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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090018
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】カフ構造体及び血圧測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
A61B5/022 300F
A61B5/022 300A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205637
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】東狐 義秀
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅規
(72)【発明者】
【氏名】佐野 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】高野 佑樹
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AB02
4C017AC03
4C017AD25
4C017EE01
4C017FF08
(57)【要約】
【課題】生じる皺の制御が可能なカフ構造体及び血圧測定装置を提供すること。
【解決手段】血圧測定装置に用いられるカフ構造体は、流体により膨張する、1以上の空気袋と、空気袋が含むか、又は、空気袋に積層して設けられる1以上の部材と、を備え、空気袋及び前記1以上の部材の少なくとも2つに、一方が開口又は分割により形成され、他方が開口、分割、切欠、凹部又は溝により形成された折り曲げ部が設けられる。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血圧測定装置に用いられるカフ構造体であって、
流体により膨張する、1以上の空気袋と、
前記空気袋が含むか、又は、前記空気袋に積層して設けられる1以上の部材と、
を備え、
前記空気袋及び前記1以上の部材の少なくとも2つに、一方が開口又は分割により形成され、他方が開口、分割、切欠、凹部又は溝により形成された折り曲げ部が設けられる、カフ構造体。
【請求項2】
生体の装着する部位の周方向の形状に倣って湾曲する、前記部材であるカーラと、
前記カーラの内周面に固定され、前記空気袋を含む押圧カフと、
前記押圧カフの内周面に固定される、前記部材である背板と、
前記背板の内周面に固定され、前記空気袋を含むセンシングカフと、
を備える、請求項1に記載のカフ構造体。
【請求項3】
前記空気袋は、中間シート部材を含み、
前記空気袋に形成される前記折り曲げ部は、前記中間シート部材に形成される1以上の開口、及び/又は、前記空気袋の表面に形成される凹部である、請求項2に記載のカフ構造体。
【請求項4】
前記背板に形成される前記折り曲げ部は、前記背板に形成された開口、分割、切欠又は溝である、請求項2に記載のカフ構造体。
【請求項5】
前記カーラ、前記押圧カフ、前記背板及び前記センシングカフは、一方向に長く形成され、
前記カーラ、前記押圧カフ、前記背板及び前記センシングカフの少なくとも2つに設けられる前記折り曲げ部は、前記一方向に並んで複数設けられる、請求項2に記載のカフ構造体。
【請求項6】
前記カーラ、前記押圧カフ、前記背板及び前記センシングカフの少なくとも2つに設けられる前記折り曲げ部は、積層方向において隣り合う前記折り曲げ部と少なくとも部分的に重なる配置、及び/又は、前記積層方向において隣り合う前記折り曲げ部と前記一方向でずれる配置である、請求項5に記載のカフ構造体。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のカフ構造体と、
前記カフ構造体に固定される装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記カフ構造体を固定するバンドと、
を備える血圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カフ構造体及び血圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧の測定に用いる血圧測定装置は、医療施設においてのみならず、家庭内においても、健康状態を確認する手段として利用されている。血圧測定装置は、例えば、生体の上腕又は手首等に巻き付けたカフを膨張及び収縮させ、圧力センサによりカフの圧力を検出することで、動脈壁の振動を検出して血圧を測定する。
【0003】
このような血圧測定装置に用いられるカフとして、積層構造のカフが知られている(例えば、特許文献1参照)。積層構造のカフは、連結部を設けること、側壁部を硬くすることで横ぶくれを防止し、膨張させても幅が変化せず効率的に圧迫が可能なカフを実現している。一方で、積層構造のカフは、連結部を設けることはマチ部の外側への膨らみを阻害してしまい圧迫効率と横ぶくれのしやすさがトレードオフになるという課題がある。
【0004】
また材料強度、即ち、カフを形成するシート部材の厚みや硬度を変更することは一般的に調整が難しく、かつカフ全体の強度調整となり、横ぶくれが発生しやすい箇所に限定して強度を上げる等の対応ができない。また、積層構造のカフは、シート部材を多数積層させるため、厚みがあり皺が発生しやすいという課題がある。カフに皺が発生すると、カフ内部の空間が分断され、血圧測定精度が低下する、という問題がある。
【0005】
そこで、従来のカフの皺制御方法として、仕切りシートに切り欠きを設け、皺を制御する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。この技術では、大きく屈曲した皺を、なだらかな皺として形成し、応力集中の低減させることを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-224558号公報
【特許文献2】特許第6751462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したカフの皺制御方法では、曲率が小さい測定部位に巻き付ける場合は切り欠きを設けた位置以外にも皺が発生してしまい十分効果を発揮することができない。また上述した積層構造のように、カフ自体に厚みがある場合には、それに起因して十分な効果を発揮することができない。
【0008】
そこで、本発明は、生じる皺の制御が可能なカフ構造体及び血圧測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様によれば、血圧測定装置に用いられるカフ構造体であって、流体により膨張する、1以上の空気袋と、前記空気袋が含むか、又は、前記空気袋に積層して設けられる1以上の部材と、を備え、前記空気袋及び前記1以上の部材の少なくとも2つに、一方が開口又は分割により形成され、他方が開口、分割、切欠、凹部又は溝により形成された折り曲げ部が設けられる、カフ構造体が提供される。
【0010】
この態様によれば、カフ構造体は、開口を含む折り曲げ部によって、2つ以上の部材の強度が弱くなることから、生体に装着したときに湾曲した空気袋に生じる皺を制御することができる。このため、カフ構造体は、所望の皺を生じさせることができるため、過度に深い皺等の意図しない皺が発生すること防止できる。よって、カフ構造体は、血圧測定装置を用いた血圧測定を安定して行うことができる。
【0011】
上記一態様のカフ構造体であって、生体の装着する部位の周方向の形状に倣って湾曲する、前記部材であるカーラと、前記カーラの内周面に固定され、前記空気袋を含む押圧カフと、前記押圧カフの内周面に固定される、前記部材である背板と、前記背板の内周面に固定され、前記空気袋を含むセンシングカフと、を備えるカフ構造体が提供される。
【0012】
この態様によれば、応力集中や圧迫効率低下の影響が大きい生体を圧迫する押圧カフやセンシングカフの皺の制御が可能となり、血圧測定を安定して行うことができる。
【0013】
上記一態様のカフ構造体であって、前記空気袋は、中間シート部材を含み、前記空気袋に形成される前記折り曲げ部は、前記中間シート部材に形成される1以上の開口、及び/又は、前記空気袋の表面に形成される凹部である、カフ構造体が提供される。
【0014】
この態様によれば、カフ構造体は、皺が生じる空気袋の強度を低下させることができるため、空気袋に生じる皺の制御を行いやすくなる。これにより、カフ構造体は、空気袋の硬さによる皺の制御の影響を低減できる。
【0015】
上記一態様のカフ構造体であって、前記背板に形成される前記折り曲げ部は、前記背板に形成された開口、分割、切欠又は溝である、カフ構造体が提供される。
【0016】
この態様によれば、カフ構造体は、センシングカフが固定される背板の強度を低下させることができるため、センシングカフに生じる皺の制御を行いやすくなる。
【0017】
上記一態様のカフ構造体であって、前記カーラ、前記押圧カフ、前記背板及び前記センシングカフは、一方向に長く形成され、前記カーラ、前記押圧カフ、前記背板及び前記センシングカフの少なくとも2つに設けられる前記折り曲げ部は、前記一方向に並んで複数設けられる、カフ構造体が提供される。
【0018】
この態様によれば、カフ構造体は、一方向に並んで複数の折り曲げ部を設けることで、空気袋に生じる皺を分散させることができる。カフ構造体は、皺を分散して設けることで、深さが深い皺が生じることを抑制できる。
【0019】
上記一態様のカフ構造体であって、前記カーラ、前記押圧カフ、前記背板及び前記センシングカフの少なくとも2つに設けられる前記折り曲げ部は、積層方向において隣り合う前記折り曲げ部と少なくとも部分的に重なる配置、及び/又は、前記積層方向において隣り合う前記折り曲げ部と前記一方向でずれる配置である、カフ構造体が提供される。
【0020】
この態様によれば、二以上の部材に設けられる折り曲げ部を少なくとも部分的に重ねることで、狙いの所定位置に皺を発生させることができる。また、二以上の部材に設けられる折り曲げ部をずらすことで、皺を細かく分散させることができる。このように、カフ構造体は、折り曲げ部の配置によって、皺の位置や数を任意に設定できる。
【0021】
一態様によれば、上記一態様のカフ構造体と、前記カフ構造体に固定される装置本体と、前記装置本体に設けられ、前記カフ構造体を固定するバンドと、を備える血圧測定装置が提供される。
【0022】
この態様によれば、上記カフ構造体を有する血圧測定装置とすることで、装着時の状態や手首の形状による皺の発生のばらつきを抑制し、皺を起因とする血圧の測定精度にばらつきを抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、生じる皺の制御が可能なカフ構造体及び血圧測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図2】同血圧測定装置の構成を示す側面図。
図3】同血圧測定装置の構成を、手首に装着した状態で示す側面図。
図4】同血圧測定装置の構成を示すブロック図。
図5】同血圧測定装置に用いられるカフ構造体の構成を、展開して側面側から概略的に示す説明図。
図6】同カフ構造体に用いられるカフの構成を概略的に示す断面図。
図7】同カフの他の例を概略的に示す断面図。
図8】同カフの他の例を概略的に示す断面図。
図9】同カフ構造体に用いられる折り曲げ部の構成を概略的に示す平面図。
図10】同折り曲げ部の他の例の構成を概略的に示す平面図。
図11】同折り曲げ部の他の例の構成を概略的に示す平面図。
図12】同折り曲げ部の他の例の構成を概略的に示す平面図。
図13】同折り曲げ部の他の例の構成を概略的に示す平面図。
図14】同折り曲げ部の他の例の構成を概略的に示す平面図。
図15】同折り曲げ部の他の例の構成を概略的に示す平面図。
図16】同折り曲げ部の他の例の構成を概略的に示す平面図。
図17】同折り曲げ部の他の例の構成を概略的に示す断面図。
図18】同折り曲げ部の他の例の構成を概略的に示す平面図。
図19】同折り曲げ部の他の例の構成を概略的に示す平面図。
図20】同折り曲げ部の他の例の構成を概略的に示す平面図。
図21】同折り曲げ部の他の例の構成を概略的に示す平面図。
図22】同カフ構造体に用いられる折り曲げ部の構成を、展開して概略的に示す平面図。
図23】同カフ構造体に用いられる折り曲げ部の構成を、展開して概略的に示す平面図。
図24】同カフ構造体の評価結果を、比較例と比較して示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る血圧測定装置1の一例について、図1乃至図24を用いて以下説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る血圧測定装置1の構成を示す斜視図であり、図2は、血圧測定装置1の構成を示す側面図である。図3は、血圧測定装置1の構成を、手首300に装着した状態で示す側面図である。図4は、血圧測定装置1の装置本体3の構成を示すブロック図である。
【0027】
図5は、血圧測定装置1に用いられるカフ構造体4の構成を、展開して側面側から概略的に示す説明図である。図6は、カフ構造体4に用いられるカフとして、押圧カフ52及びセンシングカフ54の構成を概略的に示す断面図である。図7は、押圧カフ52の他の例を概略的に示す断面図である。図8は、センシングカフ54の他の例を概略的に示す断面図である。図9乃至図21は、カフ構造体4の各部材に設けられる折り曲げ部55の例を概略的に示す図である。図24は、カフ構造体4の評価結果を、比較例と比較して示す説明図である。
【0028】
血圧測定装置1は、生体に装着する電子血圧測定装置である。本実施形態の例では、血圧測定装置1は、図3に示すように、手首300に装着するウェアラブルデバイスである。血圧測定装置1は、例えば、手首300の動脈311、312から血圧を測定する態様を持つ電子血圧測定装置である。
【0029】
図1乃至図3に示すように、血圧測定装置1は、例えば、装置本体3と、カフ構造体4と、バンド5と、を備える。
【0030】
図1乃至図4に示すように、装置本体3は、例えば、筐体11と、表示部12と、操作部13と、ポンプ14と、加速度センサ15と、弁16と、圧力センサ17と、電池18と、通信部19と、充電回路部21と、メモリ22と、プロセッサ23と、を備える。
【0031】
筐体11は、装置本体3の構成要素を収容するケースである。筐体11は、例えば、表示部12、操作部13、ポンプ14、加速度センサ15、弁16、圧力センサ17、電池18、通信部19、生体センサ20、充電回路部21、メモリ22、プロセッサ23を収容する。また、筐体11は、例えば、流体回路24を収容する。なお、ここで、流体回路24とは、例えば、ポンプ14からカフ構造体4へ供給する流体の流路を形成する管や流路板、カフ構造体4へ供給する流体の供給量や圧力を制御する流体抵抗等の構成部品、流体の流れ方向を制御するチェックバルブを含み得る。
【0032】
筐体11は、例えば、外郭ケース31と、外郭ケース31の上部開口を覆う風防32と、外郭ケース31の下方を覆う裏蓋33と、を備えている。
【0033】
外郭ケース31は、例えば円筒状、矩形筒状、多角形筒状等に形成される。本実施形態において、外郭ケース31は、矩形筒状に形成される例を示す。外郭ケース31は、外周面の一面に設けられたループ部31aを有する。ループ部31aは、バンド5を通し、そして、バンド5を折り返すために、バンド5を挿通可能な一方向に長い開口を有する矩形環状の部材である。ループ部31aは、外郭ケース31に一体に形成される。風防32は、外郭ケース31の外周縁形状と同様の形状、本実施形態においては矩形状のガラス板である。なお、風防32は、透明又は透光性を有する材料であれば、ガラス板に限定されない。裏蓋33は、外郭ケース31の底を閉塞する。なお、筐体11は、裏蓋33を有さず、筐体11に固定されるカフ構造体4の後述するカーラ51で外郭ケース31の底を閉塞する構成としてもよい。
【0034】
表示部12は、風防32の直下に配置される。表示部12は、電気的にプロセッサ23に接続される。表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。表示部12は、日時、最高血圧及び最低血圧などの血圧値、心拍数等の測定結果、電池18の充電状況や残量等の情報を含む各種情報を表示する。表示部12は、例えば、平面視で、風防32と同形状に形成される。
【0035】
操作部13は、ユーザからの指令を入力可能に構成される。操作部13は、例えば、筐体11に設けられた複数の釦41と、釦41の操作を検出するセンサと、表示部12又は風防32に設けられたタッチパネル43と、を備えている。操作部13は、ユーザが操作することで、指令を電気信号に変換する。センサ及びタッチパネル43は、電気的にプロセッサ23に接続され、電気信号をプロセッサ23へ出力する。
【0036】
ポンプ14は、例えば圧電ポンプである。ポンプ14は、例えば流体としての空気を圧縮し、流体回路を介して圧縮空気をカフ構造体4の後述する押圧カフ52及びセンシングカフ54に供給する。ポンプ14は、電気的にプロセッサ23に接続される。
【0037】
加速度センサ15は、例えば、3軸加速度センサである。加速度センサ15は、例えば、加速度を測定し、アナログ信号を出力する。加速度センサ15は、例えば、A/D変換回路を介して、プロセッサ23に接続される。
【0038】
弁16は、例えば、開閉弁である。弁16は、ポンプ14とカフ構造体4とを接続する流体回路、及び/又は、カフ構造体4と待機とを接続する流体回路を開閉する。弁16は、プロセッサ23に電気的に接続される。例えば、弁16は、プロセッサ23の制御によって開閉される。
【0039】
具体例として、弁16は、カフ構造体4の後述する押圧カフ52及びセンシングカフ54に供給された空気を大気に開放する安全用の弁である。弁16は、例えば、血圧測定時に押圧カフ52及びセンシングカフ54へ空気を供給するときにおいて、プロセッサ23に制御されることで閉状態に切り替えられる。また、弁16は、押圧カフ52及びセンシングカフ54を排気するときにおいて、プロセッサ23に制御されることで閉状態から開状態へ切り替えられる。また、弁16は、開度の調整が可能に形成されていてもよい。なお、弁16は、流体回路24上に設けられていても良く、また、ポンプ14の筐体の内部に一体的に設けられてもよい。
【0040】
圧力センサ17は、例えば、流体回路24に設けられる。圧力センサ17は、押圧カフ52及び/又はセンシングカフ54の圧力を検出する。例えば、圧力センサ17は、センシングカフ54の圧力を検出する。圧力センサ17は、例えば、A/D変換回路を介して、電気的にプロセッサ23に接続され、検出した圧力を電気信号に変換し、プロセッサ23へ出力する。
【0041】
電池18は、例えば、充放電可能なリチウムイオンバッテリ等の二次電池である。電池18は、プロセッサ23に電気的に接続される。電池18は、プロセッサ23に電力を供給する。電池18は、プロセッサ23の各構成、並びに、プロセッサ23を介して表示部12、操作部13、ポンプ14、加速度センサ15、弁16、圧力センサ17及び通信部19に、駆動用の電力を供給する。
【0042】
通信部19は、外部の装置と無線及び/又は有線によって情報を送受信可能に構成される。通信部19は、例えば、無線通信の規格に準拠した無線通信モジュールである。通信部19は、例えば、プロセッサ23によって制御された情報や測定された血圧値及び脈拍等の情報を、外部の装置へ送信し、また、外部の装置からソフトウェア更新用のプログラム等を受信して制御部に送る。本実施形態において、外部の装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、スマートウォッチ等の外部端末である。
【0043】
本実施形態において、通信部19及び外部端末は、直接接続されてもよく、ネットワークを介して接続されてもよい。通信部19及び外部端末は、4G、5Gといった携帯通信網や、Wimax、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信回線を介して接続されてもよい。また、通信部19及び外部の装置は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、NFC(Near Filed Communication)、赤外線通信といった無線通信手段により接続されてもよい。また、通信部19は、例えば、無線通信モジュールに加え、マイクロUSB(Universal Serial Bus)等の汎用コネクタや血圧測定装置1用の専用コネクタを有し、USBケーブル等の各種ケーブルにより、外部端末と、直接、又は、LAN(Local Area Network)接続といった有線通信回線を介して接続されてもよい。このため、通信部19は、無線アンテナ及びマイクロUSBコネクタ等の複数の通信手段を含む構成であってもよい。なお、有線通信用のコネクタは、血圧測定装置1用の専用のコネクタであってもよい。
【0044】
生体センサ20は、手首300と接触又は対向することで、生体の情報を検出可能に形成される。生体センサ20は、検出した生体の情報を電気信号に変換し、プロセッサ23へ出力する。生体センサ20は、例えば、心拍数、体温等の物理量を計測するセンサであってもよく、また、血糖値や血中酸素濃度などの化学的な値を計測するセンサであってもよい。例えば、生体センサ20は、筐体11の裏蓋33及び/又はカフ構造体4の後述するカーラ51に設けられる。本実施形態において、生体センサ20は、カーラ51に設けられる例を示す。なお、血圧測定装置1は、生体センサ20を有さない構成であってもよい。
【0045】
充電回路部21は、例えば、アンテナ部211と、受電部212と、充電部213と、を備える。充電回路部21は、ワイヤレス給電により電池18を充電する。例えば、充電回路部21は、外部に設けられる送電装置100のアンテナ部103から送電される送電電力を受電し、電池18を充電する。
【0046】
アンテナ部211は、送電装置のアンテナ部からの送電電力を受電する。アンテナ部211は、例えば、受電共振回路としての受電コイルである。アンテナ部211は、受電した電力を受電部212へ供給する。アンテナ部211の受電面は、平面状に形成される。アンテナ部211は、例えば、筐体11内に配置される。具体例として、アンテナ部211は、筐体11内であって、表示部12の風防32とは反対側に、表示部12と隣接して設けられる。アンテナ部211は、例えば、共振用コンデンサを含み、受電共振回路を構成する。
【0047】
受電部212は、アンテナ部211で受電した電力を整流し、充電部213へ供給する。具体例として、受電部212は、アンテナ部211から供給される受電電力を整流し、交流から直流に変換する。例えば、受電部212は、整流回路及び制御回路を含み、制御回路により整流回路の動作を制御し、整流した直流電力を充電部213へ出力する。
【0048】
充電部213は、受電部212から供給される電力を充電用の電力として、電池18へ供給する。例えば、充電部213は、受電部212から供給された電力を、所定の電流値及び電圧値に変換して電池18に供給する。また、例えば、充電部213は、電池18の充電状態を受電部212及び/又はプロセッサ23に出力する回路を有していても良い。
【0049】
メモリ22は、例えば、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を含む。メモリ22は、各種データを記憶する。例えば、メモリ22は、血圧測定装置1全体及びポンプ14を制御するためのプログラム及びアプリケーション等の各種プログラムデータ、血圧測定装置1の各種機能を設定するための設定データ、圧力センサ17で計測された圧力から血圧値や脈拍を算出するための算出データ等を変更可能に予め格納される。
【0050】
プロセッサ23は、メモリ22に格納されたプログラムに基づいて血圧測定装置1全体の動作、並びに、ポンプ14及び弁16の動作を制御し、所定の動作(機能)を実行させる。また、プロセッサ23は、読み込んだプログラムに従い、所定の演算、解析、処理等を実行する。プロセッサ23は、CPU等の演算装置である。プロセッサ23は、例えば、メインCPUに加え、サブCPUを含み得る。また、プロセッサ23は、実行した各種動作及び演算、解析、処理等の状況や結果をプログラム又はアプリケーションにより表示部12に表示する。
【0051】
カフ構造体4は、例えば、カーラ51と、押圧カフ52と、背板53と、センシングカフ54と、折り曲げ部55と、を備える。カフ構造体4は、カーラ51、押圧カフ52、背板53、及びセンシングカフ54が積層されることで構成される。また、カフ構造体4は、カフ構造体4を構成する複数の部材であるカーラ51、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54のうち、少なくとも2つの部材に折り曲げ部55が形成される。また、例えば、カフ構造体4は、折り曲げ部55を、押圧カフ52及び/又はセンシングカフ54を構成する複数の部材、例えば、後述するシート部材75、85と中間シート部材76、86に形成される構成であってもよい。
【0052】
以下、カフ構造体4の具体例を図1乃至図3図5乃至図23を用いて説明する。図1乃至図3図5に示すように、カフ構造体4は、カーラ51と、押圧カフ52と、背板53と、センシングカフ54と、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54のそれぞれに複数形成された折り曲げ部55と、を備える。
【0053】
カーラ51は、例えば、一端側が筐体11の手首側に固定される。カーラ51は、手首300の周方向に倣う形状に湾曲する帯状に形成される。カーラ51は、樹脂材料で構成される。また、カーラ51は、外周面側に溶着、接着、又は一体成型等により設けられた、デザイン性を向上させるための、外布等の化粧シート51aを有する。カーラ51は、可撓性及び形状保持性を有する硬さを有する。ここで、可撓性とは、カーラ51にバンド5の外力が印加されたときに径方向に形状が変形することをいう。形状保持性とは、外力が印加されないときに、カーラ51が予め賦形された形状を維持できることをいう。即ち、カーラ51は、圧縮変形しないか又は圧縮変形を略しないが、形状、特に、湾曲する部位の曲率が変わる曲げ変形等の弾性変形が可能な硬さの樹脂材料で形成される。よって、カーラ51は、外力が印加されることで、装着する手首の形状に倣って、その手首300が配置される内部空間が大きく、又は、小さくなるように、弾性変形可能に形成される。
【0054】
また、カーラ51は、筐体11に固定される部位から一方側が他方側よりも長く形成される。カーラ51の両端は、例えば、装着が想定される使用者のうち、最も周長が長い手首300及び最も周長が短い手首300のいずれに装着したときにも、手首300の手の平側及び手の甲側の間となる手首300の一方の側部に位置する長さ及び形状に形成される。また、カーラ51は、長手方向の全てが手首300の形状に倣うように湾曲する形状であってもよく、一部が平板状に形成されていてもよい。
【0055】
具体例として、カーラ51は、例えば、筐体11の外郭ケース31又は裏蓋33に固定される。また、カーラ51は、裏蓋33に固定される部位が平板状に形成される被固定部61と、被固定部61の一端に設けられ、所定の曲率半径で湾曲する第1湾曲部62と、被固定部61の他端に設けられ、所定の曲率半径で湾曲する第2湾曲部63と、を備える。
【0056】
第1湾曲部62は、被固定部61から手首300の一方の側部までの長さに形成される。また、第1湾曲部62の端部側の内面には、例えば、生体センサ20が設けられる。第2湾曲部63は、被固定部61から手首300の他方の側部及び手首300の手の平側を超えて、第1湾曲部62の端部が配置される手首300の一方の側部までの長さに形成される。
【0057】
例えば、第1湾曲部62の端部及び第2湾曲部63の端部の一方は、他方よりも径方向で外方に位置する。具体例として、図2及び図3に示すように、第2湾曲部63の端部は、第1湾曲部62の端部よりも径方向で外方に位置する。また、例えば、図2中に二点鎖線で示すように、カーラ51に外力が印加される前の状態において、第2湾曲部63の端部は、第1湾曲部62の端部よりも径方向で外方に位置するとともに、周方向で離間し、第1湾曲部62及び第2湾曲部63の端部が離間する構成であってもよい。
【0058】
例えば、第1湾曲部62及び第2湾曲部63の長さは、血圧測定装置1の装着が想定される手首300のうち、周長が最も長い手首300に装着したときに、第2湾曲部63が手首300の2つの動脈311、312が存する部位と対向するとともに、第2湾曲部63が手首300の側部の一部に配置されるとともに、第1湾曲部62の端部及び第2湾曲部63の端部が離間する長さである。ここで、2つの動脈311、312とは、橈骨動脈311及び尺骨動脈312である。
【0059】
また、例えば、第1湾曲部62及び第2湾曲部63の長さは、血圧測定装置1の装着が想定される手首300のうち周長が最も短い手首300に装着したときに、第2湾曲部63が手首300の2つの動脈311、312が存する部位と対向するとともに、第1湾曲部62及び第2湾曲部63が手首300の側部で重なる長さである。
【0060】
このようなカーラ51は、被固定部61及び第1湾曲部62の境界(稜部)、並びに、被固定部61及び第2湾曲部63の境界(稜部)において、最も曲率が大きくなる。
【0061】
押圧カフ52は、カーラ51の内周面に、両面テープ、接着剤及び熱溶着等により固定される。押圧カフ52は、少なくとも第2湾曲部63の手首300の動脈が存する領域に設けられる。具体例として、押圧カフ52は、被固定部61及び第1湾曲部62の稜部を含む第1湾曲部62の被固定部61側から第2湾曲部63の端部側までの、カーラ51の長手方向の領域に設けられる。押圧カフ52は、カーラ51の内面に沿うとともに、被固定部61及び第1湾曲部62の境界、並びに、被固定部61及び第2湾曲部63の境界において、最も曲率が大きくなる。
【0062】
押圧カフ52は、流体回路を介して、ポンプ14に流体的に接続される。押圧カフ52は、一方の主面がカーラ51の内面に固定される。例えば、押圧カフ52は、カーラ51の内面に両面テープや接着剤により貼付される。押圧カフ52は、膨張することで、手首300の手の甲側を押圧するとともに、背板53及びセンシングカフ54を手首300側に向かって押圧する。
【0063】
押圧カフ52は、例えば、単数又は複数の空気袋71と、空気袋71に設けられ、流体回路24に接続されるニップル等の接続部と、を備えている。ここで、空気袋71とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋であればよい。空気袋71は、一方向に長い矩形袋状に形成される。
【0064】
例えば、空気袋71は、複数のシート部材75と、少なくとも一部に開口76aが形成された単数の中間シート部材76と、を備える。空気袋71は、複数のシート部材75及び単数又は複数の中間シート部材76を熱溶着等によって固定することで内部空間が中間シート部材76で区画されるとともに中間シート部材76で流体的に連通する2つの室に区画された袋状に形成される。
【0065】
空気袋71は、例えば、側壁がΣ状に窪むカフ構造である。空気袋71は、厚さ方向において、各シート部材75の一部によってそれぞれ形成される一対の主壁71aと、短手方向において、各シート部材75の短手方向の端部により形成された一対の側壁71bを有する。
【0066】
シート部材75は、例えば、空気袋71の厚さ方向における一対の主壁71a及び空気袋71の一対の側壁71bの一部を形成する。側壁71bは、空気袋71の厚さ方向(カーラ51の径方向)において中央側が空気袋71の内方に向かってΣ状に窪む。
【0067】
図6に示すように押圧カフ52に設けられる空気袋71が単数である場合には、主壁71aには、カーラ51及び背板53が固定される。また、図7に示すように押圧カフ52に設けられる空気袋71が複数である場合には、複数の空気袋71は、積層して一体に形成されるとともに、複数の空気袋71のうち厚さ方向で一端側の空気袋71の一方の主壁71aに、カーラ51が固定され、厚さ方向で他端側の空気袋71の一方の主壁71aの一部に、背板53が固定される。また、図7に示すように、複数の空気袋71のうち隣り合う空気袋71の主壁71aは、一体に溶着等により固定されるか、又は、共有され、隣り合う空気袋71を流体的に連通する単数又は複数の開口75aが形成される。換言すると、図7に示すように、隣り合う空気袋71の対向する主壁71a又は共有される主壁71aを形成するシート部材75には、隣り合う空気袋71を流体的に連通する単数又は複数の開口75aが形成される。
【0068】
シート部材75は、複数枚が溶着されることで、一対の主壁71a及び一対の側壁71bを有する空気袋71を形成する。ここで、一つの空気袋71は、二枚のシート部材75により形成されていてもよく、三枚以上のシート部材75、例えば、各主壁71a及び各側壁71bをそれぞれ構成する四枚のシート部材75により形成されていてもよい。即ち、空気袋71を形成するためのシート部材75の数は限定されない。
【0069】
また、複数が一体に積層された空気袋71とする場合において、隣り合う空気袋71の主壁71aを形成するシート部材75同士を溶着してもよく、また、隣り合う空気袋71の主壁71aを一枚のシート部材75で形成し、隣り合う空気袋71を一つの主壁71aで共用してもよい。
【0070】
中間シート部材76は、側壁71bの最も内方に位置する部位に設けられる。中間シート部材76は、空気袋71の厚さ方向で、空気袋71内を二つの室(空間)に仕切る。また、中間シート部材76には、空気袋71内の二つの室を流体的に連通する単数又は複数の開口76aが形成される。
【0071】
シート部材75及び中間シート部材76の材料には、例えば、熱可塑性エラストマーが用いられる。ここで、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(Thermoplastic PolyUrethane、以下TPUと表記する)、塩化ビニル樹脂(PolyVinyl Chloride)、エチレン酢酸ビニル樹脂(Ethylene-Vinyl Acetate)、熱可塑性ポリスチレン系樹脂(Thermoplastic PolyStyrene)、熱可塑性ポリオレフィン樹脂(Thermoplastic PolyOlefin)、熱可塑性ポリエステル系樹脂(ThermoPlastic Polyester)及び熱可塑性ポリアミド樹脂(Thermoplastic PolyAmide)等が挙げられる。なお、シート部材75及び中間シート部材76に用いる熱可塑性エラストマーとしては、TPUを用いることが好ましい。また、シート部材75及び中間シート部材76は、単層構造を有していても良く、また、複数の樹脂材料が積層された複層構造を有していても良い。また、空気袋71は、例えば、TPU等の熱可塑性エラストマーにより形成されたあと、布材によりラミネートされていてもよい。
【0072】
背板53は、押圧カフ52の手首300側の面に、両面テープや接着剤等により固定される。背板53は、樹脂材料により形成される。背板53は、例えば、一方向に長い矩形板状に形成される。なお、背板53は、例えば、分割される構成、即ち、複数の矩形状の小片を一方向に並べて形成されていてもよい。背板53は、形状追従性を有する。
【0073】
ここで、形状追従性とは、配置される手首300の被接触箇所の形状を倣うように背板53が変形可能な機能をいい、手首300の被接触箇所とは、手首300の背板53と接触する領域をいい、ここでの接触とは、背板53の直接的な接触及び背板53のセンシングカフ54を介した間接的な接触の双方を含む。
【0074】
センシングカフ54は、背板53の手首側の主面に固定される。センシングカフ54は、手首300の動脈311、312が存する領域に直接、又は、カバー等を介して間接的に接触する。センシングカフ54は、一方向に長い矩形状に形成される。なお、センシングカフ54は、手首300の一方の動脈311、312が存する領域に接触する構成であってもよい。センシングカフ54は、長手方向において、押圧カフ52よりも小さい。また、センシングカフ54は、短手方向において、押圧カフ52と同じか、又は、押圧カフ52よりも小さい。センシングカフ54は、背板53の長手方向及び幅方向で、背板53と同一形状か、又は、背板53よりも小さい。センシングカフ54は、膨張することで手首の手の平側の動脈が存する領域を圧迫する。センシングカフ54は、膨張した押圧カフ52により、背板53を介して生体側に押圧される。
【0075】
具体例として、センシングカフ54は、1つの空気袋81と、流路体82と、を備えている。
ここで、空気袋81とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は液体袋等であってもよい。
【0076】
空気袋81は、一方向に長い矩形状に構成される。例えば、空気袋81は、複数のシート部材85と、少なくとも一部に開口86aが形成された単数の中間シート部材86と、を備える。空気袋81は、複数のシート部材85及び単数又は複数の中間シート部材86を熱溶着等によって固定することで内部空間が中間シート部材86で区画されるとともに中間シート部材86で流体的に連通する2つの室に区画された袋状に形成される。
【0077】
空気袋81は、例えば、図6に示すように、側壁がΣ状に窪むカフ構造である。空気袋81は、厚さ方向において、各シート部材85の一部によってそれぞれ形成される一対の主壁81aと、短手方向において、各シート部材85の短手方向の端部により形成された一対の側壁81bを有する。なお、空気袋81は、側壁がΣ状に窪むカフ構造でなく、図8に示すように、二枚のシート部材85の外周縁を溶着したシングルカフ構造であってもよい。
【0078】
シート部材85は、例えば、空気袋81の厚さ方向における一対の主壁81a及び空気袋81の一対の側壁81bの一部を形成する。一方の主壁81aには、背板53が固定され、方の主壁81aは、手首300の2つの動脈311、312が存する領域に直接、又は、カバーなどを介して間接的に接触する。側壁81bは、空気袋81の厚さ方向(カーラ51の径方向)において中央側が空気袋81の内方に向かってΣ状に窪む。
【0079】
シート部材85は、複数枚が溶着されることで、一対の主壁81a及び一対の側壁81bを有する空気袋81を形成する。ここで、一つの空気袋81は、二枚のシート部材85により形成されていてもよく、三枚以上のシート部材85、例えば、各主壁81a及び各側壁81bをそれぞれ構成する四枚のシート部材85により形成されていてもよい。即ち、空気袋81を形成するためのシート部材85の数は限定されない。
【0080】
中間シート部材86は、側壁81bの最も内方に位置する部位に設けられる。中間シート部材86は、空気袋81の厚さ方向で、空気袋81内を二つの室(空間)に仕切る。また、中間シート部材86には、空気袋81内の二つの室を流体的に連通する単数又は複数の開口86aが形成される。
【0081】
シート部材85及び中間シート部材86の材料には、例えば、熱可塑性エラストマーが用いられる。ここで、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(Thermoplastic PolyUrethane)、塩化ビニル樹脂(PolyVinyl Chloride)、エチレン酢酸ビニル樹脂(Ethylene-Vinyl Acetate)、熱可塑性ポリスチレン系樹脂(Thermoplastic PolyStyrene)、熱可塑性ポリオレフィン樹脂(Thermoplastic PolyOlefin)、熱可塑性ポリエステル系樹脂(ThermoPlastic Polyester)及び熱可塑性ポリアミド樹脂(Thermoplastic PolyAmide)等が挙げられる。なお、シート部材85及び中間シート部材86に用いる熱可塑性エラストマーとしては、TPUを用いることが好ましい。また、シート部材85及び中間シート部材86は、単層構造を有していても良く、また、複数の樹脂材料が積層された複層構造を有していても良い。また、空気袋81は、例えば、TPU等の熱可塑性エラストマーにより形成されたあと、布材によりラミネートされていてもよい。
【0082】
流路体82は、例えば、空気袋81の長手方向の一方の縁部の一部に一体に設けられる。流路体82は、空気袋81の装置本体3に近い端部に設けられる。また、流路体82は、空気袋81の短手方向の幅よりも小さい幅で一方向に長い形状に形成されている。流路体82は、先端に例えばニップル等の接続部を有する。流路体82は、接続部を介して流体回路24に接続され、流体回路24と空気袋81との間の流路を構成する。
【0083】
折り曲げ部55は、カーラ51、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54のうち、少なくとも二つの部材に形成される。折り曲げ部55は、手首300にカフ構造体4が巻き付けられ、押圧カフ52及びセンシングカフ54が膨張したときに押圧カフ52及び/又はセンシングカフ54に生じる皺を抑制するとともに、皺が生じる位置を制御する。
【0084】
皺の抑制及び制御のために、折り曲げ部55は、形成されるカーラ51、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54において、単数又は複数設けられる。例えば、カーラ51、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54の少なくとも2つの部材のうち、少なくとも1つの部材に形成される折り曲げ部55は、開口により形成され、他の部材に形成される折り曲げ部55は、開口、溝、切欠、凹部、又は、部材を分割することで形成される。また、折り曲げ部55の形状は、矩形状を含む多角形状、円形状、直線状、異形状等の種々の形状に設定できる。また、折り曲げ部55の数及び配置は、適宜設定できる。
【0085】
以下、折り曲げ部55の具体例について、図5乃至図23を用いて説明する。なお、図5乃至図23において、折り曲げ部55の説明を行う上で、同じ図面においてカーラ51、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54の説明を行うこともあり、一つの構成に複数の符号を付すこともある。このため、各図面において、形状は、適宜縮小、拡大又は省略して示す。
【0086】
例えば、図5及び図22に示すように、折り曲げ部55は、例えば、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54に形成される。他の例として、図23に示すように、折り曲げ部55は、例えば、カーラ51、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54に形成される。
【0087】
図23に示すように、カーラ51に形成される折り曲げ部55は、例えば、カーラ51の内面に形成される複数の凹部51bである。凹部51bは、カーラ51の内面から外面側に窪む溝である。凹部51bは、例えば、カーラ51の短手方向に延びる。複数の凹部51bは、等間隔又は図23に示すように、二種類以上の所定の異なる間隔で、カーラ51の内面に一方向に並んで配置される。また、複数の凹部51bの形状は、同じ形状であってもよく、例えば幅や深さ等の異なる形状に形成されていてもよい。また、カーラ51に形成される折り曲げ部55は、カーラ51の機能を損なわない構成であれば、開口、切欠などであってもよい。また、カーラ51に形成される折り曲げ部55の数、形状及び配置は、適宜設定できる。
【0088】
押圧カフ52に形成される折り曲げ部55は、例えば、図5乃至図7図9乃至図15図17乃至図19に示すように、中間シート部材76に形成される単数又は複数の開口76aである。また、図16及び図17に示すように押圧カフ52に形成される折り曲げ部55は、中間シート部材76に形成される開口76aに加え、又は、開口76aに代えて、シート部材75に形成される凹部75bであってもよい。また、図5図7及び図19に示すように、押圧カフ52が複数の空気袋71を積層して形成される場合においては、押圧カフ52に形成される折り曲げ部55は、中間シート部材76に形成される開口76aに加え、又は、開口76aに代えて、隣り合う空気袋71の主壁71aに形成される単数又は複数の開口75aであってもよい。図9乃至図15、及び、図18に示すように、開口75a及び/又は開口76aである押圧カフ52に形成される折り曲げ部55の数、形状及び配置は、適宜設定できる。
【0089】
例えば、複数の開口75aは、図9乃至図13図15に示すように、同じ形状に形成されるか、又は、図14及び図18に示すように、二種類以上の異なる形状に形成される。複数の開口75aは、シート部材75の長手方向で、図9図10図12図15及び図18に示すように等間隔に、又は、図11図13及び図14に示すように二種類以上の所定の間隔に配置される。また、複数の開口75aは、図15及び図18に示すように、シート部材75の長手方向及び短手方向に並んで形成されていてもよい。
【0090】
凹部75bは、例えば、シート部材75に短手方向に延びる。凹部75bは、例えば、シート部材75の表面からシート部材75に短手方向に延びる治具によって加熱することで窪ませた溶着線である。なお、押圧カフ52に形成される折り曲げ部55は、押圧カフ52の機能を阻害しない構成であれば、溝や切欠であっても良い。複数の凹部75bは、図16に示すように等間隔又は二種類以上の所定の異なる間隔で、シート部材75の内面に一方向に並んで配置される。また、複数の凹部75bの形状は、同じ形状であってもよく、例えば幅や深さ等の異なる形状に形成されていてもよい。
【0091】
複数の開口76aは、図9乃至図13図15に示すように、同じ形状に形成されるか、又は、図14及び図18に示すように、二種類以上の異なる形状に形成される。複数の開口76aは、中間シート部材76の長手方向で、図9図10図12図15及び図18に示すように等間隔に又は図11図13及び図14に示すように二種類以上の所定の間隔に配置される。また、複数の開口76aは、図15及び図18に示すように、中間シート部材76の長手方向及び短手方向に並んで形成されていてもよい。
【0092】
また、シート部材75に形成される開口75aと、中間シート部材76に形成される開口76aとは、数、形状、間隔等は同じであっても異なっていてもよい。例えば、図5及び図7に示す例では、シート部材75に形成される複数の開口75aと中間シート部材76に形成される複数の開口76aは、異なる配置関係、具体的には、長手方向でずれて配置される。また、例えば、図19に示す例では、シート部材75に形成される複数の開口75aと中間シート部材76に形成される複数の開口76aは、同じ配置関係、具体的には、長手方向で同じ位置に配置され、開口75a及び開口76aは対向する。
【0093】
背板53に形成される折り曲げ部55は、例えば、図5図9乃至図15図18示すように、単数又は複数の開口53aである。また、背板53に形成される折り曲げ部55は、図16に示すように、複数の凹部53bであってもよく、図20に示すように、複数の切欠53cであってもよい。ここで、凹部53bは、例えば、背板53に形成された溝である。また、背板53に形成される折り曲げ部55は、図21に示すように、背板53を複数の小片53dに分割し、この分割された小片53dを一方向に並べ、隣り合う小片53dの間の隙間としてもよい。図9乃至図15図18図20及び図21に示すように、背板53に形成される折り曲げ部55の数、形状及び配置は、適宜設定できる。
【0094】
例えば、複数の開口53aは、図9乃至図13に示すように、同じ形状に形成されるか、又は、図14及び図18に示すように、二種類以上の異なる形状に形成される。複数の開口53aは、背板53の長手方向で、図9図10図12図15及び図18図20図21に示すように等間隔に又は図11図13及び図14に示すように二種類以上の所定の間隔に配置される。また、複数の開口53aは、図15及び図18に示すように、背板53の長手方向及び短手方向に並んで形成されていてもよい。
【0095】
凹部53bは、例えば、背板53に短手方向に延びる。凹部53bは、例えば、背板53の表面から背板53に短手方向に延びる、成型時に型により形成する溝である。複数の凹部53bは、図16に示すように等間隔又は二種類以上の所定の異なる間隔で、背板53の内面に一方向に並んで配置される。また、複数の凹部53bの形状は、同じ形状であってもよく、例えば幅や深さ等の異なる形状に形成されていてもよい。
【0096】
切欠53cは、例えば、図20に示すように、背板53の短手方向で一対形成される。換言すると、複数の切欠53cは、背板53の長手方向に沿った中心線を中心として対称配置される。また、切欠53cは、例えば、背板53の長手方向に沿った縁部に形成され、背板53の長手方向に等間隔、又は、二種類以上の所定の異なる間隔で一方向に並んで配置される。図21に示すように、分割された小片53dは、例えば、等間隔に一方向に並べて配置される。
【0097】
センシングカフ54に形成される折り曲げ部55は、例えば、図5乃至図7図9乃至図15図17乃至図19に示すように、中間シート部材86に形成される単数又は複数の開口86aである。また、センシングカフ54に形成される折り曲げ部55は、中間シート部材86に形成される開口86aに加え、又は、開口86aに代えて、シート部材85に形成される凹部85bであってもよい。
【0098】
例えば、複数の開口86aは、図9乃至図13図15に示すように、同じ形状に形成されるか、又は、図14及び図18に示すように、二種類以上の異なる形状に形成される。複数の開口86aは、中間シート部材86の長手方向で、図9図10図12図15及び図18に示すように等間隔に又は図11図13及び図14に示すように二種類以上の所定の間隔に配置される。また、複数の開口86aは、図15及び図18に示すように、中間シート部材86の長手方向及び短手方向に並んで形成されていてもよい。
【0099】
凹部85bは、例えば、シート部材85に短手方向に延びる。凹部85bは、例えば、シート部材85の表面からシート部材85に短手方向に延びる治具によって加熱することで窪ませた溶着線である。なお、センシングカフ54に形成される折り曲げ部55は、センシングカフ54の機能を阻害しない構成であれば、溝や切欠であっても良い。複数の凹部85bは、図16に示すように等間隔又は二種類以上の所定の異なる間隔で、シート部材75の内面に一方向に並んで配置される。また、複数の凹部85bの形状は、同じ形状であってもよく、例えば幅や深さ等の異なる形状に形成されていてもよい。
【0100】
このように構成されるカフ構造体4は、例えば、図22に示すように、カーラ51、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54の積層方向において、各部材に形成された折り曲げ部55が部分的に重なるように、カーラ51、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54の長手方向でずれて配置されてもよい。また、カフ構造体4は、例えば、カーラ51、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54の積層方向において、各部材に形成された折り曲げ部55が重ならないように、カーラ51、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54の長手方向でずれて配置されてもよい。
【0101】
また、カフ構造体4は、例えば、図23に示すように、カーラ51、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54の積層方向において、各部材に形成された折り曲げ部55の一部が完全に重なるように、カーラ51、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54の長手方向で同位置に配置され、そして、各部材に形成された折り曲げ部55の残りが、一部又は完全に長手方向にずれて配置されてもよい。
【0102】
また、カフ構造体4は、例えば、カーラ51、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54の積層方向において、各部材に形成された折り曲げ部55の全てが重なるように、カーラ51、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54の長手方向で同位置に配置されてもよい。
【0103】
バンド5は、手首300にカフ構造体4を密着させるとともに、カフ構造体4を固定する。バンド5は、カーラ51の第1湾曲部62又は第2湾曲部63の一方に設けられる。バンド5は、例えば帯状に形成される。バンド5は、図2及び図3に示すように、外郭ケース31に設けられたループ部31aに挿入されるとともに、折り返される。バンド5は、例えば、一方にフックが、他方にループが形成された一対の面ファスナー5aを有し、互いに係合することで、ループ部31aに端部側が挿入されたバンド5を固定する。
【0104】
本実施形態において、バンド5は、第2湾曲部63の先端に設けられ、そして、ループ部31aは、外郭ケース31の第1湾曲部62が設けられる側の外面に設けられる。
【0105】
なお、バンド5は、所謂親と呼ばれ、尾錠を有する第1バンド、及び、所謂剣先と呼ばれ、尾錠のつく棒が挿入される小孔を複数有する第2バンドを備える構成であってもよい。
【0106】
次に、装置本体3の充電回路部21に送電する送電装置100の一例を説明する。
図4に示すように、送電装置100は、電源101と、送電部102と、アンテナ部103と、を備える。電源101は、例えば、商用電源等に接続されるACアダプタ等である。電源101は、商用電源から入力される交流電力を直流電力に変換し、直流電力を送電部102に供給する。
【0107】
送電部102は、電源101から供給される直流電力を、送電電力としての交流電力を生成し、アンテナ部103に供給する。送電部102は、例えば、アンテナ部103による送電共振回路の共振周波数と同一、あるいは略同一の周波数の交流電力を生成する。
【0108】
アンテナ部103は、例えば、送電共振回路としての送電コイルである。アンテナ部103の送電面は、平面状に形成される。アンテナ部103は、装置本体3のアンテナ部211へ送電する。アンテナ部103は、例えば、共振用コンデンサを含み、送電共振回路を構成する。
【0109】
このように構成される血圧測定装置1によれば、カフ構造体4を構成する複数の部材であるカーラ51、押圧カフ52の空気袋71、背板53及びセンシングカフ54の空気袋81の少なくとも2つに、折り曲げ部55が形成される。また、折り曲げ部55が形成されるカーラ51、押圧カフ52の空気袋71、背板53及びセンシングカフ54の空気袋81の少なくとも2つのうち、少なくとも1つの部材に形成される折り曲げ部55に開口を含む構成とし、そして、残りの部材に形成される折り曲げ部55に開口、分割、切欠又は溝を含む構成とした。
【0110】
これらの構成により、折り曲げ部55は、カーラ51、押圧カフ52の空気袋71、背板53及びセンシングカフ54の折り曲げ部55が形成された部位が、折り曲げ部55が形成されていない部位よりも強度、ここでは曲げ強度が小さくなる。よって、折り曲げ部55が設けられた部位が折り曲げ部55が設けられていない部位よりも曲げ変形し易くなり、押圧カフ52の空気袋71及びセンシングカフ54の空気袋81に皺が発生する基点となる。ここで、空気袋71、81に生じる皺は、湾曲した状態で空気袋71が膨張したときに生じる内外周差等や手首300の形状等の要因によって生じるところ、折り曲げ部55により、生じる皺を制御することができる。例えば、折り曲げ部55の数、配置及び形状によって皺が発生する位置を調整できることから、押圧カフ52の空気袋71及びセンシングカフ54の空気袋81に生じる皺の数を調整できるとともに、皺の数によって各皺における皺の深さを調整できる。
【0111】
このように、カフ構造体4は、折り曲げ部55により、曲げ強度を調整することで、所望の数、位置及び深さで空気袋71、81に皺を発生させることができる。また、図22に示すように、各部材の折り曲げ部55を各部材の長手方向においてずらすことで、折り曲げ部55を互い違いにすることで、皺を細かく分散することができる。また、図23に示すように、各部材の折り曲げ部55を重ねることで、狙いの所定位置に皺を発生させることもできる。即ち、カフ構造体4の曲げ強度等の特性が異なっていても、折り曲げ部55の数、配置及び形状を調整することで、所望の皺を生じさせることができる。
【0112】
よって、空気袋71、81を、比較的厚さが厚くなる、側壁がΣ状に窪むカフ構造としても、皺の制御ができる。このように、カフ構造体4は、皺が過度に深くなることなどにより、皺によって空気袋71、81内の空間が分断されることを防止できることから、血圧測定装置1による測定精度を安定させることができる。即ち、血圧測定装置1は、手首300への装着時のカフ構造体4の状態や手首300の形状による皺の発生のばらつきを抑制し、皺を起因とする血圧の測定精度のばらつきを抑制できる。
【0113】
また、血圧測定装置1において、折り曲げ部55の数、配置及び形状を設定することで、被固定部61及び第1湾曲部62の境界(稜部)、並びに、被固定部61及び第2湾曲部63の境界(稜部)等のように、比較的曲率が大きくなる位置において意図的に大きくカフ構造体4を屈曲させることや、圧迫効率低下の影響を受けやすい動脈311、312の近傍に皺が生じにくいようにすることで、皺を分散させることが好ましい。これにより、カフ構造体4は、応力集中や圧迫効率低下への影響を低減できる。
【0114】
また、折り曲げ部55を設ける部材及び位置、折り曲げ部55の数、形状及び配置は、任意に選択した組み合わせとすることができる。このため、カフ構造体4は、製造の容易さ、コスト等の観点で、折り曲げ部55を設定して皺の制御を実現させることができる。
【0115】
また、空気袋71、81を、側壁がΣ状に窪むカフ構造とすることで、横ぶくれを防止できることから、高い圧迫効率を得ることもできる。また、中間シート部材76、86に開口76a、86aを設けたときに、空気袋71、81に横ぶくれが生じる場合には、開口76a、86aの形状を小さく設定することで、横ぶくれを抑制でき、また、横ぶくれが生じない場合には、開口76a、86aを大きく設定することができる。また、生じさせる皺の大きさや深さ等に応じて、開口76a、86aの大きさを部分的に変えることもできる。これらように、カフ構造体4は、開口76a、86aの形状等により中間シート部材76、86の強度を調整し、空気袋71、81を、側壁がΣ状に窪むカフ構造としたときの横ぶくれの発生の抑制と皺の制御との関係に基づいて、高い自由度で各部材に形成する折り曲げ部55を設定できる。
【0116】
次に、図24を用いて、実施形態に係る血圧測定装置1の評価試験結果を説明する。評価試験として、実施形態に係る血圧測定装置1、並びに、比較例1及び比較例2の血圧測定装置(カフ構造体)を膨張させて、センシングカフ54に生じた皺を評価した。
【0117】
なお、評価試験に用いた実施形態に係る血圧測定装置1は、センシングカフ54のシート部材75に折り曲げ部55として溶着線である複数の凹部75bを8mmの等間隔に設け、中間シート部材76に折り曲げ部55として複数の開口76aを設けた。また、センシングカフ54は、TPUで形成し、表面を布材でラミネートした。
【0118】
比較例1の血圧測定装置は、センシングカフ54のシート部材75に折り曲げ部55として溶着線である複数の凹部75bを8mmの等間隔に設け、中間シート部材76に折り曲げ部55としての複数の開口76aを設けない構成とした。また、比較例1の血圧測定装置は、センシングカフ54の表面に布材を設けずに、TPUで形成した。
【0119】
比較例2の血圧測定装置は、センシングカフ54のシート部材75に折り曲げ部55として溶着線である複数の凹部75bを8mmの等間隔に設け、中間シート部材76に折り曲げ部55としての複数の開口76aを設けない構成とした。また、比較例2の血圧測定装置は、センシングカフ54をTPUで形成し、表面を布材でラミネートした。
【0120】
図24に示すように、実施形態に係る血圧測定装置1のカフ構造体4を膨張させたところ、センシングカフ54に生じた皺を均等に分散させることができた。これにより、実施形態に係るカフ構造体4は、折り曲げ部55として、少なくとも1つの部材として、例えば、中間シート部材76の開口76aを設け、他の部材として、シート部材75にと組み合わせることで皺を均等に、分散して発生させることができた。
【0121】
これに対し、比較例1の血圧測定装置のカフ構造体では、センシングカフ54は、布ラミネートを有さないことから、実施形態及び比較例2のカフ構造体のセンシングカフ54よりも柔らかく、また、中間シート部材に開口を有さないことから、皺の大きさにバラツキが生じ、また、均等に分散することができなかった。
【0122】
また、比較例2の血圧測定装置のカフ構造体では、布ラミネートを有することから、センシングカフ54が比較例1と比較して硬く、このため、複数の凹部75b(溶着線)のうちいくつかの凹部75bにおいて皺が生じなかった。
【0123】
このような評価試験の結果からも、本実施形態に係る血圧測定装置1によれば、生じる皺の制御が可能であることが明らかとなった。
【0124】
上述したように、本実施形態に係る血圧測定装置1によれば、開口を含む折り曲げ部55を、カフ構造体4を構成する部材の少なくとも2つに形成することで、生じる皺の制御が可能となる。
【0125】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。即ち、カフ構造体4は、折り曲げ部55を少なくとも2つの部材に設ける構成であればよく、このため、カフ構造体4は、1以上の空気袋と、空気袋が含むか又は空気袋と積層される他の部材を1以上有する構成であればよい。このため、例えば、カフ構造体4は、カフを1つのみ有する構成であってもよく、また、押圧カフ52及びセンシングカフ54に加えて他のカフをさらに備える構成であってもよい。
【0126】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0127】
1…血圧測定装置
3…装置本体
4…カフ構造体
5…バンド
5a…面ファスナー
11…筐体
12…表示部
13…操作部
14…ポンプ
15…加速度センサ
16…弁
17…圧力センサ
18…電池
19…通信部
20…生体センサ
21…充電回路部
22…メモリ
23…プロセッサ
24…流体回路
31…外郭ケース
31a…ループ部
32…風防
33…裏蓋
41…釦
43…タッチパネル
51…カーラ
51a…化粧シート
51b…凹部
52…押圧カフ
53…背板
53a…開口
53b…凹部
53c…切欠
53d…小片
54…センシングカフ
55…折り曲げ部
61…被固定部
62…第1湾曲部
63…第2湾曲部
71…空気袋
71a…主壁
71b…側壁
75…シート部材
75a…開口
75b…凹部
76…中間シート部材
76a…開口
81…空気袋
81a…主壁
81b…側壁
82…流路体
85…シート部材
85b…凹部
86…中間シート部材
86a…開口
100…送電装置
101…電源
102…送電部
103…アンテナ部
211…アンテナ部
212…受電部
213…充電部
300…手首
311…橈骨動脈
312…尺骨動脈
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24