(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009004
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】C-KIT抗体
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240112BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240112BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20240112BHJP
【FI】
C07K16/28
C12N15/13 ZNA
C12P21/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023188151
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2020533287の分割
【原出願日】2019-02-11
(31)【優先権主張番号】1802201.2
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1806468.3
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】520206807
【氏名又は名称】グラニュラー セラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フィンレー,ウィリアム ジェームズ ジョナサン
(57)【要約】
【課題】多くの最適化された抗C-KIT抗体、およびその医療用途を提供する。
【解決手段】 本明細書において、C-KITに特異的に結合する抗体分子、その抗原結合部分、およびその医学的使用方法が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分であって、前記抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含有し、
(a)前記VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、ならびに前記VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、AASSLQS(配列番号24)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、
(b)前記VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、ならびに前記VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、AASSLQS(配列番号24)のLCDR2、およびQQYANYPRT(配列番号25)のLCDR3を含有し、
(c)前記VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、ならびに前記VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、SASSLQS(配列番号17)のLCDR2、およびQQYANYPRT(配列番号25)のLCDR3を含有し、
(d)前記VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、ならびに前記VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、SASSLQS(配列番号17)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、
(e)前記VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYLDY(配列番号18)のHCDR3を含有し、ならびに前記VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNVA(配列番号19)のLCDR1、SASYRQS(配列番号20)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、
(f)前記VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYFDE(配列番号21)のHCDR3を含有し、ならびに前記VL領域のアミノ酸配列は、RASQGVRTNLA(配列番号22)のLCDR1、AASSRQS(配列番号23)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、または
(g)前記VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDFYMN(配列番号180)のHCDR1、MGRIYPASGNTYYAQKFQG(配列番号26)のHCDR2、およびGVWYYDY(配列番号27)のHCDR3を含有し、ならびに前記VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、AASSLQS(配列番号24)のLCDR2、およびQQYANYPRT(配列番号25)のLCDR3を含有する、抗体またはその抗原結合部分。
【請求項2】
(a)前記VH領域のアミノ酸配列は、配列番号185を含有し、前記VL領域のアミノ酸配列は、配列番号186を含有し、
(b)前記VH領域のアミノ酸配列は、配列番号187を含有し、前記VL領域のアミ
ノ酸配列は、配列番号188を含有し、
(c)前記VH領域のアミノ酸配列は、配列番号189を含有し、前記VL領域のアミノ酸配列は、配列番号190を含有し、
(d)前記VH領域のアミノ酸配列は、配列番号191を含有し、前記VL領域のアミノ酸配列は、配列番号192を含有し、
(e)前記VH領域のアミノ酸配列は、配列番号193を含有し、前記VL領域のアミノ酸配列は、配列番号194を含有し、または
(f)前記VH領域のアミノ酸配列は、配列番号195を含有し、前記VL領域のアミノ酸配列は、配列番号196を含有する、請求項1に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項3】
抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分であって、前記抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含有し、
(a)HCDR1は、アミノ酸配列G-Y-T-F-T-X1-X2-Y-X3-Nを含
有し、式中、X1は、DまたはDの保存的置換であり、X2は、YまたはYの保存的置換であり、そしてX3は、MまたはMの保存的置換であり (配列番号1)、
(b)HCDR2は、X1-X2-R-I-Y-P-X3-X4-G-N-T-Y-Y-A-Q-K-F-Q-Gを含有し、式中、X1は、MまたはMの保存的置換であり、X2は、GまたはGの保存的置換であり、X3は、GまたはGの保存的置換であり、そしてX4は、SまたはSの保存的置換であり(配列番号2)、
(c)HCDR3は、G-V-X1-X2-X3-X4-X5を含有し、式中、X1は、Yま
たは任意の他のアミノ酸であり、X2は、Yまたは任意の他のアミノ酸であり、X3は、Fまたは任意の他のアミノ酸であり、X4は、Dまたは任意の他のアミノ酸であり、そして
X5は、Yまたは任意の他のアミノ酸であり(配列番号3)、
(d)LCDR1は、R-A-S-Q-G-X1-X2-X3-X4-L-Aを含有し、式中、X1は、IまたはIの保存的置換であり、X2は、RまたはRの保存的置換であり、X3は、Tまたは任意の他のアミノ酸であり、X4は、Nまたは任意の他のアミノ酸であり(配列番号7)、
(e)LCDR2は、X1-A-S-X2-X3-X4-Sを含有し、式中、X1は、Aま
たは任意の他のアミノ酸であり、X2は、Sまたは任意の他のアミノ酸であり、X3は、Lまたは任意の他のアミノ酸であり、X4は、Qまたは任意の他のアミノ酸であり(配列番
号8)、および
(f)LCDR3は、Q-Q-Y-X1-X2-Y-P-R-Tを含有し、式中、X1は
、Nまたは任意の他のアミノ酸であり、X2は、Sまたは任意の他のアミノ酸である(配
列番号9)、抗体またはその抗原結合部分。
【請求項4】
抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分であって、前記抗体または抗原結合部分は、C-KITへの結合に関し、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合部分と交差競合し、ならびに
(a)完全生殖細胞系列ヒトフレームワークアミノ酸配列を含有し、および/または
(b)LCDR3中に脱アミド化部位を含有せず、および/または
(c)HCDR1および/またはLCDR2中に高いMHCクラスII結合アフィニティを有するヒト生殖細胞系列ペプチド配列を含有し、および/または
(d)抗体h37Mの可変ドメイン配列を含有する抗C-KIT抗体と比較して少ない数の免疫原性ペプチドを含有し、および/または
(e)抗体h37Mの可変ドメイン配列を含有する抗C-KIT抗体と比較して低い免疫原性を呈し、および/または
(f)抗体h37Mの可変ドメイン配列を含有する抗C-KIT抗体と類似した受容体内部移行の有効性を呈し、抗体h37Mの可変ドメイン配列を含有する抗C-KIT抗体に対して、C-KITシグナル伝達遮断において低い有効性を呈し、および/または
(g)免疫エフェクターが無効である、抗体またはその抗原結合部分。
【請求項5】
前記抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項6】
前記VH領域、前記VL領域、または前記VH領域と前記VL領域の両方は、1つまたは複数のヒトフレームワーク領域のアミノ酸配列を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項7】
前記VH領域、前記VL領域、または前記VH領域と前記VL領域の両方は、前記CDRが挿入されたヒト可変領域フレームワークスキャホールドのアミノ酸配列を含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項8】
前記VH領域は、前記HCDR1、HCDR2、およびHCDR3のアミノ酸配列が挿入されたIGHV1-46ヒト生殖細胞系列スキャホールドのアミノ酸配列を含有する、請求項1または3に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項9】
前記VL領域は、前記LCDR1、LCDR2、およびLCDR3のアミノ酸配列が挿入されたIGKV1-16ヒト生殖細胞系列スキャホールドのアミノ酸配列を含有する、請求項1、3および8のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項10】
前記抗体は、免疫グロブリン定常領域を含有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項11】
前記免疫グロブリン定常領域は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAまたはIgYである、請求項10に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項12】
前記免疫グロブリン定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1またはIgA2である、請求項11に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項13】
前記免疫グロブリン定常領域は、免疫学的に不活性である、請求項10に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項14】
前記免疫グロブリン定常領域は、野生型ヒトIgG1定常領域、L234A、L235A、およびG237Aのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域、またはL234A、L235A、G237AおよびP331Sのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域である、請求項10に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項15】
前記免疫グロブリン定常領域は、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201または配列番号202を含有する、請求項10に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項16】
前記抗体または抗原結合部分は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、s
cFv、単一ドメイン抗体(dAb)、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v-NAR、またはbis-scFvである、請求項1~15のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項17】
前記抗体は、モノクローナルである、請求項1~16のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項18】
前記抗体は、四量体抗体、四価抗体、または多特異性抗体である、請求項1~17のい
ずれか1項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項19】
前記抗体は、第一の抗原と第二の抗原に特異的に結合する二特異性抗体であり、前記第一の抗原はC-KITであり、前記第二の抗原はC-KITではない、請求項1~18のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項20】
前記抗体または抗原結合部分は、(a)ヒトC-KITに特異的に結合する、または(b)ヒトC-KITおよびカニクイザルC-KITに特異的に結合する、請求項1~19のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項21】
治療剤に結合された請求項1~20のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合部分を含有する免疫結合体。
【請求項22】
前記治療剤が、細胞毒素、放射性同位体、化学療法剤、免疫調節剤、抗血管新生剤、抗増殖剤、アポトーシス促進剤、細胞増殖抑制酵素、細胞溶解性酵素、治療用核酸、抗血管新生剤、抗増殖剤、またはアポトーシス促進剤である、請求項21に記載の免疫結合体。
【請求項23】
請求項1~20のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合部分、または請求項21または22に記載の免疫結合体、および薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項24】
単離核酸分子であって、請求項1~20のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合部分の
(a)VH領域のアミノ酸配列、
(b)VL領域のアミノ酸配列、または
(c)VH領域とVL領域の両方のアミノ酸配列、をコードする単離核酸分子。
【請求項25】
請求項24に記載の核酸分子を含有する発現ベクター。
【請求項26】
請求項24に記載の核酸分子、または請求項23に記載の発現ベクターを含有する組み換え宿主細胞。
【請求項27】
抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を作製する方法であって、
前記核酸分子が発現される条件下で、請求項25に記載の発現ベクターを含有する組み換え宿主細胞を培養し、それにより前記抗体または抗原結合部分を作製することと、および
前記宿主細胞または培養物から、前記抗体または抗原結合部分を単離することと、を含む、方法。
【請求項28】
対象において、免疫反応を強化する方法であって、請求項1~20のいずれか1項に記載の抗体もしくは抗原結合部分、請求項21または22に記載の免疫結合体、または請求項23に記載の医薬組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項29】
対象において、癌、自己免疫性疾患、炎症性疾患、心血管疾患、または線維症を治療する方法であって、請求項1~20のいずれか1項に記載の抗体もしくは抗原結合部分、請求項21または22に記載の免疫結合体、または請求項23に記載の医薬組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項30】
前記癌が、消化管間質癌(GIST)、膵臓癌、メラノーマ、乳癌、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳腫瘍または中枢神経系の癌、末梢神経
系の癌、食道癌、子宮頸癌、子宮癌または子宮内膜癌、口腔または咽頭の癌、肝癌、腎癌、精巣癌、胆管癌、小腸癌または虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫、または血液組織の癌である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記自己免疫性疾患または前記炎症性疾患は、関節炎、喘息、多発性硬化症、乾癬、クローン病、炎症性腸疾患、紅斑性狼瘡、グレーブス病、橋本甲状腺炎、または強直性脊椎炎である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記心血管疾患が、冠動脈心疾患またはアテローム性動脈硬化症である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記線維症が、心筋梗塞、狭心症、変形性関節症、肺線維症、嚢胞性線維症、気管支炎または喘息である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
癌、自己免疫性疾患、炎症性疾患、心血管疾患、または線維症の治療における使用のための請求項1~20のいずれか1項に記載の抗体もしくは抗原結合部分、請求項21または22に記載の免疫結合体、または請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記癌が、消化管間質癌(GIST)、膵臓癌、メラノーマ、乳癌、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳腫瘍または中枢神経系の癌、末梢神経系の癌、食道癌、子宮頸癌、子宮癌または子宮内膜癌、口腔または咽頭の癌、肝癌、腎癌、精巣癌、胆管癌、小腸癌または虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫、または血液組織の癌である、請求項34に記載の使用のための抗体もしくは抗原結合部分、免疫結合体、または医薬組成物。
【請求項36】
前記自己免疫性疾患または前記炎症性疾患は、関節炎、喘息、多発性硬化症、乾癬、クローン病、炎症性腸疾患、紅斑性狼瘡、グレーブス病、橋本甲状腺炎、または強直性脊椎炎である、請求項34に記載の使用のための抗体もしくは抗原結合部分、免疫結合体、または医薬組成物。
【請求項37】
前記心血管疾患が、冠動脈心疾患またはアテローム性動脈硬化症である、請求項34に記載の使用のための抗体もしくは抗原結合部分、免疫結合体、または医薬組成物。
【請求項38】
前記線維症が、心筋梗塞、狭心症、変形性関節症、肺線維症、嚢胞性線維症、気管支炎または喘息である、請求項34に記載の使用のための抗体もしくは抗原結合部分、免疫結合体、または医薬組成物。
【請求項39】
医薬品としての使用のための、請求項1~20のいずれか1項に記載の抗体もしくは抗原結合部分、請求項21または22に記載の免疫結合体、または請求項23に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年4月20日に出願された英国特許出願第1806468.3号明細書、および2018年2月9日に出願された英国特許出願第1802201.2号明細書の利益を主張するものであり、それら各開示内容は、その全体で参照により本明細書に援用される。
【0002】
電子的に提出されるテキストファイルに関する説明
本明細書とともに電子的に提出される以下のテキストファイルの内容は、その全体で参照により本明細書に援用される:コンピューター読み取り可能な形式の配列表のコピー(ファイルの名称:UHFL_001_01WO_SeqList_ST25.txt、データ記録日:2019年2月8日、ファイルサイズは101,274バイト)。
【0003】
本発明は、C-KIT(KIT、Cluster of Differentiation 117(CD117)、PBT、SCFR、KIT proto-oncogene receptor tyrosine kinaseとしても知られる)に特異的に結合する抗体分子およびその医学的使用に関する。
【背景技術】
【0004】
C-KIT(KIT、Cluster of Differentiation 117 (CD117)、PBT、SCFR、KIT proto-oncogene receptor tyrosine kinaseとしても知られる)は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する膜貫通型タンパク質であり、可溶性因子のSCF(stem
cell factor(幹細胞因子))に結合する。C-KITは、造血幹細胞、ならびに例えば成熟肥満細胞などの複数の他の細胞型で多く発現される受容体チロシンキナーゼIII型であり、それら細胞でSCFのシグナル伝達はサイトカインとして作用する。SCFに結合すると、この受容体は二量体化して、そのチロシンキナーゼ活性を活性化させる。このキナーゼ活性化により、シグナル伝達分子のさらに下流の活性化が生じる。それら分子は、細胞生存、増殖および分化において役割を果たすことが知られている。
【0005】
例えば構造的に活性な変異体といったC-KITの改変型は、例えば消化管間質腫瘍(GIST)、急性骨髄性白血病(AML)、肥満細胞腫瘍およびメラノーマなどのいくつかの重大な癌型の進行と密接に関連している。前臨床および臨床試験の結果から、C-KIT-SCFシグナル伝達を遮断することで複数の癌において明白な治療利益が得られることが示唆されたが、この結果は主にC-KITキナーゼ機能の低分子阻害剤を使用して得られたものである。治療後には抵抗性変異体が広く発生し、そのため低分子キナーゼ阻害剤の治療有効性が失われてしまう。受容体が二量体化する能力を遮断することでKITシグナル伝達をアンタゴナイズする治療用抗体は、以下の2つのメカニズムを介してキナーゼ阻害剤抵抗性を克服し、抗腫瘍効果を介在する可能性がある。1.受容体を、非活性な単量体型へと固定させることにより、KITシグナル伝達経路を強力に阻害する。2.抗体エフェクター-機能介在性の免疫細胞の会合。重要なことは、近年の前臨床試験において、(間質細胞により産生されるSCFを介した)腫瘍微小環境中に存在する肥満細胞のC-KIT-SCFシグナル伝達が、下流のサイトカインシグナル伝達を促進し、例えば骨髄由来抑制性細胞(MDSC:Myeloid-Derived Suppressor Cell)といった骨髄細胞をリクルートし得ると認められたことである。MDSCは、腫瘍に対する免疫反応を抑制する重要な細胞集団であると考えられており、KITシグナル伝達のアンタゴニズムを介して腫瘍浸潤を間接的に阻害することは、魅力的な治
療戦略となり得る。
【0006】
現在承認されている抗体治療剤の大部分は、免疫化されたげっ歯類に由来する。そうした抗体の多くが、マウスの相補性決定領域(CDR)のヒトv-遺伝子フレームワーク配列への「移植」を介した、「ヒト化」として知られるプロセスを経ている(Nelson
et al.,2010,Nat Rev Drug Discov 9:767-774を参照のこと)。このプロセスは多くの場合、不正確であり、得られた抗体の表的結合アフィニティの低下が生じる。元の抗体の結合アフィニティに戻すために、通常、移植されたv-ドメインの可変ドメインフレームワーク中の重要な位置にマウス残基が導入される(「復帰突然変異(back-mutation)」としても知られる)。
【0007】
CDR移植および復帰突然変異によりヒト化された抗体は臨床において、完全マウスv-ドメインと比較して低い免疫反応率を誘導することが示されているが、この基礎的な移植法を使用してヒト化された抗体は、物理的に不安定である可能性があり、移植CDRループ内に免疫原性モチーフがいまだ保存されていることから、重大な臨床開発リスクを負っている。タンパク質の免疫原性に関する動物実験は、ヒトでの免疫反応の予測とはならないことが多く、治療用途の抗体操作は、予測されるヒトT細胞エピトープ含量、非ヒト生殖細胞系列アミノ酸含量、および精製タンパク質が凝集してしまう可能性を最小化することに焦点が置かれている。
【0008】
ゆえに理想的なヒト化アンタゴニスト抗C-KIT抗体は、v-ドメイン中に、詳細に特徴解析されたヒト生殖細胞系列配列のフレームワークとCDRの両方に存在する残基と同一の残基を可能な限り多く有している抗体である。潜在的患者の最大数において高度に発現される、高い安定性の生殖細胞系列との同一性を高レベルにすることで、臨床で望ましくない免疫原性を有する治療用抗体のリスクが最小化され、または異常に高い製造「原価」が最小化される。
【0009】
Townsendら (2015;PNAS 112:15354-15359)は、抗体の作製方法を記載しており、当該方法においてラット抗体、ウサギ抗体およびマウス抗体に由来するCDRは、好ましいヒトフレームワーク内に移植され、次いで「拡張バイナリー置換(augmented binary substitution)」と呼ばれるヒト生殖細胞系列化(human germ-lining)方法が行われる。この方法は、オリジナル抗体のパラトープにおいては基礎的な柔軟性を示したが、正確性の高い抗体-抗原の共結晶構造データは無い場合には、任意の所与の抗体のCDRループ中のどの個々の残基がどの組み合わせでヒト生殖細胞系列に転換され得るかを確実に予測することは不可能である。さらにTownsendらの研究では、ヒト生殖細胞系列中に存在する残基を超えた、発症リスクモチーフの除去が有益となる可能性がある位置での追加の突然変異生成には対処していない。これは技術的な限界であり、このプロセスは本質的に不充分なものであるため、CDR中の開発障害モチーフが保持されてしまう。
【0010】
このようにCDRの生殖細胞系列化は複雑で多因子的な課題であるため、本例においては以下をはじめとする複合的な分子の機能特性が維持されることが好ましい:標的結合特異性、ヒトおよび実験動物種(例えばカニクイザルとして知られるcynomolgus
monkey、すなわちMacaca fascicularis)の両方に由来するC-KITに対するアフィニティ、v-ドメインの生物物理的安定性、ならびに/または研究、臨床および商業で使用されるタンパク質発現プラットフォームからのIgG収率。抗体操作実験から、重要なCDR中のたった1つの残基位置での突然変異であっても、これら望ましい分子特性のすべてに対し劇的な影響を与え得ることが示されている。
【0011】
WO2014018625A1は、「37M」と名づけられたアンタゴニスト性マウス
抗C-KIT IgG分子、ならびに37Mのヒト化型の調製を記載している。その37Mのヒト化型は、古典的なヒト化技術、すなわちKabat規定のマウスCDRをヒトの重鎖および軽鎖のフレームワーク配列に移植することにより作製されており、ヒトフレームワーク残基の一部は、対応する位置の37Mマウス残基に復帰突然変異されている可能性がある。上述の理由によって、WO2014018625A1に記載される37Mのヒト化型は理想的ではない。
【0012】
本発明は、多くの最適化された抗C-KIT抗体、およびその医療用途を提供する。
【発明の概要】
【0013】
本発明の1つの態様によると、ヒトC-KIT、および任意でカニクイザルC-KITにも特異的に結合する抗体分子、またはその抗原結合部分が提供され、当該抗体分子または抗原結合部分は、
以下の順序で配列中にアミノ酸を有するHCDR1:G-Y-T-F-T-DまたはDの保存的置換-YまたはYの保存的置換-Y-MまたはMの保存的置換-N(配列番号1)、
以下の順序で配列中にアミノ酸を有するHCDR2:MまたはMの保存的置換(例えば、I)-GまたはGの保存的置換(例えば、A)-R-I-Y-P-GまたはGの保存的置換(例えば、A)-SまたはSの保存的置換(例えば、AまたはT)-G-N-T-Y-Y-A-Q-K-F-Q-G(配列番号2)、および
以下の順序で配列中にアミノ酸を有するHCDR3:G-V-Yまたは任意のアミノ酸(例えば、WまたはF)-Yまたは任意のアミノ酸(例えば、EまたはH)-Fまたは任意のアミノ酸(例えば、Y、QまたはL)-Dまたは任意のアミノ酸(例えば、G、NまたはS)-Yまたは任意のアミノ酸(例えば、A、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V)(配列番号3)、を含む重鎖可変領域を含有する。
【0014】
本発明の態様において、抗体分子または抗原結合部分のHCDR1は、配列GYTFTDYYIN(配列番号4、WO2014018625A1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のHCDR1)を除外してもよく、抗体分子または抗原結合部分のHCDR2は、配列IARIYPGSGNTYYNEKFKG(配列番号5、WO2014018625A1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のHCDR2)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のHCDR3は、配列GVYYFDY(配列番号6、WO2014018625A1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のHCDR3)を除外してもよい。
【0015】
抗体または抗原結合部分は、
以下の順序で配列中にアミノ酸を有するLCDR1:R-A-S-Q-G-IまたはIの保存的置換-RまたはRの保存的置換-Tまたは任意のアミノ酸(例えば、N)-Nまたは任意のアミノ酸(例えば、Y)-L-A(配列番号7)、
以下の順序で配列中にアミノ酸を有するLCDR2:Aまたは任意のアミノ酸(例えば、S、Y)-A-S-Sまたは任意のアミノ酸(例えば、Y)-Lまたは任意のアミノ酸(例えば、R)-Qまたは任意のアミノ酸(例えば、Y)-S(配列番号8)、および
以下の順序で配列中にアミノ酸を有するLCDR3:Q-Q-Y-Nまたは任意のアミノ酸(例えば、A)-Sまたは任意のアミノ酸(例えば、NまたはD)-Y-P-R-T(配列番号9)、を含む軽鎖可変領域をさらに含有してもよい。
【0016】
本発明の態様において、抗体分子または抗原結合部分のLCDR1は、配列KASQNVRTNVA(配列番号10、WO2014018625A1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のLCDR1)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のLCDR2は、配列SASYRYS(配列番号11、WO2014018625A
1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のLCDR2)を除外してもよい。一部の実施形態において、抗体分子または抗原結合部分のLCDR1は、配列KASQNVRTNVA(配列番号10、WO2014018625A1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のLCDR1)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のLCDR2は、配列SASYRYS(配列番号11、WO2014018625A1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のLCDR2)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のLCDR3は、配列QQYNSYPRT(配列番号12、WO2014018625A1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のLCDR3)を除外してもよい。
【0017】
一部の態様において、本明細書は、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を開示するものであり、当該抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含有し、この場合において、
(a)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、ならびに当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、AASSLQS(配列番号24)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、
(b)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、ならびに当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、AASSLQS(配列番号24)のLCDR2、およびQQYANYPRT(配列番号25)のLCDR3を含有し、
(c)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、ならびに当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、SASSLQS(配列番号17)のLCDR2、およびQQYANYPRT(配列番号25)のLCDR3を含有し、
(d)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、ならびに当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、SASSLQS(配列番号17)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、
(e)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYLDY(配列番号18)のHCDR3を含有し、ならびに当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNVA(配列番号19)のLCDR1、SASYRQS(配列番号20)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、
(f)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYFDE(配列番号21)のHCDR3を含有し、ならびに当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGVRTNLA(配列番号22)のLCDR1、AASSRQS(配列番号23)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、または
(g)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDFYMN(配列番号180)のH
CDR1、MGRIYPASGNTYYAQKFQG(配列番号26)のHCDR2、およびGVWYYDY(配列番号27)のHCDR3を含有し、ならびに当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、AASSLQS(配列番号24)のLCDR2、およびQQYANYPRT(配列番号25)のLCDR3を含有する。
【0018】
一部の態様において、本明細書は、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を開示するものであり、当該抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含有し、この場合において、
当該VH領域のアミノ酸配列は、
(a)配列番号13のHCDR1、
(b)配列番号14のHCDR2、および
(c)配列番号15、配列番号18、または配列番号21のHCDR3を含有し、および
当該VL領域のアミノ酸配列は、
(a’)配列番号16、配列番号19、または配列番号22のLCDR1、
(b’)配列番号24、配列番号17、配列番号20、または配列番号23のLCDR2、および
(c’)配列番号12または配列番号25のLCDR3を含有する。
【0019】
一部の態様において、本明細書は、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を開示するものであり、当該抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含有し、この場合において、
(a)当該VH領域のアミノ酸配列は、配列番号185を含有し、当該VL領域のアミノ酸配列は、配列番号186を含有し、
(b)当該VH領域のアミノ酸配列は、配列番号187を含有し、当該VL領域のアミノ酸配列は、配列番号188を含有し、
(c)当該VH領域のアミノ酸配列は、配列番号189を含有し、当該VL領域のアミノ酸配列は、配列番号190を含有し、
(d)当該VH領域のアミノ酸配列は、配列番号191を含有し、当該VL領域のアミノ酸配列は、配列番号192を含有し、
(e)当該VH領域のアミノ酸配列は、配列番号193を含有し、当該VL領域のアミノ酸配列は、配列番号194を含有し、または
(f)当該VH領域のアミノ酸配列は、配列番号195を含有し、当該VL領域のアミノ酸配列は、配列番号196を含有する。
【0020】
一部の態様において、本明細書は、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を開示するものであり、当該抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含有し、この場合において、
(a)HCDR1は、アミノ酸配列G-Y-T-F-T-X1-X2-Y-X3-Nを含
有し、式中、X1は、DまたはDの保存的置換であり、X2は、YまたはYの保存的置換であり、そしてX3は、MまたはMの保存的置換であり (配列番号1)、
(b)HCDR2は、X1-X2-R-I-Y-P-X3-X4-G-N-T-Y-Y-A-Q-K-F-Q-Gを含有し、式中、X1は、MまたはMの保存的置換であり、X2は、GまたはGの保存的置換であり、X3は、GまたはGの保存的置換であり、そしてX4は、SまたはSの保存的置換であり(配列番号2)、
(c)HCDR3は、G-V-X1-X2-X3-X4-X5を含有し、式中、X1は、Yま
たは任意の他のアミノ酸であり、X2は、Yまたは任意の他のアミノ酸であり、X3は、Fまたは任意の他のアミノ酸であり、X4は、Dまたは任意の他のアミノ酸であり、そして
X5は、Yまたは任意の他のアミノ酸であり(配列番号3)、
(d)LCDR1は、R-A-S-Q-G-X1-X2-X3-X4-L-Aを含有し、式中、X1は、IまたはIの保存的置換であり、X2は、RまたはRの保存的置換であり、X3は、Tまたは任意の他のアミノ酸であり、X4は、Nまたは任意の他のアミノ酸であり(配列番号7)、
(e)LCDR2は、X1-A-S-X2-X3-X4-Sを含有し、式中、X1は、Aま
たは任意の他のアミノ酸であり、X2は、Sまたは任意の他のアミノ酸であり、X3は、Lまたは任意の他のアミノ酸であり、X4は、Qまたは任意の他のアミノ酸であり(配列番
号8)、および
(f)LCDR3は、Q-Q-Y-X1-X2-Y-P-R-Tを含有し、式中、X1は
、Nまたは任意の他のアミノ酸であり、X2は、Sまたは任意の他のアミノ酸である(配
列番号9)。
【0021】
さらに本発明により、治療剤に結合された、本明細書に規定される抗体分子またはその抗原結合部分を含有する免疫結合体が提供される。
【0022】
別の態様において、本発明は、本明細書に規定される抗体分子またはその抗原結合部分をコードする核酸分子を提供する。
【0023】
さらに、本発明の核酸分子を含有するベクターが提供される。
【0024】
また、本明細書に規定される本発明の核酸分子またはベクターを含有する宿主細胞も提供される。
【0025】
さらなる態様において、抗C-KIT抗体および/またはその抗原結合部分を作製する方法も提供され、当該方法は、当該抗体および/もしくはその抗原結合部分の発現ならびに/または産生が生じる条件下で、本発明の宿主細胞を培養する工程、および当該宿主細胞または培養物から、当該抗体および/またはその抗原結合部分を単離する工程、を含む。
【0026】
本発明の別の態様において、本明細書に規定される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分、または本明細書に規定される本発明の核酸分子、または本明細書に規定される本発明のベクターを含有する医薬組成物が提供される。
【0027】
さらに、対象において免疫反応を強化する方法が提供され、当該方法は、本明細書に規定される本発明の抗体分子またはその抗原結合部分の有効量、または本明細書に規定される本発明の免疫結合体の有効量、または本明細書に規定される本発明の核酸分子の有効量、または本明細書に規定される本発明のベクターの有効量、または本明細書に規定される本発明の医薬組成物の有効量を投与する工程を含む。
【0028】
さらなる態様において、対象において癌を治療または予防する方法が提供され、当該方法は、本明細書に規定される本発明の抗体分子またはその抗原結合部分の有効量、または本明細書に規定される本発明の免疫結合体の有効量、または本明細書に規定される本発明の核酸分子の有効量、または本明細書に規定される本発明のベクターの有効量、または本明細書に規定される本発明の医薬組成物の有効量を投与する工程を含む。
【0029】
本発明はさらに、癌の治療における使用のための、本明細書に規定される本発明の抗体分子またはその抗原結合部分、または本明細書に規定される本発明の免疫結合体、または本明細書に規定される本発明の核酸分子、または本明細書に規定される本発明のベクター、または本明細書に規定される本発明の医薬組成物を提供する。
【0030】
別の態様において、本発明は、例えば抗癌剤などの第二の治療剤との併用において、別個に使用する、連続して使用する、または同時に使用するための、本明細書に規定される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分、または免疫結合体、または核酸分子、またはベクター、または治療方法を提供する。
【0031】
さらなる態様において、癌の治療のための医薬品の製造における、本明細書に規定される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分の使用、または本明細書に規定される本発明の免疫結合体の使用、または本明細書に規定される本発明の核酸分子の使用、または本明細書に規定される本発明のベクターの使用、または本明細書に規定される本発明の医薬組成物の使用が提供される。
【0032】
本発明はさらに、対象において自己免疫性疾患もしくは炎症性疾患を治療または予防する方法を提供するものであり、当該方法は、本明細書に規定される抗体分子またはその抗原結合部分の有効量、または本明細書に規定される免疫結合体の有効量、または本明細書に規定される核酸分子の有効量、または本明細書に規定されるベクターの有効量、または本明細書に規定される医薬組成物の有効量を投与する工程を含む。
【0033】
自己免疫性疾患または炎症性疾患は、関節炎、喘息、多発性硬化症、乾癬、クローン病、炎症性腸疾患、紅斑性狼瘡、グレーブス病、および橋本甲状腺炎、ならびに強直性脊椎炎からなる群からすべての態様において選択されてもよい。
【0034】
また、自己免疫性疾患または炎症性疾患の治療における使用のための、本明細書に規定される抗体分子もしくはその抗原結合部分、または本明細書に規定される免疫結合体、または本明細書に規定される核酸分子、または本明細書に規定されるベクター、または本明細書に規定される医薬組成物が提供される。
【0035】
さらに、自己免疫性疾患または炎症性疾患の治療のための医薬品の製造における、本明細書に規定される抗体分子またはその抗原結合部分の使用、または本明細書に規定される免疫結合体の使用、または本明細書に規定される核酸分子の使用、または本明細書に規定されるベクターの使用、または本明細書に規定される医薬組成物の使用が提供される。
【0036】
本発明はさらに、対象において心血管疾患もしくは線維症を治療または予防する方法を提供するものであり、当該方法は、本明細書に規定される抗体分子またはその抗原結合部分の有効量、または本明細書に規定される免疫結合体の有効量、または本明細書に規定される核酸分子の有効量、または本明細書に規定されるベクターの有効量、または本明細書に規定される医薬組成物の有効量を投与する工程を含む。
【0037】
さらに、医薬品としての使用のための、本明細書に規定される抗体分子もしくはその抗原結合部分、または本明細書に規定される免疫結合体、または本明細書に規定される核酸分子、または本明細書に規定されるベクター、または本明細書に規定される医薬組成物が提供される。また、心血管疾患または線維症の治療における使用のための、本明細書に規定される抗体分子もしくはその抗原結合部分、または本明細書に規定される免疫結合体、または本明細書に規定される核酸分子、または本明細書に規定されるベクター、または本明細書に規定される医薬組成物が提供される。
【0038】
さらに、自己免疫性疾患、炎症性疾患、または線維症の治療のための医薬品の製造における、本明細書に規定される抗体分子またはその抗原結合部分の使用、または本明細書に規定される免疫結合体の使用、または本明細書に規定される核酸分子の使用、または本明細書に規定されるベクターの使用、または本明細書に規定される医薬組成物の使用が提供される。
【0039】
本発明の任意の態様における心血管疾患は、例えば冠動脈心疾患またはアテローム性動脈硬化症であってもよい。
【0040】
本発明の任意の態様における線維症は、心筋梗塞、狭心症、変形性関節症、肺線維症、嚢胞性線維症、気管支炎および喘息からなる群から選択されてもよい。
【0041】
本発明はさらに、ヒトC-KITに特異的に結合し、および任意でカニクイザルC-KITにも特異的に結合する抗体分子、またはその抗原結合部分を作製する方法を提供するものであり、当該方法は、
(1)非ヒト源由来の抗C-KIT CDRをヒトv-ドメインフレームワーク内に移植し、ヒト化抗C-KIT抗体分子またはその抗原結合部分を作製する工程、
(2)CDR中に1つまたは複数の変異を含有する当該ヒト化抗C-KIT抗体分子またはその抗原結合部分のクローンのファージライブラリーを作製する工程、
(3)ヒトC-KITへの結合、および任意でカニクイザルC-KITへの結合についても当該ファージライブラリーをスクリーニングする工程、
(4)スクリーニング工程(3)から、ヒトC-KITに特異的に結合する、および任意でカニクイザルC-KITにも特異的に結合するクローンを選択する工程、および
(5)工程(4)から選択された、ヒトC-KITに特異的に結合し、および任意でカニクイザルC-KITにも特異的に結合する抗体分子、またはその抗原結合部分を作製する工程、を含む。
【0042】
当該方法は、工程(4)で選択されたクローンに基づき、例えば工程(4)で選択されたクローンのCDR中の特定の位置でのさらなる探索的な突然変異誘導に基づき、追加のクローンを作製して、ヒト化を強化する工程、および/またはヒトT細胞エピトープ含量を最小化する工程、および/または工程(5)で作製された抗体分子もしくはその抗原結合部分の製造特性を改善する工程をさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1A】
図1A~
図1B。ライブラリーから誘導された、ヒトおよびカニクイザルのC-KIT-Fcタンパク質に対する抗C-KIT scFvの直接結合ELISAおよびHTRF競合スクリーニング。クローンは、各ラウンドにおけるビオチニル化されたヒトおよび/またはカニクイザルのC-KIT-Fcタンパク質に対する別個のファージ選択ブランチから誘導された。複数回の選択ラウンドの後、ライブラリーから誘導されたクローン(黒丸)は、ヒト(
図1A)およびカニクイザル(
図1B)の両方のC-KIT-Fcに対する結合に関してスクリーニングされ、および両オルソログに対するh37M IgG1のエピトープ遮断に関してスクリーニングされた。陰性対照(非C-KIT結合)および陽性対照のh37M scFvはそれぞれ灰色の三角形および四角で表されている。
【
図2A】
図2A~
図2B。生殖細胞系列に対する変異に関する、CDR残基の寛容の分析。ELISA陽性の219個の固有scFvクローン群のCDR(配列番号4、5および6)における、マウスアミノ酸保持頻度の図をそれぞれV
H(
図2A)ドメインおよびV
L(
図2B)ドメインに対して示す。HCDR3以外では、ヒト/マウス残基の突然変異誘導の標的とされた残基のみプロットされている。X軸上のカッコ内に記載されるCDR残基は、移植に使用されたヒト生殖細胞系列(IGKV1-16およびIGHV1-46)中に存在する残基と同一である。カッコ内には無いが、その値が0に設定されているHCDR2中の残基は、移植プロセスの間にヒト生殖細胞系列へと変異された。両方の図において、75%での灰色の破線は、ヒト生殖細胞系列によるマウス残基の置換の寛容性に対するカットオフを表している。
【
図3A】
図3A~
図3B。ヒトおよびカニクイザルのC-KIT-Fcタンパク質へのIgG結合に関する、直接的力価測定ELISA。キメラ抗C-KIT(m37M)、ヒト化h37M、ヒトIgG1形式のライブラリー由来クローンおよびデザインクローンが、ヒト(
図3A)およびカニクイザル(
図3B)のC-KIT-Fcタンパク質に対する直接結合ELISAにおいて力価測定された(μg/mL)。37M、ライブラリー由来クローン、およびデザインクローンMHは、C-KITの両方のオルソログに対して結合活性を示した。すべてのライブラリー由来クローン、およびいくつかのデザインクローンは、ほぼ同等、または改善されたヒトおよびカニクイザルC-KIT結合を保有していた。一方ですべてのTTPクローンおよびMHクローンの4、6、7、9、13、14および15はすべて、1つまたは両方のオルソログに対し、結合シグナルの低下を示した。
【
図4A】
図4A~
図4E。HTRF系の液相、高感度、C-KITエピトープ競合アッセイ。ヒトまたはカニクイザルのC-KITに対するh37M IgGのHTRF結合シグナルを、ライブラリー由来リードおよびデザインリードを含む力価測定された競合IgG、それに加えて陰性対照としてのアイソタイプIgG1および陽性対照としての非標識h37M IgG1の存在下で検証した。すべてのライブラリー由来IgG、および複数のデザインIgGは、ヒト(
図4A)およびカニクイザル(
図4C、
図4D)のC-KITに対して、完全に濃度依存性のh37M結合阻害を示し、非標識h37M IgGと同等であった。このことから、共有エピトープおよび結合アフィニティが維持されたことが示唆される。すべてのTTPクローンと、それに加えてMHクローンの4、6、7および9は、ヒト(
図4B)またはカニクイザル(
図4E)のC-KITのいずれかに対して、h37Mの結合を阻害する能力が低下したことが判明した。
【
図5A】
図5A~
図5F。ライブラリー由来リードおよび初代デザインリードのヒトおよびカニクイザルのC-KIT+CHO-K1細胞に対するフローサイトメトリー結合。ヒトC-KITがトランスフェクトされたCHO-K1細胞(
図5A、
図5B)、カニクイザルC-KITがトランスフェクトされたCHO-K1細胞(
図5C、
図5D)、および野生型(WT、すなわち非トランスフェクト)CHO-K1細胞(
図5E、
図5F)に対する特異的結合に関して、抗C-KIT対照のm37Mおよびh37M、IgG1形式のライブラリー由来リードおよびデザインリードを検証した。IgGは、0.02~100μg/mlの範囲の濃度で検証された。すべてのC-KIT特異的抗体で、ヒトおよびカニクイザルの細胞株の両方に対し、濃度依存性の結合が観察された。一方でアイソタイプ対照では観察されなかった。野生型CHO-K1細胞に対し、バックグラウンドを超える結合シグナルは観察されなかった。
【
図6A】
図6A~
図6B。ヒトおよびカニクイザルのC-KIT-Fcタンパク質への第二世代デザインIgG結合に関する、直接的力価測定ELISA。抗C-KIT h37M、MH5、およびヒトIgG1形式の第二世代デザインクローンを、ヒト(
図6A)およびカニクイザル(
図6B)のC-KIT-Fcタンパク質に対する直接結合ELISAにおいて力価測定した(μg/mL)。h37M、およびMH5クローンは、C-KITの両方のオルソログに対して結合活性を示した。MH5.33以外のすべてのデザインクローンがヒトおよびカニクイザルのC-KIT結合を保有していたが、クローンMH5.1、5.2、5.3、5.22、5.23、5.24、5.34および5.35のみが、クローンh37Mと同等の両オルソログに対する結合を示した。
【
図7A】
図7A~
図7B。重要な第二世代デザインリードに対する、HTRF系C-KITエピトープ競合アッセイ。ヒトまたはカニクイザルのC-KITに対するh37M IgGのHTRF結合シグナルを、力価測定されたIgG1形式の競合第二世代デザインリード、それに加えて陰性対照としてのアイソタイプIgG1および陽性対照としての非標識h37M IgG1の存在下で検証した。すべてのIgG(アイソタイプ対照のIgG1を除く)は、非標識h37M IgGと類似した、完全に濃度依存性のヒトC-KIT(
図7A)およびカニクイザルC-KIT(
図7B)へのh37M結合の阻害を呈した。
【
図8A】
図8A~
図8C。第二世代デザインリードに関する、ヒトおよびカニクイザルのC-KIT+CHO-K1細胞へのフローサイトメトリー結合。ヒトC-KITがトランスフェクトされたCHO-K1細胞(
図8A)、カニクイザルC-KITがトランスフェクトされたCHO-K1細胞(
図8B)、および野生型(WT、すなわち非トランスフェクト)CHO-K1細胞(
図8C)に対する特異的結合に関して、IgG1形式の抗C-KITライブラリー由来リードおよびデザインリードを検証した。IgGは、24~100,000ng/mlの範囲の濃度で検証された。すべてのC-KIT特異的抗体で、ヒトおよびカニクイザルの細胞株の両方に対し、濃度依存性の結合が観察された。一方でアイソタイプ対照では観察されなかった。野生型CHO-K1細胞に対し、バックグラウンドを超える結合シグナルは観察されなかった。
【
図9A】
図9A~
図9F。重点リードクローンの結合特異性分析。h37M抗体およびIgG1形式の複数のリード抗体に関する、1μg/mlでのオフターゲットホモログ結合リスクを、C-KIT-Fcオルソログおよび14個のヒト免疫グロブリンスーパーファミリータンパク質のパネルに対する直接的ELISAにより検証した。すべてのIgGに関し、ヒトおよびカニクイザルのC-KIT-Fc単独に対する結合が観察された。任意の他のヒトタンパク質またはオルソログタンパク質に対する、バックグラウンドを超える結合は観察されなかった。
【
図10A】
図10A~
図10C。開発リスクELISA。このアッセイにより、IgG1形式のE-C7抗体、E-C3抗体、MH1抗体、MH5抗体、MH5.22抗体およびh37M抗体が、負の電荷を有する生体分子のインスリン(
図10A)、二本鎖DNA(dsDNA)(
図10B)、および一本鎖DNA(ssDNA)(
図10C)に対し、陰性対照のIgG1 ウステキヌマブ(Ustekinumab)アナログよりも低い、または同等の結合を呈することが示された。ボコシズマブ(Bococizumab)およびブリアキヌマブ(Briakinumab)のアナログに観察されるような、これら分子に対する強力なオフターゲット結合は、治療抗体の貧弱な薬物動態に関する高リスク指標であることが示されている。
【
図11A】
図11A~
図11H。リード抗体v-ドメインにおける、T細胞エピトープペプチド含量。h37M抗体(
図11A)、E-C7抗体(
図11B)、F-C5抗体(
図11C)、E-C3抗体(
図11D)、MH1抗体(
図11E)、MH5抗体(
図11F)、MH5.22抗体(
図11G)およびMH5-DI抗体(
図11H)のv-ドメインを、生殖細胞系列(GE)、高アフィニティ外来物(HAF:High Affinity Foreign)、低アフィニティ外来物(LAF:Low Affinity Foreign)およびTCED+T細胞受容体エピトープの存在に関して検証した。h37MのVHドメインとVLドメインの両方とも、複数の高リスクなヒトT細胞エピトープを含有し、生殖細胞系列エピトープは殆ど含有しないことが判明した。すべてのリードクローンでは、高リスクエピトープ含量は大幅に減少され、生殖細胞系列エピトープは改善されていた。
【
図12A】
図12A~
図12C。ヒトFcγRIIbに対する、IgG1 Fc操作バリアントのアフィニティ解析。精製された抗KIT IgGを、BIACORE(登録商標)T200機器の「定常状態」アフィニティ測定において、FcγRIIbに対する結合アフィニティに関して解析した。クローンh37M-IgG1(
図12A)、クローンh37M-IgG1-3M(
図12B)、およびクローンMH1-IgG-4M(
図12C)はすべて、FcγRIIbに対し測定可能な結合を呈しており、MH1-IgG-4Mは、全濃度範囲にわたり、全体的に最も低い結合シグナルを示した。A~Cにおいて、チップ相互作用の生データは、それぞれの上のパネルに示されており、各濃度当たりの反応単位(RU:Response Unit)に対してプロットされた曲線は、下のパネルに示されている。
【
図13A】
図13A~
図13C。ヒトプロテオーム再配置(re-array)解析。5528個の固有タンパク質の完全スクリーニングを行った後、結合特異性の解析をチップに対して行った。チップには、潜在的に関連性のある標的をコードするプラスミドが配置されており、当該プラスミドを使用してHEK293細胞がトランスフェクトされた。すべてのプラスミドのトランスフェクションが、一緒にコードされたマーカーのZSグリーンをスクリーニングすることにより確認された(
図13A)。次いで個別のチップが、リツキシマブアナログおよび二次標識抗体のみ(
図13A)、0.5および2μg/mlのh37M(
図13B)、ならびに0.5および2μg/mlのMH1(
図13C)を使用してプローブされた。これらの解析により、h37MとMH1の両方ともが、C-KITに対して高い特異性の結合を呈したことが確認された。すべてのチップ上で、MMP7、CRIM1およびF13A1に対する結合シグナルは二次抗体のアーチファクトであることが判明した(
図13A)。
【
図14A】
図14A~
図14C。抗C-KIT細胞殺傷解析。内部移行と毒素送達を、ヒトC-KIT(
図14A)およびカニクイザルC-KIT(
図14B)をトランスフェクトされたCHO細胞、ならびにヒト赤白血病細胞株のTF-1(
図14C)に対して、FabZAP試薬の存在下で検証した。クローンh37M、クローンMH1、およびIgG1-3M形式のクローンMH5-DIはすべて、高い有効性で高度に類似した細胞殺傷を誘導した。
【
図15A】
図15A~
図15B。h37M、MH1、MH5に対するHTRF系C-KITエピトープ競合アッセイ。ヒトまたはカニクイザルのC-KITに対するh37M IgGのHTRF結合シグナルを、力価測定された競合物質のMH1、およびIgG1-3M形式のMH5、それに加えて陰性対照としてのアイソタイプIgG1と陽性対照としての非標識h37M IgG1-3Mの存在下で検証した。すべてのIgG(アイソタイプ対照のIgG1を除く)は、非標識h37Mと重複する、完全に濃度依存性のヒトC-KIT(
図15A)およびカニクイザルC-KIT(
図15B)へのh37M結合の阻害を呈した。
【
図16】
図16。C-KIT/SCF誘導型細胞増殖の阻害に関するTF-1細胞系アッセイ。ヒトTF-1細胞株は、SCFの存在下で培養された。SCFはC-KITを介して細胞増殖を促進する。抗体を72時間適用し、レザズリン蛍光を介して増殖が測定された。h37Mは、検証された他のいずれの抗体よりも予想を超えて顕著に有効性が高いことが判明した。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の第一の態様によると、ヒトC-KIT、および任意でカニクイザルC-KITにも特異的に結合する抗体分子、またはその抗原結合部分が提供され、当該抗体分子または抗原結合部分は、
以下の順序で配列中にアミノ酸を有するHCDR1(重鎖相補性決定領域1):G-Y-T-F-T-DまたはDの保存的置換-YまたはYの保存的置換-Y-MまたはMの保存的置換-N(配列番号1)、
以下の順序で配列中にアミノ酸を有するHCDR2(重鎖相補性決定領域2):MまたはMの保存的置換(例えば、I)-GまたはGの保存的置換(例えば、A)-R-I-Y-P-GまたはGの保存的置換(例えば、A)-SまたはSの保存的置換(例えば、AまたはT)-G-N-T-Y-Y-A-Q-K-F-Q-G(配列番号2)、および
以下の順序で配列中にアミノ酸を有するHCDR3(重鎖相補性決定領域3):G-V-Yまたは任意のアミノ酸(例えば、WまたはF)-Yまたは任意のアミノ酸(例えば、EまたはH)-Fまたは任意のアミノ酸(例えば、Y、QまたはL)-Dまたは任意のアミノ酸(例えば、G、NまたはS)-Yまたは任意のアミノ酸(例えば、A、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V)(配列番号3)、を含む重鎖可変領域を含有する。
【0045】
一部の態様では、本明細書に提供される抗C-KIT抗体または抗原結合部分は、配列番号208を含有する、または配列番号208からなるC-KITタンパク質に特異的に結合する。一部の態様では、本明細書に提供される抗C-KIT抗体または抗原結合部分は、配列番号208に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を有するC-KITタンパク質に特異的に結合する。一部の態様では、本明細書に提供される抗C-KIT抗体または抗原結合部分は、配列番号209もしくは配列番号210を含有する、または配列番号209もしくは配列番号210からなる核酸分子にコードされるC-KITタンパク質に特異的に結合する。
【0046】
本発明の態様において、抗体分子または抗原結合部分のHCDR1は、配列GYTFTDYYIN(配列番号4、WO2014018625A1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のHCDR1)を除外してもよく、抗体分子または抗原結合部分のHCDR2は、配列IARIYPGSGNTYYNEKFKG(配列番号5、WO2014018625A1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のHCDR2)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のHCDR3は、配列GVYYFDY(配列番号6
、WO2014018625A1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のHCDR3)を除外してもよい。
【0047】
抗体または抗原結合部分は、
以下の順序で配列中にアミノ酸を有するLCDR1(軽鎖相補性決定領域1):R-A-S-Q-G-IまたはIの保存的置換-RまたはRの保存的置換-Tまたは任意のアミノ酸(例えば、N)-Nまたは任意のアミノ酸(例えば、Y)-L-A(配列番号7)、
以下の順序で配列中にアミノ酸を有するLCDR2(軽鎖相補性決定領域2):Aまたは任意のアミノ酸(例えば、S、Y)-A-S-Sまたは任意のアミノ酸(例えば、Y)-Lまたは任意のアミノ酸(例えば、R)-Qまたは任意のアミノ酸(例えば、Y)-S(配列番号8)、および
以下の順序で配列中にアミノ酸を有するLCDR3(軽鎖相補性決定領域3):Q-Q-Y-Nまたは任意のアミノ酸(例えば、A)-Sまたは任意のアミノ酸(例えば、NまたはD)-Y-P-R-T(配列番号9)、を含む軽鎖可変領域をさらに含有してもよい。
【0048】
本発明の一部の態様において、抗体分子または抗原結合部分のLCDR1は、配列KASQNVRTNVA(配列番号10、WO2014018625A1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のLCDR1)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のLCDR2は、配列SASYRYS(配列番号11、WO2014018625A1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のLCDR2)を除外してもよい。一部の実施形態において、抗体分子または抗原結合部分のLCDR1は、配列KASQNVRTNVA(配列番号10、WO2014018625A1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のLCDR1)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のLCDR2は、配列SASYRYS(配列番号11、WO2014018625A1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のLCDR2)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のLCDR3は、配列QQYNSYPRT(配列番号12、WO2014018625A1に開示される37Mマウス/ヒト化抗体のLCDR3)を除外してもよい。
【0049】
一部の態様において、本明細書は、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を開示するものであり、当該抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含有し、この場合において、
(a)HCDR1は、アミノ酸配列G-Y-T-F-T-X1-X2-Y-X3-Nを含
有し、式中、X1は、DまたはDの保存的置換であり、X2は、YまたはYの保存的置換であり、そしてX3は、MまたはMの保存的置換であり(配列番号1)、
(b)HCDR2は、X1-X2-R-I-Y-P-X3-X4-G-N-T-Y-Y-A-Q-K-F-Q-Gを含有し、式中、X1は、MまたはMの保存的置換(例えば、I)
であり、X2は、GまたはGの保存的置換(例えば、A)であり、X3は、GまたはGの保存的置換(例えば、A)であり、そしてX4は、SまたはSの保存的置換(例えば、Aま
たはT)であり(配列番号2)、
(c)HCDR3は、G-V-X1-X2-X3-X4-X5を含有し、式中、X1は、Yま
たは任意の他のアミノ酸(例えば、WまたはF)であり、X2は、Yまたは任意の他のア
ミノ酸(例えば、EまたはH)であり、X3は、Fまたは任意の他のアミノ酸(例えば、
Y、QまたはL)であり、X4は、Dまたは任意の他のアミノ酸(例えば、G、Nまたは
S)であり、そしてX5は、Yまたは任意の他のアミノ酸(例えば、A、D、E、F、G
、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、TまたはV)であり(配列番号3);
(d)LCDR1は、R-A-S-Q-G-X1-X2-X3-X4-L-Aを含有し、式中、X1は、IまたはIの保存的置換であり、X2は、RまたはRの保存的置換であり、X3は、Tまたは任意の他のアミノ酸(例えば、N)であり、X4は、Nまたは任意の他のアミノ酸(例えば、Y)であり(配列番号7)、
(e)LCDR2は、X1-A-S-X2-X3-X4-Sを含有し、式中、X1は、Aま
たは任意の他のアミノ酸(例えば、SまたはY)であり、X2は、Sまたは任意の他のア
ミノ酸(例えば、Y)であり、X3は、Lまたは任意の他のアミノ酸(例えば、R)であ
り、そしてX4は、Qまたは任意の他のアミノ酸(例えば、Y)であり(配列番号8)、
および
(f)LCDR3は、Q-Q-Y-X1-X2-Y-P-R-Tを含有し、式中、X1は
、Nまたは任意の他のアミノ酸(例えば、A)であり、X2は、Sまたは任意の他のアミ
ノ酸(例えば、NまたはD)である(配列番号9)。
【0050】
一部の態様において、本明細書は、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を開示するものであり、この場合において当該抗体は、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1-HCDR1-FR2-HCDR2-FR3-HCDR3-FR4を含有する重鎖可変(VH)領域、およびアミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1-LCDR1-FR2-LCDR2-FR3-LCDR3-FR4を含有する軽鎖可変(VL)領域を含有し、この場合において、HCDR1は、配列番号1であり、HCDR2は、配列番号2であり、HCDR3は、配列番号3であり、LCDR1は、配列番号7であり、LCDR2は、配列番号8であり、そしてLCDR3は、配列番号9であり、この場合において当該重鎖のFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列は、配列番号89(表2を参照のこと)のFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列であり、この場合において当該軽鎖のFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列は、配列番号92(表2を参照のこと)のFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列である。
【0051】
本明細書に詳述されるように、本発明者らは、WO2014018625A1に開示されるマウス抗C-KIT抗体37Mから誘導されたCDR配列を使用し、多数の最適化抗C-KIT抗体分子を作製することに初めて成功した。本発明の実施形態において、これら抗体分子は、(適切な動物実験種でのインビボ試験が容易になるように)ヒトC-KITならびにカニクイザルC-KITの両方に特異的に結合するよう選択された。本明細書に記載される最適化された抗体分子のさらなる改良によって、可変ドメインの安定性の改善、高い発現収率、および/または免疫原性の低下が提供された。
【0052】
本発明の好ましい最適化抗C-KIT抗体分子は、対応するマウスCDRまたはその他(例えばフレームワーク)のアミノ酸の位置で、必ずしも最大数のヒト生殖細胞系列の置換を有するとは限らない。以下の実施例の項に詳述されるように、本発明者らは、「最大限にヒト化された」抗体分子は、抗C-KIT結合特性および/または他の望ましい性質に関して、必ずしも「最大限に最適化」されているとは限らないことを見出した。
【0053】
本発明は、本明細書に記載される抗体分子またはその抗原結合部分のアミノ酸配列に対する改変を包含する。例えば本発明は、その性質に大きな影響を与えない、機能的に同等の可変領域およびCDRを含有する抗体分子およびその対応する抗原結合部分、ならびに活性および/もしくはアフィニティが強化された、または低下したバリアントを包含する。例えばアミノ酸配列は、C-KITに対し所望の結合アフィニティを有する抗体が得られるように変異されてもよい。1残基から数百以上の残基を含有するポリペプチドの長さの範囲のアミノ末端融合および/またはカルボキシル末端融合を含み、ならびに一アミノ酸残基または複数のアミノ酸残基の配列間挿入を含む挿入が予期される。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体分子、またはエピトープタグに融合された抗体分子が挙げられる。抗体分子のその他の挿入バリアントとしては、酵素またはポリペプチドの、抗体N末端または抗体C末端への融合が挙げられ、それにより血液循環中の抗体の半減期が延長される。
【0054】
本発明の抗体分子または抗原結合部分は、グリコシル化ポリペプチドおよび非グリコシル化ポリペプチド、ならびに他の翻訳後修飾を有するポリペプチド、例えば異なる糖類でのグリコシル化、アセチル化およびリン酸化を有するポリペプチドを含んでもよい。例えば1つまたは複数のアミノ酸残基を付加、除去または置換させ、グリコシル化部位を形成または除去させることにより、本発明の抗体分子または抗原結合部分を変異させて、当該翻訳後修飾を変化させてもよい。
【0055】
本発明の抗体分子または抗原結合部分は、例えば抗体中の潜在的なタンパク質分解部位を除去するアミノ酸置換により改変されてもよい。
【0056】
抗体分子またはその抗原結合部分において、HCDR1は、以下のアミノ酸配列を有してもよい:G-Y-T-F-T-D/N-Y/H/F-Y-M/I-N(配列番号28);HCDR2は、以下のアミノ酸配列を有してもよい:M/I-G/A-R-I-Y-P-G/A-S/T/A-G-N-T-Y-Y-A-Q-K-F-Q-G(配列番号29);そしてHCDR3は、以下のアミノ酸配列を有してもよい:G-V-Y/W/F-Y/E/H-F/Y/Q/L--D/G/N/S-Y/A/E/F/GH/I/K/L/M/N/P/Q/R/S/T/V(配列番号30)。
【0057】
例えば、HCDR1は、以下のアミノ酸配列を有してもよい:G-Y-T-F-T-D/N-Y/F-Y-M-N(配列番号31);HCDR2は、以下のアミノ酸配列を有してもよい:M/I-G-R-I-Y-P-G/A-S-G-N-T-Y-Y-A-Q-K-F-Q-G(配列番号32);そしてHCDR3は、以下のアミノ酸配列を有してもよい:G-V-Y/W-Y/E/H-Y/Q/L--D-Y/S/T/E(配列番号33)。
【0058】
抗体分子またはその抗原結合部分において、LCDR1は、以下のアミノ酸配列を有してもよい:R-A-S-Q-G-I/V-R-T/N-N-L-A(配列番号34);LCDR2は、以下のアミノ酸配列を有してもよい:A/S/Y-A-S-S-L-Q-S(配列番号35);そしてLCDR3は、以下のアミノ酸配列を有してもよい:Q-Q-Y-N/A/S/E/T-S/A/N/D-Y-P-R-T(配列番号36)。
【0059】
例えば、LCDR1は、以下のアミノ酸配列を有してもよい:R-A-S-Q-G-I-R-T/N-N-L-A(配列番号37);LCDR2は、以下のアミノ酸配列を有してもよい:A-A-S-S-L-Q-S(配列番号24);そしてLCDR3は、以下のアミノ酸配列を有してもよい:Q-Q-Y-N/A-S/N-Y-P-R-T(配列番号38)。
【0060】
本発明の特定の実施形態において、抗体分子または抗原結合部分は、以下を含有してもよい:
(a)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVWYFDY(HCDR3;配列番号40)、RASQGVRTNVA(LCDR1;配列番号39)、SASSLQS(LCDR2;配列番号17)、QQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)、[クローン E-E10];または
(b)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYQDY(HCDR3;配列番号41)、RASQGVRTNVA(LCDR1;配列番号39)、AASSRQS(LCDR2;配列番号23)およびQQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)[クローン F-F2];
(c)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIY
PGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYEFDY(HCDR3;配列番号42)、RASQGVRNNLA(LCDR1;配列番号43)、AASYRQS(LCDR2;配列番号44)、およびQQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)[クローン C-B12];
(d)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、IGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号45)、GVYYFDS(HCDR3;配列番号46)、RASQGVRNNVA(LCDR1;配列番号47)、YASSLQS(LCDR2;配列番号48)、およびQQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)[クローン C-A7];
(e)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYHFDY(HCDR3;配列番号49)、RASQGVRNNVA(LCDR1;配列番号47)、AASYLQS(LCDR2;配列番号50)、およびQQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)[クローン C-A5];
(f)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYFDT(HCDR3;配列番号51)、RASQGVRTNLA(LCDR1;配列番号22)、AASSRQS(LCDR2;配列番号23)、およびQQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)[クローン D-A10];
(g)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、SASSLQS(LCDR2;配列番号17)、およびQQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)[クローンE-C7];
(h)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGVRTNLA(LCDR1;配列番号22)、SASSLQS(LCDR2;配列番号17)、およびQQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)[クローンD-D5];
(i)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYLDY(HCDR3;配列番号18)、RASQGIRTNVA(LCDR1;配列番号19)、SASYRQS(LCDR2;配列番号20)、およびQQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)[クローンE-C2];
(j)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYLDY(HCDR3;配列番号18)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、AASYRQS(LCDR2;配列番号44)、およびQQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)[クローンF-B11];
(k)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYLDY(HCDR3;配列番号18)、RASQGVRTNVA(LCDR1;配列番号39)、SASSLQS(LCDR2;配列番号17)、およびQQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)[クローンD-D9];
(l)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYFDE(HCDR3;配列番号21)、RASQGVRTNVA(LCDR1;配列番号39)、SASSRQS(LCDR2;配列番号52)、およびQQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)[クローンE-G7];
(m)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIY
PGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYFDE(HCDR3;配列番号21)、RASQGVRTNLA(LCDR1;配列番号22)、AASSRQS(LCDR2;配列番号23)、およびQQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)[クローンF-C5];
(n)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、AASSLQS(LCDR2;配列番号24)、およびQQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)[クローンMH1];
(o)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、SASSLQS(LCDR2;配列番号17)、およびQQYASYPRT(LCDR3;配列番号53)[クローンMH2];
(p)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、SASSLQS(LCDR2;配列番号17)、およびQQYNAYPRT(LCDR3;配列番号54)[クローンMH3];
(q)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、SASSLQS(LCDR2;配列番号17)、およびQQYNDYPRT(LCDR3;配列番号55)[クローンMH4];
(r)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、SASSLQS(LCDR2;配列番号17)、およびQQYANYPRT(LCDR3;配列番号25)[クローンMH5];
(s)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、SASSLQS(LCDR2;配列番号17)、およびQQYNSYPKT(LCDR3;配列番号56)[クローンMH6];
(t)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、SASSLQS(LCDR2;配列番号17)、およびQQYNSYPHT(LCDR3;配列番号57)[クローンMH7];
(u)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、SASSLQS(LCDR2;配列番号17)、およびQQYSSYPRT(LCDR3;配列番号58)[クローンMH8];
(v)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、SASSLQS(LCDR2;配列番号17)、およびQQYESYPRT(LCDR3;配列番号59)[クローンMH9];
(w)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIY
PGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、SASSLQS(LCDR2;配列番号17)、およびQQYTSYPRT(LCDR3;配列番号60)[クローンMH10];
(x)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、AASSLQS(LCDR2;配列番号24)、およびQQYNAYPRT(LCDR3;配列番号54)[クローンMH11];
(y)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGVRTNLA(LCDR1;配列番号22)、AASSLQS(LCDR2;配列番号24)、およびQQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)[クローンMH12];
(z)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGVRTNLA(LCDR1;配列番号22)、AASSLQS(LCDR2;配列番号24)、およびQQYNAYPRT(LCDR3;配列番号54)[クローンMH13];
(aa)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGVRTNLA(LCDR1;配列番号22)、AASSLQS(LCDR2;配列番号24)、およびQQYNSYPRT(LCDR3;配列番号12)[クローンMH14];
(bb)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGVRTNLA(LCDR1;配列番号22)、AASSLQS(LCDR2;配列番号24)、およびQQYNAYPRT(LCDR3;配列番号54)[クローンMH15];
(cc)アミノ酸配列のGYTFTNYYMN(HCDR1;配列番号181)、MGRIYPGTGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号61)、GVWYYDY(HCDR3;配列番号27)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、AASSLQS(LCDR2;配列番号24)、およびQQYANYPRT(LCDR3;配列番号25)[クローンMH5.1];
(dd)アミノ酸配列のGYTFTDFYMN(HCDR1;配列番号180)、MGRIYPGTGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号61)、GVWYYDY(HCDR3;配列番号27)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、AASSLQS(LCDR2;配列番号24)、およびQQYANYPRT(LCDR3;配列番号25)[クローンMH5.2];
(ee)アミノ酸配列のGYTFTDFYMN(HCDR1;配列番号180)、MGRIYPASGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号26)、GVWYYDY(HCDR3;配列番号27)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、AASSLQS(LCDR2;配列番号24)、およびQQYANYPRT(LCDR3;配列番号25)[クローンMH5.22];
(ff)アミノ酸配列のGYTFTDFYMN(HCDR1;配列番号180)、MGRIYPASGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号26)、GVWYFDS(HCDR3;配列番号62)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、AASSLQS(LCDR2;配列番号24)、およびQQYANYPRT(LCDR3;配列番号25)[クローンMH5.23];
(gg)アミノ酸配列のGYTFTDFYMN(HCDR1;配列番号180)、MGR
IYPASGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号26)、GVWYFDT(HCDR3;配列番号63)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、AASSLQS(LCDR2;配列番号24)、およびQQYANYPRT(LCDR3;配列番号25)[クローンMH5.24];
(hh)アミノ酸配列のGYTFTNYYMN(HCDR1;配列番号181)、MGRIYPASGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号26)、GVWYFDS(HCDR3;配列番号62)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、AASSLQS(LCDR2;配列番号24)、およびQQYANYPRT(LCDR3;配列番号25)[クローンMH5.34];
(ii)アミノ酸配列のGYTFTNYYMN(HCDR1;配列番号181)、MGRIYPASGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号26)、GVWYFDT(HCDR3;配列番号63)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、AASSLQS(LCDR2;配列番号24)、およびQQYANYPRT(LCDR3;配列番号25)[クローンMH5.35];
(jj)アミノ酸配列のGYTFTDYYMN(HCDR1;配列番号13)、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(HCDR2;配列番号14)、GVYYYDY(HCDR3;配列番号15)、RASQGIRTNLA(LCDR1;配列番号16)、AASSLQS(LCDR2;配列番号24)、およびQQYANYPRT(LCDR3;配列番号25)[クローンMH5-DI]。
【0061】
一部の態様において、本明細書は、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を開示するものであり、当該抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含有し、この場合において、
(a)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、ならびに当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、AASSLQS(配列番号24)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、
(b)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、ならびに当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、AASSLQS(配列番号24)のLCDR2、およびQQYANYPRT(配列番号25)のLCDR3を含有し、
(c)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、ならびに当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、SASSLQS(配列番号17)のLCDR2、およびQQYANYPRT(配列番号25)のLCDR3を含有し、
(d)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、ならびに当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、SASSLQS(配列番号17)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、
(e)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYLDY(配列番号18)のHCDR3を含有し、ならびに当該VL領域のアミノ
酸配列は、RASQGIRTNVA(配列番号19)のLCDR1、SASYRQS(配列番号20)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、
(f)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYFDE(配列番号21)のHCDR3を含有し、ならびに当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGVRTNLA(配列番号22)のLCDR1、AASSRQS(配列番号23)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、または
(g)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDFYMN(配列番号180)のHCDR1、MGRIYPASGNTYYAQKFQG(配列番号26)のHCDR2、およびGVWYYDY(配列番号27)のHCDR3を含有し、ならびに当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、AASSLQS(配列番号24)のLCDR2、およびQQYANYPRT(配列番号25)のLCDR3を含有する。
【0062】
一部の態様において、本明細書は、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を開示するものであり、この場合において当該抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含有し、この場合において当該VH領域は、表12のVH領域アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含有し、当該VL領域は、表12のVL領域アミノ酸配列のいずれか1つを含有する。
【0063】
一部の態様において、本明細書は、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を開示するものであり、当該抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含有し、この場合において、
(a)当該VH領域のアミノ酸配列は、配列番号185を含有し、または配列番号185からなり、当該VL領域のアミノ酸配列は、配列番号186を含有し、または配列番号186からなる;
(b)当該VH領域のアミノ酸配列は、配列番号187を含有し、または配列番号187からなり、当該VL領域のアミノ酸配列は、配列番号188を含有し、または配列番号188からなる;
(c)当該VH領域のアミノ酸配列は、配列番号189を含有し、または配列番号189からなり、当該VL領域のアミノ酸配列は、配列番号190を含有し、または配列番号190からなる;
(d)当該VH領域のアミノ酸配列は、配列番号191を含有し、または配列番号191からなり、当該VL領域のアミノ酸配列は、配列番号192を含有し、または配列番号192からなる;
(e)当該VH領域のアミノ酸配列は、配列番号193を含有し、または配列番号193からなり、当該VL領域のアミノ酸配列は、配列番号194を含有し、または配列番号194からなる;または
(f)当該VH領域のアミノ酸配列は、配列番号195を含有し、または配列番号195からなり、当該VL領域のアミノ酸配列は、配列番号196を含有し、または配列番号196からなる。
【0064】
一部の態様において、本明細書は、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を開示するものであり、当該抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含有し、この場合において、
(a)当該VH領域アミノ酸配列は、配列番号185に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、ま
たは少なくとも約99%同一であり、当該VL領域アミノ酸配列は、配列番号186に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である;
(b)当該VH領域アミノ酸配列は、配列番号187に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であり、当該VL領域アミノ酸配列は、配列番号188に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である;
(c)当該VH領域アミノ酸配列は、配列番号189に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であり、当該VL領域アミノ酸配列は、配列番号190に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である;
(d)当該VH領域アミノ酸配列は、配列番号191に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であり、当該VL領域アミノ酸配列は、配列番号192に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である;
(e)当該VH領域アミノ酸配列は、配列番号193に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であり、当該VL領域アミノ酸配列は、配列番号194に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である;または
(f)当該VH領域アミノ酸配列は、配列番号195に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であり、当該VL領域アミノ酸配列は、配列番号196に対し、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である。一部の態様において、抗C-KIT抗体のCDRアミノ酸配列は、列挙される配列中のCDRアミノ酸配列に対して100%の同一性であるが、FRアミノ酸配列は、列挙される配列中のFRアミノ酸配列に対し、100%未満の同一性である。
【0065】
一部の態様において、本明細書に規定される抗体または抗原結合部分は、単離されてもよい。
【0066】
本明細書に規定される抗体分子または抗原結合部分は、C-KITへの結合に関し、本明細書に開示されるCDRセットを含有する抗体またはその抗原結合部分と交差競合してもよい。一部の実施形態では、本発明は、単離された抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を提供するものであり、この場合において当該抗体またはその抗原結合部分は、C
-KITへの結合に関し、本明細書に開示されるCDRセットを含有する抗体または抗原結合部分と交差競合し、ならびに(a)完全生殖細胞系列ヒトフレームワークアミノ酸配列を含有し、および/または(b)LCDR3中に脱アミド化部位を含有せず、および/または(c)HCDR1および/またはLCDR2において、高いMHCクラスII結合アフィニティを有するヒト生殖細胞系列ペプチド配列を含有し、および/または(d)抗体h37Mの可変ドメイン配列(表2)を含有する抗C-KIT抗体と比較して少ない数の免疫原性ペプチドを含有し、および/または(e)抗体h37Mの可変ドメイン配列(表2)を含有する抗C-KIT抗体と比較して低い免疫原性を呈し、および/または(f)抗体h37Mの可変ドメイン配列(表2)を含有する抗C-KIT抗体と類似した受容体内部移行の有効性を呈し、そして抗体h37Mの可変ドメイン配列(表2)を含有する抗C-KIT抗体よりも低いC-KITシグナル伝達遮断の有効性を呈し、および/または(g)免疫エフェクターが無効である。
【0067】
一部の実施形態では、抗C-KIT抗体または抗原結合部分は、低い免疫原性を有する。ある場合には、抗体または抗原結合部分は、GYTFTDYYIN(配列番号4)のHCDR1、IARIYPGSGNTYYNEKFKG(配列番号5)のHCDR2、GVYYFDY(配列番号6)のHCDR3、KASQNVRTNVA(配列番号10)のLCDR1、およびSASYRYS(配列番号11)のLCDR2を含有する抗C-KIT抗体と比較して低い免疫原性を呈する。一部の例では、抗体または抗原結合部分の免疫原性リスクは、インシリコで、当該抗体または部分(例えば抗体または部分の可変領域)におけるT細胞エピトープの位置を特定することにより決定されてもよい。
【0068】
例えば、抗体または抗原結合部分のT細胞エピトープは、iTope(商標)を使用して特定されてもよい。iTope(商標)を使用して、ヒトMHCクラスIIに対する無差別的な高いアフィニティ結合を有するペプチドのVL領域およびVH領域の配列を分析することができる。無差別的な高いアフィニティMHCクラスII結合ペプチドは、薬剤タンパク質の臨床免疫原性に関する高いリスク指標であるT細胞エピトープの存在と相関すると考えられている。iTope(商標)ソフトウェアは、ペプチドのアミノ酸側鎖と、34種のヒトMHCクラスIIアレルの開放末端結合溝(groove)内の特定の結合ポケット(特にポケット位置;p1、p4、p6、p7およびp9)の間の有益な相互作用を予測する。これらのアレルは、広く存在する最も普遍的なHLA-DRアレルであり、任意の特定の民族集団で多く存在するような重み付けはない。当該アレルのうちの20種が、「開いた」p1構造を含有している。そして14種が「閉じた」構造を含有しており、83位のグリシンがバリンで置換されている。重要な結合残基の位置は、被験タンパク質配列にわたり8アミノ酸が重複している9merペプチドのインシリコ生成により取得される。このプロセスによって、MHCクラスII分子に結合する、または結合しないペプチドを高い正確性で識別することに成功した。
【0069】
抗体または抗原結合部分中のT細胞エピトープは、TCED(商標)(T Cell Epitope Database(商標))を使用してVL領域配列とVH領域配列を解析し、過去にインビトロでの他のタンパク質配列のヒトT細胞エピトープマッピング解析により特定されたT細胞エピトープとの合致を検索することにより特定されてもよい。TCED(商標)を使用して、非関連タンパク質に由来するペプチドの大きな(10,000個を超えるペプチド)データベースに対する任意の被験配列と、抗体配列を検索する。
【0070】
一部の実施形態では、抗C-KIT抗体または抗原結合部分は、その配列において以下のペプチドのうちの1つまたは複数の数が少ないことから、低い免疫原性を呈する場合がある:高アフィニティ外来物(「HAF」-高免疫原性リスク)、低アフィニティ外来物(「LAF」-低免疫原性リスク)、および/またはTCED+(過去にTCED(商標
)データベースにおいて特定されたエピトープ)。
【0071】
一部の実施形態では、抗C-KIT抗体または抗原結合部分は、その配列において高い生殖細胞系列エピトープ(GE)含量を有する場合がある。一部の例では、抗C-KIT抗体または抗原結合部分は、その配列において10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個(または20個より多い)生殖細胞系列エピトープを有する。生殖細胞系列エピトープは、高いMHCクラスII結合アフィニティを有するヒト生殖細胞系列ペプチド配列として規定され得る。生殖細胞系列エピトープの9merペプチドは、広範な生殖細胞系列ペプチドを用いた過去の研究により立証されたように、T細胞寛容によって免疫原性である可能性は低い。重要なことは、そうした生殖細胞系列のv-ドメインエピトープ(ヒト抗体定常領域中の類似配列によりさらに補助される)は、抗原提示細胞の細胞膜でのMHCクラスII占有に関しても競合するため、T細胞刺激に必要とされる「活性化閾値」を達成するのに充分な外来性ペプチド提示のリスクを低下させることである。ゆえにGE含量の高さは抗体治療剤の臨床開発では有益な性質であり、低免疫原性をもたらし得る。一部の例では、抗C-KIT抗体または抗原結合部分は、高いMHCクラスII結合アフィニティを有するヒト生殖細胞系列ペプチド配列(例えば生殖細胞系列エピトープ)を、HCDR1および/またはLCDR2に含有する。
【0072】
ある実施形態では、抗C-KIT抗体または抗原結合部分は、抗体h37Mの可変ドメイン配列(表2)を含む抗C-KIT抗体と比較して、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の両方のフレームワークに存在するHAF、LAF、および/またはTCED+エピトープの数が少ない場合がある。例えば、h37MのLCDR-1中に存在するTCED+およびHAFペプチドの「VTITCKASQ」(配列番号64)は、抗C-KIT抗体または抗原結合部分において6位のKをRに変異させることで除去され、軽鎖GEの「VTITCRASQ」(配列番号65;
図11B~H)に転換されてもよい。同様に、HAFペプチドの「LIYSASSLQ」(配列番号66)および「IYSASSLQS」(配列番号67)の1つまたは両方は、LCDR2配列を完全生殖細胞系列配列の「AASSLQS」(配列番号24)へと変異させることにより、GE配列へと転換されてもよい。
【0073】
1つの実施形態では、抗C-KIT抗体または抗原結合部分は、TCED+およびHAFペプチド配列の「YYINWVRQA」(配列番号68、HCDR-1およびFW2に及ぶ)の3位で、IをMに変えるHCDR1生殖細胞系列変異を含有する。
【0074】
一部の実施形態では、抗C-KIT抗体または抗原結合部分は、HCDR3においてYからWへの変異を含有し、抗体h37M中に存在する2つのLAFペプチド配列が排除される。
【0075】
「交差競合する」、「交差競合」、「交差遮断する」、「交差遮断される」、および「交差遮断すること」という用語は本明細書において相互交換可能に使用され、抗体またはその部分が直接結合する能力、または標的C-KIT(例えば、ヒトC-KIT)に対する本発明の抗C-KIT抗体のアロステリック調節を介して間接的に結合に干渉する能力を意味する。抗体またはその部分が、別物質による標的結合に干渉することができる度合、つまり本発明により交差遮断する、または交差競合すると言えるかどうかは、競合結合アッセイを使用して決定され得る。結合競合アッセイの一例は、Homogeneous
Time Resolved Fluorescence(HTRF)である。1つの特に適した定量的交差競合アッセイは、FACS系またはAlphaScreen-系の方法を使用しており、標識(例えばHisタグ化、ビオチニル化、または放射性標識)抗体またはその部分と、他の抗体またはその部分の間の、標的への結合に関する競合を測定する。一般的に、交差競合抗体またはその部分は、例えば、交差競合アッセイにおいて標的に結合し、アッセイの間に、および第二の抗体またはその部分の存在下で、本発明の免
疫グロブリン単一可変ドメインまたはポリペプチドの記録される変位は、所与の量で存在する潜在的に交差遮断する抗体またはその断片による、(例えばFACS系競合アッセイにおける)理論上の最大変位(例えばコールド(例えば非標識)抗体または交差遮断されるために必要なその断片による変位)の100%以下である。交差競合抗体またはその部分は、10%~100%、または50%~100%の記録される変位を有することが好ましい。
【0076】
本明細書に規定される抗体分子または抗原結合部分は、1つまたは複数の置換、欠失および/または挿入を含んでもよく、それらにより例えばグリコシル化部位(N結合型またはO結合型)、脱アミノ部位、リン酸化部位または異性化/断片化部位などの翻訳後修飾(PTM:post-translational modification)部位が除去される。
【0077】
350を超えるタイプのPTMが公知である。重要なPTMの型としては、リン酸化、グリコシル化(N結合型およびO結合型)、SUMO化、パルミトイル化、アセチル化、硫酸化、ミリストイル化、プレニル化、および(K残基およびR残基の)メチル化が挙げられる。特定のPTMの原因となる推定アミノ酸部位を特定するための統計的手法は、当分野に公知である(Zhou et al.,2016,Nature Protocols 1:1318-1321を参照のこと)。例えば置換、欠失および/または挿入によりそうした部位を除去し、次いで任意で(a)結合活性、および/または(b)PTMの消失を検証(実験的に、および/または理論的に)することが予期される。
【0078】
例えば、37MマウスLCDR3(本明細書に規定される、すなわちアミノ酸配列QQYNSYPRT(配列番号12))は、4位の残基(N)で推定脱アミド部位を有すると特定されている。本発明のLCDR3の同じ位置にあるこの部位を、(例えば、A、S、EまたはTへの)置換により除去することが予期される(例えばクローンMH5およびMH5の変異誘導体、表4および表6)。
【0079】
抗体分子またはその抗原結合部分は、ヒト、ヒト化またはキメラであってもよい。
【0080】
抗体分子またはその抗原結合部分は、1つまたは複数のヒト可変ドメインフレームワークスキャホールドを含有してもよく、その中にCDRが挿入される。例えば、VH領域、VL領域、またはVH領域とVL領域の両方が、1つまたは複数のヒトフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含有してもよい。
【0081】
抗体分子またはその抗原結合部分は、IGHV1-46ヒト生殖細胞系列スキャホールドを含有してもよく、その中に対応するHCDR配列が挿入される。抗体分子またはその抗原結合部分は、IGHV1-46ヒト生殖細胞系列スキャホールドのアミノ酸配列を含有するVH領域を含有してもよく、その中に対応するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3のアミノ酸配列のセットが挿入される。
【0082】
抗体分子またはその抗原結合部分は、IGKV1-16ヒト生殖細胞系列スキャホールドを含有してもよく、その中に対応するLCDR配列が挿入される。抗体分子またはその抗原結合部分は、IGKV1-16ヒト生殖細胞系列スキャホールドのアミノ酸配列を含有するVL領域を含有してもよく、その中に対応するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3のアミノ酸配列のセットが挿入される。
【0083】
抗体分子またはその抗原結合部分は、IGHV1-46ヒト生殖細胞系列スキャホールドを含有してもよく、その中に対応するHCDR配列が挿入され、およびIGKV1-16ヒト生殖細胞系列スキャホールドを含有してもよく、その中に対応するLCDR配列が
挿入される。抗体分子またはその抗原結合部分は、IGHV1-46ヒト生殖細胞系列スキャホールドのアミノ酸配列を含有するVH領域を含有してもよく、その中に対応するHCDR1、HCDR2、およびHCDR3のアミノ酸配列のセットが挿入され、およびIGKV1-16ヒト生殖細胞系列スキャホールドのアミノ酸配列を含有するVL領域を含有してもよく、その中に対応するLCDR1、LCDR2、およびLCDR3のアミノ酸配列のセットが挿入される。HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3のアミノ酸配列は、表4または表6のクローンのいずれか1つのHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3のアミノ酸配列であってもよい(6つすべてのCDR配列が、同じクローン由来である)。
【0084】
一部の態様では、抗体分子またはその抗原結合部分は、免疫グロブリン定常領域を含有してもよい。一部の態様では、免疫グロブリン定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1またはIgA2である。追加的態様では、免疫グロブリン定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1またはIgA2である。抗体分子またはその抗原結合部分は、免疫学的に不活性な定常領域を含有してもよい。一部の態様では、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分は、野生型ヒトIgG1定常領域、L234A、L235A、およびG237Aのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域、またはL234A、L235A、G237AおよびP331Sのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域を含有する免疫グロブリン定常領域を含有してもよい。一部の態様では、抗C-KIT抗体は、表13のアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含有する免疫グロブリン定常領域を含有してもよい。表13のFc領域配列は、CH1ドメインから始まる。一部の態様では、抗C-KIT抗体は、ヒトIgG1、ヒトIgG1-3M、またはヒトIgG1-4MのFc領域のアミノ酸配列を含有する免疫グロブリン定常領域を含有してもよい。例えば、ヒトIgG1-3M Fc領域は、以下の置換を含有する:L234A、L235AおよびG237A。一方で、ヒトIgG1-4M Fc領域は、以下の置換を含有する:L234A、L235A、G237AおよびP331S。一部の態様では、免疫グロブリン分子の定常領域中のアミノ酸残基の位置は、EUの用語体系(Ward et al.,1995 Therap. Immunol. 2:77-94)に従って番号付けされる。一部の態様では、免疫グロブリン定常領域は、RDELT(配列番号203)モチーフ、またはREEM(配列番号204)モチーフ(表13の下線部分)を含有してもよい。REEM(配列番号204)アロタイプは、RDELT(配列番号203)アロタイプよりも少ないヒト集団に存在する。一部の態様では、抗C-KIT抗体は、配列番号197~202のいずれか1つを含有する免疫グロブリン定常領域を含有してもよい。一部の態様では、抗C-KIT抗体は、表4または表6のクローンのいずれか1つの6つのCDRアミノ酸配列、または表13のFc領域アミノ酸配列のいずれか1つを含有してもよい。一部の態様では、抗C-KIT抗体は、表13のFc領域アミノ酸配列のいずれか1つを含有する免疫グロブリン重鎖定常領域、およびカッパ軽鎖定常領域またはラムダ軽鎖定常領域である免疫グロブリン軽鎖定常領域を含有してもよい。
【0085】
一部の態様において、本明細書は、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を開示するものであり、当該抗体は、重鎖可変(VH)領域、軽鎖可変(VL)領域、および重鎖定常領域を含有し、この場合において、
(a)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、AASSLQS(配列番号24)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、ならびに重鎖定常領域は、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201、または配列番号202を含有し、
(b)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、AASSLQS(配列番号24)のLCDR2、およびQQYANYPRT(配列番号25)のLCDR3を含有し、ならびに重鎖定常領域は、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201、または配列番号202を含有し、
(c)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、SASSLQS(配列番号17)のLCDR2、およびQQYANYPRT(配列番号25)のLCDR3を含有し、ならびに重鎖定常領域は、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201、または配列番号202を含有し、
(d)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYYDY(配列番号15)のHCDR3を含有し、当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、SASSLQS(配列番号17)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、ならびに重鎖定常領域は、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201、または配列番号202を含有し、
(e)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYLDY(配列番号18)のHCDR3を含有し、当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNVA(配列番号19)のLCDR1、SASYRQS(配列番号20)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、ならびに重鎖定常領域は、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201、または配列番号202を含有し、
(f)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDYYMN(配列番号13)のHCDR1、MGRIYPGSGNTYYAQKFQG(配列番号14)のHCDR2、およびGVYYFDE(配列番号21)のHCDR3を含有し、当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGVRTNLA(配列番号22)のLCDR1、AASSRQS(配列番号23)のLCDR2、およびQQYNSYPRT(配列番号12)のLCDR3を含有し、ならびに重鎖定常領域は、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201、または配列番号202を含有し、または
(g)当該VH領域のアミノ酸配列は、GYTFTDFYMN(配列番号180)のHCDR1、MGRIYPASGNTYYAQKFQG(配列番号26)のHCDR2、およびGVWYYDY(配列番号27)のHCDR3を含有し、当該VL領域のアミノ酸配列は、RASQGIRTNLA(配列番号16)のLCDR1、AASSLQS(配列番号24)のLCDR2、およびQQYANYPRT(配列番号25)のLCDR3を含有し、ならびに重鎖定常領域は、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201、または配列番号202を含有する。
【0086】
一部の態様において、本明細書は、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を開示するものであり、当該抗体は、重鎖可変(VH)領域、軽鎖可変(VL)領域、および重鎖定常領域を含有し、この場合において、
(a)VH領域のアミノ酸配列は、配列番号185を含有し、または配列番号185からなり、VL領域のアミノ酸配列は、配列番号186を含有し、または配列番号186からなり、および重鎖定常領域は、野生型ヒトIgG1定常領域、L234A、L235AおよびG237Aのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域、またはL234A、
L235A、G237AおよびP331Sのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域を含有し、
(b)VH領域のアミノ酸配列は、配列番号187を含有し、または配列番号187からなり、VL領域のアミノ酸配列は、配列番号188を含有し、または配列番号188からなり、および重鎖定常領域は、野生型ヒトIgG1定常領域、L234A、L235AおよびG237Aのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域、またはL234A、L235A、G237AおよびP331Sのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域を含有し、
(c)VH領域のアミノ酸配列は、配列番号189を含有し、または配列番号189からなり、VL領域のアミノ酸配列は、配列番号190を含有し、または配列番号190からなり、および重鎖定常領域は、野生型ヒトIgG1定常領域、L234A、L235AおよびG237Aのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域、またはL234A、L235A、G237AおよびP331Sのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域を含有し、
(d)VH領域のアミノ酸配列は、配列番号191を含有し、または配列番号191からなり、VL領域のアミノ酸配列は、配列番号192を含有し、または配列番号192からなり、および重鎖定常領域は、野生型ヒトIgG1定常領域、L234A、L235AおよびG237Aのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域、またはL234A、L235A、G237AおよびP331Sのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域を含有し、
(e)VH領域のアミノ酸配列は、配列番号193を含有し、または配列番号193からなり、VL領域のアミノ酸配列は、配列番号194を含有し、または配列番号194からなり、および重鎖定常領域は、野生型ヒトIgG1定常領域、L234A、L235AおよびG237Aのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域、またはL234A、L235A、G237AおよびP331Sのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域を含有し、または
(f)VH領域のアミノ酸配列は、配列番号195を含有し、または配列番号195からなり、VL領域のアミノ酸配列は、配列番号196を含有し、または配列番号196からなり、および重鎖定常領域は、野生型ヒトIgG1定常領域、L234A、L235AおよびG237Aのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域、またはL234A、L235A、G237AおよびP331Sのアミノ酸置換を含有するヒトIgG1定常領域を含有する。
【0087】
一部の態様において、本明細書は、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を開示するものであり、当該抗体は、重鎖可変(VH)領域、軽鎖可変(VL)領域、および重鎖定常領域を含有し、この場合において、
(a)VH領域のアミノ酸配列は、配列番号185を含有し、または配列番号185からなり、VL領域のアミノ酸配列は、配列番号186を含有し、または配列番号186からなり、および重鎖定常領域は、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201または配列番号202を含有し、
(b)VH領域のアミノ酸配列は、配列番号187を含有し、または配列番号187からなり、VL領域のアミノ酸配列は、配列番号188を含有し、または配列番号188からなり、および重鎖定常領域は、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201または配列番号202を含有し、
(c)VH領域のアミノ酸配列は、配列番号189を含有し、または配列番号189からなり、VL領域のアミノ酸配列は、配列番号190を含有し、または配列番号190からなり、および重鎖定常領域は、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201または配列番号202を含有し、
(d)VH領域のアミノ酸配列は、配列番号191を含有し、または配列番号191からなり、VL領域のアミノ酸配列は、配列番号192を含有し、または配列番号192か
らなり、および重鎖定常領域は、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201または配列番号202を含有し、
(e)VH領域のアミノ酸配列は、配列番号193を含有し、または配列番号193からなり、VL領域のアミノ酸配列は、配列番号194を含有し、または配列番号194からなり、および重鎖定常領域は、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201または配列番号202を含有し、または
(f)VH領域のアミノ酸配列は、配列番号195を含有し、または配列番号195からなり、VL領域のアミノ酸配列は、配列番号196を含有し、または配列番号196からなり、および重鎖定常領域は、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201または配列番号202を含有する。
【0088】
一部の態様では、抗C-KIT抗体は、免疫エフェクターが無効であってもよい。一部の態様では、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分は、免疫エフェクター機能を含まず、任意で免疫エフェクター機能を抑制する。一部の態様では、抗C-KIT抗体は、ヒトFcγRI受容体、FcγRIIa受容体、FcγRIIIa受容体、およびFcγRIIIb受容体への測定可能な結合を欠いてもよいが、ヒトFcγRIIb受容体への結合は維持し、任意で、ヒトFcRn受容体への結合も維持する。FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIIa、およびFcγRIIIbは、活性化受容体の例示である。FcγRIIbは、阻害性受容体の例示である。FcRnは、リサイクル受容体の例示である。一部の態様では、抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分のヒトFc受容体への結合アフィニティは、BIACORE(登録商標)解析により測定されてもよい。一部の態様では、Homogeneous Time Resolved Fluorescence (HTRF)を使用して、ヒトFc受容体への抗C-KIT抗体の結合を試験することができる。HTRFの1つの例において、ヒトIgG1(野生型)が標識され、一揃いのFcガンマ受容体も同様にされ、次いで操作されたFc断片を含む抗体が、力価測定競合に使用される。一部の態様では、KIT陽性細胞と、ヒト白血球および抗C-KIT抗体が混合され、CDC、ADCCおよび/またはADCPによる細胞殺傷が測定されてもよい。一部の態様では、抗C-KIT抗体は、ヒトIgG1-3MまたはヒトIgG1-4M(表13を参照のこと)のFc領域のアミノ酸配列を含有してもよく、エフェクターが無効である。一部の態様では、抗C-KIT抗体は、ヒトIgG1-3MまたはヒトIgG1-4M(表13を参照のこと)のFc領域のアミノ酸配列を含有してもよく、エフェクターが無効ではない。
【0089】
抗体分子またはその抗原結合部分は、Fab断片、F(ab)2断片、Fv断片、四量
体抗体、四価抗体、多特異性抗体(例えば二特異性抗体)、ドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、モノクローナル抗体、または融合タンパク質であってもよい。1つの実施形態では、抗体は、第一の抗原と第二の抗原に特異的に結合する二特異性抗体であってもよく、この場合において第一の抗原はC-KITであり、第二の抗原はC-KITではない。抗体分子、ならびにその構築方法および使用方法は、例えばHolliger & Hudson (2005,Nature Biotechnol. 23(9):1126-1136)に記載されている。
【0090】
本発明の別の態様では、治療剤に結合された、本明細書に規定される本発明の抗体分子またはその抗原結合部分を含有する免疫結合体が提供される。
【0091】
適切な治療剤の例示としては、細胞毒素、放射性同位体、化学療法剤、免疫調節剤、抗血管新生剤、抗増殖剤、アポトーシス促進剤、ならびに細胞増殖抑制酵素および細胞溶解性酵素(例えば、RNAse)が挙げられる。さらなる治療剤としては、例えば免疫調節剤、抗血管新生剤、抗増殖剤またはアポトーシス促進剤をコードする遺伝子などの治療用核酸が挙げられる。これらの薬剤の記述子は、相互排他的ではなく、ゆえに治療剤は、上
述の用語の1つまたは複数を使用して記載されてもよい。
【0092】
免疫結合体における使用に適した治療剤の例としては、タキサン、メイタンシン、CC-1065、およびデュオカルマイシン、カリケアミシンおよび他のエンジイン、ならびにオーリスタチン(auristatin)が挙げられる。他の例としては、抗葉酸剤、ビンアルカロイド、およびアントラサイクリンが挙げられる。植物毒素、他の生物活性タンパク質、酵素(すなわちADEPT)、放射性同位体、光増感剤が、免疫結合体において使用されてもよい。さらに結合体は、細胞毒性剤として二次的な担体、例えばリポソームまたはポリマーなどを使用して作製され得る。適切な細胞毒素としては、細胞の機能を阻害または妨害し、細胞の破壊をもたらす剤が挙げられる。代表的な細胞毒素としては、抗生物質、チューブリン重合の阻害剤、DNAに結合し、破壊するアルキル化剤、そしてタンパク質合成を破壊する、または例えばタンパク質キナーゼ、ホスファターゼ、トポイソメラーゼ、酵素およびサイクリンなどの必須の細胞タンパク質の機能を破壊する剤が挙げられる。
【0093】
代表的な細胞毒素としては限定されないが、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、アクラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン、エピルビシン、カルビシン、ノガラマイシン、メノガリル、ピタルビシン、バルルビシン、シタラビン、ゲムシタビン、トリフルリジン、アンシタビン、エノシタビン、アザシチジン、ドキシフルリジン、ペントスタチン、ブロクスウリジン、カペシタビン、クラドリビン、デシタビン、フロクスウリジン、フルダラビン、グーゲロチン、ピューロマイシン、テガフール、チアゾフリン、アドリアマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、シクロフォスファミド、ダカルバジン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、メクロレタミン、プレドニゾン、プロカルバジン、メトトレキサート、フルオロウラシル、エトポシド、タキソール、タキソールアナログ、例えばシスプラチンおよびカルボプラチンなどのプラチン類、マイトマイシン、チオテパ、タキサン、ビンクリスチン、ダウノルビシン、エピルビシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、タモキシフェン、イダルビシン、ドラスタチン/オーリスタチン、ヘミアステリン、エスペラミシン、ならびにマイタンシノイドが挙げられる。
【0094】
適切な免疫調節剤としては、腫瘍に対するホルモンの作用を妨害する抗ホルモン剤、およびサイトカイン産生を抑制する、自己抗原発現を下方制御する、またはMHC抗原をマスクする免疫抑制剤が挙げられる。
【0095】
さらに、本明細書に規定される本発明の抗体分子またはその抗原結合部分をコードする核酸分子も提供される。単離された核酸分子は、本明細書に記載される抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分の(a)VH領域のアミノ酸配列、(b)VL領域のアミノ酸配列、または(c)VH領域とVL領域の両方のアミノ酸配列をコードしてもよい。
【0096】
さらに、本明細書に規定される本発明の核酸分子を含有するベクターが提供される。ベクターは、発現ベクターであってもよい。ベクターは、1つまたは複数の制御配列(例えばプロモーターおよび/またはエンハンサー)をさらに含有してもよい。
【0097】
また、本明細書に規定される本発明の核酸分子またはベクターを含有する宿主細胞も提供される。宿主細胞は、組み換え宿主細胞であってもよい。
【0098】
さらなる態様において、抗C-KIT抗体および/またはその抗原結合部分を作製する方法も提供され、当該方法は、当該抗体および/もしくはその抗原結合部分の発現ならびに/または産生が生じる条件下で、本発明の宿主細胞を培養する工程、および当該宿主細胞または培養物から、当該抗体および/またはその抗原結合部分を単離する工程、を含む
。
【0099】
本発明の別の態様において、本明細書に規定される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分、または本明細書に規定される本発明の核酸分子、または本明細書に規定される本発明のベクターを含有する医薬組成物が提供される。
【0100】
さらに、対象において免疫反応を強化する方法が提供され、当該方法は、本明細書に規定される本発明の抗体分子またはその抗原結合部分の有効量、または本明細書に規定される本発明の免疫結合体の有効量、または本明細書に規定される本発明の核酸分子の有効量、または本明細書に規定される本発明のベクターの有効量、または本明細書に規定される本発明の医薬組成物の有効量を投与する工程を含む。
【0101】
さらなる態様において、対象において癌を治療または予防する方法が提供され、当該方法は、本明細書に規定される本発明の抗体分子またはその抗原結合部分の有効量、または本明細書に規定される本発明の免疫結合体の有効量、または本明細書に規定される本発明の核酸分子の有効量、または本明細書に規定される本発明のベクターの有効量、または本明細書に規定される本発明の医薬組成物の有効量を投与する工程を含む。
【0102】
癌は、例えば以下からなる群から選択されてもよい:消化管間質癌(GIST)、膵臓癌、メラノーマ、乳癌、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳腫瘍または中枢神経系の癌、末梢神経系の癌、食道癌、子宮頸癌、子宮癌または子宮内膜癌、口腔または咽頭の癌、肝癌、腎癌、精巣癌、胆管癌、小腸癌または虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫、および血液組織の癌。
【0103】
本発明はさらに、癌の治療における使用のための、本明細書に規定される本発明の抗体分子またはその抗原結合部分、または本明細書に規定される本発明の免疫結合体、または本明細書に規定される本発明の核酸分子、または本明細書に規定される本発明のベクター、または本明細書に規定される本発明の医薬組成物を提供する。
【0104】
別の態様において、本発明は、例えば抗癌剤などの第二の治療剤と組み合わされる併用において、別個に使用する、連続して使用する、または同時に使用するための、本明細書に規定される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分、または免疫結合体、または核酸分子、またはベクター、または治療方法を提供する。
【0105】
さらなる態様において、癌の治療のための医薬品の製造における、本明細書に規定される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分の使用、または本明細書に規定される本発明の免疫結合体の使用、または本明細書に規定される本発明の核酸分子の使用、または本明細書に規定される本発明のベクターの使用、または本明細書に規定される本発明の医薬組成物の使用が提供される。
【0106】
本発明はさらに、対象において自己免疫性疾患もしくは炎症性疾患を治療または予防する方法を提供するものであり、当該方法は、本明細書に規定される抗体分子またはその抗原結合部分の有効量、または本明細書に規定される免疫結合体の有効量、または本明細書に規定される核酸分子の有効量、または本明細書に規定されるベクターの有効量、または本明細書に規定される医薬組成物の有効量を投与する工程を含む。
【0107】
自己免疫性疾患または炎症性疾患は、関節炎、喘息、多発性硬化症、乾癬、クローン病、炎症性腸疾患、紅斑性狼瘡、グレーブス病、および橋本甲状腺炎、ならびに強直性脊椎炎からなる群から選択されてもよい。
【0108】
また、自己免疫性疾患または炎症性疾患の治療における使用のための、本明細書に規定される抗体分子もしくはその抗原結合部分、または本明細書に規定される免疫結合体、または本明細書に規定される核酸分子、または本明細書に規定されるベクター、または本明細書に規定される医薬組成物が提供される。
【0109】
さらに、自己免疫性疾患または炎症性疾患の治療のための医薬品の製造における、本明細書に規定される抗体分子またはその抗原結合部分の使用、または本明細書に規定される免疫結合体の使用、または本明細書に規定される核酸分子の使用、または本明細書に規定されるベクターの使用、または本明細書に規定される医薬組成物の使用が提供される。
【0110】
本発明はさらに、対象において心血管疾患もしくは線維症を治療または予防する方法を提供するものであり、当該方法は、本明細書に規定される抗体分子またはその抗原結合部分の有効量、または本明細書に規定される免疫結合体の有効量、または本明細書に規定される核酸分子の有効量、または本明細書に規定されるベクターの有効量、または本明細書に規定される医薬組成物の有効量を投与する工程を含む。
【0111】
また、心血管疾患または線維症の治療における使用のための、本明細書に規定される抗体分子もしくはその抗原結合部分、または本明細書に規定される免疫結合体、または本明細書に規定される核酸分子、または本明細書に規定されるベクター、または本明細書に規定される医薬組成物が提供される。
【0112】
さらに、心血管疾患または線維症の治療のための医薬品の製造における、本明細書に規定される抗体分子またはその抗原結合部分の使用、または本明細書に規定される免疫結合体の使用、または本明細書に規定される核酸分子の使用、または本明細書に規定されるベクターの使用、または本明細書に規定される医薬組成物の使用が提供される。
【0113】
本発明の任意の態様における心血管疾患は、例えば冠動脈心疾患またはアテローム性動脈硬化症であってもよい。
【0114】
本発明の任意の態様における線維症は、心筋梗塞、狭心症、変形性関節症、肺線維症、喘息、嚢胞性線維症、および気管支炎からなる群から選択されてもよい。
【0115】
1つの実施形態において、本発明は、治療における使用のための本明細書に開示されるアミノ酸配列を含有する抗C-KIT抗体またはその抗原結合部分を提供する。
【0116】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤、担体または希釈剤を含有してもよい。薬学的に許容可能な賦形剤は、医薬組成物に入れられる化合物または化合物の組み合わせであってもよく、二次的な反応を引き起こさず、例えば、抗C-KIT抗体分子の投与の促進、その持続期間の延長、および/もしくは体内におけるその有効性の増加、または溶液中の可溶度の上昇を可能にする。これら薬学的に許容可能なビヒクルは公知であり、抗C-KIT抗体分子の投与様式に応じて当業者により適合される。
【0117】
一部の実施形態では、抗C-KIT抗体分子は、凍結乾燥されて提供され、投与前に再構成されてもよい。例えば凍結乾燥された抗体分子は、滅菌水で再構成され、個体への投与前に生理食塩水と混合される。
【0118】
抗C-KIT抗体分子は通常、医薬組成物の形態で投与され、当該医薬組成物は、抗体分子に加えて少なくとも1つの構成要素を含有してもよい。したがって医薬組成物は、抗C-KIT抗体分子に加えて、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、希釈剤、安定剤、または当業者に公知の他の物質を含有してもよい。そうした物質は、非毒性でなければならず
、そして抗C-KIT抗体分子の効能に干渉してはならない。担体または他の物質の正確な性質は、投与経路に依存しており、投与経路は、以下に検討されるように、ボーラス、点滴、注射または任意の他の適切な経路であってもよい。
【0119】
例えば注射などによる皮下投与または静脈内投与などの非経口投与に関しては、抗C-KIT抗体分子を含有する医薬組成物は、発熱物質を含まず、適切なpH、等張性および安定性の非経口に受容可能な水溶液の形態であってもよい。当業者であれば、例えば塩化ナトリウム注射溶液、リンゲル注射溶液、乳酸リンゲル注射溶液などの等張ビヒクルを使用して適切な溶液を調製することができる。保存剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤、および/または他の添加剤を必要に応じて採用してもよく、例えばリン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンをなどの抗酸化剤;保存剤(例えばオクタデシルジメチルベンゾイル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンズアルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコールまたはベンジルアルコール;例えばメチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量ポリペプチド;例えば血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質;例えばポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノースまたはデキストリンなどの単糖、二糖および他の炭水化物;例えばEDTAなどのキレート剤;例えばスクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖類;例えばナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);および/または例えばTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0120】
抗C-KIT抗体分子を含有する医薬組成物は、治療される状態に応じて、単独で投与されてもよく、または他の治療と併用されて、同時に、または連続のいずれかで投与されてもよい。
【0121】
本明細書に記載の抗C-KIT抗体分子は、ヒトまたは動物の身体の治療方法に使用されてもよく、治療には、予防的治療(prophylacticまたはpreventative)が含まれる(例えば、個体において状態が発生する前に、当該個体において当該状態が発生するリスクを低下させる、その発生を遅延させる、または発生後の重大度を低下させるための治療)。治療方法は、抗C-KIT抗体分子を、その必要のある個体に投与する工程を含んでもよい。
【0122】
投与は通常、「治療有効量」であり、これは、患者に対し有益性を示すために充分な量である。そうした有益性は、少なくとも1つの症状の少なくとも改善であってもよい。投与される実際の量、投与速度、および投与の経時変化は、治療される性質および重大度、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、組成物の送達部位、投与方法、投与スケジュール、および医療従事者に公知の他の因子に依存する。例えば用量の決定などの治療の指示は、一般開業医および他の医師の責の範囲内にあり、治療される疾患の症状の重大度、および/または治療される疾患の進行に依存し得る。抗体分子の適切な投与量は、当分野に公知である(Ledermann J.A. et al.,1991,Int. J. Cancer 47:659-664;Bagshawe K.D. et al.,1991,Antibody,Immunoconjugates and Radiopharmaceuticals 4:915-922)。具体的な用量は、本明細書において、およびPhysician’s Desk Reference (2003)において、投与される薬剤のタイプに応じて示され、使用され得る。抗体分子の治療有効量または適切な投与量は、そのインビトロ活性と、動物モデルに
おけるインビボ活性を比較することにより決定され得る。マウスおよび他の実験動物における有効用量を、ヒトに外挿する方法は公知である。正確な投与量は、抗体が予防用または治療用であるか、治療される領域の大きさおよび位置、抗体の正確な性質(例えば全抗体、断片)および抗体に付加された任意の検出可能な標識または他の分子の性質をはじめとする多くの因子に依存する。
【0123】
典型的な抗体投与量は、全身投与に対しては100μg~1g、局所投与に対しては1μg~1mgの範囲である。初回に高い負荷投与量、その後は1つまたは複数回の低負荷投与量が投与されてもよい。典型的には、抗体は、例えばIgG1アイソタイプまたはIgG4アイソタイプなどの全抗体である。これは成人患者の単回治療用の投与量であり、小児および幼児に対しては相対的に調整され得、そして分子量に比例して他の抗体形式にも調整され得る。治療は、医師の裁量で毎日、週2回、毎週、または毎月の間隔で繰り返され得る。個々の治療スケジュールは、抗体組成物の薬物動態および薬力学的性質、投与経路、ならびに治療される状態の性質に依存し得る。
【0124】
治療は定期的であってもよく、投与の間の期間は、約2週間またはそれ以上であってもよく、例えば約3週間以上、約4週間以上、約1カ月以上、約5週間以上、または約6週間以上であってもよい。例えば、治療は、2週~4週ごと、または4週~8週ごとであってもよい。治療は、外科手術の前、および/もしくは後に行われてもよく、ならびに/または外科的治療もしくは浸潤的手順の解剖学的位置に直接投与または適用されてもよい。適切な製剤および投与経路は、上記に記載される。
【0125】
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗C-KIT抗体分子は、皮下注射として投与されてもよい。皮下注射は、例えば長期間または短期間の予防/治療用の自己注射器を使用して投与されてもよい。
【0126】
一部の好ましい実施形態では、抗C-KIT抗体分子の治療効果は、投与量に応じて、血清抗体半減期の数倍の間、持続し得る。例えば抗C-KIT抗体分子の単回投与の治療効果は、個体において、1カ月以上、2カ月以上、3カ月以上、4カ月以上、5カ月以上、または6カ月以上、持続し得る。
【0127】
本発明はさらに、ヒトC-KITに特異的に結合し、および任意でカニクイザルC-KITにも特異的に結合する抗体分子、またはその抗原結合部分を作製する方法を提供するものであり、当該方法は、
(1)非ヒト源由来の抗C-KIT CDRをヒトv-ドメインフレームワーク内に移植し、ヒト化抗C-KIT抗体分子またはその抗原結合部分を作製する工程、
(2)CDR中に1つまたは複数の変異を含有する当該ヒト化抗C-KIT抗体分子またはその抗原結合部分のクローンのファージライブラリーを作製する工程、
(3)ヒトC-KITへの結合、および任意でカニクイザルC-KITへの結合についても当該ファージライブラリーを選択する工程、
(4)選択工程(3)から、ヒトC-KITに特異的に結合する、および任意でカニクイザルC-KITにも特異的に結合するクローンをスクリーニングする工程、および
(5)工程(4)から選択された、ヒトC-KITに特異的に結合し、および任意でカニクイザルC-KITにも特異的に結合する抗体分子、またはその抗原結合部分を作製する工程、を含む。
【0128】
当該方法は、工程(4)で選択されたクローンに基づき、例えば工程(4)で選択されたクローンのCDR中の特定の位置でのさらなる探索的な突然変異誘導に基づき、追加のクローンを作製して、ヒト化を強化する工程、および/またはヒトT細胞エピトープ含量を最小化する工程、および/または工程(5)で作製された抗体分子もしくはその抗原結
合部分の製造特性を改善する工程をさらに含んでもよい。
【0129】
上述の方法に適用可能な改善は、以下の実施例1に記載される。
【0130】
本明細書において使用される場合、「C-KIT」という用語は、CD117(Cluster of Differentiation 117)、およびC-KITの生物活性の少なくとも一部を保持するそのバリアントを指す。このタンパク質は、KIT、PBT、SCFR、およびKIT proto-oncogene receptor tyrosine kinaseとしても知られている。本明細書において使用される場合、C-KITは、ヒト、ラット、マウスおよびニワトリを含むすべての哺乳動物種の天然C-KIT配列を含む。「C-KIT」という用語は、ヒトC-KITのバリアント、アイソフォームおよび種ホモログを含むために使用される。ヒトC-KIT配列の例を、表14に示す。本発明の抗体は、ヒト以外の種に由来するC-KIT、特にカニクイザル(Macaca fascicularis)由来のC-KITと交差反応し得る。ある実施形態では、抗体は、完全にヒトC-KITに特異的であってもよく、非ヒトとの交差反応性を呈さない。
【0131】
本明細書において使用される場合、本発明の抗体の文脈において使用される場合の「アンタゴニスト」、または「抗C-KITアンタゴニスト抗体」(「抗C-KIT抗体」と相互交換可能に称される)とは、C-KITに結合することができ、そしてC-KITの生物活性および/またはC-KITシグナル伝達により介在される下流経路を阻害することができる抗体を指す。抗C-KITアンタゴニスト抗体には、C-KITシグナル伝達により介在される下流経路を含む、例えばC-KITに対する受容体結合および/または細胞反応の惹起などのC-KITの生物活性を遮断する、アンタゴナイズする、抑制する、または低下させる(有意に、を含む)ことができる抗体を包含する。本発明の目的に対し、「抗C-KITアンタゴニスト抗体」という用語が、C-KITそれ自体、およびC-KITの生物活性(限定されないが、骨髄細胞系列の細胞による貪食活性を強化する能力を含む)、または活性もしくは生物活性の結果が、任意の意義のある程度に実質的に無効化される、減少される、または中和されるすべての用語、タイトル、ならびに機能的状態および機能的特性を包含することが明示的に理解されるであろう。
【0132】
他の受容体よりも高いアフィニティ、高いアビディティ、より容易に、および/またはより長い期間、C-KITと結合する場合、当該抗体は、C-KITに「特異的に結合する」、「特異的に相互作用する」、「優先的に結合する」、「結合する」または「相互作用する」。
【0133】
「抗体分子」は、例えば炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的に、免疫グロブリン分子の可変領域中に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して特異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書において使用される場合、「抗体分子」という用語は、損なわれていないポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のみならず、任意の抗原結合断片(例えば「抗原結合部分」)またはその一本鎖、抗体を含む融合タンパク質、ならびに例えば限定されないが、scFv、単一ドメイン抗体(例えばサメ抗体およびラクダ科抗体)、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v-NAR、およびbis-scFvを含む抗原認識部位を含有する免疫グロブリン分子の任意の他の改変構造体も包含する。
【0134】
「抗体分子」は、例えばIgG、IgA、またはIgM(またはそのサブクラス)などの任意のクラスの抗体を包含し、抗体はいずれか特定のクラスのものである必要はない。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、様々なクラスに割
り当てられ得る。免疫グロブリンにはIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMの5種類の主要なクラスがある。これらのうちのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)に分けられる場合があり、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2がある。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域はそれぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。このサブユニットの構造、および様々なクラスの免疫グロブリンの三次元構造が公知である。
【0135】
抗体分子の「抗原結合部分」という用語は、本明細書において使用される場合、C-KITに特異的に結合する能力を保持する、損なわれていない抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体分子の抗原結合機能は、損なわれていない抗体の断片により実現され得る。抗体分子の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例示としては、Fab;Fab’;F(ab)2;VHドメインとCH1ドメインからなるFd断片;抗体の1つ
のアームのVLドメインおよびVHドメインからなるFv断片;単一ドメイン抗体(dAb)断片、および単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
【0136】
「Fc領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を規定するために使用される。「Fc領域」は、天然配列のFc領域またはバリアントのFc領域であってもよい。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化し得るが、ヒトIgG重鎖のFc領域は通常、Cys226の位置のアミノ酸残基、またはPro230の位置のアミノ酸残基から、そのカルボキシル末端に及ぶと規定される。Fc領域中の残基の番号付けは、KabatにあるEUインデックスの番号である。免疫グロブリンのFc領域は一般的に、CH2とCH3の2つの定常ドメインを含有する。当分野に知られているように、Fc領域は、二量体型または単量体型で存在し得る。
【0137】
抗体の「可変領域」または「v-ドメイン」とは、抗体軽鎖の可変領域、または抗体重鎖の可変領域のいずれか単独、または組み合わせを指す。当分野に知られているように、重鎖および軽鎖の可変領域は各々、超可変領域としても知られている3つの相補性決定領域(CDR)に繋がる4つのフレームワーク領域(FR)からなり、抗体の抗原認識部位を形成する。CDRに隣接するFRを選択するとき、例えば抗体のヒト化または最適化を行うとき、同じ基準クラスのCDR配列を含有する抗体由来のFRが好ましい。
【0138】
本出願において使用されるCDRの定義は、当分野で創出された多くの異質的な、しばしば矛盾するスキームにおいて使用されるドメインを組み合わせており、免疫グロブリンレパートリー分析と、遊離状態および抗原との共結晶状態の抗体の構造分析との組み合わせに基づいている(Swindells et al.,2016,abYsis:Integrated Antibody Sequence and Structure-Management,Analysis,and Prediction. J Mol Biol. [PMID:27561707;Epub 22 August 2016]によるレビューを参照のこと)。本明細書において使用されるCDRの定義(「統合された」定義)は、そうしたすべての過去の洞察の教示を組み込んでおり、潜在的に標的-結合の相補性を介在する完全な残基の状況を抽出するために必要なすべての適切なループ位置を含む。
【0139】
表1は、本明細書に規定される37Mマウス抗C-KIT抗体のCDRのアミノ酸配列(「統合された」スキーム)を、同じCDRを規定する公知の代替システムと比較して示している。
【0140】
本明細書において使用される場合、「保存的置換」という用語は、アミノ酸を、機能活性を大きく有害には変化させない別のアミノ酸で置換することを指す。「保存的置換」の好ましい例は、アミノ酸を、以下のBLOSUM 62置換マトリクス(Henikof
f & Henikoff,1992,PNAS 89:10915-10919を参照のこと)において0以下の値を有する別のアミノ酸で置換することである。
【0141】
【0142】
本明細書において使用される場合、「配列同一性」とは、2つ以上のポリヌクレオチド配列間、または2つ以上のポリペプチド配列間の関係性を指す。1つの配列中のある位置が、比較配列の対応する位置で同じ核酸塩基または同じアミノ酸残基により占められている場合、当該配列は、その位置で「同一」であると言われる。配列同一性の百分率は、両方の配列で同じ核酸塩基または同じアミノ酸残基が存在する位置の数を決定して、同一な位置の数を得ることにより算出される。次いで同一な位置の数を、比較ウィンドウ中の位置の総数で割り、100を乗じて、配列同一性の百分率を得る。配列同一性の百分率は、比較ウィンドウ全体で最適に並べられた2つの配列を比較することにより決定される。ポリヌクレオチド配列の比較ウィンドウは例えば、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900または1000以上の長さの核酸であってもよい。ポリペプチド配列の比較ウィンドウは例えば、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300以上の長さのアミノ酸であってもよい。比較用に配列を最適に並べるために、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の一部は、ギャップと呼ばれる付加または欠失を含んでもよく、一方で参照配列は不変で維持される。最適並置は、ギャップがあったとしても、参照配列と比較配列の間の「同一な」位置が最大限に多い並置である。2つの配列の間の「配列同一性」の百分率は、「BLAST 2 Sequences」プログラムのバージョンを使用して決定することができる。このプログラムは、2004年9月1日以降にNational Center for Biotechnology Informationから入手可能であり、BLASTN(ヌクレオチド配列の比較用)と、BLASTP(ポリペプチド配列の比較用)を組み込んでいる。これらプログラムは、Karlin and Altschul(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90(12):5873-5877,1993)のアル
ゴリズムに基づいている。「BLAST 2 Sequences」を利用する場合、2004年9月1日現在のデフォルトパラメーターであるパラメーター、つまりワードサイズ(3)、オープンギャップペナルティ(11)、伸長ギャップペナルティ(1)、ギャップドロップオフ(50)、期待値(10)および限定されないがマトリクスオプションを含む任意の他の必要なパラメーターを使用してもよい。2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、当該2つの配列が、互いに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する場合、「充分に類似した配列同一性」または「充分な配列同一性」を有するとみなされる。
【0143】
「モノクローナル抗体」(Mab)という用語は、例えば任意の真核細胞クローン、原核細胞クローンまたはファージクローンなどのクローンの1つのコピーから誘導された抗体またはその抗原結合部分を指し、それが作製された方法は示唆しない。本発明のモノクローナル抗体は、均質、または実質的に均質な集団で存在することが好ましい。
【0144】
「ヒト化」抗体分子とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する配列を最小限含有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはその断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、または他の抗原結合性の抗体下位配列)である、非ヒト(例えばマウス)抗体分子またはその抗原結合部分の形態を指す。ヒト化抗体は、レシピエントのCDR由来の残基が、所望の特異性、アフィニティおよび能力を有する例えばマウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基で置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であってもよい。
【0145】
「ヒト抗体または完全ヒト抗体」とは、ヒト抗体遺伝子を担持するトランスジェニックマウスから誘導された、またはヒト細胞から誘導された抗体分子またはその抗原結合部分を指す。
【0146】
「キメラ抗体」という用語は、可変領域配列が1つの種に由来し、定常領域配列は別の種に由来する抗体分子またはその抗原結合部分を指すことが意図され、例えば、可変領域配列はマウス抗体に由来し、定常領域配列はヒト抗体に由来する抗体分子などである。
【0147】
「抗体-薬剤結合体」および「免疫結合体」とは、細胞傷害剤、細胞増殖抑制剤、および/または治療剤と結合された、C-KITに結合する抗体分子またはその抗原結合部分を指し、抗体誘導体を含む。
【0148】
本発明の抗体分子、またはその抗原結合部分は、例えば組み換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術、またはそうした技術もしくは当分野に既に公知である他の技術との組み合わせなどの当分野に公知の技術を使用して作製され得る。
【0149】
「単離された分子」(分子が、例えばポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは抗体である場合)という用語は、その起源または誘導体化の源によって、(1)自然状態では付随する天然の関連構成要素と関連していない分子、(2)同じ種由来の他の分子を実質的に含まない分子、(3)異なる種由来の細胞により発現された分子、または(4)自然には存在しない分子である。したがって、化学的に合成された分子、または天然での起源である細胞とは異なる細胞系で発現された分子は、その天然の関連構成要素から「単離される」。さらに分子は、当分野に公知の精製技術を使用した単離などによって、天然の関連構成要素を実質的に含まない状態となり得る。分子純度または均質性は、当分野に公知の多くの手段により解析され得る。例えばポリペプチドサンプルの純度は、当分野に公知の技術を使用してポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用し、ゲルを染色してポリペプチドを可視化して解析されてもよい。ある目的に対し、HPLC、または当分野において精製用
に公知の他の手段を使用することにより、さらに高い分解能が提供される場合がある。
【0150】
「エピトープ」という用語は、抗体分子の抗原結合領域のうちの1つまたは複数で抗体分子に認識され、結合されることができる分子の部分、またはその抗原結合部分を指す。エピトープは、一次、二次または三次のタンパク質構造の規定領域からなる場合があり、抗体またはその抗原結合部分の抗原結合領域に認識される標的の二次構造単位または二次構造ドメインの組み合わせを含む。同じくエピトープは、例えばアミノ酸または糖側鎖などの規定の化学的に活性な分子の表面群からなる場合があり、特定の三次元構造特性ならびに特定の電荷特性を有する場合がある。本明細書において使用される場合、「抗原性エピトープ」という用語は、当分野に公知の任意の方法、例えば従来的な免疫アッセイ法、抗体競合結合アッセイ、またはx線結晶法もしくは関連構造決定法(例えばNMR)により決定されたときに、抗体分子が特異的に結合することができるポリペプチドの部分と規定される。
【0151】
「結合アフィニティ」または「KD」という用語は、特定の抗原-抗体の相互作用の解離速度を指す。KDは、「off-rate(koff)」とも呼ばれる解離速度と、「o
n-rate(kon)」、すなわち会合速度の比率である。ゆえにKDは、koff / konに等しく、モル濃度(M)として表される。従って、KDが小さくなると、結合アフィニティは強くなる。ゆえにKDが1μMであれば、KDが1nMの場合と比較して結合アフィニティが弱いことを示す。抗体のKD値は、当分野に確立された方法を使用して決定され得る。抗体のKDの決定方法の1つは、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用するものであり、典型的には、例えばBIACORE(商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用する。
【0152】
「有効性」という用語は、生物活性の測定値であり、本明細書に記載のC-KIT活性アッセイにおいて測定される活性の50%を阻害する、抗原C-KITに対する抗体または抗体薬剤結合体のIC50または有効濃度として指定される場合もある。
【0153】
本明細書において使用される場合、「有効量」または「治療有効量」という文言は、所望の治療結果を実現するために必要な(用量での、および期間に対する、および投与手段に対する)量を指す。有効量は、活性剤の、対象に治療上有益な影響を与えるために必要な少なくとも最小量であるが、対象に毒性のある量よりは少ない量である。
【0154】
本発明の抗体分子の生物活性に関して本明細書において使用される場合、「阻害する」または「中和する」という用語は、限定されないが、C-KITに対する抗体分子の生物活性、または抗体分子とC-KITの結合相互作用を含む、阻害されるものの進行または重大度を実質的にアンタゴナイズする、妨げる、予防する、抑える、減速させる、破壊する、除去する、停止させる、低下させる、または反転させる抗体の能力を意味する。
【0155】
「宿主細胞」には、ポリヌクレオチド挿入物の組み込みのためのベクターに対するレシピエントであってもよく、またはレシピエントである個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一宿主細胞の子孫物を含み、当該子孫物は、自然の、偶発的な、または意図的な変異により、元の親細胞と完全に同一であるとは限らない場合がある(形態において、またはゲノムDNAの相補体において)。宿主細胞には、本発明のポリヌクレオチドをインビボでトランスフェクトされた細胞が含まれる。
【0156】
本明細書において使用される場合、「ベクター」とは、宿主細胞において、対象の1つまたは複数の遺伝子または配列を送達することができる、そして好ましくは発現することができる構築物を意味する。ベクターの例としては限定されないが、ウイルスベクター、ネイキッドDNAまたはRNAの発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベ
クター、カチオン縮合剤と関連付けられたDNAまたはRNAの発現ベクター、リポソーム中に封入されたDNAまたはRNAの発現ベクター、および例えばプロデューサー細胞などの特定の真核細胞が挙げられる。
【0157】
本明細書において使用される場合、別段が示唆されない限り、「治療すること」という用語は、そうした用語が適用される障害もしくは状態、またはそうした障害もしくは状態の1つまたは複数症状を反転させる、改善させる、進行を阻害する、進行を遅延させる、発症を遅延させる、または予防することを意味する。本明細書において使用される場合、別段の示唆が無い限り、「治療」という用語は、上述に規定される治療の行為を指す。「治療すること」という用語は、対象の補助治療および新補助(neoadjuvant)治療も含む。誤解を避けるために、本明細書において「治療」という言及は、治癒的、緩和的、および予防的な治療に対する言及を含む。誤解を避けるために、本明細書において「治療」という言及は、治癒的、緩和的、および予防的な治療に対する言及もさらに含む。
【0158】
本明細書において、実施形態は、「含む」という文言で記載されているか、さもなければ「~からなる」および/または「本質的に~からなる」として記載される類似した実施形態も提供されることを理解されたい。
【0159】
本発明の態様または実施形態が、マーカッシュ群または他の代替的な群で記載されている場合、本発明は、概して列挙される群全体のみならず、当該群の各メンバーを個々に、および当該主要群の可能性のあるすべての亜群、そして当該群メンバーの1つまたは複数を欠いた主要群も包含する。本発明はさらに、請求される本発明の群メンバーのいずれかの1つまたは複数の明白な除外を予期するものである。
【0160】
別段の規定がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって普遍的に理解される意味と同じ意味を有する。矛盾が生じる場合、本明細書が定義を含み主導をとるものとする。本明細書および請求の範囲の全体を通じて、「含む」という文言、または例えば「含むこと」といった変化形は、記述される整数値の含有、または整数値の群の含有を示唆するが、任意の他の整数値または整数値の群の除外は示唆しないと理解される。文脈により別段であることを要しない限り、単数形の用語は複数を含み、複数形は単数を含むものとする。「例えば」という用語の後に続く任意の例示は、包括的または限定であることは意味しない。
【0161】
本発明の実施は、別段の示唆が無い限り、分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来的な技術を採用し、それら技術は当分野の技術範囲内にある。
【0162】
本発明の特定の非限定的な実施形態を、添付の図面に対して記載する。
【実施例0163】
実施例1.最適化抗C-KIT治療用抗体の作製
イントロダクション
本実施例において、本発明者らは、アンタゴニスト性の最適化抗C-KIT抗体パネルの作製に成功した。これら抗C-KIT抗体は、良好に発現され、生物物理的に安定であり、溶解度が高く、そして好ましいヒト生殖細胞系列に対し最大のアミノ酸配列同一性を有している。
【0164】
材料及び方法
IgGのクローニング、一過性発現、精製
抗体v-ドメインをコードするDNA配列を、制限酵素-ライゲーションクローニングを介して、別個のプラスミドベクター中の別個のIgG重鎖およびIgG軽鎖の発現カセット内にクローニングした。抗体は、以下の2つのヒトIgG1形式で発現された:IgG1、およびIgG1ヌル-下位ヒンジ変異のL234A/L235A/G237Aを有するIgG1であり、Fcγ受容体誘導型のエフェクター機能が最小化されている。メーカーのプロトコールに従い、無エンドトキシンIgG発現プラスミド調製物を用いた一過性トランスフェクションの後、HEK-293expi細胞においてIgGは発現された。以下の単工程プロトコールを使用してIgGは精製された:馴化培地を、PBS pH7.4で前もって平衡化された1mLのProAセファロースカラム上にロードした(正味)。カラムを、5カラム体積のPBS pH7.4で洗浄し、その後、タンパク質を100mMのグリシン、pH2.7で溶出させ、30kDaカットオフ透析膜を使用して、PBS pH7.4中で透析を行った。
【0165】
IgG力価測定結合ELISAs
Greiner Bio-One High bind ELISAプレートをコーティングするために、標的タンパク質を炭酸緩衝液中で1μg/mlに希釈し、1ウェル当たり100μl、4℃で一晩、添加した。コーティングされたプレートを、PBS pH7.4で3回洗浄し、1% BSAのPBS溶液(380μl/ウェル)で1時間、室温でブロッキングし、その後、PBS-Tween20(PBST)で3回洗浄した。C-KIT抗体(100μl/ウェル;PBST中で希釈)を添加し、次いで1時間、室温でインキュベートした。次いでプレートをPBSTで3回洗浄し、ヤギ抗ヒトカッパ鎖-HRP(100μl/ウェル)をRTで1時間添加した。次いでプレートをPBSTで3回洗浄し、PBSで2回洗浄した後、1ウェル当たり100μlのTMBを添加した。100μlの2M H2SO4/ウェルを加えることで反応を停止させ、450nmでプレートリーダー上でODを読み取った。
【0166】
抗C-KIT抗体は、ELISAで多重反応性を検証された。精製された組み換え標的抗原、および非標的抗原を、炭酸緩衝液中、1ウェル当たり100ngで96-well
Nunc maxisorpプレートに4℃で一晩、コーティングした。次いでプレートをPBSで3回洗浄し、1% BSAのPBS溶液でブロッキングを行い、次いでPBS-Tween20で3回洗浄した。次いで一次抗体の希釈系列を加え、プレートをPBS-Tween20で3回洗浄し、その後、ヤギ抗ヒトカッパ鎖-HRP 1:4,000の二次抗体を加えた。次いでウェルをPBS-Tween20で3回洗浄し、PBSで2回洗浄して、1ウェル当たり100μlのTMBペルオキシダーゼ基質を加えて、100μlの2M H2SO4を加えることで反応を停止させて、吸光度を450nmで読み取った。過去に記載(Mouquet et al.,2010,Nature 467:591-595を参照のこと)されるように、陰性荷電された生物分子表面上でELISAを介してIgG結合解析が行われた。
【0167】
C-KITライブラリーの作製および選択
C-KIT scFvレパートリーは、大量オリゴヌクレオチド合成およびPCRにより組み立てられた。次いで増幅されたscFvレパートリーを制限酵素-ライゲーションを介してファージミドベクター内にクローニングし、大腸菌TG-1細胞内に形質転換した。ファージレパートリーは、原則として過去に詳述されるようにレスキューされた(Finlay et al.,2011,Methods Mol Biol 681:383-401)。
ファージ選択は、ストレプトアビジン磁気マイクロビーズをC-KIT-Fcタンパク質(ヒトまたはカニクイザルのいずれか)でコーティングし、ビーズをPBSで3回洗浄して、5%スキムミルクタンパク質(MPBS)を加えたPBS pH7.4中に再懸濁させることにより実施された。これらのビーズは、選択のラウンド1では200nMの標的
タンパク質でコーティングされ、次いで、その後のラウンドでは100、50および10nMでコーティングされた。
【0168】
HTRF結合競合アッセイ
競合的homogeneous time resolved fluorescence(HTRF)アッセイ法を確立して、移植およびライブラリー由来のクローンによるh37M IgGに対するエピトープ競合を検証した。精製されたh37M IgG1を、標識キット(CisBio社)をメーカーの説明書に従い使用して、テルビウムで標識した。最終反応混合物は、上述の通り調製されたビオチニル化ヒトC-KIT-Fc、SA-XL665(CisBio社)、テルビウム標識された親h37M、および対象の競合IgGを含有した。トータルの反応体積は、1xアッセイ緩衝液[50mM リン酸ナトリウム、pH 7.5、400mM フッ化カリウム、および0.1% BSA(w/v)]中、20μlであった。384ウェルの低体積黒色プレート(Nunc社)に連続して試薬を加えた。室温で1時間、反応を進ませ、その後にプレートをプレートリーダー上で340nmの励起、および615nm(h37M-テルビウムからのインプットドナー蛍光を測定)と665nm(SAXL665からのアウトプットアクセプター蛍光を測定)の2つの発光測定値を用いて読み取った。測定値は、665nm/615nmの比率として表されている。
【0169】
抗体v-ドメインT細胞エピトープ含量:インシリコ分析
インシリコ技術(Abzena,Ltd.)は、治療用抗体および治療用タンパク質中のT細胞エピトープの位置の特定に基づいており、抗体v-ドメイン中の潜在的な免疫原性を評価するために使用された。iTope(商標)を使用して、ヒトMHCクラスIIに対して無差別的な高いアフィニティ結合を有するペプチドに関し、重要なリードのVL配列およびVH配列を解析した。無差別的な高いアフィニティMHCクラスII結合ペプチドは、薬剤タンパク質の臨床免疫原性に関する高いリスク指標であるT細胞エピトープの存在と相関すると考えられている。iTope(商標)ソフトウェアは、ペプチドのアミノ酸側鎖と、34種のヒトMHCクラスIIアレルの開放末端結合溝(groove)内の特定の結合ポケット(特にポケット位置;p1、p4、p6、p7およびp9)の間の有益な相互作用を予測する。これらのアレルは、広く存在する最も普遍的なHLA-DRアレルであり、任意の特定の民族集団で多く存在するような重み付けはない。当該アレルのうちの20種が、「開いた」p1構造を含有している。そして14種が「閉じた」構造を含有しており、83位のグリシンがバリンで置換されている。重要な結合残基の位置は、被験タンパク質配列にわたり8アミノ酸が重複している9merペプチドのインシリコ生成により取得される。このプロセスによって、MHCクラスII分子に結合する、または結合しないペプチドを高い正確性で識別することに成功した。
【0170】
さらに、TCED(商標)(T Cell Epitope Database(商標))を使用して配列を解析し、過去にインビトロでの他のタンパク質配列のヒトT細胞エピトープマッピング解析により特定されたT細胞エピトープとの合致を検索した。TCED(商標)を使用して、非関連タンパク質に由来するペプチドの大きな(10,000個を超えるペプチド)データベースに対する任意の被験配列と、抗体配列を検索する。
【0171】
ヒトFc受容体に対するIgGアフィニティのBIACORE(登録商標)解析
IgGに対する相互作用アフィニティは、BIACORE(登録商標)T200装置を使用した表面プラズモン共鳴により決定された。大部分の解析に対し、His6-タグ化FcγRI、FcγRIIa(167Rバリアントおよび167Hバリアント)、FcγRIIb、FcγRIIIa(176Fバリアントおよび176Vバリアント)、およびFcγRIIIb受容体(すべてSino Biological社)が、標準的なアミンカップリング法により抗HIS抗体でコーティングされたCM5センサーチップ上に捕
捉された。次いで以下のように分析物の受容体特異的な形式が適用された。
【0172】
FcγRIは、IgG1単量体に対するアフィニティが高い受容体である。そのため、1:1の速度論的解析を以下の条件下で実施した:「シングルサイクル」の分析は、30μl/分の流速、10μl/分で約30RUにロードされた受容体タンパク質(HBS-P+中で0.25μg/mlに希釈された)、0.411nM~33.33nMの力価の精製抗体の5点の3倍希釈を使用し、200sの会合時間、300sの解離時間が適用された。2xの注入用グリシンpH1.5を用いて再生を行い、1:1適合を使用して分析を行った。
【0173】
単量体IgGとFcγRII受容体およびFcγRIII受容体の間の相互作用は、比較的低いアフィニティ相互作用であった。そこで、「定常状態」アフィニティ解析を、以下の条件下で実施した:30μl/分の流速、10μl/分で約60RUにロードされた受容体タンパク質(HBS-P+中で0.25μg/mlに希釈された)、33nM~24000nMの力価の精製抗体の5点の3倍希釈系で、30sの会合時間、25sの解離時間が適用された。2xの注入用グリシンpH1.5を用いて再生を行い、定常状態アフィニティの算定を使用して分析を行った。
【0174】
単量体IgGとFcRnの間の相互作用は、比較的アフィニティが低く、pH感受性の相互作用であった。そこで、「定常状態」アフィニティ解析を、以下の条件下で実施した:CM5チップは、標準的なアミン化学法を使用して、酢酸ナトリウムpH5.5中、hFcRnと直接カップリングされた。ランニング緩衝液は、PBS 0.05% P20+150mM NaCl(pH6.0またはpH7.4)、30μl/分の流速、3000nM~37.0nMの精製抗体の5点の3倍希釈で、18sの会合時間、100sの解離時間が適用された。0.1MのTris pH8.0を用いて再生を行い、定常状態アフィニティの算定を使用して分析を行った。
【0175】
抗体v-ドメインの特異性検証:ヒト受容体アレイ解析
ヒト細胞膜受容体プロテオームアレイを、Retrogenix Ltd.で実施した。プライマリースクリーニング:IgG1-h37M抗体およびIgG1-MH1抗体を、5528個のヒト細胞膜タンパク質および細胞表面連結分泌タンパク質を発現する固定HEK293細胞/スライドに対し、個々に結合をスクリーニングした(スライドセット当たり、n=2スライド)。すべてのトランスフェクション効率が、最小閾値を超えていた。抗体結合は、AF647蛍光二次抗ヒトIgG1抗体を使用して検出された。プライマリーヒット(二重スポット)は、ImageQuant上で蛍光(AF647およびZsGreen1)を解析することにより特定された。全ヒットをコードするベクターを配列解析して、その正確な正体を確認した。確認/特異性スクリーニング:全ヒットをコードするベクターに加えて、MS4A1(CD20)、EGFRおよび他のタンパク質をコードする対照ベクターが新しいスライド上に二重でスポットされ、これを使用して、前述のようにヒトHEK293細胞を逆トランスフェクトした。すべてのトランスフェクション効率が、最小閾値を超えていた。同一の固定スライドを、0.5μg/mlおよび2μg/mlの各被験抗体、1μg/mlの陰性対照抗体、1μg/mlのリツキシマブのバイオシミラー(陽性対照)、または被験分子無し(二次抗体のみ、陰性対照)(1処置あたりn=1スライド)を用いて処理した。スライドは上述のように解析された。
【0176】
アーム化抗体形式の内部移行および細胞殺傷能力の解析
ヒトまたはカニクイザルのc-KITを安定的に発現するCHO細胞を、20%ウシ胎児血清、1mMのL-グルタミン、および1μg/mlのG418を含有するHam’s
F12培地中で増殖させ、384ウェルの黒色透明底組織培養処理アッセイプレートに播種し(1ウェル当たり30μl中、500個の細胞)、37℃で一晩、CO2インキュ
ベーター中でインキュベートした。精製抗体を培地中で連続希釈し、等量の120nM Fab-ZAP(Advanced Targeting Systems社、IT-51)を加えた。抗体/Fab-ZAP混合物を37℃で30分間インキュベートし、その後、細胞アッセイプレートに加えた(1ウェル当たり10μl)。細胞をCO2インキュ
ベーター中で72時間、37℃でインキュベートした。各プレートに対し、バックグランド対照ウェル(培地のみ)およびFab-ZAP対照ウェル(細胞はFAB-ZAP試薬とインキュベートされたが、c-KIT抗体は含まれない)がデータ正規化を目的として含まれた。72時間のインキュベーションの最後に、細胞の活性を、CellTiter-Glo(登録商標)Cell Viability assay(Promega社 G7571)をメーカーの説明書に従い使用して決定した。各ウェルの相対的発光シグナル(RLU)は、BMG FLUOstar Omegaプレートリーダーを使用して測定された。データは、培地のみのウェルのRLUシグナルを差し引くことでブランク補正され、Fab-ZAP対照ウェルのブランク補正されたシグナルの%として表された。
【0177】
10%ウシ胎児血清、2mMのL-グルタミン、10mMのHEPES、4.5g/lのD-グルコース、ペニシリン、ストレプトマイシンおよび2ng/mlのGM-CSFを含有するRPMI培地中のTF-1細胞を、96ウェルの黒色透明底組織培養処理アッセイプレートに播種した(1ウェル当たり75μl中、2500個の細胞)。精製された抗体を培地中で連続希釈し、次いで等量の40nM Fab-ZAPを加えた。抗体/Fab-ZAP混合物を37℃で30分間インキュベートし、その後、細胞アッセイプレートに加えた(1ウェル当たり25μl)。細胞をCO2インキュベーター中で72時間、
37℃でインキュベートした。各プレートに対し、バックグランド対照ウェル(培地のみ)およびFab-ZAP対照ウェル(細胞はFAB-ZAP試薬とインキュベートされたが、c-KIT抗体は含まれない)がデータ正規化を目的として含まれた。72時間のインキュベーションの最後に、細胞の活性を、CellTiter-Glo(登録商標)Cell Viability assay(Promega社 G7571)をメーカーの説明書に従い使用して決定した。各ウェルの相対的発光シグナル(RLU)は、BMG
FLUOstar Omegaプレートリーダーを使用して測定された。データは、培地のみのウェルのRLUシグナルを差し引くことでブランク補正され、Fab-ZAP対照ウェルのブランク補正されたシグナルの%として表された。
【0178】
C-KIT受容体活性中和における、抗体の有効性の解析
10%ウシ胎児血清、2mMのL-グルタミン、10mMのHEPES、4.5g/lのD-グルコース、ペニシリン、ストレプトマイシンおよび2ng/mlのGM-CSFを含有するRPMI培地中のTF-1細胞を、96ウェルの透明底組織培養処理アッセイプレートに播種した。精製された抗体を培地中で連続希釈し、次いで細胞アッセイプレートに添加して、60分間、37℃でインキュベートした。次いで組み換えh-SCFを50ng/mlで添加し、細胞をCO2インキュベーター中、72時間、37℃でインキュ
ベートした。各プレートに対し、バックグラウンド対照(培地のみ)が、データ正規化を目的として含められた。72時間のインキュベーションの最後に、細胞の活性を、レザズリン蛍光活性アッセイをメーカーの説明書に従い使用して決定した。
【0179】
結果および考察
好ましいヒト生殖細胞系列v-遺伝子へのCDR移植
アンタゴニスト性マウス抗C-KIT IgG 37MのCDR(37M;WO2014018625A1および表2を参照のこと)を、CDR移植法を使用して、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリンv-ドメインフレームワーク配列スキャホールドに最初に導入した。最適な薬剤様性能を有する最終リード治療用IgG化合物に、遺伝子操作努力を傾けるために、親抗体のCDRを、「好ましい」生殖細胞系列スキャホールドのIGHV1-46およびIGKV1-16に移植することを選択した。それらスキャホールドは、良好な
溶解性、高い物理的安定性を有することが知られており、発現されたヒト抗体レパートリーにおいて高頻度に使用されている。
【0180】
これらスキャホールドおよび移植されたCDRの定義は、表2に概要を掲載した。キメラ抗C-KIT抗体m37M、およびヒト化h37Mの重鎖配列と軽鎖配列も表2に示す。CDR移植のプロセスは公知であるが、ヒトv-ドメイン配列の所与のセットが非ヒトCDR移植に対する適切なアクセプターフレームワークとして機能するかを予測するのは未だ困難である。不適切なフレームワークの使用は、標的結合機能の消失、タンパク質安定性の問題、さらには最終IgGの発現の低下につながり得る。実際に、h37Mのフレームワーク領域中に複数のマウス残基が含有されていることで、生殖細胞系列フレームワーク内への直接的なCDR移植において、完全には標的結合アフィニティが維持され得なかったことが示唆される。そこでCDR突然変異誘導の鋳型としてIGHV1-46/IGKV1-16移植が採用され、改善クローンの選択が行われた。
【0181】
ライブラリー作製およびスクリーニング
CDRが移植されたIGKV1-16/IGHV1-46のv-ドメイン配列を、VL-VH scFv形式の中に組み込み、突然変異誘導ライブラリーカセットは、大量オリゴヌクレオチド合成およびアセンブリにより作製した。最終scFvライブラリーをファージディスプレイベクター内にライゲートし、エレクトロポレーション法を介して大腸菌内に形質転換して、1.0x109個の独立したクローンを生成した。ライブラリーの構造
品質は、96個のクローンを配列解析することにより実証された。この配列解析データにより、マウスまたはヒト生殖細胞系列の各相違位置の残基をコードする位置を、効率的におよそ50%の頻度でサンプリングされたことが示された。ライブラリーは、ヘルパーファージM13を使用してレスキューされ、選択はビオチニル化されたヒトおよびカニクイザルのC-KIT-Fcタンパク質に対し、複数の別個のブランチにおいて実施された。
【0182】
選択後のスクリーニング(
図1に示される)およびDNA配列解析から、219個の固有のヒトおよびマウスのC-KIT結合scFvクローンの存在が明らかになり、それらクローンは、h37M IgG1とのエピトープ結合競合を保持しており、CDR内に大幅に増加したヒト含量を有しながら、フレームワーク配列は完全に生殖細胞系列を維持していた。これら219個のクローンで、すべてのCDRにおいて生殖細胞系列化変異が観察された(表3)。リードクローンは、ヒトおよびカニクイザルのC-KIT-Fcの両方に対する、CDR生殖細胞系列化のレベルと、ELISAおよびHTRFシグナルの比較に基づき格付けされた(
図1)。次いでこの格付けの上位13個のクローンのv-ドメインをIgG発現ベクターにサブクローニングし、以下のさらなる検証を行った(表4)。
【0183】
生殖細胞系列化変異は、ライブラリー選択から直接誘導されたリードクローンのすべてのCDRにおいて観察されたが、配列解析を行うことで、ヒト化が最大となるようクローンをさらに設計することが可能となる可能性がある。ヒトおよびマウスのタンパク質に対する結合シグナルを有する219個の配列-固有ヒットを使用して、この機能的に特徴解析された集団のCDRにおけるマウスアミノ酸の保持頻度を解析した。位置的なアミノ酸保持頻度は、V
HドメインおよびV
Lドメインにある百分率として表されている(
図2A、2B)。RF<75%を有するマウス残基は、標的-結合パラトープに必須ではない可能性がある位置とみなされ、一連のコンビナトリアルデザインにおいて生殖細胞系列化に対し開かれている可能性がある。
【0184】
多くの組み合わせのなかで、RF>75%のマウス残基を主に含有する15個のデザインを、「MH1~MH15」(MH=最大ヒト化(Maximally Humanized))に指定した。h37MのLCDR3は、潜在的な脱アミド化部位(CDRの3位
および4位の「NS」)を含有していたため、複数の「MH」クローンについても、例えばN/A/S/T/EおよびS/A/N/Dなどの可能性のある置換をサンプリングすることで、許容可能な標的結合機能を維持しながら開発リスクモチーフが取り除かれる可能性がある。LCDR3中に存在する単独の非ヒト生殖細胞系列残基(CDRの8位の「R」)も、同種置換のR/K/Hの寛容性に関してサンプリングし、安定性または免疫原性強化変異が特定され得るかを確立した。別の6個のデザインクローンの「TTP1~6」(「TTP」=総合的に理論上、可能(Total Theoretically Possible))は、scFv配列の高機能性集団において観察された最もヒト化されたCDRと、脱アミド化モチーフを破壊する変異を組み合わせて生成された(表4)。MHクローンおよびTTPクローンは、(上述の13個のライブラリー由来クローン、陽性対照のh37Mおよびm37M、ならびに陰性対照の非C-KIT反応性アイソタイプv-ドメインとともに)遺伝子合成により生成され、次いで発現ベクターにクローニングされ、ヒトIgG1として作製された。すべてのIgGが、HEK-293細胞の一過性トランスフェクションから容易に発現され、精製された。
【0185】
リードIgGの特異性および有効性の特徴解析
次いで上述の精製IgGを、直接力価測定ELISA形式において、ヒトおよびカニクイザルのC-KIT-Fcへの結合に関して検証した(
図3)。この解析から、すべてのライブラリー由来クローン、ならびにMH1-3、5、10、11および12のデザインクローンが、h37M IgG1と同等のヒトおよびカニクイザルのC-KITに対する結合アフィニティを維持していたこと、一方で他のMHクローンおよびTTPクローンはすべて、両オルソログに対する結合の低下を示したことが示された(
図3)。
【0186】
直接ELISA結合シグナルはアビディティに影響を受け、特異的エピトープの維持を明らかにしないため、すべてのIgGは、液相HTRF競合アッセイにおいて検証された(
図4)。すべてのライブラリー由来IgGおよび複数のデザインIgGは、ヒト(
図4A)およびカニクイザル(
図4C、4D)のc-KITに対し、完全に濃度依存性のh37M結合阻害を呈し、重要なリードは、非標識h37M IgGで観察されたものと類似した高いIC50値を示した(表5)。これにより、これらクローンにおける共有エピトープおよび結合アフィニティの維持が示された。すべてのTTPクローンと、それに加えてMHクローンの4、6、7および9は、ヒト(
図4B)またはカニクイザル(
図4E)のC-KITのいずれかに対するh37Mの結合を完全には阻害しなかったことが判明した。
【0187】
細胞膜でのリードIgG結合特異性のフローサイトメトリー解析
C-KITに対する抗体を、フローサイトメトリーを介して細胞表面での濃度依存性結合に関して分析した。ヒトまたはカニクイザルのいずれかのc-KIT全長cDNAを用いてCHO-K1細胞に安定的トランスフェクトを行った。次いで抗C-KIT IgGおよびアイソタイプ対照のIgG1を、100~0.02μg/mlの濃度範囲にわたり、すべてIgG1の形式で、ヒト(
図5A、5B)、カニクイザル(
図5C、5D)または野生型対照(「wt」、すなわち非トランスフェクト)CHO-K1細胞(
図5E、5F)への結合に関して検証した。アイソタイプ対照以外のすべてのIgGが、ヒトおよびカニクイザルのC-KIT+細胞に対し、濃度依存性の結合を示した。各ケースにおいて、最大MFIは、非トランスフェクトCHO-K1に対する結合で観察されたバックグラウンドシグナルよりも50倍超高かった。抗C-KIT抗体は、非トランスフェクトCHO-K1細胞に対し、測定可能なバックグラウンド結合を示さず、アイソタイプ対照IgG1と同等であった(
図5E、5F)。
【0188】
リードクローンMH5に基づくデザインIgGの解析
上述のように、クローンMH5は、ヒトおよびカニクイザルのC-KITに対し高い特
異的結合を有し、オフターゲット結合の可能性は低く、CDR中の脱アミド化の可能性が低く、完全生殖細胞系列フレームワーク領域を有し、そしてCDR中に複数のヒト生殖細胞系列化変異を有していることが証明された。しかし第一世代のデザインクローンであるため、MH5の配列はヒト生殖細胞系列含量の改善と軽鎖の品質改善を目的としているが、重鎖は対象ではなかった。VHドメインは未だ多くの非生殖細胞系列(マウス由来)残基をCDR中に保持しており、
図2Aおよび2Bのデータ、および表3に示される観察された機能的変異配列により、まだ修正可能であることが示唆された。発現、安定性、免疫原性または機能的特性を改善し得るVH中のさらなる変異をサンプリングするために、36個の「第二世代」変異体を表6に示されるように作製した。これらクローンはIgG1形式で発現および精製され、ELISAによって、ヒトおよびカニクイザルのC-KITオルソログ(それぞれ
図6Aおよび6B)に対する標的結合、ならびにHTRFによって、両オルソログに対するh37M/C-KIT相互作用の中和に関し、検証された。この段階でいくつかのクローンに強いELISA結合シグナルがあったことから、大部分のIgGのCDRにおいて複数の変異が寛容され得ること、しかしこれらの変化は、有効性に何らかの変化を与えることなく常に組み合わせられるものではないことが判明した。HTRF解析(
図7A、7B)において、重要な第二世代リードであるMH5.1、5.2、5.22、5.23、5.24、5.33および5.34が特に、IC50算定で有効性の低下を伴うが、h37M/C-KITの相互作用を完全に中和できたことが判明した(表7)。
【0189】
最終的に第二世代クローンのMH5.1、5.2、5.22、5.23、5.24、5.33および5.34を、ヒト(
図8A)、カニクイザル(
図8B)または野生型対照(「wt」、すなわち非トランスフェクト)CHO-K1細胞(
図8C)に対する結合に関してフローサイトメトリーにより検証した。これらの解析から、これら7つの優先第二世代クローンの各々が、ヒトまたはカニクイザルのKIT+CHO-K1細胞に対する強力で濃度依存性の結合を呈していたこと、h37MおよびMH5によるシグナルとほぼ同等であったこと、しかし非トランスフェクトCHO-K1には観察可能な結合を示さなかったことが確認された。
【0190】
「開発可能性」ELISAアッセイにおけるリードIgG解析
高アフィニティのリードクローンが、変異および再選択プロセスの間に標的特異性を喪失してしまっていないことを確認するために、クローンE-C2、E-C7、MH1、MH5、MH5.22およびh37Mを、免疫グロブリンスーパーファミリー由来の14個の精製ヒトタンパク質のパネルに対する結合に関し、検証を行った(
図9A~F)。6個すべてのIgGが、1μg/mlで、C-KIT-Fc(ヒト OD450nm>1.8、カニクイザル>2.0)に対し強い結合シグナルを呈したが、非常に近縁なマウスおよびラットのC-KIT-Fcタンパク質を含む他のいずれのタンパク質に対しても検出可能な結合を示さなかった(OD450nm<0.1)。このことから、標的結合特異性は、これらのクローンで維持されていることが示された。
【0191】
当分野において、いくつかの指標的生物基質に対する、治療用途目的のIgGの結合は、生体利用効率の貧弱さ、およびインビボ半減期の短さによって、患者での性能が低くなるリスクが高いことの指標となることが知られている。そうした3種の生物基質は、インスリン、dsDNAおよびssDNAである。そこでこれら3種の基質を使用してELISAプレートをコーティングし、最適化されたリード抗体のIgG1ヌル型の結合を検証した。これらヒトIgG系抗体の結合シグナルを、多反応性および性能の低さが判明し、臨床試験の進行が停止してしまった「陽性対照」のヒトIgG抗体(ボコシズマブおよびブリアキヌマブのヒトIgG1アナログ)と比較した。陰性対照のヒトIgG1抗体については、ブリアキヌマブと同じ治療標的と反応するが、pKが長く、治療用製品として承認を受けることに成功したIgG1 ウステキヌマブアナログを使用した。
図10A、B
およびCに示されるELISA解析において、陽性対照抗体は、3種すべての基質に対し、予想通りの強い反応性を呈した。一方で、陰性対照のウステキヌマブは、低い反応性を示した。重要なことは、検証されたすべてのIgG1リードクローンが、3種すべての基質に対し、陰性対照以下の結合を示したことである。この発見は、最適化クローンのE-C2、E-C7、MH1、MH5およびMH5.22において、高い特異性、標的誘導結合が維持されていることを強調するものである。
【0192】
抗体v-ドメイン T細胞エピトープ解析
インシリコ技術(Abzena,Ltd.)は、治療用抗体および治療用タンパク質中のT細胞エピトープの位置の特定に基づいており、h37Mおよびリード抗体のv-ドメインの両方の免疫原性の評価に使用した。v-ドメイン配列の解析は、重複する9merペプチド(各々が最後のペプチドと8残基重複する)を用いて実施され、34種のMHCクラスIIアロタイプの各々に対して検証された。各9merを、MHCクラスII分子との潜在的な「適合」および相互作用に基づいてスコア化した。ソフトウェアにより算出されるペプチドスコアは、0~1の間である。高い平均結合スコアを出したペプチド(iTope(商標)スコアリング機能において>0.55)が強調されている。MHCクラスII結合ペプチドの>50%(すなわち34種のアレルのうちの17種)が高い結合アフィニティ(スコア>0.6)を有する場合、そうしたペプチドは、「高アフィニティ」MHCクラスII結合ペプチドと規定され、CD4+T細胞エピトープを含有するリスクが高いとみなされる。低アフィニティMHCクラスII結合ペプチドは、多くのアレル(>50%)に、>0.55の結合スコア(しかし大部分は>0.6ではない)で結合する。配列のさらなる解析は、TCED(商標)を使用して実施された。この配列を使用して、BLASTサーチによりTCED(商標)をデータ検索し、過去にAbzena Ltd.で実施されたインビトロT細胞エピトープマッピング研究でT細胞反応を刺激した非関連タンパク質/抗体由来のペプチド(T細胞エピトープ)との間の任意の高い配列相同性を特定した。
【0193】
ペプチドを、以下の4つのクラスに分類した:高アフィニティ外来物(「HAF」-高免疫原性リスク)、低アフィニティ外来物(「LAF」-低免疫原性リスク)、TCED+(過去にTCED(商標)データベースにおいて特定されたエピトープ)、および生殖細胞系列エピトープ(「GE」-高いMHCクラスII結合アフィニティを有するヒト生殖細胞系列ペプチド配列)。生殖細胞系列エピトープの9merペプチドは、広範な生殖細胞系列ペプチドを用いた過去の研究により立証されたように、T細胞寛容によって免疫原性である可能性は低い。重要なことは、そうした生殖細胞系列のv-ドメインエピトープ(ヒト抗体定常領域中の類似配列によりさらに補助される)は、抗原提示細胞の細胞膜でのMHCクラスII占有に関しても競合するため、T細胞刺激に必要とされる「活性化閾値」を達成するのに充分な外来性ペプチド提示のリスクを低下させることである。ゆえにGE含量の高さは、抗体治療剤の臨床開発において有益な性質である。
【0194】
図11および表8に示されるように、重要なリードv-ドメインは、h37Mと比較してペプチドエピトープ含量において有意に有益な変化を示した。本明細書において採用したv-ドメインの操作プロセスは、h37Mのフレームワーク中に含有されるマウス残基(表2)を必要とすることなく、抗KITの有効性を維持した抗体の選択に成功した。そのため、h37Mの重鎖および軽鎖のv-ドメインの両方のフレームワーク中に存在する複数のHAFエピトープおよびLAFエピトープ(
図11A)を、すべてのライブラリー由来リードおよびデザインリードにおいて削除した(表8)。GEエピトープ含量も有意に増加しており(すべてのリードにおいて4~≧10)、特にリードクローンのVH領域(
図11B~11H)において増加し、TCED+エピトープはすべてのリードにおいて低下または除去されていた(表8)。しかし重要なことは、複数の外来性エピトープも、リードクローンのCDR中に存在する生殖細胞系列変異によって除去されていたことであ
る。例えば、h37MのLCDR-1中に存在するTCED+およびHAFペプチドの「VTITCKASQ」(配列番号64)は、すべてのリードクローンにおいて、6位のKをRに変異させることで除去され、この配列は、軽鎖GEの「VTITCRASQ」(配列番号65;
図11B~11H)に転換された。同様に、クローンのMH1(
図11E)およびMH5.22(
図11G)に関し、HAFペプチドの「LIYSASSLQ」(配列番号66)および「IYSASSLQS」(配列番号67)の両方が、完全生殖細胞系列配列の「AASSLQS」(配列番号24)へのLCDR2配列の変異により、GE配列へと転換された。クローンのMH5およびMH5.22のLCDR-3中に存在する安定化変異(表4および6)は、IGKV1-16生殖細胞系列から離れた変異であり、エピトープを生じさせないことが判明した。
【0195】
h37MのVH領域において、ペプチド配列の「YYINWVRQA」(配列番号68;HCDR-1およびFW2に及ぶ)は、TCED+およびHAFの両方であることが判明した。MH5.22以外のすべてのリードに存在する、HCDR-1生殖細胞系列の3位でのIからMへの変異(表6)は、このリスクを排し、ペプチド配列をGEへと転換させる。しかしクローンMH5.22に関しては、HCDR-3中のYからWへの変異は、2つのLAFペプチド配列を排除することにより相殺される(
図11G、表8)。上記の発見により、完全配列最適化クローンのMH5-DIの作製が可能となった(MH5のLCDR-2配列を、SASSLQS(配列番号17)からAASSLQS(配列番号24)へと変化させることによる)。これによりそのプライマリー配列の化学的安定性と免疫原性のリスク特性が最小化された(表8、
図11H)。
【0196】
ヒトFc受容体に対するIgGバリアントのアフィニティのBIACORE(登録商標)解析
KIT受容体を標的とする抗体は、ヒト臨床試験およびインビトロヒト免疫解析において、肥満細胞上のKIT会合の間のFc受容体の交差結合が原因で、患者において注射反応のリスクが高いことが示されている(L’Italien et al.,Clin Cancer Res 24(14):3465-3474,2018).。抗KIT抗体のFc操作バリアントの受容体会合の可能性を検証するために、h37Mを、IgG1形式およびIgG1-3M形式(L234A/L235A/G237A)で発現させ、クローンMH1は、新規のIgG1-4M形式(L234A/L235A/G237A/P331S)で発現させた。次いで各精製IgG1バリアントを、表面プラズモン共鳴解析によってすべてのヒトFc受容体に対する結合アフィニティに関して検証した。これらの解析から、アイソタイプ対照のヒトIgG1とh37M-IgG1の両方ともが、すべてのヒトFcγ受容体に対し強い結合アフィニティを示し(表9)、そしてpH6.0でFcRnに対して正常なアフィニティを示したが、pH7.4では示さなかった(表10)。h37M-IgG1-3MおよびMH1 IgG1-4Mも、pH6.0ではFcRnに対して正常なアフィニティを示すが、pH7.4では示さない(表10)。しかし対照的に、両方とも、阻害性受容体のFcγRIIb以外のいずれのヒトFcγ受容体に対しても計測可能な結合アフィニティは示さなかった(表9)。FcγRIIbに対する最も低いシグナルは、MH1 IgG-4Mで観察された(
図12)。アイソタイプ対照のヒトIgG4抗体で示されるように、このアイソタイプを使用することで、殆どのFcγ受容体に対する抗体のアフィニティは低下するが、活性化受容体の相互作用を完全に除去するには不十分である(表9)。
【0197】
活性化FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIIa、およびFcγRIIIbに対する結合が無く、しかし阻害性受容体のFcγRIIbおよびリサイクル受容体のFcRnに対する結合は維持されていることが、いずれか標準的なIgG型またはアーム化抗体(抗体薬剤結合型で使用される、または例えばCD3ライゲーション、CD16AライゲーションまたはCD47遮断などの別の免疫活性化機序の標的化に使用される)での抗K
IT治療用抗体の理想的な特徴の組み合わせであり、これにより潜在的に循環中の分子の半減期が最大化され、それと同時に肥満細胞活性化に関連したヒト毒性のリスクが最小化される。
【0198】
抗体特異性に関するヒト細胞外プロテオームアレイ解析
抗体の標的認識の精緻な特異性が、薬剤候補として抗体が選択される主な理由の1つである。しかしこの特異性は抗体のインビトロ操作の後には保証されず、特異性が損なわれることはリスクである。本明細書において生成された抗体の発展性を検証するために、5528個の固有のヒト細胞膜タンパク質および細胞表面連結分泌タンパク質を発現する細胞の高密度アレイの使用に基づくインビトロ技術(Retrogenix,Ltd.)を使用して、IgG1-h37MおよびIgG1-MH1におけるオフターゲット結合の特異性をスクリーニングした。この受容体アレイ結合スクリーニングにより、両方の抗体が膜発現C-KITへの強い結合を示すこと、しかし以下の3種の潜在的なオフターゲット結合の特異性も有することが特定された。MMP7、CRIM1およびF13A1。再配置(re-array)スライド上でのこれら相互作用の解析によって、これら相互作用が実際にはアーチファクトであり、二次抗体により介在されていたことが示された(
図13A)。したがってIgG1-h37MおよびIgG1-MH1(
図13B、13C)は強い特異性を示し、両方とも公知の2種の以下のc-KITアイソフォームに対してのみ結合する:アクセッション番号 NM_000222.2(基準アイソフォーム;配列番号209)およびNM_001093772(短アイソフォーム;配列番号210)。クローンのE-C2、E-C7、F-C5およびMH5に関する反復解析でも、両方のC-KITアイソフォームに対し、高度に特異的な結合が示された。
【0199】
アーム化抗体形式での細胞殺傷能力、およびC-KIT/SCF中和有効性との比較。
抗体薬剤結合体の重要な特性は、抗体の同系標的を発現する細胞内に内部移行する能力である。抗c-KIT抗体の内部移行は、サポニン毒素が結合した重鎖および軽鎖特異的ヤギポリクローナルFabを使用して評価された。Fab-ZAP試薬は、ヒトIgG1に結合する。もし当該IgG1が細胞表面上のタンパク質に結合し、内部移行された場合、Fab-ZAP試薬もエンドソーム内に移行される。エンドソーム内に入った時点でサポニン毒素は当該複合体から放出され、リボソームを不活化し、最終的には細胞死をもたらす。したがってこの方法により、抗体薬剤結合体としてのIgG1抗体の潜在的な有効性の直接的な比較が可能となる。これら内部移行実験において、すべての抗体、IgG1-3M形式のh37M、MH1、およびMH5-DIが、高度に強力な内部移行と、ヒトC-KIT(
図14A)、カニクイザルC-KIT(
図14B)を発現するCHO細胞、およびTF-1ヒト赤白血病株(
図14C)の殺傷を誘導した。一方で、アイソタイプ対照のヒトIgG1は、3種の細胞型のいずれの内部移行または殺傷も誘導しなかった。重要なことは、3つすべてのクローンが、IC50で計測された場合に非常に類似した有効性を生じさせることであり、3つすべてのIC50値は、KIT+CHO細胞に対し約2倍の範囲内にあり、TF-1細胞に対しては約4倍の範囲内にある(表11)。細胞殺傷実験における有効性の値が非常に類似することは予測されており、クローンMH1とMH5は、ヒトC-KIT(
図15A)およびカニクイザルC-KIT(
図15B)に対する結合に関し、上述のように高い感受性で、液相HTRFエピトープ競合においてh37Mと完全に重複した曲線を示している(ゆえに、C-KITに対するアフィニティが区別できない)。
【0200】
赤白血病株のTF-1はC-KITを構造的に発現するため、C-KITに対する天然のリガンドであるSCFが培養培地に添加されたとき、増殖が誘導される。これは、C-KIT/SCFシグナル伝達の中和における抗C-KIT IgGの有効性を検証するための理想的な実験条件である。SCF、および細胞増殖を阻害する能力に関し検証される複数の抗体の存在下でTF-1細胞が培養された。この解析によって、検証されたすべて
の抗体が、SCFにより誘導される細胞増殖を阻害し得ること、しかしh37Mは、他のいずれのクローンよりも有意に強力であったことが示された(
図16)。実際にIC50値を算出すると、h37Mのみが、pM範囲で有効性を示し(0.11nM)、一方でMH1とMH5-DIはそれぞれ26.5倍および243.6倍、有効性が低かった(表11)。
【0201】
C-KIT/SCF阻害と、内部移行および毒素送達における有効性の差は、例えばMH1およびMH5-DIなどのクローンの予想外の大きな利益である。C-KITは骨髄の造血幹細胞上に高度に発現されていることから、癌治療用の抗C-KIT抗体薬剤結合体がpM濃度範囲で毒素を効率的に送達しながら、そうした低濃度で投与されたときにC-KIT/SCFシグナル伝達を遮断しなければ、改善された治療指標を示すこととなる。つまり、腫瘍標的化の改善が導かれ、しかし骨髄毒性は低減される(L’Italien et al.,Clin Cancer Res 24(14):3465-3474,2018)。C-KIT/SCFシグナル伝達阻害の可能性は低下し、一方でC-KIT細胞外ドメインへの高いアフィニティ結合は維持されていることで、例えばCD3ライゲーション、CD16Aライゲーション、またはCD47遮断を介した免疫標的化などにおける、アーム化抗C-KIT抗体の他の形態の治療指標の改善に対しても有益であることが証明されるであろう。したがって、本明細書に記載されるクローン、例えばIgG1-4M形式のMH1およびMH5-DIなどは、アーム化抗C-KIT抗体の開発に関し、h37M-IgG1を超える以下の理想的な改善特性の組み合わせを有している:低い免疫原性、高いアフィニティ/高い特異性のC-KIT標的化、内部移行を介した毒素送達の高い有効性、C-KIT/SCFシグナル伝達阻害の可能性の低さ、およびヒトFcγ受容体との相互作用が無いこと。
【0202】
本発明は好ましい実施形態または例示的実施形態を参照して記載されているが、当業者であれば、本発明の主旨および範囲を逸脱することなくそれらに対する様々な改変および変動を行うことが可能であること、およびそうした改変は本明細書において予期されることが明白であると認識するであろう。本明細書に開示される、および添付の請求の範囲に記載される特定の実施形態に関し、限定は意図されておらず、何らの示唆もないものとする。
【0203】
本明細書に引用されるすべての文献は、その全体を参照することにより援用される。
【0204】
【表1】
【表2】
【表3-1】
【表3-2】
【表4-1】
【表4-2】
【表5】
【表6-1】
【表6-2】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【0205】
表12.抗体可変領域アミノ酸配列の例。
抗体MH1の重鎖可変(VH)領域
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYYMNWVRQAPGQGLEWMGRIYPGSGNTYYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGVYYYDYWGQGTLVTVSS (配列番号185)
【0206】
抗体MH1 VL軽鎖可変(VL)領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRTNLAWFQQKPGKAPKSLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYNSYPRTFGGGTKVEIK (配列番号186)
【0207】
抗体MH5-DIの重鎖可変(VH)領域
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYYMNWVRQAPGQGLEWMGRIYPGSGNTYYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGVYYYDYWGQGTLVTVSS (配列番号187)
【0208】
抗体MH5-DI軽鎖可変(VL)領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRTNLAWFQQKPGKAPKSLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYANYPRTFGGGTKVEIK (配列番号188)
【0209】
抗体MH5重鎖可変(VH)領域
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYYMNWVRQAPGQGLEWMGRIYPGSGNTYYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGVYYYDYWGQGTLVTVSS (配列番号189)
【0210】
抗体MH5軽鎖可変(VL)領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRTNLAWFQQKPGKAPKSLIYSASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYANYPRTFGGGTKVEIK (配列番号190)
【0211】
抗体EC7の重鎖可変(VH)領域
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYYMNWVRQAPGQGLEWMGRIYPGSGNTYYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGVYYYDYWGQGTLVTVSS (配列番号191)
【0212】
抗体EC7軽鎖可変(VL)領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRTNLAWFQQKPGKAPKSLIYSASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYNSYPRTFGGGTKVEIK (配列番号192)
【0213】
抗体EC2の重鎖可変(VH)領域
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYYMNWVRQAPGQGLEWMGRIYPGSGNTYYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGVYYLDYWGQGTLVTVSS (配列番号193)
【0214】
抗体EC2軽鎖可変(VL)領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRTNVAWLQQKPGKAPKSLIYSASYRQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYNSYPRTFGGGTKVEIK (配列番号194)
【0215】
抗体F-C5の重鎖可変(VH)領域
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYYMNWVRQAPGQGLEWMGRIYPGSGNTYYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGVYYFDEWGQGTLVTVSS (配列番号195)
【0216】
抗体F-C5軽鎖可変(VL)領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGVRTNLAWFQQKPGKAPKSLIYAASSRQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYNSYPRTFGGGTKVEIK
(配列番号196)
【0217】
表13.抗体Fc領域アミノ酸配列の例。
ヒトIgG1野生型
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK (配列番号197)
【0218】
ヒトIgG1-3M
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK (配列番号198)
【0219】
ヒトIgG1-4M
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQT
YICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK (配列番号199)
【0220】
ヒトIgG1野生型「REEM」アロタイプ
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK (配列番号200)
【0221】
ヒトIgG1-3M「REEM」アロタイプ
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK (配列番号201)
【0222】
ヒトIgG1-4M「REEM」アロタイプ
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK (配列番号202)
【0223】
表14.ヒトC-KITのアミノ酸配列およびヌクレオチド配列の例。
ヒトC-KITタンパク質
MRGARGAWDFLCVLLLLLRVQTGSSQPSVSPGEPSPPSIHPGKSDLIVRVGDEIRLLCTDPGFVKWTFEILDETNENKQNEWITEKAEATNTGKYTCTNKHGLSNSIYVFVRDPAKLFLVDRSLYGKEDNDTLVRCPLTDPEVTNYSLKGCQGKPLPKDLRFIPDPKAGIMIKSVKRAYHRLCLHCSVDQEGKSVLSEKFILKVRPAFKAVPVVSVSKASYLLREGEEFTVTCTIKDVSSSVYSTWKRENSQTKLQEKYNSWHHGDFNYERQATLTISSARVNDSGVFMCYANNTFGSANVTTTLEVVDKGFINIFPMINTTVFVNDGENVDLIVEYEAFPKPEHQQWIYMNRTFTDKWEDYPKSENESNIRYVSELHLTRLKGTEGGTYTFLVSNSDVNAAIAFNVYVNTKPEILTYDRLVNGMLQCVAAGFPEPTIDWYFCPGTEQRCSASVLPVDVQTLNSSGPPFGKLVVQSSIDSSAFKHNGTVECKAYNDVGKTSAYFNFAFKGNNKEQIHPHTLFTPLLIGFVIVAGMMCIIVMILTYKYLQKPMYEVQWKVVEEINGNNYVYIDPTQLPYDHKWEFPRNRLSFGKTLGAGAFGKVVEATAYGLIKSDAAMTVAVKMLKPSAHLTEREALMSELKVLSYLGNHMNIVNLLGACTIGGPTLVITEYCCYGDLLNFLRRKRDSFICSKQEDHAEAALYKNLLHSKESSCSDSTNEYMDMKPGVSYVVPTKADKRRSVRIGSYIERDVTPAIMEDDELAIDLEDLLSFSYQVAKGMAFLASKNCIHRDLAARNILLTHGRITKICDFGLARDIKNDSNYVVKGNARLPVKWMAHESIFNCVYTFESDVWSYGIFLWELFSLGSSPYPGMPVDSKFYKMIKEGFRMLSPEHAPAEMYDIMKTCWDADPLKRPTFKQIVQLIEKQISESTNHIYSNLANCSPNRQKPVVDHSVRINSVGSTASSSQPLLVHDDV
(配列番号208)
【0224】
ヒトC-KITタンパク質、転写バリアント2
TCTGGGGGCTCGGCTTTGCCGCGCTCGCTGCACTTGGGCGAGAGCTGGAACGTGGACCAGAGCTCGGATCCCATCGCAGCTACCGCGATGAGAGGCGCTCGCGGCGCCTGGGATTTTCTCTGCGTTCTGCTCCTACTGCTTCGCGTCCAGACAGGCTCTTCTCAACCATCTGTGAGTCCAGGGGAACCGTCTCCACCATCCATCCATCCAGGAAAATCAGACTTAATAGTCCGCGTGGGCGACGAGATTAGGCTGTTATGCACTGATCCGGGCTTTGTCAAATGGACTTTTGAGATCCTGGATGAAACGAATGAGAATAAGCAGAATGAATGGATCACGGAAAAGGCAGAAGCCACCAACACCGGCAAATACACGTGCACCAACAAACACGGCTTAAGCAATTCCATTTATGTGTTTGTTAGAGATCCTGCCAAGCTTTTCCTTGTTGACCGCTCCTTGTATGGGAAAGAAGACAACGAC
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TAAAAACAAAACAAAACAAAACAAAAAACTCCCCTTCCTCACTGCCCAATATAAAAGGCAAATGTGTACATGGCAGAGTTTGTGTGTTGTCTTGAAAGATTCAGGTATGTTGCCTTTATGGTTTCCCCCTTCTACATTTCTTAGACTACATTTAGAGAACTGTGGCCGTTATCTGGAAGTAACCATTTGCACTGGAGTTCTATGCTCTCGCACCTTTCCAAAGTTAACAGATTTTGGGGTTGTGTTGTCACCCAAGAGATTGTTGTTTGCCATACTTTGTCTGAAAAATTCCTTTGTGTTTCTATTGACTTCAATGATAGTAAGAAAAGTGGTTGTTAGTTATAGATGTCTAGGTACTTCAGGGGCACTTCATTGAGAGTTTTGTCTTGGATATTCTTGAAAGTTTATATTTTTATAATTTTTTCTTACATCAGATGTTTCTTTGCAGTGGCTTAATGTTTGAAATTATTTTGTGGCTTTTTTTGTAAATATTGAAATGTAGCAATAATGTCTTTTGAATATTCCCAAGCCCATGAGTCCTTGAAAATATTTTTTATATATACAGTAACTTTATGTGTAAATACATAAGCGGCGTAAGTTTAAAGGATGTTGGTGTTCCACGTGTTTTATTCCTGTATGTTGTCCAATTGTTGACAGTTCTGAAGAATTCTAATAAAATGTACATATATAAATCAAAAAAAAAAAAAAAA (配列番号209)
【0225】
ヒトC-KITタンパク質、転写バリアント2
TCTGGGGGCTCGGCTTTGCCGCGCTCGCTGCACTTGGGCGAGAGCTGGAACGTGGACCAGAGCTCGGATCCCATCGCAGCTACCGCGATGAGAGGCGCTCGCGGCGCCTGGGATTTTCTCTGCGTTCTGCTCCTACTGCTTCGCGTCCAGACAGGCTCTTCTCAACCATCTGTGAGTCCAGGGGAACCGTCTCCACCATCCATCCATCCAGGAAAATCAGACTTAATAGTCCGCGTGGGCGACGAGATTAGGCTGTTATGCACTGATCCGGGCTTTGTCAAATGGACTTTTGAGATCCTGGATGAAACGAATGAGAATAAGCAGAATGAATGGATCACGGAAAAGGCAGAAGCCACCAACACCGGCAAATACACGTGCACCAACAAACACGGCTTAAGCAATTCCATTTATGTGTTTGTTAGAGATCCTGCCAAGCTTTTCCTTGTTGACCGCTCCTTGTATGGGAAAGAAGACAACGACACGCTGGTCCGCTGTCCTCTCACAGACCCAGAAGTGACCAATTATTCCCTCAAGGGGTGCCAGGGGAAGCCTCTTCCCAAGGACTTGAGGTTTATTCCTGACCCCAAGGCGGGCATCATGATCAAAAGTGTGAAACGCGCCTACCATCGGCTCTGTCTGCATTGTTCTGTGGACCAGGAGGGCAAGTCAGTGCTGTCGGAAAAATTCATCCTGAAAGTGAGGCCAGCCTTCAAAGCTGTGCCTGTTGTGTCTGTGTCCAAAGCAAGCTATCTTCTTAGGGAAGGGGAAGAATTCACAGTGACGTGCACAATAAAAGATGTGTCTAGTTCTGTGTACTCAACGTGGAAAAGAGAAAACAGTCAGACTAAACTACAGGAGAAATATAATAGCTGGCATCACGGTGACTTCAATTATGAACGTCAGGCAACGTTGACTATCAGTTCAGCGAGAGTTAATGATTCTGGAGTGTTCATGTGTTATGCCAATAATACTTTTGGATCAGCAAATGTCACAACAACCTTGGAAGTAGTAGATAAAGGATTCATTAATATCTTCCCCATGATAAACACTACAGTATTTGTAAACGATGGAGAAAATGTAGATTTGATTGTTGAATATGAAGCATTCCCCAAACCTGAACACCAGCAGTGGATCTATATGAACAGAACCTTCACTGATAAATGGGAAGATTATCCCAAGTCTGAGAATGAAAGTAATATCAGATACGTAAGTGAACTTCATCTAACGAGATTAAAAGGCACCGAAGGAGGCACTTACACATTCCTAGTGTCCAATTCTGACGTCAATGCTGCCATAGCATTTAATGTTTATGTGAATACAAAACCAGAAATCCTGACTTACGACAGGCTCGTGAATGGCATGCTCCAATGTGTGGCAGCAGGATTCCCAGAGCCCACAATAGATTGGTATTTTTGTCCAGGAACTGAGCAGAGATGCTCTGCTTCTGTACTGCCAGTGGATGTGCAGACACTAAACTCATCTGGGCCACCGTTTGGAAAGCTAGTGGTTCAGAGTTCTATAGATTCTAGTGCATTCAAGCACAATGGCACGGTTGAATGTAAGGCTTACAACGATGTGGGCAAGACTTCTGCCTATTTTAACTTTGCATTTAAAGAGCAAATCCATCCCCACACCCTGTTCACTCCTTTGCTGATTGGTTTCGTAATCGTAGCTGGCATGATGTGCATTATTGTGATGATTCTGACCTACAAATATTTACAGAAACCCATGTATGAAGTACAGTGGAAGGTTGTTGAGGAGATAAATGGAAACAATTATGTTTACATAGACCCAACACAACTTCCTTATGATCACAAATGGGAGTTTCCCAGAAACAGGCTGAGTTTTGGGAAAACCCTGGGTGCTGGAGCTTTCGGGAAGGTTGTTGAGGCAACTGCTTATGGCTTAATTAAGTCAGATGCGGCCATGACTGTCGCTGTAAAGATGCTCAAGCCGAGTGCCCATTTGACAGAACGGGAAGCCCTCATGTCTGAACTCAAAGTCCTGAGTTACCTTGGTAATCACATGAATATTGTGAATCTACTTGGAGCCTGCACCATTGGAGGGCCCACCCTGGTCATTACAGAATATTGTTGCTATGGTGATCTTTTGAATTTTTTGAGAAGAAAACGTGATTCATTTATTTGTTCAAAGCAGGAAGATCATGCAGAAGCTGCACTTTATAAGAATCTTCTGCATTCAAAGGAGTCTTCCTGCAGCGATAGTACTAATGAGTACATGGACATGAAACCTGGAGTTTCTTATGTTGTCCCAACCAAGGCCGACAAAAGGAGATCTGTGAGAATAGGCTCATACATAGAAAGAGATGTGACTCCCGCCATCATGGAGGATGACGAGTTGGCCCTAGACTTAGAAGACTTGCTGAGCTTTTCTTACCAGGTGGCAAAGGGCATGGCTTTCCTCGCCTCCAAGAATTGTATTCACAGAGACTTGGCAGCCAGAAATATCCTCCTTACTCATGGTCGGATCACAAAGATTTGTGATTTTGGTCTAGCCAGAGACATCAAGAATGATTCTAATTATGTGGTTAAAGGAAACGCTCGACTACCTGTGAAGTGGATGGCACCTGAAAGCATTTTCAACTGTGTATACACGTTTGAAAGTGACGTCTGGTCCTATGGGATTTTTCTTTGGGAGCTGTTCTCTTTAGGAAGCAGCCCCTATCCTGGAATGCCGGTCGATTCTAAGTTCTACAAGATGATCAAGGAAGGCTTCCGGATGCTCAGCCCTGAACACGCACCTGCTGAAATGTATGACATAATGAAGACTTGCTGGGATGCAGATCCCCTAAAAAGACCAACATTCAAGCAAATTGTTCAGCTAATTGAGAAGCAGATTTCAGAGAGCACCAATCATATTTACTCCAACTTAGCAAACTGCAGCCCCAACCGACAGAAGCCCGTGGTAGACCATTCTGTGCGGATCAATTCTGTCGGCAGCACCGCTTCCTCCTCCCAGCCTCTGCTTGTGCACGACGATGTCTGAGCAGAATCAGTGTTTGGGTCACCCCTCCAGGAAT
GATCTCTTCTTTTGGCTTCCATGATGGTTATTTTCTTTTCTTTCAACTTGCATCCAACTCCAGGATAGTGGGCACCCCACTGCAATCCTGTCTTTCTGAGCACACTTTAGTGGCCGATGATTTTTGTCATCAGCCACCATCCTATTGCAAAGGTTCCAACTGTATATATTCCCAATAGCAACGTAGCTTCTACCATGAACAGAAAACATTCTGATTTGGAAAAAGAGAGGGAGGTATGGACTGGGGGCCAGAGTCCTTTCCAAGGCTTCTCCAATTCTGCCCAAAAATATGGTTGATAGTTTACCTGAATAAATGGTAGTAATCACAGTTGGCCTTCAGAACCATCCATAGTAGTATGATGATACAAGATTAGAAGCTGAAAACCTAAGTCCTTTATGTGGAAAACAGAACATCATTAGAACAAAGGACAGAGTATGAACACCTGGGCTTAAGAAATCTAGTATTTCATGCTGGGAATGAGACATAGGCCATGAAAAAAATGATCCCCAAGTGTGAACAAAAGATGCTCTTCTGTGGACCACTGCATGAGCTTTTATACTACCGACCTGGTTTTTAAATAGAGTTTGCTATTAGAGCATTGAATTGGAGAGAAGGCCTCCCTAGCCAGCACTTGTATATACGCATCTATAAATTGTCCGTGTTCATACATTTGAGGGGAAAACACCATAAGGTTTCGTTTCTGTATACAACCCTGGCATTATGTCCACTGTGTATAGAAGTAGATTAAGAGCCATATAAGTTTGAAGGAAACAGTTAATACCATTTTTTAAGGAAACAATATAACCACAAAGCACAGTTTGAACAAAATCTCCTCTTTTAGCTGATGAACTTATTCTGTAGATTCTGTGGAACAAGCCTATCAGCTTCAGAATGGCATTGTACTCAATGGATTTGATGCTGTTTGACAAAGTTACTGATTCACTGCATGGCTCCCACAGGAGTGGGAAAACACTGCCATCTTAGTTTGGATTCTTATGTAGCAGGAAATAAAGTATAGGTTTAGCCTCCTTCGCAGGCATGTCCTGGACACCGGGCCAGTATCTATATATGTGTATGTACGTTTGTATGTGTGTAGACAAATATTTGGAGGGGTATTTTTGCCCTGAGTCCAAGAGGGTCCTTTAGTACCTGAAAAGTAACTTGGCTTTCATTATTAGTACTGCTCTTGTTTCTTTTCACATAGCTGTCTAGAGTAGCTTACCAGAAGCTTCCATAGTGGTGCAGAGGAAGTGGAAGGCATCAGTCCCTATGTATTTGCAGTTCACCTGCACTTAAGGCACTCTGTTATTTAGACTCATCTTACTGTACCTGTTCCTTAGACCTTCCATAATGCTACTGTCTCACTGAAACATTTAAATTTTACCCTTTAGACTGTAGCCTGGATATTATTCTTGTAGTTTACCTCTTTAAAAACAAAACAAAACAAAACAAAAAACTCCCCTTCCTCACTGCCCAATATAAAAGGCAAATGTGTACATGGCAGAGTTTGTGTGTTGTCTTGAAAGATTCAGGTATGTTGCCTTTATGGTTTCCCCCTTCTACATTTCTTAGACTACATTTAGAGAACTGTGGCCGTTATCTGGAAGTAACCATTTGCACTGGAGTTCTATGCTCTCGCACCTTTCCAAAGTTAACAGATTTTGGGGTTGTGTTGTCACCCAAGAGATTGTTGTTTGCCATACTTTGTCTGAAAAATTCCTTTGTGTTTCTATTGACTTCAATGATAGTAAGAAAAGTGGTTGTTAGTTATAGATGTCTAGGTACTTCAGGGGCACTTCATTGAGAGTTTTGTCTTGGATATTCTTGAAAGTTTATATTTTTATAATTTTTTCTTACATCAGATGTTTCTTTGCAGTGGCTTAATGTTTGAAATTATTTTGTGGCTTTTTTTGTAAATATTGAAATGTAGCAATAATGTCTTTTGAATATTCCCAAGCCCATGAGTCCTTGAAAATATTTTTTATATATACAGTAACTTTATGTGTAAATACATAAGCGGCGTAAGTTTAAAGGATGTTGGTGTTCCACGTGTTTTATTCCTGTATGTTGTCCAATTGTTGACAGTTCTGAAGAATTCTAATAAAATGTACATATATAAATCAAAAAAAAAAAAAAAA
(配列番号210)