(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090029
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20240627BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240627BHJP
H04N 1/10 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/00 519
H04N1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205657
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】田中 省伍
【テーマコード(参考)】
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB20
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB46
5C062AC67
5C062AD02
5C062AE01
5C062AE15
5C062AF10
5C072BA04
5C072BA15
(57)【要約】
【課題】制御の複雑化を抑えつつ、原稿のサイズを判定できないことを低減できる画像読取装置を提供する。
【解決手段】原稿台カバー3は、原稿台11に対して開閉可能に回動し、回動半径方向の途中で原稿台側11へ屈曲可能である。原稿有無センサ14A,14Bは、原稿台11上の原稿の有無を検出する。判定部は、原稿台カバー3が閉じられる際に角度θaまで閉じた時点、および角度θaより小さい角度θbまで閉じた時点における原稿有無センサ14A,14Bの検出結果を用いて、原稿のサイズを判定する。判定部は、原稿台カバー3が角度θaまで閉じた後、角度θbまでは閉じない場合には、原稿台カバー3の開閉端側部分3bが原稿台11に覆い被さるように原稿台カバー3を屈曲させ、原稿台カバー3が角度θaまで閉じた時点、および原稿台カバー3が屈曲した状態における原稿有無センサ14A,14Bの検出結果を用いて、原稿のサイズを判定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台と、
前記原稿台に対して開閉可能に回動し、回動半径方向の途中で前記原稿台側へ屈曲可能な原稿台カバーと、
前記原稿台上の原稿の有無を検出するための検出部と、
前記原稿台カバーが閉じられる際に第1角度まで閉じた時点、および前記第1角度より小さい第2角度まで閉じた時点における前記検出部の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定する判定部とを備え、
前記判定部は、前記原稿台カバーが前記第1角度まで閉じた後、前記第2角度までは閉じない場合には、前記原稿台カバーの屈曲する位置より開放端側が前記原稿台に覆い被さるように前記原稿台カバーを屈曲させ、前記原稿台カバーが前記第1角度まで閉じた時点、および前記原稿台カバーが屈曲した状態における前記検出部の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記原稿台カバーが前記第1角度まで閉じない場合には、前記原稿台カバーの屈曲する位置より開放端側が前記原稿台に覆い被さるように前記原稿台カバーを屈曲させ、前記原稿台カバーが屈曲した状態における前記検出部による2回の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
原稿台と、
前記原稿台に対して開閉可能に回動し、回動半径方向の途中で前記原稿台側へ屈曲可能な原稿台カバーと、
前記原稿台上の原稿の有無を検出するための検出部と、
前記原稿台カバーが閉じられる際に第1角度まで閉じた時点、および前記第1角度より小さい第2角度まで閉じた時点における前記検出部の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定する判定部とを備え、
前記判定部は、前記原稿台カバーが前記第1角度まで閉じない場合には、前記原稿台カバーの屈曲する位置より開放端側が前記原稿台に覆い被さるように前記原稿台カバーを屈曲させ、前記原稿台カバーが屈曲した状態における前記検出部による2回の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定することを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
原稿台と、
前記原稿台に対して開閉可能に回動し、回動半径方向の途中で前記原稿台側へ屈曲可能な原稿台カバーと、
前記原稿台上の原稿の有無を検出するための検出部と、
前記原稿台カバーが閉じられる際に第1角度まで閉じた時点、および前記第1角度より小さい第2角度まで閉じた時点における前記検出部の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定する判定部とを備え、
前記原稿台カバーの回動軸が上下方向にスライド可能であり、
前記判定部は、前記原稿台カバーが閉じられる際の前記回動軸の上方向へのスライド量が規定量に達した場合には、前記原稿台カバーの屈曲する位置より開放端側が前記原稿台に覆い被さるように前記原稿台カバーを屈曲させ、前記原稿台カバーが屈曲した状態における前記検出部による2回の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定することを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記原稿台カバーが屈曲した状態における前記検出部による1回目の検出結果と、2回目の検出結果とを、規定時間を空けて取得することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿台に載置された原稿を光学的に読み取る画像読取装置が知られている。
【0003】
また、このような画像読取装置において、原稿台カバーが閉じられる際の開閉角度が異なる2つのタイミングで、所定の位置に配置されたセンサの検出結果(オン、オフ)を取得し、2回の検出結果を用いて原稿のサイズを判定する方法が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
この方法は、非原稿部では原稿台カバーの開閉角度の変化に応じて、センサにおける光源が発した光の原稿台カバーからの反射光の受光量が変化する一方で、原稿からの反射光の受光量は変化しないことを利用して、上述の2回の検出結果を用いて原稿のサイズを判定する方法である。
【0005】
すなわち、この方法では、上述の2回の検出結果が一致する場合には、センサの位置に原稿があると判断し、一致しない場合には、センサの位置に原稿はないと判断する。そして、センサの位置における原稿の有無から原稿のサイズを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような画像読取装置において、読取対象がブック原稿(本)のような分厚い原稿である場合、原稿台カバーを十分に閉じられないことがある。このため、上述した方法で原稿のサイズを判定する際に、2つのタイミングの少なくともいずれかにおいてセンサの検出結果が得られないことがある。この結果、原稿のサイズを判定できず、ユーザが原稿のサイズを手入力しなければならなくなることがある。
【0008】
センサによる原稿の有無を検出する原稿台カバーの角度(検出を行う回数)を増やすことで、ブック原稿のような分厚い原稿のサイズを判定できないことを低減することが可能である。しかし、この場合、制御の複雑化を招く。
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、制御の複雑化を抑えつつ、原稿のサイズを判定できないことを低減できる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、原稿台と、前記原稿台に対して開閉可能に回動し、回動半径方向の途中で前記原稿台側へ屈曲可能な原稿台カバーと、前記原稿台上の原稿の有無を検出するための検出部と、前記原稿台カバーが閉じられる際に第1角度まで閉じた時点、および前記第1角度より小さい第2角度まで閉じた時点における前記検出部の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定する判定部とを備え、前記判定部は、前記原稿台カバーが前記第1角度まで閉じた後、前記第2角度までは閉じない場合には、前記原稿台カバーの屈曲する位置より開放端側が前記原稿台に覆い被さるように前記原稿台カバーを屈曲させ、前記原稿台カバーが前記第1角度まで閉じた時点、および前記原稿台カバーが屈曲した状態における前記検出部の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定することを特徴とする画像読取装置が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、原稿台と、前記原稿台に対して開閉可能に回動し、回動半径方向の途中で前記原稿台側へ屈曲可能な原稿台カバーと、前記原稿台上の原稿の有無を検出するための検出部と、前記原稿台カバーが閉じられる際に第1角度まで閉じた時点、および前記第1角度より小さい第2角度まで閉じた時点における前記検出部の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定する判定部とを備え、前記判定部は、前記原稿台カバーが前記第1角度まで閉じない場合には、前記原稿台カバーの屈曲する位置より開放端側が前記原稿台に覆い被さるように前記原稿台カバーを屈曲させ、前記原稿台カバーが屈曲した状態における前記検出部による2回の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定することを特徴とする画像読取装置が提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、原稿台と、前記原稿台に対して開閉可能に回動し、回動半径方向の途中で前記原稿台側へ屈曲可能な原稿台カバーと、前記原稿台上の原稿の有無を検出するための検出部と、前記原稿台カバーが閉じられる際に第1角度まで閉じた時点、および前記第1角度より小さい第2角度まで閉じた時点における前記検出部の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定する判定部とを備え、前記原稿台カバーの回動軸が上下方向にスライド可能であり、前記判定部は、前記原稿台カバーが閉じられる際の前記回動軸の上方向へのスライド量が規定量に達した場合には、前記原稿台カバーの屈曲する位置より開放端側が前記原稿台に覆い被さるように前記原稿台カバーを屈曲させ、前記原稿台カバーが屈曲した状態における前記検出部による2回の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定することを特徴とする画像読取装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像読取装置によれば、制御の複雑化を抑えつつ、原稿のサイズを判定できないことを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る画像読取装置の概略構成を模式的に示すブロック図である。
【
図3】
図1に示す画像読取装置の原稿台カバーが閉じた状態における側面図である。
【
図4】
図1に示す画像読取装置の原稿台カバーが開いた状態における側面図である。
【
図5】
図1に示す画像読取装置の原稿台カバーが屈曲した状態における側面図である。
【
図6】
図1に示す画像読取装置の原稿台カバー角度検出部における第1~第3角度センサの論理(オン、オフ)を説明するための図である。
【
図7】
図1に示す画像読取装置の画像読取ユニットおよび原稿有無センサを示す平面図である。
【
図8】
図1に示す画像読取装置の特徴的な機能部を示すブロック図である。
【
図9】原稿有無センサの検出結果と原稿の有無の判定結果との関係を示す図である。
【
図10】
図1に示す画像読取装置において原稿長さを判定する動作を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図1に示す画像読取装置において原稿長さを判定する動作を説明するためのフローチャートである。
【
図12】第2実施形態に係る画像読取装置の原稿台カバーが閉じた状態における側面図である。
【
図13】
図12に示す画像読取装置の原稿台カバーが屈曲した状態における側面図である。
【
図14】
図12に示す画像読取装置において原稿長さを判定する動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0016】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像読取装置の概略構成を模式的に示すブロック図である。
図2は、
図1に示す画像読取装置の外観図である。
図3は、
図1に示す画像読取装置の原稿台カバーが閉じた状態における側面図である。
図4は、
図1に示す画像読取装置の原稿台カバーが開いた状態における側面図である。
図5は、
図1に示す画像読取装置の原稿台カバーが屈曲した状態における側面図である。
図6は、
図1に示す画像読取装置の原稿台カバー角度検出部における第1~第3角度センサの論理(オン、オフ)を説明するための図である。
図7は、
図1に示す画像読取装置の画像読取ユニットおよび原稿有無センサを示す平面図である。
図8は、
図1に示す画像読取装置の特徴的な機能部を示すブロック図である。なお、以下の説明において、
図2の矢印で示す上下左右前後を上下左右前後方向とする。
【0018】
図1、
図2に示すように、第1実施形態に係る画像読取装置1は、装置本体2と、原稿台カバー3と、操作パネル4とを備える。
【0019】
装置本体2は、原稿台11、原稿台カバー角度検出部12、画像読取ユニット13、原稿有無センサ(検出部に相当)14A,14B、および制御回路15を保持または収納している。
【0020】
原稿台11は、読取対象の原稿が載置される台である。原稿台11は、透明なガラスからなる。原稿台11は、平面視矩形状に形成されている。原稿台11の表面(上面)に原稿が載置される。本実施形態では、原稿台11には、主走査方向(前後方向)においては原稿台11の中央に原稿の中央を合わせ、副走査方向(左右方向)においては原稿台11の左端に原稿の左端を合わせるように原稿が載置される。
【0021】
ここで、本実施形態において、主走査方向(前後方向)に平行な方向を、原稿の幅方向とする。すなわち、
図7に示すように、主走査方向における原稿の長さ(サイズ)を、原稿幅とする。また、主走査方向に直交する方向である副走査方向(左右方向)における原稿の長さ(サイズ)を、原稿長さとする。原稿台11の主走査方向の長さは、画像読取装置1で読取可能な最大定型サイズの原稿の原稿幅よりも大きい。原稿台11の副走査方向の長さは、画像読取装置1で読取可能な最大定型サイズの原稿の原稿長さよりも大きい。
【0022】
原稿台カバー角度検出部12は、原稿台カバー3の開閉状態を検出するためのものである。
図3~
図5に示すように、原稿台カバー角度検出部12は、遮蔽部材21と、角度センサ22A,22Bとを備える。
【0023】
遮蔽部材21は、原稿台カバー3の開閉に応じて、その垂直部分が上下動する。遮蔽部材21は、後述する遮蔽部材保持部32に取り付けられている。遮蔽部材21の垂直部分は、遮蔽部材保持部32から下方に延びる部分である。
【0024】
角度センサ22A,22Bは、遮蔽部材21を検出する。角度センサ22Aの上方に角度センサ22B配置されている。
【0025】
図6に示すように、角度センサ22Aは、原稿台カバー3の開閉角度θが角度θa(第1角度に相当)より大きいときはオン(遮蔽部材21を検出している状態)となり、開閉角度θが角度θa以下のときにオフ(遮蔽部材21を検出していない状態)となる。角度センサ22Bは、開閉角度θが角度θb(第2角度に相当)より大きいときはオンとなり、開閉角度θが角度θb以下のときにオフとなる。ここで、原稿台カバー3の開閉角度θは、
図4、
図5に示すように、水平面である原稿台11の表面と後述する原稿台カバー3の回動軸側部分3aとがなす角度である。
【0026】
角度θaは、原稿長さの検出のための原稿有無センサ14A,14Bの検出結果(論理)の1回目の取得を行う角度として設定されたものである。角度θbは、原稿長さの検出のための原稿有無センサ14A,14Bの検出結果(論理)の2回目の取得を行う角度として設定されたものである。角度θbは角度θaより小さく、原稿台カバー3が閉じた状態に近い所定の角度である。
【0027】
画像読取ユニット13は、原稿台11に載置された原稿を光学的に読み取る。画像読取ユニット13は、原稿台11の裏面側(下方)に配置されている。画像読取ユニット13は、図示しないモータ等により、副走査方向(左右方向)に水平移動可能に構成されている。
図7、
図8に示すように、画像読取ユニット13は、2つの光源26と、ラインセンサ27とを備える。
【0028】
光源26は、原稿台11の裏面側から原稿台11に向けて光を出射する。2つの光源26は、ラインセンサ27を挟んで左右方向に並列して配置されている。
【0029】
ラインセンサ27は、主走査方向(前後方向)に沿って配置された複数の読取素子を有する。ラインセンサ27は、原稿台11側からの光を読取素子で受光し、読取データを生成する。ラインセンサ27の読取素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)からなる。
【0030】
原稿有無センサ14A,14Bは、原稿台11上の原稿の有無を検出するためのセンサである。原稿有無センサ14A,14Bは、原稿台11上の原稿の原稿長さを検出するために用いられる。原稿有無センサ14A,14Bは、それぞれ原稿台11の裏面側から原稿台11に向けて光を出射する発光部と、原稿台11側からの光を受光する受光部(いずれも図示せず)とを有する光学式の反射センサからなる。原稿有無センサ14A,14Bは、原稿台11側からの光の受光量が所定値以上の場合にオンを示す信号を出力し、所定値未満の場合にオンを示す信号を出力する。
【0031】
原稿有無センサ14A,14Bは、
図7に示すように、原稿の定型サイズに応じた位置に配置されている。原稿有無センサ14A,14Bは、前後方向(主走査方向)においては、原稿台11の中央より前側に配置されている。
【0032】
制御回路15は、画像読取装置1全体の動作を制御する。制御回路15の詳細は後述する。
【0033】
原稿台カバー3は、原稿台11を覆うものである。原稿台カバー3は、原稿台11の後端より後方に配置された、副走査方向に平行な回動軸31を中心に、原稿台11に対して開閉可能に回動する。原稿台カバー3は、原稿台11に載置された原稿を押さえる圧板41を備える。圧板41は、原稿台11全体を覆う大きさの白色の板状に形成されている。圧板41は、原稿台カバー3の回動により、原稿台11の表面に対して開閉する。
【0034】
原稿台カバー3の回動軸31には、遮蔽部材保持部32が設けられている。遮蔽部材保持部32は、遮蔽部材21が取り付けられる部材である。遮蔽部材保持部32が回動軸31とともに回動することで、
図3、
図4に示すように、遮蔽部材21の垂直部分が上下動するようになっている。
【0035】
原稿台カバー3は、その回動半径方向における途中の所定位置で原稿台11側へ屈曲可能に構成されている。原稿台カバー3は、回動軸側部分3aと開閉端側部分3bとに分割されている。回動軸側部分3aは、原稿台カバー3の屈曲する位置より回動軸31側の部分である。開閉端側部分3bは、原稿台カバー3の屈曲する位置より開放端側(回動軸31側とは逆側)の部分である。
【0036】
原稿台カバー3内には、原稿台カバー3を屈曲不可能な状態と屈曲可能な状態との間で切り替える屈曲機構部46が配置されている。屈曲機構部46は、芯部材47と、芯部材47を移動させるモータ(図示せず)とを備える。
【0037】
芯部材47は、原稿台カバー3が屈曲しないように開閉端側部分3bを支持するための部材である。芯部材47は、例えば、金属により形成されている。
【0038】
芯部材47は、
図3、
図4に示す支持位置と、
図5に示す退避位置との間で、原稿台カバー3の回動半径方向に沿って移動可能になっている。
【0039】
芯部材47の支持位置は、原稿台カバー3の回動軸側部分3aと開閉端側部分3bとを跨ぐ位置である。芯部材47が支持位置に配置されている状態では、芯部材47により開閉端側部分3bが支持され、原稿台カバー3は屈曲不可能な状態である。
【0040】
芯部材47の退避位置は、原稿台カバー3の回動軸側部分3aと開閉端側部分3bとを跨がない位置である。芯部材47が退避位置に配置されている状態では、
図5に示すように、原稿台カバー3が屈曲可能である。原稿台カバー3は、開閉端側部分3bが折れ曲がる角度が所定の範囲内(例えば、0°~90°)で原稿台11側へ屈曲可能になっている。
【0041】
後述するように、画像読取装置1では、
図5に示すように原稿台11上に載置された原稿Gがブック原稿(本)のような分厚い原稿である場合において、開閉端側部分3bが原稿台11に覆い被さるように原稿台カバー3を屈曲させることが行われる。このように原稿台カバー3が屈曲した状態では、原稿有無センサ14Aの位置に原稿がない場合でも、圧板41からの反射光により原稿有無センサ14Aがオンとなるようになっている。原稿有無センサ14Bについても同様である。
【0042】
なお、原稿台カバー3が屈曲した状態から、ユーザが開閉端側部分3bを持ち上げて原稿台カバー3が所定角度まで開かれると、芯部材47が退避位置から支持位置に戻され、原稿台カバー3が屈曲していない状態に戻される。原稿台カバー3が所定角度まで開かれたことは、図示しないセンサにより検出される。
【0043】
操作パネル4は、各種の入力画面等を表示するとともに、ユーザによる入力操作を受け付ける。操作パネル4は、液晶表示パネル等からなる表示部と、原稿の読取開始を指示するためのスタートボタンを含む各種の操作ボタン、タッチパネル等を有する入力部(いずれも図示せず)とを備える。操作パネル4は、画像読取装置1が接続される印刷装置に備えられたものでもよい。
【0044】
次に、上述した制御回路15の構成を説明する。
図8に示すように、制御回路15は、CPU51と、RAM52と、フラッシュメモリ53と、FeRAM54と、入出力I/F(インタフェース)55とを備える。
【0045】
CPU51は、フラッシュメモリ53に格納されたプログラムに従って動作することにより、読取制御部61と、判定部62とを構築する。
【0046】
読取制御部61は、原稿台11に載置された原稿の画像を読み取るよう画像読取ユニット13を制御する。
【0047】
判定部62は、原稿台11への原稿載置のために開かれた原稿台カバー3が閉じられる際の、角度センサ22Aがオフになった時点(原稿台カバー3が角度θaまで閉じた時点)における原稿有無センサ14A,14Bの検出結果(論理)、および角度センサ22Bがオフになった時点(原稿台カバー3が角度θbまで閉じた時点)における原稿有無センサ14A,14Bの検出結果(論理)を用いて、原稿長さを判定する。
【0048】
具体的には、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、角度センサ22Aがオフになった時点における論理と、角度センサ22Bがオフになった時点における論理とが一致する場合、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿があると判定する。原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、角度センサ22Aがオフになった時点における論理と、角度センサ22Bがオフになった時点における論理とが一致しない場合、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿はないと判定する。
【0049】
ここで、原稿有無センサ14A,14Bの検出結果(論理)と原稿の有無の判定結果との関係について、
図9を参照して説明する。
【0050】
図9に示すように、原稿有無センサ14Aの位置に、原稿有無センサ14Aで検出不可能な比較的高い濃度の原稿がある場合、角度センサ22Aがオフになった時点(開閉角度θ=θaになった時点)、および角度センサ22Bがオフになった時点(開閉角度θ=θbになった時点)の両方において、原稿有無センサ14Aはオフとなる。この場合、原稿有無センサ14Aの位置に原稿ありという判定結果となる。原稿有無センサ14Bについても同様である。
【0051】
原稿有無センサ14Aの位置に、原稿有無センサ14Aで検出可能な比較的低い濃度の原稿がある場合、角度センサ22Aがオフになった時点、および角度センサ22Bがオフになった時点の両方において、原稿有無センサ14Aはオンとなる。この場合も、原稿有無センサ14Aの位置に原稿ありという判定結果となる。原稿有無センサ14Bについても同様である。
【0052】
原稿有無センサ14Aの位置に原稿がない場合、角度センサ22Aがオフになった時点では、原稿有無センサ14Aはオフとなる。一方、角度センサ22Bがオフになった時点では、原稿有無センサ14Aはオンとなる。ここで、角度センサ22Bがオフになった時点では、圧板41がほぼ閉じた状態であるため、原稿がなくても圧板41からの反射光により原稿有無センサ14Aがオンとなる。この場合、原稿有無センサ14Aの位置に原稿なしという判定結果となる。原稿有無センサ14Bについても同様である。
【0053】
図9の最下段は、角度センサ22Aがオフになった時点で原稿有無センサ14Aがオンであり、角度センサ22Bがオフになった時点で原稿有無センサ14Aがオフの場合である。これは、角度センサ22Aがオフになった時点では原稿有無センサ14Aの位置に検出可能な原稿があったために原稿有無センサ14Aがオンであったが、何らかの不具合により、角度センサ22Bがオフになった時点で原稿有無センサ14Aがオフとなった場合である。この場合、原稿検出エラーとして、原稿有無センサ14Aの位置に原稿なしという判定結果となる。原稿有無センサ14Bについても同様である。
【0054】
上述のような
図9を参照して説明した内容から、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、角度センサ22Aがオフになった時点における論理と、角度センサ22Bがオフになった時点における論理とが一致する場合、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿ありという判定結果となる。また、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、角度センサ22Aがオフになった時点における論理と、角度センサ22Bがオフになった時点における論理とが一致しない場合、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿なしという判定結果となる。
【0055】
そして、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置における原稿の有無の判定結果に基づき、原稿長さを判定する。原稿有無センサ14A,14Bの位置における原稿の有無は、定型サイズにおける原稿長さと関連付けられている。このため、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置における原稿の有無の判定結果から原稿長さを判定できる。
【0056】
また、判定部62は、原稿がブック原稿(本)のような分厚い原稿であることで、原稿台カバー3が角度θaまで閉じた後、角度θbまでは閉じない場合には、屈曲機構部46を制御して、開閉端側部分3bが原稿台11に覆い被さるように原稿台カバー3を屈曲させる。そして、判定部62は、原稿台カバー3が角度θaまで閉じた時点、および原稿台カバー3が屈曲した状態における原稿有無センサ14A,14Bの検出結果を用いて、原稿長さを判定する。
【0057】
また、判定部62は、原稿がブック原稿のような分厚い原稿であることで、原稿台カバー3が角度θaまで閉じない場合には、屈曲機構部46を制御して、開閉端側部分3bが原稿台11に覆い被さるように原稿台カバー3を屈曲させる。そして、判定部62は、原稿台カバー3が屈曲した状態における原稿有無センサ14A,14Bそれぞれの2回の検出結果を用いて、原稿長さを判定する。
【0058】
ここで、
図5のように開閉端側部分3bが原稿台11に覆い被さるように原稿台カバー3が屈曲した状態では、原稿有無センサ14Aの位置に原稿がない場合でも、圧板41からの反射光により原稿有無センサ14Aがオンとなるようになっている。原稿有無センサ14Bについても同様である。
【0059】
このことから、判定部62は、上述のように、原稿台カバー3が角度θaまで閉じた後、角度θbまでは閉じない場合、原稿台カバー3を屈曲させる。そして、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、角度センサ22Aがオフになった時点における論理と、原稿台カバー3が屈曲した状態における論理とが一致する場合、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿があると判定する。原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、角度センサ22Aがオフになった時点における論理と、原稿台カバー3が屈曲した状態における論理とが一致しない場合、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿はないと判定する。そして、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置における原稿の有無の判定結果から原稿長さを判定する。
【0060】
また、判定部62は、上述のように、原稿台カバー3が角度θaまで閉じない場合、原稿台カバー3を屈曲させる。そして、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、原稿台カバー3が屈曲した状態における2回の検出結果(論理)が一致する場合、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿があると判定する。原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、原稿台カバー3が屈曲した状態における2回の検出結果(論理)が一致しない場合、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿はないと判定する。そして、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置における原稿の有無の判定結果から原稿長さを判定する。
【0061】
また、判定部62は、原稿台11への原稿載置のために開かれた原稿台カバー3が閉じられる途中において、画像読取ユニット13の光源26から原稿台11に向けて光を出射させ、ラインセンサ27で原稿台11側からの光を受光して読取データを生成する読取動作を実行させる。判定部62は、この読取動作で得られた読取データを用いて、原稿幅を判定する。
【0062】
RAM52は、一時的なデータの保存や演算時におけるCPU51のワークエリアとして使用されるものである。
【0063】
フラッシュメモリ53は、各種のプログラム等を不揮発的に記憶する。
【0064】
FeRAM54は、画像読取装置1の機体に固有の各種の調整値等を不揮発的に記憶する。
【0065】
入出力I/F55は、制御回路15に操作パネル4を接続するものである。
【0066】
次に、画像読取装置1において原稿長さを判定する動作について、
図10、
図11のフローチャートを参照して説明する。
【0067】
図10のステップS1において、判定部62は、角度センサ22Aがオンになったか否かを判断する。ここで、ユーザの操作により、開閉角度θが角度θaより大きくなるまで原稿台カバー3が開かれると、角度センサ22Aがオンになる。
【0068】
角度センサ22Aがオンになったと判断した場合(ステップS1:YES)、ステップS2において、判定部62は、角度センサ22Aがオフになったか否かを判断する。ここで、原稿台11に原稿を載置したユーザにより原稿台カバー3が閉じられる際に、開閉角度θが角度θaになると、角度センサ22Aがオフになる。
【0069】
角度センサ22Aがオフになったと判断した場合(ステップS2:YES)、ステップS3において、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bの論理(検出結果)を取得する。
【0070】
次いで、ステップS4において、判定部62は、角度センサ22Bがオフになったか否かを判断する。ここで、閉じられる原稿台カバー3の開閉角度θが角度θbになると、角度センサ22Bがオフになる。
【0071】
角度センサ22Bがオフになったと判断した場合(ステップS4:YES)、ステップS5において、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bの論理を取得する。
【0072】
次いで、ステップS6において、判定部62は、原稿長さを判定する。
【0073】
具体的には、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、角度センサ22Aがオフになった時点における論理と、角度センサ22Bがオフになった時点における論理とが一致する場合、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿があると判定する。原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、角度センサ22Aがオフになった時点における論理と、角度センサ22Bがオフになった時点における論理とが一致しない場合、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿はないと判定する。判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置における原稿の有無の判定結果に基づき、原稿長さを判定する。これにより、一連の処理が終了となる。
【0074】
ステップS2において、角度センサ22Aがオフになっていないと判断した場合(ステップS2:NO)、ステップS7において、判定部62は、スタートボタンが押下されたか否かを判断する。スタートボタンが押下されていないと判断した場合(ステップS7:NO)、判定部62は、ステップS2に戻る。
【0075】
スタートボタンが押下されたと判断した場合(ステップS7:YES)、ステップS8において、判定部62は、原稿台カバー3を屈曲させる。具体的には、判定部62は、屈曲機構部46を制御して芯部材47を支持位置から退避位置へ移動させる。
【0076】
ここで、ステップS7においてスタートボタンが押下された(ステップS7:YES)と判断されるのは、原稿がブック原稿のような分厚い原稿であることで、原稿台カバー3が角度θaまで閉じない場合である。すなわち、原稿台カバー3が角度θaまで閉じないため、その状態でユーザがスタートボタンを押下した場合である。
【0077】
この場合において、上述のように芯部材47を支持位置から退避位置へ移動させることで、開閉端側部分3bが原稿台11に覆い被さるように原稿台カバー3が屈曲する。
【0078】
次いで、ステップS9において、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bの論理を取得する。
【0079】
次いで、ステップS10において、判定部62は、ステップS9で原稿有無センサ14A,14Bの論理を取得してから規定時間が経過したか否かを判断する。規定時間は、原稿有無センサ14A,14Bの誤作動を防止するために待機する時間として設定されたものである。規定時間が経過していないと判断した場合(ステップS10:NO)、判定部62は、ステップS10を繰り返す。
【0080】
規定時間が経過したと判断した場合(ステップS10:YES)、ステップS11において、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bの論理を取得する。
【0081】
次いで、判定部62は、ステップS6に進み、原稿長さを判定する。
【0082】
ここでは、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、ステップS9で取得した論理と、ステップS11で取得した論理とが一致する場合、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿があると判定する。原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、ステップS9で取得した論理と、ステップS11で取得した論理とが一致しない場合、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿はないと判定する。判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置における原稿の有無の判定結果に基づき、原稿長さを判定する。これにより、一連の処理が終了となる。
【0083】
ステップS1において、角度センサ22Aがオンになっていないと判断した場合(ステップS1:NO)、ステップS12において、判定部62は、角度センサ22Bがオンであるか否かを判断する。角度センサ22Bがオフであると判断した場合(ステップS12:NO)、判定部62は、ステップS1に戻る。
【0084】
角度センサ22Bがオンであると判断した場合(ステップS12:YES)、ステップS13において、判定部62は、スタートボタンが押下されたか否かを判断する。スタートボタンが押下されていないと判断した場合(ステップS13:NO)、判定部62は、ステップS1に戻る。
【0085】
スタートボタンが押下されたと判断した場合(ステップS13:YES)、判定部62は、ステップS8に進む。
【0086】
ここで、ステップS13においてスタートボタンが押下された(ステップS13:YES)と判断されるのは、ユーザが原稿台カバー3を角度θaまで開く前の段階で、ブック原稿のような分厚い原稿を原稿台11に載置し、原稿台カバー3が角度θbまで閉じない状態でスタートボタンを押下した場合である。
【0087】
この場合も、原稿台カバー3が角度θaまで閉じない状態でスタートボタンが押下された場合(ステップS7:YES)と同様に、上述したステップS8~S11の処理が行われ、ステップS6で原稿長さが判定される。
【0088】
ステップS4において、角度センサ22Bがオフになっていないと判断した場合(ステップS4:NO)、
図11のステップS14において、判定部62は、スタートボタンが押下されたか否かを判断する。スタートボタンが押下されていないと判断した場合(ステップS14:NO)、判定部62は、
図10のステップS4に戻る。
【0089】
スタートボタンが押下されたと判断した場合(ステップS14:YES)、
図11のステップS15において、判定部62は、原稿台カバー3を屈曲させる。具体的には、判定部62は、屈曲機構部46を制御して芯部材47を支持位置から退避位置へ移動させる。
【0090】
ここで、ステップS14においてスタートボタンが押下された(ステップS14:YES)と判断されるのは、原稿台カバー3が角度θaまで閉じた後、原稿がブック原稿のような分厚い原稿であることで、角度θbまでは閉じない場合である。すなわち、原稿台カバー3が角度θbまで閉じないため、その状態でユーザがスタートボタンを押下した場合である。
【0091】
この場合において、上述のように芯部材47を支持位置から退避位置へ移動させることで、開閉端側部分3bが原稿台11に覆い被さるように原稿台カバー3が屈曲する。
【0092】
この後、判定部62は、
図10のステップS5に進み、原稿有無センサ14A,14Bの論理を取得する。
【0093】
次いで、ステップS6において、判定部62は、原稿長さを判定する。
【0094】
ここでは、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、ステップS3で取得した論理と、ステップS15の後にステップS5で取得した論理とが一致する場合、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿があると判定する。原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、ステップS3で取得した論理と、ステップS15の後にステップS5で取得した論理とが一致しない場合、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿はないと判定する。判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置における原稿の有無の判定結果に基づき、原稿長さを判定する。これにより、一連の処理が終了となる。
【0095】
ここで、上述した原稿長さを判定する動作が行われる際の原稿台カバー3が閉じられる途中において、読取制御部61は、画像読取ユニット13に読取動作を実行させ、判定部62は、この読取動作で得られた読取データを用いて、原稿幅を判定する。そして、判定部62は、原稿長さおよび原稿幅の判定結果に基づき、原稿のサイズを判定する。
【0096】
以上説明したように、画像読取装置1では、判定部62は、原稿台カバー3が角度θaまで閉じた後、角度θbまでは閉じない場合には、開閉端側部分3bが原稿台11に覆い被さるように原稿台カバー3を屈曲させる。そして、判定部62は、原稿台カバー3が角度θaまで閉じた時点、および原稿台カバー3が屈曲した状態における原稿有無センサ14A,14Bの検出結果を用いて、原稿長さを判定し、この判定結果を用いて原稿のサイズを判定する。
【0097】
これにより、原稿がブック原稿のような分厚い原稿であっても、原稿有無センサ14A,14Bによる2回の検出結果で、原稿長さを判定でき、この判定結果を用いて原稿のサイズを判定できる。このため、制御の複雑化を抑えつつ、原稿のサイズを判定できないことを低減できる。
【0098】
また、判定部62は、原稿台カバー3が角度θaまで閉じない場合には、開閉端側部分3bが原稿台11に覆い被さるように原稿台カバー3を屈曲させる。そして、判定部62は、原稿台カバー3が屈曲した状態における原稿有無センサ14A,14Bそれぞれの2回の検出結果を用いて、原稿長さを判定する。
【0099】
これにより、より分厚い原稿であっても、原稿有無センサ14A,14Bによる2回の検出結果で、原稿長さを判定でき、この判定結果を用いて原稿のサイズを判定できる。このため、制御の複雑化を抑えつつ、原稿のサイズを判定できないことをより低減できる。
【0100】
また、判定部62は、原稿台カバー3が角度θaまで閉じない場合において、原稿台カバー3が屈曲した状態における原稿有無センサ14A,14Bによる1回目の検出結果と、2回目の検出結果とを、規定時間を空けて取得する。これにより、原稿有無センサ14A,14Bの誤作動による原稿検出エラーを低減できる。
【0101】
[第2実施形態]
次に、上述した第1実施形態の一部を変更した第2実施形態について説明する。
【0102】
図12は、第2実施形態に係る画像読取装置の原稿台カバーが閉じた状態における側面図である。
図13は、
図12に示す画像読取装置の原稿台カバーが屈曲した状態における側面図である。
【0103】
図12、
図13に示すように、第2実施形態に係る画像読取装置1Aは、上述した第1実施形態の画像読取装置1の装置本体2を、装置本体2Aに置き換えた構成である。
【0104】
装置本体2Aは、上述した第1実施形態の装置本体2に対し、原稿台カバー角度検出部12を原稿台カバー角度検出部12Aに置き換え、スライド検出部71と、ガイド部材72とを追加した構成である。
【0105】
原稿台カバー角度検出部12Aは、上述した第1実施形態の原稿台カバー角度検出部12に対し、センサ保持部材76と、遮蔽板77とを追加した構成である。
【0106】
センサ保持部材76は、角度センサ22A,22Bを保持する。センサ保持部材76は、後述するガイド部材72のガイド穴72aに沿ってスライドする原稿台カバー3の回動軸31とともに、上下方向にスライド可能になっている。
【0107】
遮蔽板77は、回動軸31の下限位置から上方向へのスライド量が規定量に達したことをスライド検出部71が検出するためのものである。遮蔽板77は、センサ保持部材76に取り付けられている。
【0108】
回動軸31のスライド量の規定量は、原稿台11に載置された原稿がブック原稿のような分厚い原稿である場合のスライド量として予め設定されたものである。
【0109】
スライド検出部71は、回動軸31のスライド量が規定量に達したときの高さ位置にある遮蔽板77を検出する。
【0110】
ガイド部材72は、原稿台カバー3の回動軸31の上下動をガイドする。ガイド部材72には、上下方向に細長いガイド穴72aが形成されており、ガイド穴72aに回動軸31が挿通されている。これにより、回動軸31が上下方向にスライド可能になっている。
【0111】
回動軸31の下限位置から上方向へのスライド量が規定量に達すると、ガイド穴72aの上端に回動軸31が当接する。回動軸31の下限位置は、原稿台11に対して原稿台カバー3が閉じた状態における回動軸31の高さ位置である。
【0112】
ここで、画像読取装置1Aにおいても、上述した第1実施形態の画像読取装置1と同様に、
図13のように原稿台カバー3が屈曲した状態では、原稿有無センサ14Aの位置に原稿がない場合でも、圧板41からの反射光により原稿有無センサ14Aがオンとなるようになっている。原稿有無センサ14Bについても同様である。
【0113】
画像読取装置1Aでは、判定部62は、原稿台カバー3が閉じられる際の回動軸31のスライド量が規定量に達した場合には、屈曲機構部46を制御して、開閉端側部分3bが原稿台11に覆い被さるように原稿台カバー3を屈曲させる。そして、判定部62は、原稿台カバー3が屈曲した状態における原稿有無センサ14A,14Bそれぞれの2回の検出結果を用いて、原稿長さを判定する。
【0114】
次に、画像読取装置1Aにおいて原稿長さを判定する動作について、
図14のフローチャートを参照して説明する。
【0115】
図14のステップS21において、判定部62は、角度センサ22Aがオンになったか否かを判断する。ここで、ユーザの操作により、開閉角度θが角度θaより大きくなるまで原稿台カバー3が開かれると、角度センサ22Aがオンになる。
【0116】
次いで、ステップS22において、判定部62は、回動軸31のスライド量が規定量に達したか否かを判断する。ここで、判定部62は、スライド検出部71が遮蔽板77を検出すると、回動軸31のスライド量が規定量に達したと判断する。原稿台11に載置された原稿がブック原稿のような分厚い原稿である場合において、ユーザにより原稿台カバー3が閉じられる際に、回動軸31が下限位置から上方向へスライドし、原稿台カバー3が角度θaまで閉じずにスライド量が規定量に達することがある。
【0117】
回動軸31のスライド量が規定量に達していないと判断した場合(ステップS23:NO)、ステップS23において、判定部62は、角度センサ22Aがオフになったか否かを判断する。ここで、原稿台カバー3が閉じられる際に、開閉角度θが角度θaになると、角度センサ22Aがオフになる。
【0118】
角度センサ22Aがオフになっていないと判断した場合(ステップS23:NO)、判定部62は、ステップS22に戻る。
【0119】
角度センサ22Aがオフになったと判断した場合(ステップS23:YES)、ステップS24において、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bの論理を取得する。
【0120】
次いで、ステップS25において、判定部62は、回動軸31のスライド量が規定量に達したか否かを判断する。ここで、原稿の厚さによっては、原稿台カバー3の開閉角度θが角度θaになった後、回動軸31のスライド量が規定量に達することがある。
【0121】
回動軸31のスライド量が規定量に達していないと判断した場合(ステップS25:NO)、ステップS26において、判定部62は、角度センサ22Bがオフになったか否かを判断する。ここで、閉じられる原稿台カバー3の開閉角度θが角度θbになると、角度センサ22Bがオフになる。
【0122】
ここで、画像読取装置1Aでは、原稿が1枚の紙であるような場合には、回動軸31がスライドすることなく、角度センサ22A,22Bがオフになる。また、回動軸31がスライドしても、原稿が比較的薄いものである場合には、スライド量が規定量に達することなく角度センサ22A,22Bがオフになることがある。スライド量が規定量に達することなく角度センサ22Bがオフになるまで原稿台カバー3が閉じた場合、原稿有無センサ14Aの位置に原稿がない場合でも、圧板41からの反射光により原稿有無センサ14Aがオンとなるようになっている。原稿有無センサ14Bについても同様である。
【0123】
角度センサ22Bがオフになっていないと判断した場合(ステップS26:NO)、判定部62は、ステップS25に戻る。
【0124】
角度センサ22Aがオフになったと判断した場合(ステップS26:YES)、ステップS27において、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bの論理を取得する。
【0125】
次いで、ステップS28において、判定部62は、原稿長さを判定する。
【0126】
具体的には、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、角度センサ22Aがオフになった時点における論理と、角度センサ22Bがオフになった時点における論理とが一致する場合、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿があると判定する。原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、角度センサ22Aがオフになった時点における論理と、角度センサ22Bがオフになった時点における論理とが一致しない場合、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿はないと判定する。判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置における原稿の有無の判定結果に基づき、原稿長さを判定する。これにより、一連の処理が終了となる。
【0127】
ステップS21において、角度センサ22Aがオンになっていないと判断した場合(ステップS21:NO)、ステップS29において、判定部62は、回動軸31のスライド量が規定量に達したか否かを判断する。回動軸31のスライド量が規定量に達していないと判断した場合(ステップS29:NO)、判定部62は、ステップS21に戻る。
【0128】
ステップS22,S25,S29において、回動軸31のスライド量が規定量に達したと判断した場合(ステップS22,S25,S29:NO)、ステップS30において、判定部62は、原稿台カバー3を屈曲させる。具体的には、判定部62は、屈曲機構部46を制御して芯部材47を支持位置から退避位置へ移動させる。
【0129】
ここで、ステップS22,S25において回動軸31のスライド量が規定量に達した(ステップS22,S25:YES)と判断されるのは、原稿がブック原稿のような分厚い原稿である場合である。また、ステップS29において回動軸31のスライド量が規定量に達した(ステップS29:YES)と判断されるのは、ユーザが原稿台カバー3を角度θaまで開く前の段階で、ブック原稿のような分厚い原稿を原稿台11に載置し、角度センサ22Aがオンにならずに回動軸31のスライド量が規定量に達した場合である。
【0130】
このような場合において、上述のように芯部材47を支持位置から退避位置へ移動させることで、開閉端側部分3bが原稿台11に覆い被さるように原稿台カバー3が屈曲する。
【0131】
この後、ステップS31に処理が進む。ステップS31~S33の処理は、前述した
図10のステップS9~S11の処理と同様である。
【0132】
ステップS33の後、判定部62は、ステップS28に進み、原稿長さを判定する。
【0133】
ここでは、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、ステップS31で取得した論理と、ステップS33で取得した論理とが一致する場合、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿があると判定する。原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれにおいて、ステップS31で取得した論理と、ステップS33で取得した論理とが一致しない場合、判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置に原稿はないと判定する。判定部62は、原稿有無センサ14A,14Bのそれぞれの位置における原稿の有無の判定結果に基づき、原稿長さを判定する。これにより、一連の処理が終了となる。
【0134】
ここで、画像読取装置1Aにおいても、上述した第1実施形態の画像読取装置1と同様に、上述した原稿長さを判定する動作が行われる際の原稿台カバー3が閉じられる途中において、読取制御部61は、画像読取ユニット13に読取動作を実行させ、判定部62は、この読取動作で得られた読取データを用いて、原稿幅を判定する。そして、判定部62は、原稿長さおよび原稿幅の判定結果に基づき、原稿のサイズを判定する。
【0135】
以上説明したように、画像読取装置1Aでは、判定部62は、原稿台カバー3が閉じられる際の回動軸31のスライド量が規定量に達した場合には、開閉端側部分3bが原稿台11に覆い被さるように原稿台カバー3を屈曲させる。そして、判定部62は、原稿台カバー3が屈曲した状態における原稿有無センサ14A,14Bそれぞれの2回の検出結果を用いて、原稿長さを判定し、この判定結果を用いて原稿のサイズを判定する。
【0136】
これにより、画像読取装置1Aでも、第1実施形態の画像読取装置1と同様に、原稿がブック原稿のような分厚い原稿であっても、原稿有無センサ14A,14Bによる2回の検出結果で、原稿長さを判定でき、この判定結果を用いて原稿のサイズを判定できる。このため、制御の複雑化を抑えつつ、原稿のサイズを判定できないことを低減できる。
【0137】
また、判定部62は、原稿台カバー3が屈曲した状態における原稿有無センサ14A,14Bによる1回目の検出結果と、2回目の検出結果とを、規定時間を空けて取得する。これにより、原稿有無センサ14A,14Bの誤作動による原稿検出エラーを低減できる。
【0138】
[その他の実施形態]
上述のように、本発明は第1および第2実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0139】
上述した第1および第2実施形態では、2つの原稿有無センサ14A,14Bを備える構成を示したが、原稿有無センサの数はこれに限らず、1つでも3つ以上でもよい。
【0140】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0141】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0142】
(付記1)
原稿台と、
前記原稿台に対して開閉可能に回動し、回動半径方向の途中で前記原稿台側へ屈曲可能な原稿台カバーと、
前記原稿台上の原稿の有無を検出するための検出部と、
前記原稿台カバーが閉じられる際に第1角度まで閉じた時点、および前記第1角度より小さい第2角度まで閉じた時点における前記検出部の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定する判定部とを備え、
前記判定部は、前記原稿台カバーが前記第1角度まで閉じた後、前記第2角度までは閉じない場合には、前記原稿台カバーの屈曲する位置より開放端側が前記原稿台に覆い被さるように前記原稿台カバーを屈曲させ、前記原稿台カバーが前記第1角度まで閉じた時点、および前記原稿台カバーが屈曲した状態における前記検出部の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定することを特徴とする画像読取装置。
【0143】
(付記2)
前記判定部は、前記原稿台カバーが前記第1角度まで閉じない場合には、前記原稿台カバーの屈曲する位置より開放端側が前記原稿台に覆い被さるように前記原稿台カバーを屈曲させ、前記原稿台カバーが屈曲した状態における前記検出部による2回の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定することを特徴とする付記1に記載の画像読取装置。
【0144】
(付記3)
原稿台と、
前記原稿台に対して開閉可能に回動し、回動半径方向の途中で前記原稿台側へ屈曲可能な原稿台カバーと、
前記原稿台上の原稿の有無を検出するための検出部と、
前記原稿台カバーが閉じられる際に第1角度まで閉じた時点、および前記第1角度より小さい第2角度まで閉じた時点における前記検出部の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定する判定部とを備え、
前記判定部は、前記原稿台カバーが前記第1角度まで閉じない場合には、前記原稿台カバーの屈曲する位置より開放端側が前記原稿台に覆い被さるように前記原稿台カバーを屈曲させ、前記原稿台カバーが屈曲した状態における前記検出部による2回の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定することを特徴とする画像読取装置。
【0145】
(付記4)
原稿台と、
前記原稿台に対して開閉可能に回動し、回動半径方向の途中で前記原稿台側へ屈曲可能な原稿台カバーと、
前記原稿台上の原稿の有無を検出するための検出部と、
前記原稿台カバーが閉じられる際に第1角度まで閉じた時点、および前記第1角度より小さい第2角度まで閉じた時点における前記検出部の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定する判定部とを備え、
前記原稿台カバーの回動軸が上下方向にスライド可能であり、
前記判定部は、前記原稿台カバーが閉じられる際の前記回動軸の上方向へのスライド量が規定量に達した場合には、前記原稿台カバーの屈曲する位置より開放端側が前記原稿台に覆い被さるように前記原稿台カバーを屈曲させ、前記原稿台カバーが屈曲した状態における前記検出部による2回の検出結果を用いて、原稿のサイズを判定することを特徴とする画像読取装置。
【0146】
(付記5)
前記判定部は、前記原稿台カバーが屈曲した状態における前記検出部による1回目の検出結果と、2回目の検出結果とを、規定時間を空けて取得することを特徴とする付記2乃至4のいずれかに記載の画像読取装置。
【符号の説明】
【0147】
1,1A 画像読取装置
2,2A 装置本体
3 原稿台カバー
3a 回動軸側部分
3b 開閉端側部分
4 操作パネル
11 原稿台
12,12A 原稿台カバー角度検出部
13 画像読取ユニット
14A,14B 原稿有無センサ
15 制御回路
21 遮蔽部材
22A,22B 角度センサ
31 回動軸
32 遮蔽部材保持部
41 圧板
46 屈曲機構部
47 芯部材
51 CPU
52 RAM
53 フラッシュメモリ
54 FeRAM
55 入出力I/F
61 読取制御部
62 判定部
71 スライド検出部
72 ガイド部材
76 センサ保持部材
77 遮蔽板