(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090069
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】光学デバイスおよび光学装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/01 20060101AFI20240627BHJP
G02F 1/31 20060101ALI20240627BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G02F1/01 D
G02F1/31
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205715
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 寛人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 翼
(72)【発明者】
【氏名】田中 博
【テーマコード(参考)】
2H088
2K102
【Fターム(参考)】
2H088EA47
2H088HA17
2H088HA18
2H088HA20
2H088HA22
2H088HA24
2H088HA28
2H088MA20
2K102AA21
2K102BA05
2K102BA08
2K102BB04
2K102BC04
2K102CA18
2K102DA01
2K102DA08
2K102DC08
2K102DD05
2K102EA09
2K102EA12
2K102EA18
2K102EA23
2K102EA25
2K102EB02
2K102EB04
2K102EB06
2K102EB10
2K102EB12
2K102EB20
(57)【要約】
【課題】光軸に垂直な面内における平行光の配置パターンを高速かつ自在に切り替え可能な光学デバイスを提供する。
【解決手段】光学デバイス1Aにおいて、第1レンズアレイ30は、第1平行光L1を複数の第1レンズ31によって集光する。第2レンズアレイは、複数の第1レンズ31から出力された光L2を第2平行光L3に変換する。電気光学結晶体10は、主面11に第2平行光L3を受ける。光反射部13は、電気光学結晶体10の裏面12側に配置される。複数の電界形成部20は、強さが周期的に変化する電界を電気光学結晶体10内に形成する。第2レンズアレイ50は、電気光学結晶体10から出力された第2平行光L3を複数の第2レンズ51によって集光する。光遮蔽部材40は、複数の第2レンズ51それぞれにより集光された光L4を、対応する電界形成部20の電界の状態に応じて、複数の領域41それぞれにおいて通過させ又は遮蔽する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次元状または二次元状に並んで配置された複数の第1レンズを有し、第1平行光を前記複数の第1レンズそれぞれによって集光する第1レンズアレイと、
前記複数の第1レンズとそれぞれ対応する複数の第2レンズを有し、前記複数の第1レンズそれぞれから出力された光を、前記複数の第2レンズそれぞれによって第2平行光に変換する第2レンズアレイと、
主面および裏面を有し、前記主面に前記第2平行光を受ける板状の電気光学結晶体と、
前記電気光学結晶体の前記裏面側に配置され、前記第2平行光を前記主面に向けて反射する光反射部と、
前記複数の第2レンズにそれぞれ対応して配置され、前記主面または前記裏面に沿った方向において強さが周期的に変化する電界を前記電気光学結晶体内に形成し、前記電界の状態を互いに独立して制御可能である複数の電界形成部と、
前記第1レンズアレイと前記第2レンズアレイとの間に配置された光遮蔽部材と、
を備え、
前記第2レンズアレイは、前記光反射部により反射されて前記電気光学結晶体の前記主面から出力された前記第2平行光を前記複数の第2レンズそれぞれによって集光し、
前記光遮蔽部材は、前記複数の電界形成部とそれぞれ対応する複数の領域を有し、前記複数の第1レンズそれぞれにより集光された光を前記複数の領域それぞれにおいて通過させるとともに、前記複数の第2レンズそれぞれにより集光された光を、対応する前記電界形成部の前記電界の状態に応じて、前記複数の領域それぞれにおいて通過させ又は遮蔽するように構成されており、
前記第1レンズアレイは、前記第2レンズによって集光されたのち前記光遮蔽部材を通過した前記光を、前記第1レンズによって平行光である出力光に変換する、光学デバイス。
【請求項2】
前記複数の電界形成部それぞれは、
前記主面に設けられた第1電極と、
前記裏面に設けられた第2電極と、
を有し、
前記第1電極は透明電極であり、
前記第1電極および前記第2電極のうち一方または双方が、前記方向において周期的である構造を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記第1電極および前記第2電極のうち一方または双方は櫛形である、請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記光遮蔽部材の前記複数の領域それぞれは、前記複数の第2レンズそれぞれにより集光された前記光を、対応する前記電界形成部の前記電界がオフ状態であるときに通過させ、対応する前記電界形成部の前記電界がオン状態であるときに遮蔽するように構成されている、請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記複数の第1レンズそれぞれ、および前記複数の第2レンズそれぞれは、主に前記方向において屈折力を有するシリンドリカルレンズであり、
前記複数の領域それぞれは、前記シリンドリカルレンズの延在方向に沿って延在するスリットを含む、請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項6】
主面および裏面を有し、前記主面に第1平行光を受け、前記裏面から前記第1平行光を出力する板状の電気光学結晶体と、
前記電気光学結晶体の前記主面または前記裏面に沿った面内において一次元状または二次元状に並んで配置され、前記主面または前記裏面に沿った方向において強さが周期的に変化する電界を前記電気光学結晶体内に形成し、前記電界の状態を互いに独立して制御可能である複数の電界形成部と、
複数の電界形成部とそれぞれ対応する複数の第1レンズを有し、前記電気光学結晶体の前記裏面から出力された前記第1平行光を前記複数の第1レンズそれぞれによって集光する第1レンズアレイと、
前記複数の電界形成部とそれぞれ対応する複数の領域を有し、前記複数の第1レンズそれぞれにより集光された光を、対応する前記電界形成部の前記電界の状態に応じて、前記複数の領域それぞれにおいて反射し又は通過させるように構成された光反射部と、
前記光反射部を通過した前記光を吸収するように構成された光吸収部と、
を備え、
前記第1レンズアレイは、前記光反射部により反射された前記光を前記第1レンズによって平行光である出力光に変換し、前記電気光学結晶体は前記出力光を透過させる、光学デバイス。
【請求項7】
前記複数の電界形成部それぞれは、
前記主面に設けられた第1電極と、
前記裏面に設けられた第2電極と、
を有し、
前記第1電極および前記第2電極は透明電極であり、
前記第1電極および前記第2電極のうち一方または双方が、前記方向において周期的である構造を含む、請求項6に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記第1電極および前記第2電極のうち一方または双方は櫛形である、請求項7に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記光反射部の前記複数の領域それぞれは、前記複数の第1レンズそれぞれにより集光された光を、対応する前記電界形成部の前記電界がオフ状態であるときに反射し、対応する前記電界形成部の前記電界がオン状態であるときに通過させるように構成されている、請求項6または7に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記複数の第1レンズそれぞれは、主に前記方向において屈折力を有するシリンドリカルレンズであり、
前記複数の領域それぞれは、前記シリンドリカルレンズの延在方向に沿って延在する光反射面を含む、請求項6または7に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記電気光学結晶体を搭載する配線基板を更に備え、
前記配線基板は、前記複数の電界形成部とそれぞれ電気的に接続され、前記複数の電界形成部に駆動電圧をそれぞれ供給する複数の端子を有する、請求項1または6に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記電気光学結晶体はKTN結晶を含む、請求項1または6に記載の光学デバイス。
【請求項13】
請求項1または6に記載の光学デバイスと、
前記光学デバイスから出力された前記出力光を受けて、前記出力光の位相を画素毎に変調する液晶型の空間光変調器と、
を備え、
前記空間光変調器は、前記光学デバイスの前記複数の電界形成部にそれぞれ対応する複数の変調領域を有する、光学装置。
【請求項14】
前記複数の電界形成部の前記電界の状態、および前記空間光変調器の変調パターンを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記複数の変調領域に前記出力光が順次入射するように前記複数の電界形成部を制御するとともに、前記複数の変調領域に前記出力光が入射し終えたのちに前記変調パターンを更新する、請求項13に記載の光学装置。
【請求項15】
請求項1または6に記載の光学デバイスと、
前記第1平行光を出力する光源と、
前記光源から出力された前記第1平行光を直線偏光とする偏光板と、
直線偏光とされた前記第1平行光を透過又は反射することにより該第1平行光を前記光学デバイスへ導く偏光ビームスプリッタと、
前記偏光ビームスプリッタと前記光学デバイスとの間の光路上に配置された1/4波長板と、
を備え、
前記偏光ビームスプリッタは、前記光学デバイスから出力されて前記1/4波長板を通過した前記出力光を反射または透過する、光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学デバイスおよび光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~7は、光変調器を開示する。それらの光変調器は、電気光学結晶と、電気光学結晶内部に個別に電界を形成する複数の電極と、を有する。電気光学結晶は、例えば、比誘電率が1000以上であるペロブスカイト型の電気光学結晶である。電気光学結晶は、例えば、KTN結晶、KLTN結晶、又はPLZT結晶である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/213098号
【特許文献2】国際公開第2017/213099号
【特許文献3】国際公開第2017/213100号
【特許文献4】国際公開第2017/213101号
【特許文献5】国際公開第2019/111332号
【特許文献6】国際公開第2019/111333号
【特許文献7】国際公開第2019/111334号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光軸に垂直な面内における平行光の配置パターンを高速かつ自在に切り替え可能な結晶を用いた光学デバイスは有用である。一例として、そのような光学デバイスと空間光変調器との組み合わせが挙げられる。すなわち、空間的に光の位相を変調する際には、空間光変調器が用いられる。空間光変調器には、特許文献1~7に挙げられたような電気光学結晶を備えるものの他に、液晶層を備えるもの(液晶型空間光変調器)がある。液晶型空間光変調器では、複数の電極のそれぞれによって液晶層内部に個別に電界を形成する。しかし、液晶型空間光変調器では、液晶層内部における電界の時間変化に対して液晶の応答が遅延するので、変調パターンの切り替えの高速性が損なわれるという問題がある。そこで、例えば、液晶型空間光変調器の変調領域を複数の領域に分割し、上述したような光学デバイスを用いて複数の領域それぞれに平行光を順次入力させることにより、解像度を犠牲にしつつ、変調パターンの切り替えを高速化することができる。
【0005】
本開示は、光軸に垂直な面内における平行光の配置パターンを高速かつ自在に切り替え可能な光学デバイス、および、変調パターンの切り替えを高速化することができる光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本開示による光学デバイスは、第1レンズアレイと、第2レンズアレイと、板状の電気光学結晶体と、光反射部と、複数の電界形成部と、光遮蔽部材と、を備える。第1レンズアレイは、一次元状または二次元状に並んで配置された複数の第1レンズを有し、第1平行光を複数の第1レンズそれぞれによって集光する。第2レンズアレイは、複数の第1レンズとそれぞれ対応する複数の第2レンズを有し、複数の第1レンズそれぞれから出力された光を、複数の第2レンズそれぞれによって第2平行光に変換する。電気光学結晶体は、主面および裏面を有し、主面に第2平行光を受ける。光反射部は、電気光学結晶体の裏面側に配置され、第2平行光を主面に向けて反射する。複数の電界形成部は、複数の第2レンズにそれぞれ対応して配置されている。複数の電界形成部は、表面または裏面に沿った方向において強さが周期的に変化する電界を電気光学結晶体内に形成し、その電界の状態を互いに独立して制御可能に構成されている。第2レンズアレイは、光反射部により反射されて電気光学結晶体の主面から出力された第2平行光を複数の第2レンズそれぞれによって集光する。光遮蔽部材は、第1レンズアレイと第2レンズアレイとの間に配置されている。光遮蔽部材は、複数の電界形成部とそれぞれ対応する複数の領域を有し、複数の第1レンズそれぞれにより集光された光を複数の領域それぞれにおいて通過させるとともに、複数の第2レンズそれぞれにより集光された光を、対応する電界形成部の電界の状態に応じて、複数の領域それぞれにおいて通過させ又は遮蔽するように構成されている。第1レンズアレイは、第2レンズによって集光されたのち光遮蔽部材を通過した光を、第1レンズによって平行光である出力光に変換する。
【0007】
上記[1]の光学デバイスでは、或る電界形成部により電気光学結晶体内部に電界が形成されると、その電界形成部に対応する電気光学結晶体内部の領域において、屈折率の周期的な変化が瞬時に生じる。屈折率に周期的な変化が生じている電気光学結晶体を第2平行光が通過すると、第2平行光の位相分布が変化する。よって、第2平行光が第2レンズによって集光されたときには、互いに分離した複数の集光点に光が集光される。これに対し、複数の電界形成部それぞれにより電気光学結晶体内部に電界が形成されないときには、電気光学結晶体内部には屈折率の周期的な変化は生じない。そのような電気光学結晶体を第2平行光が通過しても、第2平行光の位相分布に変化は生じない。よって、第2平行光が第2レンズによって集光されたときには、単一の集光点に光が集光される。
【0008】
光遮蔽部材の各領域は、対応する第2レンズによって集光された光を、対応する電界形成部の電界の状態に応じて、通過させるか又は遮蔽する。一例では、光遮蔽部材の各領域は、互いに分離した複数の集光点に光が集光されるときにその光を遮蔽し、単一の集光点に光が集光されるときにその光を通過させる。別の例では、光遮蔽部材の各領域は、互いに分離した複数の集光点に光が集光されるときにその光を通過させ、単一の集光点に光が集光されるときにその光を遮蔽する。従って、第2平行光において複数の電界形成部にそれぞれ対応する複数の部分が光遮蔽部材を通過するか否かを、部分毎に自在に決定することができる。第2レンズアレイによって集光された光のうち光遮蔽部材を通過した光は、第1レンズによって平行光である出力光に変換され、光学デバイスの外部へ出力される。したがって、電界を形成する電界形成部を切り替えることにより、光軸に垂直な面内における平行光の配置パターンを、高速かつ自在に切り替えることができる。
【0009】
[2]上記[1]の光学デバイスにおいて、複数の電界形成部それぞれは、主面に設けられた第1電極と、裏面に設けられた第2電極と、を有してもよい。第1電極は透明電極であり、第1電極および第2電極のうち一方または双方が、方向において周期的である構造を含んでもよい。その場合、電気光学結晶体内に周期的な電界を形成しつつ、電気光学結晶体の主面に第2平行光を受ける構成を、簡易に実現することができる。
【0010】
[3]上記[2]の光学デバイスにおいて、第1電極および第2電極のうち一方または双方は櫛形であってもよい。その場合、周期的な構造を含む第1電極および/または第2電極と、電極に電圧を印加するための配線との接続点の数が少なくて済むので、電極に電圧を印加するための構造を単純化することができる。
【0011】
[4]上記[1]~[3]のいずれか一つの光学デバイスにおいて、光遮蔽部材の複数の領域それぞれは、複数の第2レンズそれぞれにより集光された光を、対応する電界形成部の電界がオフ状態であるときに通過させ、対応する電界形成部の電界がオン状態であるときに遮蔽するように構成されてもよい。電界形成部の電界がオン状態であるとき、電気光学結晶体内に周期的な屈折率分布が生じ、第2平行光の位相分布が変化する。その第2平行光から出力光が生成される場合、その位相分布が出力光にも残留し、光学デバイスの後段に配置される光学要素がその位相分布の影響を受けてしまう。これに対し、電界形成部の電界がオフ状態であるときには、電気光学結晶体内の屈折率分布は変化せず、第2平行光の位相分布は変化しない。よって、第2レンズによって集光された光を、電界形成部の電界がオフ状態であるときに通過させることにより、光学デバイスの後段に配置される光学要素への影響を低減できる。
【0012】
[5]上記[1]~[4]のいずれか一つの光学デバイスにおいて、複数の第1レンズそれぞれ、および複数の第2レンズそれぞれは、電界の強さが周期的に変化する方向において主に屈折力を有するシリンドリカルレンズであってもよい。そして、複数の領域それぞれは、シリンドリカルレンズの延在方向に沿って延在するスリットを含んでもよい。その場合、シリンドリカルレンズの集光位置とスリットとの位置合わせを、シリンドリカルレンズが主に屈折力を有する方向においてのみ行えば足りる。よって、光学デバイスの製造を簡易化することができる。
【0013】
[6]本開示による別の光学デバイスは、板状の電気光学結晶体と、複数の電界形成部と、第1レンズアレイと、光反射部と、光吸収部と、を備える。電気光学結晶体は、主面および裏面を有し、主面に第1平行光を受け、裏面から第1平行光を出力する。複数の電界形成部は、電気光学結晶体の表面または裏面に沿った面内において一次元状または二次元状に並んで配置されている。複数の電界形成部は、表面または裏面に沿った方向において強さが周期的に変化する電界を電気光学結晶体内に形成し、電界の状態を互いに独立して制御可能に構成されている。第1レンズアレイは、複数の電界形成部とそれぞれ対応する複数の第1レンズを有し、電気光学結晶体の裏面から出力された第1平行光を複数の第1レンズそれぞれによって集光する。光反射部は、複数の電界形成部とそれぞれ対応する複数の領域を有し、複数の第1レンズそれぞれにより集光された光を、対応する電界形成部の電界の状態に応じて、複数の領域それぞれにおいて反射し又は通過させるように構成されている。光吸収部は、光反射部を通過した光を吸収するように構成されている。第1レンズアレイは、光反射部により反射された光を第1レンズによって平行光である出力光に変換する。電気光学結晶体は出力光を透過させる。
【0014】
上記[6]の光学デバイスでは、或る電界形成部により電気光学結晶体内部に電界が形成されると、その電界形成部に対応する電気光学結晶体内部の領域において、屈折率の周期的な変化が瞬時に生じる。屈折率に周期的な変化が生じている電気光学結晶体を第1平行光が通過すると、第1平行光の位相分布が変化する。よって、第1平行光が第1レンズによって集光されたときには、互いに分離した複数の集光点に光が集光される。これに対し、複数の電界形成部それぞれにより電気光学結晶体内部に電界が形成されないときには、電気光学結晶体内部には屈折率の周期的な変化は生じない。そのような電気光学結晶体を第1平行光が通過しても、第1平行光の位相分布に変化は生じない。よって、第1平行光が第1レンズによって集光されたときには、単一の集光点に光が集光される。
【0015】
光反射部の各領域は、対応する第1レンズによって集光された光を、対応する電界形成部の電界の状態に応じて、反射するか又は通過させる。一例では、光反射部の各領域は、互いに分離した複数の集光点に光が集光されるときにその光を通過し、単一の集光点に光が集光されるときにその光を反射する。別の例では、光反射部の各領域は、互いに分離した複数の集光点に光が集光されるときにその光を反射し、単一の集光点に光が集光されるときにその光を通過させる。従って、第1平行光において複数の電界形成部にそれぞれ対応する複数の部分が光反射部において反射するか否かを、部分毎に自在に決定することができる。第1レンズアレイによって集光された光のうち光反射部において反射された光は、第1レンズによって平行光である出力光に変換され、光学デバイスの外部へ出力される。第1レンズアレイによって集光された光のうち光反射部を通過した光は、光吸収部によって吸収されて消滅する。したがって、電界を形成する電界形成部を切り替えることにより、光軸に垂直な面内における平行光の配置パターンを、高速かつ自在に切り替えることができる。
【0016】
[7]上記[6]の光学デバイスにおいて、複数の電界形成部それぞれは、主面に設けられた第1電極と、裏面に設けられた第2電極と、を有し、第1電極および第2電極は透明電極であってもよい。第1電極および第2電極のうち一方または双方は、上記方向において周期的である構造を含んでもよい。その場合、電気光学結晶体内に周期的な電界を形成しつつ、電気光学結晶体を第1平行光および出力光が通過する構成を、簡易に実現することができる。
【0017】
[8]上記[7]の光学デバイスにおいて、第1電極および第2電極のうち一方または双方は櫛形であってもよい。その場合、周期的な構造を含む第1電極および/または第2電極と、これらの電極に電圧を印加するための配線との接続点の数が少なくて済むので、電極に電圧を印加するための構造を単純化することができる。
【0018】
[9]上記[6]~[8]のいずれか一つの光学デバイスにおいて、光反射部の複数の領域それぞれは、複数の第1レンズそれぞれにより集光された光を、対応する電界形成部の電界がオフ状態であるときに反射し、対応する電界形成部の電界がオン状態であるときに通過させるように構成されてもよい。電界形成部の電界がオン状態であるとき、電気光学結晶体内に周期的な屈折率分布が生じ、第1平行光の位相分布が変化する。その第1平行光から出力光が生成される場合、その位相分布が出力光にも残留する。加えて、出力光が電気光学結晶体を通過するときにも出力光の位相分布が変化する。従って、光学デバイスの後段に配置される光学要素がそれらの位相分布の影響を受けてしまう。これに対し、電界形成部の電界がオフ状態であるときには、電気光学結晶体内の屈折率分布は変化せず、第1平行光および出力光の位相分布は変化しない。よって、第1レンズによって集光された光を、電界形成部の電界がオフ状態であるときに反射することにより、光学デバイスの後段に配置される光学要素への影響を低減できる。
【0019】
[10]上記[6]~[9]のいずれか一つの光学デバイスにおいて、複数の第1レンズそれぞれは、電界の強さが周期的に変化する方向において主に屈折力を有するシリンドリカルレンズであり、複数の領域それぞれは、シリンドリカルレンズの延在方向に沿って延在する光反射面を含んでもよい。その場合、シリンドリカルレンズの集光位置と光反射面との位置合わせを、シリンドリカルレンズが主に屈折力を有する方向においてのみ行えば足りる。よって、光学デバイスの製造を簡易化することができる。
【0020】
[11]上記[1]~[10]のいずれか一つの光学デバイスは、電気光学結晶体を搭載する配線基板を更に備えてもよい。配線基板は、複数の電界形成部とそれぞれ電気的に接続され、複数の電界形成部に駆動電圧をそれぞれ供給する複数の端子を有してもよい。その場合、配線基板を通じて、複数の電界形成部に駆動電圧を容易に供給することができる。
【0021】
[12]上記[1]~[11]のいずれか一つの光学デバイスにおいて、電気光学結晶体はKTN結晶を含んでもよい。
【0022】
[13]本開示による光学装置は、上記[1]~[12]のいずれか一つの光学デバイスと、光学デバイスから出力された出力光を受けて、出力光の位相を画素毎に変調する液晶型の空間光変調器と、を備えてもよい。空間光変調器は、光学デバイスの複数の電界形成部にそれぞれ対応する複数の変調領域を有してもよい。この光学装置によれば、解像度を犠牲にしつつ、変調パターンの切り替えを高速化することができる。
【0023】
[14]上記[13]の光学装置は、複数の電界形成部の電界の状態、および空間光変調器の変調パターンを制御する制御部を更に備えてもよい。制御部は、複数の変調領域に出力光が順次入射するように複数の電界形成部を制御するとともに、複数の変調領域に出力光が入射し終えたのちに変調パターンを更新してもよい。
【0024】
[15]本開示による別の光学装置は、上記[1]~[12]のいずれか一つの光学デバイスと、第1平行光を出力する光源と、光源から出力された第1平行光を直線偏光とする偏光板と、直線偏光とされた第1平行光を透過又は反射することにより該第1平行光を光学デバイスへ導く偏光ビームスプリッタと、偏光ビームスプリッタと光学デバイスとの間の光路上に配置された1/4波長板と、を備える。偏光ビームスプリッタは、光学デバイスから出力されて1/4波長板を通過した出力光を反射または透過する。この光学装置によれば、出力光の光強度の低下を抑制しつつ、出力光を第1平行光から分離して取り出すことができる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、光軸に垂直な面内における平行光の配置パターンを高速かつ自在に切り替え可能な光学デバイス、および、変調パターンの切り替えを高速化することができる光学装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係る光学デバイスの構成を示す断面図である。
【
図2】
図2の(a)および(b)は、電気光学結晶体および複数の電界形成部を拡大して示す斜視図である。
【
図3】
図3の(a)は、電界が形成されないときの電気光学結晶体内の状態を示す模式図である。
図3の(b)は、電界が形成されているときの電気光学結晶体内の状態を示す模式図である。
【
図4】
図4の(a)、(b)および(c)は、出力光の切り替えの例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第1電極および第2電極へ電圧を供給する方式の例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第1電極および第2電極へ電圧を供給する方式の別の例を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第1変形例に係る光学デバイスの構成を示す断面図である。
【
図8】
図8は、第2変形例に係る光学デバイスの構成を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る光学デバイスの構成を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る光学装置の構成を概略的に示す図である。
【
図11】
図11は、第4実施形態に係る光学装置の構成を概略的に示す図である。
【
図13】
図13は、光学装置の動作を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、光学装置の動作の例を示すタイミングチャートである。
【
図15】
図15は、第5実施形態に係る光学装置の構成を概略的に示す図である。
【
図16】
図16の(a)は、電界が形成されないときの電気光学結晶体内の状態を示す模式図である。
図3の(b)は、電界が形成されているときの電気光学結晶体内の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら本開示による光学デバイスおよび光学装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0028】
図1は、本開示の第1実施形態に係る光学デバイス1Aの構成を示す断面図である。
図1に示されるように、本実施形態の光学デバイス1Aは、板状の電気光学結晶体10と、光反射部13と、複数の電界形成部20と、第1レンズアレイ30と、光遮蔽部材40と、第2レンズアレイ50と、を備える。
【0029】
電気光学結晶体10は、例えばKTN結晶、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸カリウム、タンタル酸リチウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二カリウム、およびチタン酸バリウムのうち少なくとも一つの結晶を含む。KTN結晶は、ニオブ酸カリウムおよびタンタル酸カリウムの混合結晶であり、電気光学効果として光カー効果を示す。一例では、電気光学結晶体10はKTN結晶からなる。電気光学結晶体10は、主面11および裏面12を有する。一例では、主面11および裏面12は互いに平行である。電気光学結晶体10の厚み方向は、主面11および裏面12の法線方向と一致する。
【0030】
複数の電界形成部20は、主面11および/または裏面12に沿った面内において、一次元状または二次元状に並んで配置されている。
図1には、3つの電界形成部20が一列に並んでいる例が示されているが、電界形成部20の個数および列数はこれに限られない。複数の電界形成部20は、電気光学結晶体10の主面11および/または裏面12に沿った方向D1において強さが周期的に変化する電界を、電気光学結晶体10内に形成する。複数の電界形成部20は、その電界の状態をそれぞれ独立して制御可能に構成されている。
【0031】
図2の(a)および(b)は、電気光学結晶体10および複数の電界形成部20を拡大して示す斜視図である。
図2の(a)は電気光学結晶体10を主面11側から見た斜視図であり、
図2の(b)は電気光学結晶体10を裏面12側から見た斜視図である。
図2の(a)に示されるように、電気光学結晶体10の主面11の全面上には第1電極21(第1電極)が設けられている。図中において、第1電極21が存在する領域は網点で示されている。
図2の(b)に示されるように、電気光学結晶体10の裏面12上には複数の(図示例では3つの)第2電極22(第2電極)が設けられている。図中において、第2電極22が存在する領域は網点で示されている。第1電極21は、透明電極である。第2電極22は、透明電極であってもよく、不透明な電極(例えば金属電極)であってもよい。透明電極の構成材料は、例えば、酸化スズなどのスズ添加酸化インジウム、またはフッ素添加酸化スズである。第1電極21および第2電極22は、例えば真空蒸着によって電気光学結晶体10の表面に形成される。
【0032】
複数の第2電極22それぞれは、方向D1において周期的である構造を含む。周期的である構造とは、例えば、第2電極22の部分が存在する領域と、第2電極22の部分が存在しない領域とが周期的に交互に並ぶ構造である。一例では、第2電極22は、方向D1において複数の櫛歯が並ぶ櫛形である。
【0033】
複数の電界形成部20それぞれは、一つの第2電極22と、第1電極21のうち該第2電極22に対向する領域とによって構成される。電気光学結晶体10は二次の電気光学効果である光カー効果を有しており、一つの第2電極22と第1電極21との間に電圧が印加されると、それらの間における電気光学結晶体10内の部分に、該電圧の大きさに応じた電界が形成される。
図3の(a)は、電界が形成されないときの電気光学結晶体10内の状態を示す模式図である。
図3の(b)は、電界が形成されているときの電気光学結晶体10内の状態を示す模式図である。
図3の(a)に示されるように、第1電極21と第2電極22との間に電界が形成されないときには、電気光学結晶体10内の屈折率分布は方向D1において一様である。これに対し、
図3の(b)に示されるように、第1電極21と第2電極22との間に電界が形成されると、電気光学結晶体10内において、電界が形成される領域A1の屈折率が他の領域に対して瞬時に変化する。その結果、その電界形成部20に対応する電気光学結晶体10内部の領域において、屈折率が方向D1に沿って周期的に且つ瞬時に変化し、屈折率分布が二値の回折格子を形成する。
【0034】
再び
図1を参照する。第1レンズアレイ30は、マイクロレンズアレイであって、電気光学結晶体10の主面11と対向して配置されている。第1レンズアレイ30は、電気光学結晶体10の主面11の法線方向に沿った光軸を有する第1平行光L1を、電気光学結晶体10と対向する面とは反対の面に受ける。第1平行光L1は、例えばレーザダイオード、SLD(Super Luminescent Diode)、または固体レーザから出力されたレーザ光である。第1平行光L1の波長は、例えば300nm以上3000nm以下である。第1レンズアレイ30の光軸は、第1平行光L1の光軸と平行である。第1レンズアレイ30は、一次元状または二次元状に並んで配置された複数の(図示例では3つの)第1レンズ31を有する。複数の第1レンズ31は、複数の電界形成部20とそれぞれ対応している。第1レンズアレイ30は、第1平行光L1を、複数の第1レンズ31それぞれによって集光する。複数の第1レンズ31それぞれは、例えば凸レンズである。
【0035】
第2レンズアレイ50は、マイクロレンズアレイであって、電気光学結晶体10と第1レンズアレイ30との間に配置されている。第2レンズアレイ50の光軸は、第1平行光L1の光軸と平行である。第2レンズアレイ50は、複数の(図示例では3つの)第2レンズ51を有する。複数の第2レンズ51は、第1レンズアレイ30の複数の第1レンズ31とそれぞれ対応しており、複数の第1レンズ31とそれぞれ光学的に結合されている。複数の第2レンズ51それぞれの焦点距離は、複数の第1レンズ31それぞれの焦点距離と等しい。第2レンズアレイ50は、複数の第1レンズ31それぞれから出力された光L2を、複数の第2レンズ51それぞれによって第2平行光L3に変換する。複数の第2レンズ51それぞれは、例えば凸レンズである。
【0036】
第2平行光L3は、電気光学結晶体10の主面11に入射し、電気光学結晶体10の厚み方向に電気光学結晶体10を透過する。電気光学結晶体10は、透過した第2平行光L3を裏面12から出力する。第2平行光L3の透過率を最大化するため、主面11および裏面12は研磨されている。光反射部13は、電気光学結晶体10の裏面12側に配置されている。光反射部13は、第2平行光L3を、電気光学結晶体10の主面11に向けて反射する。光反射部13は、例えば電気光学結晶体10の裏面12上に形成された誘電体多層膜である。第2電極22が不透明である場合、第2電極22が光反射部13の一部を構成してもよい。第2レンズアレイ50は、光反射部13により反射されて電気光学結晶体10の主面11から出力された第2平行光L3を、複数の第2レンズ51それぞれによって集光する。
【0037】
屈折率に周期的な変化が生じている電気光学結晶体10の領域(
図3の(b)を参照)を第2平行光L3が厚さ方向に往復すると、第2平行光L3の位相分布が変化する。よって、第2平行光L3が第2レンズ51によって集光されたときには、第2レンズ51を通過後の光L4は、第2電極22の周期的構造の方向(図示例では方向D1)において互いに分離した複数の集光点P1に集光される。これに対し、屈折率の周期的な変化が生じていない電気光学結晶体10の領域(
図3の(a)を参照)を第2平行光L3が厚さ方向に往復しても、第2平行光L3の位相分布に変化は生じない。よって、第2平行光L3が第2レンズ51によって集光されたときには、第2レンズ51を通過後の光L4は、単一の集光点P2に集光される。
図1に示される例では、方向D1に沿って並ぶ3つの電界形成部20のうち両端に位置する2つの電界形成部20のみが電界を形成し、中央に位置する電界形成部20は電界を形成していない。
【0038】
光遮蔽部材40は、第1レンズアレイ30と第2レンズアレイ50との間に配置されている。光遮蔽部材40は、例えばメタルマスクである。光遮蔽部材40は、複数の電界形成部20とそれぞれ対応する複数の領域41を有する。複数の領域41は、複数の第2レンズ51とそれぞれ対応しており、それらの一方側において複数の第2レンズ51とそれぞれ光学的に結合されている。また、複数の領域41は、複数の第1レンズ31とそれぞれ対応しており、それらの他方側において複数の第1レンズ31とそれぞれ光学的に結合されている。光遮蔽部材40は、複数の第1レンズ31それぞれにより集光された光L2を複数の領域41それぞれにおいて通過させるとともに、複数の第2レンズ51それぞれにより集光された光L4を、対応する電界形成部20の電界の状態に応じて、複数の領域41それぞれにおいて通過させ又は遮蔽するように構成されている。
【0039】
図示例では、光遮蔽部材40の各領域41は、互いに分離した複数の集光点P1に光L4が集光されるとき、言い換えると、対応する電界形成部20の電界がオン状態であるときにその光L4を遮蔽し、単一の集光点P2に光L4が集光されるとき、言い換えると、対応する電界形成部20の電界がオフ状態であるときにその光L4を通過させる。そのため、図示例の光遮蔽部材40の各領域41は、単一の集光点P2に対応する単一の光学開口42を有する。単一の集光点P2に光L4が集光されるとき、光L4は光学開口42を通過する。また、互いに分離した複数の集光点P1に光L4が集光されるとき、光L4は光学開口42の外側において光遮蔽部材40によって遮蔽される。光学開口42は、光遮蔽部材40に形成された開口であってもよく、ガラスなどの透明な材料によって構成されてもよい。或いは、ガラスなどの透明な板の表面の光学開口42を除く領域に遮光性の膜が設けられることによって、光遮蔽部材40が構成されてもよい。
【0040】
別の例では、光遮蔽部材40の各領域41は、互いに分離した複数の集光点P1に光L4が集光されるときにその光L4を通過させ、単一の集光点P2に光L4が集光されるときにその光L4を遮蔽してもよい。その場合、光遮蔽部材40の各領域41は、複数の集光点P1に対応する光学開口を有する。その場合の光学開口の構成は、上述した光学開口42と同様であってもよい。
【0041】
第1レンズアレイ30は、光遮蔽部材40を通過した光L4を、第1レンズ31において平行光である出力光L5に変換する。第2レンズアレイ50により集光された光L4のうち光遮蔽部材40を通過した光L4は、対応する第1レンズ31によって出力光L5に変換され、光学デバイス1Aの外部へ出力される。
【0042】
第1レンズアレイ30と光遮蔽部材40との間隔、光遮蔽部材40と第2レンズアレイ50との間隔、および第2レンズアレイ50と電気光学結晶体10との間隔は、第1レンズアレイ30および第2レンズアレイ50の焦点距離と等しくてもよく、或いは異なっていてもよい。
【0043】
以上に説明した本実施形態の光学デバイス1Aによれば、複数の電界形成部20それぞれが電気光学結晶体10内に電界を形成するか否かを電界形成部20毎に独立して制御することにより、複数の電界形成部20にそれぞれ対応する第2平行光L3の複数の部分が光遮蔽部材40を通過するか否かを、部分毎に自在に決定することができる。そして、電界を形成する電界形成部20を切り替えることによって、光軸に垂直な面内における出力光L5の配置パターンを、例えばkHzオーダーといった高速で、自在に切り替えることができる。
【0044】
図4の(a)、(b)および(c)は、出力光L5の切り替えの例を示す模式図である。
図4の(a)は、
図1に示された3つの領域41のうち最も端に位置する領域41のみを光L4が通過し、他の2つの領域41において光L4が遮蔽されたときの出力光L5の出射位置を示す。
図4の(b)は、
図1に示された3つの領域41のうち中央に位置する領域41のみを光L4が通過し、他の2つの領域41において光L4が遮蔽されたときの出力光L5の出射位置を示す。
図4の(c)は、
図1に示された3つの領域41のうち中央に位置する領域41のみにおいて光L4が遮蔽され、他の2つの領域41を光L4が通過したときの出力光L5の出射位置を示す。なお、複数の領域41の全てにおいて光L4を通過させてもよい。このように、本実施形態の光学デバイス1Aによれば、光軸に垂直な面内における出力光L5の配置パターンを、自在に切り替えることができる。
【0045】
図示例のように電界形成部20の個数が3である場合、一つの領域41のみを通過させる3通りの出力光L5の配置パターン、2つの領域41を通過させる3通りの出力光L5の配置パターン、および全ての領域41を通過させる1通りの出力光L5の配置パターンといった計7つの配置パターンが実現可能である。電界形成部20の個数がmである場合、実現可能な配置パターンの数は下記の数式(1)で表される。
【数1】
【0046】
本実施形態のように、複数の電界形成部20それぞれは、主面11に設けられた第1電極21と、裏面12に設けられた第2電極22と、を有してもよい。そして、第2電極22は周期的構造を含んでもよい。その場合、電気光学結晶体10内に周期的な電界を形成しつつ、電気光学結晶体10の主面11に第2平行光L3を受ける構成を、簡易に実現することができる。
【0047】
本実施形態のように、第2電極22は櫛形であってもよい。その場合、周期的な構造を含む第2電極22と、第2電極22に電圧を印加するための配線(例えば
図5に示される端子62)との接続点の数が少なくて済むので、第2電極22に電圧を印加するための構造を単純化することができる。
【0048】
本実施形態のように、光遮蔽部材40の複数の領域41それぞれは、複数の第2レンズ51それぞれにより集光された光L4を、対応する電界形成部20の電界がオフ状態であるときに通過させ、対応する電界形成部20の電界がオン状態であるときに遮蔽するように構成されてもよい。電界形成部20の電界がオン状態であるとき、電気光学結晶体10内に周期的な屈折率分布が生じ、第2平行光L3の位相分布が変化する。その第2平行光L3から出力光L5が生成される場合、その位相分布が出力光L5にも残留し、光学デバイス1Aの後段に配置される光学要素がその位相分布の影響を受けてしまう。これに対し、電界形成部20の電界がオフ状態であるときには、電気光学結晶体10内の屈折率分布は変化せず、第2平行光L3の位相分布は変化しない。よって、光遮蔽部材40の複数の領域41それぞれが、第2レンズ51によって集光された光L4を、電界形成部20の電界がオフ状態であるときに通過させるように構成されることにより、光学デバイス1Aの後段に配置される光学要素への影響を低減できる。
【0049】
なお、本実施形態の光学デバイス1Aと同様の機能を有するデバイスとして、音響光学素子である光偏向器AOD(Acoustic optic deflector)がある。しかし、光偏向器AODでは、光学系が複雑になり、また光軸が変化するため高い調整技術が要求される。本実施形態の光学デバイス1Aは、第1平行光L1の光軸に対して電気光学結晶体10の主面11が垂直になるように配置すれば良く、また光軸が変化しないので、他のデバイス(例えば空間光変調器)との組み合わせに有用である。
【0050】
ここで、
図5は、第1電極21および第2電極22へ電圧を供給する方式の例を示す斜視図である。
図5に示されるように、光学デバイス1Aは、電気光学結晶体10を搭載する配線基板60を更に備えてもよい。図示例では、配線基板60は電気光学結晶体10の裏面12と対向している。なお、簡略化のため、
図5において第1レンズアレイ30、光遮蔽部材40、及び第2レンズアレイ50は図示を省略されている。
【0051】
配線基板60は、複数の端子62と、端子63とを有する。複数の端子62それぞれは、複数の第2電極22それぞれと電気的に接続される。図示例では、複数の端子62それぞれは、導電ペースト64によって、複数の第2電極22それぞれと導電接合されている。導電ペースト64に代えて、半田などの導電性接着材が用いられてもよい。複数の端子62は、複数の第2電極22に駆動電圧をそれぞれ供給する。端子63は、第1電極21と電気的に接続されている。図示例では、端子63は、ボンディングワイヤ65を介して、第1電極21と電気的に接続されている。端子63は、例えば基準電位(グランド電位)に設定される。
【0052】
配線基板60は、コネクタ付き配線66Aを介して別の配線基板67と接続されている。配線基板67は、複数の電界形成部20とそれぞれ対応する複数のスイッチング素子68を搭載する。また、配線基板67には、コネクタ付き配線66Bを介してコンピュータのI/O接続端子(不図示)が接続される。コンピュータからは、複数のスイッチング素子68の動作を制御する信号S1が入力される。また、配線基板67には、コネクタ付き配線66Cを介して直流電源(不図示)が接続される。直流電源からは、複数の電界形成部20に印加される直流電源電圧V1が供給される。各スイッチング素子68は、対応する端子62とコネクタ付き配線66Aを介して接続されている。各スイッチング素子68は、コンピュータから信号S1を受けると、直流電源電圧V1を対応する端子62に供給する。この直流電源電圧V1は、その端子62に接続された第2電極22に印加される。
【0053】
図5に示される例では配線基板60が単一の電気光学結晶体10を搭載しているが、
図6に示されるように、配線基板60は複数の電気光学結晶体10を搭載してもよい。その場合、各電気光学結晶体10における複数の電界形成部20の並び方向(方向D1)と交差する方向に複数の電気光学結晶体10を並べることにより、複数の電界形成部20を二次元状に配列することができる。
【0054】
上述したように、光学デバイス1Aは、電気光学結晶体10を搭載する配線基板60を更に備えてもよい。その場合、配線基板60を通じて、複数の電界形成部20に駆動電圧を容易に供給することができる。
(第1変形例)
【0055】
図7は、上記実施形態の第1変形例に係る光学デバイス1Bの構成を示す断面図である。光学デバイス1Bでは、複数の第1レンズ31が、電界の強さが周期的に変化する方向(第2電極22の周期的構造の方向、図示例では方向D1)において主に屈折力を有するシリンドリカルレンズである。また、複数の第2レンズ51それぞれもまた、当該方向において屈折力を有するシリンドリカルレンズである。従って、集光点P1,P2は、シリンドリカルレンズの延在方向(言い換えると、第2電極22の周期的構造の方向および第2平行光L3の光軸方向の双方と交差する方向)に沿って線状に延びた形状を有する。光遮蔽部材40の光学開口42は、シリンドリカルレンズの延在方向に沿って延在するスリットであってもよい。その場合、第1平行光L1の波長をλ、電界形成部20が形成する電界の周期をXとすると、光学開口42の幅は例えば(λF)/Xである。但し、実際には第1平行光L1の光強度分布およびモードの影響などにより、光学開口42の幅は(λF)/Xと異なってもよい。
【0056】
本変形例のように、複数の第1レンズ31それぞれ、および複数の第2レンズ51それぞれは、電界の強さが周期的に変化する方向において主に屈折力を有するシリンドリカルレンズであってもよく、複数の領域41それぞれは、シリンドリカルレンズの延在方向に沿って延在するスリットを含んでもよい。その場合、シリンドリカルレンズの集光位置とスリットとの位置合わせを、シリンドリカルレンズが主に屈折力を有する方向においてのみ行えば足りる。よって、光学デバイス1Aの製造を簡易化することができる。
(第2変形例)
【0057】
図8は、上記実施形態の第2変形例に係る光学デバイス1Cの構成を示す断面図である。光学デバイス1Cは、上記実施形態の複数の電界形成部20に代えて、複数の電界形成部23を備える。複数の電界形成部23は、主面11および/または裏面12に沿った面内において、一次元状または二次元状に並んで配置されている。複数の電界形成部23は、電気光学結晶体10の主面11および/または裏面12に沿った方向D1において強さが周期的に変化する電界を、電気光学結晶体10内に形成する。複数の電界形成部23は、その電界の状態をそれぞれ独立して制御可能に構成されている。
【0058】
本変形例では、電気光学結晶体10の主面11上に複数の第1電極24が設けられ、電気光学結晶体10の裏面12の全面上に第2電極25が設けられている。第1電極24は透明電極である。第2電極25は、不透明な電極であり、例えば金属電極である。第2電極25は、第2平行光L3を反射することにより、本変形例における光反射部13を兼ねる。複数の第1電極21それぞれは、方向D1において周期的である構造を含む。一例では、第1電極21は、方向D1において複数の櫛歯が並ぶ櫛形である。複数の第1電極21と第2電極25とによって形成される電界形状は、上記実施形態と同様である。
【0059】
本変形例のように、電気光学結晶体10の主面11上に設けられる第1電極が複数に分割されて周期的構造を有してもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第2実施形態)
【0060】
図9は、本開示の第2実施形態に係る光学デバイス1Dの構成を示す断面図である。
図9に示されるように、本実施形態の光学デバイス1Dは、電気光学結晶体10と、光吸収部14と、複数の電界形成部20と、第1レンズアレイ30と、光反射部90と、を備える。第1実施形態と異なり、電気光学結晶体10は、主面11に第1平行光L1を受け、電気光学結晶体10を透過した第1平行光L1を裏面12から出力する。本実施形態においては、第1電極21だけでなく、第2電極22もまた透明電極である。電気光学結晶体10および複数の電界形成部20のその他の構造は、第1実施形態または第2変形例と同様である。
図9には第2変形例と同様に第1電極21が周期的構造を有する例が示されているが、第1実施形態と同様に第2電極22が周期的構造を有してもよい。
【0061】
第1レンズアレイ30は、複数の電界形成部20とそれぞれ対応する複数の第1レンズ31を有する。第1レンズアレイ30は、電気光学結晶体10の裏面12から出力された第1平行光L1を、複数の第1レンズ31それぞれによって集光する。複数の第1レンズ31それぞれは、主に第1電極21または第2電極22の周期的構造の方向(図示例では方向D1)において屈折力を有するシリンドリカルレンズであってもよい。
【0062】
屈折率に周期的な変化が生じている電気光学結晶体10の領域を第1平行光L1が通過すると、第1平行光L1の位相分布が変化する。よって、第1平行光L1が第1レンズ31によって集光されたときには、第1レンズ31を通過後の光L2は、第1電極21の周期的構造の方向(図示例では方向D1)において互いに分離した複数の集光点P1に集光される。これに対し、屈折率の周期的な変化が生じていない電気光学結晶体10の領域を第1平行光L1が通過しても、第1平行光L1の位相分布に変化は生じない。よって、第1平行光L1が第1レンズ31によって集光されたときには、第1レンズ31を通過後の光L2は、単一の集光点P2に集光される。図示例では、方向D1に沿って並ぶ3つの電界形成部20のうち両端に位置する2つの電界形成部20のみが電界を形成し、中央に位置する電界形成部20は電界を形成していない。なお、第1レンズ31がシリンドリカルレンズである場合、集光点P1,P2は、シリンドリカルレンズの延在方向(言い換えると、第1電極21の周期的構造の方向および第1平行光L1の光軸方向の双方と交差する方向)に沿って線状に延びた形状を有する。
【0063】
光反射部90は、第1レンズアレイ30を間に挟んで電気光学結晶体10の裏面12と対向している。光反射部90は、複数の電界形成部20とそれぞれ対応する複数の領域91を有する。複数の領域91は、複数の第1レンズ31とそれぞれ対応しており、複数の第1レンズ31とそれぞれ光学的に結合されている。光反射部90は、複数の第1レンズ31それぞれにより集光された光L2を、対応する電界形成部20の電界の状態に応じて、複数の領域91それぞれにおいて反射し又は通過するように構成されている。
【0064】
図示例では、光反射部90の各領域91は、互いに分離した複数の集光点P1に光L2が集光されるとき、言い換えると、対応する電界形成部20の電界がオン状態であるときにその光L2を通過し、単一の集光点P2に光L2が集光されるとき、言い換えると、対応する電界形成部20の電界がオフ状態であるときにその光L2を反射させる。そのため、図示例の光反射部90の各領域91は、単一の集光点P2に対応する単一の光反射膜92を有する。単一の集光点P2に光L2が集光されるとき、光L2は光反射膜92によって反射される。また、互いに分離した複数の集光点P1に光L2が集光されるとき、光L2は光反射膜92の外側を通過する。光反射膜92は、例えばガラスなどの透明な板93の表面に形成された金属膜或いは誘電体膜である。第1レンズ31がシリンドリカルレンズである場合、光反射膜92は、そのシリンドリカルレンズの延在方向に沿って延在する光反射面を有する。第1平行光L1の波長をλ、電界形成部20が形成する電界の周期をXとすると、方向D1における光反射膜92の幅は例えば(λF)/Xである。但し、実際には第1平行光L1の光強度分布およびモードの影響などにより、方向D1における光反射膜92の幅は(λF)/Xと異なってもよい。
【0065】
別の例では、光反射部90の各領域91は、互いに分離した複数の集光点P1に光L2が集光されるときにその光L2を反射し、単一の集光点P2に光L2が集光されるときにその光L2を通過させてもよい。その場合、光反射部90の各領域91は、複数の集光点P1に対応する光反射膜を有する。その場合の光反射膜の構成は、上述した光反射膜92と同様であってもよい。
【0066】
光吸収部14は、光反射部90に対して電気光学結晶体10および第1レンズアレイ30とは反対側に配置されている。言い換えると、光反射部90は、第1レンズアレイ30と光吸収部14との間に配置されている。光吸収部14は、光反射部90を通過した光L2を吸収するように構成されている。光吸収部14は、光反射部90の複数の領域91にそれぞれ対応する複数の領域を有する。光吸収部14は、例えばクロムといった光吸収材料を含む。
【0067】
第1レンズアレイ30は、光反射部90において反射された光L2を、第1レンズ31において平行光である出力光L5に変換する。第1レンズアレイ30により集光された光L2のうち光反射部90において反射された光L2は、対応する第1レンズ31によって出力光L5に変換され、光学デバイス1Dの外部へ出力される。第1レンズアレイ30により集光された光L2のうち光反射部90を通過した光L2は、光吸収部14によって吸収されて消滅する。
【0068】
電気光学結晶体10と第1レンズアレイ30との間隔、および第1レンズアレイ30と光反射部90との間隔は、第1レンズアレイ30および第2レンズアレイ50の焦点距離と等しくてもよく、或いは異なっていてもよい。
【0069】
以上に説明した本実施形態の光学デバイス1Dによれば、複数の電界形成部20それぞれが電気光学結晶体10内に電界を形成するか否かを電界形成部20毎に独立して制御することにより、複数の電界形成部20にそれぞれ対応する第1平行光L1の複数の部分が光反射部90において反射されるか否かを、部分毎に自在に決定することができる。そして、電界を形成する電界形成部20を切り替えることによって、光軸に垂直な面内における出力光L5の配置パターンを、例えばkHzオーダーといった高速で、自在に切り替えることができる。
【0070】
本実施形態のように、複数の電界形成部20それぞれは、主面11に設けられた透明電極である第1電極21と、裏面12に設けられた透明電極である第2電極22と、を有してもよい。そして、第1電極21および第2電極22のうち一方または双方が、周期的構造を含んでもよい。その場合、電気光学結晶体10内に周期的な電界を形成しつつ、電気光学結晶体10を第1平行光L1および出力光L5が通過する構成を、簡易に実現することができる。
【0071】
本実施形態のように、第1電極21または第2電極22は櫛形であってもよい。その場合、周期的な構造を含む第1電極21または第2電極22と、第1電極21または第2電極22に電圧を印加するための配線(例えば
図5に示された端子62)との接続点の数が少なくて済むので、第1電極21または第2電極22に電圧を印加するための構造を単純化することができる。
【0072】
本実施形態のように、光反射部90の複数の領域91それぞれは、複数の第1レンズ31それぞれにより集光された光L2を、対応する電界形成部20の電界がオフ状態であるときに反射し、対応する電界形成部20の電界がオン状態であるときに通過させるように構成されてもよい。電界形成部20の電界がオン状態であるとき、電気光学結晶体10内に周期的な屈折率分布が生じ、第1平行光L1の位相分布が変化する。その第1平行光L1から出力光L5が生成される場合、その位相分布が出力光L5にも残留する。加えて、出力光L5が電気光学結晶体10を通過するときにも出力光L5の位相分布が変化する。従って、光学デバイス1Dの後段に配置される光学要素がそれらの位相分布の影響を受けてしまう。これに対し、電界形成部20の電界がオフ状態であるときには、電気光学結晶体10内の屈折率分布は変化せず、第1平行光L1および出力光L5の位相分布は変化しない。よって、光反射部90の複数の領域91それぞれが、第1レンズ31によって集光された光L2を、電界形成部20の電界がオフ状態であるときに反射するように構成されることにより、光学デバイス1Dの後段に配置される光学要素への影響を低減できる。
【0073】
本実施形態の光学デバイス1Dもまた、
図5または
図6に示された配線基板60を更に備えてもよい。その場合、配線基板60を通じて、複数の電界形成部20に駆動電圧を容易に供給することができる。また、本実施形態において用いられる配線基板60は、光学開口を更に有してもよい。光学開口は、電気光学結晶体10と対向する位置に形成され、第1平行光L1および出力光L5を通過させる。光学開口は、配線基板60に形成された開口であってもよく、ガラスなどの透明な材料によって構成されてもよい。或いは、配線基板60自体がガラスなどの透明な材料によって構成されてもよい。その場合、光学開口は不要である。
【0074】
前述したように、複数の第1レンズ31それぞれは、電界の強さが周期的に変化する方向において主に屈折力を有するシリンドリカルレンズであってもよく、複数の領域91それぞれは、シリンドリカルレンズの延在方向に沿って延在する光反射面を含んでもよい。その場合、シリンドリカルレンズの集光位置と光反射面との位置合わせを、シリンドリカルレンズが主に屈折力を有する方向においてのみ行えば足りる。よって、光学デバイス1Dの製造を簡易化することができる。
(第3実施形態)
【0075】
図10は、本開示の第3実施形態に係る光学装置70Aの構成を概略的に示す図である。本実施形態の光学装置70Aは、第1実施形態の光学デバイス1Aと、光源71と、ミラー72と、対物レンズ73と、ミラー74と、集光レンズ75と、撮像部76と、制御部77と、I/Oコントローラ78と、偏光板84と、偏光ビームスプリッタ85と、1/4波長板86と、を備える。なお、光学装置70Aは、第1実施形態の光学デバイス1Aの代わりに、第1変形例の光学デバイス1B、第2変形例の光学デバイス1C、または第2実施形態の光学デバイス1Dを備えてもよい。
【0076】
光源71は、第1平行光L1を出力する。光源71は、例えばレーザダイオード、SLD、または固体レーザを含む。偏光板84の一方の面は、光源71と光学的に結合され、光源71から出力された第1平行光L1を直線偏光とする。偏光ビームスプリッタ85は、偏光板84の他方の面および光学デバイス1Aと光学的に結合され、直線偏光とされた第1平行光L1を透過又は反射することにより、第1平行光L1を光学デバイス1Aへ導く。
【0077】
1/4波長板86は、偏光ビームスプリッタ85と光学デバイス1Aとの間の光路上に配置されている。直線偏光とされた第1平行光L1は、1/4波長板86によって円偏光とされたのち、光学デバイス1Aに入力される。また、光学デバイス1Aから出力された出力光L5は、1/4波長板86によって、第1平行光L1の偏光方向と直交する偏光方向を有する直線偏光とされる。偏光ビームスプリッタ85は、直線偏光とされた出力光L5を反射又は透過することにより、第1平行光L1から分離する。このような構成により、出力光L5の光強度の低下を抑制しつつ、出力光L5を第1平行光L1から分離して取り出すことができる。
【0078】
ミラー72は、例えばハーフミラーまたは誘電体ミラーであり、偏光ビームスプリッタ85によって取り出された出力光L5を透過させる。対物レンズ73は、ミラー72を透過した出力光L5を対象物Bの照射対象面B1に向けて集光する。照射対象面B1は、対物レンズ73によって集光された光L6を受けて、光L7を発生する。例えば、光L7は照射対象面B1における散乱光である。或いは、出力光L5および光L6が励起光である場合、光L7は、励起された対象物Bから出力された蛍光である。光L7は、対物レンズ73によって平行光L8とされる。平行光L8は、ミラー72において反射されることにより、出力光L5から分離される。平行光L8は、ミラー74によって反射されたのち、集光レンズ75によって撮像部76に向けて集光される。撮像部76は、集光レンズ75によって集光された光L9を撮像して撮像データを生成する。
【0079】
図示例では、2本の出力光L5が集光されて照射対象面B1に照射されている。この場合、集光面である照射対象面B1を除く他の面では、2本の光L6が互いに干渉することによって干渉縞が形成される。この干渉縞は構造化照明として活用され得る。或いは、一列に並んでいない3本の出力光L5が集光されて照射対象面B1に照射されてもよい。その場合、3本の光L6が互いに干渉し、格子状の光点が形成される。この格子状の光点が構造化照明として活用されてもよい。
【0080】
I/Oコントローラ78は、光学デバイス1Aと電気的に接続され、光学デバイス1Aの複数の電界形成部20に駆動電圧を印加する。I/Oコントローラ78は、制御部77と電気的に接続され、制御部77によって制御される。I/Oコントローラ78は、例えば
図5に示された配線基板67および複数のスイッチング素子68を備える。制御部77は、例えば
図5に示された信号S1をI/Oコントローラ78に与える。制御部77は、パーソナルコンピュータ、スマートフォンまたはタブレット端末といったスマートデバイス、あるいはクラウドサーバといったコンピュータである。制御部77としてのコンピュータは、HDDと、フラッシュメモリまたはRAM等の記憶装置と、プロセッサ(CPU)とを有する。制御部77は、マイコンまたはFPGA(Field-Programmable Gate Array)によって構成されていてもよい。
【0081】
本実施形態の光学装置70Aによれば、光学デバイス1Aを備えることにより、光軸に垂直な面内における出力光L5の配置パターンを高速かつ自在に切り替えることができる。よって、照射対象面B1に対して照射される光L6の照射領域の形状を高速かつ自在に切り替えることができる。
(第4実施形態)
【0082】
図11は、本開示の第4実施形態に係る光学装置70Bの構成を概略的に示す図である。本実施形態の光学装置70Bは、第1実施形態の光学デバイス1Aと、光源71と、ミラー72と、対物レンズ73と、ミラー74a、74bおよび74cと、集光レンズ75と、撮像部76と、制御部79と、SLMコントローラ80と、空間光変調器(SLM)81と、偏光板84と、偏光ビームスプリッタ85と、1/4波長板86と、を備える。なお、光学装置70Bは、第1実施形態の光学デバイス1Aの代わりに、第1変形例の光学デバイス1B、第2変形例の光学デバイス1C、または第2実施形態の光学デバイス1Dを備えてもよい。光源71から出力される第1平行光L1は、空間的に位相が揃ったコヒーレントなレーザ光である。偏光板84、偏光ビームスプリッタ85、および1/4波長板86の構成は、上述した第3実施形態の光学装置70Cと同様である。
【0083】
ミラー74aおよび74bは、偏光ビームスプリッタ85によって取り出された出力光L5を反射することにより出力光L5をSLM81へ導く。SLM81は、液晶型のSLMである。SLM81は、複数の画素を有し、出力光L5を受けて、出力光L5の位相を画素毎に変調する。SLM81は、反射型であってもよく、透過型であってもよい。ミラー72は、例えばハーフミラーまたは誘電体ミラーであり、SLM81から出力された変調後の出力光L5を透過させる。対物レンズ73は、ミラー72を透過した出力光L5を対象物Bの照射対象面B1に向けて集光する。照射対象面B1は、対物レンズ73によって集光された光L6を受けて、光L7を発生する。例えば、光L7は照射対象面B1における散乱光である。或いは、出力光L5および光L6が励起光である場合、光L7は、励起された対象物Bから出力された蛍光である。光L7は、対物レンズ73によって平行光L8とされる。平行光L8は、ミラー74によって反射されたのち、集光レンズ75によって撮像部76に向けて集光される。撮像部76は、集光レンズ75によって集光された光L9を撮像して撮像データを生成する。
【0084】
SLMコントローラ80は、SLM81と電気的に接続され、SLM81に変調パターンを示す信号を与える。また、SLMコントローラ80は、光学デバイス1Aと電気的に接続され、光学デバイス1Aの複数の電界形成部20に駆動電圧を印加する。更に、SLMコントローラ80は、撮像部76と電気的に接続され、撮像タイミングを示すトリガ信号を撮像部76に提供する。SLMコントローラ80は、制御部79と電気的に接続され、制御部79によって制御される。SLMコントローラ80は、例えば
図5に示された配線基板67および複数のスイッチング素子68を備える。制御部79は、複数の電界形成部20の電界の状態、およびSLM81の変調パターンを制御する。制御部79は、例えば
図5に示された信号S1をSLMコントローラ80に与える。制御部79は、パーソナルコンピュータ、スマートフォンまたはタブレット端末といったスマートデバイス、あるいはクラウドサーバといったコンピュータである。制御部79としてのコンピュータは、HDDと、フラッシュメモリまたはRAM等の記憶装置と、プロセッサ(CPU)とを有する。制御部79は、マイコンまたはFPGA(Field-Programmable Gate Array)によって構成されていてもよい。
【0085】
SLM81は、光学デバイス1Aの複数の電界形成部20にそれぞれ対応する複数の変調領域を有する。そして、各変調領域において個別の変調パターンが呈示される。変調パターンは、例えば、構造化照明に必要な二光束干渉パターン、または格子パターンを示す多光束干渉パターンであってもよい。その場合、照射対象面B1には、二次元状に分布する複数(例えば5×5もしくは1×5)の光点が形成される。形成される光点の配置及び個数は、変調領域毎に異なってもよい。このように、各変調領域において個別の変調パターンが呈示されることにより、出力光L5の配置パターンの切り替えに応じて照射対象面B1における照射パターンが変化する。
【0086】
ここで、説明のため、光学デバイス1Aが3行3列(計9個)の電界形成部20を備えるものとする。
図12は、そのときのSLM81の光変調面を示す図である。
図12に示されるように、SLM81は、電界形成部20と同数の9個の変調領域M(1)~M(9)を有する。変調領域M(1)~M(9)は、電界形成部20と同様に、3行3列に配列されている。変調領域M(1)~M(9)は、9個の電界形成部20と一対一で対応する。9個の変調領域M(1)~M(9)のそれぞれには、対応する電界形成部20を通過して光学デバイス1Aから出力された、出力光L5が入射して変調される。9個の電界形成部20への印加電圧を制御部79が制御することにより、変調領域M(1)~M(9)に出力光L5が順次入射して変調される。そして、制御部79は、変調領域M(1)~M(9)に出力光L5が入射し終えたのちに、SLMコントローラ80を通じてSLM81の変調パターンを更新する。その後、再び9個の電界形成部20への印加電圧を制御部79が制御することにより、変調領域M(1)~M(9)に出力光L5が順次入射して変調される。光学装置70Bは、このような動作を繰り返す。
【0087】
図13は、光学装置70Bの動作を示すフローチャートである。
図13に示されるように、まず、制御部79がSLMコントローラ80を通じてSLM81の変調パターンを設定する(ステップST1)。この変調パターンには、複数の変調領域M(1)~M(9)それぞれにおける個別の変調パターンが含まれる。次に、制御部79がSLMコントローラ80を通じて9個の電界形成部20を制御することにより、変調領域M(1)に出力光L5を入射させる(ステップST2)。そして、制御部79がSLMコントローラ80を通じて、撮像部76に撮像タイミングを示すトリガ信号を提供する(ステップST3)。その後、ステップST2に戻り、変調領域M(2)に出力光L5を入射させ、ステップST3を再び行う。このように、全ての変調領域M(1)~M(9)に出力光L5を順次入射させつつ、その都度ステップST3を行う。全ての変調領域M(1)~M(9)に出力光L5を入射し終えたのち(ステップST4:YES)、ステップST1に戻り、SLM81の変調パターンを更新する。この変調パターンには、複数の変調領域M(1)~M(9)それぞれにおける個別の変調パターンが含まれる。そして、ステップST2~ST4を再び繰り返す。予め用意された全ての変調パターンを呈示し終えたのち(ステップST5:YES)、光学装置70Bは動作を終了する。
【0088】
本実施形態の光学装置70Bによって得られる効果は次の通りである。液晶型のSLM81では、複数の電極のそれぞれによって液晶層内部に個別に電界を形成する。しかし、液晶層内部における電界の時間変化に対して液晶の応答が遅延するので、変調パターンの切り替えの高速性が損なわれるという問題がある。本実施形態では、SLM81の光変調面を複数の変調領域M(1)~M(9)に分割し、光学デバイス1Aを用いて複数の変調領域M(1)~M(9)それぞれに出力光L5を順次入力させる。これにより、解像度を犠牲にしつつ、変調パターンの切り替えを高速化することができる。光学装置70Bは、高速レートでのホログラフィックな光制御によって、高速現象の観察、または高速なフレームレートが要求される光ピンセット技術もしくは原子トラップ技術に適用され得る。
【0089】
上記の説明では全ての変調領域M(1)~M(9)に出力光L5を入射し終えたのちにSLM81の変調パターンを更新しているが、SLM81の変調パターンを二つ以上の領域(例えば三つの領域)に分割し、領域毎に変調パターンを更新してもよい。
図14は、そのような動作の例を示すタイミングチャートである。
図14において、線G1は、変調領域M(1)~M(9)への出力光L5の入射期間を表す。線G1がハイレベルである区間ではいずれかの変調領域へ出力光L5が入射されており、線G1の近傍に付された数字は出力光L5が入射される変調領域M(i)の番号iを表す。線G2は、変調領域M(1)~M(3)の変調パターンを呈示する期間を表す。線G2がハイレベルである区間T1では変調領域M(1)~M(3)の変調パターンが呈示される。線G3は、変調領域M(4)~M(6)の変調パターンを呈示する期間を表す。線G3がハイレベルである区間T2では変調領域M(4)~M(6)の変調パターンが呈示される。線G4は、変調領域M(7)~M(9)の変調パターンを呈示する期間を表す。線G4がハイレベルである区間T3では変調領域M(7)~M(9)の変調パターンが呈示される。
【0090】
なお、液晶層の応答が遅延するため、例えば区間T1において変調領域M(1)~M(3)の変調パターンを呈示する場合、区間T1より前のタイミングt1において変調領域M(1)~M(3)の電極への電圧印加を開始する。そして、区間T1の終端において電極への電圧印加を終了した後、変調パターンの呈示状態が完全に終了するのは区間T1の後のタイミングt2である。区間T2において変調領域M(4)~M(6)の変調パターンを呈示する場合、および区間T3において変調領域M(7)~M(9)の変調パターンを呈示する場合に関しても同様である。
【0091】
このように、SLM81の変調パターンを二つ以上の領域に分割し、領域毎に変調パターンを更新することによって、
図14のタイミングチャートに示されるように、液晶層の応答時間に影響されずに変調領域M(1)~M(9)への出力光L5の入射を繰り返すことが可能となる。従って、変調パターンの切り替えを更に高速化することができる。
(第5実施形態)
【0092】
図15は、本開示の第5実施形態に係る光学装置70Cの構成を概略的に示す図である。本実施形態の光学装置70Cは、第4実施形態の光学装置70Bの構成に加えて、SLMコントローラ82と、SLM83とを更に備える。また、本実施形態の撮像部76は、一方向に並ぶ複数の光入射領域の光を順次検出するローリングシャッタ方式を有する。
【0093】
SLMコントローラ82は、SLM83と電気的に接続され、SLM83に変調パターンを示す信号を与える。SLMコントローラ82は、制御部79と電気的に接続され、制御部79によって制御される。制御部79は、SLMコントローラ82を通じて、SLM83に呈示される変調パターンを制御する。SLM83に呈示される変調パターンは、集光レンズ75による光L9の集光像を複数の位置に形成させる。各位置における光L9の集光像は互いに同一像である。撮像部76がローリングシャッタ方式を有するので、撮像部76は、各位置に形成された光L9の集光像を、等間隔の時間差を設けつつ順次撮像する。これにより、光L9の集光像を撮像部76の本来のフレームレートよりも速いレートで撮像することができる。
【0094】
本開示による光学デバイスおよび光学装置は、上述した各実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した第1実施形態では、第2電極22が方向D1において周期的である構造を含み、第1電極21が裏面12の全面にわたって形成されている。また、上述した第2変形例では、第1電極21が方向D1において周期的である構造を含み、第2電極22が裏面12の全面にわたって形成されている。これらの形態に限られず、第1電極21および第2電極22の双方が方向D1において周期的である構造を含んでもよい。その場合、第1電極21および第2電極22の双方が櫛形であってもよい。
図16は、そのような形態において(a)電界が形成されないときおよび(b)電界が形成されているときの電気光学結晶体10内の状態を示す模式図である。
図16の(b)に示されるように、そのような形態においても、第1電極21と第2電極22との間に電界が形成されると、電気光学結晶体10内において、電界が形成される領域A1の屈折率が他の領域に対して瞬時に変化する。その結果、その電界形成部20に対応する電気光学結晶体10内部の領域において、屈折率が方向D1に沿って周期的に且つ瞬時に変化する。また、第1電極21および第2電極22の双方が方向D1において周期的である構造を含む場合には、第1電極21または第2電極22が主面11または裏面12の全面にわたって形成されている場合と比較して、方向D1における電界の拡がりを抑えることができる。よって、周期的な屈折率分布をより整った形で形成することができる。
【0095】
また、第1実施形態では、複数の第2電極22の周期的構造における周期の方向が、複数の第2電極22間において互いに一致している。この形態に限られず、少なくとも一つの第2電極22の周期的構造における周期の方向は、他の第2電極22の周期的構造における周期の方向と異なってもよい。同様に、第2変形例では、複数の第1電極21の周期的構造における周期の方向が、複数の第1電極21間において互いに一致している。この形態に限られず、少なくとも一つの第1電極21の周期的構造における周期の方向は、他の第1電極21の周期的構造における周期の方向と異なってもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、第1電極21または第2電極22の形状として櫛形を例示している。強さが周期的に変化する電界を電気光学結晶体10内に形成する電界形成部は、この形態に限られない。例えば、電界形成部は、二次元状に配列された複数の電極を有してもよく、その場合、強さが周期的に変化する電界を形成するように、該複数の電極の一部に対して選択的に電圧が印加されてもよい。或いは、第1電極21および第2電極22のうち一方の電極を櫛形(或いは、強さが周期的に変化する電界を電気光学結晶体10内に形成し得る他の形態)とし、他方の電極を、二次元状に配列された複数の電極を有する形態としてもよい。その場合、他方の電極は、電気光学結晶体10内における電気光学効果のばらつきに起因する屈折率分布を所望の分布(例えば均一な分布)に補正するための電界形成に用いられてもよい。
【0097】
また、上記実施形態において透明電極により構成されると説明されている電極は、不透明な電極(例えば金属電極)によって構成されてもよい。その場合、電極は、光が通過するための構造(例えば開口部)を有するとよい。
【符号の説明】
【0098】
1A~1D…光学デバイス、10…電気光学結晶体、11…主面、12…裏面、13…光反射部、14…光吸収部、20…電界形成部、21…第1電極、22…第2電極、30…第1レンズアレイ、31…第1レンズ、40…光遮蔽部材、41…領域、42…光学開口、50…第2レンズアレイ、51…第2レンズ、60…配線基板、62,63…端子、64…導電ペースト、65…ボンディングワイヤ、66A,66B,66C…コネクタ付き配線、67…配線基板、68…スイッチング素子、70A,70B,70C…光学装置、71…光源、72…ミラー、73…対物レンズ、74,74a,74b,74c…ミラー、75…集光レンズ、76…撮像部、77,79…制御部、78…I/Oコントローラ、80,82…SLMコントローラ、81,83…空間光変調器(SLM)、84…偏光板、85…偏光ビームスプリッタ、86…1/4波長板、90…光反射部、91…領域、A1…領域、B…対象物、B1…照射対象面、D1…方向、L1…第1平行光、L2,L4,L6,L7,L9…光、L3…第2平行光、L5…出力光、L8…平行光、M(1)~M(9),M(i)…変調領域、P1,P2…集光点、S1…信号、V1…直流電源電圧。