(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090010
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】クライストロン
(51)【国際特許分類】
H01J 23/20 20060101AFI20240627BHJP
H01J 25/02 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H01J23/20 A
H01J25/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205628
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】503382542
【氏名又は名称】キヤノン電子管デバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宗本 尚也
(57)【要約】
【課題】 出力の調整を短時間でできるクライストロンを提供する。
【解決手段】 電子銃と、高周波相互作用部と、高周波相互作用部の周囲に環状に設けた主マグネットと、出力導波管と、出力導波管に対向する位置で環状に設けた補助マグネットと、出力導波管から高周波電力を取り出す出力部と、出力導波管を変形させることで出力部から取り出される高周波電力の出力を調整する出力調整機構とを備えている。出力調整機構は、出力導波管に固定した係合部材と、補助マグネットの外側から係合部材に向けて貫通する治具挿入孔部と、補助マグネットの外側から治具挿入孔部に挿入して係合部材に係合する治具とを備えている。補助マグネットの外側から治具挿入孔部を介して挿入した治具の先端を係合部材に係合して、係合部材を押し又は引き操作することで、出力導波管を変形するクライストロンである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子銃と、
前記電子銃から出力された電子ビームを高周波電界との相互作用で入力された高周波電力を増幅する高周波相互作用部と、
前記高周波相互作用部の周囲に環状に設けた主マグネットと、
前記高周波相互作用部に接続された出力導波管と、
前記出力導波管に対向する位置で、環状に設けた補助マグネットと、
前記出力導波管から高周波電力を取り出す出力部と、
前記出力導波管を変形させることで前記出力部から取り出される高周波電力の出力を調整する出力調整機構と、を備え、
前記出力調整機構は、出力導波管に固定した係合部材と、前記補助マグネットの外側から前記係合部材に向けて貫通する治具挿入孔部と、前記補助マグネットの外側から前記治具挿入孔部に挿入して前記係合部材に係合する治具とを備え、
前記補助マグネットの外側から前記治具挿入孔部を介して挿入した前記治具の先端を前記係合部材に係合して、前記係合部材を押し又は引き操作することで、出力導波管を変形するクライストロン。
【請求項2】
前記補助マグネットは、コイルを周方向に巻き付けて形成した環状のコイル体を備え、前記治具挿入孔部は、前記コイル体を横断するコイル体横断孔を含む請求項1に記載のクライストロン。
【請求項3】
前記出力調整機構は、前記出力導波管に設けられて、前記係合部材との間に空間を形成する台座を備え、前記台座には雌ネジが形成された雌ネジ部を有し、前記治具には先端部に前記係合部材に螺合する雄ネジが形成された引き用治具と、前記雌ネジ部を挿通して先端が前記係合部材に当接する押し用治具と、を備える請求項1に記載のクライストロン。
【請求項4】
前記引き用治具は、前記先端部の径よりも大きい本体部を有し、前記先端部を前記台座の前記雌ネジ部に挿通すると共に前記雄ネジを前記係合部材の雌ネジ部に螺合し、前記本体部は前先端部側の端面を前記台座に当接させて回すことで、前記係合部材を引く請求項3に記載のクライストロン。
【請求項5】
前記押し用治具は、前記台座の前記雌ネジ部に螺合する雄ネジを備え、前記押し用治具の前記雄ネジを前記台座の雌ネジ部に螺合した状態で前記押し用治具を回すことで前記係合部材を押す請求項3に記載のクライストロン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、クライストロンに関する。
【背景技術】
【0002】
クライストロンは、高周波電力の増幅に使用されるマイクロ波管であり、電子銃から出力された電子ビームを高周波電界との相互作用で入力された高周波電力を増幅する高周波相互作用部と、高周波相互作用部の周囲に環状に設けた主マグネットと、高周波相互作用部に接続された出力導波管と、出力導波管に対応する位置で環状に設けた補助マグネットと、出力導波管に接続された出力部とを備えている。
【0003】
一般的に、クライストロンは出力部が1ポート(port)又は2ポート(port)で、高周波(RF)電力の取り出しを行う。高周波電力の取り出しにおいて、強い電場強度は以下のリスクを伴う。
第1に、高周波出力窓(高周波出力部)の窓セラミックでは、セラミック破壊、ピンホールの発生、熱変形によるクラックの発生が生じるリスク。
第2に、高周波出力窓(高周波出力部)の使用環境では、放電発生リスクが上昇する。
【0004】
このようなリスクに対して、発生リスクを抑えるために電場強度を下げる必要がある。また、高周波出力部において、パルス幅が長い・高いの繰り返しの動作条件を要求される場合は2ポート出力が選択される事が多い。
2ポート出力の場合には、客先の用途により各ポート(高周波出力部)から出力される高周波電力をそれぞれ別系統のシステムに供給する用途等があり、出力バランスを一致させる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
各ポートの出力バランス調整は、主に高周波相互作用部と高周波出力部との間に設けられた出力導波管の形状を変化させ、出力導波管のインピーダンスを変化させる事で各高周波出力部から出力される高周波(RF)電力を顧客要求仕様以内になるように調整する。
出力バランスを調整するためには、クライストロンから補助マグネットを抜き取り、ダミーロード等試験設備からクライストロン構体を切り離し、調整を実施・再試験を実施するが、クライストロン構体は、出力部の導波管の形状を変形させる事により、各ポートのインピータンスを変化させ、これにより各ポートの出力バランスを調整する。
【0007】
しかし、補助マグネットの切り離しや、クライストロン構体の切り離し等が必要なため、調整を実施するためのリードタイムが長くなるという問題があった。
特に、クライストロン構体のみを取り出して調整、再セットを行い、テスト実施を繰り返さなければならず、リードタイムが膨大となっていた。
【0008】
本実施形態は、出力の調整を短時間でできるクライストロンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態は、電子銃と、前記電子銃から出力された電子ビームを高周波電界との相互作用で入力された高周波電力を増幅する高周波相互作用部と、前記高周波相互作用部の周囲に環状に設けた主マグネットと、前記高周波相互作用部に接続された出力導波管と、前記出力導波管に対向する位置で、環状に設けた補助マグネットと、前記出力導波管から高周波電力を取り出す出力部と、前記出力導波管を変形させることで前記出力部から取り出される高周波電力の出力を調整する出力調整機構と、を備え、
前記出力調整機構は、出力導波管に固定した係合部材と、前記補助マグネットの外側から前記係合部材に向けて貫通する治具挿入孔部と、前記補助マグネットの外側から前記治具挿入孔部に挿入して前記係合部材に係合する治具とを備え、前記補助マグネットの外側から前記治具挿入孔部を介して挿入した前記治具の先端を前記係合部材に係合して、前記係合部材を押し又は引き操作することで、出力導波管を変形するクライストロンである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るクライストロンの概略構造を示す斜視図であり、(a)はクライストロン構体の図であり、(b)はクライストロン構体に主マグネット及び補助マグネットを装着したクライストロンの図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るクライストロンの断面図面であり、(a)はクライストロン全体の図であり、(b)は(a)に示すB部の拡大図、(c)は(a)に示すC部の拡大図である。
【
図3】引き用治具を用いて、出力導波管を引き変形する状態を示す断面図である。
【
図4】押し用治具を用いて、出力導波管を押し変形する状態を示す断面図である。
【
図6】各出力部(出力ポート)の出力と出力導波管の変形量との関係を示すグラフである。
【
図7】出力調整機構の取付け工程を説明する図であり、出力調整機構を取り付ける前のクライストロン構体の斜視図である。
【
図8】出力調整機構の取付け工程を説明する図であり、(a)は出力導波管に脚部材と係合部材とを取付けたクライストロン構体の平面図であり、(b)脚部材の斜視図である。
【
図9】出力調整機構の取付け工程を説明する図であり、(a)は脚部材間に面部材を取付けたクライストロン構体の平面図であり、(b)面部材の斜視図である。
【
図10】実施形態に用いられる補助マグネットの斜視図である。
【
図11】
図10に示す補助マグネットにおけるコイル体の製造方法を説明する図であり、(a)は製造途中にあるコイル体の断面図であり、(b)は補助マグネットの断面図である。
【
図12】(a)は引き用治具の正面図であり、(b)は押し用治具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照しながら、一実施形態について詳細に説明する。なお、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0012】
まず、
図1~
図4を参照して、実施形態に係るクライストロンの構成について説明する。
図1(b)に示すように、実施形態に係るクライストロン1は、
図1(a)に示すクライストロン構体3に、主マグネット5と補助マグネット7とを装着して構成されている。
図1(a)に示すように、クライストロン構体3は、電子銃9と、高周波相互作用部11と、出力導波管13と、出力部15と、コレクタ19とを備えている。
【0013】
電子銃9は、高周波相互作用部11に電子ビームを出力する。
高周波相互作用部11は、電子銃9から出力された電子ビームを高周波電界との相互作用で、入力された高周波電力を増幅する。
出力導波管13は、一端側が高周波相互作用部11に接続されており、他端側に出力部15が接続されている。本実施形態のクライストロン構体3は、高周波相互作用部11に対向して2つの出力導波管13が接続されており、各出力導波管13に出力部15を設けてなる、2ポートタイプのクライストロン構体3である。
出力導波管13は、本実施形態では、扁平な四角柱形状を成しており、
図1(a)に示すように、対向する一対の長辺面21と、対向する一対の短辺面23とを備えている。
コレクタ19は、使用済の電子を補足する。
【0014】
図1(b)に示すように、主マグネット5は、高周波相互作用部11の周囲に環状に設けており、高周波相互作用部11を取り巻いて高周波相互作用部11に強磁界を付与している。
補助マグネット7は、出力導波管13に対向する位置で、主マグネット5に重ねるように環状に設けてあり、出力導波管13に強磁界を付与している。
【0015】
図2に示すように、出力調整機構17は、出力導波管13の一面に固定した係合部材25(
図8参照)と、補助マグネット7に設けた治具挿入孔部27と、治具29a、29bと、台座31(
図1(a)参照)と、を備えている。
図3及び
図8に示すように、係合部材25は、上面25aが平坦な環状部材であり、内周面に雌ネジ25bが形成されている。本実施形態では、六角ナットを用いている。
【0016】
図2及び
図10に示すように、治具挿入孔部27は、出力導波管13に対向して設けた補助マグネット7に設けてあり、係合部材25と対向する位置で補助マグネット7を貫通する孔部である。治具挿入孔部27は補助マグネット7の外側から係合部材25に向けて一直線状に形成されており、引き用治具29a及び押し用治具29bが挿入される孔径を有している。
【0017】
引き用治具29aは、
図12(a)に示すように、後端にハンドル33を設けた本体部35aを有し、本体部35aの先端には、雄ネジ37aが形成された先端部37が一体に形成されている。本体部35aの径は先端部37の径よりも大きくなっており、本端部35の先端部37側の端面39は環状面となっている。
図3に示すように、引き用治具29aの雄ネジ37aは、係合部材25の雌ネジ25bと螺合するネジである。
押し用治具29bは、
図12(b)に示すように、引き用治具29aと同様に後端にハンドル33を設けた本体部35bを有している。本体部35bは外周面全体に雄ネジ41が形成されている。本体部35bの先端面36は、平坦面となっている。
図4に示すように、本体部35bの直径の寸法は、係合部材25の直径と略同じ寸法を有し、先端面36が係合部材25の上面25aに上から当接するようになっている。
雄ネジ41は、後述する台座31の雌ネジ51aと螺合可能なネジである。
【0018】
次に、台座31について説明する。台座31は、
図1(a)、
図3及び
図4に示すように、出力導波管13の対向する一対の短辺面23(
図1(a)参照)にそれぞれに固定された脚部材47と、係合部材25を固定した長辺面21との間に空間をあけて設けた面部材49とを備えている。
図8及び
図1(a)に示すように、脚部材47は、上端47aを出力導波管13の長辺面21から突設させた状態で短辺面23に固定されている。脚部材47は、側面を溶接やろう付けで出力導波管13の短辺面23に固定される。この脚部材47の上端47aには、ボルトを螺合するネジ穴が形成されている。
【0019】
図9及び
図1(a)に示すように、面部材49は対向する脚部材47、47の各上端47aに上から載置して脚部材47、47にボルトで固定されている。
図3及び
図4に示すように、面部材49は、出力導波管13の長辺面21に間隔をあけて設けると共に係合部材25との間にも間隔を空けている。
この面部材49には、係合部材25と対向する位置に雌ネジ51aを有するネジ穴(雌ネジ部)51が形成されている。
図4に示すように、雌ネジ51aは、押し用治具29bの雄ネジ41と螺合可能である。
【0020】
次に、
図7~
図11を参照して、出力調整機構17の設置手順について、説明する。
まず、
図7に示すように、クライストロン構体3を用意する。
次に、
図8に示すように、クライストロン構体3の出力導波管13において、その上側の長辺面21の略中央に係合部材25を固定する。係合部材25の固定は、溶接又はろう付けにより行う。
一方、
図8及び
図1(a)に示すように、出力導波管13の対向する一対の短辺面23には、脚部材47を固定する。脚部材47は、上端47aが長辺面21から上方に突設して配置する(
図3及び
図4参照)が、上端47aが係合部材25の上面25aよりも上方に位置するように配置して、一方の側面47bを溶接又はろう付けにより、出力導波管13の短辺面23固定する。
【0021】
次に、
図9に示すように、対向する脚部材47、47において、その上端47a、47aに面部材49を載置し、ボルトで固定する。
面部材49には、予めその略中央で、係合部材25に対向する位置に雌ネジ51aを形成したネジ穴51を形成しておく。
これにより、
図3及び
図4に示すように、面部材49が係合部材25の上面25aから所定間隔を空けて面部材49を設置した台座31が、出力導波管13に組み付けられる。
【0022】
一方、
図2及び
図10に示すように、補助マグネット7に治具挿入孔部27を形成する。
図2(c)に示すように、補助マグネット7は、コイル体7aとコイル体7aを覆うケース7bとで構成されており、ケース7bには、ドリル等で孔53を穿孔する。一方、コイル体7aには、コイル横断孔52が形成されている。このように、治具挿入孔部27は、ケース7bの孔53とコイル横断孔52との部分から構成されている。
【0023】
ここで、コイル横断孔52の形成について説明する。
図11(a)に示すように、予め治具挿入孔部27の径と同様の径を有する孔部形成部材55を用意しておく。この孔部形成部材55は、樹脂製の円柱体であり、コイル体7aの厚みLよりも長い寸法を有する。
そして、この孔部形成部材55を介在させた状態で、コイルを環状に巻き付けてコイル体7aを製造し、その後に、孔部形成部材55を引き抜き等により除去する。
図11(b)に示すように、このようにして製造したコイル体7aをケース7bに収納して、治具挿入孔部27を有する補助マグネット7を製造する。
【0024】
図1(a)に示すように、係合部材25及び台座31を取付けたクライストロン構体3に、
図1(b)に示すように、主マグネット5及び、治具挿入孔部27を形成した補助マグネット7を装着して、本実施形態にかかるクライストロン1を組み立てる。
次に、本実施形態に係るクライストロン1における、各出力部15から取り出される出力調整について説明する。
クライストロン1において、2つの出力部15、15からそれぞれ出力する高周波電力を調整する場合には、それぞれ必要な調整量に応じて各出力部15、15に接続されている出力導波管13、13を変形させる。
図5及び
図6に示すように、出力導波管13、13において、係合部材25が固定されている長辺面21を押し(push)たり、引き(pull)したりして、形状を変化させる。
例えば、
図6に示すように、出力導波管13の長辺面21を押し(push)操作することで、凹み量(-Δd)が大きくなり、高周波電力のピークパワー(peak power)を減少させることができる。
【0025】
この押し操作をするときには、押し用治具29b(
図12(b)参照)を用いておこなうが、
図2(c)及び
図4に示すように、台座31の面部材49に形成された雌ネジ51aに押し用治具29bの本体部に形成された雄ネジ41を螺合して、押し用治具29bを螺進することで、台座31の面部材49に対して係合部材25を押し付け、出力導波管13の長辺面21を凹み変形させる。
押し操作は、台座31の雌ネジ51aに押し用治具29bの雄ネジ41を螺合させて行うから、出力導波管13の長辺面21を小さな力で容易に、凹み変形させることができる。
【0026】
一方、
図6に示すように、出力導波管13の長辺面21を引き(pull)操作することで突出(+Δd)が大きくなり、高周波電力のピークパワー(peak power)を増加するように、出力部15から出力する高周波電力を増加させることができる。
【0027】
この引き操作をするときには、引き用治具29a(
図12(a)参照)を用いておこなうが、
図2(b)及び
図3に示すように、台座31の面部材49に形成されたネジ穴51に引き用治具29aの先端部37を挿通し、その先端部37の雄ネジ37aを係合部材25の雌ネジ25bに螺合して、引き用治具29bを螺進すると、引き用治具29aの先端部37側の端面39が台座31の面部材49に当接した状態で、係合部材25を引き上げ、出力導波管13の長辺面21を突出変形する。
引き操作は、引き用治具29aの先端部37の雄ネジ37aを係合部材25の雌ネジ25bに螺合して、引き用治具29aの先端部37側の端面39を台座31の面部材49に当接した状態で、引き用治具29aを回すだけであるから、出力導波管13の長辺面21を小さな力で容易に、突出変形することができる。
【0028】
出力導波管13、13の長辺面21の押し(push)又は引き(pull)する為の操作は、
補助マグネット7の治具挿入孔部27に、引き用治具29a又は押し用治具29bを挿入して行うから、補助マグネット7をクライストロン1から外す必要がないので、出力導波管13の変形を容易に且つ短時間で行うことができる。
特に、補助マグネット7を外したり、調整後に補助マグネットを組み付けたりして、再セットして調整テスト(確認)を行う必要がないので、リードタイムを著しく低減できる。
【0029】
補助マグネット7に形成する治具挿入孔部27は、コイル体7aの製造時に、孔部形成部材55を介在してコイルを巻き付けて、その後に孔部形成部材55を除去すれば良いので、補助マグネット7に治具孔挿入孔部27を容易に形成することができる。
【0030】
上述した一実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
1…クライストロン、3…クライストロン構体、7…補助マグネット、7a…コイル体、7b…ケース、9…電子銃、11…高周波相互作用部、13…出力導波管、15…出力部、17…出力調整機構、25…係合部材、25a…上面、25b…雌ネジ、27…治具挿入孔部、29a…引き用治具、29b…押し用治具、51…ネジ孔(雌ネジ部)、55…孔部形成部材。