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▶ 一般社団法人 間伐材ウッドチップ舗装協会の特許一覧

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  • 特開-ウッドチップ舗装材及びその製造方法 図1
  • 特開-ウッドチップ舗装材及びその製造方法 図2
  • 特開-ウッドチップ舗装材及びその製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090008
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】ウッドチップ舗装材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 5/22 20060101AFI20240627BHJP
   E01C 7/30 20060101ALI20240627BHJP
   E01C 15/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
E01C5/22
E01C7/30
E01C15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205623
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】521512527
【氏名又は名称】一般社団法人 間伐材ウッドチップ舗装協会
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】柴山 利幸
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 直明
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA05
2D051AB03
2D051AB04
2D051AF01
2D051AG06
(57)【要約】
【課題】ウッドチップとその周囲の土砂とが強固に結合されるようにしたウッドチップ舗装材と、その製造方法を提供する。
【解決手段】ウッドチップ舗装材は、ウッドチップ、マグネシウム系固化剤及び土砂の混合物であり、ウッドチップのそれぞれの表面凹部にはマグネシウム系固化剤が付着し充填されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウッドチップ、マグネシウム系固化剤及び土砂の混合物であって、
前記ウッドチップは、それぞれの表面凹部に前記マグネシウム系固化剤が付着充填されていることを特徴とするウッドチップ舗装材。
【請求項2】
請求項1において、
粒サイズが異なる複数種別のウッドチップが用いられていることを特徴とするウッドチップ舗装材。
【請求項3】
請求項1において、
予め着色されたウッドチップが用いられていることを特徴とするウッドチップ舗装材。
【請求項4】
請求項1において、
前記マグネシウム系固化剤は、酸化マグネシウム粉末固化剤であることを特徴とするウッドチップ舗装材。
【請求項5】
ウッドチップとマグネシウム系固化剤とを、前記マグネシウム系固化剤が前記ウッドチップのそれぞれの表面凹部に付着充填されるように混合する第一の工程と、
前記第一の工程による混合物に土砂を追加して均質に空練りする第二の工程とを備えることを特徴とするウッドチップ舗装材の製造方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記第一、第二の工程による混合物に注水して混練する第三の工程を更に備えることを特徴とするウッドチップ舗装材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウッドチップ舗装材の改良に関する。
【0002】
次の特許文献にはウッドチップ舗装材の例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5273557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献に記載のウッドチップ舗装材は、ウッドチップ、マグネシウム系固化剤、土、砂及び水の混合物であるが、その混合の際のマグネシウム系固化剤の偏りによってウッドチップとその周囲の土砂との結合が不十分な箇所が生じる。これに対して本発明はウッドチップとその周囲の土砂とが偏りなく、強固に結合されるウッドチップ舗装材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるウッドチップ舗装材は、ウッドチップ、マグネシウム系固化剤及び土砂の混合物であり、かつウッドチップは、それぞれの表面凹部にマグネシウム系固化剤が付着充填されていることを特徴とする。
【0006】
本発明によるウッドチップ舗装材の製造方法は、ウッドチップとマグネシウム系固化剤とを、前記マグネシウム系固化剤が前記ウッドチップ表面凹部に付着充填するように混合する第一の工程と、前記第一の工程による混合物に土砂を追加して均質に空練りする第二の工程とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水を含んだ舗装材が固化する際に、固化剤は吸水によって一旦液状化し、ウッドチップの表面凹部から周囲の土砂に漏出し拡散して確実に接触した状態となった後で固化する。そのためウッドチップとその周囲の土砂とは強固に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)、(b)はウッドチップ舗装材の全体模式図、拡大模式図である。
図2】(a)~(c)はウッドチップ舗装材の製造方法の各工程を示す斜視図である。
図3】(a)~(c)は舗装工事の各工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によるウッドチップ舗装材Aは、例えば歩道や公園の一部等を舗装するのに適した舗装材であって、図1(a)、(b)の全体模式図、拡大模式図に示すように、ウッドチップ10、マグネシウム系固化剤11及び土砂12、13,14の混合物として構成され、これらの成分は均質に混じった状態になっている。また各ウッドチップ10の表面凹部10aのそれぞれにはマグネシウム系固化剤11が付着し、充填された状態になっている点が大きな特徴である。
【0010】
ウッドチップ10は、各種の間伐材等を粉砕したものである。そのためウッドチップ10の表面には無数の凹凸があり、その表面凹部10aに相当な量のマグネシウム系固化剤11を保持できる。ウッドチップ10の木材種別はスギ、ヒノキ、ヒバなどの針葉樹やサクラなどが使用され、品種は限定されず、樹皮部分を含んでいても構わない。またウッドチップ10は粒サイズが異なる複数種別のものを任意の比率で混合して用いてもよい。更にウッドチップ10は予め着色されたものを用いてもよく、このとき着色剤は天然色素を用いるとよい。
【0011】
マグネシウム固化剤11は、酸化マグネシウム粉末固化材であることが望ましい。マグネシウム系固化剤の市販製品としては、例えば株式会社武井工業所のジオベスト等がある。
【0012】
土砂12、13,14は例えば普通の土、色土、山砂、川砂、小砂利やそれらの混合物であって舗装材Aの骨材となるが、混合する大きさ、混合割合によって舗装材Aに所望の色味、風合いを付与することができる。
【0013】
舗装材Aにおけるウッドチップ10、酸化マグネシウム系固化剤11及び土砂12、13,14の容積比は、ウッドチップが5~6,酸化マグネシウム系固化剤が1~3,土砂が3~4が望ましくは採用され、水を1~3の割合で混合するとよい。
【0014】
この舗装材Aは水を混練して路床に撒き均すと、時間経過によって水と反応して液状化したマグネシウム系固化剤11がウッドチップ10と周囲の土砂12、13,14とに入りこみ、固化する。このときマグネシウム系固化剤11は吸水によって一旦液状化しウッドチップ10の表面凹部10aから漏出し、拡散して周囲の土砂12と接触した状態になったあと固化し、一体化する。つまりウッドチップ10と周囲の土砂12、13,14との間に生じがちな非結合部分が少なくなるので、ウッドチップ10とその周囲の土砂12,13,14とは強固に結合する。この結果、舗装面が強固になり、ヒビ割れが生じ難いという利点が得られる。
またこの舗装材Aは、重金属等の有害成分を含んでいないので環境に優しく、廃棄の際には粉砕するだけでよい。なおマグネシウム系固化剤11は基本的に強アルカリ性であるが、ウッドチップ10は酸性なので、中和作用によって舗装材Aは全体として弱アルカリ性になり、これによっても環境負荷が軽減される。
【0015】
次いで舗装材Aの製造方法を説明する。
舗装材Aの製造方法は、図2(a)、(b)の斜視図に示すように、ウッドチップ10とマグネシウム系固化剤11とを、少なくともマグネシウム系固化剤11がウッドチップ10のそれぞれの表面の凹部10aに付着し、充填されるように混合する第一の工程と、第一の工程による混合物に土砂12、13,14を追加して均質に空練りする第二の工程とを備える。
【0016】
第一の工程では、ウッドチップ10を入れて混合機2を運転開始し、その後マグネシウム系固化剤11を少しずつ投入しながら混合する。そうすることで、マグネシウム系固化剤11がウッドチップ10のそれぞれの表面全体を覆った状態になって、ウッドチップ10の表面凹部10aに付着し、充填される。その効果は前記の通りであり、舗装面が強固になりヒビ割れが生じ難くなる。
しかし、ウッドチップ10、マグネシウム系固化剤11、土砂12、13,14を同時に混合してしまうと、ウッドチップ10の一部の表面凹部10aにはマグネシウム系固化剤11ではなく土砂12、13,14が入り込んで前記の効果は得られない。
【0017】
第二の工程では、第一の工程による混合物と、土砂12、13,14とを均質になるまで空練する。
第一、第二の工程によって形成された舗装材は水を含んでないので固化することがなく、そのままの状態で遠方の施工現場まで輸送することも可能である。またウッドチップ10や土砂12が十分乾燥されたものであれば、プレミックス製品として密封し長期間保存することもできる。
【0018】
舗装材Aの製造方法は図2(c)の斜視図に示すように、第一、第二の工程による混合物に注水して混練する第三の工程を更に備えてもよい。この第三の工程を施したあとの舗装材は固化が始まるので、第三の工程は舗装工事の直前に行わなければならない。
【0019】
次いで舗装材Aを用いた舗装工事の概要を、図3(a)~(c)の斜視図を参照しながら説明する。
【0020】
図3(a)は、舗装材Aを一輪車23によって搬入して路床Bに撒く作業を示している。路床Bは周囲の地面よりも一段低い平坦な地面又は地面に砕石等を敷広げた面である。
路床Bは転圧等によって固められ、路床Bの周縁は木材の枠組20がある。なお舗装材Aとの結合性を高くするため、舗装材Aを撒く前に散水して路床Bを十分に湿らせておくとよい。
【0021】
図3(b)は、舗装材Aを均す作業を示している。この作業はトンボやレーキ21を用いて行う。舗装材Aは均したあと木板等を上から押し当てる等して固めておくとよい。
【0022】
図3(c)は、舗装工事後の雨養生を示している。舗装工事後の舗装材Aは4、5日から1週間程度で固化するが、その間に強い降雨があると固化の遅れや脆弱化等の問題が生じる。その防止のためにビニールシート22等で養生しておくとよい。また、固化前の舗装面が人に踏まれないようにフェンスやパイロン24等で囲っておくことも必要である。
【符号の説明】
【0023】
A ウッドチップ舗装材
10 ウッドチップ
10a 表面凹部
11 マグネシウム系固化剤
12,13,14 土砂

図1
図2
図3