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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090033
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】血圧測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
A61B5/022 300F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205664
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】東狐 義秀
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅規
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴史
(72)【発明者】
【氏名】佐野 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】高野 佑樹
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AB02
4C017AD11
4C017FF08
(57)【要約】
【課題】カーラ及び流体袋の位置ずれを防止できるとともに、外観性がよく、且つ、精度が高い血圧測定装置を提供すること。
【解決手段】血圧測定装置は、装置本体と、前記装置本体に固定されるカーラと、前記カーラの内面に固定され、流体により膨張する流体袋と、前記カーラの外面、又は、前記カーラの外面及び前記流体袋の外面と一体に設けられ、外面に面ファスナーを有するバンドと、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に固定されるカーラと、
前記カーラの内面に固定され、流体により膨張する流体袋と、
前記カーラの外面、又は、前記カーラの外面及び前記流体袋の外面と一体に設けられ、外面に面ファスナーを有するバンドと、
を備える血圧測定装置。
【請求項2】
前記カーラは、前記流体袋の長手方向の長さよりも長く形成され、生体の装着する部位の周方向の形状に倣って弾性変形可能に形成され、
前記バンドは、前記カーラの外周面に設けられるとともに、前記カーラの一端から延出する、請求項1に記載の血圧測定装置。
【請求項3】
前記カーラは、低硬度材料により形成されるとともに、前記装置本体に固定される、前記低硬度材料よりも高い硬度の高硬度材料がインサートされた被固定部を有し、
前記バンドは、前記カーラよりも伸びにくい材料で形成される、請求項2に記載の血圧測定装置。
【請求項4】
前記装置本体は、前記バンドを折り返すループ部を有する、請求項1に記載の血圧測定装置。
【請求項5】
前記カーラの両端は、少なくとも装着を想定する生体の周方向の長さが最も小さい長さの前記生体に装着したときに、前記カーラの一方が他方にオーバーラップする、請求項1に記載の血圧測定装置。
【請求項6】
前記カーラの一端は、前記カーラの前記一端にオーバーラップする他端よりも曲率半径が小さい、請求項5に記載の血圧測定装置。
【請求項7】
前記カーラの前記一端にオーバーラップする前記他端を、前記一端の外側に案内する案内部を備える、請求項6に記載の血圧測定装置。
【請求項8】
前記案内部は、前記カーラの前記一端又は前記他端に設けられ、前記他端を外側に移動させる突起である、請求項7に記載の血圧測定装置。
【請求項9】
前記案内部は、前記流体袋の端部を覆い、前記カーラから延出する前記バンドの内面に設けられたシート部材である、請求項7に記載の血圧測定装置。
【請求項10】
前記カーラは、低硬度材料、及び、低硬度材料にインサートされた前記低硬度材料よりも高い硬度の高硬度材料により形成される前記装置本体に固定される被固定部により形成され、
前記流体袋の外面は、前記被固定部及び前記バンドに、一体に固定される、請求項1に記載の血圧測定装置。
【請求項11】
前記カーラの一方の端部の内面に、前記流体袋と前記カーラの長手方向で離間して設けられ、生体の情報を検出するセンサを備える、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の血圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧の測定に用いる血圧測定装置は、医療施設においてのみならず、家庭内においても、健康状態を確認する手段として利用されている。血圧測定装置は、例えば、生体の上腕又は手首等に巻き付けたカフを膨張及び収縮させ、圧力センサによりカフの圧力を検出することで、動脈壁の振動を検出して血圧を測定する。
【0003】
また、血圧測定装置として、手首に装着するウェアラブル血圧計が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなウェアラブル血圧計では、空気袋とカーラは接合されているが、カーラとバンドは接合されていない。このためカーラとバンドとの位置ずれが発生する虞がある。位置ずれが発生すると、空気袋及びカーラをバンドで抑えることができない部分が発生し、測定精度の低下や空気袋の劣化等の要因となる虞もある。また、バンドの補強のためインサート材を入れることも行われているが、バンドの製造コストが高くなる。
【0004】
また、位置ずれを防止するために、空気袋、カーラ及び空気袋を内布、外布で構成される布袋内に配置する、一般の手首式の血圧測定装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-174860号公報
【特許文献2】特開2020-65651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したカーラ及び空気袋を布袋内に配置する血圧測定装置では、内布は空気袋の膨らみを阻害しないように伸びやすい材料を使用する必要がある。このため、手首に装着する血圧測定装置とすると、装着したときに曲率半径が小さい形状となり、大きなたるみや皺が内布に生じ、外観の低下に繋がる。
【0007】
そこで、本発明は、バンドとカーラ及び流体袋との位置ずれを防止できるとともに、外観性がよく、且つ、精度が高い血圧測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によれば、装置本体と、前記装置本体に固定されるカーラと、前記カーラの内面に固定され、流体により膨張する流体袋と、前記カーラの外面、又は、前記カーラの外面及び前記流体袋の外面と一体に設けられ、外面に面ファスナーを有するバンドと、を備える血圧測定装置が提供される。
【0009】
この態様によれば、バンドがカーラの外面と一体に形成されるか、又は、バンドがカーラ及び流体袋の外面と一体に形成されることから、流体袋を生体に向かって締め付けるバンドとカーラ及び/又は流体袋との位置ずれが生じることを防止できる。よって、血圧測定装置は、流体袋を生体に安定して押しつけることができることから、血圧測定の精度が安定するとともに、流体袋の劣化を防止可能となる。また、バンドは、カーラ51の外周面に設ける構成とすることで、たるみや皺が生じることを防止できるため、血圧測定装置は、高い外観性を得ることができる。
【0010】
上記一態様のカフ構造体であって、前記カーラは、前記流体袋の長手方向の長さよりも長く形成され、生体の装着する部位の周方向の形状に倣って弾性変形可能に形成され、
前記バンドは、前記カーラの外周面に設けられるとともに、前記カーラの一端から延出する、血圧測定装置が提供される。
【0011】
この態様によれば、カーラが弾性変形して生体の形状に倣って弾性変形するとともに、バンドが一対の面ファスナーによって、カーラを固定することができるため、流体袋を生体に押圧することができる。
【0012】
上記一態様のカフ構造体であって、前記カーラは、低硬度材料により形成されるとともに、前記装置本体に固定される、前記低硬度材料よりも高い硬度の高硬度材料がインサートされた被固定部を有し、前記バンドは、前記カーラよりも伸びにくい材料で形成される、血圧測定装置が提供される。
【0013】
この態様によれば、比較的低硬度の材料によりカーラを形成しても、バンドにより流体袋を生体に向かって押圧し、そして、面ファスナーによって締結したときに、カーラを生体に倣って曲げ変形させることができる。加えて、カーラは、カーラよりも伸びにくい材料で形成されたバンドによって外周面が覆われる構成である。これにより、流体袋が膨張したときに、カーラが径方向外方へと変形することを抑制できる。よって、カーラは、生体の形状に倣って弾性変形し易く、また、血圧測定時に、カーラが径方向外方に変形することを抑制し、流体袋を生体に向かって、効率良く押圧することができる。
【0014】
また、カーラは、装置本体に固定される被固定部を、カーラを形成する材料よりも高い硬度の高硬度材料がインサートすることで形成されるため、装置本体に取り付けられる被固定部の強度を向上させることができる。
【0015】
上記一態様のカフ構造体であって、前記装置本体は、前記バンドを折り返すループ部を有する、血圧測定装置が提供される。
【0016】
この態様によれば、バンドは、カーラを締結することが容易となり、生体に安定して流体袋を密着させることが可能となる。
【0017】
上記一態様のカフ構造体であって、前記カーラの両端は、少なくとも装着を想定する生体の周方向の長さが最も小さい長さの前記生体に装着したときに、前記カーラの一方が他方にオーバーラップする、血圧測定装置が提供される。
【0018】
この態様によれば、カーラの両端の一方が他方にオーバーラップすることで、周長の長さが異なる生体のいずれに装着しても、流体袋を生体に接触させることができる。即ち、血圧測定装置は、カーラの両端が周方向で当接し、生体と流体袋との間に隙間が生じることを防止し、流体袋が生体に密着可能となる。
【0019】
上記一態様のカフ構造体であって、前記カーラの一端は、前記カーラの前記一端にオーバーラップする他端よりも曲率半径が小さい、血圧測定装置が提供される。
【0020】
この態様によれば、バンドによる締結前において、カーラの他端が一端よりも径方向外方に位置することから、バンドによる締結時に、カーラの他端を一端の外側に配置することができる。よって、血圧測定装置は、バンドによりカーラを締め付けたときに、端部同士をオーバーラップし易く、且つ、カーラを手首生体に巻きやすくなる。
【0021】
上記一態様のカフ構造体であって、前記カーラの前記一端にオーバーラップする前記他端を、前記一端の外側に案内する案内部を備える、血圧測定装置が提供される。
【0022】
この態様によれば、案内部によって、カーラの一端に他端を案内できることから、カーラの端部同士をオーバーラップさせることが容易となる。
【0023】
上記一態様のカフ構造体であって、前記案内部は、前記カーラの前記一端又は前記他端に設けられ、前記他端を外側に移動させる突起である、血圧測定装置が提供される。
【0024】
この態様によれば、案内部を突起により形成することで、カーラの一端及び他端の一方から他方へと案内し易くなる。
【0025】
上記一態様のカフ構造体であって、前記案内部は、前記流体袋の端部を覆い、前記カーラから延出する前記バンドの内面に設けられたシート部材である、血圧測定装置が提供される。
【0026】
この態様によれば、流体袋及びカーラの他端をシート部材で覆うことで、カーラの一端が流体袋及びカーラに周方向で干渉することを抑制できる。
【0027】
上記一態様のカフ構造体であって、前記カーラは、低硬度材料、及び、低硬度材料にインサートされた前記低硬度材料よりも高い硬度の高硬度材料により形成される前記装置本体に固定される被固定部により形成され、前記流体袋の外面は、前記被固定部及び前記バンドに、一体に固定される、血圧測定装置が提供される。
【0028】
この態様によれば、比較的低硬度の材料によりカーラを形成しても、バンドにより流体袋を生体に向かって押圧し、そして、面ファスナーによって締結したときに、カーラを生体に倣って曲げ変形させることができる。加えて、流体袋は、バンドによって外周面が覆われる構成である。これにより、流体袋が膨張したときに、流体袋が径方向外方へと変形することを抑制できる。よって、流体袋は、生体の形状に倣って変形し易く、また、血圧測定時に、流体袋が径方向外方に変形することを抑制し、流体袋を生体に向かって、効率良く押圧することができる。
【0029】
また、カーラは、装置本体に固定される被固定部を、カーラを形成する材料よりも高い硬度の高硬度材料がインサートすることで形成されるため、装置本体に取り付けられる被固定部の強度を向上させることができる。
【0030】
上記一態様のカフ構造体であって、前記カーラの一方の端部の内面に、前記流体袋と前記カーラの長手方向で離間して設けられ、生体の情報を検出するセンサを備える、血圧測定装置が提供される。
【0031】
この態様によれば、生体の情報を検出するセンサをカーラに設けることで、生体にセンサを接触させることが可能となり、血圧以外の生体の情報を検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、カーラ及び流体袋の位置ずれを防止できるとともに、外観性がよく、且つ、精度が高い血圧測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図2】同血圧測定装置の構成を示す側面図。
図3】同血圧測定装置の構成を、手首に装着した状態で示す側面図。
図4】同血圧測定装置の構成を示すブロック図。
図5】同血圧測定装置に用いられるカフ構造体及びバンドの構成を示す斜視図。
図6】本発明の他の実施形態に掛かるカフ構造体の要部構成を示す側面図。
図7】本発明の他の実施形態に掛かるカフ構造体の要部構成を示す側面図。
図8】本発明の他の実施形態に掛かるカフ構造体の要部構成を示す側面図。
図9】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図10】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図11】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態に係る血圧測定装置1の一例について、図1乃至図5を用いて以下説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施形態に係る血圧測定装置1の構成を示す斜視図であり、図2は、血圧測定装置1の構成を示す側面図である。図3は、血圧測定装置1の構成を、手首300に装着した状態で示す側面図である。図4は、血圧測定装置1の装置本体3の構成を示すブロック図である。図5は、血圧測定装置1に用いられるカフ構造体4及びバンド5の構成を示す斜視図である。
【0036】
血圧測定装置1は、生体に装着する電子血圧測定装置である。本実施形態の例では、血圧測定装置1は、図3に示すように、手首300に装着するウェアラブルデバイスである。血圧測定装置1は、例えば、手首300の動脈311、312から血圧を測定する態様を持つ電子血圧測定装置である。
【0037】
図1乃至図3に示すように、血圧測定装置1は、例えば、装置本体3と、カフ構造体4と、バンド5と、を備える。
【0038】
図1乃至図4に示すように、装置本体3は、例えば、筐体11と、表示部12と、操作部13と、ポンプ14と、加速度センサ15と、弁16と、圧力センサ17と、電池18と、通信部19と、充電回路部21と、メモリ22と、プロセッサ23と、を備える。
【0039】
筐体11は、装置本体3の構成要素を収容するケースである。筐体11は、例えば、表示部12、操作部13、ポンプ14、加速度センサ15、弁16、圧力センサ17、電池18、通信部19、生体センサ20、充電回路部21、メモリ22、プロセッサ23を収容する。また、筐体11は、例えば、流体回路24及び基板25を収容する。ここで、流体回路24は、例えば、ポンプ14からカフ構造体4へ供給する流体の流路を形成する管や流路板、カフ構造体4へ供給する流体の供給量や圧力を制御する流体抵抗等の構成部品、流体の流れ方向を制御するチェックバルブを含み得る。また、基板25には、例えば、加速度センサ15、通信部19、充電回路部21の回路構成、メモリ22及びプロセッサ23が実装される。
【0040】
筐体11は、例えば、外郭ケース31と、外郭ケース31の上部開口を覆う風防32と、外郭ケース31の下方を覆う裏蓋33と、を備えている。
【0041】
外郭ケース31は、例えば円筒状、矩形筒状、多角形筒状等に形成される。本実施形態において、外郭ケース31は、矩形筒状に形成される例を示す。外郭ケース31は、外周面の一面に設けられたループ部31aを有する。ループ部31aは、バンド5を通し、そして、バンド5を折り返すために、バンド5を挿通可能な一方向に長い開口を有する矩形環状の部材である。ループ部31aは、外郭ケース31の外側面に一体に形成される。風防32は、外郭ケース31の外周縁形状と同様の形状、本実施形態においては矩形状のガラス板である。なお、風防32は、透明又は透光性を有する材料であれば、ガラス板に限定されない。裏蓋33は、外郭ケース31の底を閉塞する。なお、筐体11は、裏蓋33を有さず、筐体11に固定されるカフ構造体4の後述するカーラ51で外郭ケース31の底を閉塞する構成としてもよい。
【0042】
表示部12は、風防32の直下に配置される。表示部12は、電気的にプロセッサ23に接続される。表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。表示部12は、日時、最高血圧及び最低血圧などの血圧値、心拍数等の測定結果、電池18の充電状況や残量等の情報を含む各種情報を表示する。表示部12は、例えば、平面視で、風防32と同形状に形成される。
【0043】
操作部13は、ユーザからの指令を入力可能に構成される。操作部13は、例えば、筐体11に設けられた複数の釦41と、釦41の操作を検出するセンサと、表示部12又は風防32に設けられたタッチパネル43と、を備えている。操作部13は、ユーザが操作することで、指令を電気信号に変換する。センサ及びタッチパネル43は、電気的にプロセッサ23に接続され、電気信号をプロセッサ23へ出力する。
【0044】
ポンプ14は、例えば圧電ポンプである。ポンプ14は、例えば流体としての空気を圧縮し、流体回路を介して圧縮空気をカフ構造体4の後述する押圧カフ52及びセンシングカフ54に供給する。ポンプ14は、電気的にプロセッサ23に接続される。
【0045】
加速度センサ15は、例えば、3軸加速度センサである。加速度センサ15は、例えば、加速度を測定し、アナログ信号を出力する。加速度センサ15は、例えば、A/D変換回路を介して、プロセッサ23に接続される。
【0046】
弁16は、例えば、開閉弁である。弁16は、ポンプ14とカフ構造体4とを接続する流体回路、及び/又は、カフ構造体4と待機とを接続する流体回路を開閉する。弁16は、プロセッサ23に電気的に接続される。例えば、弁16は、プロセッサ23の制御によって開閉される。
【0047】
具体例として、弁16は、カフ構造体4の後述する押圧カフ52及びセンシングカフ54に供給された空気を大気に開放する安全用の弁である。弁16は、例えば、血圧測定時に押圧カフ52及びセンシングカフ54へ空気を供給するときにおいて、プロセッサ23に制御されることで閉状態に切り替えられる。また、弁16は、押圧カフ52及びセンシングカフ54を排気するときにおいて、プロセッサ23に制御されることで閉状態から開状態へ切り替えられる。また、弁16は、開度の調整が可能に形成されていてもよい。なお、弁16は、流体回路24上に設けられていても良く、また、ポンプ14の筐体の内部に一体的に設けられてもよい。
【0048】
圧力センサ17は、例えば、流体回路24に設けられる。圧力センサ17は、押圧カフ52及び/又はセンシングカフ54の圧力を検出する。例えば、圧力センサ17は、センシングカフ54の圧力を検出する。圧力センサ17は、例えば、A/D変換回路を介して、電気的にプロセッサ23に接続され、検出した圧力を電気信号に変換し、プロセッサ23へ出力する。
【0049】
電池18は、例えば、充放電可能なリチウムイオンバッテリ等の二次電池である。電池18は、プロセッサ23に電気的に接続される。電池18は、プロセッサ23に電力を供給する。電池18は、プロセッサ23の各構成、並びに、プロセッサ23を介して表示部12、操作部13、ポンプ14、加速度センサ15、弁16、圧力センサ17及び通信部19に、駆動用の電力を供給する。
【0050】
通信部19は、外部の装置と無線及び/又は有線によって情報を送受信可能に構成される。通信部19は、例えば、無線通信の規格に準拠した無線通信モジュールである。通信部19は、例えば、プロセッサ23によって制御された情報や測定された血圧値及び脈拍等の情報を、外部の装置へ送信し、また、外部の装置からソフトウェア更新用のプログラム等を受信して制御部に送る。本実施形態において、外部の装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、スマートウォッチ等の外部端末である。
【0051】
本実施形態において、通信部19及び外部端末は、直接接続されてもよく、ネットワークを介して接続されてもよい。通信部19及び外部端末は、4G、5Gといった携帯通信網や、Wimax、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信回線を介して接続されてもよい。また、通信部19及び外部の装置は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、NFC(Near Filed Communication)、赤外線通信といった無線通信手段により接続されてもよい。また、通信部19は、例えば、無線通信モジュールに加え、マイクロUSB(Universal Serial Bus)等の汎用コネクタや血圧測定装置1用の専用コネクタを有し、USBケーブル等の各種ケーブルにより、外部端末と、直接、又は、LAN(Local Area Network)接続といった有線通信回線を介して接続されてもよい。このため、通信部19は、無線アンテナ及びマイクロUSBコネクタ等の複数の通信手段を含む構成であってもよい。なお、有線通信用のコネクタは、血圧測定装置1用の専用のコネクタであってもよい。
【0052】
生体センサ20は、手首300と接触又は対向することで、生体の情報を検出可能に形成されたセンサである。生体センサ20は、検出した生体の情報を電気信号に変換し、プロセッサ23へ出力する。生体センサ20は、例えば、心拍数、体温等の物理量を計測するセンサであってもよく、また、血糖値や血中酸素濃度などの化学的な値を計測するセンサであってもよい。例えば、生体センサ20は、筐体11の裏蓋33及び/又はカフ構造体4の後述するカーラ51に設けられる。本実施形態において、生体センサ20は、カーラ51に設けられる例を示す。なお、血圧測定装置1は、生体センサ20を有さない構成であってもよい。生体センサ20は、例えば、基板25とポゴピン26及びFPC(Flexible Printed Circuits)27を介して接続される。ここで、ポゴピンとは、例えば、スプリングプローブやコンタクトプローブである。
【0053】
充電回路部21は、例えば、アンテナ部211と、受電部212と、充電部213と、を備える。充電回路部21は、ワイヤレス給電により電池18を充電する。例えば、充電回路部21は、外部に設けられる送電装置100のアンテナ部103から送電される送電電力を受電し、電池18を充電する。
【0054】
アンテナ部211は、送電装置のアンテナ部からの送電電力を受電する。アンテナ部211は、例えば、受電共振回路としての受電コイルである。アンテナ部211は、受電した電力を受電部212へ供給する。アンテナ部211の受電面は、平面状に形成される。アンテナ部211は、例えば、筐体11内に配置される。具体例として、アンテナ部211は、筐体11内であって、表示部12の風防32とは反対側に、表示部12と隣接して設けられる。アンテナ部211は、例えば、共振用コンデンサを含み、受電共振回路を構成する。
【0055】
受電部212は、アンテナ部211で受電した電力を整流し、充電部213へ供給する。具体例として、受電部212は、アンテナ部211から供給される受電電力を整流し、交流から直流に変換する。例えば、受電部212は、整流回路及び制御回路を含み、制御回路により整流回路の動作を制御し、整流した直流電力を充電部213へ出力する。
【0056】
充電部213は、受電部212から供給される電力を充電用の電力として、電池18へ供給する。例えば、充電部213は、受電部212から供給された電力を、所定の電流値及び電圧値に変換して電池18に供給する。また、例えば、充電部213は、電池18の充電状態を受電部212及び/又はプロセッサ23に出力する回路を有していても良い。
【0057】
メモリ22は、例えば、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を含む。メモリ22は、各種データを記憶する。例えば、メモリ22は、血圧測定装置1全体及びポンプ14を制御するためのプログラム及びアプリケーション等の各種プログラムデータ、血圧測定装置1の各種機能を設定するための設定データ、圧力センサ17で計測された圧力から血圧値や脈拍を算出するための算出データ等を変更可能に予め格納される。
【0058】
プロセッサ23は、メモリ22に格納されたプログラムに基づいて血圧測定装置1全体の動作、並びに、ポンプ14及び弁16の動作を制御し、所定の動作(機能)を実行させる。また、プロセッサ23は、読み込んだプログラムに従い、所定の演算、解析、処理等を実行する。プロセッサ23は、CPU等の演算装置である。プロセッサ23は、例えば、メインCPUに加え、サブCPUを含み得る。また、プロセッサ23は、実行した各種動作及び演算、解析、処理等の状況や結果をプログラム又はアプリケーションにより表示部12に表示する。
【0059】
カフ構造体4は、例えば、カーラ51と、押圧カフ52と、背板53と、センシングカフ54と、を備える。カフ構造体4は、カーラ51、押圧カフ52、背板53、及びセンシングカフ54が積層されることで構成される。
【0060】
以下、カフ構造体4の具体例を図1乃至図3図5を用いて説明する。図1乃至図3図5に示すように、カフ構造体4は、カーラ51と、押圧カフ52と、背板53と、センシングカフ54と、を備える。
【0061】
カーラ51は、例えば、一端側が筐体11の手首側に固定される。カーラ51は、手首300の周方向に倣う形状に湾曲する帯状に形成される。カーラ51は、樹脂材料で構成される。カーラ51は、可撓性及び形状保持性を有する、低硬度の材料で形成される。ここで、可撓性とは、カーラ51にバンド5の外力が印加されたときに径方向に形状が変形することをいう。形状保持性とは、外力が印加されないときに、カーラ51が予め賦形された形状を維持できることをいう。即ち、カーラ51は、圧縮変形しないか又は圧縮変形を略しないが、形状、特に、湾曲する部位の曲率が変わる曲げ変形等の弾性変形が可能な硬さの樹脂材料で形成される。よって、カーラ51は、外力が印加されることで、曲げ変形し、装着する手首の形状に倣って、その手首300が配置される内部空間が大きく、又は、小さくなるように、弾性変形可能に形成される。例えば、カーラ51は、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(Thermoplastic Polyurethane、以下TPUと表記する)により形成される。
【0062】
例えば、カーラ51には、外周面にバンド5を配置して固定する溝51aが形成される。換言すると、カーラ51は、外周面の長手方向に沿った一対の縁部に、長手方向に沿った一対の壁51bを有し、この一対の壁51bの間が、バンド5を配置して固定する溝51aとなる。例えば、溝51aはカーラ51の外周面に沿って、カーラ51の一方の端部から他方の端部まで形成される。
【0063】
また、カーラ51は、筐体11に固定される部位から一方側が他方側よりも長く形成される。カーラ51の両端は、例えば、装着が想定される使用者のうち、最も周長が長い手首300及び最も周長が短い手首300のいずれに装着したときにも、手首300の手の平側及び手の甲側の間となる手首300の一方の側部に位置する長さ及び形状に形成される。カーラ51は、例えば、いずれか一方の端部が他方の端部に重なる形状に形成される。カーラ51は、例えば、両端が重なった状態で径方向内方に位置する端部の端面が、重なる端部側を向くように傾斜する。また、カーラ51は、長手方向の全てが手首300の形状に倣うように湾曲する形状であってもよく、一部が平板状に形成されていてもよい。
【0064】
具体例として、カーラ51は、例えば、筐体11の外郭ケース31又は裏蓋33に固定される。また、カーラ51は、裏蓋33に固定される、平板状に形成される被固定部61と、被固定部61の一端に設けられ、所定の曲率半径で湾曲する第1湾曲部62と、被固定部61の他端に設けられ、所定の曲率半径で湾曲する第2湾曲部63と、を備える。
【0065】
被固定部61は、例えば、インサート成型により、PC(polycarbonate)等の高強度材料で形成された補強材がインサートされる。インサートされる補強材は、カーラ51を形成する材料、本実施形態ではTPUよりも高い硬度の材料である。また、被固定部61には、例えば、カーラ51を筐体11に固定するためのネジ等の締結部材、接続部73、83、流体回路24に設けられる弁等を配置する孔が形成される。
【0066】
第1湾曲部62は、被固定部61から手首300の一方の側部までの長さに形成される。また、第1湾曲部62の端部側の内面には、例えば、生体センサ20が設けられる。第2湾曲部63は、被固定部61から手首300の他方の側部及び手首300の手の平側を超えて、第1湾曲部62の端部が配置される手首300の一方の側部までの長さに形成される。
【0067】
例えば、図2中に二点鎖線で示すように、カーラ51に外力が印加される前の状態において、第2湾曲部63の端部は、第1湾曲部62の端部よりも径方向で外方に位置するとともに、周方向で離間し、第1湾曲部62及び第2湾曲部63の端部が離間する構成であってもよい。具体例として、第2湾曲部63は、第2湾曲部63の手の平側から端部側までが、全領域又は一部において、ストレート状に形成されるか、第1湾曲部62の端部側の曲率半径よりも大きい単一の曲率半径の曲面状若しくは異なる複数の曲率半径を有する曲面状に形成されるか、又は、これらストレート状及び曲面状の組み合わせにより形成される。
【0068】
また、カーラ51をバンド5により手首300側に締め付けたときに、例えば、第1湾曲部62の端部及び第2湾曲部63の端部の一方は、他方よりも径方向で外方に位置するオーバーラップが可能に形成される。具体例として、図2及び図3に示すように、第2湾曲部63の端部は、第1湾曲部62の端部よりも径方向で外方に位置し、バンド5で手首300にカーラ51を締め付けたときに、第1湾曲部62の外面側に第2湾曲部63が重なることが可能に形成される。換言すると、第2湾曲部63の端部は、第1湾曲部62の端部にオーバーラップ可能に形成される。例えば、第1湾曲部62は、内周面側が外周面側よりも長く形成されることで、端面が第1湾曲部62の長手方向に対して傾斜する。
【0069】
なお、例えば、第1湾曲部62及び第2湾曲部63の長さは、装着が想定される全ての手首300において、第1湾曲部62及び第2湾曲部63がオーバーラップする構成であってもよい。また、例えば、第1湾曲部62及び第2湾曲部63は、特定の周長の手首300、例えば、血圧測定装置1の装着が想定される手首300のうち、周長が中央値の手首300から周長が最も短い手首300に装着したときに、第1湾曲部62及び第2湾曲部63がオーバーラップする構成であってもよい。
【0070】
また、第1湾曲部62及び第2湾曲部63のうち、オーバーラップしたときに径方向で内方に位置する第1湾曲部62又は第2湾曲部63の内面に、生体センサ20が設けられるセンサ取付部が形成される。本実施形態において、第1湾曲部62にセンサ取付部が形成され、第1湾曲部62の先端側の内面に生体センサ20が取り付けられる。センサ取付部は、カーラ51の内周面に固定される押圧カフ52及びセンシングカフ54の空気袋71、81と、カーラ51の周方向で離間して設けられる。
【0071】
また、第1湾曲部62及び第2湾曲部63の長さは、いずれの周長の手首300であっても、第2湾曲部63が手首300の2つの動脈311、312が存する部位と対向するとともに、第2湾曲部63が手首300の側部の一部に配置されるとともに、第1湾曲部62の端部及び第2湾曲部63の端部が離間する長さである。ここで、2つの動脈311、312とは、橈骨動脈311及び尺骨動脈312である。
【0072】
カーラ51は、例えば、被固定部61及び第1湾曲部62の境界(稜部)、並びに、被固定部61及び第2湾曲部63の境界(稜部)において、最も曲率が大きくなる。
【0073】
このようなカーラ51は、例えば、矩形平板状にインサート成型された後、バンド5が溝51aに接着され、そして、成形型を用いて湾曲する所定の形状に形成される。
【0074】
押圧カフ52は、カーラ51の内周面に、両面テープ、接着剤及び熱溶着等により固定される。押圧カフ52は、少なくとも第2湾曲部63の手首300の動脈が存する領域に設けられる。具体例として、押圧カフ52は、被固定部61及び第1湾曲部62の稜部を含む第1湾曲部62の被固定部61側から第2湾曲部63の端部側までの、カーラ51の長手方向の領域に設けられる。押圧カフ52は、カーラ51の内面に沿う。
【0075】
押圧カフ52は、流体回路24を介して、ポンプ14に流体的に接続される。押圧カフ52は、一方の主面がカーラ51の内面に固定される。押圧カフ52は、膨張することで、手首300の手の甲側を押圧するとともに、背板53及びセンシングカフ54を手首300側に向かって押圧する。
【0076】
押圧カフ52は、例えば、単数又は複数の空気袋71と、空気袋71に設けられ、流体回路24に接続されるニップル等の接続部73と、を備えている。ここで、空気袋71とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋であればよい。空気袋71は、一方向に長い矩形袋状に形成される。
【0077】
空気袋71は、複数のシート部材を熱溶着等によって袋状に形成される。例えば、押圧カフ52が複数の空気袋71を有する構成であるときは、複数の空気袋71は、積層され、溶着等により一体に形成されるとともに、流体的に連続する。空気袋71を形成するシート部材は、例えば、熱可塑性エラストマーにより形成される。ここで、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、TPUである。
【0078】
背板53は、押圧カフ52の手首300側の面に、両面テープや接着剤等により固定される。背板53は、樹脂材料により形成される。背板53は、例えば、一方向に長い矩形板状に形成される。なお、背板53は、例えば、分割される構成、即ち、複数の矩形状の小片を一方向に並べて形成されていてもよい。背板53は、形状追従性を有する。
【0079】
ここで、形状追従性とは、配置される手首300の被接触箇所の形状を倣うように背板53が変形可能な機能をいい、手首300の被接触箇所とは、手首300の背板53と接触する領域をいい、ここでの接触とは、背板53の直接的な接触及び背板53のセンシングカフ54を介した間接的な接触の双方を含む。
【0080】
センシングカフ54は、背板53の手首側の主面に固定される。センシングカフ54は、手首300の動脈311、312が存する領域に直接、又は、カバー等を介して間接的に接触する。センシングカフ54は、一方向に長い矩形状に形成される。なお、センシングカフ54は、手首300の一方の動脈311、312が存する領域に接触する構成であってもよい。センシングカフ54は、長手方向において、押圧カフ52よりも小さい。また、センシングカフ54は、短手方向において、押圧カフ52と同じか、又は、押圧カフ52よりも小さい。センシングカフ54は、背板53の長手方向及び幅方向で、背板53と同一形状か、又は、背板53よりも小さい。センシングカフ54は、膨張することで手首の手の平側の動脈が存する領域を圧迫する。センシングカフ54は、膨張した押圧カフ52により、背板53を介して生体側に押圧される。
【0081】
具体例として、センシングカフ54は、空気袋81と、空気袋81に流体的に接続される流路体82と、流路体82に設けられる接続部83と、を備えている。空気袋81及び流路体82は、複数のシート部材を熱溶着等によって袋状に形成される。空気袋81及び流路体82を形成するシート部材は、例えば、熱可塑性エラストマーにより形成される。ここで、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、TPUである。
【0082】
ここで、空気袋81とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は当該流体により膨張する流体袋等であってもよい。空気袋81は、一方向に長い矩形状に構成される。
【0083】
流路体82は、例えば、空気袋81の長手方向の一方の縁部の一部に一体に設けられる。流路体82は、空気袋81の装置本体3に近い端部に設けられる。また、流路体82は、空気袋81の短手方向の幅よりも小さい幅で一方向に長い形状に形成されている。流路体82は、先端に接続部83が一体に設けられる。流路体82は、接続部83を介して流体回路24に接続され、流体回路24と空気袋81との間の流路を構成する。接続部83は、例えばニップルである。
【0084】
バンド5は、帯状に形成される。バンド5は、例えば、一方にフックが、他方にループが形成された一対の面ファスナー5aを有し、互いに係合することで、ループ部31aに端部側が挿入されたバンド5を固定する。
【0085】
バンド5は、カーラ51又は押圧カフ52と一体に形成され、カーラ51又は押圧カフ52を手首300に締結し、押圧カフ52及びセンシングカフ54を手首300に密着させる。即ち、バンド5は、カーラ51を手首300側に変形させるように締め付けて、押圧カフ52及びセンシングカフ54を手首300に向かって押圧可能に形成される。
【0086】
本実施形態において、バンド5は、カーラ51の溝51aに溶着又は貼付され、カーラ51と一体に形成される。また、バンド5は、カーラ51の第1湾曲部62又は第2湾曲部63のうち、オーバーラップしたときに外側に位置する一方の端部から延出する。本実施形態において、バンド5は、第2湾曲部63の端部から延出し、そして、ループ部31aは、外郭ケース31の第1湾曲部62が設けられる側の外面に設けられる。また、バンド5は、装着が想定される最大周長の手首300を締結したときに、外郭ケース31に設けられたループ部31aに挿入されるとともに、折り返し可能な長さが、第2湾曲部63から延出する。
【0087】
バンド5は、例えば、布材の一方の主面に一対の面ファスナー5aが設けられ、他方の主面にカーラ51の溝51aが張り付けられる。バンド5の布材は、カーラ51よりも伸びにくい材料に形成される。バンド5は、布材がカーラ51に貼付されることで、カーラ51を補強する。換言すると、バンド5は、布材をカーラ51よりも伸びにくい材料に形成し、そして、カーラ51に貼付されることで、カーラ51の径方向で外側への変形を抑制する。
【0088】
次に、装置本体3の充電回路部21に送電する送電装置100の一例を説明する。
図4に示すように、送電装置100は、電源101と、送電部102と、アンテナ部103と、を備える。電源101は、例えば、商用電源等に接続されるACアダプタ等である。電源101は、商用電源から入力される交流電力を直流電力に変換し、直流電力を送電部102に供給する。
【0089】
送電部102は、電源101から供給される直流電力を、送電電力としての交流電力を生成し、アンテナ部103に供給する。送電部102は、例えば、アンテナ部103による送電共振回路の共振周波数と同一、あるいは略同一の周波数の交流電力を生成する。
【0090】
アンテナ部103は、例えば、送電共振回路としての送電コイルである。アンテナ部103の送電面は、平面状に形成される。アンテナ部103は、装置本体3のアンテナ部211へ送電する。アンテナ部103は、例えば、共振用コンデンサを含み、送電共振回路を構成する。
【0091】
このように構成される血圧測定装置1によれば、バンド5をカーラ51の外周面に一体に設ける構成としたことで、バンド5及びカーラ51との位置ずれ、即ち、バンド5とカーラ51の内周面に設けられた押圧カフ52との位置ずれが生じない。これにより、安定して押圧カフ52及びセンシングカフ54を手首に向かって押しつけることができるため、血圧測定精度の安定化、及び、空気袋71、81の劣化の防止が可能となる。
【0092】
また、バンド5をカーラ51の外周面に設ける構成であることから、バンド5にたるみや皺が生じることがなく、高い外観性を得ることができる。
【0093】
また、カーラ51は、押圧カフ52の長手方向の長さよりも長く形成され、そして、バンド5は、カーラ51の外周面に一体に張り付けられるとともに、カーラ51の第2湾曲部63の端部から延出する。このため、バンド5は、一対の面ファスナー5aによって、手首300にカーラ51を締め付けることで、カーラ51が弾性変形して手首300の形状に倣って弾性変形させて、固定することができる。
【0094】
また、カーラ51は、TPU等の低硬度材料により形成されるとともに、バンド5は、カーラ51よりも伸びにくい材料で形成される。これにより、バンド5により押圧カフ52及びセンシングカフ54を手首300に向かって押圧し、そして、面ファスナー5aによって締結したときに、カーラ51を手首300に倣って曲げ変形させることができる。加えて、カーラ51は、カーラ51よりも伸びにくい材料で布材が形成されたバンド5によって外周面が覆われる構成である。これにより、押圧カフ52及びセンシングカフ54が膨張したときに、カーラ51が径方向外方へと変形することを抑制できる。よって、カーラ51は、手首300の形状に倣って弾性変形し易く、また、血圧測定時にセンシングカフ54を手首300に向かって、効率良く押圧することができる。
【0095】
また、カーラ51は、装置本体3に固定される被固定部61を、カーラ51を形成するTPUである低硬度材料よりも高い硬度の高硬度材料がインサートすることで形成される。よって、装置本体3に取り付けられる被固定部61の強度を向上させることができるため、装置本体3をネジ等で固定しても、カーラ51が破損することを抑制できる。
【0096】
また、装置本体3は、筐体11にループ部31aを有し、バンド5は、ループ部31aで折り返した後、一対の面ファスナー5aで固定する構成である。よって、バンド5は、カーラ51を締結することが容易となり、手首300に安定して押圧カフ52及びセンシングカフ54を密着させることが可能となる。
【0097】
また、カーラ51の両端は、少なくとも装着を想定する手首300の周方向の長さが最も小さい長さの前記生体に装着したときに、一方が他方にオーバーラップすることで、周長の長さが異なる手首300のいずれに装着しても、センシングカフ54を動脈311、312が存する領域に接触させることができる。即ち、血圧測定装置1は、カーラ51の両端が周方向で当接し、手首300とセンシングカフ54との間に隙間が生じることを防止し、押圧カフ52及びセンシングカフ54が手首300に密着可能となる。
【0098】
また、カーラ51の一端である第1湾曲部62は、第1湾曲部62にオーバーラップする第2湾曲部63よりも曲率半径が小さい。これにより、バンド5の締結の前において、カーラ51の第2湾曲部63は、第1湾曲部62よりも、径方向外方に位置することから、バンド5による締結時に、第2湾曲部63を第1湾曲部62の外側に配置することができる。また、バンド5によりカーラ51を締め付けるときに、第2湾曲部63の移動の軌跡は、第2湾曲部63を第1湾曲部62に被せるような軌跡で巻き上げることが可能となり、第2湾曲部63を容易に第1湾曲部62にオーバーラップさせることができる。このように、血圧測定装置1は、バンド5によりカーラ51を締め付けたときに、端部同士をオーバーラップし易く、且つ、カーラ51を手首300に巻きやすくなる。
【0099】
また、血圧測定装置1は、カーラ51の溝51aの外周面にバンド5を一体に張り付ける構成とすることで、バンド5の幅方向における縁部は、カーラ51の一対の壁51bと対向する。これにより、バンド5の幅方向における縁部は、一対の壁51bにより覆われることから、バンド5が外力によってカーラ51の外周面から剥がれることを防止できる。
【0100】
このように構成された血圧測定装置1は、バンド5及びカーラ51が一体に形成されるため、外観性がよく、バンド5とカーラ51及び空気袋71、81との位置ずれを防止できるため、精度が高い血圧測定が可能となる。
【0101】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、バンド5は、カーラ51の外周面に固定される構成を説明した。しかしながら、バンド5は、カーラ51の一部、例えば、外部に露出しない部分、例えば、被固定部61に存する部位において、固定されない部位を有するか、又は、長手方向に直交する方向に切り欠きを有する構成としてもよい。カーラ51は、一方向に延びる帯状に形成された状態で、バンド5が固定され、その後、手首300の形状に倣うように、湾曲状に賦形される。このとき、カーラ51は、厚さによる内外周差が生じるが、このとき、カーラ51に固定されたバンド5にたわみが生じる虞が有る。しかしながら、バンド5の一部がカーラ51に固定されないか、又は、切り欠きを有することで、該部分にバンド5の内外周差によって皺等が生じても、筐体11に覆われる部位に生じることから、該皺が外部に露出せず、外観性を損なうことを防止できる。
【0102】
また、例えば、上述した血圧測定装置1は、カーラ51の一端側である第1湾曲部62及び他端側である第2湾曲部63の一方が他方にオーバーラップする構成を説明した。ここで、カーラ51は、第1湾曲部62及び第2湾曲部63の一方が他方にオーバーラップするときに、外側に移動するように案内する案内部55を有する構成としてもよい。
【0103】
例えば、第1湾曲部62の外側に第2湾曲部63が移動するときに、第1湾曲部62の端部に押圧カフ52及びセンシングカフ64が当接すると、第2湾曲部63の移動が規制される虞が有る。このため、カーラ51は、第2湾曲部63が第1湾曲部62の外側に移動することを案内する案内部55を有することで、第2湾曲部63が第1湾曲部62の端部を乗り上げて、第1湾曲部62にオーバーラップし易くなる。
【0104】
このような案内部55は、例えば、図6に示すように、第2湾曲部63の端部に、径方向内方に突出する突起である。例えば、案内部55は、第1湾曲部62の端部と当接する方向に対して傾斜するか、又は、接線が傾斜する曲面状に形成される。このような案内部55は、第1湾曲部62と当接することで、第1湾曲部62の先端と傾斜する面が接触することで、第1湾曲部62と当接する方向に対して交差する方向、即ち、径方向外方に第2湾曲部63を移動させる。
【0105】
また、このような案内部55は、例えば、押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54の厚さの和よりも高く形成されることが好ましい。即ち、案内部55の先端は、センシングカフ54よりもカーラ51の内周面から径方向内方に位置することが好ましい。これにより、第2湾曲部63は、第1湾曲部62よりも外方に位置することになり、第2湾曲部63は、第1湾曲部62にオーバーラップすることができる。また、案内部55は、第1湾曲部62が押圧カフ52、背板53及びセンシングカフ54を防止できる。このように、血圧測定装置1は、案内部55を設けることで、より確実に、第2湾曲部63を第1湾曲部62にオーバーラップさせることが可能となる。
【0106】
なお、案内部55は、図6に示す例に限定されない。例えば、図7に示すように、案内部55は、第1湾曲部62の先端に形成され、第1湾曲部62及び第2湾曲部63が当接する方向に対して傾斜する傾斜面を有する突起であってもよい。
【0107】
また、図8に示すように、案内部55は、例えば、最も外側となるセンシングカフ54の空気袋81とバンド5とを連続するシート部材とし、このシート部材によって、背板53、押圧カフ52及びカーラ51の端部を覆う構成であってもよい。例えば、案内部55は、空気袋81を形成するシート部材の一部を空気袋81の形状よりも長い形状とし、バンド5に一体に張り付けることで形成される。または、例えば、案内部55は、空気袋81とは別体の矩形状のシート部材を空気袋81の外面及びバンド5に一体に張り付けることで形成される。このように構成することで、案内部55は、第1湾曲部62及び第2湾曲部63が当接する方向に対して傾斜する傾斜面を形成し、第2湾曲部63の移動を案内する。
【0108】
また、上述した例では、血圧測定装置1は、筐体11にループ部31aを設け、バンド5をループ部31aでループさせる構成を説明したがこれに限定されない。例えば、図9に示すように、血圧測定装置1は、ループ部31aを有さず、第1湾曲部62に設けられたバンド5の面ファスナー5aと、第2湾曲部63から延出するバンド5の面ファスナー5aと接合する構成としてもよい。
【0109】
また、上述した例では、血圧測定装置1は、第2湾曲部63が第1湾曲部62の外側に重なる例を説明したが、これに限定されない。例えば、図10に示すように、第1湾曲部62が第2湾曲部63の外側に重なる構成としてもよい。このような構成とする場合には、バンド5は、第1湾曲部62の端部から延出し、そして、ループ部31aは、筐体11の外郭ケース31の、第2湾曲部63が延出する側の外側面に設けられる構成とすればよい。
【0110】
また、上述した例では、カーラ51は、押圧カフ52よりも長い形状とし、カーラ51の内周面に押圧カフ52が一体に設けられる構成を説明したがこれに限定されない。例えば、カーラ51は、図11に示すように、筐体11に取り付けられる被固定部61のみを有し、そして、押圧カフ52は、被固定部61に一体に張り付けられたバンド5の内周面に固定される構成としてもよい。このような構成とする場合には、バンド5は、布材の内面に熱可塑性エラストマーとして、例えば、TPUにより形成される層を有し、バンド5と押圧カフ52とを熱溶着により一体に固定してもよい。
【0111】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0112】
1…血圧測定装置
3…装置本体
4…カフ構造体
5…バンド
5a…面ファスナー
11…筐体
12…表示部
13…操作部
14…ポンプ
15…加速度センサ
16…弁
17…圧力センサ
18…電池
19…通信部
20…生体センサ
21…充電回路部
22…メモリ
23…プロセッサ
24…流体回路
25…基板
26…ポゴピン
31…外郭ケース
31a…ループ部
32…風防
33…裏蓋
41…釦
43…タッチパネル
51…カーラ
51a…溝
51b…壁
52…押圧カフ
53…背板
54…センシングカフ
55…案内部
61…被固定部
62…第1湾曲部
63…第2湾曲部
64…センシングカフ
71…空気袋
73…接続部
81…空気袋
82…流路体
83…接続部
100…送電装置
101…電源
102…送電部
103…アンテナ部
211…アンテナ部
212…受電部
213…充電部
300…手首
311…橈骨動脈
312…尺骨動脈。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11