IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミネベア株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-モータ 図1
  • 特開-モータ 図2
  • 特開-モータ 図3
  • 特開-モータ 図4
  • 特開-モータ 図5
  • 特開-モータ 図6
  • 特開-モータ 図7
  • 特開-モータ 図8
  • 特開-モータ 図9
  • 特開-モータ 図10
  • 特開-モータ 図11
  • 特開-モータ 図12
  • 特開-モータ 図13
  • 特開-モータ 図14
  • 特開-モータ 図15
  • 特開-モータ 図16
  • 特開-モータ 図17
  • 特開-モータ 図18
  • 特開-モータ 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090048
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
H02K3/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205688
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100120846
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 雅也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 友久
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA05
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB14
5H604BB16
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604CC16
5H604QB14
(57)【要約】
【課題】耐振動性を向上させることができるモータを提供する。
【解決手段】モータ10は、筐体41と、筐体41の開口部を覆う蓋42と、バスバー52を有する環状の部材50と、磁性体35及び当該磁性体35を覆う絶縁部材33を有するステータ30と、を備える。環状の部材50は、蓋42又は絶縁部材33に結合される。また、磁性体35と絶縁部材33とが結合されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の開口部を覆う蓋と、
バスバーを有する環状の部材と、
磁性体及び当該磁性体を覆う絶縁部材を有するステータと、を備え、
前記環状の部材は、前記蓋又は前記絶縁部材に結合され、
前記磁性体と前記絶縁部材とが結合されている、モータ。
【請求項2】
径方向において、前記磁性体と前記絶縁部材とは結合されている、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
ロータを備え、
前記磁性体は、前記ロータに対向する磁極部を備え、
前記磁極部の内周面及び前記絶縁部材の外周面のうちの一方が嵌合部を備え、前記前記磁極部の内周面及び前記絶縁部材の外周面のうちの他方が被嵌合部を備え、
径方向において、前記嵌合部と前記被嵌合部とが嵌合している、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記磁性体は、前記磁極部に連結されたスポークを備え、
前記磁極部は、周方向において、前記スポークから延在する2つの突出部を備え、
前記突出部が前記嵌合部又は被嵌合部を備えている、請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
ロータを備え、
前記磁性体は、前記ロータに対向する磁極部と、前記磁極部に連結されたスポークと、を備え、
前記磁極部は、周方向において、前記スポークから延在する2つの突出部を備え、
前記磁性体の突出部と前記絶縁部材とが嵌合している、請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
回転軸方向において、前記絶縁部材は前記環状の部材に向かって延在する部分を備え、
回転軸方向において、前記環状の部材は前記絶縁部材に向かって延在する部分を備え、
回転軸方向において、前記絶縁部材の部分と前記環状部材の部分とが結合されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
前記蓋と前記環状の部材とは、直接、又は、他の部材により結合されている、請求項6に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1は、ステータのコイルから引き出された引出線と、外部電源等に接続される導線との間に介在するバスバーとを備えるモータを開示している。バスバーの下方にはステータが配置される。ステータにおいて、磁性体のステータコアにコイルが巻き付けられる。磁性体とコイルとの間には絶縁部材が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-87087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうしたモータでは、バスバーやステータコア、絶縁部材といった構成部品は、モータの筐体内にそれぞれ保持されている。しかしながら、従来のモータでは、それぞれの構成部品は必ずしも強固に固定されていなかった。したがって、耐振動性の観点において改善が望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、耐振動性を向上させることができるモータを提供することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るモータは、筐体と、前記筐体の開口部を覆う蓋と、バスバーを有する環状の部材と、磁性体及び当該磁性体を覆う絶縁部材を有するステータと、を備え、前記環状の部材は、前記蓋又は前記絶縁部材に結合され、前記磁性体と前記絶縁部材とが結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態に係るモータ10の外観を概略的に示す斜視図である。
図2】モータ10の回転軸心を構成する軸線xを含む仮想平面に沿った図1の2-2断面図である。
図3】軸線xに直交する仮想平面に沿った図1の3-3断面図である。
図4】一具体例に係るバスバーユニット50及び蓋42を概略的に示す分解斜視図である。
図5】一具体例に係るインシュレータ33の構造を概略的に示す斜視図である。
図6図3の断面図に対応し、1つのインシュレータ33及びティース35を取り出した部分断面図である。
図7図6に対応し、ティース35にインシュレータ33を取り付ける場面を示す断面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るモータ10Aの構造を概略的に示す斜視図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るモータ10Aの構造を概略的に示す分解斜視図である。
図10】別の具体例に係るバスバーユニット50Aの構造を概略的に示す分解斜視図である。
図11】一具体例に係るインシュレータ33の構造を概略的に示す斜視図である。
図12】一具体例に係るインシュレータ33の構造を概略的に示す平面図である。
図13】ティース35にインシュレータ33を取り受けた状態を示す部分断面図である。
図14】ティース35にインシュレータ33を取り受けた状態を示す断面図である。
図15】本発明の第3実施形態に係るモータ10Bの構造を概略的に示すステータ30Aの平面図である。
図16】別の具体例に係るインシュレータ33A及びティース35Aの構造を概略的に示す斜視図である。
図17】別の具体例に係るインシュレータ33A及びティース35Aの構造を概略的に示す平面図である。
図18】ティース35Aにインシュレータ33Aを取り受けた状態を示す部分断面図である。
図19】ティース35Aにインシュレータ33Aを取り受ける場面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るモータ10の外観を概略的に示す斜視図であり、図2はモータ10の縦断面図であり、図3はモータ10の横断面図である。なお、図2は、モータ10の回転軸心を構成する軸線xを含む仮想平面に沿った図1の2-2断面図に相当し、図3は、軸線xに直交する仮想平面に沿った図1の3-3断面図に相当する。
【0009】
本実施形態の説明においては、軸線xの方向において、一方の側を上側aと規定し、一方の側の反対側の他方の側を下側bと規定する。なお、上側a及び下側bは重力方向における上下関係とは必ずしも一致しない。また、軸線xに垂直なモータ10の径方向において、軸線xから遠ざかる側を外周側cと規定し、軸線xに向かう側を内周側dと規定する。さらに、軸線x周りの周方向において、上側aから見て時計回り方向e及び反時計回り方向fが規定される(図3参照)。
【0010】
図1図3に示すように、第1実施形態にかかるモータ10は、回転軸を構成するシャフト11と、ロータ20と、ステータ30と、筐体40と、環状の部材すなわちバスバーユニット50と、を備える。ロータ20はシャフト11に固定される。ステータ30は、ロータ20を取り囲むように配置される。筐体40はステータ30を保持する。バスバーユニット50はステータ30に電流を供給する。モータ10はインナーロータタイプのブラシレスモータである。シャフト11及びロータ20は筐体40及びステータ30に対して相対回転する。なお、筐体40及びステータ30は、例えばモータ10が組み込まれる外部機器(図示せず)に固定される。
【0011】
図2に示すように、シャフト11は、筐体40に固定される2つの軸受12、13に回転自在に支持されている。軸受12、13は、シャフト11と筐体40との間に例えば圧入などにより取り付けられている。ロータ20は、ロータコア21と、マグネット22と、を備える。ロータコア21は、シャフト11に固定された円筒状の磁性体である。マグネット22は、ロータコア21の外周面に固定された円筒状の永久磁石である。ロータコア21は、軸線x方向に積層される複数の磁性体の積層体から形成される。軸線xに沿って形成されるロータコア21の孔にシャフト11が挿入されて固定される。
【0012】
一方で、ステータ30は、ステータコア31と、コイル32と、インシュレータ33と、を備える。ステータコア31は筐体40に固定される。コイル32はステータコア31に巻き付けられる。インシュレータ33は、ステータコア31及びコイル32の間に配置された絶縁部材である。ステータコア31は、珪素鋼板等の磁性体すなわち金属材料の積層体から形成される。インシュレータ33は例えば樹脂材料から形成される。
【0013】
図3に示すように、ステータコア31は、円筒状の環状部34と、複数のティース35と、を備える。複数のティース35は、環状部34の内周面から内周側dに径方向に延びる。ステータコア31は環状部34の外周面で筐体40に固定される。各ティース35は、外周側cの外周端に沿って規定される境界線Bで環状部34から分割されている。各ティース35は、その外周端で環状部34の内周面に固定される。固定には例えば接着剤や溶接が用いられる。すなわち、ステータコア31は分割コアである。
【0014】
各ティース35は、スポーク36と、磁極部37と、を備える。スポーク36は径方向に延びる。磁極部37は、スポーク36の内周端に連続する。磁極部37は2つの突出部38を備える。2つの突出部38は、スポーク36に対して周方向に互いに反対方向に突出する。ティース35は、磁極部37の内周面で、マグネット22の外周面に所定の磁気ギャップで対向する。
【0015】
各スポーク36の周囲にはコイル32が巻き付けられている。スポーク36とコイル32との間に配置されたインシュレータ33はステータコア31とコイル32とを絶縁する。図2に示すように、各コイル32から例えば1本の引出線32aが引き出されてバスバーユニット50に接続される。この引出線32aを通じてコイル32に電流が供給されると、マグネット22で生じた磁界との相互作用により、ロータ20が軸線x回りに回転する。その結果、ロータ20すなわちシャフト11がステータ30及び筐体40に対して時計回り方向e又は反時計回り方向fに相対回転する。
【0016】
図2に示すように、筐体40は、例えば筒状の筐体本体41と、例えば円盤状の蓋42と、を備える。筐体本体41は、上側aに開口する一方で、下側bで閉鎖される。蓋42は、筐体本体41の上側aの開口部を覆う。筐体本体41は、例えば円盤状の底部41aと、底部41aの外周縁から筒状に上側aに延在する外周部41bと、を備える。ステータコア31は外周部41bの内周面に固定される。一方で、カバー42は円盤状の平板部42aを備える。平板部42aには、その中心に円形の開口部42bと、開口部42b周りに形成される例えば3つの開口部42cと、が設けられている。開口部42bから上側aにシャフト11が突出する。
【0017】
図4は、一具体例に係るバスバーユニット50及び蓋42を概略的に示す分解斜視図である。図2及び図4を併せて参照すると、バスバーユニット50は、環状のハウジング51と、環状の複数のバスバー52と、を備える。複数のバスバー52はハウジング51内に収容される。すなわち、バスバーユニット50は、複数のバスバー52を有する環状の部材である。複数のバスバー52はハウジング51内で軸線xの方向に積み重ねられている。ハウジング51は、樹脂材料を含む絶縁材料から形成される。バスバー52は、銅やアルミニウムなどの金属材料を含む導電材料から形成される。
【0018】
各バスバー52は、1以上の接続端子(以下、「内部接続端子」という。)53と、1以上の接続端子(以下、「外部接続端子」という。)54と、を備える。内部接続端子53は、外周側c及び内周側dに径方向にハウジング51から外側に突出する。外部接続端子54は、軸線xの方向にハウジング51から外側に突出する。内部接続端子53及び外部接続端子54は軸線x回りに所定の間隔で配列される。各内部接続端子53は例えばフォーク型の端子である。内部接続端子53にコイル32の引出線32aが電気的に接続される。一方で、外部接続端子54は、筐体40の蓋42に形成された開口部42cを通ってモータ10の外側に突出する。外部接続端子54は外部装置(図示せず)に電気的に接続される。
【0019】
図4に示すように、バスバーユニット50は、1以上の例えば3本のネジ55によって蓋42に固定される。ネジ55は、例えば、軸線x回りに所定の間隔で蓋42の平板部42aに形成された貫通孔42dを通じて、バスバーユニット50のハウジング51にねじ込まれる。ハウジング51内には例えば金属製の雌ネジ部材(図示せず)が埋め込まれる。図2から明らかなように、ハウジング51の上面は平板部42aの下面に密接する。こうしてバスバーユニット50は蓋42に結合される。なお、バスバーユニット50は、蓋42にネジ55すなわち他の部材を介して結合されたが、バスバーユニット50は例えば接着剤等により蓋42に直接結合されてもよい。
【0020】
図5は、一具体例に係るインシュレータ33の構造を概略的に示す斜視図である。図5に示すように、インシュレータ33は、環状部33aと、外周側cのフランジ(以下、「外周側フランジ」という。)33bと、内周側dのフランジ(以下、「内周側フランジ」という。)33bと、を備える。外周側フランジ33bは環状部33aの外周端に一体化される。内周側フランジ33cは環状部33aの内周端に一体化される。環状部33aは、その内部にスポーク36を受け入れる空間33dを規定する。
【0021】
外周側フランジ33b及び内周側フランジ33cは、例えば、軸線xを中心とする円筒面に沿って広がる。内周側フランジ33cには、その内周面に空間33dの内周側dの開口33eに沿って延びる1対の嵌合部33fが形成される。本実施形態では、内周側フランジ33cは、例えば、軸線xの方向に上側aの上端部33gと、下側bの下端部33hと、を規定する。上端部33gは、環状部33aから上側aに向かって延在する。一方で、下端部33hは、環状部33aから下側bに向かって延在する。嵌合部33fは、例えば、上端部33g及び下端部33hとの間で延びる凸部である。また、嵌合部33fは、内周側フランジ33cから径方向に内周側dに突出する凸部である。
【0022】
図6は、図3の断面図に対応し、1つのインシュレータ33及びティース35を取り出した部分断面図である。図6を併せて参照すると、インシュレータ33の環状部33aの空間33d内にティース35が配置された状態では、ティース35の突出部38の外周面はインシュレータ33の内周側フランジ33cに面している。突出部38の外周面には、インシュレータ33の嵌合部33fに対応する被嵌合部38aが形成されている。被嵌合部38aは、軸線xに沿って規定されるとともに、径方向に内周側dにへこむ凹部である。インシュレータ33の嵌合部33fは突出部38の被嵌合部38aに嵌合している。この嵌合によってインシュレータ33及びティース35は互いに径方向に結合される。
【0023】
軸線xに直交する仮想平面に沿った断面において、嵌合部33fの輪郭は、径方向に内周側dに向かうにつれて、周方向に規定されるその幅Wを増大させる。具体的には、本実施形態では、1対の嵌合部33f、33fにおいて、互いに内向する周方向の内側面I1は径方向に延びる一方で、互いに背向する周方向の外側面OSは、径方向に内周側dに向かうにつれて内側面ISから遠ざかる。断面視において、被嵌合部38aは嵌合部33fと同一の輪郭を有している。すなわち、1対の被嵌合部38a、38aにおいて、互いに内向する周方向の内側面ISは径方向に延びる一方で、互いに背向する周方向の外側面OSは、径方向に内周側dに向かうにつれて内側面ISから遠ざかる。
【0024】
図7は、図6に対応し、ティース35にインシュレータ33を取り付ける場面を示す断面図である。取り付けにあたって、ティース35は、矢印Aに沿って、インシュレータ33の内周側フランジ33c側の開口33eから環状部33aの空間33d内に挿入される。被嵌合部38aの入口の周方向における幅Wは、嵌合部33fの内周側dの周方向における幅Wよりも小さい。したがって、嵌合部33fの被嵌合部38aへの進入開始時、樹脂材料の嵌合部33fは弾性変形する。嵌合部33fが被嵌合部38aに完全に進入すると、嵌合部33fは弾性復元力に基づいて原形に戻る。こうしてティース35すなわちステータコア31はインシュレータ33と径方向に結合される。
【0025】
以上のような本発明の第1実施形態に係るモータ10では、バスバー52を有する環状のバスバーユニット50は、例えばネジ55を介して筐体40の蓋42に結合される。筐体40の蓋42は相対的に強固な構造体であるので、バスバーユニット50の耐振動性は格段に向上する。バスバーユニット50は、モータ10の構成部品のうちでも相対的に大きな重量を有する部品であるので、蓋42への結合は耐振動性の向上にあたって特に有用である。また、インシュレータ33の嵌合部33fは例えば径方向にティース35の被嵌合部38aに嵌合する。その結果、ステータコア31、コイル32及びインシュレータ33から構成されるアセンブリの耐振動性は格段に向上する。
【0026】
図8は、本発明の第2実施形態に係るモータ10Aの構造を概略的に示す斜視図であり、図9は、本発明の第2実施形態に係るモータ10Aの構造を概略的に示す分解斜視図である。図8及び図9では、第1実施形態に係るモータ10のものとほぼ同様の構成を有するシャフト11、軸受12、13、ロータ20及び筐体40の記載を省略している。第2実施形態に係るモータ10Aには、第1実施形態に係るモータ10のバスバーユニット50に代えてバスバーユニット50Aが組み込まれている。以降の図面では、第1実施形態に係るモータ10と同様の構成には同一の参照符号を付して、重複した説明を省略する。
【0027】
図8及び図9を併せて参照すると、バスバーユニット50Aは、第1実施形態のようにネジ55を介して筐体40の蓋42に結合することに代えて、ステータ30に結合される。すなわち、バスバーユニット50Aがステータ30に結合される構成以外の構成については、第1実施形態に係るモータ10の構成と同様である。バスバーユニット50Aでは、バスバー52の内部接続端子53は径方向に外周側cにのみ突出している。外部接続端子54は、第1実施形態の外部接続端子54とその数や形状が相違するものの、第1実施形態の外部接続端子54と同様の機能を有している。
【0028】
バスバーユニット50Aは、バスバーユニット50Aをステータ30すなわちインシュレータ33に固定するための固定部材56を備えている。図10に示すように、固定部材56は、軸線xを中心とする環状の本体56aと、複数の脚部56bと、を備える。各脚部56bは、本体56aから径方向に内周側dに突出する。固定部材56は本体56aでハウジング51の下面に取り付けられる。脚部56bの数はステータ30のインシュレータ33の数に一致し、したがって、脚部56bは周方向にインシュレータ33と同じ間隔で配列される。脚部56bは、下側bに延びる片(以下、「結合片」という。)56cを備える。この結合片56cは、図8に示すように、軸線xの方向にインシュレータ33に向かって延在し、インシュレータ33の上端部33gに結合される。結合の詳細については後述する。
【0029】
図11は、一具体例に係るインシュレータ33の構造を概略的に示す斜視図であり、図12は、一具体例に係るインシュレータ33の構造を概略的に示す平面図である。このインシュレータ33は前述のインシュレータ33と同様の構成を有している。ここでは、図11及び図12を併せて参照して上端部33gの構造を詳細に説明する。上端部33g以外の構成の重複した説明は省略する。インシュレータ33がモータ10Aに組み込まれた状態では、上端部33gは、軸線xの方向にバスバーユニット50Aに向かって延在する。上端部33gは、バスバーユニット50Aの固定部材56の各脚部56bを受け入れる凹部39を有している。
【0030】
凹部39は、上端部33gの外周側cの周壁39Aと、壁39Aに内周側dに対向する1対の周壁39B、39Cと、周壁39A及び周壁39B、39Cを互いに接続する1対の側壁39D、39Eと、によって囲まれる。1対の側壁39D、39E同士は互いに対向する。1対の周壁39B、39Cの間に所定の間隙が確保されるので、凹部39は、周壁39B、39Cの間で切り欠かれた状態となっている。上端部33gでは、側壁39D、39Eの間に第1長さL1が規定され、周壁39A及び周壁39B、39Cの間に第2長さL2が規定される。この第1長さL1及び第2長さL2は、後述するように、固定部材56の脚部56bのサイズに応じて規定される。
【0031】
図13に示すように、バスバーユニット50Aのステータ30への結合にあたって、インシュレータ33の上端部33gの凹部39内に固定部材56の結合片56cが圧入される。すなわち、凹部39に対応して規定される結合片56cの第1長さL1及び第2長さL2のいずれか一方又は両方が、凹部39の第1長さL1及び第2長さL2よりも大きく設定される。その結果、結合片56cが凹部39に圧入されると、結合片56cは、例えば矢印Fの方向に凹部39を押し広げようとする応力を作用させる。図14に示すように、この応力は、インシュレータ33の嵌合部33fを被嵌合部38a内にさらに押し込む方向に作用する。その結果、結合片56cの凹部39への圧入が、インシュレータ33のステータコア30の結合をさらに強固にする。なお、結合片56c及び凹部39は接着剤等によって接合されてもよい。
【0032】
以上のような本発明の第2実施形態に係るモータ10Aでは、バスバー52を有する環状のバスバーユニット50Aは、固定部材56の結合片56c及びインシュレータ33の凹部39の間の結合によりステータ30に結合される。バスバーユニット50Aの耐振動性は格段に向上する。また、結合片56c及び凹部39の間の結合は、ステータコア31の嵌合部33fとインシュレータ33の被嵌合部38aとの間の嵌合をさらに強固にする。その結果、ステータコア31、コイル32、インシュレータ33バスバーユニット50Aから構成されるアセンブリの耐振動性は格段に向上する。
【0033】
図15は、本発明の第3実施形態に係るモータ10Bの構造を概略的に示すステータ30Aの平面図である。図15では、第1及び第2実施形態に係るモータ10、10Aのものとほぼ同様の構成を有するシャフト11、軸受12、13、ロータ20、筐体40及びバスバーユニット50Aの記載を省略している。第3実施形態に係るモータ10Bには、第1及び第2実施形態に係るモータ10、10Aのステータ30と異なるステータ30Aが組み込まれている。以降の図面では、第1及び第2実施形態に係るモータ10、10Aと同様の構成には同一の参照符号を付して、重複した説明を省略する。
【0034】
図15に示すように、ステータ30Aは、上述したインシュレータ33に代えてインシュレータ33Aを備えるとともに、上述したティース35に代えてティース35Aを備えている。ステータ30Aは、インシュレータ33A及びティース35A以外の構成については基本的にステータ30と同様の構成を有しているが、図15から明らかなように、第3実施形態では第1及び第2実施形態と比較してコイル32の数が12から24に増えている。したがって、図示しないバスバーユニット50Aの固定部材56の結合片56cの数も対応して12から24に増えている。
【0035】
図16は、別の具体例に係るインシュレータ33A及びティース35Aの構造を概略的に示す斜視図であり、図17は、別の具体例に係るインシュレータ33A及びティース35Aの構造を概略的に示す平面図である。図16及び図17に示すように、インシュレータ33Aは、第1及び第2実施形態のインシュレータ33と異なる内周側フランジ33cを有している。内周側フランジ33c以外の環状部33a及び外周側フランジ33bは、インシュレータ33のものと形状が相違するが、インシュレータ33と同様の機能及び作用を有している。
【0036】
具体的には、内周側フランジ33cは、1対の周壁33jと、1対の爪部33kと、を備えている。1対の周壁33jは、環状部33aの空間33dの内周側dの開口33eの周方向における両側で上端部33gから下端部33hまで軸線xの方向に延びる。1対の爪部33kは、周壁33jから径方向に延び、その後、互いに周方向に近づく方向に延びる。こうして上端部33gでは、1対の周壁33jと1対の爪部33kとによって前述の凹部39が規定される。
【0037】
一方で、ティース35Aの1対の突出部38は、周方向に互いに遠ざかる方向に突出する爪部38bを備えている。図17から明らかなように、ティース35Aにインシュレータ33Aが取り付けられた状態では、爪部38bは爪部33kに係止している。爪部38bの形状は、断面視において例えば三角形に形成されているが、爪部38bと爪部33kとの間の係止が確立される限り、その他の形状を有してもよい。
【0038】
図18は、ティース35Aにインシュレータ33Aを取り受けた状態を示す部分断面図である。図18に示すように、バスバーユニット50Aのステータ30Aへの結合にあたって、インシュレータ33Aの凹部39内に固定部材56の結合片56cが挿入される。ただし、前述のインシュレータ33と固定部材56との結合とは異なり、結合片56cは、1対の爪部33kで凹部39内に保持される程度に爪部33kに係止する。すなわち、係合片56cが凹部39内に圧入されることはなく、係合片56cが凹部39を押し広げようとする応力を爪部33kに作用させることもない。こうしてバスバーユニット50Aはステータ30Aに結合される。なお、結合片56cは周壁33j及び爪部33kに接着剤等で接合されてもよい。
【0039】
図19は、ティース35Aにインシュレータ33Aを取り付ける場面を示す断面図である。取り付けにあたって、ティース35Aは、矢印Aに沿って、インシュレータ33Aの内周側フランジ33c側の開口33eから環状部33aの空間33d内に挿入される。ティース35Aがさらに挿入されると、ティース35Aの爪部38bがインシュレータ33Aの爪部33kを周方向において爪部33k、33kを互いに遠ざける方向に弾性変形させる。ティース35Aの突出部38の外周面がインシュレータ33Aの外周側フランジ33cの周壁33jの内周面に突き当たると、爪部33kは弾性復元力に基づいて原形に戻る。その結果、爪部38bは爪部33kに係止する。こうしてティース35Aはインシュレータ33Aに結合される。
【0040】
以上のような本発明の第3実施形態に係るモータ10Bでは、バスバー52を有する環状のバスバーユニット50Aが、固定部材56の結合片56c及びインシュレータ33の凹部39の間の結合によりステータ30Aに結合される。バスバーユニット50Aの耐振動性は格段に向上する。また、ステータコア31の爪部38bはインシュレータ33Aの爪部33kに係止する。こうしてステータコア31及びインシュレータ33Aは結合される。その結果、ステータコア31、コイル32及びインシュレータ33Aから構成されるアセンブリの耐振動性は格段に向上する。
【0041】
以上のような第1~第3実施形態に係るモータ10、10A、10Bの構成は適宜組み合わせられてもよい。例えば、第1実施形態に係るモータ10に、第2及び第3実施形態に係るモータ10A、10Bの固定部材56又はインシュレータ33Aが組み込まれてもよい。すなわち、モータ10において、バスバーユニット50が、ネジ55によって蓋42に結合されるとともに、固定部材56によってインシュレータ33、33Aに結合されてもよい。こうした構成によれば、モータ10における構成部品の耐振動性をさらに向上させることができる。
【0042】
また、モータ10、10A、10Bの構成については、上記実施形態の構成に限定されず、あらゆるタイプのモータに対しても本発明を適用することができる。上述した第1~第3実施形態では、インナーロータタイプのブラシレスモータを例に挙げているが、アウターロータタイプのモータにも本発明を適用することができる。同様に、ブラシレスモータに限らずブラシモータにも本発明を適用することができる。
【0043】
以上、上記実施形態を通じて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に様々な変更又は改良を加えることができることが当業者には明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0044】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。上記実施形態が備える各構成要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。また、技術的に矛盾しない範囲において、異なる実施形態で示した構成要素同士を部分的に置換し又は組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0045】
10、10A、10B モータ、11 シャフト、12、13 軸受、20 ロータ、21 ロータコア、22 マグネット、30、30A ステータ、31 ステータコア、32 コイル、32a 引出線、33、33A インシュレータ(絶縁部材)、33a 環状部、33b フランジ(外周側フランジ)、33c フランジ(内周側フランジ)、33d 空間、33e 開口、33f 嵌合部、33g 上端部、33h 下端部、33j 周壁、33k 爪部、34 環状部、35、35A ティース、36 スポーク、37 磁極部、38 突出部、38a 被嵌合部、38b 爪部、39 凹部、39A 周壁、39B、39C 周壁、39D、39E 側壁、40 筐体、41 筐体本体、41a 底部、41b 外周部、42 蓋、42a 平板部、42b 開口部、42c 開口部、42d 貫通孔、50、50A バスバーユニット(環状の部材)、51 ハウジング、52 バスバー、53 接続端子(内部接続端子)、54 接続端子(外部接続端子)、55 ネジ、56 固定部材、56a 本体、56b 脚部、56c 片(結合片)、A 矢印、B 境界線、IS 内側面、L1 第1長さ、L2 第2長さ、OS 外側面、W 幅、a 上側、b 下側、c 外周側、d 内周側、e 時計回り方向、f 反時計回り方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19