(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090066
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】バッテリ搭載構造およびバッテリ搭載方法
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20240627BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205710
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナンタクマル モハンラジ
(72)【発明者】
【氏名】茨木 健一郎
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235AA06
3D235BB06
3D235BB17
3D235CC15
3D235DD37
3D235EE63
3D235FF02
(57)【要約】
【課題】電気自動車に走行駆動用のバッテリを効率よく搭載する。
【解決手段】走行駆動用のバッテリ1U′,1D′が搭載される電気自動車のバッテリ搭載構造は、車両前後方向に沿って延在しているシャシフレーム3′と、バッテリ10′の支持部材4D′と、を備える。シャシフレーム3′の少なくとも一部は、アッパ立面部5U′とアッパシャシフランジ部6′とが一体に設けられている上側部材3U′と、ロア立面部5D′とロアシャシフランジ部7′とが一体に設けられている下側部材3D′とを有し、アッパ立面部5U′とロア立面部5D′とが重ね合わせられた状態で互いに結合されている。支持部材4D′は、車幅方向に沿って延在する基部8D′と取付フランジ部9D′とを有し、内側面41′に対して第一バッテリ1U′が取り付けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行駆動用のバッテリとして第一バッテリが搭載される電気自動車におけるバッテリ搭載構造であって、
車幅方向の一側および他側のそれぞれに設けられ、車両前後方向に沿って延在しているシャシフレームと、
前記バッテリを支持する支持部材と、を備え、
前記シャシフレームの少なくとも一部は、上下方向に沿って延在しているアッパ立面部と前記アッパ立面部の上端縁から車幅方向の内側へ向けて延在しているアッパシャシフランジ部とが一体に設けられているとともに車両前後方向に沿って延在している上側部材と、上下方向に沿って延在しているロア立面部と前記ロア立面部の下端縁から車幅方向の内側へ向けて延在しているロアシャシフランジ部とが一体に設けられているとともに車両前後方向に沿って延在している下側部材とを有し、前記アッパ立面部と前記ロア立面部とが重ね合わせられた状態で前記アッパ立面部と前記ロア立面部とが互いに結合され、
前記支持部材は、車幅方向に沿って延在する基部と、前記基部における車幅方向の両端から上方に向かう方向に沿って延在するとともに前記一側および前記他側に設けられた前記シャシフレームをなす前記下側部材に取り付けられる取付フランジ部とを有し、前記基部において上向きの面および前記取付フランジ部において車幅方向の内側を向く面からなる内側面に対して前記第一バッテリが取り付けられている、
ことを特徴とするバッテリ搭載構造。
【請求項2】
走行駆動用の前記バッテリとして第二バッテリがさらに搭載され、前記基部における下面に対して前記第二バッテリが取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ搭載構造。
【請求項3】
前記支持部材は、前記第一バッテリを支持する第一支持部材と、前記第一支持部材に対して車両前後方向に離間して別設されているとともに前記第二バッテリを支持する第二支持部材と、を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のバッテリ搭載構造。
【請求項4】
前記支持部材と前記バッテリとの間に介設され、電気的な絶縁性および機械的な振動減衰性の少なくとも一つの物性を有するインシュレータを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ搭載構造。
【請求項5】
前記シャシフレームは、車両前後方向における前側部,後側部,前記前側部と前記後側部との間の中間部の三つに分割自在な部位が結合されており、前記上側部材および前記下側部材が設けられた前記一部が前記中間部である
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ搭載構造。
【請求項6】
請求項2または3に記載のバッテリ搭載構造を製造するバッテリ搭載方法であって、
前記内側面に対して前記第一バッテリが取り付けられた前記支持部材における前記取付フランジ部を前記下側部材への第一取付箇所に配置する前配置工程と、
前記前配置工程の後に、前記下側部材における前記ロア立面部を前記上側部材における前記アッパ立面部に重ね合わせて配置する中配置工程と、
前記中配置工程の後に、前記第二バッテリを前記支持部材における前記下面への第二取付箇所に配置する後配置工程と、
前記前配置工程で前記第一取付箇所に配置された前記取付フランジ部を前記下側部材へ取り付け、前記中配置工程で重ね合わせられた前記アッパ立面部と前記ロア立面部とを互いに結合して取り付け、前記後配置工程で配置された第二バッテリを前記下面に対して取り付ける取付工程と、を備えた
ことを特徴とするバッテリ搭載方法。
【請求項7】
請求項3に記載のバッテリ搭載構造を製造する請求項6に記載のバッテリ搭載方法であって、
前記前配置工程は、前記内側面に対して前記第一バッテリが取り付けられた前記第一支持部材における前記取付フランジ部を前記下側部材への前記第一取付箇所に配置する第一前工程と、前記第二支持部材における前記取付フランジ部を前記下側部材への前記第一取付箇所に配置する第二前工程とを有し、
前記後配置工程は、前記第二バッテリを前記第二支持部材における前記下面への第二取付箇所に配置し、
前記取付工程は、前記後配置工程で配置された前記第二バッテリを前記第二支持部材における前記下面に対して取り付ける
ことを特徴とするバッテリ搭載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、走行駆動用のバッテリが搭載される電気自動車におけるバッテリ搭載構造およびバッテリ搭載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
走行駆動用のバッテリが搭載される電気自動車の一つとして、フレーム構造の車台(「シャシフレーム」とも称される)が設けられた車両が知られている。このような車両において、走行駆動用のバッテリを搭載する技術が提案されている。
たとえば、車両前後方向に沿って延びる左右一対のシャシフレームをもつトラックにおいて、シャシフレームの上面よりも上方に張り出した部品収容部に走行駆動用のバッテリが収容された構造が検討されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のように一対のシャシフレームよりも上方の部品収容部にバッテリが収容された際には、一対のシャシフレームで挟まれた空間がデッドスペースとなることでバッテリの搭載効率が不十分になりうる。このように、電気自動車において走行駆動用のバッテリを効率よく搭載するのが困難という課題が存在する。
よって、電気自動車に走行駆動用のバッテリを効率よく搭載するうえで、改善の余地がある。
本件は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、電気自動車における走行駆動用のバッテリの搭載性を向上することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本件は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現できる。
(1)適用例に係るバッテリ搭載構造は、走行駆動用のバッテリとして第一バッテリが搭載される電気自動車におけるバッテリ搭載構造であって、車幅方向の一側および他側のそれぞれに設けられ、車両前後方向に沿って延在しているシャシフレームと、前記バッテリを支持する支持部材と、を備え、前記シャシフレームの少なくとも一部は、上下方向に沿って延在しているアッパ立面部と前記アッパ立面部の上端縁から車幅方向の内側へ向けて延在しているアッパシャシフランジ部とが一体に設けられているとともに車両前後方向に沿って延在している上側部材と、上下方向に沿って延在しているロア立面部と前記ロア立面部の下端縁から車幅方向の内側へ向けて延在しているロアシャシフランジ部とが一体に設けられているとともに車両前後方向に沿って延在している下側部材とを有し、前記アッパ立面部と前記ロア立面部とが重ね合わせられた状態で前記アッパ立面部と前記ロア立面部とが互いに結合され、前記支持部材は、車幅方向に沿って延在する基部と、前記基部における車幅方向の両端から上方に向かう方向に沿って延在するとともに前記一側および前記他側に設けられた前記シャシフレームをなす前記下側部材に取り付けられる取付フランジ部とを有し、前記基部において上向きの面および前記取付フランジ部において車幅方向の内側を向く面からなる内側面に対して前記第一バッテリが取り付けられている。
本適用例に係るバッテリ搭載構造によれば、バッテリの搭載性が向上する。
【0006】
(2)本適用例に係るバッテリ搭載構造において、走行駆動用の前記バッテリとして第二バッテリがさらに搭載され、前記基部における下面に対して前記第二バッテリが取り付けられている。
本適用例に係るバッテリ搭載構造によれば、バッテリの搭載性が向上する。
【0007】
(3)本適用例に係るバッテリ搭載構造において、前記支持部材は、前記第一バッテリを支持する第一支持部材と、前記第一支持部材に対して車両前後方向に離間して別設されているとともに前記第二バッテリを支持する第二支持部材と、を有してもよい。
本適用例に係るバッテリ搭載構造によれば、バッテリの搭載性がさらに向上する。
【0008】
(4)本適用例に係るバッテリ搭載構造において、前記支持部材と前記バッテリとの間に介設され、電気的な絶縁性および機械的な振動減衰性の少なくとも一つの物性を有するインシュレータを備えてもよい。
本適用例に係るバッテリ搭載構造によれば、バッテリの絶縁性が向上したり、振動減衰性が向上したりする。
【0009】
(5)本適用例に係るバッテリ搭載構造において、前記シャシフレームは、車両前後方向における前側部,後側部,前記前側部と前記後側部との間の中間部の三つに分割自在な部位が結合されており、前記上側部材および前記下側部材が設けられた前記一部が前記中間部であってもよい。
本適用例に係るバッテリ搭載構造によれば、車長の異なる車両に対してもバッテリの搭載性が向上する。
【0010】
(6)適用例に係る上記(2)または(3)に記載のバッテリ搭載構造を製造するバッテリ搭載方法は、前記内側面に対して前記第一バッテリが取り付けられた前記支持部材における前記取付フランジ部を前記下側部材への第一取付箇所に配置する前配置工程と、前記前配置工程の後に、前記下側部材における前記ロア立面部を前記上側部材における前記アッパ立面部に重ね合わせて配置する中配置工程と、前記中配置工程の後に、前記第二バッテリを前記支持部材における前記下面への第二取付箇所に配置する後配置工程と、前記前配置工程で前記第一取付箇所に配置された前記取付フランジ部を前記下側部材へ取り付け、前記中配置工程で重ね合わせられた前記アッパ立面部と前記ロア立面部とを互いに結合して取り付け、前記後配置工程で配置された第二バッテリを前記下面に対して取り付ける取付工程と、を備える。
本適用例に係るバッテリ搭載方法によれば、バッテリの搭載性が向上する。
【0011】
(7)適用に係る上記(3)に記載のバッテリ搭載構造を製造する上記(6)に記載のバッテリ搭載方法は、前記前配置工程は、前記内側面に対して前記第一バッテリが取り付けられた前記第一支持部材における前記取付フランジ部を前記下側部材への前記第一取付箇所に配置する第一前工程と、前記第二支持部材における前記取付フランジ部を前記下側部材への前記第一取付箇所に配置する第二前工程とを有し、前記後配置工程は、前記第二バッテリを前記第二支持部材における前記下面への第二取付箇所に配置し、前記取付工程は、前記後配置工程で配置された前記第二バッテリを前記第二支持部材における前記下面に対して取り付けてもよい。
本適用例に係るバッテリ搭載方法によれば、バッテリの搭載性がさらに向上する。
【発明の効果】
【0012】
本件の適用例によれば、電気自動車に走行駆動用のバッテリを効率よく搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第一実施形態に係るバッテリ搭載構造を示す平面図である。
【
図2】第一実施形態に係るバッテリ搭載構造を示す側面図である。
【
図3】第一実施形態に係るバッテリ搭載構造を示す断面図(
図1のIII-III矢視断面図)である。
【
図4】第一実施形態に係るバッテリ搭載方法の説明図である。
【
図5】第二実施形態に係るバッテリ搭載構造を示す断面図である。
【
図6】第二実施形態に係るバッテリ搭載方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態としてのバッテリ搭載構造およびバッテリ搭載方法を説明する。
本実施形態のバッテリ搭載構造およびバッテリ搭載方法は、走行駆動用のバッテリを電気自動車に搭載する構造および方法である。これらのバッテリ搭載構造およびバッテリ搭載方法によってバッテリが搭載される電気自動車は、バッテリによって走行駆動される電動の車両であり、例えば、トラックやバスなどのフレーム構造の車両である。
【0015】
なお、実施形態の説明で用いる方向について、つぎのように定める。
電気自動車の前進方向を前方(図中には「F」と記す)とし、その反対方向を後方(図中には「B」と記す)とする。これらの前方および後方は、前後方向(車両前後方向)や車長方向と称してもよい。また、前方を基準に左方(図中には「L」と記す)および右方(図中には「R」と記す)を定める。これらの左方および右方は、車幅方向や左右方向と称してもよい。さらに、重力の作用する方向を下方(図中には「D」と記す)とし、その反対方向を上方(図中には「U」と記す)とする。これらの上方および下方は、上下方向と称してもよい。前後方向,車幅方向および上下方向は互いに直交する。前後方向および車幅方向は水平方向に沿う方向であるのに対し、上下方向は鉛直方向に沿う方向である。
【0016】
本実施形態では、項目[I]で説明する第一実施形態と、項目[II]で説明する第二実施形態との二形態を主に例説する。
第一実施形態および第二実施形態は、二つのバッテリを搭載する構造および方法である点で共通するものの、二つのバッテリを支持する形態が相違する。具体的には、二つのバッテリのうち上側に配置されたバッテリの支持形態が異なる。
【0017】
[I.第一実施形態]
下記の実施形態では、バッテリ搭載構造およびバッテリ搭載方法に関する構成を項目[1]で述べ、項目[1]の構成による作用および効果を項目[2]で述べる。
[1.構成]
下記の実施形態では、バッテリ搭載構造およびバッテリ搭載方法が適用される電気自動車として、ラダーフレーム(フレーム構造)をもつトラック(以下、「車両」という)を例示する。
本項目[1]では、バッテリ搭載構造に関して小項目[1-1]で説明し、バッテリ搭載方法に関して小項目[1-2]で説明する。
【0018】
[1-1.バッテリ搭載構造]
==フレーム構造の概要==
まず、一実施形態のバッテリ搭載構造が適用される車両のフレーム構造について説明する。
図1,
図2に示すように、車両1には、車体の骨格をなすフレーム構造としてラダーフレーム2が設けられている。
【0019】
図1に示すように、ラダーフレーム2には、前後方向に沿って延在する左右一対のシャシフレーム3,3と、車幅方向に沿って延在する複数のクロスメンバ4とが設けられている。左右一対のシャシフレーム3,3どうしは、前後に並ぶ複数のクロスメンバ4によって接続されている。このようにして、梯子状のラダーフレーム2が形成されている。
シャシフレーム3は、左右(車幅方向の一側および他側)のそれぞれに設けられ、前後方向に沿って延在している。すなわち、左右一対のシャシフレーム3,3が車幅方向に間隔をあけて配置されている。左右一対のシャシフレーム3,3は、左右対称に設けられている。下記の説明では、左方のシャシフレーム3と右方のシャシフレーム3とを区別しないときには単に「シャシフレーム3」と記す。
【0020】
シャシフレーム3には、
図3に示すように、上下方向および前後方向に沿う板状の立面部5と、立面部5の上下端縁から車幅方向の内側に向けて延在している上下一対のシャシフランジ部6,7とが設けられている。これらのシャシフランジ部6,7は、立面部5の上端縁から延在しているアッパシャシフランジ部6と、立面部5の下端縁から延在している他方はロアシャシフランジ部7とで上下の一対をなす。すなわち、シャシフレーム3は、車幅方向および上下方向に沿う断面の形状がコ字状あるいは略コ字状をなすチャンネル形状の部材である。
【0021】
このシャシフレーム3は、
図2に示すように、前後方向における前側部3F,中間部3M(一部),後側部3Bの三つに分割自在な部位が結合されている。これら前側部3F,中間部3M,後側部3Bは、前側部3Fの後端部と中間部3Mの前端部とが互いに結合され、中間部3Mの後端部と後側部3Bの前端部とが互いに結合されている。
前側部3Fには車両1の前輪やその懸架装置などが取り付けられ、後側部3Bには車両1の後輪やその懸架装置などが取り付けられる。中間部3Mは、前側部3Fと後側部3Bとの間の部位であり、ホイールベース間に位置する部位とも換言できる。ここで例示するシャシフレーム3には、前側部3F,中間部3M,後側部3Bの何れの部位にもクロスメンバ4が接続されている。
【0022】
前側部3Fおよび後側部3Bでは、立面部ならびにアッパシャシフランジ部およびロアシャシフランジ部が一体に設けられたコ字状あるいは略コ字状の一つの部材からシャシフレーム3が形成される。
これに対して中間部3Mでは、
図3に示すように、詳細を後述する二つの部材3U,3Dからシャシフレーム3が形成される。
【0023】
ここで例示する中間部3Mは、前側部3Fおよび後側部3Bよりも立面部5の上下方向寸法が大きい。換言すれば、上下一対のシャシフランジ部6,7どうしが離間する寸法は、前側部3Fおよび後側部3Bよりも中間部3Mのほうが大きく設定されている。
上記のような寸法設定のシャシフレーム3を前後に結合する方法の一例としては、前側部3Fの後端部や後側部3Bの前端部に対して車幅方向外側から中間部3Mの前後端部を重ね合わせ、重ね合わせられた部位をボルトや溶接などの公知手法で結合する方法が挙げられる。
【0024】
上述のように設けられたシャシフレーム3には、
図1,
図2に示すように、前側部3Fや後側部3Bには搭載対象のバッテリ10が取り付けられておらず、中間部3Mに対してバッテリ10が取り付けられている。
バッテリ10は、車両1を走行駆動させるために搭載される電池である。このバッテリ10は、車両1の動力源として設けられた電動発電機(図示省略)に給電したり、電動発電機によって回生充電されたりする高電圧の二次電池である。
【0025】
ここでは、
図2,
図3に示すように、上下に並ぶ二つのバッテリ10が車両1に搭載された形態を例示する。以下、二つのバッテリ10のうち、上側に配置された一方を上バッテリ1U(第一バッテリ)と称し、下側に配置された他方を下バッテリ1D(第二バッテリ)と称する。
以下、シャシフレーム3においてバッテリ1U,1Dが取り付けられる中間部3Mについて詳述する。
【0026】
==中間部のフレーム構造==
シャシフレーム3の中間部3Mでは、上側部材3Uおよび下側部材3Dの二部材が結合されている。
上側部材3Uには、
図3に示すように、立面部5の一部をなすアッパ立面部5Uと、アッパ立面部5Uの上端縁(立面部5の上端縁)から車幅方向の内側へ向けて延在するアッパシャシフランジ部6とが一体に設けられている。
【0027】
下側部材3Dには、立面部5からアッパ立面部5U(立面部5の一部)を除いた他部をなすロア立面部5Dと、ロア立面部5Dの下端縁(立面部5の下端縁)から車幅方向の内側へ向けて延在するロアシャシフランジ部7とが一体に設けられている。
上側部材3Uおよび下側部材3Dのそれぞれは、車幅方向および上下方向に沿う断面の形状がL字状あるいは略L字状をなすアングル形状の部材である。
【0028】
上側部材3Uのアッパ立面部5Uと下側部材3Dのロア立面部5Dとは、車幅方向に重ね合わせられた状態で互いに結合されている。
図3に示す例では、アッパ立面部5Uに対して車幅方向の外側にロア立面部5Dが重ね合わせられた例を示す。ただし、アッパ立面部5Uに対して車幅方向の内側にロア立面部5Dが重ね合わせられてもよい。このようにして重ね合わせられた立面部5U,5Dどうしが結合されることにより、それぞれがアングル形状をなす上側部材3Uおよび下側部材3Dの二部材から、チャンネル形状をなす中間部3Mが形成される。逆に言えば、中間部3Mは、上側部材3Uおよび下側部材3Dの二部材に分割(すなわち上下に二分割)することができるように設けられている。
【0029】
上記のように上側部材3Uおよび下側部材3Dの二部材からなる中間部3Mには、以下に示す二種のクロスメンバ4が接続されている。
・トップクロスメンバ4U:上側部材3Uに取り付けられるクロスメンバ4
・ボトムクロスメンバ4D:下側部材3Dに取り付けられるクロスメンバ4
クロスメンバ4U,4Dは、ラダーフレーム2をなす骨格部材としてだけでなく、バッテリ1U,1Dの支持部材として兼用される。具体的に言えば、トップクロスメンバ4Uは、上バッテリ1Uを支持するブラケット(アッパ支持部材)としての機能も担う。また、ボトムクロスメンバ4Dは、下バッテリ1Dを支持するブラケット(ロア支持部材)としての機能も担う。これらのクロスメンバ4U,4Dは、車幅方向および上下方向に沿う断面の概形がコ字状あるいは略コ字状をなす。
【0030】
ここでは、
図1に示すように、クロスメンバ4U,4Dのそれぞれが前後に離間する二箇所に配置された例を述べる。二箇所のトップクロスメンバ4Uのうち、前側の一箇所では上バッテリ1Uにおける前側が支持され、後側のもう一箇所では上バッテリ1Uにおける後側が支持される。同様に、二箇所のボトムクロスメンバ4Dのうち、前側の一箇所では下バッテリ1Dにおける前側が支持され、後側のもう一箇所では下バッテリ1Dにおける後側が支持される。
ただし、クロスメンバ4U,4Dのそれぞれは、一箇所のみに配置されていてもよいし、三箇所以上に配置されていてもよい。
【0031】
図3に示すように、トップクロスメンバ4Uには、車幅方向に沿って延在するアッパ基部8U(基部)と、アッパ基部8Uにおける車幅方向の両端から下方に向かう方向に沿って延在する左右一対のアッパ取付フランジ部9U,9U(取付フランジ部)とが設けられている。
また、ボトムクロスメンバ4Dには、車幅方向に沿って延在するロア基部8Dと、ロア基部8Dにおける車幅方向の両端から上方に向かう方向に沿って延在する左右一対のロア取付フランジ部9D,9Dとが設けられている。
【0032】
左右一対のアッパ取付フランジ部9U,9Uは左右対称に設けられ、左右一対のロア取付フランジ部9D,9Dも左右対称に設けられている。そこで、下記の説明では、左方のアッパ取付フランジ部9Uと右方のアッパ取付フランジ部9Uとを区別しないときには単に「アッパ取付フランジ部9U」と記し、ロア取付フランジ部9D,9Dについても同様に左右を区別しないときには単に「ロア取付フランジ部9D」と記す。
【0033】
アッパ基部8Uは、中間部3M(シャシフレーム3)に対して上方に突出することなく設けられている。このアッパ基部8Uにおける車幅方向外側の一部は、中間部3Mのアッパシャシフランジ部6に対して下方に重ね合わせられている。
アッパ取付フランジ部9Uは、中間部3Mの立面部5に対して車幅方向の内側に重ね合わせられている。このように重ね合わせられたアッパ取付フランジ部9Uと立面部5とが結合されることで、アッパ取付フランジ部9U(トップクロスメンバ4U)が立面部5(上側部材3U)に取り付けられている。
ただし、アッパシャシフランジ部6に対して、アッパ基部8Uにおける車幅方向外側の一部が結合されていてもよい。
【0034】
ロア基部8Dにおける車幅方向外側の一部は、中間部3Mのロアシャシフランジ部7に対して上方に重ね合わせられている。
ロア取付フランジ部9Dは、中間部3Mの立面部5に対して車幅方向の内側に重ね合わせられている。このように重ね合わせられたロア取付フランジ部9Dと立面部5とが結合されることで、ロア取付フランジ部9D(ボトムクロスメンバ4D)が立面部5(下側部材3D)に取り付けられている。
ただし、ロアシャシフランジ部7に対して、ロア基部8Dにおける車幅方向外側の一部が結合されていてもよい。
【0035】
上述のクロスメンバ4U,4Dには、骨格部材に要求される強度や剛性といった機械特性を確保可能であって、バッテリ1U,1Dを支持するのに必要な強度や剛性といった機械特性をも満たす形状や材質が設定される。機械特性を確保する観点から設定される形状としては、基部8U,8Dの前後方向かつ上下方向に沿う断面がハット形状に設定された例や、取付フランジ部9U,9Dの前後方向かつ車幅方向に沿う断面がハット形状に設定された例などが挙げられる。
【0036】
また、クロスメンバ4U,4Dには、支持対象のバッテリ1U,1Dや取付先のシャシフレーム3に対して干渉しない形状が採用される。
ここで例示するクロスメンバ4U,4Dは、前後方向の位置が互いに相違して配置されている。換言すれば、クロスメンバ4U,4Dのそれぞれは、平面視で重複しない領域に設けられている。
【0037】
なお、トップクロスメンバ4Uとボトムクロスメンバ4Dとは、前後方向の位置が重複して配置されていてもよい。このように平面視で重複する領域に設けられたクロスメンバ4U,4Dは、シャシフレーム3とともに閉断面をなす。詳細に言えば、左右一対の中間部3Mならびにトップクロスメンバ4Uおよびボトムクロスメンバ4Dは、車幅方向かつ上下方向に沿う方向の断面が閉断面を形成する。このような閉断面が形成される形態では、アッパ取付フランジ部9Uの上下寸法とロア取付フランジ部9Dの上下寸法とを加算した寸法が中間部3Mにおける立面部5の上下寸法(アッパシャシフランジ部6とロアシャシフランジ部7とが上下に離間する寸法)未満に設定され、取付フランジ部9U,9Dどうしの干渉が回避される。
【0038】
==バッテリの支持構造==
つぎに、クロスメンバ4U,4Dに対するバッテリ1U,1Dの支持構造について説明する。
上バッテリ1Uは、トップクロスメンバ4Uの内側面41に対して取り付けられている。ここでいう「内側面41」には、アッパ基部8Uにおいて下向きの面(以下「アッパ下面」という)81と、アッパ取付フランジ部9Uにおいて車幅方向の内側を向く面(以下「アッパ内面」という)91とが含まれる。
【0039】
図3には、アッパ下面81に対して上バッテリ1Uが取り付けられた支持形態を例示する。このようにトップクロスメンバ4Uから上バッテリ1Uが吊り下げられた支持形態に限らず、左右のアッパ内面91の間に上バッテリ1Uが挟装された支持形態を採用してもよく、これらの支持形態を併用してもよい。
【0040】
トップクロスメンバ4Uによって支持される上バッテリ1Uは、平面視でシャシフランジ部6,7と一部が重複するサイズや形状に設定されている。詳細に言えば、上バッテリ1Uにおける車幅方向の寸法は、左右のシャシフランジ部6,7における車幅方向内側の端縁どうしが車幅方向に離間する寸法よりも大きい寸法であって、左右の立面部5,5どうしが車幅方向に離間する寸法よりも小さい寸法に設定されている。すなわち、上バッテリ1Uは、一対の中間部3Mどうしの間に上方または下方から挿入すると、シャシフランジ部6,7に対して干渉するサイズや形状である。
この上バッテリ1Uは、前後方向視において中間部3Mおよびクロスメンバ4U,4Dで囲まれる領域に収まるサイズや形状に設定されている。すなわち、シャシフレーム3の中間部3Mから上下左右にはみだすことなく収まるサイズや形状の上バッテリ1Uが用いられている。
【0041】
下バッテリ1Dは、ボトムクロスメンバ4Dの下面42に対して取り付けられている。ここでいう「下面42」は、ロア基部8Dにおいて下向きをなす面である。このように下バッテリ1Dを吊り下げられた形態で支持するボトムクロスメンバ4Dは、上バッテリ1Uに対して下方に配置されるものの、上バッテリ1Uを支持する構造ではない。
ボトムクロスメンバ4Dによって支持される下バッテリ1Dには上バッテリ1Uと同様のサイズや形状のものが用いられ、バッテリ1U,1Dが上下に二段重ねされた態様(いわばバッテリのダブルデッカー)で車両1に搭載されている。
この下バッテリ1Dは、中間部3Mに対して車幅方向の外側へはみ出すことなく、中間部3Mの立面部5に対して車幅方向の内側に収まる領域に配置されている。
【0042】
ここで例示するバッテリ1U,1Dの支持構造には、クロスメンバ4U,4Dとバッテリ1U,1Dとの間にインシュレータ20が介設されている。
インシュレータ20は、さまざまな作用の遮断を図る部材である。このインシュレータ20は、電気的な絶縁性および機械的な振動減衰性の少なくとも一つの物性をもつ。たとえば、機械的な振動減衰性および電気的な絶縁性を併せ持つゴム製のインシュレータ20が用いられる。このようなインシュレータ20は、バッテリ1U,1Dを車両1に搭載するためのゴム部材であることから、「マウントラバー」とも言える。
上記のインシュレータ20は、トップクロスメンバ4Uの内側面41と上バッテリ1Uとの間に介設されており、ボトムクロスメンバ4Dと下バッテリ1Dとの間にも介設されている。
【0043】
[1-2.バッテリ搭載方法]
一実施形態のバッテリ搭載方法は、上述のバッテリ搭載構造を組み立てて製造する方法である。このバッテリ搭載方法は、各種の部材を所定箇所に配置する配置工程と、各種の部材を取り付ける取付工程と、を備えている。
以下、
図4を参照して、バッテリ搭載方法を説明する。
【0044】
一実施形態で例示するバッテリ搭載方法では、以下に列挙する三つの配置工程が実施される。
・前配置工程:トップクロスメンバ4Uを配置する配置工程
・中配置工程:ボトムクロスメンバ4Dを配置する配置工程
・後配置工程:上側部材3Uおよび下側部材3Dを配置する配置工程
図4に白抜きの矢印で示すように、前配置工程の後に中配置工程が実施され、中配置工程の後配置工程が実施される。
【0045】
前配置工程では、アッパ下面81(内側面41)に上バッテリ1Uが取り付けられたトップクロスメンバ4Uを所定箇所に配置する。ここでいう「所定箇所」は、トップクロスメンバ4Uにおけるアッパ取付フランジ部9Uを上側部材3Uに対して取り付ける箇所(取付箇所,第一取付箇所)である。
この前配置工程では、
図4に黒塗りの矢印で示すように、固定された上側部材3Uに対して下方からトップクロスメンバ4Uを近接させ、上側部材3Uのアッパシャシフランジ部6に対してトップクロスメンバ4Uのアッパ基部8Uを下方から重ね合わせる。このようにして、トップクロスメンバ4Uが所定箇所に配置される。
【0046】
中配置工程では、下バッテリ1Dが取り付けられたボトムクロスメンバ4Dを所定箇所に配置する。ここでいう「所定箇所」は、ボトムクロスメンバ4Dにおけるロア取付フランジ部9Dを下側部材3Dに対して取り付ける箇所(第二取付箇所)である。
この中配置工程では、
図4に黒塗りの矢印で示すように、上バッテリ1Uが取り付けられたトップクロスメンバ4Uや上側部材3Uに対して下方からボトムクロスメンバ4Dを近接させ、これから配置される下側部材3Dに対して取り付ける所定箇所にボトムクロスメンバ4Dを配置する。中配置工程の実施後であって後配置工程の実施前には、未だ下側部材3Dが配置されておらず、いわば上述のバッテリ搭載構造から下側部材3Dが取り除かれた状態に各種の部材が配置される。
【0047】
後配置工程では、下側部材3Dにおけるロア立面部5Dを上側部材3Uにおけるアッパ立面部5Uに重ね合わせて配置する。この後配置工程では、
図4に黒塗りの矢印で示すように、車幅方向の外側から内側へ向けて下側部材3Dを上側部材3Uに近接させ、アッパ立面部5Uに対して車幅方向の外側からロア立面部5Dを重ね合わせる。
このようにして、バッテリ搭載構造をなす各種部材の配置が完了する。
【0048】
取付工程は、上述した三つの配置工程のそれぞれで配置された部材を取り付ける工程である。具体的には、以下に列挙する三種の取付工程が実施される。
・第一取付工程:トップクロスメンバ4Uを取り付ける取付工程
・第二取付工程:ボトムクロスメンバ4Dを取り付ける取付工程
・第三取付工程:上側部材3Uおよび下側部材3Dを取り付ける取付工程
【0049】
第一取付工程,第二取付工程,第三取付工程は、取付対象の部材が取り付け可能であれば任意の順序で実施することができ、二つまたは三つの取付工程を並行して実施してもよい。
各取付工程を実施するタイミングとしては、前配置工程の後に第一取付工程を実施し、後配置工程の後に第二取付工程および第三取付工程が並行して実施する例が挙げられる。
【0050】
第一取付工程では、前配置工程で所定箇所に配置されたトップクロスメンバ4Uにおけるアッパ取付フランジ部9Uを上側部材3Uへ取り付ける。この第一取付工程において、トップクロスメンバ4Uのアッパ基部8Uも上側部材3Uへ取り付けてもよい。
第二取付工程では、中配置工程で所定箇所に配置されたボトムクロスメンバ4Dのロア取付フランジ部9Dを下側部材3Dに取り付ける。この第二取付工程において、ボトムクロスメンバ4Dのロア基部8Dも下側部材3Dへ取り付けてもよい。
【0051】
第三取付工程では、後配置工程で重ね合わせられたアッパ立面部5Uとロア立面部5Dとを互いに結合して取り付ける。この第三取付工程では、立面部5U,5Dとともにロア取付フランジ部9Dも結合して取り付ける。なお、第三取付工程において、立面部5U,5Dとともにアッパ取付フランジ部9Uも結合して取り付けてもよい。
このようにして、バッテリ搭載構造をなす各種部材どうしの取り付けが完了する。
【0052】
[2.作用および効果]
第一実施形態のバッテリ搭載構造およびバッテリ搭載方法は、上述の構成を備えるため、下記のような作用および効果を得ることができる。
(1)本実施形態のバッテリ搭載構造によれば、中間部3Mに対して上方に突出することなく設けられたアッパ基部8Uを有するトップクロスメンバ4Uの内側面41に上バッテリ1Uが取り付けられることから、左右の中間部3Mで挟まれたデッドスペースに上バッテリ1Uを搭載できる。
よって、車両1の走行駆動用に設けられた上バッテリ1Uの搭載効率を向上させることができる。
【0053】
中間部3Mをはじめ後側部3Bなどのシャシフレーム3に対して上方には、荷台や荷箱といった架装品が取り付けられうる。これに対して、中間部3Mに対して上方の空間に対する上バッテリ1Uの干渉を回避できるため、架装品の取付自由度を確保することができる。
平面視でシャシフランジ部6,7と一部が重複するサイズや形状に設定された上バッテリ1Uによれば、シャシフランジ部6,7どうしの間の空間にも上バッテリ1Uが搭載される。このような幅広のサイズが設定された上バッテリ1Uによれば、シャシフランジ部6,7どうしの間のデッドスペースを一層抑えつつ上バッテリ1Uを搭載することができ、充電容量の向上に資するほか、搭載効率を更なる向上に資する。
【0054】
(2)一実施形態のバッテリ搭載構造によれば、トップクロスメンバ4Uによって上バッテリ1Uが支持されるだけでなく、ボトムクロスメンバ4Dによって下バッテリ1Dが支持される。このようにして二つのバッテリ1U,1Dを車両1に搭載することにより、充電容量や航続距離を確保することができる。
ボトムクロスメンバ4Dによって支持される下バッテリ1Dは、上バッテリ1Uと同様のサイズや形状のものが用いられ、中間部3Mに対して車幅方向の外側へはみ出すことなく、中間部3Mの立面部5に対して車幅方向の内側に収まる領域に配置される。そのため、シャシフレーム3の中間部3Mに対して車幅方向の外側に、ツールボックスやコンプレッサーといった種々の機器を配置するスペースを確保することができ、種々の機器のレイアウト自由度を確保することができる。
【0055】
(3)前後方向の位置が互いに相違するクロスメンバ4U,4Dの配置によれば、クロスメンバ4U,4Dのそれぞれについて取付位置の設定自由度を確保することができ、バッテリ1U,1Dの取付性向上にも資する。
一方、前後方向の位置が重複するクロスメンバ4U,4Dの配置によれば、クロスメンバ4U,4Dおよび中間部3Mによって閉断面をなすことから、ラダーフレーム2のねじれ剛性を高めたり強度を向上させたりすることができる。
【0056】
(4)クロスメンバ4U,4Dとバッテリ1U,1Dとの間に介設されたインシュレータ20によれば、バッテリ1U,1Dからクロスメンバ4U,4Dなどの部材への漏電を遮断したり、振動(いわゆる車体振動)がクロスメンバ4U,4Dからバッテリ1U,1Dへ伝達されるのを抑制したりすることができる。このようにして、バッテリ1U,1Dの保護性を高められる。
【0057】
(5)前側部3F,中間部3M,後側部3Bの三つに分割自在な部位が結合されたシャシフレーム3の中間部3Mは、上側部材3Uおよび下側部材3Dの二部材に分割自在に設けられる。そのため、上側部材3Uおよび下側部材3Dのなす前後方向寸法の長短を設定することにより、ストレッチリムジンのように車両1の全長を自在に設定することができる。これにより、共通の前側部3Fおよび後側部3Bを用いつつ中間部3Mのみ長短のバリエーションを持つだけで、全長の異なる車両1のシャシフレーム3を製造することができる。
たとえば、中間部3Mの前後方向寸法がバッテリ1U,1Dの前後方向寸法を二倍した寸法以上に設定された場合には、バッテリ1U,1Dを上下に二段重ねするだけでなく、バッテリ1U,1Dのそれぞれを前後に二つ並べて搭載することもできる。このようにして多数のバッテリ1U,1Dを搭載することにより、充電容量の大容量化や後続距離の更なる向上が可能となる。
【0058】
(6)本実施形態のバッテリ搭載方法によれば、少なくとも前配置工程および後配置工程によって上バッテリ1Uを配置することができる。
具体的には、前配置工程によって上バッテリ1Uが取り付けられたトップクロスメンバ4Uにおけるアッパ取付フランジ部9Uが上側部材3Uへの取付箇所に配置される。その後に、後配置工程によって下側部材3Dにおけるロア立面部5Dが上側部材3Uにおけるアッパ立面部5Uに重ね合わせて配置される。このような順序の配置により、シャシフランジ部6,7に対して干渉することなく上バッテリ1Uを一対の中間部3Mどうしの間に配置することができる。
【0059】
(7)さらに、前配置工程の後であって後配置工程の前に実施される中配置工程によって、下バッテリ1Dが取り付けられたボトムクロスメンバ4Dのロア取付フランジ部9Dが下側部材3Dへの取付箇所に配置される。この中配置工程により、ボトムクロスメンバ4Dや下バッテリ1Dを配置することができ、部材どうしの干渉を回避した手順でバッテリ搭載構造を組み立てることができる。
【0060】
(8)そのほか、下バッテリ1Dは、下側部材3Dへ取り付けられるのではなく、下側部材3Dに対して上方から重ね合わせられたボトムクロスメンバ4Dに対して取り付けられている。そのため、下バッテリ1Dが下側部材3Dへ取り付けられる形態よりも上方に下バッテリ1Dが取り付けることが可能であり、車両1の最低地上高を確保するのに資する。
また、二つのバッテリ1U,1Dとも吊り下げられた形態で支持されていれば、支持形態が同種の形態であるため、バッテリ1U,1Dとクロスメンバ4U,4Dとの間に介設されたインシュレータ20の共通化を図ることができ、部材コストの抑制に資する。
【0061】
[II.第二実施形態]
第二実施形態のバッテリ搭載構造およびバッテリ搭載方法は、車両に搭載される二つのバッテリのうち、下側に配置されるバッテリの支持形態は第一実施形態と同様に吊り下げられた形態で支持されるものの、上側に配置されるバッテリの支持形態が第一実施形態と相違する。
【0062】
なお、本項目[II]では、第一実施形態と相違する点を主に説明し、第一実施形態と同様の点についての説明は省略する。本実施形態で説明を省略する構成についても、
図5,
図6では符号の末尾に「′」を添えて図示する。末尾に「′」が添えられた符号が付された構成については、本実施形態で特に説明していなければ、第一実施形態で説明した構成と同様である。
【0063】
[1.構成]
[1-1.バッテリ搭載構造]
第二実施形態のバッテリ搭載構造が適用される車両では、
図5に示すように、上バッテリ1U′および下バッテリ1D′の双方ともボトムクロスメンバ4D′(支持部材)によって支持される。
ここで例示するボトムクロスメンバ4D′には、上バッテリ1U′を支持する第一メンバD1′(第一支持部材)と、下バッテリ1D′を支持する第二メンバD2′(第二支持部材)とが含まれる。
【0064】
第一メンバD1′と第二メンバD2′とは、前後方向の位置が互いに相違して配置されており、互いに別に設けられた部材である。なお、
図5では、第一メンバD1′および第二メンバD2′を一つの部材として便宜上図示しているが、メンバD1′,D2′は互いに異なる部材である。
【0065】
下バッテリ1D′を支持する第二メンバD2′は、第一実施形態で上述のボトムクロスメンバ4Dと同様であり、第一のロアクロスメンバとも言える。
一方、上バッテリ1U′を支持する第一メンバD1′は、第一実施形態で上述のトップクロスメンバ4Uとは異なり、第一メンバD1′とは別設されたボトムクロスメンバである。このように第二のボトムクロスメンバとも言える第二メンバD2′は、車幅方向に沿って延在するロア基部8D′(基部)と、ロア基部8D′における車幅方向の両端から上方に向かう方向に沿って延在する左右一対のロア取付フランジ部9D′(取付フランジ部)とが設けられている。
【0066】
第一メンバD1′の内側面41′に対して、上バッテリ1U′が取り付けられている。ここでいう「内側面41′」には、ロア基部8D′において上向きの面(以下「ロア上面」という)81′と、ロア取付フランジ部9D′において車幅方向の内側を向く面(以下「ロア内面」という)91′とが含まれる。
図5には、ロア上面81′に対して上バッテリ1U′が取り付けられた支持形態を例示する。このようにボトムクロスメンバ4D′に上バッテリ1U′が載置された支持形態に限らず、左右のロア内面91′の間に上バッテリ1U′が挟装された支持形態を採用してもよく、これらの支持形態を併用してもよい。
そのほか、第一メンバD1′とバッテリ1U′との間には、インシュレータ20′が介設されている。
【0067】
第一メンバD1′および第二メンバD2′のそれぞれには、ロア基部8D′,ロア取付フランジ部9D′のように名称の共通する部位が設けられている。そこで、ロア基部8D′,ロア取付フランジ部9D′がメンバD1′,メンバD2′の何れに設けられているかを示すために、第一メンバD1′のロア基部8D′を第一基部8D′や第一ロア基部8D′と称してもよく、第一メンバD1′のロア取付フランジ部9D′を第一取付フランジ部9D′や第一フランジ部9D′と称してもよい。同様に、第二メンバD2′のロア基部8D′を第二基部8D′や第二ロア基部8D′と称してもよく、第二メンバD2′のロア取付フランジ部9D′を第二取付フランジ部9D′や第二フランジ部9D′と称してもよい。
【0068】
第二メンバD2′について、第一実施形態で上述の内容を借用して言えば、第一実施形態において前後方向の位置が互いに相違して配置されたクロスメンバ4U,4Dのうち、トップクロスメンバ4Uを第一メンバD1′と読み替え、ボトムクロスメンバ4Dを第二メンバD2′と読み替えればよい。詳細に言えば、第一実施形態におけるトップクロスメンバ4Uのアッパ基部8Uやアッパ取付フランジ部9Uを、ロア基部8D′やロア取付フランジ部9D′と読み替えればよい。
【0069】
[1-2.バッテリ搭載方法]
第二実施形態のバッテリ搭載方法は、第二実施形態のバッテリ搭載構造を組み立てて製造する方法である。このバッテリ搭載方法は、各種の部材を所定箇所に配置する配置工程と、各種の部材を取り付ける取付工程と、を備えている。
以下、
図6を参照して、バッテリ搭載方法を説明する。
【0070】
第二実施形態で例示するバッテリ搭載方法では、以下に列挙する三つの配置工程が実施される。
・前配置工程:ボトムクロスメンバ4D′を配置する配置工程
・中配置工程:上側部材3U′および下側部材3D′を配置する配置工程
・後配置工程:下バッテリ1D′を配置する配置工程
図6に白抜きの矢印で示すように、前配置工程の後に中配置工程が実施され、中配置工程の後配置工程が実施される。
【0071】
前配置工程では、第一メンバD1′を配置する第一前工程と、第二メンバD2′を配置する第二前工程とが実施される。
第一前工程では、内側面41′に対して上バッテリ1U′が取り付けられた第一メンバD1′を所定箇所に配置する。ここでいう「所定箇所」は、第一メンバD1′におけるロア取付フランジ部9D′を下側部材3D′に対して取り付ける箇所(第一取付箇所)である。
【0072】
この第一前工程では、
図6に黒塗りの矢印で示すように、上バッテリ1U′が取り付けられた第一メンバD1′を固定された下側部材3D′に対して上方から近接させ、下側部材3D′のロアシャシフランジ部6′に対して第一メンバD1′のロア基部8D′を上方から重ね合わせる。このようにして、第一メンバD1′が所定箇所に配置される。
【0073】
第二前工程では、下バッテリ1D′が取り付けられる前の第二メンバD2′を所定箇所に配置する。ここでいう「所定箇所」は、第二メンバD2′におけるロア取付フランジ部9D′を下側部材3D′に対して取り付ける箇所(第一取付箇所)である。
この第二前工程では、固定された下側部材3D′に対して上方から第二メンバD2′のみを近接させ、下側部材3D′のロアシャシフランジ部6′に対して第二メンバD2′のロア基部8D′を上方から重ね合わせる。このようにして、第二メンバD2′が所定箇所に配置される。
【0074】
中配置工程では、下側部材3D′におけるロア立面部5D′を上側部材3U′におけるアッパ立面部5U′に重ね合わせて配置する。
この中配置工程では、
図6に示すように、ロア立面部5D′に対してアッパ立面部5U′を車幅方向の外側に配置する。中配置工程の具体的な一形態としては、下側部材3D′のロア立面部5D′と第一メンバD1′のロア取付フランジ部9D′との間にアッパ立面部5U′を差し込むようにして上側部材3U′を下方へ近接させる例が挙げられる。
【0075】
後配置工程では、下バッテリ1D′を所定箇所に配置する。ここでいう「所定箇所」は、第二メンバD2′における下面42′へ取り付ける箇所(第二取付箇所)である。
この後配置工程では、
図6に黒塗りの矢印で示すように、第二メンバD2′へ向けて下バッテリ1D′を上方へ近接させて、下バッテリ1D′を所定箇所に配置する。
上記の前配置工程,中配置工程,後配置工程によって、バッテリ搭載構造をなす各種部材の配置が完了する。
【0076】
取付工程は、上述した三つの配置工程のそれぞれで配置された部材を取り付ける工程である。具体的には、以下に列挙する三種の取付工程が実施される。
・第一取付工程:第一メンバD1′を取り付ける取付工程
・第二取付工程:上側部材3U′および下側部材3D′を取り付ける取付工程
・第三取付工程:下バッテリ1D′を取り付ける取付工程
【0077】
第一取付工程,第二取付工程,第三取付工程は、取付対象の部材が取り付け可能であれば任意の順序で実施することができ、二つまたは三つの取付工程を並行して実施してもよい。
各取付工程を実施するタイミングとしては、前配置工程および中配置工程の後に第一取付工程および第二取付工程を実施し、後配置工程の後に第三取付工程を実施する例が挙げられる。
【0078】
第一取付工程では、前配置工程で所定箇所に配置されたボトムクロスメンバ4D′の取付フランジ部9D′を下側部材3D′へ取り付ける。具体的に言えば、第一前配置工程で第一取付箇所に配置された第一メンバD1′におけるロア取付フランジ部9D′を下側部材3D′に対して取り付け、第二前配置工程で第一取付箇所に配置された第二メンバD2′におけるロア取付フランジ部9D′を下側部材3D′に対して取り付ける。なお、第一取付工程において、メンバD1′,D2′のロア基部8D′も下側部材3D′へ取り付けてもよい。
【0079】
第二取付工程では、中配置工程で重ね合わせられたアッパ立面部5U′とロア立面部5D′とを互いに結合して取り付ける。この第二取付工程では、立面部5U′,5D′とともにメンバD1′,D2′のロア取付フランジ部9D′も結合して取り付ける。
第三取付工程では、後配置工程で配置された下バッテリ1D′を第二メンバD2′の下面42′に対して取り付ける。
このようにして、バッテリ搭載構造をなす各種部材どうしの取り付けが完了する。
【0080】
[2.作用および効果]
第二実施形態のバッテリ搭載構造およびバッテリ搭載方法は、上述の構成を備えるため、下記のような作用および効果を得ることができる。
(1)本実施形態のバッテリ搭載構造によれば、ボトムクロスメンバ4D′の内側面41′に上バッテリ1U′が取り付けられることから、左右の中間部3M′で挟まれたデッドスペースに上バッテリ1U′を搭載できる。
【0081】
よって、車両の走行駆動用に設けられた上バッテリ1U′の搭載効率を向上させることができる。
(2)上記のように上バッテリ1U′が搭載されるだけでなく、ボトムクロスメンバ4D′の下面42′に下バッテリ1D′が取り付けられることから、二つのバッテリ1U′,1D′を車両に搭載できる。このようにして二つのバッテリ1U,1Dを車両1に搭載することにより、充電容量や航続距離を確保することができる。
【0082】
(3)上バッテリ1U′は第一メンバD1′に取り付けられ、下バッテリ1D′は第二メンバD2′に取り付けられることから、メンバD1′,D2′のそれぞれについて取付位置の設定自由度を確保することができ、バッテリ1U′,1D′の取付性向上にも資する。
(4)そのほか、第二実施形態の構成のうち上述の第一実施形態と同様の構成によれば、第一実施形態で上述の作用および効果と同様の作用および効果が得られる。
【0083】
(5)本実施形態のバッテリ搭載方法によれば、上バッテリ1U′が取り付けられたボトムクロスメンバ4D′が前配置工程によって下側部材3D′への取付箇所に配置された後に、中配置工程によって上側部材3U′が配置され、後配置工程によって下バッテリ1D′が配置される。このような順序の配置により、シャシフランジ部6′,7′に対して干渉することなく上バッテリ1U′を一対の中間部3M′どうしの間に配置することができる。
【0084】
(6)前配置工程では、内側面41′に対して上バッテリ1U′が取り付けられた第一メンバD1′を所定箇所に配置する第一前工程と、下バッテリ1D′が取り付けられる前の第二メンバD2′を所定箇所に配置する第二前工程が実施される。第一前工程および第二前工程により、第一メンバD1′および第二メンバD2′のそれぞれを上側部材3U′や下側部材3D′に対して干渉することなく配置することができ、部材どうしの干渉を回避した手順でバッテリ搭載構造を組み立てることができる。
【0085】
(7)そのほか、二つのバッテリ1U′,1D′ともボトムクロスメンバ4D′で支持されているため、バッテリ1U′,1D′の支持部材が同種の部材である。よって、バッテリ1U′,1D′とクロスメンバ4U′との間に介設されたインシュレータ20′の共通化を図ることができ、部材コストの抑制に資する。
【0086】
[III.変形例]
上述の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
たとえば、シャシフレームは、前側部,中間部,後側部の三つに分割自在な部位が結合された形態に限らず、二つまたは四つ以上に分割自在な部位が結合された形態であってもよい。反対に、前後方向に分割不能な一体の部材がシャシフレームに用いられてもよい。この場合には、シャシフレームの構成を簡素化できる。
【0087】
また、インシュレータの介設は必須ではなく、クロスメンバに対して直接バッテリが取り付けられていてもよい。この場合には、バッテリ搭載構造の簡素化に資する。
さらに、バッテリ搭載構造には、少なくとも上バッテリ(バッテリ)を搭載する構造であればよく、下バッテリの搭載は任意である。上バッテリのみが搭載されたバッテリ搭載構造では、ボトムクロスメンバの配設を省略してもよい。このようなバッテリ搭載構造を製造するバッテリ搭載方法では、中配置工程の実施が省略され、第二取付工程の実施も省略される。
【0088】
そのほか、バッテリが取り付けられる支持部材は、ラダーフレームをなす骨格部材として兼用される形態に限らず、バッテリの支持のみを担う部材であってもよい。第一実施形態についての変形例を具体的に言えば、上バッテリが取り付けられるアッパ支持部材や下バッテリが取り付けられるロア支持部材は、クロスメンバとは別に設けられていてもよい。この場合には、既存のフレーム構造をそのままにしつつアッパ支持部材やロア支持部材を増設するだけで、バッテリ搭載構造を製造することができる。また、第二実施形態についての変形例を具体的に言えば、上バッテリが取り付けられる第一支持部材や下バッテリが取り付けられる第二支持部材は、ボトムクロスメンバとは別に設けられていてもよい。この場合には、既存のフレーム構造をそのままにしつつ第一支持部材や第二支持部材を増設するだけで、バッテリ搭載構造を製造することができる。
【0089】
第二実施形態のバッテリ搭載構造は、第一メンバおよび第二メンバの二部材のそれぞれにバッテリが取り付けられる形態に限らず、一つのボトムクロスメンバに対して上バッテリおよび下バッテリの何れもが取り付けられていてもよい。この場合には、バッテリ搭載構造の構造を簡素化でき、バッテリ搭載方法の工程も簡素化できる。
【0090】
[5.付記]
以上の適用例に関する付記を開示する。
[付記0]
走行駆動用のバッテリが搭載される電気自動車におけるバッテリ搭載構造であって、
車幅方向の一側および他側のそれぞれに設けられ、車両前後方向に沿って延在しているシャシフレームと、
前記バッテリを支持する支持部材と、を備え、
前記シャシフレームの少なくとも一部は、上下方向に沿って延在しているアッパ立面部と前記アッパ立面部の上端縁から車幅方向の内側へ向けて延在しているアッパシャシフランジ部とが一体に設けられているとともに車両前後方向に沿って延在している上側部材と、上下方向に沿って延在しているロア立面部と前記ロア立面部の下端縁から車幅方向の内側へ向けて延在しているロアシャシフランジ部とが一体に設けられているとともに車両前後方向に沿って延在している下側部材とを有し、前記アッパ立面部と前記ロア立面部とが重ね合わせられた状態で前記アッパ立面部と前記ロア立面部とが互いに結合され、
前記支持部材は、車幅方向に沿って延在する基部と、前記基部における車幅方向の両端から延在するとともに前記一側および前記他側に設けられた前記シャシフレームに取り付けられる取付フランジ部とを有し、前記基部に対して前記バッテリが取り付けられている
ことを特徴とするバッテリ搭載構造。
[付記1A]
走行駆動用のバッテリが搭載される電気自動車におけるバッテリ搭載構造であって、
車幅方向の一側および他側のそれぞれに設けられ、車両前後方向に沿って延在しているシャシフレームと、
前記バッテリを支持する支持部材と、を備え、
前記シャシフレームの少なくとも一部は、上下方向に沿って延在しているアッパ立面部と前記アッパ立面部の上端縁から車幅方向の内側へ向けて延在しているアッパシャシフランジ部とが一体に設けられているとともに車両前後方向に沿って延在している上側部材と、上下方向に沿って延在しているロア立面部と前記ロア立面部の下端縁から車幅方向の内側へ向けて延在しているロアシャシフランジ部とが一体に設けられているとともに車両前後方向に沿って延在している下側部材とを有し、前記アッパ立面部と前記ロア立面部とが重ね合わせられた状態で前記アッパ立面部と前記ロア立面部とが互いに結合され、
前記支持部材は、前記シャシフレームに対して上方に突出することなく車幅方向に沿って延在する基部と、前記基部における車幅方向の両端から下方に向かう方向に沿って延在するとともに前記一側および前記他側に設けられた前記シャシフレームをなす前記上側部材に取り付けられる取付フランジ部とを有し、前記基部において下向きの面および前記取付フランジ部において車幅方向の内側を向く面からなる内側面に対して前記バッテリが取り付けられている
ことを特徴とするバッテリ搭載構造。
[付記2A]
走行駆動用のバッテリとして第一バッテリおよび第二バッテリが搭載される電気自動車におけるバッテリ搭載構造であって、
車幅方向の一側および他側のそれぞれに設けられ、車両前後方向に沿って延在しているシャシフレームと、
前記バッテリを支持する支持部材と、を備え、
前記シャシフレームの少なくとも一部は、上下方向に沿って延在しているアッパ立面部と前記アッパ立面部の上端縁から車幅方向の内側へ向けて延在しているアッパシャシフランジ部とが一体に設けられているとともに車両前後方向に沿って延在している上側部材と、上下方向に沿って延在しているロア立面部と前記ロア立面部の下端縁から車幅方向の内側へ向けて延在しているロアシャシフランジ部とが一体に設けられているとともに車両前後方向に沿って延在している下側部材とを有し、前記アッパ立面部と前記ロア立面部とが重ね合わせられた状態で前記アッパ立面部と前記ロア立面部とが互いに結合され、
前記支持部材は、前記上側部材に取り付けられるアッパ支持部材と、前記下側部材に取り付けられるロア支持部材を有し、
前記アッパ支持部材は、前記シャシフレームに対して上方に突出することなく車幅方向に沿って延在するアッパ基部と、前記アッパ基部における車幅方向の両端から下方に向かう方向に沿って延在するとともに前記一側および前記他側に設けられた前記シャシフレームをなす前記上側部材に取り付けられるアッパ取付フランジ部とを有し、前記アッパ基部において下向きの面および前記アッパ取付フランジ部において車幅方向の内側を向く面からなる内側面に対して前記第一バッテリが取り付けられ、
前記ロア支持部材は、車幅方向に沿って延在するロア基部と、前記ロア基部における車幅方向の両端から上方に向かう方向に沿って延在するとともに前記一側および前記他側に設けられた前記シャシフレームをなす前記下側部材に取り付けられるロア取付フランジ部とを有し、前記ロア基部における下面に対して前記第二バッテリが取り付けられている
ことを特徴とするバッテリ搭載構造。
[付記3A]
前記アッパ支持部材および前記ロア支持部材は、車両前後方向の位置が互いに相違して配置されている
ことを特徴とする付記2Aに記載のバッテリ搭載構造。
[付記4A]
前記アッパ支持部材および前記ロア支持部材は、車両前後方向の位置が互いに重複して配置され、
前記シャシフレームならびに前記アッパ支持部材および前記ロア支持部材は、車幅方向かつ上下方向に沿う方向の断面が閉断面をなす
ことを特徴とする付記2Aに記載のバッテリ搭載構造。
[付記5A]
前記支持部材と前記バッテリとの間に介設され、電気的な絶縁性および機械的な振動減衰性の少なくとも一つの物性を有するインシュレータを備えた
ことを特徴とする付記1A~4Aの何れか一つに記載のバッテリ搭載構造。
[付記6A]
前記シャシフレームは、車両前後方向における前側部,後側部,前記前側部と前記後側部との間の中間部の三つに分割自在な部位が結合されており、前記上側部材および前記下側部材が設けられた前記一部が前記中間部である
ことを特徴とする付記1A~5Aの何れか一つに記載のバッテリ搭載構造。
[付記7A]
付記1Aに記載のバッテリ搭載構造を製造するバッテリ搭載方法であって、
前記内側面に対して前記バッテリが取り付けられた前記支持部材における前記取付フランジ部を前記上側部材への取付箇所に配置する前配置工程と、
前記前配置工程の後に、前記下側部材における前記ロア立面部を前記上側部材における前記アッパ立面部に重ね合わせて配置する後配置工程と、
前記前配置工程で前記取付箇所に配置された前記取付フランジ部を前記上側部材へ取り付け、前記後配置工程で重ね合わせられた前記アッパ立面部と前記ロア立面部とを互いに結合して取り付ける取付工程と、を備えた
ことを特徴とするバッテリ搭載方法。
[付記8A]
付記2Aに記載のバッテリ搭載構造を製造するバッテリ搭載方法であって、
前記内側面に対して前記第一バッテリが取り付けられた前記アッパ支持部材における前記アッパ取付フランジ部を前記上側部材への第一取付箇所に配置する前配置工程と、
前記前配置工程の後に、前記第二バッテリが前記下面に取り付けられた前記ロア支持部材における前記ロア取付フランジ部を前記下側部材への第二取付箇所に配置する中配置工程と、
前記中配置工程の後に、前記下側部材における前記ロア立面部を前記上側部材における前記アッパ立面部に重ね合わせて配置する後配置工程と、
前記前配置工程で前記第一取付箇所に配置された前記アッパ取付フランジ部を前記上側部材へ取り付け、前記中配置工程で前記第二取付箇所に配置された前記ロア取付フランジ部を前記下側部材に取り付け、前記後配置工程で重ね合わせられた前記アッパ立面部と前記ロア立面部とを互いに結合して取り付ける取付工程と、を備えた
ことを特徴とするバッテリ搭載方法。
【0091】
[付記1B]
走行駆動用のバッテリとして第一バッテリが搭載される電気自動車におけるバッテリ搭載構造であって、
車幅方向の一側および他側のそれぞれに設けられ、車両前後方向に沿って延在しているシャシフレームと、
前記バッテリを支持する支持部材と、を備え、
前記シャシフレームの少なくとも一部は、上下方向に沿って延在しているアッパ立面部と前記アッパ立面部の上端縁から車幅方向の内側へ向けて延在しているアッパシャシフランジ部とが一体に設けられているとともに車両前後方向に沿って延在している上側部材と、上下方向に沿って延在しているロア立面部と前記ロア立面部の下端縁から車幅方向の内側へ向けて延在しているロアシャシフランジ部とが一体に設けられているとともに車両前後方向に沿って延在している下側部材とを有し、前記アッパ立面部と前記ロア立面部とが重ね合わせられた状態で前記アッパ立面部と前記ロア立面部とが互いに結合され、
前記支持部材は、車幅方向に沿って延在する基部と、前記基部における車幅方向の両端から上方に向かう方向に沿って延在するとともに前記一側および前記他側に設けられた前記シャシフレームをなす前記下側部材に取り付けられる取付フランジ部とを有し、前記基部において上向きの面および前記取付フランジ部において車幅方向の内側を向く面からなる内側面に対して前記第一バッテリが取り付けられている、
ことを特徴とするバッテリ搭載構造。
[付記2B]
走行駆動用の前記バッテリとして第二バッテリがさらに搭載され、前記基部における下面に対して前記第二バッテリが取り付けられている
ことを特徴とする付記1Aに記載のバッテリ搭載構造。
[付記3B]
前記支持部材は、前記第一バッテリを支持する第一支持部材と、前記第一支持部材に対して車両前後方向に離間して別設されているとともに前記第二バッテリを支持する第二支持部材と、を有する
ことを特徴とする付記2Bに記載のバッテリ搭載構造。
[付記4B]
前記支持部材と前記バッテリとの間に介設され、電気的な絶縁性および機械的な振動減衰性の少なくとも一つの物性を有するインシュレータを備えた
ことを特徴とする付記1B~3Bの何れか一つに記載のバッテリ搭載構造。
[付記5B]
前記シャシフレームは、車両前後方向における前側部,後側部,前記前側部と前記後側部との間の中間部の三つに分割自在な部位が結合されており、前記上側部材および前記下側部材が設けられた前記一部が前記中間部である
ことを特徴とする付記1B~4Bの何れか一つに記載のバッテリ搭載構造。
[付記6B]
付記2Bまたは3Bに記載のバッテリ搭載構造を製造するバッテリ搭載方法であって、
前記内側面に対して前記第一バッテリが取り付けられた前記支持部材における前記取付フランジ部を前記下側部材への第一取付箇所に配置する前配置工程と、
前記前配置工程の後に、前記下側部材における前記ロア立面部を前記上側部材における前記アッパ立面部に重ね合わせて配置する中配置工程と、
前記中配置工程の後に、前記第二バッテリを前記支持部材における前記下面への第二取付箇所に配置する後配置工程と、
前記前配置工程で前記第一取付箇所に配置された前記取付フランジ部を前記下側部材へ取り付け、前記中配置工程で重ね合わせられた前記アッパ立面部と前記ロア立面部とを互いに結合して取り付け、前記後配置工程で配置された第二バッテリを前記下面に対して取り付ける取付工程と、を備えた
ことを特徴とするバッテリ搭載方法。
[付記7B]
付記3Bに記載のバッテリ搭載構造を製造する付記6Bに記載のバッテリ搭載方法であって、
前記前配置工程は、前記内側面に対して前記第一バッテリが取り付けられた前記第一支持部材における前記取付フランジ部を前記下側部材への前記第一取付箇所に配置する第一前工程と、前記第二支持部材における前記取付フランジ部を前記下側部材への前記第一取付箇所に配置する第二前工程とを有し、
前記後配置工程は、前記第二バッテリを前記第二支持部材における前記下面への第二取付箇所に配置し、
前記取付工程は、前記後配置工程で配置された前記第二バッテリを前記第二支持部材における前記下面に対して取り付ける
ことを特徴とするバッテリ搭載方法。
【符号の説明】
【0092】
1 電気自動車(車両)
10,10′ バッテリ
1U,1U′ 上バッテリ(第一バッテリ)
1D,1D′ 下バッテリ(第二バッテリ)
2 ラダーフレーム(フレーム構造)
20,20′ インシュレータ
3,3′ シャシフレーム
3B 後側部
3D,3D′ 下側部材
3F 前側部
3M,3M′ 中間部(一部)
3U,3U′ 上側部材
4,4′ クロスメンバ(支持部材)
41,41′ 内側面
42,42′ 下面
4D,4D′ ボトムクロスメンバ(ロア支持部材)
4U,4U′ トップクロスメンバ(アッパ支持部材)
5,5′ 立面部
5U,5U′ アッパ立面部
5D,5D′ ロア立面部
6,6′ アッパシャシフランジ部
7,7′ ロアシャシフランジ部
81 アッパ下面
81′ ロア下面
8D,8D′ ロア基部(基部)
8U アッパ基部(基部)
91 アッパ内面
9U アッパ取付フランジ部(取付フランジ部)
9D,9D′ ロア取付フランジ部(取付フランジ部)
D1′ 第一メンバ(第一支持部材)
D2′ 第二メンバ(第二支持部材)