B全体の回転方向後方の肉厚を十分に確保する事が可能となる。このため、切削インサート30から受ける力に対する外周壁部40の剛性を高めることが可能となり切削インサート30の保持を安定させることができる。
【0078】
本実施形態の工具用ホルダ10において、凹部4aの径方向外側のスミ部分にスミRが設けられる。本実施形態によれば、凹部4aのスミ部分に応力集中が生じ難くなり、外周壁部40の剛性を高めることが可能となり切削インサート30の保持を安定させることができる。
【0079】
本実施形態の工具用ホルダ10は、内周壁部50の外側面から径方向外側に延びて外周壁部40の内側面40aに繋がる複数の梁部25、26を備える。本実施形態によれば、複数の梁部25、26が内周壁部50と外周壁部40とを繋ぐことで、外周壁部40が梁部25、26を介して内周壁部50に径方向内側から支持される。これにより、外周壁部40の剛性を高めることができ、切削時においける工具用ホルダ10の損傷および振動を抑制できる。
【0080】
本実施形態の工具用ホルダ10において、複数の梁部25、26は、径方向外側に向かうに従い周方向一方側に延びる複数の第1梁部25と、径方向外側に向かうに従い周方向他方側に延びる複数の第2梁部26と、を含み、第1梁部25と第2梁部26とは、内周壁部50と外周壁部40との間で互いに交差して繋がる。
【0081】
本実施形態によれば、一対の梁部(第1梁部25、および第2梁部26)が、互いに交差して繋がるため、梁部25、26同士が補強し合って軽量かつ高剛性の補強構造を実現でき、剛性の高い工具用ホルダ10を得ることができる。また、本実施形態によれば、第1梁部25と第2梁部26とが、周方向の互いに異なる方向に傾斜して延びる。このため、外周壁部40の周方向両側の剛性をバランスよく高めることができ、外周壁部40が切削インサート30から周方向の反力を受けても外周壁部40の振動を効果的に抑制できる。
【0082】
本実施形態の切削工具1は、上述の工具用ホルダ10と、当該工具用ホルダ10に保持された複数の切削インサート30と、を備える。本実施形態によれば、十分な剛性を確保しつつ軽量化した切削工具1を提供できる。
【0083】
<変形例>
図6図8は、それぞれ上述の実施形態の変形例1~3の工具用ホルダ(刃先交換式切削工具用ホルダ)110、210、310の正面図である。
各変形例の工具用ホルダ110、210、310は、上述の実施形態と同様に、内周壁部150、250、350、および外周壁部140、240、340を備える。外周壁部40の外側面には、複数のインサート保持部145、245、345が設けられる。また、外周壁部40の内側面には、多角形状部104、204、304が設けられる。
【0084】
図6に示す変形例1の工具用ホルダ110は、3つのインサート保持部145を有する。また、外周壁部140の内側面に設けられる多角形状部104は、三角形状である。
【0085】
図7に示す変形例2の工具用ホルダ210は、3つのインサート保持部245を有する。また、外周壁部240の内側面に設けられる多角形状部204は、五角形状である。
【0086】
図8に示す変形例3の工具用ホルダ310は、3つのインサート保持部345を有する。また、外周壁部340の内側面に設けられる多角形状部304は、三角形状である。
【0087】
図6図8の各変形例に示すように、多角形状部の頂部の数は、工具用ホルダに取り付けられる切削インサート30の個数と等しいことが好ましい。このような構成とすることで、工具用ホルダの剛性のバランスを高めることができ、軽量かつ高剛性の工具用ホルダを構成できる。
【0088】
なお、各変形例の工具用ホルダにおいても、外周壁部の内側面に、インサート保持部に向かって凹む複数の凹部が設けられると捉えることができる。このように捉える場合、凹部の数が、工具用ホルダに取り付けられる切削インサート30の個数と等しいことで、工具用ホルダの剛性のバランスが高められる。
【0089】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0090】
また、上述の実施形態では、切刃交換式の切削工具として正面フライスカッタを例示して説明した。しかしながら切削工具は、切刃交換式のドリルであってもよい。
【符号の説明】
【0091】
1…切削工具、4,104,204,304…多角形状部、4a…凹部、4p…頂点、4q…湾曲面部、9…アーバ(主軸体)、10,110,210,310…工具用ホルダ(刃先交換式切削工具用ホルダ)、10a…先端外周部、25…第1梁部(梁部)、26…第2梁部(梁部)、30…切削インサート、40,140,240,340…外周壁部、40a…内側面、45,145,245,345…インサート保持部、50,150…内周壁部、210,310…工具用ホルダ、A,B…領域、O…工具軸線、R…スミ、VL…仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8