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特開2024-90077表示装置、視界補助システム、産業車両、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090077
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】表示装置、視界補助システム、産業車両、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/075 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B66F9/075 J
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205732
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】明石 拓也
(72)【発明者】
【氏名】塚原 啓介
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AE02
3F333BA02
3F333CA19
3F333CA24
3F333CA30
3F333DB01
3F333FA08
3F333FA36
3F333FD11
3F333FD20
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】産業車両が備える作業装置による作業対象位置を見ながら、作業対象位置を撮影した画像を確認することができる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、人の頭部に装着する表示装置であって、画像データを表示することが可能な透過的な表示部と、産業車両が備える作業装置に設けられたカメラが撮影した画像を取得する取得部と、前記画像が表示された仮想モニターを含む前記画像データを、前記人の目線方向における焦点距離だけ離れた位置の周辺に表示する制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の頭部に装着する表示装置であって、
画像データを表示することが可能な透過的な表示部と、
産業車両が備える作業装置に設けられたカメラが撮影した画像を取得する取得部と、
前記画像が表示された仮想モニターを含む前記画像データを、前記表示部を透過して見える、前記人の目線方向における焦点距離だけ離れた位置の周辺に表示する制御部と、
を備える表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記焦点距離に応じて前記仮想モニターのサイズを変更する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記表示部の周縁部に前記画像データを表示する、
請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記作業装置の状態に基づいて前記焦点距離を設定する、
請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記画像データを表示するか非表示とするかを判定する表示判定部、
をさらに備え、
前記制御部は、前記表示判定部が前記画像データを表示すると判定すると、前記画像データを表示し、前記表示判定部が前記画像データを非表示にすると判定すると、前記画像データを表示しない、
請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示判定部は、前記作業装置の動作を検出すると、前記画像データを表示すると判定する、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示判定部は、前記作業装置の位置に基づいて、前記画像データの表示と非表示を判定する、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示判定部は、前記人の視線方向に基づいて、前記画像データの表示と非表示を判定する、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項9】
産業車両が備える作業装置に設けられるカメラと、
請求項1又は請求項2に記載の前記表示装置と、
を備える視界補助システム。
【請求項10】
産業車両が備える作業装置に設けられたカメラと
請求項1又は請求項2に記載の前記表示装置と、
を備える産業車両。
【請求項11】
画像データを表示することが可能な透過的な表示部を有する、人の頭部に装着する表示装置の制御方法であって、
産業車両が備える作業装置に設けられたカメラが撮影した画像を取得し、
前記画像が表示された仮想モニターを含む前記画像データを、前記表示部を透過して見える、前記人の目線方向における焦点距離だけ離れた位置の周辺に表示する、
制御方法。
【請求項12】
画像データを表示することが可能な透過的な表示部を有する、人の頭部に装着する表示装置のコンピュータを、
産業車両が備える作業装置に設けられたカメラが撮影した画像を取得する手段、
前記画像が表示された仮想モニターを含む前記画像データを、前記表示部を透過して見える、前記人の目線方向における焦点距離だけ離れた位置の周辺に表示する手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置、視界補助システム、産業車両、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォークリフトのフォーク先端にカメラを設け、当該カメラが撮影した画像を運転席に設けられたモニターに表示する荷役作業の支援装置が開示されている。この支援装置によれば、上昇させたフォークの前方を画像で確認しながら荷役作業を行うことができる。このような支援装置において、作業対象位置とモニターを同時に見ながら作業することを考えると、運転席の上方にモニターを取り付けるとよいが、そうするとモニターだけを見る場合でも作業者は上方を見る必要があり、他の方向を目視によって確認したい場合には不都合が生じる。しかし、運転席の前方にモニターを取り付けると、走行時にモニターによって視界の一部が遮られる。また、フォークを上昇したときに運転席から見る作業対象位置とモニターに表示される画像では焦点距離が異なるため、両方を確認しようとすると、焦点を切り替える負担が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4666154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上昇したフォーク前方等の作業対象位置を撮影した画像を確認しながら作業を行うことを可能とする技術が求められている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決することができる表示装置、視界補助システム、産業車両、制御方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の表示装置は、人の頭部に装着する表示装置であって、画像データを表示することが可能な透過的な表示部と、産業車両が備える作業装置に設けられたカメラが撮影した画像を取得する取得部と、前記画像が表示された仮想モニターを含む前記画像データを、前記表示部を透過して見える、前記人の目線方向における焦点距離だけ離れた位置の周辺に表示する制御部とを備える。
【0007】
本開示の視界補助システムは、産業車両が備える作業装置に設けられるカメラと、上記の表示装置と、を備える。
【0008】
本開示の産業車両は、産業車両が備える作業装置に設けられたカメラと、上記の表示装置と、を備える。
【0009】
本開示の制御方法は、画像データを表示することが可能な透過的な表示部を有する、人の頭部に装着する表示装置の制御方法であって、産業車両が備える作業装置に設けられたカメラが撮影した画像を取得し、前記画像が表示された仮想モニターを含む前記画像データを、前記表示部を透過して見える、前記人の目線方向における焦点距離だけ離れた位置の周辺に表示する。
【0010】
また、本開示のプログラムは、画像データを表示することが可能な透過的な表示部を有する、人の頭部に装着する表示装置のコンピュータを、産業車両が備える作業装置に設けられたカメラが撮影した画像を取得する手段、前記画像が表示された仮想モニターを含む前記画像データを、前記表示部を透過して見える、前記人の目線方向における焦点距離だけ離れた位置の周辺に表示する手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
上述の表示装置、視界補助システム、産業車両、制御方法及びプログラムによれば、産業車両が備える作業装置による作業対象位置を見ながら、作業対象位置を撮影した画像を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係るフォークリフトの一例を示す概略図である。
図2】実施形態に係る表示装置の一例を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る焦点距離と仮想オブジェクトの大きさを説明する図である。
図4】実施形態に係る荷役作業中のフォークリフトの様子を示す図である。
図5】実施形態に係るカメラが撮影した画像の表示例を示す図である。
図6】実施形態に係る仮想モニターの表示制御の一例を示すフローチャートである。
図7】実施形態に係る表示装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、本開示の表示装置について、図面を参照して説明する。
(構成)
図1は、各実施形態に係るフォークリフトの一例を示す概略図である。
フォークリフト1は、車体10と、荷役装置11と、制御装置18と、表示装置20と、を備えている。車体10は、不図示の駆動装置およびステアリング装置を備え、フォークリフト1を走行させる。荷役装置11は、フォーク12と、フォーク12を昇降させるマスト13と、荷物が後方(マスト13側)へ落下することを防ぐバックレスト14と、を備え、フォーク12に積載した荷物を昇降させる等して荷役動作を行う。荷役装置11は、作業装置の一例である。マスト13は、不図示の外側マストと不図示の内側マストを有しており、不動の外側マストに対して内側マストが昇降するように構成されている。マスト13には揚高センサ15が設けられていて、揚高センサ15は、内側マストの高さ位置を検出する。また、外側マストには近接センサ16が設けられている。近接センサ16は、バックレスト14やフォーク12、内側マストなどの可動部が外側マストに設けられた近接センサ16から離れたことを検出する。フォーク12の先端には、カメラ17が設けられている。カメラ17は、フォーク12の前方を撮影する。カメラ17が撮影した画像(動画でも静止画でもよい。)は、表示装置20へ送信される。制御装置18は、フォークリフト1の動作を制御する。例えば、運転者100がリフトレバー19を操作すると、制御装置18は、その操作を検出し、マスト13を昇降させる動作を行う。制御装置18は、揚高センサ15、近接センサ16と接続されており、これらのセンサが検出した情報を取得する。制御装置18は、揚高センサ15、近接センサ16が検出した情報、運転者100がリフトレバー19を操作したことを示す信号、その他、例えば、フォークリフト1の移動方向や車速などの情報を表示装置20へ送信する。表示装置20は、AR(Augmented Reality)グラス又は、MR(Mixed Reality)グラスである。運転者100は、表示装置20を装着して、フォークリフト1の運転を行う。本明細書では、図1に示すようにフォークリフト1の荷役装置11が設けられている方向を前方、その反対方向を後方と呼び、前方を向いたときの左右方向をそれぞれ左側、右側と呼ぶ。
【0014】
図2は、実施形態に係る表示装置の一例を示すブロック図である。表示装置20は、表示装置とコンピュータを含んで構成される、ARグラス又はMRグラスである(以下、両方を含んでARグラスと記載する。)。表示装置20は、制御装置18やカメラ17と通信可能に接続されていて、それらの装置から情報を取得する。表示装置20は、カメラ17が撮影した画像を表示する。図示するように表示装置20は、センサ部21と、表示部22と、送受信部23と、制御部24と、表示判定部25と、記憶部26と、を備える。
【0015】
センサ部21は、運転者100のヘッドトラッキング用のセンサ(例えば、複数の可視光カメラやIMU(Inertial Measurement Unit))、運転者100のアイトラッキング用のセンサ(例えば、赤外線カメラ)、深度センサ、マイク等を備える。
【0016】
表示部22は、ARグラスのレンズ(スクリーン)の部分を構成し、例えば、透過的(レンズを通じて外界が見える)なホログラフィックディスプレイで構成される。レンズに仮想オブジェクトが投影されない状態では、運転者100は、現実の世界をそのまま見ることができる。仮想オブジェクトとは、表示部22に投影される画像データである。仮想オブジェクトが表示部22に表示されると、運転者100には、現実の世界に重畳して仮想オブジェクトが見える。
【0017】
送受信部23は、他の装置とデータの送受信を行う。例えば、送受信部23は、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの無線通信により、他装置との間でデータの送受信を行う。例えば、送受信部23は、カメラ17が撮影した画像を受信する。例えば、送受信部23は、制御装置18から、揚高センサ15、近接センサ16が検出した情報、運転者100がリフトレバー19を操作したことを示す信号、フォークリフト1の移動方向や車速などを受信する。
【0018】
制御部24は、表示部22の表示制御等を行う。制御部24は、センサ部21が検出した情報に基づいて、運転者100の周辺の空間形状を認識し、周辺の空間の3次元地図情報を作成し、仮想空間を生成する。制御部24は、作成した地図情報に基づいて、仮想空間の所望の位置に仮想オブジェクトを配置する。運転者100には、現実の世界の当該位置に存在する物に重畳して仮想オブジェクトが表示される。仮想オブジェクトは、(1)空間内の所定の位置(仮想オブジェクトは、固定的にある位置に存在する。)、(2)周辺空間に存在する物体を基準とする所定の位置(例えば、物体が車体10の場合、仮想オブジェクトは車体10の走行に追従して移動する。)、(3)運転者100を基準とする所定の位置(例えば、仮想オブジェクトは、運転者100の視線方向の所定距離だけ離れた位置に存在する。)などに表示させることができる。(1)や(2)の場合、仮想オブジェクトは、あたかもその位置に実際に存在するかのように運転者100によって認識される。(3)の場合、仮想オブジェクトを、運転者100を基準として任意の位置に配置することができ、その配置位置は、運転者100に近づけたり遠ざけたりして自由に変更することができる。例えば、仮想オブジェクトを遠くに配置すれば、運転者100には、仮想オブジェクトが遠くに存在するように見え、近くに配置すれば、運転者100には、仮想オブジェクトが近くに存在するように見える。運転者100が3m先を見ているときに、仮想オブジェクトを視線方向3m先に配置すると、その位置に仮想オブジェクトが存在しているように見える。3m先を見ている運転者100にとっては、ちょうど視線を合わせた位置(運転者の目の焦点/ピントが合う位置)に仮想オブジェクトが存在しているように見えるため、仮想オブジェクトを視認するために改めて焦点を合わせる必要はない。これに対し、運転者100が3m先を見ているときに、仮想オブジェクトを視線方向30cm先に配置すると、3メートル先を見ている運転者100にとっては、自分から30cmの位置に仮想オブジェクトが存在しているように見えるため、3m先から30cm先に焦点を切り替えなければ仮想オブジェクトをしっかりと確認することはできない。つまり、運転者100に焦点切り替えの負担を強いることなく、そのままの状態で仮想オブジェクトを視認してもらうためには、運転者100の焦点位置になるべく近いところに仮想オブジェクトを配置することが好ましい。ARグラスの特性上、仮想オブジェクトの配置位置は自由に制御できるため、運転者100の視線に追従して仮想オブジェクトを配置する位置をそのときの焦点距離に合わせて調整することにより、運転者100が焦点を合わせる負担を軽減することができる。
【0019】
仮想オブジェクトを自由に配置することや、仮想空間上のある位置に仮想オブジェクトを配置することにより、あたかもその位置に仮想オブジェクトが存在するように見えるようにすることは、ARグラスが備える機能である。ユーザは、所望の仮想オブジェクトに関する設定を表示装置20に対して行う(開発者がAR開発ツールを使って仮想オブジェクトを開発し、開発したプログラムを表示装置20に実装する。)。すると、制御部24が、その設定に従って所望の位置に仮想オブジェクトを配置する。本実施形態では制御部24は、運転者100の視線方向に追従して、仮想モニターVM(仮想モニターとは、仮想的なモニターのことでARによって表示される仮想オブジェクトである。)をそのときの焦点距離付近に配置し(上記の(3)に相当)、仮想モニターVMにカメラ17が撮影した画像を表示するように設定されている。次に仮想オブジェクトを配置する位置と仮想オブジェクトの大きさの関係について図3を参照して説明する。
【0020】
図3に、運転者100から距離L1だけ前方に配置した仮想オブジェクト31a、距離L1だけ前方の表示範囲(表示部22に収まる視野の範囲)31b、運転者100から距離L2だけ前方に配置した仮想オブジェクト32a、距離L2だけ前方の表示範囲32bを示す。仮想オブジェクトではない現実のモニターをマスト13の奥側(例えば、運転者100から距離L2だけ前方)に配置した場合、モニターはマスト13に隠れて見えなくなるが、ARの仮想モニターVMの場合はマスト13の奥側に配置していても、仮想モニターVMはARグラス上に表示されるため、マストに隠れるということはない。AR技術には、仮想モニターVMがマスト13に隠れるように表示するオクルージョン機能もあるが、本実施形態では、仮想モニターVMに表示される情報を優先するためオクルージョン機能は使用しない。図3に示すように、サイズの異なる2つの仮想オブジェクト31a、32a(仮想オブジェクト32aの方が、仮想空間におけるサイズが大きい)をそれぞれ距離L1、L2の位置に配置した場合、遠くに存在する物体ほど小さく見えるという性質により、運転者100にとっては、いずれも同じ大きさに見えるようにすることができる。つまり、仮想オブジェクトを遠くに配置する場合には、仮想オブジェクトのサイズを大きくし、手前に配置する場合には仮想オブジェクトのサイズを小さくする。仮想オブジェクトの具体的なサイズは、配置位置(運転者100からの距離)と表示部22上でどのようなサイズで表示するかによって算出することができ、運転者100からの距離に応じて、仮想オブジェクトのサイズを変更することで、運転者100から常に一定の大きさで見えるようにすることができる。仮想オブジェクトがマスト13に隠れて見えなくなることが無いとすると、運転者100にとって同じ大きさで表示される2つの仮想オブジェクト31a、32aの違いは配置位置、換言すれば焦点距離のみとなる。このように仮想空間上に配置する仮想オブジェクトの配置位置とサイズを制御することにより、運転者100から見た仮想オブジェクトの表示サイズを変えずに焦点距離のみを自由に変えることが可能となる。
【0021】
この性質を利用して、フォーク12の先端部付近に適切にサイズ制御された仮想モニターVMを配置すると、実物のフォーク12の先端付近を見たときと仮想モニターVMを見たときの焦点がほぼ同じになり、運転者100は、双方を同時に見ることが可能になる。この様子を図4に示す。図4は、倉庫などの棚に置かれた、荷物41が積まれたパレット42の穴43に、フォーク12を刺す作業を行っている場面を示している。カメラ17は、フォーク12と同じ高さの前方を撮影し、運転者100は、カメラ17が撮影する画像で穴43の位置を把握し、フォーク12の位置決めを行う。この際、従来技術のように、カメラ17が撮影した画像を表示する現実のモニターを運転席に設けるとすると、フォーク12の方向とモニターとを交互に見なければならず、作業効率が悪い。また、焦点の切り替え負担が生じる。仮にフォーク12の方向を見上げた際に表示画面が見えるような位置および方向に現実のモニターを設置したとしても、フォーク12の先端付近の荷物41およびパレット42を見るときの焦点距離と、モニターに映し出される画像の焦点距離は異なるため、実物とモニターの両方が視野に含まれていたとしても、運転者100は、両方を同時に確認することはできず、実際には一方ずつを、焦点を切り替えながら確認することになる。これに対し、本実施形態ではAR技術によって、仮想モニターVMを、例えば、図示するようにフォーク12先端付近(パレット42の付近)に配置する。そして、仮想モニターVMには、カメラ17が撮影する画像を表示する。すると運転者100には、パレット42付近に存在するモニターにカメラ17が撮影した画像が表示されるように見える。仮想モニターVMに表示された画像の焦点距離は、フォーク12等の実物を見るときの焦点距離とほぼ同じになる。また、仮想モニターVMをパレット42付近に配置することで、運転者100がフォーク12先端付近の実物を見るときの視野内にカメラ17が撮影した画像を表示させることができる。すると、運転者100は、フォーク12等の実物を見ながら焦点距離を切り替えることなく、仮想モニターVMに表示された画像を確認することができる。これにより、運転者100は、焦点合わせの負担なく、フォーク12先端付近の作業対象位置とカメラ17の撮影画像の両方を同時に確認しながら、荷役作業を行うことができる。例えば、フォーク12をより高い位置に上昇させて荷役作業を行う際には、制御部24は、より高い位置に仮想モニターVMを配置する。この場合、運転者100からの距離が遠くなるので、図3を用いて説明したように、制御部24は、仮想モニターVMのサイズを大きくする。仮想モニターVMのサイズを大きくしても、遠近法の原理により、運転者100には、仮想モニターVM(カメラ17が撮影した画像)は同じ大きさに見える。このように仮想モニターVMの配置位置とサイズを、運転者100が見る作業対象位置に合わせて変更することで、運転者100は、焦点距離を切り替えることなく、現実世界の作業対象位置とカメラ17が撮影した画像を確認しながら作業を行うことができる。なお、運転者100の目線の対象位置については、例えば、フォーク12を昇降させている場面では、フォーク12の先端周辺を運転者100の目線対象として設定(例えば、揚高センサ15が検出する高さと運転席からフォーク12の先端までの水平方向の長さを用いて、焦点距離を計算する。)してもよいし、センサ部21が備えるアイトラッキング用のセンサが検出した値に基づいて、運転者100の目線対象位置を推定してもよい。あるいは、焦点距離を数m程度に固定して設定してもよい。焦点を数m程度にすることで、フォーク12を上昇させて荷役作業を行う場面に限らず、仮想モニターVMを有効に活用することができる。
【0022】
図5に、表示部22に表示される仮想モニターVMの一例を示す。図5の例では、フォーク12を下降させた状態でカメラ17が撮影した画像を仮想モニターVMに表示している。例えば、フォークリフト1を運転して前方へ移動する際にも、カメラ17が撮影する画像を仮想モニターVMに表示することで、運転者100は、車両周辺を目視により確認すると同時に死角となりやすいフォークリフト1の足元付近の様子を確認することができる。この場合も、車両周辺を目視により確認するときの焦点距離に合わせて仮想モニターVMを配置することで、運転者100は無理なく、車両周辺の現実世界と仮想モニターVMを確認することができる。
【0023】
表示部22に表示する仮想モニターVMの位置や範囲は、視界の妨げにならないよう任意に設定することができる。また、仮想モニターVMの表示と非表示についても、自動的、又は、運転者100の動作や操作により切り替えることができる。例えば、仮想モニターVMが邪魔になる場面では、仮想モニターVMを非表示とすることができる。
【0024】
表示判定部25は、仮想モニターVMの表示と非表示を判定する。表示判定部25が仮想モニターVMを表示すると判定すると、制御部24は、仮想モニターVMを表示(仮想空間上に仮想モニターVMを配置する。)し、表示判定部25が非表示にすると判定すると、制御部24は、仮想モニターVMを非表示(仮想空間上に仮想モニターVMを配置しない。)にする。例えば、表示判定部25は、荷役作業中の場合には仮想モニターVMを表示すると判定し、そうでない場合には仮想モニターVMを非表示にすると判定する。表示判定部25の判定処理の一例を以下に記載する。
【0025】
(A)表示判定部25は、送受信部23を通じて、制御装置18から運転席のリフトレバー19が操作されたことを示す信号、フォークリフト1の車速などの情報を取得する。リフトレバー19の操作を検出すると、表示判定部25は、仮想モニターVMを表示とすると判定する。また、表示判定部25は、リフトレバー19の操作が検出された後に操作が検出されなくなると、そのときから一定時間(例えば、10秒程度)は仮想モニターVMを表示すると判定する。あるいは、表示判定部25は、所定時間(例えば、1~2秒程度)以上、リフトレバー19の操作が継続した場合、そのときから一定時間(例えば、10秒程度)は仮想モニターVMを表示すると判定する。その間、少しでもリフトレバー19によるリフトやティルトの操作があった場合、その都度、10秒のカウントが再セットされる。つまり、表示判定部25は、リフトやティルトの操作の検出から一定時間(例えば、10秒程度)は仮想モニターVMを表示すると判定する。また、車速が一定以上(例えば、4km/h以上)になると、表示判定部25は、荷役作業が終了したと判断し、強制的に10秒のカウントを終了し、仮想モニターVMを非表示とすると判定する。
【0026】
(B)表示判定部25は、送受信部23を通じて、制御装置18から揚高センサ15が検出した情報(フォーク12、内側マストの高さ)を取得する。表示判定部25は、揚高センサ15が検出した高さが所定の閾値以上になると、仮想モニターVMを表示すると判定し、高さが閾値未満となると、仮想モニターVMを非表示にすると判定する。
【0027】
(C)表示判定部25は、送受信部23を通じて、制御装置18から近接センサ16が検出した情報(近接センサ16を設けた外側マストと、バックレスト14、フォーク12、内側マストなどが近接しているかどうか)を取得する。表示判定部25は、近接センサ16が外側マストと内側マスト等が近接していないことを検出した場合、仮想モニターVMを表示すると判定し、外側マストと内側マスト等が近接することを検出した場合、仮想モニターVMを非表示にすると判定する。
【0028】
(D)表示判定部25は、内側マストの連結材の位置や不図示のリフトシリンダのロッドが見えているか、などをランドマークとしてセンサ部21が備える可視光カメラで内側マストが上昇しているかどうかを判定する(リフトシリンダのロッドは、マスト13が上昇していない状態では運転席からは隠れて見えないが、マスト13が上昇すると運転席からは見えるようになる。)。表示判定部25は、ランドマークの見え方により、内側マストの高さ位置を算出する。表示判定部25は、内側マストが所定の閾値以上上昇すると、仮想モニターVMを表示すると判定し、内側マストが上昇した距離が閾値未満となると、仮想モニターVMを非表示にすると判定する。
【0029】
(E)表示判定部25は、フォーク12に荷物を積んでから所定時間が経過すると、荷役作業が行われると判断して、仮想モニターVMを表示すると判定し、フォーク12から荷物が卸されると仮想モニターVMを非表示にすると判定してもよい。フォーク12に荷物が積まれることは、マスト13等に設けられた不図示の荷重センサによって検出してもよいし、センサ部21が備える可視光カメラがフォーク12の上方を撮影した画像を解析して荷物の有無を検出してもよい。
【0030】
(F)表示判定部25は、運転者100の視線方向が所定の角度以上、上方を向いた状態が所定時間以上継続すると、仮想モニターVMを表示すると判定し、運転者100の視線方向が所定の角度以下となると仮想モニターVMを非表示にすると判定してもよい。運転者100の視線方向は、センサ部21が備えるアイトラッキング用のセンサやヘッドトラッキング用のIMUが検出した情報から推定することができる。
【0031】
記憶部26は、センサ部21が検出した情報、送受信部23が受信した情報、仮想オブジェクト、フォークリフト1又は様々な車種のフォークリフトのCAD情報などを記憶する。
【0032】
(動作)
次に図6を参照して、表示装置20の制御について説明する。
図6は、実施形態に係る仮想モニターの表示制御の一例を示すフローチャートである。
表示装置20を装着した運転者100は、フォークリフト1の運転席に座ると、表示装置20を起動し、キャリブレーションを行う(ステップS1)。キャリブレーションでは、運転者100とフォークリフト1の位置関係を算出する。例えば、制御部24は、センサ部21の可視光カメラによって、フォークリフト1のハンドルやその他の構造物を認識し、撮影されたハンドル等の形状や見え方からフォークリフト1の車種を推定する。制御部24は、記憶部26に記録されたCAD情報から推定した車種に対応するCAD情報を読み出して、フォークリフト1全体の形状を把握する。また、例えば、制御部24は、センサ部21の可視光カメラによって撮影したハンドルの画像を解析したり、センサ部21の深度センサによってハンドルまでの距離を測定したりすることで、運転者100とハンドルとの位置関係、つまり、運転者100が運転席のどの位置に座っているか、運転者100の頭部の高さがどの程度か、あるいは、読み出したフォークリフト1のCAD情報から運転者100とフォークリフト1の各部までの位置関係(水平方向の距離や垂直方向の距離など)を算出する。これにより、運転者100とフォーク12の先端との正確な距離を把握し、例えば、仮想モニターVMを上昇したフォーク12の先端付近に配置することができるようになる。また、例えば、フォークリフト1の所定位置に2次元マーカを設け、センサ部21によって2次元マーカを認識し、2次元マーカとの位置関係や2次元マーカが示すフォークリフト1の車種および当該車種のCAD情報から上記と同様にして、運転者100とフォークリフト1の各部までの位置関係を算出してもよい。
【0033】
キャリブレーションが完了すると、運転者100は表示装置20に対して所定の操作を行い、仮想モニターVMを表示する機能を起動する。当該機能が起動すると、制御部24が、送受信部23を通じて、カメラ17からカメラ17が撮影した画像を取得する(ステップS2)。次に表示判定部25が、上記の(A)~(F)に記載した判定方法によって、仮想モニターVMを表示するか非表示とするかを判定する(ステップS3)。表示判定部25が表示すると判定した場合(ステップS4;Yes)、制御部24が、仮想モニターVMを仮想空間上の所定位置に配置する(ステップS5)。所定位置とは、例えば、運転者100の目線方向における焦点距離だけ離れた位置(目線対象位置)である。制御部24は、仮想モニターVMを、例えば、目線対象位置の周辺であって、表示部22における視界の周縁部(例えば、四隅)に表示されるような位置に配置する。また、制御部24は、運転者100の視界の所定範囲(邪魔にならない程度の大きさ)となるように仮想モニターVMのサイズを設定する。仮想モニターVMの表示サイズ(運転者100から見える大きさ、表示部22に占める大きさ)や、仮想モニターVMを表示部22のどこに表示するかについては、運転者100が任意に設定できるように構成されていてもよい。例えば、仮想空間上に、それらの設定を入力できる仮想オブジェクトの入力インタフェースを表示し、運転者100が、この入力インタフェースから仮想モニターVMの表示位置や表示サイズを入力できるようにしてもよい。このように仮想空間上に表示した入力インタフェースに対して操作を行うことを可能とする技術はMRによって実現することができる。また、上記したように、制御部24は、運転者100の焦点距離に応じて仮想モニターVMのサイズ(配置位置におけるサイズ)を変更する。例えば、記憶部26に焦点距離と仮想モニターVMの表示サイズとを対応付けたテーブルを登録しておいて、制御部24は、揚高センサ15の検出値またはセンサ部21のアイトラッキング用センサの検出値に基づいて焦点距離を算出し(焦点距離は算出するのではなく固定値(例えば、数m)が設定されていてもよい。)、その焦点距離と運転者100によって設定された表示サイズと記憶部26に登録されたテーブルとに基づいて、仮想モニターVMのサイズを算出してもよい。ステップS3にて、表示判定部25が非表示にすると判定した場合(ステップS4;No)、ステップS6の処理に進む。
【0034】
次に制御部24は、仮想モニターVMを表示する機能を終了するかどうかを判定する(ステップS6)。例えば、運転者100が、仮想モニターVMを表示する機能を終了する操作を行った場合には、制御部24は、仮想モニターVMを表示する機能を終了すると判定し、そうでない場合には、終了しないと判定する。終了しないと判定した場合(ステップS6;No)、ステップS2以降の処理を繰り返し行う。終了すると判定した場合(ステップS6;Yes)、図6の処理フローを終了する。
【0035】
なお、上記の実施形態では、カメラ17および表示装置20を含む視界補助システムをフォークリフト1に適用する場合を例に説明を行ったが、視界補助システムは、例えば、ショベルカー、ブルドーザー、クレーン車、リーチスタッカーなどのフォークリフト以外の産業車両にも適用することができる。また、カメラ17をフォーク12の前方を撮影するように設けることとしたが、カメラ17の撮影方向は前方に限定されず、他の方向であってもよい。また、他の産業車両の場合、カメラは作業装置(例えば、ショベルカーのブームやバケット、ブルドーザーのバケットやアーム、クレーンのブーム、ジブ、フックなど)の任意の位置に任意の方向へ向けて撮影するように設けることができる。
【0036】
(効果)
従来から運転席の前方に現実のモニターを設け、そのモニターにフォーク12の前方を撮影した画像を表示するシステムが提供されている。このシステムの場合には、走行時にモニターが視界の妨げになり、現実の作業対象位置とモニターとの焦点距離が異なるため、双方を見比べる際、焦点を切り替える負担が生じる。これに対し、本実施形態では、運転者にARグラス(表示装置20)を装着させ、仮想空間上に仮想モニターVMを表示し、仮想モニターVMにフォーク12の前方を撮影した画像を表示する。これにより、例えば、荷役作業を行う場面において、運転者100は棚の高さが高くても見上げることなく安定的にフォーク12とパレット42の位置合わせを行うことができる。運転者100が上方を見上げた場合でも、目線対象の実物までの距離と仮想モニターVMを配置する位置までの距離を合わせることで、運転者100は、焦点距離の切り替えを行うことなく作業対象位置と画像を確認することができる。また、仮想空間上の自由な場所に仮想モニターVMを配置することが可能であるだけでなく、不要な場面では仮想モニターVMを消すことで視界の妨げになることを防ぐことができる。また、仮想モニターVMを配置する位置を運転者100の視線に追従させることで、車両周辺等、他の位置を見ながらでもフォーク12前方の画像を確認することができる。
【0037】
図7は、実施形態に係る表示装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の表示装置20は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0038】
なお、表示装置20の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0039】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0040】
<付記>
各実施形態に記載の表示装置、視界補助システム、産業車両、制御方法及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0041】
(1)第1の態様に係る表示装置は、人(運転者100や同乗者)の頭部に装着する表示装置20であって、画像データを表示することが可能な透過的な表示部22と、産業車両(フォークリフト1)が備える作業装置(フォーク12)に設けられたカメラ17が撮影した画像を取得する取得部(送受信部23)と、前記画像が表示された仮想モニターを含む前記画像データを、前記表示部を透過して見える、前記人の目線方向における焦点距離だけ離れた位置の周辺に表示する制御部24と、を備える。
これにより、AR技術を用いて、運転者100の目線方向における焦点距離だけ離れた位置の周辺に仮想モニターVMを設置することにより、運転者100の視野内に、運転者100の目線対象とほぼ同じ焦点距離でカメラ17が撮影した画像を表示することができる。これにより、産業車両(フォークリフト1)が備える作業装置(例えば、上昇したフォーク12)の周辺(例えば、前方)を確認しながら作業(例えば、荷役作業)を行うことができる。
【0042】
(2)第2の態様に係る表示装置は、(1)の表示装置であって、前記制御部は、前記焦点距離に応じて前記仮想モニターのサイズを変更する。
これにより、運転者100から見える仮想モニターのサイズを不変とすることができる。
【0043】
(3)第3の態様に係る表示装置は、(1)~(2)の表示装置であって、前記制御部は、前記表示部の周縁部に前記画像データを表示する。
これにより、表示部の周縁部に表示することで、表示部の中央部の視野を確保することができる。
【0044】
(4)第4の態様に係る表示装置は、(1)~(3)の表示装置であって、前記制御部は、前記作業装置(フォーク12)の状態(高さ、位置)に基づいて前記焦点距離を設定する。
例えば、揚高センサの検出値に基づき焦点距離、つまり、オブジェクトの配置位置を設定することで、運転者100は視線を切り替える負担なく、作業装置の周辺を確認することができる。
【0045】
(5)第4の態様に係る表示装置は、(1)~(4)の表示装置であって、前記画像データを表示するか非表示とするかを判定する表示判定部、をさらに備え、前記制御部は、前記表示判定部が前記画像データを表示すると判定すると、前記画像データを表示し、前記表示判定部が前記画像データを非表示にすると判定すると、前記画像データを表示しない。
これにより、必要なときだけ仮想モニターVMを表示することができる。例えば、仮想モニターVMが、視界を遮り邪魔になるような場面では仮想モニターVMを非表示とすることができる。
【0046】
(6)第6の態様に係る表示装置は、(5)の表示装置であって、前記表示判定部は、前記作業装置の動作を検出すると、前記画像データを表示すると判定する。
これにより、作業装置の動作時だけ仮想モニターVMを表示することができる。
【0047】
(7)第7の態様に係る表示装置は、(5)~(6)の表示装置であって、前記表示判定部は、前記作業装置の位置に基づいて、前記画像データの表示と非表示を判定する。
これにより、作業装置が所定の位置に存在するときだけ仮想モニターVMを表示することができる。
【0048】
(8)第8の態様に係る表示装置は、(5)~(7)の表示装置であって、前記表示判定部は、前記人の視線方向に基づいて、前記画像データの表示と非表示を判定する。
これにより、運転者の視線がある方向を向いているときだけ仮想モニターVMを表示することができる。
【0049】
(9)第9の態様に係る視界補助システムは、産業車両が備える作業装置に設けられるカメラと、(1)~(8)の表示装置と、を備える。
【0050】
(10)第10の態様に係る産業車両は、産業車両が備える作業装置に設けられたカメラと、(1)~(8)の表示装置と、を備える。
【0051】
(11)第11の態様に係る制御方法は、画像データを表示することが可能な透過的な表示部を有する、人の頭部に装着する表示装置の制御方法であって、産業車両が備える作業装置に設けられたカメラが撮影した画像を取得し、前記画像が表示された仮想モニターを含む前記画像データを、前記表示部を透過して見える、前記人の目線方向における焦点距離だけ離れた位置の周辺に表示する。
【0052】
(12)第12の態様に係るプログラムは、画像データを表示することが可能な透過的な表示部を有する、人の頭部に装着する表示装置のコンピュータを、産業車両が備える作業装置に設けられたカメラが撮影した画像を取得する手段、前記画像が表示された仮想モニターを含む前記画像データを、前記表示部を透過して見える、前記人の目線方向における焦点距離だけ離れた位置の周辺に表示する手段、として機能させる。
【符号の説明】
【0053】
1・・・フォークリフト
10・・・車体
11・・・荷役装置
12・・・フォーク
13・・・マスト
14・・・バックレスト
15・・・揚高センサ
16・・・近接センサ
17・・・カメラ
18・・・制御装置
19・・・リフトレバー
20・・・表示装置
21・・・センサ部
22・・・表示部
23・・・送受信部
24・・・制御部
25・・・表示判定部
26・・・記憶部
100・・・運転者
VM・・・仮想モニター
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7