(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090028
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】電動キックボード、電動キックボードの制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B62K 17/00 20060101AFI20240627BHJP
B60K 28/08 20060101ALI20240627BHJP
B62K 3/00 20060101ALI20240627BHJP
B62J 50/22 20200101ALI20240627BHJP
B62J 27/00 20200101ALI20240627BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20240627BHJP
A63C 17/12 20060101ALI20240627BHJP
A63C 17/26 20060101ALI20240627BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240627BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B62K17/00
B60K28/08
B62K3/00
B62J50/22
B62J27/00
B62J45/00
A63C17/12
A63C17/26
B60L3/00 H
B60L15/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205654
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】新田 寛鳳
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 壮大
(72)【発明者】
【氏名】間下 寛二
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 利佳子
【テーマコード(参考)】
3D037
3D212
5H125
【Fターム(参考)】
3D037FA01
3D037FA19
3D037FB01
3D037FB09
3D212BB08
3D212BB13
3D212BB24
3D212BB44
3D212BB53
3D212BB66
3D212BB72
3D212BB73
3D212BB74
3D212BB76
3D212BB95
5H125AA20
5H125BA00
5H125CA18
5H125CD02
5H125CD10
5H125EE55
5H125EE57
5H125EE61
(57)【要約】
【課題】乗車定員を超える状態を検知して適切な対処をすることできる電動キックボード、電動キックボードの制御方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】本開示に係る電動キックボードは、電動キックボードの位置情報を取得する取得部と、電動キックボードに対する荷重の分布に基づいて、利用者の状態を判断する判断部と、判断部が判断した利用者の状態が乗車定員を超える状態を示す場合、モータの動作を制限させるモータ制御部と、乗車定員を超える状態を示した位置からの最寄りのポートを検索するポート検索部と、ポート検索部により検索されたポートへの移動を促す表示を行う表示制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動キックボードの位置情報を取得する取得部と、
前記電動キックボードに対する荷重の分布に基づいて、利用者の状態を判断する判断部と、
前記判断部が判断した利用者の状態が乗車定員を超える状態を示す場合、モータの動作を制限させるモータ制御部と、
乗車定員を超える状態を示した位置からの最寄りのポートを検索するポート検索部と、
前記ポート検索部により検索されたポートへの移動を促す表示を行う表示制御部と、
を備える、電動キックボード。
【請求項2】
前記表示制御部は、さらに前記ポート検索部により検索されたポートで電動キックボードをレンタルすることを促す表示を行う、
請求項1に記載の電動キックボード。
【請求項3】
前記取得部は、さらに位置情報が示す位置を含む地域における天気を示す天気情報を取得し、
前記ポート検索部は、前記天気情報を考慮して、最寄りのポートを検索する、
請求項1または2に記載の電動キックボード。
【請求項4】
電動キックボードの位置情報を取得するステップと、
前記電動キックボードに対する荷重の分布に基づいて、利用者の状態を判断するステップと、
判断した利用者の状態が乗車定員を超える状態を示す場合、モータの動作を制限させるステップと、
乗車定員を超える状態を示した位置からの最寄りのポートを検索するステップと、
検索されたポートへの移動を促す表示を行うステップと、
を含む、電動キックボードの制御方法。
【請求項5】
電動キックボードの位置情報を取得するステップと、
前記電動キックボードに対する荷重の分布に基づいて、利用者の状態を判断するステップと、
判断した利用者の状態が乗車定員を超える状態を示す場合、モータの動作を制限させるステップと、
乗車定員を超える状態を示した位置からの最寄りのポートを検索するステップと、
検索されたポートへの移動を促す表示を行うステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動キックボード、電動キックボードの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動キックボードのような小型モビリティが普及してきている。しかしながら、使用のルールが周知されておらず、二人乗りなどの危険な行為を行う者が多く存在するなど、ルールが遵守されていないことから利用者が危険に晒されている状況にあった。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、安全性の向上を図ることが可能な電動キックボードであって、バッテリにより駆動されるモータと、モータを制御するモータ制御装置と、カメラシステムを備え、カメラシステムは所定の速度を超える速度であることを示しているとき、または撮影情報が、対向物の存在を示しているとき、モータ制御装置に対して、モータを減速させるように指示する電動キックボードが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電動キックボードは、電動キックボードの速度が所定の速度を超えるときや、カメラシステムの撮影情報が対向物の存在を示しているときに、モータを減速させることができるものの、電動キックボードに対する二人乗りを検知し、防止することができなかった。
【0006】
本発明は上記課題を鑑み、乗車定員を超える状態を検知して適切な対処をすることができる電動キックボード、電動キックボードの制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る電動キックボードは、電動キックボードの位置情報を取得する取得部と、前記電動キックボードに対する荷重の分布に基づいて、利用者の状態を判断する判断部と、前記判断部が判断した利用者の状態が乗車定員を超える状態を示す場合、モータの動作を制限させるモータ制御部と、乗車定員を超える状態を示した位置からの最寄りのポートを検索するポート検索部と、前記ポート検索部により検索されたポートへの移動を促す表示を行う表示制御部と、を備える。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る電動キックボードの制御方法は、電動キックボードの位置情報を取得するステップと、前記電動キックボードに対する荷重の分布に基づいて、利用者の状態を判断するステップと、判断した利用者の状態が乗車定員を超える状態を示す場合、モータの動作を制限させるステップと、乗車定員を超える状態を示した位置からの最寄りのポートを検索するステップと、検索されたポートへの移動を促す表示を行うステップと、を含む。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、電動キックボードの位置情報を取得するステップと、前記電動キックボードに対する荷重の分布に基づいて、利用者の状態を判断するステップと、判断した利用者の状態が乗車定員を超える状態を示す場合、モータの動作を制限させるステップと、乗車定員を超える状態を示した位置からの最寄りのポートを検索するステップと、検索されたポートへの移動を促す表示を行うステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、乗車定員を超える状態を検知して適切な対処をすることできる電動キックボード、電動キックボードの制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示に係る電動キックボードの一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本開示に係る電動キックボードシステムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示に係る電動キックボードの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示に係る触覚計測値記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示に係る感圧計測値記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示に係る電動キックボードの制御方法のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
(電動キックボードの概要)
まず、
図1を用いて、本開示に係る電動キックボードの概要について説明する。
図1は、本開示に係る電動キックボードの一例を示す模式図である。
図1に示すように、本開示に係る電動キックボード100は、前輪部と後輪部とペダル部とハンドル部を含み、モータの回転により駆動力を得て走行する。なお、電動キックボード100のこれ以外の構成については、後述して説明する。
【0014】
電動キックボード100は、レンタル事業者が設置した貸出場所を示すポートにおいて利用者にレンタルされる。ポートは、街中の各所に設置されており、利用者はポートから停められている電動キックボードをレンタルして、利用後は電動キックボード100をポートに返却する。電動キックボード100は、個人で所有することも可能であり、本開示は個人所有の電動キックボード100にも適用可能である。
【0015】
電動キックボード100は、道路交通法上の「車両」に該当し、電動キックボードが備えるモータの定格出力に応じた車両区分に分類される。電動キックボードを運転するには、道路交通法の車両区分に応じた運転免許が必要であり、車道を通行し、ヘルメットの着用や車両区分に応じた通行方法に従う必要がある。例えば、電動キックボードのモータの定格出力が0.60kW以下の場合は、道路交通法上の原動機付自転車と同じ車両区分に分類され、乗車定員を超える状態、即ち二人乗りは禁止される。なお、2024年施行の改正道路交通法では、最高速度20km以下の電動キックボード100は、特定小型原動機付自転車に分類され、運転免許が不要となる。
【0016】
(電動キックボードシステムの構成)
次に、
図2を用いて、本開示に係る電動キックボードシステム1について説明する。
図2は、本開示に係る電動キックボードシステムの構成例を示す図である。
図2に示すように、本開示に係る電動キックボードシステム1は、電動キックボード100と、利用者端末200と、情報処理装置300と、ネットワークNを備える。電動キックボードシステム1は、電動キックボード100と、利用者端末200と、情報処理装置300が、ネットワークNを介して相互に情報のやり取りを行い一つのシステムとして機能する。
【0017】
電動キックボード100は、モータにより駆動力を得て走行する小型移動装置である。電動キックボード100の概要については前述した通りであり、詳細については後述することから、ここでの説明は以上の説明に留める。
【0018】
利用者端末200は、利用者が使用する情報処理端末である。利用者端末200は、例えば、スマートフォン、タブレット型端末、デスクトップ型PC、ノート型PC、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理端末により実現されてよい。利用者端末200は、利用者の電動キックボード100のレンタル予約や、予約変更、予約取り消しなどのレンタル事務処理に用いられる。
【0019】
情報処理装置300は、外部の装置などからの要求に基づいて、各種の情報を提供する情報処理装置である。情報処理装置300は、レンタル事業者が電動キックボード100の管理や、レンタル事業の事務処理のために使用する。情報処理装置300は、ポートの位置情報を含むポートに関する情報や、レンタル事務処理に関する情報などを記憶する。情報処理装置300は、ポートの位置情報を含む地図情報を記憶した地図情報記憶部と、検索要求に基づいて最寄りのポートを検索するポート検索部を備える。情報処理装置300は、例えば、PC(Personal Computer)、WS(Work Station)などのサーバの機能を備えるコンピュータにより実現されてよい。
【0020】
ネットワークNは、電動キックボード100と利用者端末200と情報処理装置300を無線により相互に通信可能に接続する。ネットワークNが無線の場合は、IEEE802.11に規定される無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、第4世代移動通信システム(4G)や第5世代移動通信システム(5G)などを用いて実現されてよい。
【0021】
(電動キックボードの構成)
次に、電動キックボード100の構成について
図3を用いて説明する。
図3は、本開示に係る電動キックボードの構成例を示す図である。
図3に示すように、本開示に係る電動キックボード100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130と、触覚センサ140と、感圧センサ150と、位置情報センサ160と、モータ170と、表示部180を含む。以下、これらの構成について順を追って説明する。
【0022】
通信部110は、電動キックボード100の内部と外部を相互に通信可能に接続し、電動キックボード100の内部と外部との間で相互に情報を送受信する。通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線LAN(Local Area Network)カード、Bluetoothモジュール、Wi-Fi(登録商標)モジュール、アンテナ等によって実現されてよい。
【0023】
記憶部120は、各種の情報を記憶する記憶装置である。記憶部120は、主記憶装置と補助記憶装置により実現されてよい。主記憶装置は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等のような半導体メモリ素子によって実現されてよい。また、補助記憶装置は、例えばハードディスクやSSD(Solid State Drive)、光ディスク等によって実現されてよい。
【0024】
図3に示すように、記憶部120は、触覚計測値記憶部121と、感圧計測値記憶部122を含む。以下、これらの構成について順を追って説明する。
【0025】
(触覚計測値記憶部121について)
触覚計測値記憶部121は、触覚センサの計測値に関する情報を記憶する。ここで、
図4を用いて、触覚計測値記憶部121が記憶する情報の一例を説明する。
図4は、本開示に係る触覚計測値記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【0026】
図4に示す例において、触覚計測値記憶部121は、「計測日時」、「第一触覚センサ計測値」、「第二触覚センサ計測値」、「第三触覚センサ計測値」という項目に係る情報を紐付けて記憶する。
【0027】
「計測日時」は、触覚センサの計測日時を示す情報である。「第一触覚センサ計測値」は、第一触覚センサの計測値を示す情報である。「第二触覚センサ計測値」は、第二触覚センサの計測値を示す情報である。「第三触覚センサ計測値」は、第三触覚センサの計測値を示す情報である。
【0028】
すなわち、
図4においては、計測日時「TIME#1」に計測された第一触覚センサ計測値が「FTDATA#1」であり、第二触覚センサ計測値が「STDATA#1」であり、第三触覚センサ計測値が「TTDATA#1」であることを示している。
【0029】
なお、触覚計測値記憶部121に記憶される情報は、「計測日時」、「第一触覚センサ計測値」、「第二触覚センサ計測値」、「第三触覚センサ計測値」という項目に係る情報に限定されるものではなく、その他の任意の触覚センサの計測値に関係する情報が記憶されてよい。
【0030】
(感圧計測値記憶部122について)
感圧計測値記憶部122は、感圧センサの計測値に関する情報を記憶する。ここで、
図5を用いて、感圧計測値記憶部122が記憶する情報の一例を説明する。
図5は、本開示に係る感圧計測値記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【0031】
図5に示す例において、感圧計測値記憶部122は、「計測日時」、「第一感圧センサ計測値」、「第二感圧センサ計測値」、「第三感圧センサ計測値」という項目に係る情報を紐付けて記憶する。
【0032】
「計測日時」は、感圧センサの計測日時を示す情報である。「第一感圧センサ計測値」は、第一感圧センサの計測値を示す情報である。「第二感圧センサ計測値」は、第二感圧センサの計測値を示す情報である。「第三感圧センサ計測値」は、第三感圧センサの計測値を示す情報である。
【0033】
すなわち、
図5においては、計測日時「TIME#1」に計測された第一感圧センサ計測値が「FPDATA#1」であり、第二感圧センサ計測値が「SPDATA#1」であり、第三感圧センサ計測値が「TPDATA#1」であることを示している。
【0034】
なお、感圧計測値記憶部122に記憶される情報は、「計測日時」、「第一感圧センサ計測値」、「第二感圧センサ計測値」、「第三感圧センサ計測値」という項目に係る情報に限定されるものではなく、その他の任意の感圧センサの計測値に関係する情報が記憶されてよい。
【0035】
制御部130は、電動キックボード100を司り、制御するコントローラ(controller)である。制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部120に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0036】
図3に示すように、制御部130は、取得部131と、判断部132と、モータ制御部133と、ポート検索部134と、表示制御部135を備える。制御部130は、記憶部120からプログラムを読み出して実行することで、これらの構成を実現して、これらの処理を実行する。なお、制御部130は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、複数のCPUで、これらの処理を並列に実行してもよい。以下、これらの構成について順に説明する。
【0037】
取得部131は、電動キックボード100の位置情報を取得する。すなわち、取得部131は、後述して説明する位置情報センサ160が計測した電動キックボード100の位置情報(緯度、及び経度)を取得する。
【0038】
取得部131は、さらに後述して説明する触覚センサ140の触覚計測値と、後述して説明する感圧センサ150の感圧計測値を取得する。取得部131は、触覚センサ140の触覚計測値を取得したら、取得した触覚計測値をシステムクロックが示す計測時刻に紐付けて触覚計測値記憶部121に記憶する。また、取得部131は、感圧センサ150の感圧計測値を取得したら、取得した感圧計測値をシステムクロックが示す計測時刻に紐付けて感圧計測値記憶部122に記憶する。
【0039】
取得部131は、さらに位置情報が示す位置を含む地域における天気を示す天気情報を取得する。取得部131は、通信部110を介して、情報処理装置300に位置情報が示す位置を含む地域における天気情報の取得要求を送信する。情報処理装置300は、取得要求を受信したら、位置情報が示す位置を含む地域における天気情報を、電動キックボード100に送信する。このようにして、取得部131は、位置情報が示す位置を含む地域における天気情報を取得する。
【0040】
判断部132は、電動キックボード100に対する荷重の分布に基づいて、利用者の状態を判断する。ここで、利用者の状態とは、電動キックボード100の利用者の状態を示し、例えば、一人乗りや、二人乗りなどの状態に区別される。具体的には、判断部132は、感圧計測値が示す荷重の分布が、三つ以上の荷重が加わっていることを示す場合に、二人乗りをしていると判断してよい。また、判断部132は、感圧計測値が示す荷重の分布と、一人乗りと二人乗りのクラスを含む利用者の状態との関係を学習した学習済みモデルを用いて、利用者の状態を判断してもよい。なお、この場合の学習済みモデルは、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)などにより実現されてよい。
【0041】
モータ制御部133は、判断部132が判断した利用者の状態により、モータの動作を制限させる。モータの動作の制限とは、モータの停止またはモータの減速である。以下の説明では、モータの動作の制限の一例として、モータを停止させるものとして説明する。具体的には、モータ制御部133は、判断部132が判断した利用者の状態が二人乗りの状態を示す場合であって、電動キックボード100が公道を走行している場合、モータを停止させる。また、モータ制御部133は、判断部132が判断した利用者の状態が二人乗りの状態を示す場合であって、電動キックボード100が公道以外を走行している場合、モータを減速させて直前の走行速度以下、又は所定速度以下に減速させる。例えば、モータ制御部133は、判断部132が利用者の状態を、二人乗りと判断した場合に、モータ170に対して停止信号を出力して、モータ170を停止させる。
【0042】
ポート検索部134は、二人乗りの状態を示した位置からの最寄りのポートを検索する。なお、ポート検索部134は、レンタル可能な電動キックボード100がある最寄りのポートを検索してもよい。具体的には、ポート検索部134は、判断部132が利用者の状態を二人乗りと判断したときに、その時の電動キックボード100の位置情報が示す位置からの最寄りのポートに関する検索要求を、通信部110を介して情報処理装置300に送信する。検索要求を受信した情報処理装置300は、検索要求に含まれる位置情報が示す位置から最も近いポートを検索して、該当するポートの位置情報を含む最寄りのポートに関する情報を電動キックボード100に送信する。このようにして、ポート検索部134は、二人乗りの状態を示した位置からの最寄りのポートを検索して、当該の最寄りのポートに関する情報を取得する。
【0043】
ポート検索部134は、天気情報を考慮して、最寄りのポートを検索する。具体的には、ポート検索部134は、取得部131が取得した天気情報が雨天を示す場合であれば、雨天による路面の水溜まりを避けた電動キックボード100の走行が可能なルートを通ってポートへの移動が可能な最寄りのポートを検索する。すなわち、ポート検索部134は、天気情報が雨天を示す場合は、取得部131が取得した電動キックボード100の位置情報が示す位置から最も近いポートを検索できたとしても、当該のポートに至るまでに水溜まりの発生が予見されるルートであれば、当該のポートを除外して、その他のポートの中から最寄りのポートを検索する。なお、水溜まりの発生の予見については、未舗装道路のデータや、道路の起伏データ、水溜まりが生じた過去の履歴データなどから予見可能である。
【0044】
表示制御部135は、ポート検索部134により検索されたポートへの移動を促す表示を行う。具体的には、表示制御部135は、ポート検索部134により検索された二人乗りの状態を示した位置からの最寄りのポートの位置と、電動キックボード100の現在の位置を例えばアイコンによって示す地図を表示部180に表示させるように表示制御を行う。また、表示制御部135は、当該の地図に、電動キックボード100の現在の位置を示すアイコンから、最寄りのポートの位置を示すアイコンまでの道のりを示す矢印を表示させて、検索された最寄りのポートへの移動を促す表示を行ってよい。
【0045】
表示制御部135は、利用者に対してモータを停止させた位置における注意喚起の表示を行う。具体的には、表示制御部135は、判断部132が利用者の状態を二人乗りと判断し、モータ制御部133がモータを停止させた場合に、利用者に対してモータを停止させた位置において、例えば、「二人乗りは、法令により禁止されています。法令を遵守して、安全運転を心がけましょう。」といった注意喚起のメッセージを表示部180に表示させるように表示制御を行ってよい。
【0046】
表示制御部135は、さらにポート検索部134により検索されたポートで電動キックボード100をレンタルすることを促す表示を行う、例えば、表示制御部135は、「このポートにおいて電動キックボードをレンタルすることを推奨いたします」といったメッセージを表示させるように表示部180の表示制御を行ってよい。
【0047】
触覚センサ140は、電動キックボード100に対する接触を検知する。触覚センサ140は、人の触覚のように物体の接触を検知するセンサである。触覚センサ140は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O3)などの圧電セラミックス素子に圧力が加わった際の圧電セラミックス素子の静電容量の変化を検出することにより、物体の接触を検知する静電容量検出型の触覚センサにより実現されてよい。
【0048】
感圧センサ150は、電動キックボード100に加えられた圧力を計測する。感圧センサ150は、例えば、抵抗膜圧式圧力センサにより実現されてよい。抵抗膜圧式圧力センサは、導電性感圧インク層と下部電極を、それらの間にスペーサーを挟んで対面させた構成の圧力センサであり、導電性感圧インク層が圧力によって押し縮められると、下部電極と導電性感圧インク層の表面の導電粒子との接触面積が大きくなり、抵抗値が変化することから、この抵抗値の変化を検出して圧力を測定する。
【0049】
位置情報センサ160は、電動キックボード100の位置情報を計測する。位置情報センサ160は、例えば、GPS(Global Positioning System)センサであってよい。GPSセンサは、GPS衛星から送信される電波を受信する受信機を備える。GPSセンサは、複数のGPS衛星から送信される電波を受信し、電波を受信した時刻と、GPS衛星が電波を発信した時刻との差を用いて、GPS衛星から電動キックボード100までの距離を算出することによって、電動キックボード100の現在位置(例えば、緯度、及び経度)を計測する。
【0050】
モータ170は、電動キックボード100を駆動する動力源である。モータ170は、電気エネルギーを機械的仕事に変換する。モータ170は、例えば、ステータとロータを備える。ステータは、固定子すなわち、モータの固定部分である。ロータは、回転子すなわち、モータの回転部分である。モータ170は、ステータが備えるコイルに交流電流を流すことで磁界を発生させて、ロータが備える永久磁石の磁力との相互作用により、ロータを回転させる。
【0051】
表示部180は、利用者に向けて各種の情報を表示する。表示部180は、説明する表示制御部135の制御指令にしたがって各種の情報を表示する。なお、表示部180は、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、マイクロLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等によって実現されてよい。
【0052】
(電動キックボードの制御方法)
次に、本開示に係る電動キックボード100の制御方法について、
図6を用いて説明する。
図6は、本開示に係る電動キックボードの制御方法のフローを示すフローチャートである。
図6に示すフローに沿って、本開示に係る電動キックボード100の制御方法について説明する。
【0053】
まず、電動キックボード100は、電動キックボード100の位置情報を取得する(ステップS101)。次に、電動キックボード100は、電動キックボード100に対する荷重の分布に基づいて、利用者の状態を判断する(ステップS102)。次に、電動キックボード100は、判断した利用者の状態が二人乗りの状態を示す場合、モータを停止させる(ステップS103)。次に、電動キックボード100は、二人乗りの状態を示した位置からの最寄りのポートを検索する(ステップS104)。次に、電動キックボード100は、検索されたポートへの移動を促す表示を行う(ステップS105)。
【0054】
これにより、電動キックボード100は利用者が二人乗りをした場合に、利用者の二人乗りを検知して、モータを停止させて、利用者に最寄りのポートへの移動を促す表示を行うことができる。そのため、二人乗りを検知して適切な対処をすることできる電動キックボード100を提供することができる。
【0055】
(構成と効果)
本開示に係る電動キックボード100は、電動キックボード100の位置情報を取得する取得部131と、電動キックボード100に対する荷重の分布に基づいて、利用者の状態を判断する判断部132と、判断部132が判断した利用者の状態が乗車定員を超える状態を示す場合、モータ170の動作を制限させるモータ制御部133と、乗車定員を超える状態を示した位置からの最寄りのポートを検索するポート検索部134と、ポート検索部134により検索されたポートへの移動を促す表示を行う表示制御部135と、を備える。
【0056】
この構成によれば、電動キックボード100は乗車定員を超える状態になった場合に、利用者の乗車定員を超える状態を検知して、モータを停止させて、利用者に最寄りのポートへの移動を促す表示を行うことができる。そのため、乗車定員を超える状態を検知して適切な対処をすることできる電動キックボード100を提供することができる。
【0057】
本開示に係る電動キックボード100は、電動キックボード100の位置情報を取得する取得部131と、電動キックボード100に対する荷重の分布に基づいて、利用者の状態を判断する判断部132と、判断部132が判断した利用者の状態により、モータ170を停止させるモータ制御部133と、利用者に対してモータを停止させた位置における注意喚起の表示を行う表示制御部135と、を備える。
【0058】
この構成によれば、電動キックボード100は乗車定員を超える状態になった場合に、利用者の乗車定員を超える状態を検知して、モータを停止させて、利用者に対して注意喚起の表示を行うことができる。そのため、乗車定員を超える状態を検知して適切な対処をすることできる電動キックボード100を提供することができる。
【0059】
本開示に係る電動キックボード100の表示制御部135は、さらにポート検索部134により検索されたポートで電動キックボード100をレンタルすることを促す表示を行う。
【0060】
この構成によれば、最寄りのポートで電動キックボード100をレンタルすることを促す表示を行うことができる。
【0061】
本開示に係る電動キックボード100の取得部131は、さらに位置情報が示す位置を含む地域における天気を示す天気情報を取得し、ポート検索部134は、天気情報を考慮して、最寄りのポートを検索する。
【0062】
この構成によれば、天気情報を考慮して、最寄りのポートを検索することができる。そのため、例えば、雨天による水溜まりを避けた電動キックボード100の走行が可能なルートを通ってポートへの移動が可能な最寄りのポートへのルートに関する情報を提供することができる。
【0063】
本開示に係る電動キックボード100の制御方法は、電動キックボード100の位置情報を取得するステップと、電動キックボード100に対する荷重の分布に基づいて、利用者の状態を判断するステップと、判断した利用者の状態が乗車定員を超える状態を示す場合、モータ170の動作を制限させるステップと、乗車定員を超える状態を示した位置からの最寄りのポートを検索するステップと、検索されたポートへの移動を促す表示を行うステップと、を含む。
【0064】
この構成によれば、電動キックボード100は乗車定員を超える状態になった場合に、利用者の乗車定員を超える状態を検知して、モータを停止させて、利用者に最寄りのポートへの移動を促す表示を行うことができる。そのため、乗車定員を超える状態を検知して適切な対処をすることできる電動キックボード100の制御方法を提供することができる。
【0065】
本開示に係るプログラムは、電動キックボード100の位置情報を取得するステップと、電動キックボード100に対する荷重の分布に基づいて、利用者の状態を判断するステップと、判断した利用者の状態が乗車定員を超える状態を示す場合、モータ170の動作を制限させるステップと、乗車定員を超える状態を示した位置からの最寄りのポートを検索するステップと、検索されたポートへの移動を促す表示を行うステップと、をコンピュータに実行させる。
【0066】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0067】
取得部131は、図示しないカメラから利用者の状態を示す映像を取得して、判断部132は、その映像に基づいて、利用者の状態を判断してもよい。利用者が子供などを抱きかかえて乗車していることが検出でき、二人乗りをしていると判断できる。また、カメラの映像から二人乗りであることを検知して、その際の荷重の分布と利用者の状態との関係を学習済みモデルとしてもよい。例えば、二人乗りしている状態で、各人が片足を浮かせる、あるいは、各人が、一方の足を他方の足の甲の上に載せれば、荷重検出個所は2ヶ所になるが、1ヶ所あたりにかかる荷重を検出し、不自然な荷重の分布、検出個所の各荷重値の合計が不自然な値であるようであれば、二人乗りをしていると学習させても良い。
【符号の説明】
【0068】
100 電動キックボード
110 通信部
120 記憶部
130 制御部
131 取得部
132 判断部
133 モータ制御部
134 ポート検索部
135 表示制御部
140 触覚センサ
150 感圧センサ
160 位置情報センサ
170 モータ
180 表示部
200 利用者端末
300 情報処理装置
N ネットワーク